JPH0621444Y2 - Ｘ線ｃｔ装置における呼吸指示装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ．産業上の利用分野 この考案は、Ｘ線ＣＴ装置における呼吸指示装置に関す
る。

Ｂ．従来技術 Ｘ線ＣＴ装置において、スキャン中の患者の呼吸による
体動は、断層像のアーティファクトの原因となる。そこ
で、ＣＴスキャンにおいては、スキャンスタート直前に
患者に対する呼吸指示（例えば、「息を吸って下さい」
→「息を止めて下さい」）が不可欠である。

このような呼吸指示は、従来では、専ら、音声によって
行われている。すなわち、不揮発性メモリ（ＲＯＭ）に
記憶されている音声データを読み出し、音声合成装置に
よって合成し、スピーカを通じて呼吸指示を与えるよう
にしている。

Ｃ．考案が解決しようとする課題 しかし、老人等、耳の不自由な患者に対しては、呼吸指
示が適切に与えられず、アーティファクトの発生の頻度
が高いという問題があった。

また、音声指示の内容は、予めメーカ側で不揮発性メモ
リに書き込まれたものであり、一般的な患者を対象とし
た内容になっており、病院側では、種々の患者ごとに即
した適切な呼吸指示への対応ができないという問題があ
った。

また、音声による呼吸指示装置を備えたＸ線ＣＴ装置を
海外に輸出する場合、メーカ側では各国の言語のＲＯＭ
を作成しなければならず、コスト高を招いていた。

この考案は、このような事情に鑑みてなされたものであ
って、その第１の目的は、耳の不自由な患者に対して適
切な呼吸指示を与えることができるようにする点にあ
り、第２の目的は、種々の患者ごとに即した適切な呼吸
指示や外国語への対応が容易に行えるようにする点にあ
る。

Ｄ．課題を解決するための手段 この考案は、このような目的を達成するために、次のよ
うな構成をとる。

すなわち、この考案の第１のＸ線ＣＴ装置における呼吸
指示装置は、呼吸指示を視覚的に与える呼吸指示表示部
と、この呼吸指示表示部をベッドのヘッドレス部に位置
対応する状態でベッドの移動に同期させて移動させる表
示部移動制御手段と、断層像撮影のタイミングに合わせ
て前記呼吸指示表示部の表示動作を行わせる表示制御手
段とを備えたことを特徴とするものである。

また、第２のＸ線ＣＴ装置における呼吸指示装置は、前
記第１の呼吸指示装置において、視覚的な呼吸指示の表
示内容を記憶する書き込み，消去自在な記憶手段を備え
たことを特徴とするものである。

Ｅ．作用 この考案の第１の呼吸指示装置の構成による作用は、次
のとおりである。

すなわち、断層像撮影のタイミングに合わせた呼吸指示
を、呼吸指示表示部によって視覚を通じて患者に与える
ため、耳の不自由な患者に対しても適切な呼吸指示が与
えられる。

ところで、音声による呼吸指示の場合は、スピーカが一
定の位置に固定されていて、ベッドの移動位置すなわち
患者の位置が大きく変化しても、聴覚の正常な患者に対
しては適切な指示が伝わるが、視覚を通じての呼吸指示
の場合には、前記の呼吸指示表示部が一定の位置に固定
されていると、ベッド（患者）の位置が変化したとき
に、患者から呼吸指示表示部の内容が見えにくくなるお
それがある。

しかし、この第１の呼吸指示装置によれば、ベッドのヘ
ッドレス部に位置対応する状態でベッドの移動に同期さ
せて呼吸指示表示部を移動させるから、ベッドの位置変
化にもかかわらず常に見やすい位置に呼吸指示表示部が
位置することになる。

また、第２の呼吸指示装置の構成による作用は、次のと
おりである。

すなわち、書き込み，消去自在な記憶手段によって呼吸
指示の内容を、病院側で実情に即して種々の患者ごとに
適切な内容に自由に変更することが可能となり、また、
種々の外国語への対応も容易となる。さらに、その記憶
手段の容量は、従来の音声合成の基になる音声データを
格納する記憶手段の容量に比べて、はるかに少ないもの
ですむ。

Ｆ．実施例 以下、この考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。

第１図はＸ線ＣＴ装置の概略構成を示す側面図、第２図
はその正面図である。

床面１にベッド駆動装置２とガントリ３とが設置されて
いる。患者Ｍを仰臥させるベッド４は、ベッド駆動装置
２に支持され、前後動自在ならびに昇降自在となってお
り、前後動によりガントリ３の撮影空間５に対して出退
自在である。

平面視でコ字状の表示部前後動枠６の両側部分がガント
リ３に軸受７を介して摺動自在に支持され、ガントリ３
に設けられた前後動用のサーボモータＭ１によって回動
されるピニオンギア８が表示部前後動枠６に形成された
ラック６ａに噛合している。

表示部前後動枠６の中央部に表示部上下動枠９が上下動
自在に支持されているとともに、そのラック９ａに噛合
するピニオンギア10が表示部前後動枠６に取り付けられ
た上下動用のサーボモータＭ２によって回動されるよう
に構成されている。

表示部上下動枠９の下部に呼吸指示表示部11が傾動自在
に取り付けられている。この呼吸指示表示部11は、液晶
ディスプレイや電光掲示板で構成されている。

呼吸指示表示部11の原点位置は、第１図でガントリ３に
近い二点鎖線で示す位置である。ベッド４の前進によっ
てそのヘッドレスト部４ａが、原点位置にある呼吸指示
表示部11に位置対応した時点を検出するために、ベッド
４の下面に投光器12が、撮影空間５の内周面に受光器13
がそれぞれ設けられている。

ベッド駆動装置２には、ベッド４の前後方向での移動量
を検出するエンコーダ14が設けられており、受光器13が
投光器12からの光を検出した時点から、エンコーダ14の
検出信号を前後動用のサーボモータＭ１に与えることに
より、表示部前後動枠６を駆動し、呼吸指示表示部11
を、ヘッドレスト部４ａに位置対応する状態でベッド４
の前後方向の移動に同期して移動させるように構成して
ある。

ベッド駆動装置２には、また、ベッド４の上下方向での
移動量を検出するエンコーダ15が設けられており、この
エンコーダ15の検出信号を上下動用のサーボモータＭ２
に与えることにより、表示部上下動枠９を駆動し、呼吸
指示表示部11を、ベッド４の上下方向の移動に同期して
移動させるように構成してある。

次に、制御系の構成を第３図に基づいて説明する。

ホストコンピュータ21に、視覚的な呼吸指示の表示内容
のデータを記憶する書き込み，消去自在な記憶手段とし
ての磁気ディスク22と、ベッド駆動装置２を制御するベ
ッドコントローラ23と、モータＭ１，Ｍ２，エンコーダ
14，15等からなる表示部移動制御手段としての表示部移
動コントローラ24と、磁気ディスク22に対する呼吸指示
表示内容のデータの更新を含めた様々な指示をホストコ
ンピュータ21に与えるキーボード25と、ガントリ３内の
検出器リング（図示せず）を回転させながら断層像の撮
影をスキャナコントローラ26と、患者Ｍに応じて磁気デ
ィスク22から選択して読み出した表示内容データをスト
アするメモリ27とが接続されている。

ベッドコントローラ23は、受光器13が投光器12からの光
を検出した時点から、表示部移動コントローラ24に同期
信号を出力するように構成されている。表示部ドライバ
28は、断層像撮影のタイミングに合わせて、メモリ27か
ら表示内容データを読み出し、このデータを、呼吸指示
表示部11の表示駆動の制御を司る表示部ドライバ28に送
出するように構成されている。

次に、この実施例の動作を説明する。

呼吸指示が必要となるのは、呼吸によって体動が生じる
胸部から腹部にかけての撮影時である。そのような場合
には、第１図に示すように、患者Ｍの頭部すなわちヘッ
ドレスト部４ａが撮影空間５からの外部にはみ出すこと
になる。

まず、ベッド４がガントリ３の撮影空間５から退出した
原点位置にある状態で、ヘッドレスト部４ａに頭部を置
くようにして患者Ｍがベッド４上に仰臥する。

次いで、オペレータがキーボード25の操作によって、患
者Ｍの患部が存在する腹部がガントリ３の撮影空間５内
まで移動するようにホストコンピュータ21に指令を与え
る。この指令によって、ベッドコントローラ23がベッド
駆動装置２を制御してベッド４を前進させる。

ベッド４の前進に伴って投光器12が受光器13に位置対応
すると、受光器13から検出信号が出力され、ベッドコン
トローラ23から表示部移動コントローラ24に同期信号が
出力される。すなわち、エンコーダ14によるベッド４の
前進の移動量の信号が前後動用のサーボモータＭ１に出
力され、ベッド４の移動量と等しい移動量だけ表示部前
後動枠６が前進される。これに伴って、表示部上下動枠
９および呼吸指示表示部11も同じ量だけ移動される。

すなわち、投光器12が受光器13に位置対応した時点から
は、ベッド４の移動と呼吸指示表示部11の移動とが同期
し、それぞれの移動量が互いに等しくなるため、呼吸指
示表示部11は、常に、ヘッドレスト部４ａに位置対応し
た状態となる。

ベッド４が指定した位置まで前進して停止した後、キー
ボード25の操作によって、ベッド４の高さ位置をホスト
コンピュータ21に与える。これによって、ベッドコント
ローラ23がベッド駆動装置２を制御してベッド４を指定
された高さ位置まで上昇または下降させる。これに同期
して、エンコーダ15によるベッド４の昇降の移動量の信
号が上下動用のサーボモータＭ２に出力され、ベッド４
の移動量と等しい量だけ表示部上下動枠９が移動され、
呼吸指示表示部11も同じ量だけ移動される。

したがって、呼吸指示表示部11とベッド４との上下方向
での距離は、ベッド４の高さ位置の調整にかかわらず一
定となる。

なお、患者Ｍの明視距離に応じて、ベッド４からの呼吸
指示表示部11までの距離を調整したり、呼吸指示表示部
11の角度を調整することも可能である。

次に、患者Ｍに応じた呼吸指示の表示内容を磁気ディス
ク22内の各種のデータ中から選択してメモリ27に転送す
る。なお、この転送は、ベッド４の前進位置および高さ
位置が確定するまでのいずれの段階で行ってもよい。

次いで、キーボード25の操作によってホストコンピュー
タ21に断層像撮影のスキャンスタートの指令を与える
と、まず、表示部ドライバ28を駆動してメモリ27から撮
影準備のための呼吸指示のデータを読み出し、それを呼
吸指示表示部11に表示する。

この撮影初期段階での表示内容は、例えば、「息を吸っ
て下さい」→「息を止めて下さい」等であるが、患者Ｍ
に最も適した表示内容にすることは前述したとおりであ
る。

その初期段階の表示が完了した直後から、スキャナコン
トローラ26を駆動して、断層撮影を開始する。そして、
断層撮影が完了した直後に、再び、表示部ドライバ28を
駆動してメモリ27から撮影完了に伴う呼吸指示のデータ
を読み出し、それを表示部ドライバ28に表示する。

この表示内容としては、例えば、「楽にして下さい」等
であるが、患者Ｍに最も適した表示内容にすることは前
述したとおりである。

スライス面を変えて数回スキャンする場合には、ベッド
４の位置を移動させるが、このときも、ベッド４の移動
量と同量だけ呼吸指示表示部11が移動するので、呼吸指
示表示部11は、常に患者Ｍにとって見やすい位置にくる
ことになる。

呼吸指示の表示内容は、キーボード25による入力操作に
よって自由に新たに作ったり、作り直したりすることが
可能で、それを磁気ディスク22に格納しておくことがで
きる。すなわち、病院側で、実情に即して患者Ｍごとに
最適な表示内容のデータを磁気ディスク22に格納でき
る。また、外国に輸出した場合でも、その国の言語での
データの作成および表示が可能である。

なお、呼吸指示表示部11に表示する内容としては、呼吸
指示のほかに、一般的な注意事項とか病院の宣伝とか任
意のものを選ぶことができ、また、撮影に入る前に、患
者Ｍをリラックスさせるためのビデオ画面を表示しても
よい。

なお、上記実施例では、呼吸指示表示部11を液晶ディス
プレイや電光掲示板で構成したが、これに代えて、「息
を吸って下さい」の文字表記とそれに対応した位置のラ
ンプ、「息を止めて下さい」の文字表記とそれに対応し
た位置のランプ、および、「楽にして下さい」の文字表
示とそれに対応した位置のランプで呼吸指示表示部11を
構成してもよい。

Ｇ．考案の効果 この考案の第１のＸ線ＣＴ装置における呼吸指示装置に
よれば、次の効果が発揮される。

すなわち、アーティファクトを発生させないようにする
ための断層像撮影のタイミングに合わせた呼吸指示を、
呼吸指示表示部から視覚を通じて患者に与えるように構
成し、かつ、ベッドのヘッドレスト部に位置対応する状
態でベッドの移動に同期させて呼吸指示表示部を移動さ
せるように構成してあるから、ベッドの位置変化にもか
かわらず常に見やすい位置に呼吸指示表示部を位置させ
た状態で、耳の不自由な患者に対し視覚を通じて常に適
切な呼吸指示を与えることができる。

また、第２のＸ線ＣＴ装置における呼吸指示装置によれ
ば、次の効果が発揮される。

すなわち、書き込み，消去自在な記憶手段によって視覚
による呼吸指示の内容を、実情に即して病院側で種々の
患者ごとに適切な内容に自由に変更することができると
ともに、種々の外国語への対応も容易に行うことができ
る。さらに、その記憶手段の容量を、従来の音声データ
の記憶手段の容量に比べて、はるかに少ないものにする
ことができ、コストダウンを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの考案の一実施例に係り、第１
図はＸ線ＣＴ装置の概略構成を示す側面図、第２図はそ
の正面図、第３図は制御系の構成を示すブロック図であ
る。 ４……ヘッド ４ａ……ヘッドレスト部 11……呼吸指示表示部 22……磁気ディスク（書き込み，消去自在な記憶手段） 24……表示部移動コントローラ（表示部移動制御手段） 28……表示部ドライバ（表示制御手段）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】呼吸指示を視覚的に与える呼吸指示表示部
   と、この呼吸指示表示部をベッドのヘッドレスト部に位
   置対応する状態でベッドの移動に同期させて移動させる
   表示部移動制御手段と、断層像撮影のタイミングに合わ
   せて前記呼吸指示表示部の表示動作を行わせる表示制御
   手段とを備えたことを特徴とするＸ線ＣＴ装置における
   呼吸指示装置。