JPH11147024A - 排煙処理方法 - Google Patents

排煙処理方法

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JPH11147024A
JPH11147024A JP9333557A JP33355797A JPH11147024A JP H11147024 A JPH11147024 A JP H11147024A JP 9333557 A JP9333557 A JP 9333557A JP 33355797 A JP33355797 A JP 33355797A JP H11147024 A JPH11147024 A JP H11147024A
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gas
desulfurization
ammonia
absorbing
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少なくともアンモニア及び亜硫酸ガスを含む
排煙A2を吸収塔8に導き、亜硫酸ガスの吸収に適した
pHのカルシウム化合物含有スラリと気液接触させるこ
とにより、排煙から少なくとも亜硫酸ガスを吸収除去す
る脱硫工程と、この脱硫工程後の排煙A3からミストエ
リミネータ43によりミストを除去するミスト除去工程
とを有する排煙処理方法において、処理後排煙A4中の
アンモニア濃度を低く抑える。 【解決手段】 前記脱硫工程後で前記ミスト除去工程前
の排煙A3中に、この排煙中に存在するアンモニアの吸
収に適したpHの吸収液Nを噴霧して、この吸収液N中
に前記アンモニアを吸収させる吸収液噴霧工程を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排煙の脱硫処理な
どの浄化処理を行う排煙処理技術に係わり、特に排煙中
の亜硫酸ガスの除去とともに、処理後排煙中のアンモニ
ア濃度の低減が容易に実現できる排煙処理技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、火力発電所のボイラ等より生じる
排煙中から、硫黄酸化物(主に亜硫酸ガス)などの有害
物を除去する排煙処理方法としては、例えば図8に示す
ものが知られている。以下、この排煙処理技術について
説明する。
【0003】図8に示すように、ボイラ本体1から排出
された未処理排煙Aは、まずボイラハウス内に配設され
た脱硝装置2に導入され、排煙中の窒素酸化物が分解処
理される。脱硝装置2は、触媒を用いてアンモニア接触
還元法により窒素酸化物を分解するもので、ここでは、
脱硝当量のアンモニアBが排煙中に注入される。
【0004】次に排煙は、やはりボイラハウス内に設置
されたエアヒータ3(熱交換器)に導入され、ここで熱
回収されて、この熱でボイラ本体1に供給される空気C
が加熱される。このエアヒータ3を出た排煙A1は、そ
の後、煙道4によりボイラハウスから導出され、ボイラ
ハウスの外に設置された乾式の電気集塵機5に導かれ、
ここで排煙中の粉塵Dが捕集除去される。
【0005】なお、油焚きボイラ等の場合には、排煙中
の三酸化硫黄(SO3)を硫安((NH4)2SO4)として
電気集塵機5で捕集するために、煙道4においてもアン
モニアが排煙中に注入される場合がある。一方、石炭焚
きボイラの場合には、排煙中にフライアッシュ等の多量
の粉塵が存在するために、排煙中のSO3が有害なミスト
(サブミクロン粒子)とならずにこの粉塵粒子に凝結し
た状態で電気集塵機5や後述の吸収塔8で捕集される。
このため、石炭焚きボイラの場合には、この煙道4にお
けるアンモニア注入は省略されるのが、一般的である。
【0006】次に、電気集塵機5を出た排煙は、煙道6
によりガスガスヒータの熱回収部7(熱交換器)に導か
れ、ここで熱回収された後、脱硫前排煙A2として脱硫
装置の吸収塔8に導入される。吸収塔8では、吸収剤と
して石灰石が懸濁したカルシウム含有スラリ(以下、吸
収剤スラリという。)と排煙とが気液接触して、排煙中
の主にSO2が吸収剤スラリ中に吸収されるとともに、残
りの粉塵も吸収剤スラリ中に捕集される。
【0007】なお、この場合の吸収塔8は、図8に示す
ように、吸収剤スラリEが供給されるタンク21が底部
に設けられ、このタンク21の上方に延設された気液接
触部において、排煙とタンク21内のスラリとを気液接
触させる吸収塔(液柱塔)である。また、この種の脱硫
装置の脱硫性能(脱硫率)は、近年では90%を越える
高いものとなっており、場合によっては吸収塔8を出た
脱硫後排煙A3中には亜硫酸ガスがほとんど存在しない
程度にまで脱硫される。
【0008】次いで、脱硫装置の吸収塔8でSO2等を
除去された脱硫後排煙A3は、必要に応じて湿式の電気
集塵器9において残留した粉塵を除去された後、ガスガ
スヒータの再加熱部10において、熱回収部7で回収さ
れた熱により大気放出に好ましい温度に加熱された後、
図示省略したファンや煙突を経由して、処理後排煙A4
として大気に放出される。
【0009】なお、湿式の電気集塵器9は、大気放出さ
れる処理後排煙A4中の粉塵濃度を特に低くする必要が
ある場合に設けられるもので、この湿式電気集塵器9か
らは捕集した粉塵を含む排液Fが排出される。また、電
気集塵機5の除塵性能向上等のために、ガスガスヒータ
の熱回収部7を電気集塵機5の前流に配置する場合もあ
る。ちなみに、このように電気集塵機5の前流で排煙の
熱回収が全て行われ、電気集塵機5に導入される排煙の
温度がより低下すると、特に石炭焚きボイラの排煙の場
合には、比抵抗の関係で電気集塵機5におけるフライア
ッシュ等の粉塵の除去率が格段に高まり有利である。
【0010】また吸収塔8では、SO2を吸収したスラ
リが酸化され、中和反応を含む後述の反応により、石膏
が副生される。ここで吸収塔8は、脱硫前排煙A2を導
入する排煙導入部22が下部に設けられるとともに、脱
硫後排煙A3を導出するための排煙導出部23がその上
端部に形成されて、排煙が下部から導入されて上方に向
って流れるいわゆる向流式の吸収塔である。
【0011】そして排煙導出部23には、ミストエリミ
ネータ24aが設置され、気液接触により生じた排煙中
の同伴ミストがここで捕集されることにより、脱硫後排
煙A3に亜硫酸ガスやアンモニア等を含んだミストが多
量に含まれて排出されないように構成されている。この
場合、このミストエリミネータ24aで捕集されたミス
ト(回収液)は、このミストエリミネータ24aの下端
から流れ落ちて直接タンク21内に戻る構成となってい
る。
【0012】また吸収塔8には、スプレーパイプ24が
複数平行に設けられ、これらスプレーパイプ24には、
タンク21内のスラリを上方に向って液柱状に噴射する
ノズル(図示略)が複数形成されている。また、タンク
21の外側には、タンク21内の吸収剤スラリを吸上げ
る循環ポンプ25が設けられ、循環ライン26を介して
スラリが各スプレーパイプ24に送り込まれる。
【0013】そして図8の場合には、タンク21内のス
ラリを攪拌しつつ酸化用の空気Gを微細な気泡として吹
込む手段として、攪拌機27と、この攪拌機27の攪拌
翼の近傍に空気Gを吹込む吹込み管28とを備え、タン
ク21内で亜硫酸ガスを吸収したスラリと空気とを効率
良く接触させて全量酸化し石膏を得る構成となってい
る。
【0014】すなわち、吸収搭8でスプレーパイプ24
から噴射され排煙A2と気液接触して亜硫酸ガスや粉塵
(硫安等のアンモニウム塩含む)さらにはアンモニアガ
スを吸収しつつ流下する吸収剤スラリEは、タンク21
内において攪拌機27と吹込み管28により攪拌されつ
つ吹込まれた多数の気泡と接触して酸化され、さらには
中和反応を起こして石膏を高濃度に含むスラリとなる。
なお、これらの処理中に起きる主な反応は下記の反応式
(1)乃至(3)となる。
【0015】
【化1】 (吸収搭) SO2 +H2O → H+ +HSO3 - (1) (タンク) H+ +HSO3 - +1/2O2 → 2H+ +SO4 2- (2) 2H+ +SO4 2- +CaCO3 +H2O → CaSO4・2H2O +CO2 (3)
【0016】こうしてタンク21内には、定常的には多
量の石膏と吸収剤である少量の石灰石と排煙中から捕集
された僅かな粉塵やアンモニアとが懸濁又は溶存するよ
うになっており、このタンク21内のスラリがこの場合
循環ライン26から分岐する配管ライン29により固液
分離機30に供給され、ろ過されて水分の少ない石膏H
として採り出される。一方、固液分離機30からのろ液
は、その一部Jが吸収剤スラリEを構成する水分として
この場合スラリ調整槽31に送られ、残りの一部が不純
物の蓄積を防止すべく脱硫排水Kとして排出される。な
お、排煙から吸収されたアンモニアや硫安等のアンモニ
ウム塩は溶解度が高いので、ほとんどがスラリEの液中
にアンモニウムイオンとして含まれ、最終的には脱硫排
水Kに含まれて排出される。
【0017】なお、運転中タンク21には、この場合ス
ラリ調整槽31から吸収剤である石灰石が吸収剤スラリ
Eとして供給される。スラリ調整槽31は、攪拌機32
を有し、図示省略したサイロから投入される粉状の石灰
石Lと、供給された前記ろ液Jとを攪拌混合して吸収剤
スラリEを生成するもので、内部のスラリEがスラリポ
ンプ33によりタンク21に適宜供給されるようになっ
ている。
【0018】また、例えばタンク21には、適宜補給水
M(工業用水等)が供給され、吸収塔8での蒸発等によ
り漸次減少する水分が補われる。また、ろ液Jを直接タ
ンク21に戻すようにし、吸収剤スラリEを構成する水
分(スラリ調整槽31に供給する水分)としては、系外
から供給される工業用水等のみを使用する場合もある。
【0019】そして運転中には、上記タンク21への補
給水の流量や配管ライン29からのスラリ抜き出し流量
などが調整されることによって、タンク21内には、所
定濃度の石膏や吸収剤を含有するスラリが常に一定範囲
のレベル内に蓄えられた状態に維持される。
【0020】また運転中には、脱硫率と石膏純度とを高
く維持すべく、ボイラ負荷(排煙A2の流量)や、吸収
塔8に導入される排煙A2中の亜硫酸ガス濃度や、タン
ク21内のスラリのpHや石灰石濃度等がセンサにより
検出され、これら検出結果に基づいて図示省略した制御
装置によりタンク21への石灰石の供給量等が適宜調節
される構成となっている。ここで、タンク21内のpH
は、亜硫酸ガスの吸収性能を高く維持しつつ前述した酸
化反応を促進して純度の高い石膏を生成すべく、従来通
常は6.0程度に調整されるようになっている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の排煙
処理技術(特に上述のような向流式の吸収塔を使用した
排煙処理)では、脱硫前排煙A2中にアンモニアが含ま
れる場合、脱硫装置の吸収塔8の出口側においてこのア
ンモニアがガスとして放散し脱硫後排煙A3及び処理後
排煙A4中に多量に含まれて排出されてしまうという改
善すべき問題があった。
【0022】すなわち、例えば火力発電設備の油焚きボ
イラの排煙処理設備では、前述の如く排煙中に含まれる
三酸化硫黄(SO3)を硫安((NH4)2SO4)として捕
集するために、通常脱硫装置よりも前流においてアンモ
ニアを排煙中に注入する処理がなされ、このために脱硫
用の吸収塔に導入される排煙(図8では脱硫前排煙A
2)中には最高100ppm程度のアンモニアが含まれ
る。
【0023】そして、図8に例示したような従来の向流
式の吸収塔8では、吸収塔8内の下側においてこのアン
モニアの多くがスラリ中に溶解して吸収され、排煙中の
アンモニア濃度は一旦低下する。しかし、吸収塔8内の
上部に噴射され排煙と接触するスラリのpHが6程度と
高いため、図9に示すアンモニアの平衡分圧の特性に従
って、この吸収塔8内の上部でのアンモニアの分圧が高
くなりスラリ中のアンモニアの多くがここで再びガス側
に放散されて、結局、脱硫後排煙A3(及び処理後排煙
A4)中のアンモニア濃度は最高50ppm程度になっ
てしまう。
【0024】なお、アンモニアは悪臭の原因物質の一つ
でもあり、大気汚染防止の観点から大気中に放出される
処理後排煙A4中のアンモニア濃度を極力少なくするこ
とが望ましく、高脱硫性能やコスト低減などを実現する
とともに、アンモニアの排出量の少ない排煙処理方法が
要望されていた。
【0025】そこで本発明は、第1に、処理後排煙中の
アンモニア濃度を低く抑えられる排煙処理方法を提供す
ることを目的としている。また第2に、より容易かつ安
価な構成で処理後排煙中のアンモニア濃度を低く抑えら
れる排煙処理方法を提供することを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の排煙処理方法は、少なくともアンモ
ニア及び亜硫酸ガスを含む排煙を吸収塔に導き、亜硫酸
ガスの吸収に適したpHのカルシウム化合物含有スラリ
と気液接触させることにより、排煙から少なくとも亜硫
酸ガスを吸収除去する脱硫工程と、この脱硫工程後の排
煙からミストを除去し液として回収するミスト除去工程
とを有する排煙処理方法において、前記脱硫工程後で前
記ミスト除去工程前の排煙中に、前記脱硫工程後の排煙
中に存在するアンモニアの吸収に適したpHの吸収液を
噴霧して、この吸収液中に前記アンモニアを吸収させる
吸収液噴霧工程を設けたことを特徴とする。
【0027】請求項2記載の排煙処理方法は、前記ミス
ト除去工程で回収された回収液を前記吸収塔に導入し、
前記カルシウム化合物含有スラリを構成する液として利
用することを特徴とする。
【0028】請求項3記載の排煙処理方法は、前記吸収
塔の後流側で排煙を湿式電気集塵機に導入して排煙中に
残留した粉塵を除去する湿式粉塵除去工程を設け、この
湿式粉塵除去工程おいて前記湿式電気集塵機より排出さ
れる排液を、前記吸収液の少なくとも一部として利用す
る構成としたことを特徴とする。
【0029】請求項4記載の排煙処理方法は、前記脱硫
工程で排煙と気液接触し亜硫酸ガスを吸収したスラリを
酸化して脱水することにより石膏の固形分を副生すると
ともに、このスラリの脱水により生じたろ液の一部を、
前記吸収液の少なくとも一部として利用する構成とした
ことを特徴とする。
【0030】請求項5記載の排煙処理方法は、前記脱硫
工程後の排煙中の亜硫酸ガス濃度を処理後排煙中の亜硫
酸ガス濃度の目標値よりも高く設定して、除去すべき亜
硫酸ガスの一部を前記脱硫工程後の排煙中に残留させる
とともに、前記吸収液のpHを弱酸性領域から中性付近
に設定することにより、前記吸収液中に、前記脱硫工程
後の排煙中に存在するアンモニアとともに、前記脱硫工
程後の排煙中に残留した亜硫酸ガスを吸収するようにし
たことを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づいて説明する。図1は、本例の排煙処理方
法を実施する排煙処理設備を示す図である。なお、図8
に示す従来と同様の構成要素には、同符号を使用して重
複する説明を省略するとともに、図1においてはその一
部の図示を省略する。本例の排煙処理設備は、図1に示
す如く、吸収塔8から出た脱硫後排煙A3を湿式の電気
集塵機9に導く水平方向の煙道41の上流側に、アンモ
ニア除去のための吸収液Nを噴霧する横置き型のスプレ
ーノズル42を設けるとともに、煙道41の下流側にや
はり横置き型のミストエリミネータ43を設けた点に特
徴を有する。
【0032】ここで、ミストエリミネータ43は、脱硫
後排煙A3にもともと同伴されていたミストと、前流の
スプレーノズル42より噴射された吸収液Nよりなるミ
ストとが除去でき、捕集したミストが排煙中のガス成分
と気液接触する液膜を形成するものであればよい。例え
ば、この種の設備で従来より一般的に使用されている折
れ板式のミストエリミネータを使用することができる。
そして、このミストエリミネータ43により排煙A3中
から捕集された回収液Pは、下部ホッパ44を経由して
排出され、この場合吸収塔8のタンク21内に導入され
る構成となっている。
【0033】次に、このような設備構成により実施され
る本発明の排煙処理方法の一例について説明する。この
場合、本発明の脱硫工程は、吸収塔8内の気液接触部に
おいて実行される。すなわち、図8に示す熱回収部7を
出た脱硫前排煙A2は、吸収塔8に導かれて、スプレー
パイプ24から噴射された亜硫酸ガスの吸収に適したp
H(通常6.0)のカルシウム化合物含有スラリと気液
接触することにより、排煙A2から少なくとも亜硫酸ガ
スが吸収除去される。なお、この気液接触においては、
亜硫酸ガスの他に、前述したような排煙中のアンモニア
ガスや粉塵等も吸収剤スラリ中に除去される。
【0034】次いで、本発明の吸収液噴霧工程は、スプ
レーノズル42により実行される。すなわち、吸収塔8
で吸収剤スラリと気液接触した後の脱硫後排煙A3が煙
道41の上流を通過する過程で、スプレーノズル42に
よりアンモニアの吸収に適したpHの吸収液Nが排煙A
3中に噴霧される。
【0035】また、本発明のミスト除去工程は、煙道4
1の下流側のミストエリミネータ43により実行され
る。すなわち、上記脱硫工程及び吸収液噴霧工程を経た
脱硫後排煙A3に同伴されたミストが、ミストエリミネ
ータ43により捕集除去される。なおこの場合、捕集さ
れたミストよりなる回収液Pは、ホッパ44を経由して
吸収塔8のタンク21内に導入され、タンク21内のス
ラリを構成する液分の一部となる。
【0036】以上の吸収液噴霧工程とミスト除去工程で
は、噴霧された吸収液Nと脱硫後排煙A3とが気液接触
して、排煙A3中に残留する少なくともアンモニアガス
が吸収除去され、処理後排煙A4中の亜硫酸ガス濃度と
ともに、処理後排煙A4中のアンモニア濃度を格段に低
く抑制することができる。
【0037】なお、噴霧された吸収液Nと脱硫後排煙A
3の気液接触は、煙道41内の空間中でも起こるが、ミ
ストエリミネータ43でも起こり、これによりアンモニ
アガス等の効果的な吸収が実現される。というのは、ミ
ストエリミネータ43においては、捕集したミストより
なる液膜表面が多量に形成され、ここに排煙A3のガス
成分が接触するため、いわゆる濡れ壁方式の気液接触装
置としてこのミストエリミネータ43が機能するからで
ある。
【0038】なお、吸収液噴霧工程で噴霧する吸収液N
としては、系外から供給される工業用水等に必要に応じ
て硫酸等を加えてpH調整を行ったものを使用してもよ
いが、本排煙処理設備から排出される液分を使用すれ
ば、用水量を節約して運転コストを低減できる。すなわ
ち、例えば前述の脱硫排水K(通常、pH6程度)の一
部や、湿式電気集塵機9の排液F(通常、pH8程度)
を、必要に応じてpH調整して使用すれば、アンモニア
除去のために特に工業用水等を供給する必要がない。
【0039】また、吸収液Nを噴霧する量は、基本的に
は要求されるアンモニアの除去率(以下、脱安率という
場合がある。)に応じて設定すればよいが、後述する実
証データ(図5)に示されるように、ガス量に対する液
量の比(いわゆる、液ガス比G/L)が0.04〜0.
10[リットル/m3N]程度となるように、僅かな量噴霧し
てやれば、実用的な脱安率が十分達成できる。
【0040】また、吸収液NのpHも、基本的には要求
されるアンモニアの除去率に応じて設定すればよいが、
アンモニアはアルカリであるので、なるべくpHが低い
方が有利であるのは当然である。すなわち、アンモニア
を絶対確実に吸収除去するためには、例えば硫酸等を加
えてpH調整を行いpHを4.0以下(好ましくは2.
0以下)に低下させるのが好ましい。
【0041】但し、後述の実証データ(図3)に示すよ
うに、発明者らの研究によれば、脱硫後排煙A3中に亜
硫酸ガスが相当濃度残留している場合には、下記式
(4),(5)で示すような反応により、吸収したアン
モニアの多くが吸収した亜硫酸により中和されるため、
吸収液NのpHが4.0以上でも相当の除去率でアンモ
ニアが吸収除去されることが判明している。
【0042】
【化2】 NH3 +H2O → NH4 + +OH- (4) 2NH4 + +2OH- +SO2 +H2O → (NH4)2 SO3 +2H2O (5)
【0043】このため、脱硫後排煙A3中の亜硫酸ガス
濃度(即ち、吸収塔8の性能や脱硫前排煙A2の性状)
によっては、吸収液Nとして弱酸性から中性付近の液
(pH4.0程度〜6.0程度)を使用することができ
る。そしてこの場合には、例えば前述の脱硫排水K等を
そのまま使用するか、或いは若干pH調整して使用する
ことができ、pH調整のための硫酸等の薬剤は全く不要
になるか、少なくともその量を格段に低減できる。
【0044】したがって、本排煙処理方法のより詳細な
態様としては、以下のような運転条件の設定、或いは運
転制御を行うことが好ましい。すなわち、脱硫後排煙A
3中の亜硫酸ガス濃度を処理後排煙A4中の亜硫酸ガス
濃度の目標値よりも高く設定して、除去すべき亜硫酸ガ
スの一部を脱硫後排煙A3中に残留させるとともに、こ
れに応じて吸収液NのpHを弱酸性領域から中性付近に
設定することにより、吸収液N中にアンモニアとともに
残留した亜硫酸ガスを吸収するようにする。
【0045】例えば、脱硫後排煙A3中の亜硫酸ガス濃
度が50ppmの場合には、後述の実証データ(図3)
に示されるように、吸収液NのpHが6.0程度でも5
0%程度の脱安率が達成できる。このため、50%程度
の脱安率で問題なければ、吸収液NのpHは6.0程度
でもよいことになる。そして、吸収液NのpHが6.0
程度の場合には、後述の実証データ(図4)に示される
ように、上記吸収液噴霧工程及びミスト除去工程により
脱硫率50%程度が達成される。このため、脱硫後排煙
A3中の亜硫酸ガス濃度が50ppmでも、処理後排煙
A4中の亜硫酸ガス濃度は25ppm程度となる。
【0046】つまり、処理後排煙A4中の亜硫酸ガス濃
度を25ppm程度とする必要がある場合でも、脱硫後
排煙A3中の亜硫酸ガス濃度を50ppmとし、吸収液
NのpHを6.0程度とすれば、脱硫後排煙A3中の残
りの亜硫酸ガスを脱硫後排煙A3中のアンモニアととも
に吸収除去して、最終的に亜硫酸ガス濃度25ppmが
達成できる。しかも同時に、脱安率50%が達成できる
ため、脱硫後排煙A3中のアンモニア濃度が例えば50
ppmでも、処理後排煙A4中のアンモニア濃度は25
ppm程度と低く抑制できる。
【0047】なお、脱硫後排煙A3中の亜硫酸ガス濃度
の設定は、脱硫前排煙A2中の亜硫酸ガス濃度に対して
吸収塔8の性能(脱硫率)を左右するパラメータ(スラ
リのpHや循環流量)の設定や制御を行うことで、間接
的に達成するようにしてもよい。但し、脱硫前排煙A2
中の亜硫酸ガス濃度の変動に対応しつつ、脱硫後排煙A
3中の亜硫酸ガス濃度を所定値に維持するためには、例
えば処理後排煙A3中の亜硫酸ガス濃度をリアルタイム
で検出するセンサを設け、この亜硫酸ガス濃度の実測値
が設定値に維持されるように、吸収塔8における吸収剤
の供給量やスラリの循環流量を直接制御するようにして
もよい。
【0048】いずれにしろ、上述のように吸収塔8での
亜硫酸ガス吸収量を積極的に減らして、吸収塔8の出口
側(煙道41)における上記吸収液噴霧工程及びミスト
除去工程において、残りの亜硫酸ガスを吸収するととも
に、所定量のアンモニアを吸収除去するような態様の場
合には、大気放出されるアンモニアの量が抑制されると
いう効果に加えて、以下のような実用上優れた効果が得
られる。
【0049】すなわち、まず、吸収液NとしてpHの比
較的高い液が使用できるため、pH調整用の硫酸等の薬
剤が全く不要になるか、その量が低減できて、その分運
転コスト等が低減できる。また、吸収塔8自体での脱硫
率は、従来よりも低くてよいので、その分スラリの循環
流量(スプレーパイプ24からのスラリ噴射量)を減ら
すか、或いは、スラリのpHの設定値を下げて吸収剤原
料(この場合石灰石)の使用量を減らすことができる。
したがって、この点からもさらなる運転コストの低減等
が実現できる。
【0050】なお、吸収塔8のスラリのpHが下げられ
るということは、吸収剤原料(この場合石灰石)の使用
量を減らすことができるとともに、スラリ中の未反応吸
収剤の濃度を低減することができるため、副生される石
膏Hの純度がその分高くなるという利点もある。また、
吸収塔8のスラリのpHが下がると、脱硫排水KのpH
も同様に下がることになり、この脱硫排水Kが前記吸収
液噴霧工程で噴霧する吸収液Nとして利用し易くなる。
【0051】またさらに、吸収塔8のスラリのpHが下
がると、図9に示すアンモニアの平衡分圧の関係から脱
硫後排煙A3中に放散されるアンモニアの濃度が低下す
る傾向にあり、吸収塔8のスラリ中のアンモニウムイオ
ン濃度が一定ならば、処理後排煙A4中のアンモニア濃
度がより低下する方向となる。また逆に言えば、脱硫後
排煙A3中に放散されるアンモニアの濃度を一定に維持
しつつ、吸収塔8のスラリ中のアンモニウムイオン濃度
をより高めることが可能となる。
【0052】なお、発明者らの研究によれば、吸収塔の
スラリ中のアンモニウムイオン濃度が増加すると、例え
ば図7のデータに示されるように、他の条件が一定にも
かかわらず吸収塔での脱硫率が向上することが分ってお
り、同一の脱硫率を達成するのであれば、その分スラリ
の循環流量や吸収剤の使用量が低減できることになる。
【0053】そして本例の場合には、脱硫前排煙A2中
に存在するアンモニアが吸収塔8のスラリ中に吸収され
ることにより、このスラリ中にアンモニウムイオンが供
給されるとともに、アンモニアを吸収しミストエリミネ
ータ44で捕集された回収液Pが吸収塔8のタンク21
内に導入されることによっても、吸収塔8のスラリ中に
アンモニウムイオンが供給され、脱硫性能の向上(或い
は、吸収剤使用量の低減等)に貢献する。
【0054】つまり本例によれば、従来では処理後排煙
A4に含まれて多量に大気放出されてる恐れのあったア
ンモニアの多くが、相当量回収され脱硫性能の向上等に
有効利用されるという優れた効果が得られる。
【0055】なお、吸収塔のスラリ中のアンモニウムイ
オン濃度は、放置すれば蓄積して過度に増加するため、
この場合他の有害物(例えば、塩素や重金属など)とと
もに脱硫排水Kとして系外に排出するわけであるが、こ
の脱硫排水Kの処理方法としては、この脱硫排水K中に
含まれるアンモニアを回収し、前述の脱硝装置や吸収塔
の前流で排煙中に注入するアンモニアとして再利用でき
るような方法を採用するのが好ましい。例えば、乾式電
気集塵機5の粉塵Dと脱硫排水Kとを混合処理しアンモ
ニアを回収再利用する既存の無排水化技術(いわゆるA
WMT)を採用すれば、アンモニアを循環使用すること
ができ、別途系外から供給するアンモニアの必要量を格
段に低減できて有利である。
【0056】なお本例においては、本発明の湿式粉塵除
去工程が湿式電気集塵機9により実行される。即ち排煙
A3は、吸収塔8の後流側(この場合ミストエリミネー
タ43の後流側)で湿式電気集塵機9に導入され残留し
た粉塵を除去される。これにより、処理後排煙A4中の
粉塵濃度は、極めて低くなる。
【0057】(実証データ)次に、本発明の作用効果を
実証すべく発明者らが行った実験の結果(実証データ)
について説明する。実験は、前述の煙道41、スプレー
ノズル42、及びミストエリミネータ43と同様構成の
吸収液噴霧部及びミスト除去部を有する設備を使用し、
この設備の吸収液噴霧部に脱硫後排煙A3に相当するガ
スを供給して行った。そして、ガス流量は836m3
/hとし、ガス流速は5m/sとし、ガスの温度は50
℃に調整し、ガス中のアンモニア濃度は25ppmとし
た。また、噴霧する吸収液の温度は30℃に調整し、こ
の吸収液中の硫安濃度は200mmol/リットルとした。
【0058】なおスプレーノズルは、煙道断面方向に4
個並べて配置して使用した。また、ミストエリミネータ
としては、折れ板式のミストエリミネータであるユーロ
フォルム型ミストエリミネータとシェブロン型ミストエ
リミネータを使用したが、いずれのミストエリミネータ
でも性能に違いはなかったので、以下では、ユーロフォ
ルム型ミストエリミネータ(30mmピッチ)のエレメ
ントを1個使用した場合の実験結果を説明する。
【0059】まず図3は、噴霧する吸収液のpHをパラ
メータとして変化させた場合の、吸収液噴霧部及びミス
ト除去部で除去されるアンモニアの除去率(脱安率)の
測定データを図示したものである。なおこの測定は、吸
収液噴霧部に供給するガス中の亜硫酸ガス濃度を、0p
pm、15ppm、及び50ppmと変えて行った。ま
たこの場合、噴霧する吸収液の液ガス比(L/G)を
0.04[リットル/m3N]の一定値に調整した。
【0060】実験の結果、排煙中に亜硫酸ガスが全く存
在しない場合には、吸収液のpHが4.0以上になると
ほとんどアンモニアを吸収せず、例えば脱安率50%を
達成するためには、吸収液のpHを2.3程度に低くす
る必要があることが分った。ところが、排煙中に亜硫酸
ガスが15ppm程度存在すると、吸収液のpHが6.
0でも30%以上の脱安率が実現でき、さらに排煙中に
亜硫酸ガスが50ppm程度存在すると、吸収液のpH
が6.0でも50%程度の脱安率が実現できることが実
証された。
【0061】次に図4は、噴霧する吸収液のpHをパラ
メータとして変化させた場合の、吸収液噴霧部及びミス
ト除去部で除去される亜硫酸ガスの除去率(脱硫率)の
測定データを図示したものである。なおこの測定は、吸
収液噴霧部に供給するガス中の亜硫酸ガス濃度を50p
pm(一定)として行った。またこの場合、噴霧する吸
収液の液ガス比(L/G)を0.04[リットル/m3N]の
一定値に調整した。
【0062】実験の結果、吸収液のpHが2.0になる
とほとんど亜硫酸ガスを吸収しないが、吸収液のpHが
例えば6.0であると、本発明の吸収液噴霧工程及びミ
スト除去工程により50%程度の脱硫率が実現できるこ
とが実証された。
【0063】次に図5は、噴霧する吸収液の液ガス比
(L/G)をパラメータとして変化させた場合の、吸収
液噴霧部及びミスト除去部で除去されるアンモニアの除
去率(脱安率)の測定データを図示したものである。な
おこの測定は、吸収液噴霧部に供給するガス中の亜硫酸
ガス濃度を0ppm(一定)として行った。またこの場
合、噴霧する吸収液のpHを2.0(一定)に調整し
た。実験の結果、吸収液の噴霧量に応じて脱安率が増加
することが分った。
【0064】次に図6は、噴霧する吸収液の液ガス比
(L/G)をパラメータとして変化させた場合の、吸収
液噴霧部及びミスト除去部での圧力損失(図1における
煙道41やミストエリミネータ43の圧力損失に相当)
の測定データを図示したものである。実験の結果、吸収
液の噴霧量を変えても圧力損失にはほとんど変化はな
く、常に3.0mmH2O程度と非常に少ないことが分
った。
【0065】なお、本発明は上記形態例に限られず各種
の態様が有り得る。まず、例えば図2に示すように、本
発明の吸収液噴霧工程を実行するためのスプレーノズル
として縦置き型のスプレーノズル51を使用し、このス
プレーノズル51を吸収塔8の出口側でミストエリミネ
ータ24aよりも前流側(下方側)に配置し、吸収塔8
の出口側で本発明の吸収液噴霧工程及びミスト除去工程
を行うような態様でもよい。
【0066】また、本発明の吸収液噴霧工程及びミスト
除去工程は、これらを実行するスプレーノズル及びミス
トエリミネータを排煙の流れ方向に複数段配設すること
により、多段階に行ってもよい。このようにすれば、ア
ンモニア濃度をより低減できる。例えば2段階に設けた
場合には、各段の個別の脱安率がそれぞれ50%でも、
全体の脱安率は75%となる。なおこの場合も、各段で
アンモニアとともに亜硫酸ガスを吸収するようにし、最
終的な処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度及びアンモニア濃
度が目標値以下になるようにすれば、排煙のさらなるク
リーン化が実現できるとともに、各段で噴霧する吸収液
のpHを比較的高くすることができ、硫酸等の薬剤が不
要になるか、或いはその使用量を格段に低減できる。
【0067】また、本発明の脱硫工程を実行する吸収塔
は、上記形態例で例示したような向流式の液柱塔に限ら
ず、充填塔、スプレー塔などであってもよいし、また並
流式の吸収塔でもよい。但し、向流式の吸収塔の場合に
は、吸収塔出口側の液のpHが比較的高いため、アンモ
ニアの放散が起こりやすく脱硫後排煙のアンモニア濃度
が高くなり易いため、本発明を適用した場合の効果が特
に著しい。
【0068】なお、本発明の吸収液噴霧工程における吸
収液の噴霧量や、吸収液のpHは、排煙性状などの運転
条件の平均値(或いは最悪値)に応じた一定値として設
定してもよいが、以下のような制御を行って、吸収塔の
脱硫性能の制御とあいまって、排煙性状などの変動に決
め細かく対応できるようにしてもよい。例えば、図1に
おける脱硫後排煙A3や処理後排煙A4のアンモニア濃
度や亜硫酸ガス濃度をオンラインで検出するセンサを設
けるとともに、このセンサの検出結果に基づいて、図3
〜図5の関係から目標性能を達成するための前記噴霧量
とpHの最適値を適宜演算し、この最適値になるように
前記噴霧量とpHをリアルタイム制御する制御手段を設
けてもよい。
【0069】
【発明の効果】本発明の排煙処理方法によれば、脱硫工
程後でミスト除去工程前の排煙中に、脱硫工程後の排煙
中に存在するアンモニアの吸収に適したpHの吸収液を
噴霧して、この吸収液中に前記アンモニアを吸収させる
吸収液噴霧工程を設けた。このため、排煙中の亜硫酸ガ
スを除去できるとともに、処理後排煙中のアンモニア濃
度も従来より格段に低く抑えられる。このため、排煙中
の有害物による大気汚染の防止が、より万全に実現でき
る。
【0070】しかも、請求項2記載の排煙処理方法で
は、ミスト除去工程で回収された回収液を脱硫工程を実
施する吸収塔に導入し、亜硫酸ガスを吸収するためのカ
ルシウム化合物含有スラリを構成する液として利用す
る。このため、用水量が節約できるとともに、従来大気
放出されていたアンモニアが有効利用されることにな
る。すなわち、この場合には、脱硫工程後の排煙中に残
留したアンモニアの少なくとも一部が上記回収液に溶存
したかたちで吸収塔の前記スラリ中に導入されることに
なり、吸収塔における脱硫性能の向上等に貢献する。
【0071】また、請求項3記載の排煙処理方法では、
吸収塔の後流側で排煙を湿式電気集塵機に導入して排煙
中に残留した粉塵を除去する湿式粉塵除去工程を設けた
ので、処理後排煙中の粉塵濃度が特に低減でき、さらな
る排煙のクリーン化に貢献できる。そしてこの場合に
は、この湿式電気集塵機より排出される排液を、前記吸
収液噴霧工程の吸収液の少なくとも一部として利用する
構成としたため、用水量が節約できる。
【0072】また、請求項4記載の排煙処理方法では、
脱硫工程で排煙と気液接触し亜硫酸ガスを吸収したスラ
リを酸化して脱水することにより石膏の固形分を副生す
るとともに、このスラリの脱水により生じたろ液の一部
(脱硫排水)を、前記吸収液噴霧工程の吸収液の少なく
とも一部として利用する構成としたため、やはり用水量
が節約できる。
【0073】また、請求項5記載の排煙処理方法では、
脱硫工程後の排煙中の亜硫酸ガス濃度を処理後排煙中の
亜硫酸ガス濃度の目標値よりも高く設定して、除去すべ
き亜硫酸ガスの一部を脱硫工程後の排煙中に残留させる
とともに、前記吸収液噴霧工程の吸収液のpHを弱酸性
領域から中性付近(例えば、4.0〜6.0)に設定す
ることにより、前記吸収液中に、脱硫工程後の排煙中に
存在するアンモニアとともに、脱硫工程後の排煙中に残
留した亜硫酸ガスを吸収するようにした。
【0074】このため、脱流工程後の排煙中に亜硫酸ガ
スがほとんど存在しない場合をも考慮して、吸収液のp
Hを例えば2.0〜4.0程度に設定し、当該排煙中の
アンモニアを絶対確実に除去しなければならない場合に
比較して、吸収液のpHが各段に低くなる。このため、
吸収液のpH調整のために硫酸等を添加する必要が全く
なくなるか、少なくともその添加量を格段に低減するこ
とができる。また、前述のろ液(脱硫排水)などを、そ
のままpH調整しないで使用するといったことも可能に
なり、実用面で極めて有利となる。
【0075】また、この場合一方では、吸収塔における
脱硫工程自体の負担(脱硫率)を従来よりも低減するこ
とができるので、吸収塔のスラリ循環流量の低減や、吸
収剤の供給量の低減(スラリのpHの低減)が可能とな
るといった優れた効果も得られる。なお、吸収塔におけ
る吸収剤の供給量の低減(スラリのpHの低減)が可能
になると、吸収剤の使用量が低減できるとともに、副生
される石膏純度の向上や、スラリpHの低下によるアン
モニア放散量の低減といった各種の利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である排煙処理方法を実施する設
備を示す図である。
【図2】本発明の他の例である排煙処理方法を実施する
設備を示す図である。
【図3】本発明の吸収液噴霧工程及びミスト除去工程に
よるアンモニア除去作用と吸収液pHとの関係を示すデ
ータである。
【図4】同工程による亜硫酸ガス除去作用を示すデータ
である。
【図5】同工程によるアンモニア除去作用と吸収液量と
の関係を示すデータである。
【図6】同工程における圧力損失のデータである。
【図7】吸収塔スラリ中のアンモニウムイオン濃度と脱
硫率との関係を示すデータである。
【図8】従来の排煙処理設備を示す図である。
【図9】pHとNH3の平衡分圧の関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
8 吸収塔 9 湿式電気集塵機 41 煙道 42 スプレーノズル 43 ミストエリミネータ A 未処理排煙 A2 脱硫前排煙 A3 脱硫後排煙(脱硫工程後の排煙) A4 処理後排煙 B アンモニア F 排液 H 石膏固形分 K 脱硫排水(ろ液の一部) N 吸収液 P 回収液

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともアンモニア及び亜硫酸ガスを
    含む排煙を吸収塔に導き、亜硫酸ガスの吸収に適したp
    Hのカルシウム化合物含有スラリと気液接触させること
    により、排煙から少なくとも亜硫酸ガスを吸収除去する
    脱硫工程と、この脱硫工程後の排煙からミストを除去し
    液として回収するミスト除去工程とを有する排煙処理方
    法において、 前記脱硫工程後で前記ミスト除去工程前の排煙中に、前
    記脱硫工程後の排煙中に存在するアンモニアの吸収に適
    したpHの吸収液を噴霧して、この吸収液中に前記アン
    モニアを吸収させる吸収液噴霧工程を設けたことを特徴
    とする排煙処理方法。
  2. 【請求項2】 前記ミスト除去工程で回収された回収液
    を前記吸収塔に導入し、前記カルシウム化合物含有スラ
    リを構成する液として利用することを特徴とする請求項
    1記載の排煙処理方法。
  3. 【請求項3】 前記吸収塔の後流側で排煙を湿式電気集
    塵機に導入して排煙中に残留した粉塵を除去する湿式粉
    塵除去工程を設け、 この湿式粉塵除去工程おいて前記湿式電気集塵機より排
    出される排液を、前記吸収液の少なくとも一部として利
    用する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載
    の排煙処理方法。
  4. 【請求項4】 前記脱硫工程で排煙と気液接触し亜硫酸
    ガスを吸収したスラリを酸化して脱水することにより石
    膏の固形分を副生するとともに、このスラリの脱水によ
    り生じたろ液の一部を、前記吸収液の少なくとも一部と
    して利用する構成としたことを特徴とする請求項1又は
    2記載の排煙処理方法。
  5. 【請求項5】 前記脱硫工程後の排煙中の亜硫酸ガス濃
    度を処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度の目標値よりも高く
    設定して、除去すべき亜硫酸ガスの一部を前記脱硫工程
    後の排煙中に残留させるとともに、 前記吸収液のpHを弱酸性領域から中性付近に設定する
    ことにより、 前記吸収液中に、前記脱硫工程後の排煙中に存在するア
    ンモニアとともに、前記脱硫工程後の排煙中に残留した
    亜硫酸ガスを吸収するようにしたことを特徴とする請求
    項1乃至4のいずれかに記載の排煙処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001029741A (ja) * 1999-07-27 2001-02-06 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 湿式排煙処理設備の補給水供給方法及び装置
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