JPH0620921Y2

JPH0620921Y2 - トーショナルダンパ

Info

Publication number: JPH0620921Y2
Application number: JP1986109301U
Authority: JP
Inventors: 孝良高津佐
Original assignee: Mazda Motor Corp; Kanemitsu Corp
Current assignee: Mazda Motor Corp; Kanemitsu Corp
Priority date: 1986-07-18
Filing date: 1986-07-18
Publication date: 1994-06-01
Anticipated expiration: 2001-07-18
Also published as: JPS6317350U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、各種の機器の回転軸に発生する捩り振動を吸
収することを主目的として回転軸に軸着されるトーショ
ナルダンパの改良に関する。

〔従来の技術〕

従来から、第２図に示すように、回転軸に軸着されるハ
ブ(21)の外周側に弾性リング(22)を介して振動リング(2
3)を連結し、振動リング(23)の外周面にプーリ溝(24)を
設けたトーショナルダンパが知られている。プーリ溝(2
4)はこれに無端ベルトを巻架して回転軸から各種の補機
へ回転トルクを伝達するためのものである。

しかしながら上記従来のトーショナルダンパには、プー
リ溝(24)が回転時に吸振作用に伴って円周方向に振れ回
る振動リング(23)に設けられているために回転トルクが
円滑に伝達されない問題があり、また本来捩り振動の大
きさに合わせて自由に振れ回るべき振動リング(23)が無
端ベルトによってその動きを阻害され、極端な場合には
振動リング(23)と弾性リング(22)とが相対に滑ったり弾
性リング(22)とハブ(21)とが相対に滑ったりして適切な
吸振効果が発揮されない問題がある。

上記問題を解決するには、実開昭５９−８５４４３号公
報に示されるように、ハブ（インナコア）、弾性リング
（弾性部材）および振動リング（重錘）よりなるダンパ
に対してクランクプーリを別物として併設することが考
えられる。しかしてこのトーショナルダンパによれば、
振動リングにプーリ溝が設けられていないために上記問
題を解決することができるが、ダンパとクランクプーリ
とを別物としたために両者を別々に回転軸に軸着しなけ
ればならず、よってこの軸着作業に多くの手間が掛かる
問題がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

この新たな問題を解決するには、実開昭６１−５０８５
７号公報に示されるように、クランクプーリ（板金製プ
ーリ）をダンパ（複合プーリ）に取り込み、すなわちク
ランクプーリをダンパの一部品としてハブ（ダンパプー
リの内側部材）にボルト止めすることが考えられる。し
かしてこの従来技術によれば、クランクプーリが予めハ
ブにボルト止めされているために軸着作業に係る手間を
削減することができるが、ハブとクランクプーリとを別
部品としたためにこれらにボルトを含めて当該ダンパの
部品点数が多い問題があり、またハブとクランクプーリ
とを別個に成形した上で連結しなければならないために
当該ダンパの製造および組立に多くの手間が掛かる問題
がある。また鋳鉄製のハブに板金製のクランクプーリを
ボルト止めしたものであるためにハブの重量が重過ぎる
問題がある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は以上の点に鑑み、上記従来技術にみられる問題
を解消すべく案出されたものであって、この目的を達成
するため、回転軸に軸着される板金製のハブを有し、前
記ハブが、円筒部の軸方向一端に内周方向に拡がる内周
側フランジを一体的に屈曲形成し、前記円筒部の軸方向
他端に外周方向に拡がる外周側フランジを一体的に屈曲
形成し、前記外周側フランジの外周端に軸方向一端側に
向けてプーリ部を一体的に屈曲形成し、前記プーリ部に
ポリブイ形のプーリ溝を設けたものであり、前記円筒部
の外周側に弾性リングを介して振動リングを連結し、前
記振動リングの軸方向長さを前記振動リングの前記プー
リ部の内周側に挿入された部分の半裁断面における径方
向長さより長く設定するとともに前記外周側フランジの
半裁断面における径方向長さを前記円筒部の軸方向長さ
より短く設定したことを特徴とするトーショナルダンパ
を提供する。

〔作用〕

上記構成を有する本考案のトーショナルダンパによれ
ば、（イ）回転軸に軸着され、（ロ）弾性リングおよび
振動リングを支持し、（ハ）更にプーリ溝を設けてこれ
に無端ベルトを巻架するという３つの機能を備えたハブ
を板金の一体物としたために、当該ダンパの部品点数を
削減し、当該ダンパの製造および組立に掛かる手間を削
減し、更にハブを軽量化することが可能である。また上
記構成を有するトーショナルダンパは併せて以下の作用
を奏する。

プーリ部に複数のＶ字溝を持ったポリブイ形のプーリ
溝を設けたために、プーリ部の機械的強度を従来より大
きくすることができる。

振動リングの軸方向長さを振動リングのプーリ部の内
周側に挿入された部分の半裁断面における径方向長さよ
り長くしたために、弾性リングが首振り運動するのを有
効に抑えることができる。

上記のために振動リングの軸方向長さを或る程度長
くすると、振動リングを支持するハブの円筒部の軸方向
長さがこれに比例して或る程度長くなるが、この円筒部
の軸方向長さより更に外周側フランジの半裁断面におけ
る径方向長さが長いようなことがあると、ハブが首振り
振動してしまう。これに対して本考案のトーショナルダ
ンパによれば、外周側フランジの半裁断面における径方
向長さを円筒部の軸方向長さより短くしたために、ハブ
が首振り運動するのを有効に抑えることができる。尚、
ハブが首振り運動するか否かは本来、外周側フランジの
半裁断面における径方向長さの絶対値により決定される
ものであるが、本考案では上記したように円筒部の軸方
向長さが或る程度長いために、これより更に長ければ略
例外なく首振り運動してしまうであろうとの観点から、
円筒部の軸方向長さを一種の目安として、外周側フラン
ジの半裁断面における径方向長さを決定することにした
ものである。

〔実施例〕

つぎに本考案の実施例を図面にしたがって説明すると、
当該トーショナルダンパは、第１図に示すように、板金
製のハブ(1)、ゴム製の弾性リング(2)および鋼材製の振
動リング(3)の３部品よりなり、ハブ(1)の円筒部(1a)の
軸方向一端（図上右端）に内周方向に拡がる内周側フラ
ンジ(1b)が一体的に屈曲形成され、円筒部(1a)の軸方向
他端（図上左端）に外周方向に拡がる外周側フランジ(1
c)が一体的に屈曲形成され、外周側フランジ(1c)の外周
端に軸方向一端側に向けてプーリ部(1d)が一体的に屈曲
形成され、プーリ部(1d)に複数のＶ字溝を持ったポリブ
イ形のプーリ溝(1e)が設けられており、円筒部(1a)とそ
の外周側に配置された弾性リング(2)の間に振動リング
(3)が嵌合されている。

また当該トーショナルダンパにおいては、振動リング
(3)の軸方向長さ(C)が振動リング(3)のプーリ部(1d)の
内周側に挿入された部分(3a)の半裁断面における径方向
長さ(D)より長く設定されるとともに外周側フランジ(1
c)の半裁断面における径方向長さ(A)が円筒部(1a)の軸
方向長さ(B)より短く設定されている。

上記構成を有するトーショナルダンパは、ハブ(1)を内
周側フランジ(1b)において回転軸に軸着し、かつプーリ
溝(1e)に無端ベルトを巻架して回転軸から各種の補機へ
回転トルクを伝達するものであって、上記従来技術との
比較の上で以下の作用効果を奏する。

（イ）回転軸に軸着され、（ロ）弾性リング(2)およ
び振動リング(3)を支持し、（ハ）更にプーリ溝(1e)を
設けてこれに無端ベルトを巻架するという３つの機能を
備えたハブ(1)を板金の一体物としたために、当該トー
ショナルダンパの部品点数を削減し、当該トーショナル
ダンパの製造および組立に掛かる手間を削減し、更にハ
ブ(1)を軽量化することができる。

プーリ部(1d)に複数のＶ字溝を持ったポリブイ形のプ
ーリ溝(1e)を設けたために、プーリ部(1d)の機械的強度
を従来より大きくすることができる。したがってこの
分、プーリ部(1d)の耐久性を高めることができる。

振動リング(3)の軸方向長さ(C)を振動リング(3)のプ
ーリ部(1d)の内周側に挿入された部分(3a)の半裁断面に
おける径方向長さ(D)より長く設定したために、振動リ
ング(3)が首振り運動するのを抑えることができる。し
たがってこの分、吸振作動を安定化させることができ
る。

外周側フランジ(1c)の半裁断面における径方向長さ
(A)を円筒部(1a)の軸方向長さ(B)より短くしたためにハ
ブ(1)が首振り運動するのを有効に抑えることができ
る。したがってこの分回転トルクの伝達を円滑にし、ハ
ブ(25)の耐久性を高めることができる。また騒音が発生
しにくくなる。

〔考案の効果〕

本考案は以下の効果を奏する。すなわち、ハブにプーリ
溝を備えて回転軸から補機へ回転トルクを伝達する機能
を有するトーショナルダンパについて（イ）回転軸に軸着され、（ロ）弾性リングおよび振
動リングを支持し、（ハ）更にプーリ溝を設けてこれに
無端ベルトを巻架するという３つの機能を備えたハブを
板金の一体物としたために、当該トーショナルダンパの
部品点数を削減し、当該トーショナルダンパの製造およ
び組立に掛かる手間を削減し、更にハブを軽量化するこ
とができる。

プーリ部に複数のＶ字溝を持ったポリブイ形のプーリ
溝を設けたために、プーリ部の機械的強度を従来より大
きくすることができる。したがってこの分、プーリ部の
耐久性を高めることができる。

振動リングの軸方向長さを振動リングのプーリ部の内
周側に挿入された部分の半裁断面における径方向長さよ
り長く設定したために、振動リングが首振り運動するの
を抑えることができる。したがってこの分、吸振作動を
安定化させることができる。

外周側フランジの半裁断面における径方向長さを円筒
部の軸方向長さより短くしたためにハブが首振り運動す
るのを有効に抑えることができる。したがってこの分、
回転トルクの伝達を円滑にし、ハブの耐久性を高めるこ
とができる。また騒音が発生しにくくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るトーショナルダンパの半
裁断面図、第２図は従来例に係るトーショナルダンパの
半裁断面図である。 (1)……ハブ、(1a)……円筒部、(1b)……内周側フラン
ジ、(1c)……外周側フランジ、(1d)……プーリ部、(1e)
……プーリ溝、(2)……弾性リング、(3)……振動リング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者高津佐孝良神奈川県藤沢市渡内316−１石井荘Ｂ− 11 (56)参考文献実開昭60−154661（ＪＰ，Ｕ) 実開昭61−50857（ＪＰ，Ｕ) 特公昭55−21617（ＪＰ，Ｂ２)

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】回転軸に軸着される板金製のハブ(1)を有
し、前記ハブ(1)が、円筒部(1a)の軸方向一端に内周方向に
拡がる内周側フランジ(1b)を一体的に屈曲形成し、前記
円筒部(1a)の軸方向他端に外周方向に拡がる外周側フラ
ンジ(1c)を一体的に屈曲形成し、前記外周側フランジ(1
c)の外周端に軸方向一端側に向けてプーリ部(1d)を一体
的に屈曲形成し、前記プーリ部(1d)にポリブイ形のプー
リ溝(1e)を設けたものであり、前記円筒部(1a)の外周側に弾性リング(2)を介して振動
リング(3)を連結し、前記振動リング(3)の軸方向長さ(C)を前記振動リング
(3)の前記プーリ部(1d)の内周側に挿入された部分(3a)
の半裁断面における径方向長さ(D)より長く設定すると
ともに前記外周側フランジ(1c)の半裁断面における径方
向長さ(A)を前記円筒部(1a)の軸方向長さ(B)より短く設
定したことを特徴とするトーショナルダンパ。