JPH0620565B2 - 多穴管の押出用ダイス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、カークーラー用コンデンサやラジエータ等
の熱交換器における冷媒流通管として使用される偏平多
穴管等を製造するための、多穴管の押出用ダイスに関す
る。

従来の技術 例えば、上記のような偏平多穴管、即ち第７図に示すよ
うに、中空部内を仕切壁（101 ）によって多数の中空孔
（102 ）に仕切られた偏平管（100 ）の押出しは、一般
にダイス雄型とダイス雌型との組合せからなるポートホ
ールダイスを用いて行われる。

このような多穴管の押出用ダイスは、一般に、ダイス雄
型に中空孔（102 ）を形成するための複数の突片を、仕
切壁（101 ）の肉厚に対応する間隔を隔てて突出形成す
るとともに、これら中空孔形成用突片の先端を、ダイス
雌型の成形開口部に配置することにより構成される。そ
して中空孔形成用突片相互間の成形間隙及び中空孔形成
用突出片とダイス雌型の成形開口部間に形成された成形
間隙から成形材料を押出して多穴管（100 ）を得るもの
となされている。

発明が解決しようとする課題 ところが、従来の多穴管押出用ダイスでは、押出圧力に
よる成形材料のダイス成形間隙への流れ込み、特にダイ
ス雄型の中空孔形成用突片相互間に形成された仕切壁形
成用成形間隙への流れ込みが十分ではなく、このため往
々にして第８図に拡大して示すように、多穴管（100 ）
の仕切壁（101 ）に中央薄肉部（101a）を生じ易く、意
図する設計どおりの形状、肉厚が得られないという欠点
があった。このような欠点は、昨今の熱交換器の軽量、
小型、高性能化の要請に伴い、多穴管（100 ）が薄肉多
穴化されるにつれ、より顕著に生じるものであった。ま
た、押出速度を遅くすることで成形材料の流れ込みをあ
る程度は改善しうるが、この場合には生産性が低下する
という別の欠点を派生するものであった。

この発明はかかる欠点を解消するためになされたもので
あって、特に仕切壁に関し、押出速度を低下させること
なく肉厚不良を解消して意図する肉厚を有する多穴第を
得ることを目的とし、このためにダイスを改良せんとす
るものである。

課題を解決するたための手段 上記目的を達成するために、この発明は、中空孔形成用
突片相互間の仕切壁形成用成形間隙に向かって傾斜する
成形材料案内溝を設け、もって成形材料の該成形間隙へ
の十分な流れ込みを確保したものである。

即ちこの発明に係る多穴管の押出用ダイスは、図面の符
号を参照して示せば、仕切壁形成用の成形間隙（30）を
隔てて列設された複数の中空孔形成用突片（11）を有す
るダイス有型（１）と、前記中空孔形成用突片が配置さ
れる成形開口部（21）を有するダイス雄型（２）との組
合せからなる多穴管の押出用ダイスにおいて、前記ダイ
ス雄型（１）に、中空孔形成用突片（11）相互間の仕切
壁形成用成形間隙（30）の後方位置に、該成形間隙の高
さ方向の中間部に向かって傾斜する成形材料案内溝（1
8）が設けられていることを特徴とするものである。

作 用 押出加工時にラム等の押圧により、成形材料はダイスの
中空孔形成用突片（11）の相互間の仕切壁形成用間隙
（30）、及び中空孔形成用突片（11）の外側の外周壁形
成用成形間隙（40）へと流れ込む。ダイス雄型（１）に
は、仕切壁形成用成形間隙（30）の後方位置に、該成形
間隙の高さ方向の中間部へと向かう案内溝（18）が設け
られているから、この溝に沿って成形材料は前記仕切壁
形成用成形間隙（30）へと案内され、流れ込んで行く。

実 施 例 以下この発明の構成を、第７図に示す熱交換器用偏平多
穴管（100 ）の押出用ダイスに適用した実施例に基いて
説明する。

第１図〜第６図に示すダイス（Ａ）は、ダイヤ雄型
（１）とダイス雌型（２）とにより構成されている。

ダイス雄型（１）は断面円形の基盤からなり、その一端
側に段差部（13）を介して突出状の嵌合部（14）が形成
されいている。そして該嵌合部の中央に、断面長円形状
の凹部（15）が形成されるとともに、この凹部（15）を
長軸方向に横断する配置に成形凸部（12）が形成されて
いる。この成形凸部（12）は、偏平管（100 ）の中空孔
（102 ）を形成するための中空孔成形用突片（11）（1
1）…が複数個直線状に列設されてなるものであり、各
突片（11）はその先端ベアリング部（16）が、偏平管
（100 ）の仕切壁（101 ）の肉厚に相当する仕切壁形成
用成形間隙（30）をもって離間した配置状態に設けられ
ている。また成形凸部（12）の厚さ方向の両面におい
て、各中空部形成用突片（11）の中間から先端にかけて
の部分は、両面相互が接近する方向のテーパー面となさ
れてアプローチ部（17）が形成されるとともに、隣接中
空部形成用突片間には同じく上下両側に、成形凸部の基
端部から仕切壁形成用成形間隙（30）の高さ方向（偏平
管の幅方向）の中間部に向かって傾斜する断面方形の案
内溝（18）が刻設されている。この案内溝の傾斜角度は
この実施例の場合、水平面に対して１５〜２０゜程度に
設定されている。そしてこれらこれらアプローチ部（1
7）及び案内溝（18）により、成形凸部（12）の厚さ方
向の両側に貫通状に形成された成形材料導入孔（50）か
ら流れ込んだ成形材料を、仕切壁形成用成形間隙（30）
及び外周壁形成用成形間隙（40）へと容易に導きうるも
のとなされている。なお、前記導入孔（50）は、コンテ
ナ側において上下隔壁（19a ）（19b ）によりそれぞれ
２個合計４個の孔に分割されたものとなされている。

一方、ダイス雌型（２）は、これも断面円形の基盤から
なるもので、一端側にダイス雄型（１）の嵌合部（14）
を嵌合しうる嵌合凹部（22）が形成されるとともに、該
嵌合凹部の中央に、ダイス雄型の凹部（15）に対応する
長円形状の凹部（23）が形成されている。さらにこの凹
部（23）の中央に、偏平管（100 ）の外周形状に対応す
る大きさの成形開口部（21）が形成されている。そして
この成形開口部（21）の周面がベアリング部（24）とな
されるとともに、成形開口部に連通する断面漸増の貫通
孔が形成されてレリーフ部（25）となされている。

而して、ダイス（Ａ）はダイス雄型（１）の凹部（15）
とダイス雌型（２）の凹部（23）とを合致させる配置に
して雄型の嵌合部（14）を雌型の嵌合凹部（22）に嵌合
し固定することにより構成されている。この組合せ状態
においては、ダイス雄型（１）の成形凸部（12）先端即
ち中空孔形成用突片（11）の先端部が雌型ダイス（２）
の成形開口部（21）内に臨んで、第５図に示すように、
ダイス雌型（２）のベアリング部（24）と中空孔形成用
突片（11）のベアリング部（16）との間に偏平管（100
）の外周壁の肉厚に相当する外周壁形成用成形間隙（4
0）が形成されるとともに、中空孔形成用突片（11）の
相互間には、仕切壁形成用成形間隙（30）が存在するも
のとなされている。

上記実施例のダイス（Ａ）では、コンテナ（図示せず）
から送られた流動状のアルミニウム等の成形材料は、ダ
イス雄型（１）の４個の導入孔（50）に入ったのち、成
形凸部（12）の両側の導入孔でそれぞれ合流し、さらに
第３図に矢印（Ｘ）で示すように、成形凸部（12）周囲
へと流れ込んで行く。

成形凸部（12）周囲へと流れ込んだ成形材料は、各中空
孔形成用突片（11）のアプローチ部（17）と案内溝（1
8）を案内されてその十分な量が成形間隙（30）（40）
へと送られ、該成形間隙を通過して多穴偏平管（100 ）
として押出される。

なお上記実施例では、成形材料案内溝（18）の形状を断
面方形としたが、溝形状は特に限定されるものではな
く、例えば第６図に示すように、断面台形としても良
い。また基端部から仕切壁形成用成形間隙へと近づくに
従って溝の断面積が変化する態様のものに形成しても良
い。

発明の効果 この発明は上述の次第で、ダイス雄型に、中空孔形成用
突片相互間の仕切壁形成用成形間隙の後方位置に、該成
形間隙の高さ方向の中間部に向かって傾斜する成形材料
案内溝が設けられているから、押出時にこの案内溝によ
って成形材料を仕切壁形成用間隙へと確実に案内するこ
とができ、十分な量の成形材料を該成形間隙へと送り込
むことができる。従って、成形材料の流れ込み不足によ
る多穴管の仕切壁の肉厚不良を防止でき、意図した肉厚
を有する多穴管を得ることができる。しかも成形材料を
仕切壁形成用成形間隙へ十分送り込むために従来のよう
に押出速度を遅くする必要もなくなるから、押出速度の
向上を図りえて生産効率の向上をも期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第６図はこの発明の一実施例を示すもので、第
１図はダイス雄型とダイス雌型とを分離して示す斜視
図、第２図は成形凸部の一部を示す拡大斜視図、第３図
はダイス雄型とダイス雌型とを組合わせた状態での第１
図のIII−III線断面図、第４図は第２図のIV−IV線断面
図、第５図は第３図のＶ−Ｖ線断面図、第６図は成形材
料案内溝の形状の変形例を示すもので、第４図に対応す
る図、第７図は偏平多穴管の斜視図、第８図は従来のダ
イスによって押出した多穴管の仕切壁近傍を示す拡大正
面図である。 （Ａ）……ダイス、（１）……ダイス雄型、（11）……
中空孔形成用突片、（18）……成形材料案内溝、（２）
……ダイス雌型、（21）……成形開口部、（30）……仕
切壁形成用成形間隙、（100 ）……偏平多穴管、（101
）……仕切壁、（102 ）……中空孔。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲葉 信夫 大阪府堺市海山町６丁224番地 昭和アル ミニウム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−97309（ＪＰ，Ａ) 実公 昭59−2889（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】仕切壁形成用の成形間隙（30）を隔てて列
   設された複数の中空孔形成用突片（11）を有するダイス
   雄型（１）と、前記中空孔形成用突片が配置される成形
   開口部（21）を有するダイス雌型（２）との組合せから
   なる多穴管の押出用ダイスにおいて、前記ダイス雄型
   （１）に、中空孔形成用突片（11）相互間の仕切壁形成
   用成形間隙（30）の後方位置に、該成形間隙の高さ方向
   の中間部に向かって傾斜する成形材料案内溝（18）が設
   けられていることを特徴とする多穴管の押出用ダイス。