JPH06199575A - アルミナ−スピネル質キャスタブル耐火物 - Google Patents

アルミナ−スピネル質キャスタブル耐火物

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JPH06199575A
JPH06199575A JP43A JP36059392A JPH06199575A JP H06199575 A JPH06199575 A JP H06199575A JP 43 A JP43 A JP 43A JP 36059392 A JP36059392 A JP 36059392A JP H06199575 A JPH06199575 A JP H06199575A
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JP
Japan
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alumina
spinel
clinker
castable
specific gravity
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JP43A
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Kenji Ichikawa
健治 市川
Ryosuke Nakamura
良介 中村
Hisanori Tsunomura
尚紀 角村
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Shinagawa Refractories Co Ltd
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Shinagawa Refractories Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 二次精錬炉、溶鋼取鍋、タンディッシュの内
張り、裏張りなどに好適なアルミナ−スピネル質キャス
タブル耐火物を提供すること。 【構成】 耐火材料部として(1)嵩比重1.6〜2.8である
ペリクレ−ス結晶を含まないAl2O3-MgO系スピネルクリ
ンカ−10〜70重量部、(2)アルミナ原料30〜90重量部か
らなり、さらに、耐火材料部中のSiO2含有量が4重量部
以下であるアルミナ−スピネル質キャスタブル耐火物。 【効果】 耐スラグ性に優れているアルミナ−スピネル
キャスタブルの特徴を持続しつつ溶鋼の温度低下を抑制
することができる効果が生じる。そして、本発明の耐火
物を施工することにより、予め溶鋼の熱損失を考慮して
出鋼温度を調整する必要がなく、エネルギ−原単位の低
減に大きく寄与するのみならず、調整作業の煩雑さが軽
減できるという効果が生じる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミナ−スピネル質
キャスタブル耐火物に関し、主として二次精錬炉、溶鋼
取鍋、タンディッシュの内張り、裏張りなどに好適なア
ルミナ−スピネル質キャスタブル耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術】取鍋などの溶鋼精錬容器用として、今日
アルミナ−スピネル質キャスタブルが広く用いられるよ
うになってきている。例えば、特開昭55−23004号公報
には、 「・10〜85wt%のスピネルクリンカ−、 ・5〜30wt%のアルミナ、 ・10〜25wt%のハイアルミナセメント、 よりなる真空脱ガス装置などに用いるキャスタブル耐火
物。」が開示されている。
【0003】また、特開昭59−128271号公報(特公昭61
−11906号公報)には、 「・50〜95wt%のスピネル、 ・残部アルミナ、 を主成分とする耐火原料よりなる溶銑脱珪用流込み
材。」について開示されている。更に、溶鋼精錬容器用
材料として、耐スラグ侵食性に優れているマグネシア質
材料やマグネシア−石灰質材料のような塩基性材料の適
用も考えられている。これらのキャスタブルでは、従来
より耐食性を重視するあまり、できるだけ低気孔率で緻
密な施工体を得ることに主眼が置かれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、スピネルク
リンカ−としては、各種のものが市販されているが、こ
れらの嵩比重は、通常3.2〜3.4である。クリンカ−粒の
嵩比重は、スラグに対する耐食性への影響があるため、
一般に耐火物用としては、できるだけ高嵩比重のもの、
即ち耐スラグ侵食性の高い材質のものが好まれている。
従って、高耐食性、即ち高嵩比重のクリンカ−が従来よ
り製造されており、嵩比重の低いクリンカ−は殆ど省み
られていなかった。
【0005】しかしながら、前記のようなマグネシアを
含む耐火材料は、熱伝導率が高く、かつ材料の比熱が大
きいので、例えば取鍋の内張りライニングに使用した場
合、取鍋内での溶鋼の損失熱量が大きく、そのため溶鋼
の温度が低下するという問題が生じ、これが満足な精
錬、鋳造操業を妨げる原因となっていた。従つて、この
ようなマグネシア含有耐火材料からなるキャスタブルを
用いる場合、溶鋼の温度を補償するため、精錬出鋼温度
を高めに設定することによって上記問題点を回避してい
るのが実情である。
【0006】一方、耐火物の熱伝導率を下げる技術とし
ては、キャスタブル材料中に(1) シリカ含有軽量骨材を
添加する方法、(2) アルミナ−シリカ系セラミック繊維
やスラグウ−ル等の繊維質材料を添加する方法、が知ら
れている。
【0007】しかしながら、これらの添加は、いずれも
アルミナ−スピネル質キャスタブルにおいては不純物成
分として働き、耐食性を大幅に低下させるものである。
更に、上記(1)の軽量骨材の添加は、アルミナやスピネ
ルクリンカ−との嵩比重があまりにも異なっているた
め、分離し易く偏在が生じやすい欠点を有している。ま
た、上記(2)の繊維質材料の添加は、キャスタブルとし
ての流込み施工性を阻害する欠点を有している。
【0008】本発明者等は、耐スラグ侵食性に優れてい
るアルミナ−スピネルキャスタブルの特徴を持続しつつ
溶鋼の温度低下を抑制し得るアルミナ−スピネル質キャ
スタブル耐火物を提供することについて鋭意研究を重ね
た結果、本発明を完成したものである。即ち、本発明の
目的は、第1に、耐食性に優れているけれども、高熱伝
導率、高比熱のため溶鋼の温度低下を招く欠点を有する
従来のアルミナ−スピネル質キャスタブルの該欠点を解
消することにあり、第2に、実用上十分な耐食性を保
ち、流込み施工後の養生、乾燥において消化などの問題
が生じることなく、かつ、溶鋼温度低下を最小限にとど
めることができるアルミナ−スピネル質キャスタブル耐
火物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そして、本発明のアルミ
ナ−スピネル質キャスタブル耐火物は、耐火材料部とし
て、特に嵩比重1.6〜2.8であるペリクレ−ス結晶を含ま
ないAl2O3-MgO系スピネルクリンカ−を用いることを特
徴とし、さらに、耐火材料部中のSiO2含有量が4重量部
以下とすることを特徴とし、これにより前記目的とする
アルミナ−スピネル質キャスタブル耐火物を提供するも
のである。
【0010】即ち、本発明は、「耐火材料部と結合剤部
とからなるキャスタブルであって、耐火材料部が嵩比重
1.6〜2.8であるペリクレ−ス結晶を含まないAl2O3-MgO
系スピネルクリンカ−10〜70重量部とアルミナ原料30〜
90重量部とからなり、この耐火材料部100重量部に対し
て結合剤部2〜25重量部を添加してなることを特徴とす
るアルミナ−スピネル質キャスタブル耐火物。」を要旨
とし、さらに、「耐火材料部中のSiO2含有量が4重量部
以下であることを特徴とするアルミナ−スピネル質キャ
スタブル耐火物。」である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
等は、実炉で使用されるときの溶鋼の熱損失という問題
を解決するため、嵩比重の低いスピネルクリンカ−につ
いて種々検討を行った。クリンカ−の嵩比重を低下させ
れば、熱伝導性を低下させることができるであろうこと
は、容易に想到し得るところであるが、本発明者等の実
験結果から、単に嵩比重を下げたクリンカ−を用いるだ
けでは耐スラグ性が低下し、また、従来の高嵩比重クリ
ンカ−の使用では問題とならなかった流込み施工後の養
生、乾燥中に、フリ−のMgO(即ちペリクレ−ス結晶)
の水和現象に起因する消化現象が生じやすいという事実
を見い出した。
【0012】本発明で使用するスピネルクリンカ−の嵩
比重がどの程度でなければならないかを知るため、嵩比
重の異なるスピネルクリンカ−を用意し、耐食性の変化
を調べた。 (試験配合物、試験施工体の作製) ・スピネルクリンカ−40%、焼結アルミナ60%、 ・スピネルクリンカ−55%、焼結アルミナ45%、 の2種のスピネルクリンカ−含有耐火材料部それぞれ10
0に、結合剤としてアルミナ80%含有のハイアルミナセ
メント20%を添加混合し、アルミナ−スピネル質キャス
タブルの試験配合物を作製した。この各試験配合物に適
度な流動性が得られるように水を添加混練し、室温で金
型に流込み施工を行い、24時間自然養生後脱枠し、105
℃で24時間乾燥し、試験施工体を得た。
【0013】(侵食性試験及び試験結果)上記各試験施
工体に対して、回転ドラム法により1600〜1650℃で侵食
性試験を行った。この試験結果を図1に示す。図1から
明らかなように、スピネルクリンカ−の嵩比重が低下す
ると共に侵食深さは増加する。その増加割合は嵩比重が
1.6程度まではあまり大きくないが、嵩比重が1.6より低
くなると侵食深さが急激に増加するので好ましくない。
なお、スピネルクリンカ−の含有量の差により多少傾き
が異なるけれども、全体的には同様の傾向を示す。上記
結果からみて、少なくとも耐食性の面からは、スピネル
クリンカ−の嵩比重は1.6以上であることが好ましく、
また、クリンカ−含有量の調整などにより、実際の使用
上問題にならない程度の耐食性変化に抑えることも可能
である。
【0014】一方、スピネルクリンカ−の嵩比重の上限
は、キャスタブルの熱的性質から限定される。即ちキャ
スタブル施工体の熱伝導率及びキャスタブル中への吸熱
の両面から、スピネルクリンカ−の嵩比重は2.8以下が
好ましい。2.8を越えるとキャスタブルの熱伝導率は殆
ど誤差程度の変化しかなく、あまり意味がない。キャス
タブル中への吸熱は、キャスタブル施工体の比重に相関
するので、スピネルクリンカ−の嵩比重低下分だけの効
果はあるが、やはり2.8を越えると、本発明の目的であ
る溶鋼の温度低下を抑制する働きとしては、不十分であ
るので好ましくない。以上の事実から、本発明に用いら
れるスピネルクリンカ−としては、嵩比重1.6〜2.8のも
のが好ましく、この点が本発明の重要な特徴点の一つで
ある。
【0015】本発明において、キャスタブルの耐火材料
部におけるスピネルクリンカ−の含有量は、10〜70%が
好ましい。実際の配合決定においては、スピネルクリン
カ−の嵩比重とスピネルクリンカ−の含有量との組合せ
により、溶鋼の温度低下に対する抑制効果とスラグに対
する耐食性、耐浸潤性との両方のバランスで決定される
が、少なくとも10%未満では、本来のスピネルクリンカ
−の使用目的である耐食性の向上、スラグ浸潤性の抑制
の効果が十分でなく、また溶鋼の温度低下抑制の面から
も効果が少ないので好ましくない。一方、70%を越える
と、キャスタブル全体の嵩比重の低下も大きく、熱吸収
・放散に対する効果は良好であるが、耐食性は低下し、
また、スラグ浸潤性も大きくなるので好ましくない。
【0016】本発明に用いるスピネルクリンカ−におい
て、もう一つの重要な特徴点は、フリ−のペリクレ−ス
結晶を含まないという点にある。マグネシア−アルミナ
系のスピネルは、理論的にはおよそマグネシア28.3%、
アルミナ71.7%の組成を持つものであるが、クリンカ−
の製造条件によっては、これらがすべて完全に反応して
スピネル結晶を生成することがなく、一部にフリ−のマ
グネシアであるペリクレ−スやアルミナの結晶であるコ
ランダムを含むものが多い。
【0017】ところで、本発明は、前記したとおり、嵩
比重の低い1.6〜2.8のスピネルクリンカ−を使用する点
を特徴とするものであり、このような嵩比重の低いもの
を用いるため、フリ−のマグネシア、即ちペリクレ−ス
結晶が残存していると、従来の高嵩比重のスピネルクリ
ンカ−を用いる場合に比して流込み施工後の養生及び乾
燥中にこのペリクレ−ス結晶が水和反応を起こしやす
く、そのためキャスタブル施工体の崩壊現象が生じやす
いことが判明した。従って、本発明のキャスタブルにお
いて、このような水和現象に伴う崩壊を防止するには、
低嵩比重のスピネルクリンカ−中にフリ−のペリクレ−
ス結晶が存在してはならないものであり、この点も本発
明における重要な特徴点である。
【0018】市販の高嵩比重スピネルクリンカ−では、
マグネシア含有量が50%程度から10%程度のものまであ
り、当然理論組成よりマグネシア含有量の多いスピネル
クリンカ−中にはフリ−のペリクレ−スが存在するが、
キャスタブルに用いられたときの養生、乾燥時の水和反
応については、これまでは特に問題とされていなかっ
た。これは、従来の緻密化を図り高嵩比重としたスピネ
ルクリンカ−では、水又は水蒸気の粒内への拡散が容易
ではなく、キャスタブルが崩壊するほどの水和現象の影
響がなかったものと考えられる。
【0019】これに対して、本発明に用いるスピネルク
リンカ−は低嵩比重のクリンカ−であり、養生、乾燥時
の水又は水蒸気の粒内への浸入が容易であるため、フリ
−のペリクレ−スの水和が連続的に生じ、キャスタブル
全体の崩壊に至るものと考えられる。従って、本発明に
おいてフリ−のペリクレ−ス結晶の存在をなくし、かつ
スピネルクリンカ−の持つ耐食性、耐スラグ浸潤性の特
徴を維持するためには、低嵩比重スピネルクリンカ−の
組成としてマグネシア含有量が28〜5%程度であること
が好ましい。マグネシア含有量が28%を越えると、低嵩
比重クリンカ−製造時において、低嵩比重のクリンカ−
を作製しつつすべて完全にスピネル結晶化させることが
難しく、残留ペリクレ−スが混在しやすい。一方、マグ
ネシア含有量が5%未満であると、スピネルの特徴が不
明瞭となるのでいずれも好ましくない。なお、フリ−の
コランダム結晶は安定であり、水和を生じることはない
ので、その存在は何も問題ない。
【0020】本発明の耐火材料部に用いるアルミナ原料
は、焼結アルミナ、電融アルミナのほか、焼成ボ−キサ
イト等の天然高アルミナ原料の焼成クリンカ−を用いる
ことができ、中空アルミナ等の低嵩比重のものを用いて
キャスタブル全体の嵩比重調整を行うこともできる。こ
れらのアルミナ原料は、アルミナースピネル質キャスタ
ブル耐火物の熱膨張や加熱収縮特性を調整するために必
要である。このアルミナ原料の含有量は、耐火材料部10
0のうちスピネルクリンカ−の含有量の残部、即ち30〜9
0%である。なお、耐スラグ侵食性の強化のため、本発
明の“低嵩比重スピネルクリンカーとアルミナ原料”に
60%未満の範囲で従来の高嵩比重スピネルクリンカーを
添加使用してもよい。
【0021】また、本発明の低嵩比重スピネルクリンカ
−を用いるアルミナ−スピネル質キャスタブルでは、耐
火材料部にさらに20μm以下の粒子からなる仮焼アルミ
ナ微粉を添加することができる。この仮焼アルミナ微粉
の添加によりマトリックス部を強化することができ、耐
スラグ性向上の面で好ましく、その添加量は2〜15%程
度が好ましい。通常2%未満ではその効果が不十分であ
り、一方、15%を越えると経済性の点であまり意味がな
い。
【0022】本発明におけるキャスタブルの結合剤とし
ては、アルミナセメント系結合剤又は燐酸系、珪酸系も
しくは有機系の結合剤などを用いることができ、その配
合量は、耐火材料部100に対して2〜25%が好ましい。結
合剤の配合量は、その種類によって適正な量が選択され
るが、アルミナセメント系結合剤の場合最大25%まで添
加することができる。25%を越えると、セメント中のCa
O成分等の影響で耐食性が低下するので好ましくない。
一方、燐酸系や珪酸系もしくは有機系の結合剤の場合、
極少量で結合効果が得られ、2%以上の添加で十分であ
る。
【0023】また、本発明において、アルミナゾルやρ
アルミナ又は非晶質アルミナの10μm以下の微粉等を結
合剤もしくは結合助剤として添加することもできる。さ
らに、結合剤は、必ずしも粉末である必要はなく液体の
結合剤でも使用できるが、実際の使用を考慮すれば、粉
末であれば予め耐火材料部と混合しておくことができ、
使用現場で水を添加混練するだけであるので好適であ
る。
【0024】本発明のキャスタブルにおいては、耐火材
料部中に含有するSiO2量が耐食性に対して影響を及ぼし
やすい。このSiO2含有量が4%を越えると、スラグ浸潤
性に対してはさほど影響がないけれども、侵食が大きく
なる。特にSiO2が微粉部に添加されていると、侵食量の
増加が著しい。本発明のキャスタブルでは、低嵩比重の
スピネルクリンカ−を用いるので、もともと耐侵食性
は、高嵩比重のスピネルクリンカ−を用いた従来のキャ
スタブルと比較すると、僅かではあるがやや劣る傾向に
ある。
【0025】それに加えてさらにシリカが含有されてい
ると、このシリカはマグネシア、アルミナと反応して低
融点化合物を生成し、この低融点化合物がキャスタブル
の耐侵食性をより大幅に低下させると考えられる。従っ
て、本発明の低嵩比重スピネルクリンカ−を用いるキャ
スタブルにおいては、耐侵食性の面からみて、耐火材料
部中のSiO2含有量が4%以下とする必要がある。
【0026】本発明のキャスタブルにおいて、少量の燐
酸塩や界面活性剤等からなる分散剤並びに炭酸リチウム
塩、カルシウム化合物、有機酸及びその塩等の硬化調整
剤を用いることができる。また、金属粉、有機発ガス
剤、有機繊維等の爆裂防止剤の少量を添加することもで
きる。
【0027】
【作用】本発明のアルミナ−スピネル質キャスタブル耐
火物は、耐火材料部として、 ・嵩比重1.6〜2.8であるペリクレ−ス結晶を含まないAl
2O3-MgO系スピネルクリンカ−10〜70重量部、 ・アルミナ原料30〜90重量部、 からなり、さらに、 ・耐火材料部中のSiO2含有量が4重量部以下、 であることを特徴とするものであり、これにより、前記
したとおり、耐スラグ性に優れているアルミナ−スピネ
ルキャスタブルの特徴を持続しつつ、溶鋼の温度低下を
抑制する作用が生じるものである。
【0028】
【実施例】次に、本発明の実施例を従来例及び比較例と
共に挙げ、本発明をより詳細に説明する。表1に示すMg
O含有量及び嵩比重の異なる5種のスピネルクリンカ−
を用い、表2に示す配合物について、適度な流動性が得
られるような水分を添加混練し、流込みにより試料を作
製した。これら試料の、養生,乾燥後の試料の外観、乾
燥後の曲げ強度、熱吸収・放散性、耐スラグ性について
比較評価を行い、その結果を表2にまとめて示した。
【0029】(養生,乾燥後状態、曲げ強度)流込み施
工後常温で24時間自然放置することにより養生し、続い
て110℃で24時間乾燥した。この時の試料の外観上の変
化を観察し、“養生,乾燥後状態”として表2に示し
た。また、乾燥後に曲げ強度を測定し、同じく表2に示
した。 (熱吸収・放散性)内径約120mm、厚み約60mm、高
さ約180mmの坩堝形状に流込み成形した各試料を上記
と同様養生、乾燥した後、炉内で1000℃に加熱した。こ
れを炉から取り出し、800℃となったとき、1650℃で溶
融させた鉄を注入し、1分後の鉄の温度降下を測定し
た。これは、実際の取鍋やタンディッシュ等に溶鋼が注
入されたときのキャスタブルへの熱の吸収・放散を想定
した実験であり、単に熱伝導率の差による定常状態での
温度勾配を見るだけでなく、キャスタブル自身の温度上
昇のための熱吸収をも同時に評価できる方法である。こ
のときの結果を“熱吸収・放散性”として表2に示し
た。 (耐スラグ性)各試料について回転ドラム法を用いてス
ラグ侵食テストを実施し、試験後試料の侵食深さを測定
し、従来例6の値を10.0とした耐スラグ性の比較指数と
して表2に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表2中の従来例6は、広く使用されている
高嵩比重スピネルクリンカ−(従来のクリンカ−:嵩比
重3.26、表1No.4のクリンカ−)を用いた例である。こ
の従来例6では、外観、強度、耐スラグ性は良好である
が、熱吸収・放散性が高く、溶鉄の温度降下が大きいこ
とが認められた。
【0033】比較例7は、ペリクレ−ス結晶含有スピネ
ルクリンカ−(表1No.5のクリンカ−)を用いた例であ
る。この比較例7では、養生、乾燥後の試料に大きな亀
裂の発生が認められた。これは、スピネルクリンカ−中
のフリ−のペリクレ−ス結晶の影響が現れているものと
考えられる。このため比較例7では、他の試料の曲げ強
度に対して1/4程度と低いものであった。
【0034】比較例8は、表1No.3の低嵩比重のスピネ
ルクリンカ−を用いたキャスタブルであるが、SiO2含有
量が約7%である焼成ボ−キサイトをアルミナ原料とし
て70%配合した例である。従って、この比較例8では、
キャスタブル中のSiO2量が5%近く含有されているもの
であり、耐スラグ性が悪く、また、侵食深さは本発明の
実施例1〜5に比べて大きいものであった。
【0035】実施例1〜5では、養生,乾燥後状態とし
ていずれも良好な外観を示すものが得られた。また、熱
吸収・放散性は、従来例6と比べおよそ15〜20%良好な
結果が得られた。更に、曲げ強度については従来例6と
同等であり、耐スラグ性も高嵩比重のスピネルクリンカ
−を用いた従来例6とほぼ遜色ない値を示している。
【0036】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、特に嵩
比重1.6〜2.8であるペリクレ−ス結晶を含まないAl2O3-
MgO系スピネルクリンカ−を用いることを特徴とし、こ
れにより耐スラグ性に優れているアルミナ−スピネルキ
ャスタブルの特徴を持続しつつ溶鋼の温度低下を抑制す
ることができ、実用上殆ど従来の高嵩比重のスピネルク
リンカ−を用いたキャスタブルと同等の耐スラグ侵食性
を持ち、かつ、熱の吸収・放散を15〜20%程度軽減する
ことができる効果が生じる。そして、本発明のアルミナ
−スピネル質キャスタブル耐火物を施工することによ
り、予め溶鋼の熱損失を考慮して出鋼温度を調整する必
要がなくなり、エネルギ−原単位の低減に大きく寄与す
るのみならず、調整作業の煩雑さが軽減できるという効
果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピネルクリンカ−の嵩比重と耐スラグ性との
関係を示す図。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火材料部と結合剤部とからなるキャス
    タブルであって、耐火材料部が嵩比重1.6〜2.8であるペ
    リクレ−ス結晶を含まないAl2O3-MgO系スピネルクリン
    カ−10〜70重量部とアルミナ原料30〜90重量部とからな
    り、この耐火材料部100重量部に対して結合剤部2〜25重
    量部を添加してなることを特徴とするアルミナ−スピネ
    ル質キャスタブル耐火物。
  2. 【請求項2】 耐火材料部中のSiO2含有量が4重量部以
    下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミナ−
    スピネル質キャスタブル耐火物。
JP43A 1992-12-31 1992-12-31 アルミナ−スピネル質キャスタブル耐火物 Pending JPH06199575A (ja)

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