JPH06199137A - 電気自動車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 制御装置を良好な防水、防塵、防振性をもっ
て車室空間を狭めることなく設置し、かつ制御装置の保
守維持作業が容易な電気自動車を提供する。 【構成】 車体の左右のサイドフレームを連結する前方
の第１クロスメンバ15および後方の第２クロスメンバ16
を設け、前記左右のサイドフレームの間かつ第１および
第２クロスメンバ15，16の間のフロアパネル部分12に下
方へ突出する凹所19を形成し、該凹所内に制御装置11を
取付けるとともに、該凹所をフロアパネル12側から蓋部
材23で覆う。車体下部に凹所19の前方下端から少くとも
第１クロスメンバ15を越えた位置まで延びる保護板27を
張設する。第２クロスメンバ16の後方においてフロア８
の下側にバッテリ９を収納したバッテリボックス10を設
け、バッテリボックス10の前方下端と凹所19の後方下端
との間にこれらを連結する保護板28を張設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電動モータで駆動され
る電気自動車に関する。

【０００２】

【従来技術】一般に、電気自動車においては、種々の電
気制御装置を必要とするが、これらの電気制御装置は一
般自動車に使われる12Ｖ系に比して高電圧を使用するの
で、防水、防塵対策を必要とする。該電気制御装置を車
室内に配置すれば防水、防塵上からは有利であるが、こ
れでは車室内の有効空間が狭くなる。

【０００３】特開昭54−129883号公報に開示されている
電気自動車においては、走行用電動機の回転数を制御す
る回転数制御装置が制御箱に納められ、この制御箱が車
室下方に配設されている。そして該制御箱の後方にバッ
テリ（動力用蓄電池）が配設され、これら制御箱、バッ
テリ等の構成部品は車室の床板（内側板）によって車室
とは隔絶されている。

【０００４】

【解決しようとする課題】上記公報記載のものにおいて
は、制御箱が車室床板の下側に設けられているので、保
守維持作業に不便であり、また制御箱の密封性が劣化す
ると内部が車室外の空気と連通することとなり、制御装
置の防水、防塵上好ましくない。

【０００５】さらに、制御箱は車体のなるべく高剛性の
箇所に取付けて、制御装置に振動等を与えないようにす
ることが望まれる。

【０００６】

【課題を解決するための手段および作用】本発明はこの
ような事情に鑑みてなされたものであり、本発明におい
ては、車体の左右のサイドフレームを連結する前方の第
１クロスメンバおよび後方の第２クロスメンバを設け、
前記左右のサイドフレームの間かつ前記第１および第２
クロスメンバの間フロアパネル部分に下方へ突出する凹
所を形成し、該凹所内に制御装置を取付けるとともに、
該凹所を前記フロアパネル側から蓋部材で覆う。

【０００７】本発明によれば、制御装置がフロアパネル
に形成された凹所内に設けられ、フロアパネルに関して
車室内側に位置して外部から隔絶されているので、良好
な防水、防塵効果が得られる。

【０００８】しかも制御装置が車室内に突出して車室を
狭くすることもなく、また凹所の開口部は蓋部材によっ
て覆われているので、車室内における乗員の動作に支障
を及ぼすこともない。

【０００９】さらに、たとえ制御装置を納めた制御箱や
前記蓋部材の密封性が完全でなくても、制御装置は車室
内に連通するので、良好な防水、防塵性を維持すること
ができる。

【００１０】蓋部材を取外すことにより、制御装置に車
室内から近接できるので、制御装置の保守維持作業が極
めて容易である。

【００１１】制御装置を取付ける凹所は、左右サイドフ
レームと第１および第２の両クロスメンバとによって囲
まれて剛性の高いフロアパネル部分に設けられるので、
制御装置の振動が少なくなる。

【００１２】

【実 施 例】図１ないし図５は本発明の一実施例を示
す。図１は電気自動車１の前部を示す側面図で、２は前
輪である。車室３の前方にダッシュボード４を隔ててフ
ロントルーム５が設けられている。この構成は従来のガ
ソリン車と同じで、ガソリン車においてはこのフロント
ルーム５にガソリンエンジンが搭載されているが、本電
気自動車１においては、電動モータ６を主体とするパワ
ーユニット７が搭載されている。

【００１３】車室３のフロア８の下側に、多数のバッテ
リ９を収納したバッテリボックス10が取付けられてお
り、前記電動モータ６はこのバッテリ９から給電されて
作動し、左右の前輪２を駆動する。

【００１４】バッテリボックス10と前方のダッシュボー
ド４との間のフロア８下側の空間に、電気自動車１の電
気制御系の一部を構成する制御装置が電装ユニット11と
して配設されている。本実施例においてはこの電装ユニ
ット11はジャンクションボックスである。なお、フロン
トルーム５内にも、他の各種制御装置を一体にまとめた
電装ユニット11ａが配設されており、かくして本実施例
においては電気制御系を構成する各制御装置が車室３の
外側に配置されている。

【００１５】図２は電装ユニット11設置部分近傍におけ
るフロア８を上方から見た斜視図で、図３は同部分の縦
断面図、図４は横断面図である。

【００１６】フロア８の前方部分はダッシュボード４の
下端に接続する低いフロアパネル12によって形成され、
後方の高い部分に設けられたシート13に着座した乗員14
の足がこのフロアパネル12上に延ばされるようになって
いる。電装ユニット11はこの低いフロアパネル12の下側
に配置されている。

【００１７】フロアパネル12の前端部分すなわちダッシ
ュボード４下端部に車体巾方向に延びる箱形の第１クロ
スメンバ15が設けられ、フロアパネル12が後方の高いフ
ロア８部分に移行する直前の箇所にも、同様に車体巾方
向に延びる箱形の第２クロスメンバ16が設けられている
（図１，３）。一方、車室３の左右両側下部には前後方
向に延びるサイドフレーム17、17が設けられており、前
記クロスメンバ15，16はそれぞれ両端においてこれらの
サイドフレーム17に固結されている。

【００１８】フロアパネル12は周囲をクロスメンバ15，
16およびサイドフレーム17、17によって支持され、かつ
フロアパネル12の板面には補強用の突条18が形成されて
いる。従ってこのフロアパネル12は高い剛性を有してい
る。

【００１９】電装ユニット11は、フロアパネル12に設け
られフロアパネル12の面から下方へ凹入した凹所19内
に、該凹所19の底壁19ａ上にボルト20により締結されて
取付けられている（図３参照）。本実施例における凹所
19は、フロアパネル12の対応する部分に長方形の穴を明
け、この穴に直方体状の箱部材21（図５）を落し込み、
該箱部材21の上方開口部の周縁に突設されたフランジ22
をフロアパネル12に溶着することにより形成されてい
る。

【００２０】箱部材21は、フランジ22の前方部分22ａ
を、フロアパネル12とクロスメンバ15のフランジ部分と
の３枚重ねにし、フランジ22の後方部分22ｂもフロアパ
ネル12とクロスメンバ16のフランジ部分との３枚重ねに
して、それぞれスポット溶接することにより、強固に取
付けられている。

【００２１】図５に示すように、箱部材21は、成形性向
上のため、中央部21ａと左右両側部21ｂ，21ｃとに３分
割して成形し、これらを互いに接合して形成されてい
る。また、左右両側部21ｂ，21ｃのみ板厚を厚くするこ
とにより、前後方向の外部入力に対する箱部材21の強度
を高めることができる。

【００２２】電装ユニット11を前記のようにして凹所19
内に取付けた後、凹所19の開口部を蓋部材23で閉塞す
る。この場合、互いに重ね合わされる蓋部材23のフラン
ジ24と前記箱部材21のフランジ22との間にシールラバー
25を介在させる。そしてフランジ24、シールラバー25、
フランジ22、フロアパネル12、前後においてはさらにク
ロスメンバ15，16のフランジを貫通するボルト26によ
り、蓋部材23を締着する。蓋部材23の上面はフロアパネ
ル12に形成された突条18とほぼ同じ高さに設定されてい
るので、この部分に足を置いた時違和感はない。

【００２３】凹所19すなわち箱部材21の前部下端縁から
車体前端部近傍まで、保護板27がほぼ水平に張設され、
走行中に跳ね上げられた小石等が箱部材21の前端面やク
ロスメンバ15に当るのを防止している。また箱部材21の
後部下端縁とバッテリボックス10の前部下端縁との間に
も同様な保護板28が張設されている。これらの保護板2
7，28はまた、車体に前方から後方まで連続する平坦な
底面を形成し、空力性能の向上に寄与する。

【００２４】保護板27は、図６に示すように、前端をク
ロスメンバ15の前面に取付けるようにしてもよい。図５
にはこのような保護板27が示されている。

【００２５】図５から分るように、保護板27の後端部は
中央部が前方へ凹入したコ字状の平面形状をなしてお
り、箱部材21の底面にこれを前部から左右両側部へかけ
て取り囲むようにして取付けられている。

【００２６】保護板27，28の左右両側縁には上方へ屈曲
した側壁部27ａ，28ｂが設けられており、これらの側壁
部27ａ，28ｂの上縁はサイドフレーム17の下面に固定さ
れている（図４参照）。

【００２７】図３において29はファンで、このファン29
により、クロスメンバ16内に吸い込まれた外部の空気が
導風路30を経て後方のバッテリボックス10内に送られ、
バッテリ９を冷却する。

【００２８】本実施例においては、電装ユニット11がフ
ロアパネル12に形成された凹所19内に取付けられて車室
内側に位置し、外部から隔絶されているので、良好な防
水、防塵効果が得られる。しかも電装ユニット11が車室
内に突出して車室を狭くすることもなく、また凹所19の
開口部はフロアパネル12とほぼ同一面をなす蓋部材23に
よって覆われているので、車室内における乗員14の動作
に支障を及ぼすこともなく、乗員14は何らの違和感なく
この部分に足を延ばすことができる。

【００２９】また蓋部材23の密封性がたとえ完全でなく
ても、凹所19は車室内に連通するので良好な防水、防塵
性を維持することができ、かつ蓋部材23を取り外すこと
により電装ユニット11に車室内から近接できるので、電
装ユニット11の保守維持作業が極めて容易である。

【００３０】さらに、凹所19は左右のサイドフレーム1
7、17と前後のクロスメンバ15、16によって囲まれて剛
性が高く、従って振動の小さいフロアパネル12部分に設
けられているので、車体から電装ユニット11に伝達され
る振動が少なくなる。

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば、電気自動車に制御装置
を、良好な防水、防塵ならびに防振性を確保しながら車
室空間を狭めることなく設けることができ、しかも該制
御装置の保守維持作業が極めて容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る電気自動車の前部を示
す側面図である。

【図２】電装ユニット設置部分近傍におけるフロアを上
方から見た斜視図である。

【図３】電装ユニット設置部分の縦断面図である。

【図４】図３のIV−IV線に沿う断面図である。

【図５】箱部材と保護板の分解斜視図である。

【図６】本発明の他の実施例を示す図３と同様な図面で
ある。

【符号の説明】

１…電気自動車、２…前輪、３…車室、４…ダッシュボ
ード、５…フロントルーム、６…電動モータ、７…パワ
ーユニット、８…フロア、９…バッテリ、10…バッテリ
ボックス、11…電装ユニット、12…フロアパネル、13…
シート、14…乗員、15，16…クロスメンバ、17…サイド
フレーム、18…突条、19…凹所、20…ボルト、21…箱部
材、22…フランジ、23…蓋部材、24…フランジ、25…シ
ールラバー、26…ボルト、27，28…保護板、29…ファ
ン、30…導風路。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体の左右のサイドフレームを連結する
   前方の第１クロスメンバおよび後方の第２クロスメンバ
   を設け、前記左右のサイドフレームの間かつ前記第１お
   よび第２クロスメンバの間のフロアパネル部分に下方へ
   突出する凹所を形成し、該凹所内に制御装置を取付ける
   とともに、該凹所を前記フロアパネル側から蓋部材で覆
   ったことを特徴とする電気自動車。
2. 【請求項２】 車体下部に、前記凹所の前方下端から少
   くとも前記第１クロスメンバを越えた位置まで延びる保
   護板を張設した請求項１の電気自動車。
3. 【請求項３】 前記第２クロスメンバの後方においてフ
   ロアの下側にバッテリを収納したバッテリボックスを設
   け、該バッテリボックスの前方下端と前記凹所の後方下
   端との間にこれらを連結する保護板を張設した請求項１
   記載の電気自動車。