JPH0619784Y2 - 吸排気管用アクティブキャンセラ−システム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車のエンジン等の吸排気騒音を消音する
のに用いられる吸排気管用アクティブキャンセラーシス
テムに関する。

（従来の技術） 従来の吸排気管用アクティブキャンセラーシステムとし
ては、例えば、特開昭６２−４８９１０号公報に記載さ
れているようなものが知られている（第２図）。この従
来の吸排気管用アクティブキャンセラーシステムは一端
がエンジンに接続された排気管０１と、該排気管０１に
分岐管０２を介して接続されたキャンセルスピーカ０３
と、前記排気管０１に設けられた第１，第２のマイク０
４，０５と、両マイク０４，０５からの信号に基いて排
気騒音を監視し所定の制御信号を前記キャンセルスピー
カ０３に出力するアクティブキャンセル制御手段０６と
を備え、排気騒音に対して騒音とは逆位相の粗密圧力波
をキャンセルスピーカ０３から出力することによって、
両圧力波の打ち消し作用で消音を行うものであった。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このような従来の吸排気管用アクティブ
キャンセラーシステムにあっては（吸）排気管の一部に
分岐管を設けてキャンセルスピーカを設けていたため
に、大きな取付スペースを必要とするという問題点や、
分岐管による（吸）排気流の乱れにより（吸）排気効率
が悪くなるといった問題点があった。

加えて、キャンセルスピーカには通常のスピーカが用い
られているために、スピーカが高温の排気にさらされ、
性能低下や故障の恐れ及び耐久性の点で問題があった。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上述のような問題点を解決し、小スペースで
吸排気抵抗が少なく、耐熱性の高い吸排気管用アクティ
ブキャンセラーシステムを提供することを目的とするも
ので、この目的達成のために本考案では、一端が騒音源
であるエンジンに接続され、吸気もしくは排気の流路が
形成された吸排気管と、該吸排気管の騒音に対して圧力
波を重ねることが可能に設けられたキャンセルスピーカ
と、前記吸排気管系に設けられたマイクから入力した信
号に基き騒音を監視して所定の制御信号を前記キャンセ
ルスピーカに出力するアクティブキャンセル制御手段と
を備え、前記吸排気管騒音の圧力波に対して騒音とは逆
位相の粗密圧力波をキャンセルスピーカから出力して両
圧力波の打ち消し作用により消音を行なう吸排気管用ア
クティブキャンセラーシステムにおいて、前記キャンセ
ルスピーカをセラミック製で両端を開口した筒状の圧電
スピーカで形成し、該圧電スピーカをその内側空間が吸
排気の流路を形成するよう前記吸排気管の一部として設
けたことを特徴とする手段とした。

（作用） 本考案の吸排気管用アクティブキャンセラーシステムで
は、エンジンの吸気もしくはエンジンの排気は吸気管も
しくは排気管である吸排気管の流路を流れる。

この吸排気管の一部にはその内側空間が流路を形成する
ようにして円筒形状の圧電スピーカ（キャンセルスピー
カ）が設けられていて、この圧電スピーカの内側を流れ
る吸排気に対して、この圧電スピーカからは、アクティ
ブキャンセル制御手段からの信号に基き、吸排気の騒音
とは逆位相の粗密圧力波が出力され、両圧力波の打ち消
し作用により騒音が消音される。

従って、本考案では、圧電スピーカが分岐管を介したり
することなく吸排気の流路を形成するように設けられて
いるため、吸排気の抵抗にならず、また、取付スペース
も少なくて済む。

また、この圧電スピーカはセラミック製であるので耐熱
性が高く、排気の熱による性能低下や故障及び耐久性に
対する信頼性が向上する。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面により詳述する。

尚、この実施例を述べるにあたり、自動車の排気音の消
音に用いた排気管用アクティブキャンセラーシステムを
例にとる。

まず、第１図に示す実施例についてその構成を説明す
る。

実施例の排気管用アクティブキャンセラーシステムＡ
は、第１図に示すように、排気管１、アクティブキャン
セル制御手段６を主要な構成要素としている。

前記排気管１は、一端部が騒音源であるエンジン７に接
続され、内側に排気流路ａが形成され、図外の部分にマ
フラが設けられている。

前記アクティブキャンセル制御手段６は、前記エンジン
７からの排気音を監視して所定の消音圧力波発生信号
（ｌ）（実際には微少電流である）を前記圧電スピーカ
３に出力する制御手段で、入力手段として騒音検出マイ
ク４、エラー検出マイク８を備え、出力手段としてコン
トロールユニット５を備えている。

前記圧電スピーカ３は、セラミック板３１と金属板３２
を貼り合わせ、内径が排気管１の内径と全く同じであっ
て両端が開口された円筒形状に形成され、その内側空間
ｂが排気流路ａの一部を形成するように排気管１の途中
に介在させて設けられている。また、この圧電スピーカ
３と排気管１との間にはシール性が高く柔軟性に富む連
結部材３３が設けられている。そして、この圧電スピー
カ３の外側にはカバー部材３４が設けられ、外部に対し
て圧電スピーカ３を密閉していて、さらにこのカバー部
材３４の内側には吸音材としてグラスウール３５等が設
けられている。

尚、このアクティブキャンセル制御手段６からの消音圧
力波発生信号（ｌ）が圧電スピーカ３に入力されると、
圧電スピーカ３から排気音の圧力波（以後、騒音圧力波
という）とは逆位相の粗密圧力波（以後、消音圧力波と
いう）が出力される。

前記騒音検出マイク４は、騒音圧力波を検出しコントロ
ールユニット５に騒音信号（ｍ）を出力するものであ
る。

前記エラー検出マイク８は、排気管１の出口側に設けら
れ、このエラー検出マイク８は消音圧力波のモニター信
号（ｎ）を出力する。

前記コントロールユニット５は、前記騒音検出マイク４
からの騒音信号（ｍ）に基づいて、騒音圧力波とは逆位
相の騒音圧力波を前記圧電スピーカ３から出力させる装
置で、このコントロールユニット５は、Ａ／Ｄ変換器５
１、メモリ５２、ＣＰＵ５３、Ｄ／Ａ変換器５４、グラ
フィックイコライザ５５，５６、パワーアンプ５７を備
えている。

前記Ａ／Ｄ変換器５１は、前記騒音検出マイク４からの
騒音信号（ｍ）及びグラフィックイコライザ５６からの
波形をＣＰＵ５３にて演算処理できるデイジタル信号に
変換する変換器である。

前記メモリ５２は、書き込み、読み出しのできるメモリ
で、騒音検出マイク４からの騒音信号に基く騒音圧力波
情報の書き込みやＣＰＵ５３での演算途中における情報
の書き込みが行なわれ、また、ＣＰＵ５３での演算処理
に必要な情報が予め記憶されていて、必要に応じてＣＰ
Ｕ５３へ読み出される。

前記ＣＰＵ５３は、入力された各種の情報を予め定めら
れた処理条件に従って演算処理を行なう装置である。

前記Ｄ／Ａ変換器５４は、ＣＰＵ５３からの演算結果信
号であるデジタル信号をアナログ信号に変換する変換器
である。

前記グラフィックイコライザ５５は、Ｄ／Ａ変換器５４
からのアナログ信号に基づいて、任意の波形を形成する
圧力波形成器である。

一方のグラフィックイコライザ５６は、前記エラー検出
マイク８からのモニター信号（ｎ）に基づいて、任意の
波形を形成する圧力波形成器である。

前記パワーアンプ５７は、前記グラフィックイコライザ
５５からの圧力波を増幅させて前記圧電スピーカ３に消
音圧力波発生信号（ｌ）を出力する増幅器である。

次に実施例の作用を説明する。

まず、排気管１内の騒音圧力波の周波数が騒音検出マイ
ク４により検出されてコントロールユニット５に入力さ
れると、該コントロールユニット５から圧電スピーカ３
に、検出した騒音圧力波と逆位相の消音圧力波を発生さ
せるための消音圧力波発生信号（ｌ）が出力される。

この消音圧力波発生信号（ｌ）は圧電スピーカ３に入力
されると、騒音圧力波とは逆位相の消音圧力波が圧電ス
ピーカ３から出力され、両圧力波同士の打ち消し合い、
つまりアクティブキャンセル作用によって排気管１内の
騒音圧力波は消失し排気音が消音されることになる。

また、圧電スピーカ３の内側空間ｂは排気管１の排気流
路ａと全く同じ大きさであるから、圧電スピーカ３が排
気の抵抗となることはなく排気効率を悪化させることが
ない。

また、圧電スピーカ３はセラミック板３１と金属板３２
とから形成されているから耐熱性が高く、排気の熱によ
る性能低下や故障や耐久性に対する信頼性が向上する。

また、圧電スピーカ３は排気管１を設置するためのスペ
ース以上には殆どスペースを必要としないため省スペー
スが達成される。

以上のように、本実施例の排気管用アクティブキャンセ
ラーシステムＡでは、排気効率を悪化させないという効
果、性能低下や故障や耐久性に対する信頼性が向上する
という効果、省スペースが達成されるという効果が同時
に得られる。

以上、本考案の実施例を図面により詳述してきたが、具
体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本考
案の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があって
も本考案に含まれる。

例えば、実施例では排気管に適用した例を示したがエン
ジンの吸気管に適用してもよい。

また、実施例ではエンジンとして自動車のエンジンを示
したが、他のあらゆるエンジンに適用することができ
る。

（考案の効果） 以上説明したきたように、本考案の吸排気管用アクティ
ブキャンセラーシステムでは、前記キャンセルスピーカ
をセラミック製で両端を開口した筒状の圧電スピーカで
形成し、該圧電スピーカをその内側空間が吸排気の流路
を形成するよう前記吸排気管の一部として設けた手段と
したために、圧電スピーカが吸排気の抵抗にならず、耐
熱性が高く、取付スピーカも小さくて済むから、吸排気
効率が悪くならないという効果、小スペースが達成でき
るという効果、熱による性能低下や故障及び耐久性に対
する信頼性が向上するという効果が併せて得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の排気管用アクティブキャンセラ
ーシステムを示す全体図、第２図は従来例を示す全体図
である。 １…排気管 ３…圧電スピーカ ４…騒音検出マイク ６…アクティブキャンセル制御手段 ７…エンジン ８…エラー検出マイク ａ…排気流路 ｂ…内側空間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一端が騒音源であるエンジンに接続され、
   吸気もしくは排気の流路が形成された吸排気管と、 該吸排気管の騒音に対して圧力波を重ねることが可能に
   設けられたキャンセルスピーカと、 前記吸排気管系に設けられたマイクから入力した信号に
   基き騒音を監視して所定の制御信号を前記キャンセルス
   ピーカに出力するアクティブキャンセル制御手段とを備
   え、 前記吸排気管騒音の圧力波に対して騒音とは逆位相の粗
   密圧力波をキャンセルスピーカから出力して両圧力波の
   打ち消し作用により消音を行なう吸排気管用アクティブ
   キャンセラーシステムにおいて、 前記キャンセルスピーカをセラミック製で両端を開口し
   た筒状の圧電スピーカで形成し、該圧電スピーカをその
   内側空間が吸排気の流路を形成するよう前記吸排気管の
   一部として設けたことを特徴とする吸排気管用アクティ
   ブキャンセラーシステム。