JPH06193744A - メタルシートバタフライ弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一次偏心構造による開閉を可能にし、かつ弁
体シートのエンドレス化によりその加工を容易にすると
ともに、逆圧負荷時における止水性を高めるようにす
る。 【構成】 弁棒１と弁体２を連結機構４により一体に結
合するとともに、連結機構４のブラケット４Ａに形成し
た円弧状切欠６を原節とし、ブラケット４Ａと連結片４
Ｂを嵌合して両者を一体に結合する弁体固定軸４Ｃを従
節としたカムを設け、円弧状切欠６は、弁体２の全閉時
において弁体固定軸４Ｃが位置する第１位置６ａと、弁
棒１の開弁方向回度初期において弁体固定軸４Ｃが位置
する第２位置６ｂを有し、第１位置６ａの一次偏心量ｒ
１を第２位置６ｂの一次偏心量ｒ２よりも大きく設定し
てある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、弁体シートおよび弁箱
シートがメタルによって構成され、弁体シートのシート
面と弁箱シートのシート面とのメタルタッチによってシ
ールを行うメタルシートバタフライ弁に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のメタルシートバタフライ弁を一
次偏心構造にすると、弁体のメタルシートと弁箱のメタ
ルシートが接触して弁体の開閉を妨げることになる。し
たがって、従来はゴムシートバタフライ弁のように一次
偏心構造を採用することが不可能とされており、メタル
シートバタフライ弁では二次偏心構造を採用していた。
しかし、二次偏心構造では、弁体シートをエンドレスに
形成することができず、弁体シートの加工が煩わしい欠
点を有しているとともに、逆圧負荷時において高い止水
性を期待できない難点がある。

【０００３】そのために、ゴムシートバタフライ弁のよ
うに一次偏心構造を採用して、弁体シートのエンドレス
化によりその加工を容易にし、しかも逆圧負荷時におけ
る高い止水性を期待できるメタルシートバタフライ弁の
開発が要求されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、メタルシートバタフライ弁において採用されてい
た二次偏心構造では、弁体シートをエンドレスに形成す
ることができず、したがって、弁体シートの加工が煩わ
しい上に、逆圧負荷時において高い止水性を期待するこ
とができない点である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、弁棒と弁体が
連結機構を介して一体に結合されているとともに、前記
連結機構に弁棒側の原節と弁体側の従節によって構成さ
れ、かつ弁棒の開弁方向回動初期および閉弁方向回動終
期に一次偏心量の大きい第１位置と一次偏心量の小さい
第２位置との偏心差に相当する移動量で弁体を弁箱の軸
線方向に進退移動させるカムが設けられていることを特
徴とし、一次偏心構造による開閉を可能にし、かつ弁体
シートのエンドレス化によりその加工を容易にするとと
もに、逆圧負荷時における止水性を高める目的を達成し
た。

【０００６】

【作用】本発明によれば、弁体の全閉状態で弁棒を開弁
方向に回動させると弁棒の回動初期においてカムが作用
する。これにより第１位置と第２位置との偏心差に相当
する移動量で弁体を弁箱の軸線方向に後退させる。つま
り、弁体の一次偏心量を小さくして弁箱シートから離間
して対向する半開位置に移動させる。したがって、その
後に弁棒を開弁方向に回動しても、弁体のメタルシート
が弁箱のメタルシートに接触することはない。一方、弁
体の全開状態において弁棒を閉弁方向に回動させると、
弁体は小さく設定された前述の一次偏心量を保持して閉
弁方向に回動して半開位置に到達する。弁棒の回動終期
においてカムが作用し、第１位置と第２位置との偏心差
に相当する移動量で弁体を弁箱の軸線方向に前進させ、
弁体のメタルシートを弁箱のメタルシートに圧接してシ
ールする。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は本発明を適用したメタルシートバタフライ
弁の全閉状態を示す縦断側面図、図２は図１の横断平面
図であり、これらの図において、メタルシートバタフラ
イ弁は、弁棒１、弁体２および弁箱３を具備し、弁棒１
と弁体２は連結機構４を介して一体に結合され、図示の
全閉状態は弁体２のメタルシート２Ａが弁箱３のメタル
シート３Ａに圧接してシールすることによって保持され
る。連結機構４は、弁棒１に形成されて弁体２方向にの
びるブラケット４Ａと、弁体２に形成されて弁棒１方向
にのびる連結片４Ｂと、ブラケット４Ａに連結片４Ｂを
嵌合して両者を一体に結合する弁体固定軸４Ｃによって
構成されている。また、連結機構４にはカム５が設けら
れている。このカム５は、ブラケット４Ａに形成されて
弁体固定軸４Ｃの上下両端部を挿通する上下１対の円弧
状切欠６，６と、弁体固定軸４Ｃとを有し、上下１対の
円弧状切欠６，６が原節として機能し、弁体固定軸４Ｃ
が従節として機能する。円弧状切欠６，６は、図３に示
すように、弁体全閉時において弁体固定軸４Ｃが位置す
る第１位置６ａと、弁棒１の開弁方向回度初期において
弁体固定軸４Ｃが位置する第２位置６ｂを有し、第１位
置６ａの一次偏心量ｒ１を第２位置６ｂの一次偏心量ｒ
２よりも大きく設定してある。

【０００８】つぎに、前記構成の作動について説明す
る。図１および図２に示す弁体２の全閉状態において、
開弁のために弁棒１を図２の時計まわり（矢印Ｒ１）に
回動させると、弁棒１の回動初期においてカム５が作用
する。すなわち、弁棒１とともに回動する円弧状切欠
６，６が弁体固定軸４Ｃの上下両端部に干渉することに
なり、図４および図５に示すように、円弧状切欠６の第
１位置６ａと第２位置６ｂとの偏心差ｒ１ーｒ２に相当
する移動量Ｌで弁体２を弁箱３の軸線Ｃ方向に後退させ
る。つまり、弁体２の一次偏心量を小さい値ｒ２にし
て、弁箱３のメタルシート３Ａから離間して対向する半
開位置まで弁体２を移動させる。この状態から、さらに
弁棒１を開弁方向に回動しても、弁体２のメタルシート
２Ａを弁箱３のメタルシート３Ａに接触させることな
く、図６および図７のように、弁体２を全開させること
ができる。

【０００９】一方、図６および図７に示す弁体２の全開
状態において、閉弁のために弁棒１を図６の反時計まわ
り（矢印Ｒ２）に回動させると、弁体２は小さい値の一
次偏心量ｒ２を保持して閉弁方向に回動し、図４および
図５に示す半開位置に到達する。この状態から、さらに
弁棒１を閉弁方向に回動すると、この弁棒１の回動終期
においてカム５が作用する。すなわち、弁棒１とともに
回動する円弧状切欠６，６が弁体固定軸４Ｃの上下両端
部に干渉することになり、前述の移動量Ｌで弁体２を弁
箱３の軸線Ｃ方向に前進させ、図１および図２のよう
に、弁体２のメタルシート２Ａを弁箱３のメタルシート
３Ａに圧接してシールする。

【００１０】このように、本発明は、一次偏心構造を採
用しているのにもかかわらず、弁体２のメタルシート２
Ａと弁箱３のメタルシート３Ａの接触を避けて、弁体２
を開閉することができる。しかも、一次偏心構造の採用
により、メタルシート２Ａをエンドレスに形成すること
ができるので、メタルシート２Ａの加工が容易になると
ともに、逆圧負荷時においても弁体２のメタルシート２
Ａと弁箱３のメタルシート３Ａとの圧接状態が保持され
るので、逆圧負荷時における止水性を高めることができ
る。

【００１１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、一次偏
心構造を採用しているのにもかかわらず、弁体のメタル
シートと弁箱のメタルシートの接触を避けて、弁体を開
閉することができる。しかも、一次偏心構造の採用によ
り、メタルシートをエンドレスに形成することができる
ので、その加工が容易になるとともに、逆圧負荷時にお
いても弁体のメタルシートと弁箱のメタルシートとの圧
接状態が保持されるので、逆圧負荷時における止水性を
高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の全閉状態を示す縦断側面図である。

【図２】図１の横断平面図である。

【図３】カムの一例を示す拡大平面図である。

【図４】本発明の半開状態を示す縦断側面図である。

【図５】図４の横断平面図である。

【図６】本発明の全開状態を示す縦断側面図である。

【図７】図６の横断平面図である。

【符号の説明】

１ 弁棒 ２ 弁体 ２Ａ 弁体のメタルシート ２ 硬質ゴムライニング（弁体の弾性ライニング） ３ 弁箱 ３Ａ 弁箱のメタルシート ４ 連結機構 ５ カム ６Ａ 一次偏心量の大きい第１位置 ６Ｂ 一次偏心量の小さい第２位置 Ｃ 弁箱の軸線 ｒ１ 一次偏心量 ｒ２ 二次偏心量

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 弁棒と弁体が連結機構を介して一体に結
   合されているとともに、前記連結機構に弁棒側の原節と
   弁体側の従節によって構成され、かつ弁棒の開弁方向回
   動初期および閉弁方向回動終期に一次偏心量の大きい第
   １位置と一次偏心量の小さい第２位置との偏心差に相当
   する移動量で弁体を弁箱の軸線方向に進退移動させるカ
   ムが設けられていることを特徴とするメタルシートバタ
   フライ弁。