JPH06184707A - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JPH06184707A
JPH06184707A JP4337052A JP33705292A JPH06184707A JP H06184707 A JPH06184707 A JP H06184707A JP 4337052 A JP4337052 A JP 4337052A JP 33705292 A JP33705292 A JP 33705292A JP H06184707 A JPH06184707 A JP H06184707A
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JP
Japan
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annealing
grain
steel sheet
less
stage
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JP4337052A
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English (en)
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Hiroyoshi Yashiki
裕義 屋鋪
Takashi Tanaka
隆 田中
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】鉄損が低い方向性電磁鋼板とその製造方法を提
供する。 【構成】(1) C: 0.01%以下、Si:1.5〜4.0 %、Mn:1.0
〜6.0 %、S: 0.01%以下、酸可溶性Al:0.003〜0.030
%、N: 0.010 %以下およびSn: 0.05〜0.30%を含有
し、かつ〔 Si(%) − 0.5×Mn (%) 〕≦ 2.0で、残部
はFeおよび不可避的不純物からなる方向性電磁鋼板。 (2) 上記 (1)の組成、ただし、N: 0.001〜 0.010%の
スラブを下記〜の工程で処理する方向性電磁鋼板の
製造方法。 熱間圧延を行う工程、 熱間圧延のまま、または熱間圧延後に焼鈍してから、
1回または中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を行う
工程、 連続焼鈍により一次再結晶を起こさせる工程、 825〜925 ℃の温度域で7〜100 時間保持して二次再
結晶を起こさせる工程と、それに引き続く 925℃を超え
1050℃までの温度域で4〜100 時間保持し純化する工程
からなる仕上焼鈍工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、変圧器、発電機、電
動機などの鉄心材料として広く用いられる方向性電磁鋼
板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、ゴス方位と呼ばれる
{110}<001>方位を主方位とする結晶配向を持
ち、圧延方向に著しく優れた励磁特性と鉄損特性を有す
る軟磁性材料である。この種の材料は一般には次のよう
な工程を経て製造される。低炭素でSiを 3.0%前後含有
する炭素鋼のスラブを熱間圧延し、そのままあるいは焼
鈍 (熱延板焼鈍) を行った後、1回または中間焼鈍を挟
んで2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とし、その後
連続脱炭焼鈍を施して一次再結晶させた後、焼き付き防
止のための焼鈍分離剤を塗布してコイルに巻取り、更に
1100〜1200℃の超高温での仕上焼鈍を行う。
【0003】仕上焼鈍の目的は、二次再結晶を発生させ
てゴス方位に集積した集合組織を形成することと、その
あと二次再結晶を発生させるのに用いたインヒビターと
呼ばれる析出物を除去することにある。この析出物の除
去工程は、純化焼鈍とも呼ばれ、二次再結晶の発生とと
もに、良好な磁気特性を得るためには必須の工程と言え
る。
【0004】特公昭62−50529 号公報には、Snを含有す
る鉄損の少ない一方向性電磁鋼板の製造法が示されてい
る。しかし、この発明に示されている鋼は、一次再結晶
を脱炭焼鈍で行い、純化のための仕上焼鈍を1100℃以上
の超高温で処理することが必要な組成のものである。
【0005】以上のような製造方法により得られた方向
性電磁鋼板は、その製造過程で連続脱炭焼鈍や1100℃以
上での超高温の仕上焼鈍というような特殊な工程が必要
であるから、極めてコストの高いものになる。
【0006】このコストの問題を解決すべく、従来から
種々の研究開発が進められている。
【0007】例えば、本発明者らは先に、Si: 0.5〜2.
5 %、Mn: 1.0〜2.0 %、sol.Al:0.003 〜0.015 %
で、かつC:0.01%以下、N: 0.001〜0.010 %を含有
することを主な特徴とする方向性電磁鋼板と、脱炭焼鈍
を必要とせず低温焼鈍が可能なその製造方法を発明した
(特開平1−119644号公報参照) 。この方法は、連続脱
炭焼鈍の省略と仕上焼鈍温度の低下によって、方向性電
磁鋼板のコスト低減に大きく貢献し得るものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、省エネルギーの
気運が一段と高まる趨勢の中で、方向性電磁鋼板に対し
てはその鉄損を小さくすることが強く要望されるように
なってきている。本発明は、上記の特開平1−119644号
公報に示した電磁鋼板およびその製造方法を更に改善す
ることを課題とし、鉄損が極めて低い方向性電磁鋼板と
その製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
(1)の方向性電磁鋼板と (2)の方向性電磁鋼板の製造方
法にある。
【0010】(1) 重量%で、C: 0.01%以下、Si:1.5〜
4.0 %、Mn:1.0〜6.0 %、S: 0.01%以下、酸可溶性A
l:0.003〜0.030 %、N: 0.010 %以下およびSn: 0.05
〜0.30%を含有し、かつ〔 Si(%) − 0.5×Mn (%) 〕
≦ 2.0で、残部はFeおよび不可避的不純物からなる方向
性電磁鋼板。
【0011】(2) 重量%で、C: 0.01%以下、Si:1.5〜
4.0 %、Mn:1.0〜6.0 %、S: 0.01%以下、酸可溶性A
l:0.003〜0.030 %、N:0.001〜0.010 %およびSn: 0.0
5〜0.30%を含有し、かつ〔Si (%) − 0.5×Mn (%)
〕≦ 2.0で、残部はFeおよび不可避的不純物からなる
鋼スラブを、下記〜の工程で処理することを特徴と
する方向性電磁鋼板の製造方法。
【0012】熱間圧延を行う工程、 熱間圧延のまま、または熱間圧延後に焼鈍してから、
1回または中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を行う
工程、 連続焼鈍により一次再結晶を起こさせる工程、 825〜925 ℃の温度域で7〜100 時間保持して二次再
結晶を起こさせる工程と、それに引き続く 925℃を超え
1050℃までの温度域で4〜100 時間保持し純化する工程
からなる仕上焼鈍工程。
【0013】
【作用】まず本発明の基礎となった実験結果について述
べる。以下、合金成分についての%は全て重量%を意味
する。
【0014】表1に示す化学組成の鋼のスラブを 2.0mm
厚に熱間圧延し、 750℃で1時間均熱の熱延板焼鈍を施
した後、酸洗により脱スケールを行い、更に0.30mm厚に
冷間圧延した。その後、 880℃で30秒均熱する非脱炭雰
囲気での連続焼鈍を行い一次再結晶させた。次に、仕上
焼鈍として15%N2+85%H2雰囲気で 880℃で24時間の二
次再結晶を起こさせる均熱および引き続き 100%H2雰囲
気に置換して 950℃で24時間の純化のための均熱からな
る仕上焼鈍を行った。仕上焼鈍後の磁気特性を表1に併
せて示す。
【0015】表1から明らかなように、前述の特開平1
−119644号公報で示した組成の鋼Aに対し、Snを含有さ
せた鋼Bは良好な磁気特性を示した。この現象は、粒界
偏析元素であるSnを含有させることによりインヒビター
効果が強化され、この結果、仕上焼鈍においてゴス方位
粒の選択成長が促進され、ゴス方位集積度の高い二次再
結晶が発生したためにもたらされたものである。
【0016】前記のように、このようなSnの効果は、脱
炭焼鈍や超高温の純化焼鈍を行うことが必要な組成の鋼
の場合には知られていたが、これらの処理を必要としな
い表1に示す組成の鋼Aのスラブに適正なSnを含有させ
ることも、磁気特性改善に有効であることは、従来明ら
かでなかった。本発明はこのような新しい知見を基にな
された。
【0017】
【表1】
【0018】以下に、本発明の構成要件ごとに作用効果
を説明する。
【0019】I 製品電磁鋼板または素材となる鋼スラ
ブの組成 (a) C:製品中のC含有量は鉄損に悪影響を及ぼすた
め、 0.010%以下、望ましくは、0.005 %以下とする必
要がある。製品段階で残存したCは炭化物を生成し、こ
れが磁壁移動の障害物となり鉄損が増加するからであ
る。
【0020】素材となる鋼スラブの段階で、C含有量を
0.010%以下にしておけば、一次再結晶のための連続焼
鈍を脱炭焼鈍としなくともよいことになるので、 0.010
%以下とした。
【0021】(b) Si:Siは磁気特性に大きな影響を与え
る元素であり、含有量が増加するほど鋼板の電気抵抗が
上昇して渦電流損が低下し、結果として鉄損が低減す
る。しかし、4.0 %を超える含有量では加工性が低下し
て冷間圧延が困難となる。一方、 1.5%未満の含有量で
は鋼板の電気抵抗が低く、鉄損の低減ができない。従っ
て、Si含有量の範囲は 1.5〜4.0 %が適当である。
【0022】(c) Mn:Mnは、高Siの極低炭素鋼スラブに
おいてα−γ変態を生じさせるのに有効な元素である。
この変態の発生が熱間圧延中の熱延板の組織の微細化と
均質化を促進し、結果として仕上げ焼鈍でゴス方位への
集積度の高い二次再結晶が安定して発生するとともに、
高Si鋼の加工性を改善することができる。当然、α−γ
変態の発生は、フェライト形成元素であるSiとオーステ
ナイト形成元素であるMnの含有量のバランスで決まるも
のであるから、SiとMnの含有量は関連させて調整しなけ
ればならない。本発明では、〔 Si(%) − 0.5×Mn
(%) 〕≦ 2.0となるようにMnを含有させる。こうする
ことが、熱延板の適当な変態発生に必要である。
【0023】本発明の上限Si含有量である 4.0%の場合
に上式を満たすためには、 4.0%以上のMn含有量が必要
になる。Si含有量が 2.0%未満の材料でも 1.0%以上の
Mnを含有させることが二次再結晶の安定化に有効であ
る。また、MnはSiと同様に鋼板の電気抵抗を上昇させる
のに有効であり、鉄損低減の目的からも 1.0%以上のM
nの含有量が必要となる。しかし 6.0%を超えるMn
含有量は冷間加工性を劣化させるから、その上限を 6.0
%とする。すなわち、Mn含有量は 1.0〜6.0 %の範囲
で、かつ〔 Si(%) − 0.5×Mn (%) 〕≦ 2.0の条件を
満足させることが必要である。
【0024】(d) S:SはMnと結合してMnS を形成す
る。本発明では主要なインヒビターとしてAlN、 (Al、S
i)NやMnを含む窒化物を使っている。従って、一般の方
向性電磁鋼板のように MnSを主要なインヒビターとして
使わないので、Sを多量に添加する必要はない。製品段
階で多量の MnS粒子が鋼中に残存すると鉄損の劣化をき
たす。更に、本発明では仕上げ焼鈍全体を通してその温
度が1050℃以下と低いため、純化焼鈍においても脱硫効
果は期待できない。このため、S含有量は製品において
も、素材の鋼スラブにおいても0.01%以下とする。な
お、鉄損低減の観点から望ましいのは 0.005%以下であ
る。
【0025】(e) 酸可溶性Al(sol.Al):Alは、二次再結
晶の発生に重要な役割を果たす主要なインヒビターであ
るAlNや (Al、Si)Nのような窒化物を形成する重要な元
素である。sol.Alで 0.003%未満では十分なインヒビタ
ー効果が得らない。しかし、sol.Alが 0.030%を超える
とインヒビター量が多くなりすぎるとともにその分散状
態も不適切になり、安定した二次再結晶が生じない。
【0026】(f) N:前述のCと同様に製品中のN含有
量は鉄損に悪影響を及ぼすため、 0.010%以下、望まし
くは 0.006%以下にすることが必要である。製品中のN
含有量は少なければ少ないほど磁気特性は改善される。
製品段階で残存したNは窒化物を生成し、これが磁壁移
動の障害物となり鉄損が増加するからである。したがっ
て、製品中のN含有量を 0.010%以下とした。
【0027】しかし、Nはインヒビターとなる窒化物を
形成する重要な元素であり、二次再結晶が完了するまで
はその適当量が必要である。鋼スラブの段階では 0.001
%未満では窒化物の析出量が少なすぎて所望のインヒビ
ター効果が得られず、一方、0.010 %を超えて含有させ
ると、その効果は飽和することから 0.001〜0.010 %の
範囲が適当である。このNも純化焼鈍時に上記の所望の
低い含有量にまで低減できる。
【0028】(g) Sn:Snは前述のように粒界偏析元素と
してインヒビター効果を有する。適切な量を含有させる
と、本発明の主要なインヒビターである AlN、 (Al、S
i)NやMnを含む窒化物とのインヒビター効果の相乗作用
により、ゴス方位への集積度の高い二次再結晶が生じ
る。このようなSnの効果は、0.05%未満の含有量では得
られない。
【0029】一方、0.30%を超えると過剰なインヒビタ
ー効果を発現し、二次再結晶が不安定となる。よって、
Snの含有量を0.05〜0.30%とした。
【0030】II 製造工程 (a) 第の工程(熱間圧延):素材の鋼スラブは前記の
組成をもつものである。これは、転炉、電気炉等で溶製
し、必要があれば真空脱ガス等の処理を施した溶鋼を、
連続鋳造法でスラブにしたもの、あるいはインゴットに
して分塊圧延したもののいずれでもよい。
【0031】熱間圧延の条件については特に制約はない
が、望ましい温度範囲は、加熱温度で1100〜1270℃、仕
上温度で 700〜950 ℃である。
【0032】(b) 第の工程(熱延板焼鈍、冷間圧
延):熱延鋼板を1回または複数回の冷間圧延によっ
て、所定の製品板厚まで圧延する。このとき、冷間圧延
開始前に焼鈍(いわゆる熱延板焼鈍)を行ってもよい。
【0033】この熱延板焼鈍は、析出物の分散状態の適
正化と熱延板の再結晶によるミクロ組織の均質化を促進
し、二次再結晶の発生を安定化するのに有効である。
【0034】熱延板焼鈍を連続焼鈍で行う場合は 750〜
1100℃で10秒から5分の均熱、箱焼鈍で行う場合は 650
〜950 ℃で30分〜24時間の均熱とするのが望ましい。
【0035】複数回の冷間圧延を行う場合は中間に焼鈍
工程を挟む。この中間焼鈍は、 700〜1000℃の温度で行
うのが望ましい。また、連続焼鈍で良好な一次再結晶組
織を得るためには、最終の冷間圧延の圧下率として40〜
90%が望ましく、更に言えば60〜90%が効果的である。
【0036】(c) 第の工程(仕上げ焼鈍前の連続焼
鈍、一次再結晶焼鈍):後述の仕上焼鈍で安定した二次
再結晶を発生させるためには、急速加熱による一次再結
晶が必要であり、このために連続焼鈍が有効である。こ
の焼鈍温度の範囲としては 700〜1000℃とすることが望
ましい。
【0037】(d) 第の工程(二次再結晶および純化の
ための仕上焼鈍):仕上焼鈍の目的は、二次再結晶の発
生とその後の純化焼鈍と呼ばれる析出物の除去である。
ゴス方位への集積度の高い二次再結晶を発生させるため
には、その温度域でインヒビター強度を適切に制御する
ことが重要である。
【0038】仕上焼鈍工程の前半において、 825〜925
℃の温度域でまず7〜100 時間保持するのは、この温度
域で最も適切なインヒビター強度が得られ、ゴス方位へ
の集積度の高い二次再結晶が発生するからである。 825
℃未満では、インヒビターの効果、すなわち粒成長抑制
力が強すぎて二次再結晶が発生しない。一方、 925℃を
超える温度域では、インヒビター効果が弱いためゴス方
位の集積度の低い二次再結晶が発生するか、あるいは正
常粒成長により一次再結晶粒が粗大化するだけである。
【0039】825〜925 ℃の範囲での保持時間が7時間
未満では、二次再結晶の発生に十分ではなく、一方、 1
00時間を超える保持は意味がなく経済的にも不利であ
る。これらの理由で、二次再結晶の発生を目的とする焼
鈍工程の条件を、 825〜925 ℃で7〜100 時間保持する
こととした。
【0040】この温度域での焼鈍はN2を5〜50%で含有
する雰囲気で行うのが望ましい。この理由は、インヒビ
ターとして作用する窒化物が脱窒により減少し、二次再
結晶が不安定になるのを防止するためである。更に積極
的な意味としては、焼鈍雰囲気からの吸窒によりインヒ
ビターとして作用する窒化物の析出量を増加させて、ゴ
ス方位への集積度の高い二次再結晶を発生させるためで
ある。
【0041】二次再結晶が発生した後は、インヒビター
の窒化物は磁気特性上有害なものであり、除去、すなわ
ち純化する必要がある。この目的で上記に引き続く仕上
焼鈍工程の後半部は、雰囲気を 100%のH2に置換して、
925℃を超え1050℃までの温度域で4〜100 時間保持す
る純化焼鈍を行う。 925℃以下では脱窒効果が十分でな
く、一方、1050℃を超えると脱窒効果は飽和するので意
味がない。
【0042】保持時間が4時間未満では脱窒反応が十分
進行せず、一方、 100時間を超える保持は不必要でその
意味がない。従って、脱窒純化を目的とする仕上焼鈍工
程の後半部の条件を、 925℃を超える温度から1050℃ま
での温度域で4〜100 時間保持することとした。
【0043】なお、仕上焼鈍の前に焼鈍時の焼き付き防
止のための焼鈍分離剤を塗布することは、通常の方向性
電磁鋼板の製造方法と同じである。仕上焼鈍後の工程と
しては通常の方向性電磁鋼板と同様に、焼鈍分離剤を除
去した後、必要に応じて絶縁コーティングを施したり平
坦化焼鈍を行うことになる。
【0044】
【実施例】
(試験1)転炉で溶製し、真空処理で成分調整した後、
連続鋳造により得たC:0.0035%、Si:2.45%、Mn:2.
04%、S:0.0006%、sol.Al: 0.010%、N:0.0055%
およびSn:0.10%で、残部はFeおよび不可避的不純物か
らなり、〔 Si(%) −0.5×Mn (%) 〕が1.43の、本発
明で定める範囲の組成を有する鋼スラブを、加熱温度12
40℃、仕上温度 820℃で熱間圧延し 2.0mm厚に仕上げ
た。
【0045】次に酸洗により脱スケールしてから、 750
℃で1時間均熱する箱焼鈍方式の熱延板焼鈍を行った
後、1回の冷間圧延で0.30mm厚まで冷間圧延した。その
冷延板を非脱炭雰囲気(50%N2+50%H2、露点は−15℃
以下)中、 875℃で30秒間均熱する連続焼鈍に付し、一
次再結晶させた後、焼鈍分離剤を塗布して仕上焼鈍を実
施した。仕上焼鈍は、25%N2+75%H2雰囲気中で、 890
℃に昇温して24時間均熱後、引き続き 100%H2雰囲気に
置換して表2に示す温度で純化を行った。このようにし
て得られた鋼板の圧延方向の磁気特性を併せて表2に示
す。
【0046】表2に示すとおり、いずれの試験において
も、純化温度条件によらず良好な磁気特性が得られてい
るが、なかでも純化温度条件も本発明で定める範囲であ
る試験No.2、3 では鉄損が極めて低く、また磁束密度も
高く、極めて良好な特性となっている。
【0047】
【表2】
【0048】(試験2)表3に示すように、Sn以外の組
成はほぼ同一で、いずれも本発明で定める範囲内にあ
り、Snの含有量を変化させた8種類の鋼を用いた。試験
1と同じ方法で溶製、鋳造して得られたスラブを試験1
と同じ条件で熱間圧延し 1.8mm厚に仕上げた。この熱延
板を、 880℃で1分間均熱する連続焼鈍による熱延板焼
鈍を施してから酸洗して脱スケールし、次いで1回の冷
間圧延で0.27mm厚とした。
【0049】この冷延板を非脱炭雰囲気(75%N2+25%
H2、露点は−25℃以下)中、 875℃で30秒保持均熱する
連続焼鈍に付して一次再結晶させた後、焼鈍分離剤を塗
布して仕上焼鈍を行った。仕上焼鈍は、10%N2+90%H2
雰囲気中で 880℃に昇温して24時間均熱後、 100%H2
囲気に切り替えてさらに 950℃で24時間均熱する純化を
行い炉冷した。得られた鋼板の圧延方向の磁気特性を表
4に示す。
【0050】Snが本発明で定める下限量よりも低い試験
No.4、 No.5では、二次再結晶は発生するもののイン
ヒビター効果が弱く、ゴス方位への集積度が低いため鉄
損が高く、良好な磁気特性を示さない。Snが本発明で定
める範囲よりも高い No.9やSi(%) −0.5 ×Mn (%)
が本発明で定める範囲より高い試験 No.10では、二次再
結晶の発生が不十分であるので、鉄損および磁束密度の
両面で非常に悪いものとなっている。これらに対して、
本発明の電磁鋼板の例に相当する No.6、 No.7、 No.
8、 No.11は、極めて良好な磁気特性を示している。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、鉄損が極めて低く、変
圧器、発電機、電動機などの鉄心材料として用いるのに
好適な方向性電磁鋼板を製造することができる。この製
造方法は、長時間を要する脱炭焼鈍工程や1150〜1200℃
といった超高温での仕上げ焼鈍工程を必要としないから
製造コストの低減という面でも有利である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C: 0.01%以下、Si:1.5〜4.0
    %、Mn:1.0〜6.0 %、S: 0.01%以下、酸可溶性Al:0.0
    03〜0.030 %、N: 0.010 %以下およびSn: 0.05〜0.30
    %を含有し、かつ〔 Si(%) − 0.5×Mn (%) 〕≦ 2.0
    で、残部はFeおよび不可避的不純物からなる方向性電磁
    鋼板。
  2. 【請求項2】重量%で、C: 0.01%以下、Si:1.5〜4.0
    %、Mn:1.0〜6.0 %、S: 0.01%以下、酸可溶性Al:0.0
    03〜0.030 %、N:0.001〜0.010 %およびSn: 0.05〜0.
    30%を含有し、かつ〔Si (%) − 0.5×Mn (%) 〕≦
    2.0で、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラ
    ブを、下記〜の工程で処理することを特徴とする方
    向性電磁鋼板の製造方法。 熱間圧延を行う工程、 熱間圧延のまま、または熱間圧延後に焼鈍してから、
    1回または中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を行う
    工程、 連続焼鈍により一次再結晶を起こさせる工程、 825〜925 ℃の温度域で7〜100 時間保持して二次再
    結晶を起こさせる工程と、それに引き続く 925℃を超え
    1050℃までの温度域で4〜100 時間保持し純化する工程
    からなる仕上焼鈍工程。
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