JPH06183824A - 磁器質製品用シート及び磁器質製品 - Google Patents

磁器質製品用シート及び磁器質製品

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JPH06183824A
JPH06183824A JP4337638A JP33763892A JPH06183824A JP H06183824 A JPH06183824 A JP H06183824A JP 4337638 A JP4337638 A JP 4337638A JP 33763892 A JP33763892 A JP 33763892A JP H06183824 A JPH06183824 A JP H06183824A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 紙のように折曲げたり、切ったり、貼ったり
できる性質を有する磁器質製品用シートを提供する。ま
た、この磁器質製品用シートを焼成して形成され、吸水
性のない磁器質で透光性を有し、かつ十分な強度を有す
る磁器質製品を提供する。 【構成】 磁器質製品用シートは、磁器坏土粉末を主成
分とし、これにリン酸カルシウム、特に第二リン酸カル
シウム又はリン酸マグネシウムと、パルプ特にポリオレ
フィン系合成樹脂パルプとを配合した組成物を抄造容器
1に注入して抄造することにより得られる。また、この
組成物にさらにセラミック繊維を配合した組成物を抄造
することによっても得られる。リン酸カルシウム又はリ
ン酸マグネシウムに代えて、ガラス粉末を用いてもよ
い。磁器質製品は、磁器質製品用シートを所定温度で焼
成することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば工芸用の装飾
品等として利用される磁器質製品用シート及びこれを焼
成してなる磁器質製品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、陶磁器坏土粉末と木材パルプ
を混抄してシート状とした陶紙が知られている。また、
磁器坏土を用いた陶紙に磁器坏土泥漿を含浸塗布し、表
面に釉薬を施して焼成し、外観上磁器質に見せかけてい
るものも報告されている。
【0003】さらには、陶磁器坏土泥漿にアクリル系や
酢酸ビニール系の高分子エマルジョンをバインダーとし
て配合し、これに凝集剤を添加して固形分をフロック化
して抄造し、加圧脱水して得られる陶磁器質製品用シー
トも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来の陶紙は、抄造する粉末原料が磁器用坏土粉末であっ
ても、その焼成品は吸水性が残り、透光性を有しない上
に、強度や品格に乏しい陶器質であるという問題点があ
った。
【0005】また、上記陶紙に磁器坏土泥漿を含浸塗布
し、釉薬を施して焼成し外観上磁器質に見せかけても、
やはり陶器質であり、上記と同様の問題点があった。さ
らに、前記のようなバインダーを添加して抄造する陶磁
器質製品用シートは、抄造時に濾過性が著しく悪く、減
圧吸引脱水に長時間を要する上、高圧でプレスして強制
脱水しなければならず、生産効率が非常に悪いという問
題点があった。加えて、この陶磁器シートの焼成時にバ
インダーが焼失し、黒煙や刺激臭を発するという問題点
があった。
【0006】この発明は上記従来の問題点に着目してな
されたものであって、その目的は紙のように折曲げた
り、切ったり、貼ったりできる性質を有するとともに、
焼成時に黒煙や刺激臭を発することのない磁器質製品用
シートを提供することにある。さらに、この磁器質製品
用シートを焼成して形成され、吸水性のない磁器質で透
光性を有するとともに、十分な強度を有する磁器質製品
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明の磁器質製品用シートにおいては、磁器
坏土粉末を主成分とし、これにリン酸カルシウム又はリ
ン酸マグネシウムと、パルプとを配合した組成物を抄造
してなることを特徴とする。第2の発明では、磁器坏土
粉末を主成分とし、これにリン酸カルシウム又はリン酸
マグネシウムと、パルプと、セラミック繊維とを配合し
た組成物を抄造してなることを特徴とする。また、第3
の発明では、磁器坏土粉末を主成分とし、これにガラス
粉末と、パルプと、セラミック繊維とを配合した組成物
を抄造してなることを特徴とする。
【0008】さらに、第4の発明では、前記パルプがポ
リオレフィン系合成樹脂パルプであることを特徴とす
る。第5の発明では、前記セラミック繊維が酸化アルミ
ニウム45〜50重量%と二酸化ケイ素50〜55重量
%とからなることを特徴とする。また、第6の発明の磁
器質製品においては、前記第1〜5の発明の磁器質製品
用シートを所定温度で焼成してなることを特徴とする。
【0009】以下にこの発明を、図面を参照して詳細に
説明する。この発明の磁器質製品用シートを得るには先
ず、当該シートを易焼結性とする為に、磁器坏土粉末を
主成分とし、これにリン酸カルシウム又はリン酸マグネ
シウムを配合して、又はガラス粉末を配合して粉末原料
を調製する。磁器坏土粉末は長石、珪石、カオリン、粘
土及び陶石を主成分とする組成物を粉砕して、含水練土
状態とし、これを乾燥した粉末である。この磁器坏土粉
末は焼成後に磁器質製品となり、この磁器質製品の吸水
性をなくすとともに、透光性と強度を発揮させるために
使用される。また、磁器坏土粉末は食器やタイル等の坏
土原料として用いられ、焼成して磁器質となる配合であ
れば、どのような調合でも良い。
【0010】リン酸カルシウム又はリン酸マグネシウム
は、フラックス(融剤)、すなわち焼結助剤として使用
されるもので、磁器質製品用シートを焼成しやすくした
り、効果的に磁器化させたり、緻密にして強度を向上さ
せたりする働きを有する。リン酸カルシウムは第一リン
酸カルシウム(リン酸二水素カルシウム、Ca(H2PO4)2)
、第二リン酸カルシウム(リン酸一水素カルシウム、C
aHPO4又はCaHPO4・2H2O)及び第三リン酸カルシウム
(リン酸三カルシウム、Ca3(PO4)2 )があるが、上記の
ような機能を有効に発揮させるために第二リン酸カルシ
ウムが好ましい。この第二リン酸カルシウムは、牛骨か
らゼラチンを抽出する工程で得られる合成骨灰と呼ばれ
るものや、リン鉱石の加工によって得られるもので良
い。
【0011】また、リン酸マグネシウムも第一リン酸マ
グネシウム(リン酸二水素マグネシウム、Mg(H2P
O4)2)、第二リン酸マグネシウム(リン酸一水素マグネ
シウム、MgHPO4)、第三リン酸マグネシウム(リン酸三
マグネシウム、Mg3(PO4)2 )があるが、前記機能を発現
させるために第二リン酸マグネシウムが好適である。
【0012】これらリン酸カルシウム又はリン酸マグネ
シウムはそれぞれ単独で使用できるほか、両者を併用し
て使用することもできる。これら成分の配合割合として
は、主成分である磁器坏土粉末100重量部に対し、フ
ラックスとして機能するリン酸カルシウム又はリン酸マ
グネシウムを3〜15重量部とするか、又はガラス粉末
を15〜200重量部とするのが好ましい。
【0013】リン酸カルシウム又はリン酸マグネシウム
の配合量は、3重量部未満ではフラックスとしての効果
が十分ではなく、15重量部を超える量で添加してもそ
れ以上の効果の向上は望めず、かえって粉末原料の価格
増となるので好ましくない。
【0014】さらに、ガラス粉末は前記リン酸カルシウ
ム又はリン酸マグネシウムと同様の機能を有するもので
あり、単独で配合できるほか、リン酸カルシウム又はリ
ン酸マグネシウムと併用して配合してもよい。両者の併
用は、フラックスとしての効果を高める点で好ましい。
このガラス粉末は市販されている各種フリット粉末や板
ガラスや瓶ガラスのカレット粉末等が用いられる。ま
た、その形態は、鱗片状又は粒状の粉末で、軟化温度が
約500〜900℃の範囲のものであればその組成によ
らず用いられる。そのうち、磁器質製品用シートの用途
上、環境汚染の心配が少ない無鉛ガラス組成であること
が好ましい。
【0015】ガラス粉末の配合量は、磁器坏土の種類に
よって差があるが、磁器坏土粉末100重量部に対し、
15〜200重量部が好適である。この配合量が15重
量部未満であると、フラックスとしての効果が十分でな
く、200重量部を超えると、焼成時にガラス粉末の発
泡が生じて焼成品の表面だけが溶融したビスケット状に
なったり、焼成時の収縮が大きくなりすぎたりするほ
か、粉末原料の価格増を招く為好ましくない。
【0016】次に、上記粉末原料を適量の水に分散さ
せ、これにパルプを配合するか、又はパルプとセラミッ
ク繊維とを配合する。具体的には、前記粉末原料の10
0重量部にパルプ、特にポリオレフィン系合成樹脂パル
プを2〜30重量部及びセラミック繊維を2〜30重量
部配合し、ヒーター等で加熱して十分混合分散させた
後、一般的な抄紙用凝集剤を適量添加して凝集させ抄造
スラリーとする。
【0017】このとき、パルプが木材パルプ等の天然パ
ルプであると、焼成品内部にパルプが焼失して生じる気
孔が残存し、焼成品は吸水性のある陶器質となりやす
い。一方、熱可塑性樹脂からなる合成樹脂パルプである
と、焼成時にセラミック繊維等と融合して全体的に収縮
しながら焼失するので気孔が残存し難くなる。しかも、
その焼成残留灰分が天然パルプの焼成残留灰分より極微
量であるか皆無であるという利点がある。また、特にポ
リオレフィン系の合成樹脂パルプは、例えばポリエチレ
ン系合成樹脂パルプのようにフィブリル化が十分なされ
ているので、粉末原料の担持力が大きくなっていると同
時に、天然パルプのような良好な濾過性が得られる。従
って、ポリエステル系やアクリル系等の繊維に比べて、
焼成時に黒煙の発生や、刺激臭の発生が少なくなる利点
がある。
【0018】このようなパルプは前述のように、粉末原
料100重量部に対して2〜30重量部の範囲で添加さ
れるのが好ましい。この配合量が2重量部未満である
と、パルプへの粉末の担持量が少なくなり過ぎ、濾過性
の顕著な向上がないばかりか、シートの生強度も弱くな
る。30重量部を超えると、抄造シート表面の平滑性を
得難く、得られたシートの密度が小さく、焼成時の収縮
が大きくなり過ぎたり、また発煙や臭気が多くなり過ぎ
るおれがある。
【0019】次に、セラミック繊維は、抄造時の濾過性
を高めると同時に、焼成時の収縮を出来るだけ押さえる
とともに、焼成時の変形を小さくし、かつ切れの発生を
防止する機能を有する。そのため、セラミック繊維は、
その耐火度が粉末原料よりやや高いものが良く、市販さ
れる酸化アルミニウム(Al2 3 )が40〜50重量
%と二酸化ケイ素(SiO2 )が50〜60重量%とか
らなるアルミノシリケート繊維が最適である。その上、
このアルミノシリケート繊維は、ガラス繊維よりも人の
肌に対する刺激性が少ないという利点がある。
【0020】セラミック繊維の配合量は、前述のように
粉末原料100重量部に対して2〜30重量部の範囲が
好適である。この割合が2重量部未満であると、焼成時
の変形や収縮を抑制する効果がほとんど無く、逆に30
重量部を超えると抄造シートの表面平滑性を得難く、易
焼結性を損なうおそれがある。
【0021】このようにして得られた抄造スラリーを図
1に示す抄造装置で抄紙する。すなわち、抄造装置につ
いて説明すると、四角箱状をなす抄造容器1は、その上
部が開放され、下部は斜状に形成されている。抄造ネッ
ト2は抄造容器1にパッキン3を介して取付固定されて
いる。濾水板4は蜂の巣状に構成され、抄造ネット2の
下部に取着されている。排水パイプ5は四角筒状に形成
され、前記抄造容器1の下部に一体形成されている。減
圧吸引用パイプ6は排水パイプ5の中間に一体的に形成
され、抄造ネット2より下方の空間を減圧状態に保持す
る。
【0022】そして、この抄造容器1内にその上方から
抄造スラリーを流し込み、抄造ネット2を介して濾水す
ることにより、抄造ネット2上にウェットシートが得ら
れる。このウェットシートを図2に示す加熱プレス乾燥
装置で乾燥する。この乾燥装置について説明すると、下
部プレス板7は台座8上に接合固定されている。上部プ
レス板9は昇降プレス軸10の下端に取付けられ、図示
しないヒータが内蔵されている。
【0023】そして、下部プレス板7上にウェットシー
トを載せ、昇降プレス軸10を下降させて加熱された上
部プレス板9でプレスする。その結果、所定の磁器質製
品用シートが得られる。この磁器質製品用シートを常法
に従って焼成炉で最高温度が1050〜1350℃とな
る条件で焼成することにより、磁器質製品が得られる。
【0024】上記のようにして得られた磁器質製品用シ
ートは、運搬や加工が容易である。また、この磁器質製
品用シートは通常の紙のような性質を有し、所定形状に
折曲げたり、切ったり、貼ったりすることが可能であ
り、工芸用のシートとして有用である。そのため、通常
の折り紙と同様に鶴や花の形状に容易に折ることができ
る。また、この磁器質製品用シートを焼成して得られた
磁器質製品は、透光性を有するが、吸水性がないため、
装飾品のほか食器、タイル等として利用される。
【0025】
【作用】第1の発明においては、磁器質製品用シートが
磁器坏土粉末を主成分とし、これにリン酸カルシウム又
はリン酸マグネシウムと、パルプとを配合した組成物を
抄造してなることから、磁器質製品用シートは紙のよう
な性質を有し、折ったり、曲げたりすることが容易であ
る。また、この磁器質製品用シートは焼成により磁器化
が可能であり、従来用いたバインダーによる黒煙や刺激
臭の発生が回避される。
【0026】第2の発明では、第1の発明の組成物に加
えてセラミック繊維を配合した組成物を抄造してなるこ
とから、得られる磁器質製品用シートが緻密となり、結
合力が向上する。第3の発明では、前記リン酸カルシウ
ム又はリン酸マグネシウムに代えてガラス粉末を用いる
ことにより、リン酸カルシウム又はリン酸マグネシウム
と同様に、フラックスとしての機能が発揮される。
【0027】さらに、第4の発明では、前記パルプがポ
リオレフィン系合成樹脂パルプであることにより、この
パルプが焼成時に溶融しながら全体的に収縮し、磁器質
製品用シート中に気孔が発生しない。第5の発明では、
前記セラミック繊維が酸化アルミニウム(Al2 3
45〜50重量%と二酸化ケイ素(SiO2 )50〜5
5重量%とから成り、このような組成を有するアルミノ
シリケート繊維は耐火度が高く、しかも人の肌に対する
刺激性が少ない。加えて、第6の発明においては、前記
磁器質製品用シートを所定の温度で焼成することによ
り、透光性を有し、吸湿性を有さない磁器質製品が得ら
れる。
【0028】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げてこの発明
を更に具体的に説明する。 (実施例1〜16及び比較例1,2)表1に示した配合
割合の磁器坏土粉末と、表2に示した組成のガラス粉末
と、第二リン酸カルシウム又は第二リン酸マグネシウム
とを表3,4に示す配合割合で混合して粉末原料とし
た。これに、ポリエチレン系合成樹脂パルプと、表2に
示す組成のセラミック繊維とを表5,6に示した配合割
合で適量の水に分散混合し、アニオン系あるいはカチオ
ン系の凝集剤を適量添加して凝集させ、抄造スラリーと
した。
【0029】なお、表1及び表2における数字は重量%
であり、磁器化温度は200℃/時の昇温速度で焼成し
たときに磁器化する温度を示す。また、表3及び表4に
おける数字は重量部を表す。表4において、ポリエチレ
ン合成パルプとしては三井石油化学株式会社製商品名S
WPを用い、天然パルプとしては麻パルプを用いた。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】上記のようにして得られた抄造スラリーを
図1のような抄造装置で、ウェットシートとし、図2の
ような加熱プレス乾燥装置で乾燥するか、又は常温プレ
ス後、自然乾燥して生シートを得た。得られた生シート
は電気炉にて、毎時200℃の昇温速度で、それぞれの
組成に合った最高焼成温度まで上昇させ、その温度で3
0分間保持したのち自然冷却して、焼成品を得た。この
焼成品の性状等の結果を表7及び表8に記した。
【0037】表7,8において、生シートの外観は、抄
造シートの仕上がりを次のような基準で評価した。A…
表面平滑性が良好で、厚みのバラツキがない。B…表面
平滑性が少々劣り、若干の厚みバラツキがあるが、使用
目的に支障がない。C…表面平滑性が不良で、厚みのバ
ラツキが大きい。また、焼成温度は電気炉にて200℃
/時間の昇温速度で昇温し、最高温度で30分間保持し
て自然冷却したときの電気炉の最高温度を示す。
【0038】吸水率は焼成片を30分間熱湯煮沸したと
きの重量変化で吸水性の有無を判断した。透光性は暗室
で20ワット白色電灯を焼成品裏面から当て、光の透け
具合を観察し合わせて市販磁器製品の透光性と近似厚み
で比較した。aは市販ボーンチャイナ以上、bは市販ボ
ーンチャイナ以下で白色磁器並み、cは透光性無しのラ
ンクで表記した。嵩比重は焼成品の重量をその体積で割
った値(小数点第2位で四捨五入)を示す。焼成品の外
観は、焼成品の色調を観察したものである。
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】
【0041】表7,8に示したように、実施例1〜9で
は磁器質製品用シートは、外観は良好で、磁器質製品は
吸水性がなく、透光性はa又はbで嵩比重も高い。ま
た、実施例10〜14においては、いずれも透光性はa
であり、第二リン酸カルシウムとガラス粉末の併用効果
が示されている。また、実施例15,16に示すよう
に、第二リン酸マグネシウムを用いた場合にも、第二リ
ン酸カルシウムを用いた場合と同様の良好な性能が得ら
れた。一方、比較例1,2においては、磁器質製品は吸
水性を有するとともに、透光性や嵩比重も低い。
【0042】また、この実施例の磁器質製品用シート
は、次のような優れた効果が得られる。 (1) 抄造スラリーの濾水性が良いので、シート成形が容
易で機械による連続抄造もでき、抄造作業効率が良く、
低コスト化が可能である。 (2) 同じく抄造スラリーの良好な濾水性に基づいて、比
較的厚みの大きなシートが得られる。 (3) プレス乾燥時に表面に凹凸模様を施すことが出来
る。 (4) 色のちがう2種以上のスラリーを同時に抄造する
と、練り上げ練り込み調の彩色ができる。 (5) 生シートの加工は、カッターやハサミ等の刃物で容
易に出来、所望の形状が簡単に得られる。 (6) 生シートへのプリントや刷毛塗り等による彩色が容
易であるとともに、生産性に富み、加工が容易な極めて
品格の高い趣き豊かな磁器工芸品を提供することが出来
る。 (7) アクリル系樹脂や酢酸ビニール系樹脂等のバインダ
ーを用いるシートより、焼成時の黒煙や刺激臭の発生が
軽微である。 (8) 磁器質製品用シートは紙のように取扱うことができ
るため、運搬や保存が容易である。 (9) 組成物の配合を変えることにより、陶磁器の一般的
な焼成温度域である1050〜1350℃で焼結磁器化
するシートが得られる。 (10)良好な強度が発現されることから、焼成時に磁器質
製品に切れの発生が少なく、焼成変形も少ない。
【0043】なお、この発明は上記実施例に限定される
ものではなく、発明の要旨を超えない範囲で例えば、合
成樹脂パルプとして、ポリプロピレン系パルプ等を用い
る等、その構成を任意に変更して具体化してもよい。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように、第1の発明によれ
ば、磁器質製品用シートは紙のような性質を有し、折曲
げたり、切ったり、貼ったりできる性質を有するととも
に、磁器質製品用シートは焼成により磁器化が可能であ
り、焼成時に黒煙や刺激臭を発することがないという優
れた効果を奏する。第2の発明によれば、磁器質製品用
シートは緻密となり、その強度が向上するという効果が
得られる。第3の発明によれば、ガラス粉末がリン酸カ
ルシウム又はリン酸マグネシウムと同様に、フラックス
としての機能を発揮し、所望の磁器質製品用シートとな
るという効果を奏する。
【0045】さらに、第4の発明によれば、焼成時にポ
リオレフィン系合成樹脂パルプが溶融しながら収縮し、
磁器質製品用シート中に気孔が発生しないという効果が
得られる。第5の発明によれば、セラミック繊維が所定
量の酸化アルミニウム(Al 2 3 )と二酸化ケイ素
(SiO2 )とからなるアルミノシリケート繊維を用い
るため、耐火性に優れるとともに、人の肌に対する刺激
性が少ないという効果を奏する。加えて、第6の発明に
よれば、磁器質製品が磁器質製品用シートを所定の温度
で焼成することにより得られ、透光性を有し、吸湿性を
有さず、十分な強度を有するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例における磁器質製品用シート
を製造する抄造装置を示す部分破断した斜視図である。
【図2】ウェットシートを脱水乾燥するホットプレス乾
燥器を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…抄造容器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁器坏土粉末を主成分とし、これにリン
    酸カルシウム又はリン酸マグネシウムと、パルプとを配
    合した組成物を抄造してなることを特徴とする磁器質製
    品用シート。
  2. 【請求項2】 磁器坏土粉末を主成分とし、これにリン
    酸カルシウム又はリン酸マグネシウムと、パルプと、セ
    ラミック繊維とを配合した組成物を抄造してなることを
    特徴とする磁器質製品用シート。
  3. 【請求項3】 磁器坏土粉末を主成分とし、これにガラ
    ス粉末と、パルプと、セラミック繊維とを配合した組成
    物を抄造してなることを特徴とする磁器質製品用シー
    ト。
  4. 【請求項4】 前記パルプがポリオレフィン系合成樹脂
    パルプであることを特徴とする請求項1〜3に記載の磁
    器質製品用シート。
  5. 【請求項5】 前記セラミック繊維が酸化アルミニウム
    45〜50重量%と二酸化ケイ素50〜55重量%とか
    らなることを特徴とする請求項2又は3に記載の磁器質
    製品用シート。
  6. 【請求項6】 前記請求項1〜5に記載の磁器質製品用
    シートを所定温度で焼成してなることを特徴とする磁器
    質製品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001233664A (ja) * 2000-02-22 2001-08-28 Advance Co Ltd 緻密なセラミックス
JP2011519817A (ja) * 2008-05-12 2011-07-14 ビズエスプ リミテッド 高密度itoスパッタリングターゲットの製造方法

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