JPH06182842A - 射出成形技術の支援方法およびその装置 - Google Patents

射出成形技術の支援方法およびその装置

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JPH06182842A
JPH06182842A JP8127191A JP8127191A JPH06182842A JP H06182842 A JPH06182842 A JP H06182842A JP 8127191 A JP8127191 A JP 8127191A JP 8127191 A JP8127191 A JP 8127191A JP H06182842 A JPH06182842 A JP H06182842A
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JP
Japan
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molding
countermeasure
condition
defective
molding condition
Prior art date
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Application number
JP8127191A
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English (en)
Inventor
Nobuhiro Haramoto
信洋 原本
Seiji Kameoka
誠治 亀岡
Masashi Kato
正志 加戸
Hajime Ezaka
元 江坂
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Japan Steel Works Ltd
Original Assignee
Japan Steel Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形品の不良状況に対して適切な対策案を、
より効率的に導出する。 【構成】 初期成形条件設定手段103が良品成形条件
データベース205を参照して選択した、対象成形品に
対する初期成形条件を成形条件出力手段110を通して
射出成形機300に設定する。この射出成形機300に
よって成形した成形品400に成形不良が発生した場
合、対策推論手段101によって、前記成形不良に対す
る複数の対策案を順次導出し、該対策案に関わる成形条
件を成形条件出力手段110を通して射出成形機300
に設定して射出成形を行なわせる。そして、射出成形機
300によって成形した成形品400が良品と判断され
た場合、その時の成形条件を良品成形条件として良品成
形条件データベース205に格納する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形機における射
出成形技術の支援方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】射出成形に於て製品を生みだす最も大切
な作業に成形条件出しがある。一般に成形条件は、成形
品の形状・寸法や成形材料或いは射出成形機によって大
きく異なってくる。又、成形時の速度、圧力、温度等多
くの制御パラメータが複雑に関係し合っている為、この
成形条件出し作業は、いわゆる熟練技術者の勘と経験に
頼っているのが現実であり、非常に難しい作業である。
専門的な知識・経験が少ないものは勿論、特に初心者で
は不可能に近い。この射出成形機を熟知した専門家の育
成にはかなりの時間と費用を要しているのが実情であ
る。
【0003】射出成形の専門家が成形条件出しを行なう
際、 1.過去の類似成形品のデータを参考とし、金型を壊さ
ないような初期成形条件を設定する。
【0004】2.実際に成形を行ない、成形品に発生し
ている成形不良の種類と程度を観察し、どの不良を優先
的に対策すべきかを決定する。
【0005】3.選定した成形不良に対し、考えられる
対策の中から、現在の成形条件の設定状況を見て、最も
有効と思われる対策を選択して実行する。
【0006】4.対策の効果を確認しながら、成形不良
が無くなるまで、この作業を繰返して行なう。
【0007】5.成形不良が無くなったら、生産性・安
定性を考慮した最終微調整を行なう。 という手順に従って、最適な成形条件を設定している。
ここでは、通常、発生している成形不良に関する原因を
詳細に分析したり、その分析に基づいて対策案候補を導
出するといった、理論的・解析的なアプローチよりは、
複数の対策案の中から経験と勘により直感的にある対策
を決定する場合が多い。最初に選択した対策により不良
が解消されるとは限らず、3・4項を繰返すという試行
錯誤を行ないながら最適成形条件を探索している。
【0008】成形条件出し時の成形不良対策中で、発生
している不良に対し、仮りに対策A〜Eが考えられると
すると、射出成形の専門家は、 ある複数の対策、例えばAとBを交互に実行してい
く。
【0009】 ある対策、例えばAを実行したら、そ
の後は必ず他の特定の対策、例えばBを実行する。
【0010】 ある対策、例えばAを実行し、その結
果によって特定の対策を実行する。例えば、改善されて
いれば対策Bを、悪化していれば対策Cを実行する。 他の全ての対策、例えばA,B,C,Dの順に実行
し全て失敗しても、残りの対策Eを実行してその結果改
善されていれば、再度Aに戻って対策を実行していく。 等々多様なパターンで対策を実施しており、考えられる
複数の対策の間のなんらかの順序関係−対策手順的な知
識を有していることが分る。
【0011】即ち、専門家はその時点で最適と思われ
る、ある一つの対策を提示するのではなく、考えられる
複数の対策の順番=対策手順を、過去の経験から導き出
している。
【0012】一般に、最初に選択した対策により不良が
解消される場合は少なく、この対策手順に関する知識
は、如何に早く最適な成形条件を設定できるかに大きく
関わっており、専門家の持つ重要な知識と言える。
【0013】上述のような射出成形の専門家が持つ経験
・ノウハウを抽出・整理し、エキスパートシステムを構
築するという、知識工学的アプローチを行ない、熟練者
でなくても成形条件出し作業を行なえる、或いは専門家
の作業を支援し、より効率的に成形条件出しが行なえる
ようにしようとする試みが提案されている。
【0014】本発明以前の同種システムに関する従来技
術としては、 特開昭63−209917 特開昭63−209918 特開昭64−24719 特開平02−128820 が挙げられる。
【0015】これらのうち従来例は、主に a 不良原因の詳細な分析を行ない、 b 分析に従って複数の対策案を導出し、 c 得られた対策案の確実度を計算し、 d その確実度に従った優先順位を付して複数対策案を
提示し、 e それらの対策案をオペレータが選択する ものである。又、従来例は主に初期の成形条件を設定
するものであり、従来例は単一の対策案を示すもので
ある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の技術には下記のような問題点がある。
【0017】従来例は、対策案の導出手順が専門家
とは全く異なっており、 a 原因の分析を行なうのが難しい。
【0018】b 確実度の設定が困難。
【0019】c 人によりバラツキが生じやすい。
【0020】d 対策手順に関する現実的な指示がなさ
れない。 そして、この結果として対策案の導出過程が複雑とな
り、データベース或いは知識ベースが大規模化し、変更
・改良・保守が困難となり易い。
【0021】従来例では、診断エキスパートシステム
の具体的内容については記述されていない。
【0022】従来例では、対策案の導出過程が不明瞭
であり、固定のテーブルを使用していると思われるが、
この方法では様々な不良状況に対して必ずしも適切な対
策を出力できるとは限らない。
【0023】本発明は、上記従来の技術が有する問題点
に鑑みてなされたもので成形品の不良状況に対して適切
な対策案を、より効率的に導出する、射出成形機におけ
る射出成形技術の支援方法およびその装置を提供するこ
とを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の射出成形技術の
支援方法は、射出成形機による良品成形時の成形条件が
蓄積された良品成形条件データベースから対象成形品に
対応する最適な良品成形条件を抽出して前記対象成形品
の初期成形条件とする初期成形条件設定工程と、対象成
形品についての、初期成形条件設定時あるいは成形不良
対策の際の対策案の導出時に、該当する成形条件を前記
射出成形機に設定する成形条件入力工程と、該成形条件
入力工程にて成形条件が設定された射出成形機に射出成
形を行なわせる試射工程と、該試射工程にて成形された
成形品が良品か否か調べ、該成形品に成形不良が発見さ
れた場合、その不良項目および不良状況を判別する不良
データ入力工程と、該不良データ入力工程にて前記成形
品が良品であると判断した場合、そのときの射出成形機
の成形条件を良品成形条件として前記良品成形条件デー
タベースに追加し、また、成形不良が発見された場合
は、発生し得る成形不良それぞれに対して、実施すべき
複数の対策案とそれらの選択規則が予め記録された成形
不良対策マトリクスを参照して、前記不良項目および不
良状況に対する対策案を前記優先順位にしたがって導出
する対策推論工程とからなる場合と、前記対策推論工程
にて導出された対策案を表示する推論結果提示工程を有
する場合と、前記不良データ入力工程で判別した不良項
目が複数あった場合、対策推論工程にて、前記不良項目
それぞれに優先度を定め、その優先度の順に各不良項目
に対する対策案を導出する場合とがある。
【0025】また、本発明の射出成形支援装置は、射出
成形機の良品成形時の成形条件を記憶するデータベース
部を備えた成形条件出し支援部と、対象成形品に対する
初期成形条件を、前記データベース部が記憶している良
品成形条件を参照して前記射出成形機に設定して射出成
形を行なわせ、該射出成形機によって成形した成形品に
成形不良が生じた場合、該成形不良に対する複数の対策
案を順次導出し、該対策案に基づいて前記射出成形機に
成形条件を設定し、前記成形品が良品と判断された場
合、その時の成形条件を良品成形条件として前記成形条
件出し支援部のデータベース部へ格納する成形不良対策
エキスパートシステム部とを有するものである。
【0026】前記成形条件出し支援部のデータベース部
には、射出成形機による良品成形時の成形条件が予め格
納されているとともに、成形不良対策エキスパートシス
テム部が導出した対策案によって対象成形品の成形不良
が解消された際、前記対策案に関る成形条件が格納さ
れ、前記成形不良対策エキスパートシステム部は、前記
対象成形品に対する成形条件を設定するための成形情報
を入力する情報入力手段と、該情報入力手段から入力さ
れた成形情報に基づき、前記成形条件出し支援部の良品
成形条件データベースを検索して前記対象成形品に対応
する良品成形条件を抽出して前記対象成形品の初期成形
条件とする初期成形条件設定手段と、該初期成形条件設
定手段で定めた初期成形条件あるいは成形品に対する成
形不良対策時に導出した対策案に関わる成形条件を、前
記射出成形機に設定する成形条件出力手段と、該成形条
件出力手段が設定した成形条件にしたがって前記射出成
形機が成形した成形品に成形不良が発見された場合、そ
の不良項目および不良状況を判別する成形不良入力手段
と、前記成形品が良品であれば、そのときの射出成形機
の成形条件を前記成形条件出し支援部の良品成形条件デ
ータベースに格納し、前記成形品に成形不良が発見され
た場合は、前記不良項目および不良状況に対する最適な
対策案を順次導出する対策推論手段とを有するものがあ
り、前記成形不良対策エキスパートシステム部の対策推
論手段は、不良項目が複数ある場合、各不良項目に優先
度を定める全体制御部と、発生し得る成形不良それぞれ
に対して、実施すべき複数の対策案とそれらの選択規則
が予め記録された成形不良対策マトリクスが格納されて
いる専門データベース部と、前記成形不良対策マトリク
スを参照して、前記不良項目に対する対策案を順次導出
する推論制御部とを有する場合と、前記成形情報とし
て、金型、成形材料および射出成形機の各仕様を示す仕
様データと、対象成形品の形状および寸法を示す成形品
データが、情報入力手段から入力される場合と、前記成
形条件出し支援部は、成形品に不良が生じた場合、その
不良項目および不良状況と、対策案と、射出成形機に設
定されている成形条件に対応する成形条件実測値とが対
策履歴データとして格納される対策履歴保存手段を備
え、前記成形不良対策エキスパートシステム部は、前記
成形条件実測値を測定するための成形条件入力部を備え
ており、対策推論手段の全体制御部は、前記成形品の成
形不良発生時に、前記成形不良入力手段が判別した不良
項目および不良状況と対策案と前記成形条件実測値とを
前記対策履歴保存手段へ格納し、前記対策推論手段の推
論制御部は、前記対策履歴データに基づいて成形不良対
策マトリクスを参照して対策案を導出する場合と、前記
成形不良対策エキスパートシステム部が、初期成形条件
設定手段が抽出した良品成形条件を表示する初期成形条
件表示手段と、該初期成形条件表示手段で表示された良
品成形条件を変更するための初期成形条件変更手段とを
備え、成形条件出力手段は、前記初期成形条件変更手段
によって変更された良品成形条件を初期成形条件として
射出成形機に設定する場合とがある。
【0027】
【作用】本発明の射出成形技術の支援方法は、射出成形
機によって成形した成形品に成形不良が発生した場合、
該成形不良を解消するための複数の対策案を順次導出
し、その都度導出した対策案に関る成形条件を前記射出
成形機に設定して成形しながら、対象成形品についての
最適な成形条件を探索する。
【0028】本発明の射出成形支援装置は、対象成形品
に対する初期成形条件を、良品成形時の成形条件の中か
ら選択して射出成形機に設定する。そして、前記初期成
形条件にしたがって成形した成形品に成形不良が発生し
た場合、該成形不良に対して、該成形不良を解消するた
めの複数の対策案を順次導出し、その都度、導出した対
策案に関わる成形条件を前記射出成形機に設定する。そ
の射出成形機によって成形した成形品が良品と判断され
た際、その時の成形条件を良品成形条件として蓄積して
いくことにより、前記対象成形品の初期成形条件設定時
のデータベースが豊富になり、前記初期成形条件とし
て、より良品成形条件に近い条件が設定可能となる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0030】図1は、本発明の一実施例の構成を示した
ものである。
【0031】本実施例の構成は、図1に示したとおり、
成形不良対策エキスパートシステム部(以下、「ES
部」という。)100と成形条件出し支援部(以下、
「支援部」という。)200とから構成されている。
【0032】ES部100は、射出成形機300におい
て、主に発生している成形不良に対する最適な対策案を
順次提案しながら不良を解消する部分であり、支援部2
00はES部100に提供するデータベース管理や、E
S部100が出力する各種データ処理を行なう部分であ
る。
【0033】ES部100は、対策推論手段101と情
報入力手段102と初期成形条件設定手段103と初期
成形条件表示手段104と初期成形条件変更手段105
と成形条件入力手段106と対策履歴記録手段107と
成形不良入力手段108と推論結果提示手段109と成
形条件出力手段110とで構成されている。
【0034】情報入力手段102は、成形品の形状、寸
法や、金型、成形材料、前記射出成形機300の各仕様
並びに作業環境等、対象とする成形品に対する最適な成
形条件を探索するために必要な成形情報の入力部であ
り、入力用キーボードと情報を表示するための表示手段
を備えている。入力された成形情報は対策推論手段10
1および初期成形条件設定手段103へ転送される。
【0035】本実施例では、前記成形情報として下記の
7項目を順に入力する。
【0036】 成形品登録情報 成形作業関連情報 成形品関連情報 成形材料関連情報 射出成形機関連情報 金型関連情報 不良優先度情報 前記成形品登録情報は、成形品管理用のデータであり、
予め定められている識別用の情報を前記キーボードから
入力する。
【0037】前記成形作業関連情報としては、作業環境
(気温、湿度など)や、作業時間帯を前記キーボードか
ら入力する。
【0038】前記成形材料関連情報を入力する際は、後
述する支援部200の材料データベース201に予め登
録されている複数の成形材料についての、樹脂名、メー
カー名およびグレードが表示されるので、表示された情
報から該当するものを選択する。
【0039】前記射出成形機関連情報を入力する際は、
前記支援部200の射出機データベース202に予め登
録されている複数の射出成形機についての型式およびス
クリュー径が表示されるので、同様に、表示された情報
から該当するものを選択する。
【0040】前記金型関連情報としては、使用する金型
の型式やゲート径等の仕様データを前記キーボードから
入力する。
【0041】不良優先度情報は、複数の成形不良が発生
している場合に、どの成形不良から優先的に対策するか
を定める対策優先順位を指定するものである。
【0042】初期成形条件設定手段103は、前記情報
入力手段102から入力された成形情報に基づき、前記
支援部200の良品成形条件データベース205に予め
格納されている成形条件例、もしくはユーザが良品成形
条件データベース205に蓄積した良品成形条件の中か
ら、前記対象となる成形品に最適な成形条件を抽出し、
成形品固有の成形条件項目に関して、デフォルトの設定
規則にしたがって自動的に設定変更を行ない、設定変更
した成形条件を初期成形条件として成形条件出力手段1
10を介して射出成形機300に設定するとともに、該
初期成形条件を対策推論手段101へ転送する。
【0043】この初期成形条件設定手段103におい
て、成形条件を抽出した際、その成形条件は初期成形条
件表示手段104に表示され、このときオペレータの判
断により、初期成形条件変更手段105を用いてより適
した成形条件に変更することが可能である。
【0044】成形条件入力手段106は、設定された成
形条件にしたがって射出成形機300が射出成形を行な
った際の前記成形条件に対応する実測値(成形条件実測
値)を求めるとともに、成形品が良品であった場合その
ときの成形条件を取込んで対策推論手段101へ転送す
る。
【0045】対策履歴記録手段107は、前記成形条件
入力手段106によって前記成形条件実測値が対策推論
手段101へ転送された際、該成形条件実測値を、初期
成形条件もしくは対策案と、発生している成形不良やそ
の状況等と共に対策履歴データとして、前記支援部20
0の対策履歴保存手段208へ格納する。
【0046】成形不良入力手段108は、射出成形機3
00によって成形された成形品400について、不良が
発生している場合、その不良項目および不良状況を判別
して対策推論手段101へ転送し、前記成形品400が
良品であればその旨を対策推論手段101へ通知する。
さらに、この成形不良入力手段108は、不良に関る症
状、原因、対策等の説明やサンプル写真を表示するため
の表示手段を備えている。
【0047】対策推論手段101は、図2に示すよう
に、全体制御部1011と専門データベース部1012
と推論制御部1013とで構成されている。
【0048】全体制御部1011は、前記成形不良入力
手段108から入力された不良項目が複数ある場合、優
先的に対処すべき不良項目(以下、「注目不良」とい
う。)を決定する。この注目不良は、基本的には前記成
形情報として入力された不良優先度情報で定めた優先順
位に基づいて決定するが、発生した不良の状況に応じ
て、その都度、優先順位を変更することができる。ま
た、前記全体制御部1011は、成形品400が良品で
あった場合、そのとき前記成形条件入力手段106から
転送された成形条件を良品成形条件として前記支援部2
00の良品成形条件蓄積手段204へ転送し、成形品4
00に成形不良が発生している場合、前記成形条件実測
値、初期成形条件もしくは対策案、発生している成形不
良やその状況等を、対策履歴記録手段107へ転送す
る。
【0049】専門データベース部1012は、不良項目
に応じて最適な対策案を導出するための、後述する複数
のマトリクスからなる成形不良対策マトリクスが格納さ
れている。
【0050】推論制御部1013は、前記成形不良対策
マトリクスを参照して不良項目に対する最適な対策案を
導出する。また、該推論制御部1013において対策案
が導出されて成形条件が変更された場合、前記成形条件
出力手段110を介して変更後の成形条件が射出成形機
300へ設定される。
【0051】推論結果提示手段109は、前記対策推論
手段101が導出した対策案を表示するものであり、こ
のとき、オペレータが前記対策案を確認することによ
り、該対策案に基づいた成形条件に変更される。
【0052】前記支援部200は、材料データベース2
01および射出機データベース202と、良品成形条件
印刷手段203、良品成形条件蓄積手段204および良
品成形条件データベース205と、対策履歴表示手段2
06、対策履歴印刷手段207、対策履歴保存手段20
8および対策履歴選択手段211と、成形条件検討中断
処理手段209、成形条件検討再開継続手段210およ
び成形条件検討後戻り手段212とで構成されている。
材料データベース201には、前述したように、成形情
報である成形材料関連情報が格納されている。射出機デ
ータベース202についても、同様に成形情報である射
出成形機関連情報が格納されている。良品成形条件蓄積
手段204は、前記ES部100の対策推論手段101
から転送された良品成形条件を良品成形条件データベー
ス205へ格納する。この良策履歴データとして前記E
S部100から転送された、成形条件実測値と、初期成
形条件もしくは対策案と発生している成形不良やその状
況等を表示、印刷および記憶する。
【0053】成形条件検討中断処理手段209は、中断
処理モードを設定することにより、現在の成形条件、不
良項目および履歴データを保持した状態でES部100
および支援部200の動作を停止させることができる。
この成形条件検討中断処理手段209によって設定され
た中断処理モードは成形条件検討再開継続手段210か
らの指示によって終了し、その際、前記中断処理モード
設定時に保持した各データに基づいた状態で動作が再開
される。
【0054】対策履歴選択手段211は対策履歴保存手
段208に格納されている対策履歴データの中から任意
の時点の成形条件を選択する。
【0055】成形条件検討後戻り手段212は、前記対
策履歴選択手段211によって選択された成形条件を対
策案として不良対策を行なう。
【0056】次に、図3に示すフローチャートに沿って
ES部100の動作概要を説明する。 成形情報入力(ステップS100) 対象とする成形品に対する最適な成形条件を探索するた
めに必要となる前記成形情報を入力する。 初期成形条件設定(ステップS200) にて入力された成形情報中のいくつかのキーデータ項
目により、前記良品成形条件データベース205に格納
されている良品成形条件の中から、対象成形品に最適な
成形条件を検索入力し、初期成形条件として設定する。 試射(ステップS300) にて設定された初期成形条件、あるいはの推論結果
提示にて変更された現在の成形条件により、実際に成形
を行なって成形品の状態を観察する(ステップS40
0)。
【0057】ここで成形不良が無い良品を成形すること
ができれば成形不良対策を終了する。 成形不良入力(ステップS500) 試射の結果、成形品に不良が発生している場合、その不
良項目を選択・入力する。 対策推論(ステップS600) 現在までに入力された全てのデータ、即ち成形情報、成
形条件設定値、成形条件実測値、不良、対策履歴等に基
づき、システム内部の成形不良対策に関するデータベー
スにしたがい、発生している成形不良解消のための最適
な対策案を推論する。 推論結果提示(ステップS700) により導出された対策案を表示する。オペレータが確
認することにより成形条件が自動的に変更される。
【0058】つづいて、上記各ステップの詳細について
説明する。
【0059】まず、成形情報入力(ステップS100)
では、前記情報入力手段102から前述した7項目の成
形情報が入力される。
【0060】次に、初期成形条件設定(ステップS20
0)について、図4に示すフローチャートに沿って説明
する。
【0061】まず、初期成形条件設定手段103が、前
記成形情報入力(ステップS100)にて入力された成
形情報のうちのいくつかのキーデータ項目に基づいて前
記良品成形条件データベース205を検索し(ステップ
S201)、該良品成形条件データベース205内に、
前記成形情報に該当するような最適な良品成形条件が存
在するか否か調べる(ステップS202)。
【0062】前記成形情報に該当する良品成形条件が存
在する場合は、該良品成形条件を抽出して(ステップS
203)初期成形条件とする。
【0063】このとき、対象成形品固有の成形条件項目
についてはデフォルトの設定規則にしたがって設定変更
を行なう(ステップS204)。
【0064】一方、前記成形情報に該当する成形条件が
存在しなかった場合は、デフォルトの設定規則にしたが
って新たに成形条件を設定する(ステップS205)。
【0065】上述のようにして設定された初期成形条件
は、初期成形条件表示手段104に表示され(ステップ
S206)、オペレータによって確認される。このと
き、オペレータの判断によって成形条件の変更が必要と
認められた場合は(ステップS207)、初期成形条件
変更手段105を用いてより適した初期成形条件に変更
することが可能である(ステップS208)。
【0066】つづいて、試射(ステップS300)から
対策推論(ステップS600)について、図5に示すフ
ローチャートに沿って説明する。
【0067】前記初期成形条件設定手段103において
設定された初期成形条件は成形条件出力手段110を通
して射出成形機300へ設定される(ステップS30
1)。射出成形機300は、前記初期成形条件が設定さ
れると、該初期成形条件にしたがって成形を行ない(ス
テップS302)、そのとき前記初期成形条件に対応す
る成形条件実測値が測定されており、成形終了後、測定
された成形条件実測値は成形条件入力手段106によっ
て対策推論手段101へ入力される(ステップS30
3)。この成形条件実測値は、対策履歴記録手段107
によって、成形不良発生時の不良対策の履歴データの一
部として、支援部200の対策履歴保存手段208へ格
納される(ステップS304)。
【0068】その後、成形不良入力手段108が前記射
出成形機300によって成形された成形品400に不良
が発生しているか否か調べる(ステップS400)。不
良対策時の対策案は、成形条件のパラメータおよびその
操作量(固定値および可変値)を定義しているので、実
際に設定変更を行なった後の成形品の状況を観察する。
前記成形品400に不良が発生しておらず良品と判定さ
れた場合、成形不良の対策案を導出する必要はないので
前記成形品400についての成形不良対策は終了する。
【0069】一方、前記成形品400に不良が発生して
いれば、発生している不良を決定するため、不良に関わ
る症状、原因、対策等の説明やサンプル写真が表示され
(ステップS501)、表示されたサンプル写真等から
前記成形品400に発生している不良項目を選択する
(ステップS502)。
【0070】不良項目が決定すると、成形不良入力手段
108から前記不良項目が対策推論手段101に入力さ
れ、該対策推論手段101の全体制御部1011によっ
て注目不良を決定する(ステップS601)。この注目
不良については、前述したように、成形情報として入力
された不良優先度情報に基づいて決定するが、発生して
いる不良の状況によっては、オペレータが優先度を変更
して注目不良を決定することができる。そして、注目不
良に対処するため、対策推論手段101において、推論
制御部1013が専門データベース部1012内の成形
不良対策マトリクスを参照して対策案の導出(対策推
論)を行なう(ステップS602)。
【0071】この対策推論の結果としては、前記成形不
良対策マトリクスに定められている通常の対策案が選ば
れる場合と、不良対策実施中における対策案の移行を行
なう際、現在の対策の修正を行ない、同時に次の対策を
行なう修正作業を示す「修正移行」あるいは現在の対策
の修正のみを行なう「修正」と、オペレータに対してメ
ッセージを通知する「提案」あるいは「コメント」があ
る。
【0072】次に、推論結果提示(ステップS700)
について図6に示すフローチャートを参照して説明す
る。
【0073】まず、推論結果提示手段109において、
前記対策推論手段101による対策推論の結果が対策案
の「修正」か否か調べる(ステップS701)。ここ
で、対策案の「修正」の場合は、つづいて「コメント」
として表示すべきメッセージがあるか否か調べ(ステッ
プS702)、メッセージがあれば表示した後(ステッ
プS703)、前記「修正」による、対象パラメータお
よび修正量を表示して(ステップS704)、それにし
たがって射出成形機300の成形条件の変更を行なう
(ステップS716)。前述の「コメント」として表示
するメッセージは、動作中の注意点(例えば、温度等の
成形条件が設定値に対して安定した状態になってから試
射あるいは測定を行なう。)等がある。
【0074】一方、前記ステップS701において、対
策案の「修正」でなかった場合は、つづいて対策案の
「修正移行」か否かを調べ(ステップS705)、「修
正移行」でなければ、「コメント」として表示すべきメ
ッセージがあるか否か調べる(ステップS707)。ま
た、ステップS705において、対策案の「修正移行」
であれば修正対象パラメータおよび操作量を表示して
(ステップS706)、前記ステップS707の「コメ
ント」があるか否かを調べる。そして、表示すべき「コ
メント」があればそのメッセージを表示し(ステップS
708)、「コメント」がなければ、つづいて「提案」
として表示すべきメッセージがあるか否か調べる(ステ
ップS709)。「提案」として表示するメッセージ
は、例えば表1に示す提案メッセージ群MSG−10の
ような金型あるいは成形材料に関するものがあり、これ
は主に前記対策推論によって導出された対策案によって
不良が解消できなかった場合に表示される。
【0075】この提案メッセージ群MSG−10は前記
対策推論手段101の専門データベース部1012に格
納されており、推論制御部1013が、対策推論の結
果、提案表示と判断した場合、前記提案メッセージ群M
SG−10を参照して該当するメッセージを抽出し、前
記推論結果提示手段109へ転送して表示される。
【0076】
【表1】 「提案」として表示すべきメッセージがある場合は、そ
のメッセージを表示した後(ステップS710)、前記
ステップS716において前記「修正移行」による成形
条件の変更を行なう。表示すべきメッセージがなけれ
ば、前記対策推論の結果は対策案の「修正移行」あるい
は通常の対策案の選択ということになるので、移行後の
対策案あるいは選択した対策案の表示を行なう(ステッ
プS711)。
【0077】この対策案の表示の際、該対策案に関連す
る成形条件の設定状況を確認するため、全ての成形条件
を表示することも可能である。また、選択された対策案
を採用せずに、オペレータによるマニュアル対策を行な
うことも可能であり、その判断をステップS712で行
なう。マニュアル対策を実施する場合、マニュアル入力
モードを設定した後(ステップS714)、前記ステッ
プS716にてマニュアル操作によって、不良に対する
成形条件を設定していく。一方、選択された対策案を採
用する場合、その操作量を任意に変更することができる
ため、変更する必要があるか否か調べ(ステップS71
3)、変更する必要がなければ選択した対策案にしたが
って前記ステップS716において成形条件を設定し、
操作量を変更する必要があれば、その操作量を入力した
後(ステップS715)、同様にステップS716にお
いて成形条件の設定を行なう。なお、対策推論の結果が
前述の「修正」の場合は対象パラメータおよび修正量の
表示を行なうが、成形条件の変更はできない。
【0078】上述のようにして、不良についての対策案
にしたがった成形条件の設定が完了すると、前記図3に
おいて、試射(ステップS300)が実施される。
【0079】ここで、対策推論手段101の推論制御部
1013による対策推論の過程について、図7に示すフ
ローチャートに沿って説明する。
【0080】図7は、前述の図5のマトリクス処理(ス
テップS602)を詳細に説明したフローチャートであ
る。
【0081】ここでは、対策推論手段101の専門デー
タベース部1012に格納されている成形不良対策マト
リクスとして、 (1)成形不良基本対策マトリクス (2)対策結果マトリクス (3)工程チェックマトリクス (4)成形条件設定状況マトリクス (5)対策履歴チェックマトリクス (6)リミットチェックマトリクス の6種類を考える。
【0082】成形不良基本対策マトリクス(以下、「基
本マトリクス」と称す。)は、表2に示すように、予め
登録されて、発生する可能性のある複数の成形不良
(A,B,C,…)それぞれに対し、複数の対策案
(ア,イ,ウ,…)が、優先順位を定めて対応する対策
番号にて記録されたものである。例えば、不良Aが発生
した場合は、まず、対策番号1に対応する対策案「ア」
に相当する成形条件を設定して成形を行ない、その後は
同様に発生した不良に対し、前記対策番号順に、対応す
る対策案を選択していく。
【0083】
【表2】 対策結果マトリクスは、成形不良に対して対策案を実行
した結果、成形品の変化に応じて、次に実行すべき対策
案を導出するためのものである。本実施例の対策結果マ
トリクスは、例えば表3に示すように、成形品の変化と
して、不良の改善、効果なし、他不良出現、他不良有
り、他不良解消の5項目を考えている。表2において、
例えば対策番号2に対応する対策案を実行した結果、成
形不良が改善された場合は、引続いて成形品が良品にな
るまで対策番号2に対応する対策案を実行する。また、
効果なしの場合は「B−3」を実行する。この「B−
3」は、対策案の「修正移行」を示すもので、成形条件
設定値を前回の設定値に戻して対策番号3に対応する対
策案を実行する。さらに、前記対策番号2に対応する対
策案を実行した結果、成形品に他の不良が生じた場合
(他不良出現)、「R−2」を実行する。
【0084】この「R−2」は、対策案の「修正」を示
すもので、対策番号2に対応する対策案の逆の対策を行
なう。例えば、対策番号2に対応する対策案が射出速度
を速くしていくような内容の対策であれば「R−2」に
よって、射出速度を遅くしていくような内容の対策を実
施する。また、前記他の不良が解消された場合(他不良
解消)は、他のマトリクス(MTC−4)を参照して次
の対策案の導出を行なう。
【0085】
【表3】 工程チェックマトリクスは、成形不良が発生した工程か
ら対策案を導出するものであり、本実施例では表4,5
に示すように、射出工程から保圧工程への切換モード
(IVSモード)毎に対策案を示すマトリクスMIK−
1と、射出および保圧のそれぞれの工程について対策案
を示すMKC−5およびMKC−6とを考える。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】 成形条件設定状況マトリクスは、成形条件の設定状況を
チェックして次の対策案を導出するためのものであり、
本実施例では、表6に示すように、成形条件として溶融
樹脂や金型等の温度を示す温度条件1,2に関るマトリ
クスMTC−4を考える。なお、表6において、CMP
−4は他のサブルーチン等の手続きを示しXは設定値、
Yは推奨値である。
【0088】
【表6】 対策履歴チェックマトリクスは、既に実施した対策の履
歴によって、次に実施する対策案を決定するものであ
り、例えば、表7に示すマトリクスMRC−5において
は、対策番号6に対応する対策案を実施した後対策番号
5に対応する対策案を実施した場合(6→5)であれ
ば、次に実施する対策案は対策番号7に対応するもので
あり、その他の場合(6→5)は対策番号6に対応する
対策案を実施する。なお、表7のマトリクスMRC−6
についても同様に考える。
【0089】
【表7】 リミットチェックマトリクスは、対策推論の結果、導出
された対策案を実施することにより、成形条件のうちの
特定のパラメータの設定値が許容範囲を越えているか否
かによって、次に実施すべき対策案を決定するためのも
のであり、例えば表8に示すマトリクスMTL−7にお
いて、射出速度を順に変更したとすると、該射出速度が
設定許容範囲を越えていないか、あるいは前記射出速度
を変化させることで射出工程に関る経過時間が許容範囲
を越えていないか否かによって、対策番号7,8あるい
は9に対応する対策案を選択する。
【0090】
【表8】 対策推論手段101の全体制御部1011において、成
形不良に対する注目不良項目が決定されると(前記図5
のステップS601)、前記対策推論手段101の推論
制御部1013において、現在、成形品400の成形不
良に対する対策中か否か調べる(ステップS801)。
この場合、射出成形機300が前記初期成形条件設定手
段103にて設定された初期成形条件にしたがって対象
成形品に対する最初の成形であれば成形不良に対する対
策中でないことになる。
【0091】このステップS801において、不良対策
中でなかった場合、不良対策開始時の初期設定として前
記基本マトリクスを参照して対策案を導出するため、該
対策案に対応する対策番号の初期化(対策番号=1)を
行なう(ステップS802)。
【0092】ここで、前記基本マトリクスにおいて注目
不良項目に対応する部分(以下、「注目基本マトリク
ス」と称す。)の一例を表9に示す。
【0093】
【表9】 この表9に示す、注目不良項目についての対策案として
は、対策番号2〜9に対応する9個の対策案A〜Hを考
え、対策番号1の場合は、前記表4に示した工程チェッ
クマトリクスMIK−1の参照を示し、、さらに対策番
号10の場合は、前記表1の提案メッセージ群MSG−
10の参照を示している。
【0094】対策番号の初期化が終了すると、上述の表
9に示した注目基本マトリクスの対策番号1を参照し
(ステップS803)、該対策番号1が対策案を示すも
のか否か調べる(ステップS804)。ここでは、前記
対策番号1は、前記工程チェックマトリクスMIK−1
の参照を示しているので対策案を示すものでないと判断
し、つづいて、「提案」あるいは「コメント」として表
示すべきメッセージがあるか否か調べる(ステップS8
12)。この場合も表示すべきメッセージはないので、
次に、他のマトリクスの参照か否か調べる(ステップS
814)。ここでは、上述のように対策番号1が工程チ
ェックマトリクスの参照を示しているので、前述した工
程チェックマトリクスMIK−1を参照して、IVSモ
ード設定状況および射出あるいは保圧の何れの工程で不
良が発生したかによって対策案を選択する(ステップS
815)。その結果、さらに参照すべきマトリクスがあ
るか否か調べるが(ステップS814)、前記工程チェ
ックマトリクスMIK−1の場合、何れの場合でも対策
案を示す対策番号が記録されているので参照すべきマト
リクスは無いと判断し、つづいて、他の処理を示すサブ
ルーチン等の「手続き」への移行を行なうか否か調べる
(ステップS816)。この場合も「手続き」への移行
は行なわないので前記対策番号を、前記工程チェックマ
トリクスMIK−1から選択した対策番号に更新した後
(ステップS818)、更新後の対策番号に基づいて、
前記注目基本マトリクスを参照する(ステップS80
3)。なお、前記ステップS816において、仮に「手
続き」へ移行する場合はその手続きを参照し(ステップ
S817)、その「手続き」により決定された対策番号
に更新する(ステップS818)。前記工程チェックマ
トリクスMIK−1において、IVSモードが“H”
で、不良発生工程が射出工程であったとすると対策番号
2が選択されているので、前記注目基本マトリクスを参
照した結果、対策案Aが、選択されて(ステップS80
4)推論結果提示手段109へ出力され(ステップS8
05)、変更がなければ成形条件出力手段110によっ
て射出成形機300に設定される。
【0095】前記射出成形機300が対策案Aにしたが
って成形した成形品400に成形不良がある場合、ステ
ップ801では不良対策中になるので、前記成形品40
0の変化に基づいて、前記対策結果マトリクス(表3参
照)を参照する(ステップS806)。その結果、対策
案Aが前記注目不良項目に対して「効果なし」と判断し
た場合は、対策番号3への「修正移行」(B−3)が選
択される。その後、参照すべきマトリクスがあるか否か
(ステップS807)、さらに参照すべき「手続き」が
あるか否か(ステップS809)を順に調べるが、何れ
も該当しないので、対策番号を前記対策結果マトリクス
から選択された対策番号3に更新して(ステップS81
1)、該対策番号に基づいて注目基本マトリクスを参照
する(ステップS803)。この場合、注目基本マトリ
クスから対策番号3に対応する対策案Bが選択され(ス
テップS804)、該対策案Bが同様に推論結果提示手
段109へ出力される(ステップS805)。また、前
記ステップS806において、対策案Aを実施した結
果、他の不良が出現した場合(他不良出現)、対策結果
マトリクスでは対策番号2に対応する対策案Aの「修
正」(R−2)を行なう。この「修正」対策を行なった
場合、前記対策案Aを実施したことによって出現した他
の不良が解消されたか否かの確認が行なわれ、仮に、そ
れが解消(他不良解消)したときは、前記成形条件設定
状況マトリクスMTC−4(表6参照)を参照して(ス
テップS807,S808)、次の対策案を選択するこ
とになるが、前記成形条件設定マトリクスMTC−4に
て「手続き」を示すCMP−4が選択された際は、該当
する「手続き」を参照し(ステップS809,S81
0)、その「手続き」により決定された対策番号に更新
する(ステップS818)。
【0096】また、前記ステップS806において、対
策案Aを実施した結果、前記注目不良項目が「改善」と
認められた場合は、対策案Aを繰返えすことになるが、
その際、前記注目不良項目の「改善」に関るパラメータ
の操作量を変化させながら成形条件として設定される。
【0097】上述のように、注目基本マトリクスに記録
された対策番号に沿って、順に不良対策マトリクスを参
照しながら注目不良項目に対する対策案を導出していく
が、前記注目基本マトリクスにおいて、対策番号2〜9
から導出される全ての対策案を施しても前記注目不良が
解消されなかった場合、すなわち成形条件の設定変更で
は解消できない金型、成形材料、射出成形機等に致命的
な問題がある、と判断した場合は、前記注目基本マトリ
クスにて前記提案メッセージ群MSG−10の参照が指
示され(ステップS804,S812)、その中から該
当するメッセージが、提案メッセージとして推論結果提
示手段109へ転送されて表示される(ステップS81
3)。
【0098】上述の対策推論過程にて参照されなかっ
た、工程チェックマトリクスMKC−5,MKC−6、
対策履歴チェックマトリクスMRC−5,MRC−6お
よびリミットチェックマトリクスMTL−7について
も、前記工程チェックマトリクスMIK−1および成形
条件設定状況マトリクスMTC−4と同様に考えること
ができる。
【0099】例えば、工程チェックマトリクスMKC−
5,MKC−6は、それぞれ対策結果マトリクスにおい
て、対策番号5,6に対応する対策案を実施した結果、
注目不良が改善された場合に参照され、リミットチェッ
クマトリクスMTL−7は対策番号7に対応する対策案
を実施した結果、注目不良が改善された場合に参照され
る。また、対策履歴チェックマトリクスMRC−5,M
RC−6は、それぞれ前記工程チェックマトリクスMK
C−5,MKC−6を参照した際、不良発生工程が保圧
工程であったときに参照される。
【0100】このように多次元構造マトリクスとして記
述された「成形不良対策マトリクス」を順次参照してい
くことにより、実際に、成形品の不良状況や射出成形機
の動作状況にしたがった、各時点における最適な対策案
を提案しながら成形不良対策を行ない、最終的に対象成
形品について最適な良品成形条件を得ることができる。
【0101】また、前記ES部100の対策推論中に、
前記支援部200を動作させることで、より幅の広い不
良対策およびデータ管理を行なうことができる。例え
ば、良品成形条件印刷手段203および対策履歴印刷手
段207により、任意の良品成形条件あるいは対策履歴
をプリントアウトして確認でき、さらに対策履歴は対策
履歴表示手段106を用いることにより表示することも
可能である。前記対策履歴の表示については、成形条件
検討後戻り手段212を用いて、任意の時点に戻って不
良対策を行なう場合の対策案(成形条件)の確認が容易
になる。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば下
記のような効果が得られる。 (1)成形情報等の簡単なデータ入力操作によって、最
適な成形条件が設定されるので、成形条件設定に要する
時間が短縮され、設定作業に伴う労力、あるいは材料・
エネルギーの損失を大幅に減少できる。 (2)経験の少ない初心者でも最適な成形条件が設定可
能となるので、成形条件設定上のバラツキが防止され、
常に安定して高品質な成形品を得ることができる。 (3)成形条件の導出に用いる良品成形条件や成形不良
対策マトリクスがデータベース化されているので、最適
成形条件導出のための知識ベースの大きさをコンパクト
にでき、該知識ベースの変更・改良・保守が容易とな
る。 (4)成形条件導出のための知識ベースをデータベース
化することにより、体系的に各種情報を管理することが
可能となり、より効率的に技術蓄積が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の射出成形支援装置の一実施例の構成を
示すブロック図である。
【図2】対策推論手段の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の射出成形支援装置の動作の一例を示す
フローチャートである。
【図4】本発明の、射出成形技術の支援方法の初期成形
条件設定工程の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の、射出成形技術の支援方法の、成形条
件入力工程、試射工程、不良データ入力工程および対策
推論工程の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の、射出成形技術の支援方法の推論結果
提示工程の一例を示すフローチャートである。
【図7】対策推論工程のマトリクス処理の一例を示すフ
ローチャートである。
【符号の説明】
100 成形不良対策エキスパートシステム部 101 対策推論手段 102 情報入力手段 103 初期成形条件設定手段 104 初期成形条件表示手段 105 初期成形条件変更手段 106 成形条件入力手段 107 対策履歴記録手段 108 成形不良入力手段 109 推論結果提示手段 110 成形条件出力手段 200 成形条件出し支援部 201 材料データベース 202 射出機データベース 203 良品成形条件印刷手段 204 良品成形条件蓄積手段 205 良品成形条件データベース 206 対策履歴表示手段 207 対策履歴印刷手段 208 対策履歴保存手段 209 成形条件検討中断処理手段 210 成形条件検討再開継続手段 211 対策履歴選択手段 212 成形条件検討後戻り手段 300 射出成形機 400 成形品 1011 全体制御部 1012 専門データベース部 1013 推論制御部 S100,S200〜S208,S300〜S304,
S400,S500〜S502,S600〜S602,
S700〜S716,S801〜S818ステップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江坂 元 広島県広島市安芸区船越南1丁目6番1号 株式会社日本製鋼所広島製作所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出成形機による良品成形時の成形条件
    が蓄積された良品成形条件データベースから対象成形品
    に対応する最適な良品成形条件を抽出して前記対象成形
    品の初期成形条件とする初期成形条件設定工程と、 対象成形品についての、初期成形条件設定時あるいは成
    形不良対策の際の対策案の導出時に、該当する成形条件
    を前記射出成形機に設定する成形条件入力工程と、 該成形条件入力工程にて成形条件が設定された射出成形
    機に射出成形を行なわせる試射工程と、 該試射工程にて成形された成形品が良品か否か調べ、該
    成形品に成形不良が発見された場合、その不良項目およ
    び不良状況を判別する不良データ入力工程と、 該不良データ入力工程にて前記成形品が良品であると判
    断した場合、そのときの射出成形機の成形条件を良品成
    形条件として前記良品成形条件データベースに追加し、
    また、成形不良が発見された場合は、発生し得る成形不
    良それぞれに対して、実施すべき複数の対策案とそれら
    の選択規則が予め記録された成形不良対策マトリクスを
    参照して、前記不良項目および不良状況に対する対策案
    を前記優先順位にしたがって導出する対策推論工程とか
    らなることを特徴とする、射出成形技術の支援方法。
  2. 【請求項2】 対策推論工程にて導出された対策案を表
    示する推論結果提示工程を有することを特徴とする請求
    項1記載の、射出成形技術の支援方法。
  3. 【請求項3】 不良データ入力工程で判別した不良項目
    が複数あった場合、対策推論工程にて、前記不良項目そ
    れぞれに優先度を定め、その優先度の順に各不良項目に
    対する対策案を導出することを特徴とする請求項1ある
    いは2記載の、射出成形技術の支援方法。
  4. 【請求項4】 射出成形機の良品成形時の成形条件を記
    憶するデータベース部を備えた成形条件出し支援部と、 対象成形品に対する初期成形条件を、前記成形条件出し
    支援部のデータベース部が記憶している良品成形条件を
    参照して前記射出成形機に設定し、該射出成形機によっ
    て成形した成形品に成形不良が生じた場合、該成形不良
    に対する複数の対策案を順次導出し、該対策案に基づい
    て前記射出成形機に成形条件を設定して射出成形を行な
    わせ、前記成形品が良品と判断された場合、その時の成
    形条件を良品成形条件として前記成形条件出し支援部の
    データベース部へ格納する成形不良対策エキスパートシ
    ステム部とを有することを特徴とする射出成形支援装
    置。
  5. 【請求項5】 成形条件出し支援部のデータベース部に
    は、射出成形機による良品成形時の成形条件が予め格納
    されているとともに、成形不良対策エキスパートシステ
    ム部が導出した対策案によって対象成形品の成形不良が
    解消された際、前記対策案に関る成形条件が格納され、 前記成形不良対策エキスパートシステム部は、 前記対象成形品に対する成形条件を設定するための成形
    情報を入力する情報入力手段と、 該情報入力手段から入力された成形情報に基づき、前記
    成形条件出し支援部の良品成形条件データベースを検索
    して前記対象成形品に対応する良品成形条件を抽出して
    前記対象成形品の初期成形条件とする初期成形条件設定
    手段と、 該初期成形条件設定手段で定めた初期成形条件あるいは
    成形品に対する成形不良対策時に導出した対策案に関わ
    る成形条件を前記射出成形機に設定する成形条件出力手
    段と、 該成形条件出力手段が設定した成形条件にしたがって前
    記射出成形機が成形した成形品に成形不良が発見された
    場合、その不良項目および不良状況を判別する成形不良
    入力手段と、 前記成形品が良品であれば、そのときの射出成形機の成
    形条件を前記成形条件出し支援部の良品成形条件データ
    ベースに格納し、前記成形品に成形不良が発見された場
    合は、前記不良項目および不良状況に対する最適な対策
    案を、順次導出する対策推論手段とを有することを特徴
    とする請求項4記載の射出成形支援装置。
  6. 【請求項6】 成形不良対策エキスパートシステム部の
    対策推論手段は、不良項目が複数ある場合、各不良項目
    に優先度を定める全体制御部と、発生し得る成形不良そ
    れぞれに対して、実施すべき複数の対策案とそれらの選
    択規則が予め記録された成形不良対策マトリクスが格納
    されている専門データベース部と、前記成形不良対策マ
    トリクスを参照して、前記不良項目に対する対策案を順
    次導出する推論制御部とを有することを特徴とする請求
    項5記載の射出成形支援装置。
  7. 【請求項7】 成形情報として、金型、成形材料および
    射出成形機の各仕様を示す仕様データと、対象成形品の
    形状および寸法を示す成形品データが、情報入力手段か
    ら入力されることを特徴とする請求項5あるいは6記載
    の射出成形支援装置。
  8. 【請求項8】 成形条件出し支援部は、成形品に成形不
    良が生じた場合、その不良項目および不良状況と、対策
    案と、射出成形機に設定されている成形条件に対応する
    成形条件実測値とが対策履歴データとして格納される対
    策履歴保存手段を備え、 成形不良対策エキスパートシステム部は、前記成形条件
    実測値を測定するための成形条件入力部を備えており、
    対策推論手段の全体制御部は前記成形品に成形不良発生
    時に、成形不良入力手段が判別した不良項目および不良
    状況と対策案と前記成形条件実測値とを前記対策履歴保
    存手段へ格納し、前記対策推論手段の推論制御部は、前
    記対策履歴データに基づいて成形不良対策マトリクスを
    参照して対策案を導出することを特徴とする請求項6あ
    るいは7記載の射出成形支援装置。
  9. 【請求項9】 成形不良対策エキスパートシステム部
    が、初期成形条件設定手段が抽出した良品成形条件を表
    示する初期成形条件表示手段と、該初期成形条件表示手
    段で表示された良品成形条件を変更するための初期成形
    条件変更手段とを備え、 成形条件出力手段は、前記初期成形条件変更手段によっ
    て変更された良品成形条件を初期成形条件として射出成
    形機に設定することを特徴とする請求項5,6,7ある
    いは8記載の射出成形支援装置。
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