JPH0618100U - エアバッグ搭載車のバンパガード取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エアバッグ搭載車において、フロントバンパ
を保護するバンパガードの取付けが、エアバッグ作動シ
ステムの支障にならないようにする。 【構成】 フロントバンパ６を保護するバンパガード８
を車体前部に取り付ける構造において、そのバンパガー
ド８を車体側に連結する２本の支柱１２を、車両前後方
向において角度θ傾斜して配置し、例えば正面衝突等に
よりバンパガード８に比較的軽微な衝撃を受けた際、そ
れらの支柱１２がその傾斜配置により屈曲若しくは座屈
等の変形を生じやすいようにして、軽微衝突時における
衝撃が車体側に伝わりにくくする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、エアバッグを搭載した車両の分野に係り、特にフロントバンパの 保護のためのバンパガードを車両前端部に取り付ける構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

今日、車両衝突時の安全性の向上のために、主にステアリングパッド内にエア バッグを内蔵し、所定以上の衝撃の検知に基づいてエアバッグを瞬時に膨らませ て運転者を保護することが行われている。このようなシステムにおいては、一般 に衝突時の衝撃Ｇセンサであるエアバッグセンサを備え、これが設定値を越える 減速度を検知したとき、エアバッグを展開させるのに必要なガスを発生させるイ ンフレータを作動させ、それによりエアバッグが膨張するようになっている。

【０００３】 ところで、このようなエアバッグシステムにおいて、重大衝突（乗員に重大な 危害を与えるおそれがある衝突）時にはエアバッグを作動させるが、軽微衝突（ 乗員に危害を与えない修理可能な軽微衝突）時にはエアバッグを作動させないよ うにする必要がある。この重大な衝突と軽微な衝突を、ボデーの衝撃（減速度） に基づき判別し、制御している。例えば正面衝突の場合、車は通常、軽微な衝突 ではバンパ、重大な衝突ではバンパとフロントサイドメンバで、それぞれエネル ギを吸収する。そのため、衝撃Ｇに明確な差があらわれ、これを、前述のエアバ ッグセンサおよびコンピュータ等で判別する。

【０００４】 ところで、車両、例えばＲＶ車（レクリエーション・ビーグル）やワンボック ス車等では、フロントバンパを保護する目的で、バンパガードを車両前端部に設 けることが行われている。そして、このバンパガードは、一般には車両前部左右 の２箇所において、連結部材たる支柱により車体に連結され、それら各支柱は車 両前後方向に互いに平行に配置されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このようなバンパガードの装着により、例えば正面衝突の衝撃 がその連結部材たる各支柱を介して車体に伝達されるため、このバンパガードの 支柱の剛性によって車体に加わる衝撃モードが変わり、エアバッグ作動の判別制 御に好ましくない影響を与える場合がある。例えばそれは、軽微な衝突でもエア バッグセンサが所定以上の衝撃Ｇを検出して、エアバッグを誤作動させることに つながる。

【０００６】 本考案の課題は、エアバッグ搭載車にバンパガードを装着する構造において、 そのバンパガードの装着がエアバッグシステムの作動系統に大きな影響を与えな いようにするバンパガード取付構造を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上述のようなエアバッグを搭載した車両において、バンパガードを 車体に連結する連結部材を、車両前後方向に対して傾斜させて取り付けたことを 特徴とする。

【０００８】

【作用】

このようにバンパガードを支持する連結部材を車両前後方向に対し傾斜して配 置したことにより、これを車両前後方向に沿って配置した場合に比べて、例えば 正面衝突時等にその連結部材が衝撃により変形し易くなり、エアバッグを作動さ せるかどうかの検知・判別システムがバンパガードから受ける影響を最小限に抑 えられる。

【０００９】

【実施例】

図５は、エアバッグシステムを搭載した車両のエアバッグ作動システムの概略 を示すものである。この例では、車両前部の左右に一対のフロントエアバッグセ ンサ２、２が設けられ、中央部にセンタエアバッグセンサ３が設けられるととも に、それらが車両減速度の大小を検出することに基づき、車内のステアリング４ の近傍に設けられた図示しないインフレータが作動し、これに基づき、図６のよ うにエアバッグ５を瞬時に膨らませるようになっている。

【００１０】 図５に示すフロントバンパ６の損傷を防ぐ保護部材として、図１に示すような バンパガード８が車体前部に取り付けられている。このバンパガード８は水平部 ９と、この水平部９から四角形の３辺を構成するように一体的に立ち上がる立上 り部１０とを備え、この立上り部１０の両側２辺部分にそれぞれ連結部材として の支柱１２、１２が取り付けられていて、バンパガード８はこれらの支柱１２を 介して図２に示すように車体の前端部に固定されている。

【００１１】 車体前端部は、フロントクロスメンバ１３、およびこのクロスメンバ１３の両 端に連結された左右のフロントサイドメンバ１４を備え、前述のフロントバンパ ６がバンパガード立上り部１０の内側に位置するようになっている。なお、フロ ントバンパ６の取付構造は一般的なものであるため省略されている。

【００１２】 そして、左右一対の支柱１２は、それぞれブラケット１５およびクラッシュボ ックス１６を介してフロントサイドメンバ１４に連結されている。より詳しく言 えば、支柱１２はボルト１７によりブラケット１５に締結され、ブラケット１５ はボルト１８によりクラッシュボックス１６の内側面にボルト締めされ、さらに クラッシュボックス１６はスポット溶接等によりフロントサイドメンバ１４と一 体化されている。なお、各支柱１２の下方には、バンパガード８の振れ止めのた めの振れ止めサポート１９が設けられ、各サポート１９が、バンパガード水平部 ９とフロントクロスメンバ１３とをボルト２０、２１を介して連結している。

【００１３】 バンパガード８の各支柱１２は、図１及び図３に示すように、平面視で車両前 後方向（車両進行方向）に対し、バンパガード８側より車体側の間隔が狭まる向 きに角度θだけ傾斜して配置されいる。なお、水平方向から見た状態では、図４ に示すようにほぼ水平面内に位置している。

【００１４】 図３に示すように、この支柱１２の傾斜角度θは、例えば１０〜３０°程度に 設定される。この角度θを付与する目的は、支柱１２の素材の持つ剛性強度に応 じ、図７に示すグラフにおいて、軽微衝突時には車両減速度Ｇがエアバッグを作 動させるレベルを超えないように、言い換えれば衝突時の剛性が大きくなり過ぎ ないようにするためである。つまり、軽微衝突時において、各支柱１２が傾斜配 置されているところから、その衝撃荷重で支柱１２が屈曲もしくは座屈としてそ の衝撃を吸収するため、軽微な衝突時の衝撃荷重が車体側に伝わることが抑制さ れ、その結果、軽微衝突時にエアバッグが誤作動することが防止される。

【００１５】 なお、以上の実施例では、双方の支柱１２が前方に開くように傾斜させられて いたが、これを逆に後方に開くように各支柱１２を傾斜配置することもできる。 また、各支柱１２を水平面内で傾斜させることに限らず、垂直面内において傾斜 させること、あるいは水平面および垂直面で三次元的に傾斜させる構造とするこ とも可能である。

【００１６】 その他、本考案は、当業者の知識に基づき、種々の変形を加えた態様で実施し 得ることは勿論である。

【００１７】

【考案の効果】

本考案によれば、バンパガードの車体への連結部材が、車両前後方向に対して 傾斜して配置されるため、比較的軽微な衝突時において、その連結部材が屈曲や 座屈等の変形を生じやすくなる。そのため、バンパガードの存在がエアバッグシ ステムの作動レベルに影響を及ぼしにくく、エアバッグシステムの適正な作動が 保証される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例におけるバンパガードの斜視
図。

【図２】そのバンパガードの左側部分の車体への取付構
造を示す拡大斜視図。

【図３】その平面図。

【図４】その正面図。

【図５】車両のエアバッグシステムの概略図。

【図６】エアバッグ作動状態の概略図。

【図７】車体が受ける減速度とエアバッグ作動の関係を
示すグラフ。

【符号の説明】

６ フロントバンパ ８ バンパガード ９ 水平部 １０ 立上り部 １２ 支柱（連結部材） １３ フロントクロスメンバ １４ フロントサイドメンバ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 衝突時の一定以上の衝撃の検知に基づい
   て作動するエアバッグが車内に搭載されるとともに、フ
   ロントバンパの損傷を防止するバンパガードが連結部材
   を介して車体前端部に取り付けられた車両において、 そのバンパガードを車体に連結する前記連結部材を、車
   両前後方向に対し傾斜させて取り付けたことを特徴とす
   るエアバッグ搭載車のバンパガード取付構造。