JPH06168481A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JPH06168481A
JPH06168481A JP5070619A JP7061993A JPH06168481A JP H06168481 A JPH06168481 A JP H06168481A JP 5070619 A JP5070619 A JP 5070619A JP 7061993 A JP7061993 A JP 7061993A JP H06168481 A JPH06168481 A JP H06168481A
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JP
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recording
protective layer
thickness
layer
groove
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JP5070619A
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Yoshinori Motomiya
佳典 本宮
Toyoki Taguchi
豊喜 田口
Yutaka Hasegawa
裕 長谷川
Tadashi Kobayashi
忠 小林
Naomasa Nakamura
直正 中村
Naoki Morishita
直樹 森下
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、トラック案内溝付きの光ディスク
媒体において、良好な信号再生特性を実現することを目
的とする。 【構成】 本発明の光記録媒体は、透明基板と、前記透
明基板上に形成される内側保護層と、前記内側保護層上
に形成される記録材料層と、前記記録材料層上に形成さ
れた外側保護層と、前記外側保護層上に形成される反射
層とにより構成され、これらに少なくとも情報を記録す
るための光ビームを案内するための案内溝を設け、この
案内溝内で前記情報の記録を行う光記録媒体であって、
前記外側保護層の厚みに対する前記記録材料層の厚みの
比が0.52以上で0.95以下の範囲内に設定される
ことを特徴とするものである。 【効果】 溝による反射光の位相シフトと記録マークに
よる位相シフトの両者による干渉効果で再生信号が大き
く取れ、記録の高密度化、高信頼性化を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は光による情報の記録再
生をする光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク装置では、表面に螺旋状また
は同心円状のトラックに沿って情報を記録し、レーザ光
等の光ビームを照射して光学的に情報信号の再生をす
る。装置の使用者がレーザにより光ディスクに情報信号
を記録できる装置としては初期には文書ファイルシステ
ム等が商品化され、より高度の信頼性を必要とする計算
機の周辺記録装置としての用途に向けた製品も実用化さ
れている。更に、記録した情報信号を消去し、再書き込
みもできる装置なども実用化されるに至った。また、同
様の技術をカード状あるいはテープ状の記録媒体に適用
した、光カードメモリ装置あるいは光テープメモリ装置
の開発も進められるようになってきた。
【0003】これらの光情報記録再生装置において用い
られる光記録媒体では、例えば光スポット径が1.2ミ
クロン程度に絞り込まれたレーザビームにより、大きさ
が1ミクロン程度の記録マークがトラックピッチ1.6
ミクロン程度の記録列上に形成される。記録マークの形
成方式としては記録膜に局所的な破壊、変形、あるいは
相変化による光学的性質の変化などを生じさせる方法な
ど様々な方式が提案され、また実用化されている。ま
た、レーザビームで正確に記録列を追跡するための技術
としては、光ディスクに予めトラック案内溝を設けてこ
れによる回折光からトラッキング誤差信号を検出する方
式、トラックの左右に微少量ずらして形成されたマーク
から得られる信号をサンプリングし、比較してトラッキ
ング誤差信号を検出する方式などがある。
【0004】これらの光ディスク装置は、他の記録装置
同様に用途あるいは応用分野の拡大と共に大容量化、小
型化が要請され、そのために記録密度の向上が進められ
てきた。また、情報の書換えや重ね書きを実現するた
め、種々の記録材料や膜構成が開発されてきた。
【0005】図24は相変化形光ディスクの構成を示し
た概略図である。図24において、入射ビーム601は
集光レンズ602を通過した後、基板603の側から照
射される。媒体は、基板の側から順に、内側保護層60
4、記録材料605か、外側保護層606、金属膜によ
る反射層607、ディスク保護層608からなる。これ
らの各層の厚さは十数nmから数百nm程度に設定され
るが、これを各層の屈折率と乗じた光路長は用いる光の
波長と比べて数分の一から同程度の大きさになり、層の
境界で多重回発生する反射による光相互の干渉効果が顕
著になる。このとき反射した光の位相は入射した光の位
相と比べてシフトする。すなわち、振幅反射率が虚数成
分をもち、複素振幅反射率として表現されるようにな
る。
【0006】情報の記録に当たっては、記録に十分な強
度のレーザ光で照射するなどして、記録材料605に光
学的性質の変化を引き起こす。これは記録材料605の
屈折率、消衰係数、あるいはその両者の数値が変わるこ
とに相当するが、これにともない前記光の干渉効果に大
きな変化が及ぼされ、多層膜全体としての複素反射率が
変化する事になる。
【0007】信号再生に当たっては多層膜全体としての
複素反射率が記録マークの領域だけ局所的に変化してい
るのを、レーザ光の反射光の強度により検出する。した
がって記録領域の複素反射率の未記録領域の複素反射率
に対する比が再生信号のコントラストに影響する。そこ
で図24のような多層膜全体の複素反射率の絶対値が、
記録により大きく変化するような条件から各層の厚さを
決めるなどして媒体構造を決定していた。
【0008】すなわち、例えば従来技術の公知例として
「相転移光記録媒体のオーバライト特性解析」:中村
ら、1990年(平成2年)秋季、第51回応用物理学
会学術講演会シンポジウムダイジェスト「相変化形光デ
ィスクの結晶化機構と消去比」(発行:(社)応用物理
学会、1990年10月30日)p.42〜p.48、
に記載されている記録媒体では、平坦な多重膜構造のモ
デルについて第2層の厚さと第4層の厚さを変えて反射
率を理論的に計算し、反射率が所望の大きさとなるよう
な膜厚を設定するという手法により、記録材料層の厚さ
20nm、保護層の厚さ100nmの値の設定されてい
る。
【0009】また、別の例として、「書換型相変化光デ
ィスクの特性」:大林ら、1991年(平成3年)冬
季、第2回相変化記録研究会シンポジウム予稿集「相変
化形光ディスクの基礎と応用」(発行:応用物理学会相
変化記録幹事会、1991年1月31日)p.20〜
p.29、に記載されている記録媒体でも、平坦な多層
膜構造のモデルについて記録層の厚さと保護層の厚さを
変えて反射率を理論的に計算し、反射率が所望の大きさ
となるような記録層の厚さを設定するという手法によ
り、25〜45nmの値に設定されている。
【0010】平坦な多層膜モデルの計算は比較的容易で
あり、大まかな見積もりをたてる場合には簡便で有効で
ある。従来はこの様な見積もりから媒体構造を設計し、
しかる後にこれをトラッキング案内用の溝であるグルー
ブの付いた基板に適用していた。
【0011】平坦な多層膜モデルの計算による従来の媒
体構造の設計を具体的に示す。図25は平坦な多層膜モ
デルによる再生信号振幅の計算結果を示す図である。媒
体はポリカーボネート樹脂基板に内側保護層として10
0nmのZnSiO2 、記録材料層としてGeSbTe
系相変化記録材料、外側保護層として20nmのZnS
iO2 、反射層としてAlの各層が順に積層されたもの
である。図25において、横軸は記録材料層の厚さ、縦
軸は記録前後の反射光強度の差である。反射率1の鏡面
により得られる反射光強度を100%とした。図から分
かるように19.5nmの膜厚で最大の信号振幅が実現
される。この値に膜厚を設定するのが一つの設計手法で
あった。一方、再生信号の品質は振幅のみで決まるもの
ではないとする考え方もある。例えば反射光がレーザに
戻った時に生ずる雑音や検出器におけるショットノイズ
等の雑音は反射光量が大きいほど大きくなる。そこで、
上記信号振幅を記録部分の反射光強度で割った値、上記
信号振幅を未記録部分の反射光強度で割った値、上記信
号振幅を記録部分と未記録部分の反射光強度の平均値で
割った値などを変調度と定義し、これが最大となる膜厚
に設定する手法もある。図26は平坦な多層膜モデルに
よる変調度の計算結果を示す図である。変調度の定義は
信号振幅を記録部分の反射光強度で割った値とした。図
からわかるように、図7より鋭敏なピークを示し、15
nm付近で最大となる。従来はこれらの手法により設計
した媒体構造が採用され、再生信号品質の最適化が図ら
れていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら実際にこ
の様にして決定した構造の媒体を作成しても、期待する
レベルの再生信号変調度が必ずしも得られないという問
題があった。これは、トラッキング案内溝により生ずる
反射光の位相変化との干渉が発生し、信号が劣化するこ
とに起因している。このため、所望の信号対雑音比が得
られず、記録密度向上、あるいは信頼性向上の阻害要因
となっていた。
【0013】そこで本発明はこのような事情に鑑みてな
されたもので、その目的は比較的簡単に媒体構造を設計
でき、効果的に十分な大きさの再生信号変調度を実現す
る光記録媒体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
為に、本発明の第1の光記録媒体は、透明基板と、前記
透明基板上に形成される内側保護層と、前記内側保護層
上に形成される記録材料層と、前記記録材料層上に形成
された外側保護層と、前記外側保護層上に形成される反
射層とにより構成され、これらに少なくとも情報を記録
するための光ビームを案内するための案内溝を設け、こ
の案内溝内で前記情報の記録を行う光記録媒体であっ
て、前記外側保護層の厚みに対する前記記録材料層の厚
みの比が0.52以上で0.95以下の範囲内に設定さ
れることを特徴とするものである。
【0015】また、本発明の第2の光記録媒体は、透明
基板と、前記透明基板上に形成される内側保護層と、前
記内側保護層上に形成される記録材料層と、前記記録材
料層上に形成された外側保護層と、前記外側保護層上に
形成される反射層とにより構成され、これらに少なくと
も情報を記録するための光ビームを案内するための案内
溝を設け、この案内溝内で前記情報の記録を行う光記録
媒体であって、前記内側保護層の厚みに対する前記記録
材料層の厚みの比が0.053以上で0.098以下の
範囲内に設定されることを特徴とするものである。
【0016】さらに、本発明の第3の光記録媒体は、透
明基板と、前記透明基板上に形成される内側保護層と、
前記内側保護層上に形成される記録材料層と、前記記録
材料層上に形成された外側保護層と、前記外側保護層上
に形成される反射層とにより構成され、これらに少なく
とも情報を記録するための光ビームを案内するための案
内溝を設け、この案内溝間で前記情報の記録を行う光記
録媒体であって、前記外側保護層の厚みに対する前記記
録材料層の厚みの比が0.32以上で0.6以下の範囲
内に設定されることを特徴とするものである。
【0017】この他、本発明の第4の光記録媒体は、透
明基板と、前記透明基板上に形成される内側保護層と、
前記内側保護層上に形成される記録材料層と、前記記録
材料層上に形成された外側保護層と、前記外側保護層上
に形成される反射層とにより構成され、これらに少なく
とも情報を記録するための光ビームを案内するための案
内溝を設け、この案内溝間で前記情報の記録を行う光記
録媒体であって、前記内側保護層の厚みに対する前記記
録材料層の厚みの比が0.033以上で0.063以下
の範囲内に設定されることを特徴とするものである。
【0018】
【作用】本発明のように構成することにより、記録によ
る複素反射率の変化に伴う位相のシフトがグルーブによ
る位相のシフトとの相乗効果によってより大きな再生信
号変調度が得られる効率的な媒体構造になるように、層
の厚さが設定される。この結果、従来と同じ記録材料を
用いても従来より高い信号品質が得られ、記録密度の向
上、情報記録の信頼性の向上などが達成される。これ
は、保護層においても同様である。
【0019】
【実施例】図1には、光記録再生装置の光学系が示され
ている。この図によると、光記録媒体、即ち光ディスク
100の下部には、光ディスク100に対向して光学ヘ
ッド110が設けられている。光学ヘッド110は、光
ディスク100に対面する集光レンズ102と、レーザ
ー光を発生するレーザ素子111と、このレーザ素子1
11からのレーザー光をコリメートするコリメータレン
ズ112と、コリメータレンズ112からの平行レーザ
光が入射されるビームスプリッタ113と、このビーム
スプリッタ113を介したレーザ光を集光レンズ102
の方向に反射し、光ディスク100から反射し、集光レ
ンズ102を通過した反射光をビームスプリッタ113
の方向に反射する反射面を有する反射鏡114と、ビー
ムスプリッタ113によって偏向された反射光を集束す
るレンズ115と、このレンズ115により集束された
反射光を電気信号に変換する光検出器116とにより構
成される。
【0020】光ディスク100は図2及び図3に示され
るように構成されている。即ち、集光レンズ102を通
過したレーザ光が入射する透明基板103には複数のト
ラッキング案内溝109が形成されており、この案内溝
側において透明基板103の上に、内側保護層104、
記録材料105、外側保護層106、金属膜による反射
層107およびディスク保護層108が順次重ねて形成
されている。各層の材料として、透明基板103にはポ
リカーボネート樹脂が、内側保護層104及び外側保護
層106にはZnSiO2 が、記録材料層105にはG
eSbTe系の相変化記録材料が、反射層107にはA
l(aluminum)が、そしてディスク保護層108には紫外
線効果樹脂が用いられる。これらの材料層の厚みには、
記録媒体の記録特性が妥当なものとなるための要請から
制約がある。即ち、記録時に記録媒体への光の照射によ
り、記録すべき狭い領域内で記録に十分な温度上昇が実
現されるような膜構成を得ることが1つの前提条件であ
る。この実施例の場合、内側保護層104および外側保
護層106の厚みがそれぞれ100nmおよび20nm
に設定され、反射層107の厚みは100nmに設定さ
れる。反射層107の厚みは材料であるAlの消衰係数
が比較的大きいことから、厚みは厳しく制限されなく、
厚みが100nmよりも厚くても光学特性は余り大きく
変わらない。
【0021】上記のようにして設定されるように記録特
性が実用的な範囲内にあって、しかも再生特性も良好な
媒体を実現するために、記録材料の膜厚を変化させたと
きに再生信号がどのように変化するかが計算される。こ
の計算は、多層薄膜の干渉効果を考慮して光の伝播を解
析する方式に基づいている。この計算結果に基づいて作
成された図4は記録媒体に溝が形成されていない場合の
再生信号レベルの計算結果を示している。この図4にお
いては、平面基板に上述したような各種層を形成したと
きの記録媒体の反射率が記録材料の厚さを変えて計算に
より求められ、記録材料が結晶状態の場合とアモルファ
ス状態の場合の2つの曲線201および202が示さ
れ、横軸が記録材料の厚み、そして縦軸が反射率を表し
ている。曲線201は結晶状態の場合の反射率、そして
曲線202はアモルファス状態の場合の反射率を示して
いる。結晶状態が記録前の記録媒体の状態に相当し、ア
ルモファス状態が記録後の記録媒体の状態に相当する。
これら2つの曲線のレベルの差が大きい辺りの厚みに層
の厚みが設定されると、再生信号の振幅が大きく得ら
れ、良好な信号が得られる。再生信号の変調度を大きく
取りたい場合には、記録後の再生信号レベル(反射率)
が小さい辺りの厚みに層の厚みを設定すればよい。しか
しながらこの計算はマークのサイズやトラックの案内用
溝について何等考慮されていないため、計算結果が実際
の最適値から外れてしまう。
【0022】図5は記録媒体が溝を有する場合の再生信
号レベルの計算結果を示している。図5によると、トラ
ックピッチ:1.2ミクロンおよび溝幅:0.6ミクロ
ンの溝が形成された媒体にマークを形成する前後で得ら
れる再生信号レベルの計算結果が示されている。同図に
おいて、曲線301は記録前の反射率を示し、この反射
率は溝内においても溝間においても同じ値である。これ
は溝幅がトラックピッチの半分の矩形型断面を有する溝
が形成されているためである。記録後の再生信号レベル
については、溝内に記録光を照射して溝内にマークを形
成するイングルーブ記録の場合の計算結果が曲線302
として示され、溝間に記録光を照射して溝間にマークを
形成するオンランド記録の場合の計算結果が曲線303
として示され、2つの記録方式について示されている。
この解析では、多層薄膜の干渉効果および溝による位相
シフトならびに集光光学系で生じている回折効果などが
考慮されている。図4と比較すると分かるように溝によ
る位相シフトの影響により最適な膜構造は図4から予想
される層構造とは少し異なっている。また、2つの記録
方式のそれぞれで最適な膜構造はやはり少し異なる設定
となる。
【0023】上記の関係を見るための信号振幅の振る舞
いにつき詳しく説明する。図6は信号振幅の膜厚依存性
を示しており、曲線401および402はイングルーブ
記録およびオンランド記録の場合の計算結果をそれぞれ
示している。この図によると、イングルーブ記録の場合
の振幅のピークは膜厚が23.5nm付近にあり、オン
ランド記録の場合の振幅のピークは膜厚が16nm付近
にある。図から分かるようにピークの膜厚を100%と
したときに膜厚が80%から120%の範囲にあれば、
十分な大きさの信号振幅が実現できる。
【0024】図7は信号変調度の膜厚依存性を示してい
る。信号変調度は信号振幅を記録領域の反射光強度で割
った値とする。同図の曲線501はイングループ記録お
よびオンランド記録の場合の計算結果をそれぞれ示す。
この図によると、イングルーブ記録では、変調度のピー
クは膜厚が18nm付近にあり、オンランド記録では、
変調度のピークは膜厚が13nm付近にある。図から分
かるようにピークの膜厚を100%としたときに80%
から120%の範囲内であれば、十分な大きさの信号変
調度が実現できる。
【0025】以上の計算結果から分かるようにグルーブ
内にマークを形成するイングルーブ記録の場合、従来よ
り記録材料膜厚を大きくし、オンランド記録の場合は従
来より薄くすることにより特性を向上させることができ
る。この実施例の場合、記録材料膜厚dを15nm<d
<23nmなる範囲に設定することにより記録媒体の特
性が最適化される。また、グルーブ間にマークを形成す
るオンランド記録の場合には、記録材料膜厚dを10n
m<d<17nmなる範囲に設定することにより記録媒
体の特性が最適化される。
【0026】次に、第2実施例を説明するが、光記録媒
体の層構造は図3と同じである。即ち、媒体は、透明基
板103から順に積層された内側保護層104、記録材
料層105、外側保護層106、金属膜による反射層1
07およびディスク保護層108により形成されてい
る。また、基板103にはトラッキング案内用溝109
が形成される。各層の材料として、基板103はポリカ
ーボネート樹脂、内側保護層104および外側保護層1
06はZnS−SiO2 、記録材料層105はGeSb
Te系相変化記録材料、反射層107はAl、そしてデ
ィスク保護層108は紫外線硬化型樹脂により形成され
る。記録材料層105を形成している元素Ge、Sbお
よびTeの割合は例えば2:2:5に設定されている。
【0027】さらに、この第2実施例では、内側保護層
104および外側保護層106の厚みは100nmおよ
び20nmにそれぞれ設定され、反射層107の厚みは
100nmに設定されている。反射層107の厚みに関
しては、材料であるAlの消衰係数が比較的に大きいこ
とから、厚みの制限は厳密ではなく、100nm以上の
厚みに設定されても記録媒体の光学的特性は余り大きく
変わらない。また、トラックピッチは1.0ミクロンに
設定され、溝幅0.5ミクロンの溝が形成された媒体に
マークが形成される。このとき、記録材料層105の厚
みを変化させたときに再生信号がどのようになるかを計
算し、第1実施例の計算結果と比較すると、第2実施例
は、記録材料の組成比および光学定数が第1実施例とは
異なるので、最適な膜厚の設定値は第1実施例とは若干
異なる。
【0028】図8に示された第2実施例の記録媒体にお
ける再生信号振幅の計算結果は、図6に示された第1実
施例の計算結果に対応しており、曲線401および40
2はイングルーブ記録およびオンランド記録の場合の計
算結果をそれぞれ示している。この図によると、振幅の
ピークが複数の箇所に現れているが、これは薄膜の干渉
効果に起因している。記録材料層105は吸収特性を有
するので、振幅のピークは膜厚の増大と共に一定値に近
付く。振幅のピークが最大値を取る膜厚を選択すれば、
最も大きいレベルの信号が得られるが、記録特性や媒体
の製造性、その他の条件に不都合があれば、記録材料層
105の厚みは第2及び第3のピークの付近の値に設定
してもよい。
【0029】図9は第2実施例の記録媒体から求められ
た信号変調度をプロットして示している。この図は、第
1実施例における図7に対応している。信号の変調度は
信号振幅を記録済み領域の反射強度で割った値とする。
図9において、曲線501および502はイングルーブ
記録およびオンランド記録の場合の計算結果をそれぞれ
示す。この図9によると、第2および第3のピーク付近
の膜厚では、変調度が小さく、この膜厚は再生特性の観
点からあまり有利でない。
【0030】図10及び図11は、図8および図9のう
ち信号振幅のピーク付近の振る舞いを詳細に示してい
る。図10において、曲線401および402はイング
ルーブ記録およびオングルーブ記録の場合の計算結果を
それぞれイングルーブ記録でのピークは27.5nmの
膜厚付近にあり、オンランドグルーブ記録でのピークは
15nmの膜厚の付近にある。図から分かるようにそれ
ぞれの場合について、ピークの膜厚を100%としたと
きに50%から150%の範囲内であれば、十分な大き
さの信号変調度が実現でき、この範囲内の膜厚は有効で
ある。
【0031】図11では、曲線501および502がイ
ングルーブ記録およびオングルーブ記録の場合の計算結
果をそれぞれ示している。イングルーブ記録におけるピ
ークは22nmの膜厚付近にあり、オンランド記録にお
けるピークは14nmの膜厚付近にある。図から分かる
ようにそれぞれの場合について、ピークの膜厚を100
%としたときに50%ないし150%の範囲内であれ
ば、十分な大きさの信号変調度が実現でき、この膜厚が
有効である。これらの結果から膜厚の最適な範囲が定ま
るが、第2の実施例において、イングルーブ記録の場合
には、記録材料層105の厚みdを18nm<d<30
nmの範囲に設定することにより記録媒体の特性がより
一層に向上する。また、溝間にマークを形成するオンラ
ンド記録の場合には、記録材料層105の厚みdを10
nm<d<19nmの範囲に設定することにより、記録
媒体の特性がより一層向上する。
【0032】また、図9における曲線401と402と
の交点あるいは図10における曲線501と502との
交点近傍の膜厚条件ではイングルーブ記録とオンランド
記録の両者でほぼ同等の信号品質が得られる。このよう
な構造の記録媒体は、両記録方式のいずれにも適用でき
ると共に両方式を混在しても適用できる。このように利
用する場合には、特に14nm付近に記録材料層105
の厚みを設定することにより大きな効果が得られる。こ
のようにイングルーブ記録とオンランド記録との両者で
ほぼ同等の信号品質が得られる条件をそれぞれの曲線の
交点から求めることは、後述する第3および第4実施例
においても同様に有効である。
【0033】次に、イングルーブ記録はトラック密度を
向上させる上で有効と考えられているが、この際の膜厚
設定条件について説明する。ここでは、第2実施例を別
の視点から検討した例を説明するが、光記録媒体の層構
造は図3とおなじである。
【0034】そして、この実施例では、内側保護層10
4および外側保護層106の厚みは240nmおよび2
5nmにそれぞれ設定され、反射層107の厚みは10
0nmに設定されている。反射層107の厚みに関して
は、材料であるAlの消衰計数が比較的に大きいことか
ら、厚みの制限は厳密ではなく、100nm以上の厚み
に設定されても記録媒体の光学的特性は余り大きく変わ
らない。また、トラックピッチは1.0ミクロンに設定
され、溝幅0.5ミクロンの溝が形成された媒体にマー
クが形成される。このとき、内側保護層104の厚みを
d1,記録材料層105の厚みをd2そして外側保護層
106の厚みをd3とする。図12にd2/d3の値を
変化させたときの変調度の変化が示されている。S/N
比を確保し、十分に記録再生装置の性能を達成するため
には、変調度は2以上の値が必要である。そのためには
d2/d3の値が0.52以上で0.95以下の範囲内
にあることが必要である。また、d2/d1の値を変化
させたときには、変調度は図13に示されるように変化
する。この場合も、S/N比を確保し、十分に記録再生
装置の性能を達成するためには、変調度は2以上の値が
必要である。そのためにはd2/d1の値が0.053
以上で0.098以下の範囲内にあることが必要であ
る。
【0035】次に、オンランド記録の際の膜厚設定条件
を図14および図15を参照して説明する。この場合、
図14には、d2/d3の値を変化させたときの変調度
の変化が示されている。この図14によると、2以上の
変調度を得るためには、d2/d3の値が0.32以上
で0.6以下の範囲内にあることが必要である。また、
d2/d1の値を変化させたときには、2以上の変調度
を得るためには、d2/d1の値が0.033以上で
0.063以下の範囲内にあることが必要である。
【0036】なお、上記d2/d3及びd2/d1は、
例えば、Mansuripur,et al. "Laser-induced local hea
ting of multilayess" AppliedOptics vol.21, No6, 15
March 1982による光のfield の計算から多層膜のcomple
x reflectivityを求め、H.H.Hopkins "Diffraction The
ory of Laser Read-Out Systems for Optical VideoDis
ks," Journal of Optical Society of America 69 4 (1
979) あるいは、本宮(y.Honguh)、「光ディスクにお
ける回折光解析」光学 20巻 4号 pp.210〜215(199
1) に開示されている回折モデルにより計算したもので
ある。
【0037】次に、第3の実施例を説明するが、光記録
媒体の層構造は第2の実施例と同じである。即ち、媒体
は、透明基板103から順に積層された内側保護層10
4、記録材料層105、外側保護層106、金属膜によ
る反射層107およびディスク保護層108により形成
され、基板103にはトラッキング案内用溝109が形
成される。各層の材料として、基板103はポリカーボ
ネート樹脂、内側保護層104および外側保護層106
はZnS−SiO2 、記録材料層105はGeSbTe
系相変化記録材料、反射層107はAl、そしてディス
ク保護層108は紫外線効果型樹脂により形成される。
記録材料層105を形成している元素Ge、Sbおよび
Teの割合は例えば2:2:5に設定されている。
【0038】この第3実施例では、内側保護層104の
厚みは100nmmに設定され、記録記録材料層105
の厚みは22nmに設定され、反射層107の厚みは1
00nmに設定されている。また、トラックピッチが
1.0ミクロンに設定され、溝幅0.5ミクロンの溝が
形成された媒体にマークが形成される。このとき、外側
保護層106の厚みを変化させたときに再生信号がどの
ようになるかを計算する。
【0039】図16は、第3の実施例の記録媒体に基づ
いた再生信号振幅の計算結果を示している。図16での
曲線401および402はイングルーブ記録およびオン
ランド記録の場合の計算結果をそれぞれ示している。こ
の図から信号振幅の特性がイングルーブ記録とオンラン
ド記録とで異なることが分かる。振幅のピークは複数箇
所に現れるが、これは、薄膜の干渉結果に起因する。外
側保護層106の材料には光吸収がないので、膜厚の増
大と共に一定の振幅パターンが周期的に繰り返される。
この周期は外側保護層106内での光の波長の半分に相
当する。この一定の振幅パターンにおいて、最大を示す
ピークの他にそれより小さいピークが現れることがあ
り、この実施例では、このような状態が現れることが図
から分かる。最初に最大振幅ピークを示す膜厚を選択す
れば、最も薄い膜厚で最も大きい信号が得られるが、記
録特性や媒体の製造性およびその他の条件の利害得失を
考慮して第2および第3のピークあるいは最大ピーク付
近に対応する膜厚を設定してもよい。また、膜厚が0に
近い箇所に最大ピークが存在しなくても十分に大きいレ
ベルの信号が得られる場合には、大きい信号レベルが得
られる膜厚が設定されてもよい。また、膜厚が0に近い
箇所に最大ピークが存在しなくても十分に大きいレベル
の信号が得られる場合には、大きい信号レベルが得られ
る膜厚が設定されてもよい。
【0040】図17は、第3の実施例の記録媒体に基づ
いて求められた信号変調度をプロットして示している。
曲線501および502はイングルーブ記録およびオン
ランド記録の場合の計算結果をそれぞれ示している。こ
の図によると、最大ピーク付近の膜厚では、変調度が小
さく、この膜厚は再生特性の面であまり有利でないこと
が分かる。
【0041】さらに、2種またはそれ以上の波長で記録
信号を再生することを考慮した場合、良好な特性を確保
できる膜厚の範囲がさらに限定される。これは、使用す
る波長の異なる装置での記録媒体の互換性を確保したい
場合などに生じる。このような場合、それぞれの波長に
ついてそれぞれの波長に対応した光学定数を用いて上述
した信号変調度を求める同様な計算を行い、どちらの波
長においても信号振幅あるいは信号変調度が十分に取れ
る膜厚範囲を定めることが必要である。具体的には、ピ
ークを実現する膜厚を100%としたときにこの膜厚の
50%から150%の範囲における各波長に対して計算
し、計算結果が重なりあう部分に対応する膜厚を設定す
ればよい。この際、上記の変調度パターンの周期は波長
によって大きく異なるので、最初に現れるピークに膜厚
を設定する方が記録媒体の特性上有利である。2番目以
降のピークに膜厚を設定してもよいが、膜厚が通常より
かなり厚くなるため、製造面や他の特性への影響につい
て若干不利であり、膜厚設定には十分な注意が必要とな
る。
【0042】図18および図19は、図16および図1
7のうち信号振幅のピーク近辺の振る舞いを詳細に示し
ている。図18において、曲線401および402はイ
ングルーブ記録およびオンランド記録の場合の計算結果
を示す。イングルーブ記録におけるピークは外側保護層
106の厚みが22nm付近にあり、またオンランド記
録におけるピークは外側保護層106の厚みが2nm付
近にある。図から分かるように外側保護層106の膜厚
変化に対するピークは記録材料層105の膜厚変化ほど
顕著なピークとして現れないが、それぞれの場合につい
て、ピークの膜厚を100%としたときにこの膜厚の5
0%ないし150%の範囲内であれば、十分の大きさの
信号振幅が実現でき、この範囲の膜厚が有効である。
【0043】図19において、曲線501および502
がイングルーブ記録およびオングルーブ記録の場合の計
算結果をそれぞれ示している。イングルーブ記録におけ
るピークは28nmの膜厚付近にあり、オンランド記録
におけるピークは8nmの膜厚付近にある。図から分か
るようにそれぞれの場合について、ピークの膜厚を10
0%としたときにこの膜厚の50%ないし150%の範
囲内であれば、十分な大きさの信号変調度が実現でき、
この膜厚が有効である。これらの結果から膜厚の最適な
範囲が定まるが、第3の実施例において、イングルーブ
記録の場合には、外側保護層106の厚みdを18nm
<d<35nmの範囲に設定することにより記録媒体の
特性がより一層に向上する。また、溝間にマークを形成
するオンランド記録の場合には、記録材料層105の厚
みdを1nm<d<12nmの範囲に設定することによ
り、記録媒体の特性がより一層向上する。
【0044】さらに、第4の実施例を説明するが、光記
録媒体の層構造および材料は第2あるいは第3の実施例
と同じであるので、これらについての説明は省略する。
この第4実施例では、外側保護層106の厚みは20n
mmに設定され、記録記録材料層105の厚みは22n
mに設定され、反射層107の厚みは100nmに設定
されている。また、トラックピッチが1.0ミクロンに
設定され、溝幅0.5マクロンの溝が形成された媒体に
マークが形成される。このとき、内側保護層104の厚
みを変化させたときに再生信号がどのようになるかを計
算する。
【0045】図20は、第4の実施例の記録媒体に基づ
いた再生信号振幅の計算結果を示している。図20での
曲線401および402はイングルーブ記録およびオン
ランド記録の場合の計算結果をそれぞれ示している。こ
の図から信号振幅の特性がイングルーブ記録とオンラン
ド記録とで異なることが分かる。振幅のピークは複数箇
所に現れるが、これは、薄膜の干渉結果に起因する。内
側保護層104と基板材料との屈折率差がこの発明の第
3の実施例の場合より小さいため、この図20と図16
および図17とを比較すると、変化が緩やかであるが、
膜厚の設定の仕方によって信号品質は有意に変えること
ができる。この実施例も第3の実施例と同様に内側保護
層104内での光の波長の半分に相当する周期で振幅パ
ターンが繰り返されている。従って、最大値をとるピー
クの近辺に膜厚を設定するとしても、周期の整数倍だけ
の自由度がある。図20における曲線401の場合、膜
厚が0の近辺は最大ピークではないが、十分大きな信号
が実現できることが分かる。ここに膜厚を設定しても良
いし、180nm近辺のピーク近傍に設定してもよい。
記録特性や媒体の製造性およびその他の条件の利害得失
を考慮してさらに別の第2および第3のピーク付近に設
定することもできる。
【0046】図21は第4の実施例の記録媒体に基づい
て求められた信号変調度をプロットして示している。曲
線501および502はイングルーブ記録およびオンラ
ンド記録の場合の計算結果をそれぞれ示している。これ
らの結果からイングルーブ記録の場合、信号振幅を重視
するか変調度を重視するかにより、内側保護層104の
厚みが180nm付近または80nm付近に設定すれば
よいことが分かる。また、オンランド記録の場合のピー
クは膜厚が145nm付近、または115nm付近に設
定すると良い。図から分かるように変調度パターンは内
側保護層104内の光の波長の半分、すなわち191.
7nmが周期となっている。周期の1.4の誤差内であ
れば、即ちピークの膜厚±47.9nmの範囲内であれ
ば、十分な大きさの信号品質が実現でき、この範囲の膜
厚は有効である。さらに、周期の整数倍の自由度を考慮
すると、nmを単位としてピークの膜厚±47.9およ
び±191.7×m(ただしmは任意の整数)なる膜厚
に設定することにより良好な信号品質を実現できる。
【0047】なお、複数の波長において再生特性を確保
しようとする場合は第3の実施例の説明と同様にそれぞ
れの波長に対して上記と同様に保護層膜厚の範囲を計算
し、それぞれの範囲の重なり合う部分に設定すればよ
い。
【0048】次に、第5の実施例を説明する。発明者ら
の研究によれば、イングルーブ記録とオンランド記録と
では、記録前後の再生信号変調度が異なることが判って
いる。両者の変調度の違いがCNRの違いに反映されて
おり、オンランド記録時のCNRは高く、ブルーブ内記
録時のCNRは低くなる。
【0049】上記のことを考慮して第5の実施例が達成
されている。この第5の実施例においても記録媒体10
0の層構造は図3と同じである。この実施例において
も、ZnSiO2 により形成される内側保護層104お
よび外側保護層106の厚みをそれぞれ100nmおよ
び20nmに、Alにより形成される反射層107の厚
みを100nmに固定し、GeSbTeにより生成され
る記録材料層105の厚みを変化させた場合のグルーブ
内およびグルーブ間反射率は図5に示すように変化す
る。記録前後での反射率比の大小が再生信号変調度の大
小を表しているためイングルーブ記録時の変調度は記録
前反射率301とイングルーブ記録反射率302との比
およびグループ間記録時の変調度は記録前反射率とオン
ランド記録反射率303との比により評価できる。図5
からイングルーブ記録時に変調度が大きくなる層構造
と、オンランド記録時に変調度が大きくなる層構造が別
個に存在することが判る。図5において、記録材料層の
厚みが15nm以下では、オンランド記録時の変調度が
大きくなり、15nm以上では、イングルーブ記録時の
変調度が大きくなる。従って、この光記録媒体の記録材
料層105の厚みを15nm以上とすることによりイン
グルーブ記録時にCNRが高く、十分な品質の再生信号
を得ることができる。図5では、記録材料層105のみ
の厚みを変化させた場合が示されているが、内側保護層
104または外側保護層106の厚みを変化することに
よっても変調度を調整できることは先の実施例から理解
できる。
【0050】図5に示すデータに基づき、記録材料層1
05の厚みを約25nmとし、他の層を上述した条件と
して記録媒体を制作し、CNRと再生信号変調度を測定
した結果が図23に示されている。
【0051】図23から判るようにイングルーブ記録時
の変調度がオンランド記録時の変調度よりも大きく、こ
のときのイングルーブ記録時のCNRは53.5dBで
ある。この値は、十分な品質の再生信号が得られること
を意味している。なお、図23の結果では、イングルー
ブ記録時のCNRとオンランド記録時のCNRが殆ど同
じ値となっている。これは、光記録媒体のグルーブ形状
変化が再生時にノイズとして現れてCNRを低下させる
ことによる。イングルーブ再生時には、オンランド再生
時よりもグルーブ端にかかる光強度が大きいため、グル
ーブ形状変化の影響を受け易く、ノイズがより大きく現
れる。従って、グルーブ形状変化の少ない光記録媒体で
あれば、イングルーブ記録時のCNRはさらに向上し、
オンランド記録時のCNRよりも大きくなったはずであ
る。
【0052】図22にはオンランド記録とイングルーブ
記録での記録材料層105の厚みの変化に対する変調度
の変化を示しており、曲線601および602はイング
ルーブ記録およびオンランド記録における記録媒体の変
調度を示しており、曲線601と602との交点に対応
する膜厚を基準としてイングルーブ記録における反射率
ピークとオンランド記録における反射率ピークとに関し
て膜厚の範囲を使い分けることによりイングルーブ記録
およびオンランド記録にそれぞれ最良の膜厚を設定でき
る。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の光記録媒
体によれば、記録による複素反射率の変化に伴う位相の
シフトがグルーブによる位相のシフトとの相乗効果によ
ってより大きな再生信号変調度が得られる効率的な媒体
構造になるように、層の厚さが設定される。この結果、
従来と同じ記録材料を用いても従来より高い信号品質が
得られ、記録密度の向上、情報記録の信頼性の向上など
が達成される。これは、保護層においても同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光記録再生装置の光学系を示す図。
【図2】 図1の装置に使用されるこの発明の一実施例
に従った光記録媒体の一部切欠した斜視図。
【図3】 図2の光記録媒体の断面構造を示す図。
【図4】 記録媒体に溝が無い場合の再生信号レベルの
計算結果を示す図。
【図5】 記録媒体に溝が有る場合の再生信号レベルの
計算結果を示す図。
【図6】 信号振幅の膜厚依存性を示す図。
【図7】 信号の変調度の膜厚依存性を示す図。
【図8】 この発明の第二実施例に従った記録媒体にお
ける再生信号振幅の計算結果を示す図。
【図9】 この発明の第二実施例に従った記録媒体にお
ける信号変調度をプロットした図。
【図10】 図8における信号振幅のピーク付近の振る
舞いを詳細に示した図。
【図11】 図9における信号変調度のピーク付近の振
る舞いを詳細に示した図。
【図12】 イングルーブ記録における記録材料層と外
側保護層との膜厚設定条件を示す図。
【図13】 イングルーブ記録における記録材料層と内
側保護層との膜厚設定条件を示す図。
【図14】 オンランド記録における記録材料層と外側
保護層との膜厚設定条件を示す図。
【図15】 オンランド記録における記録材料層と内側
保護層との膜厚設定条件を示す図。
【図16】 この発明の第三実施例に従った記録媒体に
おける再生信号振幅の計算結果を示す図。
【図17】 第三実施例に従った記録媒体における信号
変調度をプロットした図。
【図18】 図16における信号振幅のピーク付近の振
る舞いを詳細に示した図。
【図19】 図17における変調度のピーク付近の振る
舞いを詳細に示した図。
【図20】 この発明の第四実施例に従った記録媒体に
おける再生信号振幅の計算結果を示す図。
【図21】 第四実施例に従った記録媒体における信号
変調度をプロットした図。
【図22】 イングルーブ記録とオンランド記録におけ
る信号変調度を示す図。
【図23】 記録材料層の厚みを25nmとした時のC
NR及び再生信号変調度の値を示した図。
【図24】 相変化光ディスクの構成を示した概略図。
【図25】 平坦な多層膜モデルによる再生信号振幅の
計算結果を示す図。
【図26】 平坦な多層膜モデルによる変調度の計算結
果を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 忠 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内 (72)発明者 中村 直正 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内 (72)発明者 森下 直樹 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板と、 前記透明基板上に形成される内側保護層と、 前記内側保護層上に形成される記録材料層と、 前記記録材料層上に形成された外側保護層と、 前記外側保護層上に形成される反射層とにより構成さ
    れ、これらに少なくとも情報を記録するための光ビーム
    を案内するための案内溝を設け、この案内溝内で前記情
    報の記録を行う光記録媒体であって、 前記外側保護層の厚みに対する前記記録材料層の厚みの
    比が0.52以上で0.95以下の範囲内に設定させる
    ことを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 透明基板と、 前記透明基板上に形成される内側保護層と、 前記内側保護層上に形成される記録材料層と、 前記記録材料層上に形成された外側保護層と、 前記外側保護層上に形成される反射層とにより構成さ
    れ、これらに少なくとも情報を記録するための光ビーム
    を案内するための案内溝を設け、この案内溝内で前記情
    報の記録を行う光記録媒体であって、 前記内側保護層の厚みに対する前記記録材料層の厚みの
    比が0.053以上で0.098以下の範囲内に設定さ
    れることを特徴とする光記録媒体。
  3. 【請求項3】 透明基板と、 前記透明基板上に形成される内側保護層と、 前記内側保護層上に形成される記録材料層と、 前記記録材料層上に形成された外側保護層と、 前記外側保護層上に形成される反射層とにより構成さ
    れ、これらに少なくとも情報を記録するための光ビーム
    を提案するための案内溝を設け、この案内溝間で前記情
    報の記録を行う光記録媒体であって、 前記外側保護層
    の厚みに対する前記記録材料層の厚みの比が0.32以
    上で0.6以下の範囲内に設定されることを特徴とする
    光記録媒体。
  4. 【請求項4】 透明基板と、 前記透明基板上に形成される内側保護層と、 前記内側保護層上に形成される記録材料層と、 前記記録材料層上に形成された外側保護層と、 前記外側保護層上に形成される反射層とにより構成さ
    れ、これらに少なくとも情報を記録するための光ビーム
    を案内するための案内溝を設け、この案内溝間で前記情
    報の記録を行う光記録媒体であって、 前記内側保護層の厚みに対する前記記録材料層の厚みの
    比が0.033以上で0.063以下の範囲内に設定さ
    れることを特徴とする光記録媒体。
JP5070619A 1992-03-30 1993-03-30 光記録媒体 Pending JPH06168481A (ja)

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JP4-262628 1992-10-01
JP4-72032 1992-10-01
JP26262892 1992-10-01
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