JP2541847B2 - 光学的記録媒体円盤 - Google Patents

光学的記録媒体円盤

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JP2541847B2
JP2541847B2 JP1004044A JP404489A JP2541847B2 JP 2541847 B2 JP2541847 B2 JP 2541847B2 JP 1004044 A JP1004044 A JP 1004044A JP 404489 A JP404489 A JP 404489A JP 2541847 B2 JP2541847 B2 JP 2541847B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は光学的記録媒体円盤、特にコンパクト・ディ
スクに対して互換性もある追記型の光学的記録媒体円盤
に関する。
(従来の技術) 各種の情報信号を高い記録密度で記録することについ
ての要望が高まるのにつれて、近年になって色々な構成
原理や動作原理に基づいて作られた情報記録媒体を用い
て情報信号の高密度記録再生が行われるようになったこ
とは周知のとおりであり、例えば、情報記録媒体の信号
面に情報信号に応じた凹凸を形成させて情報信号の記録
を行い、記録された情報信号を光学的な手段によって再
生するようにしたり、あるいは静電容量値の変化の検出
によって再生するようにした記録再生装置は、映像信号
や音声信号の記録再生用として既に実用されている。
また、各種の技術分野における高密度記録再生の要求
に応じるために、情報記録媒体の記録層に情報信号によ
って強度変調されたビームを照射することにより、情報
記録媒体における記録層に情報信号に応じた物理変化あ
るいは化学変化を生じさせて情報信号の記録が行われる
ようにした情報記録媒体についても研究が行われるよう
になったが、近年、安定な動作を行う半導体レーザが容
易に得られるようになったのに伴い、レーザ光を用いて
高密度記録再生を行うようにした各種の光学的記録媒体
(光ディスク)が既に実用化されたり、あるいは実用化
のための研究開発が行われている現状にあることは周知
のとおりである。
すなわち、幾何学的な凹部あるいは凸部として形成さ
れているピットにより情報信号が記録された原盤から大
量に複製された記録済み光ディスク(再生専用の光ディ
スク)が、例えばビデオ・ディスクやコンパクト・ディ
スク等として、一般の家庭にも普及し始めている他、1
回だけユーザが追加して記録できる光ディスク(追記型
光ディスク)や消去可能な光ディスクなどが、例えばオ
フィス用ファイルメモリ、その他の用途での実用化のた
めに盛んに研究開発が行われている。
ところで、情報信号が高密度記録されている情報記録
媒体から情報信号を再生する場合には、トラッキング制
御によって再生素子あるいは再生用のビームを情報信号
が記録されている記録跡に常に正確に通らせるようにす
ることが行われるのであり、例えば、情報記録媒体にお
ける信号面に対して、微小な径の光のスポットを投射
し、信号面に形成されているピットによって強度変調さ
れている反射光に基づいて情報信号を再生するようにし
た光学的情報信号再生装置におけるトラッキング制御に
際して用いられるトラッキング誤差検出方式としては、
情報記録媒体からの反射光の光の強度分布が、トラッキ
ング誤差によって偏ることを利用してトラッキング誤差
の検出を行うようにする、いわゆる、プッシュプル法に
よるトラッキング誤差検出方式が、光学系の構成が単純
なものとなってコスト的に有利になるために広く使用さ
れている他に、情報記録媒体における信号面に対して信
号読取用の第1の光スポットを投射するとともに前記し
た第1の光スポットを含む直線上で、前記の第1の光ス
ポットを対称中心とする対称の位置にトラッキング用の
第2、第3の光スポットを投射して、前記した第2,第3
の光スポットによって情報記録媒体の信号面に生じた反
射光に基づいてトラッキング誤差の検出を行うようにす
るトラッキング誤差検出方式も従来から使用されている
ことは周知のとおりであり、前記した各種形式の情報記
録媒体に高密度に記録された情報信号の再生に当って
も、再生動作はトラッキング制御動作の下に行われるよ
うにされるのが通常である。
さて、情報記録媒体の信号面に情報信号と対応するピ
ットの配列によって、情報信号が高密度記録されている
形態の情報記録媒体の1つとして知られているコンパク
ト・ディスクは、780nmの光の波長に対して特定な関係
に設定されている深さのピットの配列によって情報信号
が信号面に記録されているとともに、それの信号面の全
面がアルミニウム等の薄膜によって被覆された構成とな
されていて、波長が780nmの光に対して信号面における
ランドの部分の反射率が70%〜90%となるように規制さ
れており、情報記録媒体の信号面からの情報信号の読出
しを、波長が780nmの光のスポットによって行うように
している。
そして、前記したコンパクト・ディスクからの情報信
号の読出しは、それの信号面におけるピットの部分から
の反射光の光量が、ピットの部分で生じる光の干渉の結
果としてランドの部分からの反射光の光量よりも減少し
た状態になることを利用して行われており、また、トラ
ッキング誤差情報も記録跡の部分からの反射光の光量
と、ランドの部分からの反射光の光量との差を用いて得
るようにされている。
さて、前記したコンパクタ・ディスクの普及に伴い、
コンパクト・ディスク用の再生機を使用して再生の可能
なコンパクト・ディスクと互換性のある光ディスクとし
て、例えば、再生専用の記録済み領域と追記型光ディス
クとして使用できる記録領域を設けた構成形態の追記型
光ディスク、あるいは全面が記録領域になされている光
ディスクについての諸提案もなされるようになったが、
前記のように記録領域が設けられている構成形態の光デ
ィスクでは、記録時にもトラッキング制御が行われうる
ように透明基板にトラッキング用の案内溝を設けてある
ような構成となされている。
(発明が解決しようとする課題) ところで、コンパクト・ディスクとの互換性を備えて
いる光ディスクとしては、当然のことながらコンパクト
・ディスクについて定められている再生に関する諸規
格、すなわち、反射率、高周波信号の変調度、高周波信
号の対称性、トラッキング信号出力、クロストーク、等
に関する規格値を満足するものでなければならないが、
コンパクト・ディスクにおける再生に関する諸規格に対
して満足すべき互換性を備えている追記型の光ディスク
を得ようとする場合に特に問題になるコンパクト・ディ
スクにおける再生に関する諸規格としては、反射率、高
周波信号の変調度、トラッキング信号出力、等が挙げら
れる。
ここで、コンパクト・ディスクと互換性を有する追記
型の光ディスクを構成しようとする場合に、前記したコ
ンパクト・ディスクについて規定されている反射率、高
周波信号の変調度、トラッキング信号出力、等に関する
諸規格を満たしうる追記型の光ディスクを構成する際に
生じる問題点について説明すると次のとおりである。
まず、コンパクト・ディスクにおける反射率について
の規格値は、光ディスクの読出し側から波長が780nmの
レーザ光を入射させたときに、光ディスクの読出し側か
らみて70%以上の反射率を有することが求められている
が、光ディスクの表面では約8%の反射損失が生じるか
ら、この光ディスクの表面での反射損失だけを考慮した
だけでも光ディスクの読出し側における反射率を70%以
上とするためには、金属の反射膜での反射率は少なくと
も80%以上が必要とされることになる。
そして、コンパクト・ディスクでは80%以上の反射率
を示すアルミニウムの反射膜が使用されていて、前記の
反射率の規格値を満足していることは周知のとおりであ
る(前記の反射率はアルミニウム膜の成膜条件によって
変化することはいうまでもない)。
しかし、追記型の光ディスクにおいては、記録膜に記
録が行われるために記録膜へ記録のためのエネルギの吸
収が生じ、また、既述のように追記型の光ディスクでは
記録時におけるトラッキング制御のために、透明基板に
はトラッキング制御用の案内溝を設けてあるために、入
射光が前記の案内溝によって回折されることによる光量
損失も加わることにより、光ディスクの読出し側におけ
る反射率をコンパクト・ディスクにおける反射率の規格
値にすることは従来困難とされていた。
また、コンパクト・ディスクと互換性を有する追記型
の光ディスクを構成しようとする場合に、前記したコン
パクト・ディスクについて規定されている高周波信号の
変調度についての規格を満たしうる追記型の光ディスク
を構成する際には、次のような問題点がある。
すなわち、コンパクト・ディスクではピットにより光
の回折を用いて情報信号の読出しを行うようにしている
ために、高周波信号の変調度についての規格値を満たす
ことは容易であるが、従来から提案されている一般的な
追記型の光ディスクでは、記録膜に対する記録の態様
が、例えば孔明け、または相変化によるものであり、記
録されている情報信号の読出しが反射率の変化によって
行われているものであって、ランドの部分における光の
反射率と孔開け、または、相変化による記録部分(ピッ
トに対応している)の光の反射率との差、すなわち、高
周波信号の変調度が小さいので、コンパクト・ディスク
について規定されている高周波信号の変調度についての
規格を満たしうるものではなかった。
高周波信号の変調度についてコンパクト・ディスクの
規格値を満たすようにするためには、追記型の光ディス
クにおいても、ピットによる光の回折を用いて情報信号
の読出しを行っているコンパクト・ディスクの場合と同
様に、位相構造によって情報信号の読出しが行われるよ
うにされることが必要と考えられる。
次に、コンパクト・ディスクと互換性を有する追加型
の光ディスクを構成しようとする場合に、前記したコン
パクト・ディスクについて規定されているトラッキング
信号の出力レベルについての規格を満たしうる追記型の
光ディスクを構成する際には、次のような問題点があ
る。
すなわち、光ディスクにおけるトラッキング信号の出
力レベルは、概ね、ピット、あるいは透明基板に設けら
れたトラッキング用の案内溝の形状によって定まる位相
構造によって決まるが、追記型の光ディスクにおいて
も、他の諸特性を満足した上でトラッキング信号の出力
レベルが規格値を満足するようにさせることが必要とさ
れる。
しかし、従来から提案されている一般的な追記型の光
ディスクで、記録膜に対する記録の態様が、例えば孔明
けによって行われているような場合には、孔によってト
ラッキング用の案内溝の形状によって定まる位相構造が
乱されてしまうために、所望の出力レベルを有するトラ
ッキング信号を得ることが困難である。
これまでの説明からコンパクト・ディスクと互換性を
有する追記型の光ディスクを構成しようとする場合に
は、再生時における光の反射率、高周波信号の変調度、
トラッキング信号の出力、等の諸特性をコンパクト・デ
ィスクについて規定されている規格を満たすようにする
ためには多くの問題点があり、従来の追記型の光ディス
クによってはコンパクト・ディスクと互換性を有する追
記型の光ディスクを提供することは困難であった。
(課題を解決するための手段) 本発明は、トラッキング用の案内溝を設けてある透明
基板と、前記した透明基板におけるトラッキング用の案
内溝が設けてある方の板面上に、予め定められた波長を
有する記録用のレーザ光が照射されたときに前記のレー
ザ光の適量を吸収して屈折率が減少する有機材料膜を、
前記した透明基板におけるトラッキング用の案内溝部分
の膜厚dと、透明基板におけるトラッキング用の案内溝
以外の部分の膜厚が(d−Δd)となされているように
して付着させ、また、前記の有機材料膜に光反射用の金
属膜を設けた光学的記録媒体において、前記した透明基
板におけるトラッキング用の案内溝が設けられていない
方の板面側から入射させたレーザ光における前記した透
明基板におけるトラッキング用の案内溝部分と、透明基
板におけるトラッキング用の案内溝以外の部分とにおい
て生じる位相差を、前記した有機材料膜が存在しない状
態で得られる位相差に比べて、前記した有機材料膜の膜
厚の差Δdによる光路長の変化を用いて減少させて実質
的な位相差を透明基板における溝形状によって定められ
る位相差の値よりも小さくし、かつ、記録済み部分にお
ける有機材料膜の屈折率の変化によって生じる位相の進
みを利用して、未記録部分に比べて実質的にレーザ光の
光学的な位相を進ませるようにした光学的記録媒体円盤
を提供する。
(作用) トラッキング用の案内溝を設けてある透明基板におけ
るトラッキング用の案内溝が設けてある方の板面上に、
予め定められた波長を有する記録用のレーザ光を照射す
ると、前記の透明基板に付着されている有機材料膜が前
記のレーザ光の適量を吸収して屈折率が減少する。
前記した有機材料膜は、前記した透明基板におけるト
ラッキング用の案内溝部分の膜厚がdで、透明基板にお
けるトラッキング用の案内溝以外の部分の膜厚が(d−
Δd)となされており、また、前記の有機材料膜には光
反射用の金属膜が付着されている。
そして、前記した透明基板におけるトラッキング用の
案内溝が設けられていない方の板面側から入射させたレ
ーザ光における前記した透明基板におけるトラッキング
用の案内溝部分と、透明基板におけるトラッキング用の
案内溝以外の部分とにおいて生じる位相差が、前記した
有機材料膜が存在しない状態で得られる位相差に比べ
て、前記した有機材料膜の膜厚の差Δdによる光路長の
変化により減少し、レーザ光の実質的な位相差が透明基
板における溝形状によって定められる位相差の値よりも
小さくなされ、かつ、記録済み部分における有機材料膜
の屈折率の変化によって生じる位相の進みにより、前記
した記録済部分におけるレーザ光の光学的な位相が未記
録部分に比べて実質的に進むようになされる。
(実施例) 以下、添付図面を参照しながら本発明の光学的記録媒
体円盤について、その詳細な内容を具体的に説明する。
第1図は本発明の光学的記録媒体円盤の一例構成の概
略構成を示す側断面図、第2図及び第3図は本発明の光
学的記録媒体円盤の構成原理及び動作原理の説明に使用
される側断面図、第4図は本発明の光学的記録媒体円盤
の説明に使用される特性曲線例図、第5図は案内溝付き
の基板に付着される記録膜の厚さを説明するための側断
面図、第6図は案内溝付きの基板の案内溝の具体例を示
している斜視図、第7図は案内溝付きの基板の案内溝に
よる位相構造の作用を説明するための特性曲線例図であ
る。
第1図に示されている本発明の光学的記録媒体円盤の
一例構成の概略構成を示す側断面図において、1は透明
基板であり、この透明基板1には深さがH1のトラッキン
グ用の案内溝G,G…が設けられている。
前記したトラッキング用の案内溝付きの透明基板1
は、例えばポリカーボネート樹脂によって作られる。2
は前記した透明基板1におけるトラッキング用の案内溝
G,G…が設けてある方の板面上に付着された有機材料膜
(記録層、記録膜)であり、前記の有機材料膜2は、予
め定められた波長(例えば、780nm)を有する記録用の
レーザ光が照射されたときに前記のレーザ光の適量を吸
収して屈折率が減少するような有機材料膜であり、この
有機材料膜2は透明基板1におけるトラッキング用の案
内溝G,G…が設けてある方の板面上にスピンコート法を
適用して付着形成されるのである。
前記した有機材料膜2は、例えば有機色素あるいは有
機材料中に有機色素を分散させた材料を用いたヒートモ
ード光記録材料、有機色素あるいは有機材料中に有機色
素を分散させた材料を用いたフォトンモード光記録材
料、もしくはヒートモードとフォトンモードとの両モー
ドで動作する有機色素あるいは有機材料中に有機色素を
分散させた材料を用いた光記録材料の内から選択された
光記録材料を使用して本発明の光学的記録媒体円盤の実
施に適する有機材料膜2が構成されるようになされるの
である。
そして前記の有機材料膜2は、透明基板1におけるト
ラッキング用の案内溝Gの部分の膜厚がdで、透明基板
におけるトラッキング用の案内溝G以外の部分の膜厚が
(d−Δd)となされており、前記した透明基板におけ
るトラッキング用の案内溝Gが設けられていない方の板
面側から入射させたレーザ光における前記した透明基板
1におけるトラッキング用の案内溝Gの部分と、透明基
板1におけるトラッキング用の案案内溝G以外の部分と
において生じる位相差を、前記した有機材料膜2が存在
しない状態で得られる位相差に比べて、前記した有機材
料膜2の膜厚の差Δdによる光路長の変化を用いて減少
させて実質的な位相差を透明基板1におけるトラッキン
グ用の案内溝Gの形状によって定められる位相差の値よ
りも小さくし、かつ、記録済み部分における有機材料膜
2の屈折率の変化によって生じる位相の進みを利用し
て、未記録部分に比べて実質的にレーザ光の光学的な位
相を進ませるように構成されているのである。
すなわち、第1図示の本発明の光学的記録媒体円盤
(光ディスク)では、トラッキング用の案内溝G,G…を
備えている透明基板1上に、予め定められた波長を有す
る記録用のレーザ光が照射されたときに前記のレーザ光
の適量を吸収して屈折率が減少する光透過性の有機材料
膜2と光反射用の金属膜3とを積層させた構成にするこ
とにより、光ディスクの再生メカニズムが実質的に位相
構造によって行われるようにして、コンパクト・ディス
クについて規定されている反射率、高周波信号の変調
度、トラッキング信号出力、等に関する諸規格を満たし
うる追記型の光ディスクが容易に得られるようにしたの
である。
次に、第1図を参照して説明した本発明の光学的記録
媒体円盤(光ディスク)の構成とすることにより、コン
パクト・ディスクについて規定されている反射率、高周
波信号の変調度、トラッキング信号出力、等に関する諸
規格を満たして、コンパクト・ディスクと互換性を有す
る追記型の光ディスクが容易に得ることができる理由を
第2図以下の各図を参照して詳細に説明する。
既述した第1図示の本発明の光学的記録媒体円盤(光
ディスク)、すなわち、トラッキング用の案内溝G,G…
を設けた透明基板1におけるトラッキング用の案内溝G
が設けてある方の板面上に、予め定められた波長を有す
る記録用のレーザ光が照射されたときに前記のレーザ光
の適量を吸収して屈折率が減少する有機材料膜2を付着
させ、また前記の有機材料膜に光反射用の金属膜3を設
けた構成の光学的記録媒体円盤が、コンパクト・ディス
クについて規定されている反射率、高周波信号の変調
度、トラッキング信号出力、等に関する諸規格を満たし
ているものであるとすると、第1図示の本発明の光学的
記録媒体円盤(光ディスク)における有機材料膜2が後
述のようにして記録済みの状態にされた上で、透明基板
1におけるトラッキング用の案内溝Gが設けられていな
い方の板面1a側から集光レンズによって案内溝Gに集光
される再生用のレーザ光を入射させた時には、有機材料
膜2に記録されている情報に基づいて得られる再生信号
は、コンパクト・ディスクからの情報信号の再生時と同
様な出力レベルで、かつ、コンパクト・ディスクからの
情報信号の再生時と同様な変調度を有する高周波信号が
得られるとともに、コンパクト・ディスクからの情報信
号の再生時と同様な大きさのトラッキング信号出力が得
られることになる。
今、第1図示の本発明の光学的記録媒体円盤(光ディ
スク)における透明基板1に設けられている深さ(高さ
としてもよいが、この明細書中では深さと記載する)が
H1のトラッキング用の案内溝G,G…を、解説が容易とな
るように第6図に示されているような断面形状が矩形の
連続的な溝形状のものであるとし(製作された際に実際
に透明基板1に形成される案内溝G,G…は、周知のよう
に第1図中に示されている案内溝G,G…のように、断面
形状が台形状のものとなる。なお、第2図及び、第3図
においても説明を簡単にするために、トラッキング用の
案内溝G,G…は、断面形状が矩形の溝形状であるとして
いる)、また、透明基板1の屈折率をn1とし、さらに有
機材料膜2の未記録状態における屈折率をn2、有機材料
膜2の記録状態における屈折率をn2rとし、さらにま
た、透明基板1におけるトラッキング用の案内溝G,G…
の部分における有機材料膜2の厚さをd、透明基板1に
おけるトラッキング用の案内溝G,G…の部分以外の部分
における有機材料膜2の厚さを(d−Δd)として、透
明基板1におけるトラッキング用の案内溝Gが設けられ
ていない方の板面1a側から集光レンズによって案内溝G
に集光される再生用のレーザ光を入射させた場合につい
て説明することにするが、前記のように透明基板1にお
けるトラッキング用の案内溝G,G…の部分における有機
材料膜2の厚さと、透明基板1におけるトラッキング用
の案内溝G,G…の部分以外の部分における有機材料膜2
の厚さとを、それぞれdと(d−Δd)というようにそ
れぞれ異なる所定の厚さに設定することは、既述のよう
に、有機材料膜2は透明基板1におけるトラッキング用
の案内溝G,G…が設けてある方の板面上にスピンコート
法を適用して付着形成させているから、有機材料の粘度
や透明基板1の回転数などを変化させることにより極め
て容易に実現され得る。
第5図は透明基板1におけるトラッキング用の案内溝
G,G…の部分における有機材料膜2の厚さと、透明基板
1におけるトラッキング用の案内溝G,G…の部分以外の
部分における有機材料膜2の厚さとが、第2図(第3図
でも同じ)に示されているように、それぞれdと(d−
Δd)というような異なる厚さになることの説明に使用
される図であって、第5図の(a)は透明基板1の一部
の縦断面図であり、また、第5図の(b)は透明基板1
におけるトラッキング用の案内溝G,G…の部分における
有機材料膜2の厚さと、透明基板1におけるトラッキン
グ用の案内溝G,G,Go…の部分以外の部分における有機材
料膜2の厚さとが等しくdoである場合を参考的に示した
図であり、さらに第5図の(c)は透明基板1における
トラッキング用の案内溝G,G…の部分における有機材料
膜2の厚さがdで、透明基板1におけるトラッキング用
の案内溝G,G…の部分以外の部分における有機材料膜2
の厚さが(d−Δd)の場合を透明基板1におけるトラ
ッキング用の案内溝Gの断面形状が第2図及び第3図と
対応させて矩形であるとして示したときの図であり、さ
らにまた、第5図の(d)は透明基板1におけるトラッ
キング用の案内溝G,G…の部分における有機材料膜2の
厚さがdで、透明基板1におけるトラッキング用の案内
溝G,G…の部分以外の部分における有機材料膜2の厚さ
が(d−Δd)の場合を、第1図示の透明基板1におけ
るトラッキング用の案内溝Gのように、断面形状が台形
状であるとして示したときの図である。
第5図の(c)(及び第2図)において点線で示され
ている位置は、第5図の(b)において透明基板1にお
けるトラッキング用の案内溝G,G…の部分における有機
材料膜2の上面の位置であり、したがって、この第5図
の(c)(及び第2図)において点線で示されている位
置と透明基板1におけるトラッキング用の案内溝Gの底
との距離は、第5図の(b)における有機材料膜2の厚
さdoと同じである。
第5図の(c)(及び第2図)に示されている透明基
板1のトラッキング用の案内溝Gの深さH1と、透明基板
1におけるトラッキング用の案内溝Gの部分における有
機材料膜2の厚さdと、第5図の(c)(及び第2図)
において点線で示されている位置と透明基板1における
トラッキング用の案内溝Gの底との距離do(透明基板1
におけるトラッキング用の案内溝Gのない部分の厚さdo
と等しい)と、前記したトラッキング用の案内溝Gの部
分における有機材料膜2自体の溝の深さH2と、前記した
dとdoとの差Δdとの間の関係は、 H1+do=d+H2=do+Δd+H2 上式のとおりであるから、透明基板1におけるトラッ
キング用の案内溝Gのない部分における有機材料膜2の
厚さdoは、 do=d−Δd として示されるものになる。
さて、透明基板1におけるトラッキング用の案内溝G
の深さH1は、光ディスクに入射されるレーザ光の波長を
λとすると、透明基板1の屈折率がn1のときには、概ね
次式 λ/4n1 で求められる値よりも小さい範囲で任意の値にすること
ができる(H1が上式で示される λ/4n1の値よりも大き
くてもよいが、式 λ/4n1で定まる値よりも小さくなさ
れた方が望ましい)。
一般に、溝が設けられている板上へスピンコート法を
適用して被膜が行われた場合に、板上に形成される被膜
の厚さは、溝の部分における被膜の厚さの方が、溝の無
い部分における被溝の厚さよりも大になるが、このこと
は表面張力の働きを考えれば理解できる。
そして、第5図の(c)(及び第2図)に示されてい
る透明基板1におけるトラッキング用の案内溝Gの部分
における有機材料膜2の厚さdと、第2図{第5図の
(c)でも同じ}におけるトラッキング用の透明基板1
におけるトラッキング用の案内溝Gのない部分の厚さdo
(またはΔd)とを、それぞれ所定の厚さに設定するこ
とは、スピンコートに使用される有機材料の粘度と、透
明基板1の回転数との設定によって独立に制御すること
が可能である(有機材料の粘度の調整は溶剤の量を加減
することにより所望の値に設定できる)。
さて透明基板1に設けられるべきトラッキング用の案
内溝Gは、それの断面形状が矩形状のものを製作しよう
としても、実際に製作されるものは第1図に例示されて
いる光学的記録媒体円盤(光ディスク)における透明基
板1のトラッキング用の案内溝Gの断面形状のように台
形状であり、また、透明基板1上にスピンコートによっ
て被着される有機材料膜2の溝巾は、透明基板1のトラ
ッキング用の案内溝Gの溝巾よりも狭くなるものである
が、この第1図に示されているような断面形状の光ディ
スクについて解析を行う場合には解析が非常に複雑化す
るので、既述もしたように、解析の簡単化のために以下
の解説においては、第2図及び第3図に示すように透明
基板1に設けられべきトラッキング用の案内溝Gの断面
形状が矩形状であるとし、また透明基板1上にスピンコ
ートによって被着される有機材料膜2の溝巾も透明基板
1のトラッキング用の案内溝Gの溝巾と等しいものとさ
れている光ディスクが解析の対象にされる。。
なお、光ディスクが前記のように第2図及び第3図に
示されるような断面形状を備えているものであるとして
解析を行った場合と、第1図示の断面形状を備えている
光ディスクに対して解析を行った場合との解析結果には
当然のことながらずれが生じるが、そのずれは多くのパ
ラメータを少し変えることにより補正できるので、第2
図及び第3図に例示されているようなモデルによって第
1図示の光ディスクに対する解析が行われても差支えな
い。
既述のように本発明の光ディスクは、コンパクト・デ
ィスクについて規定されている反射率、高周波信号の変
調度、トラッキング信号出力、等に関する諸規格を満た
して、コンパクト・ディスクと互換性を有する追記型の
光ディスクを得ようとしているものであるから、ここ
で、ピットが設けられている透明基板におけるピットが
設けられている方の面に光の反射膜を被着して構成され
ているコンパクト・ディスクにおける高周波信号の変調
度、トラッキング信号出力、等の諸特性について言及す
る。
第7図はコンパクト・ディスクにおけるトラッキング
信号出力と反射光レベルとがピットの深さに対してどの
ように変化するのかを示したものであり、横軸はピット
の深さである。なお、n1は透明基板の屈折率であり、横
軸のCDはコンパクト・ディスクにおけるピットの深さを
示す。
高周波信号の変調度は、ピットの部分とピットの無い
部分とにおける反射光レベルの差によって表されるもの
であるから、コンパクト・ディスクにおける高周波信号
の変調度は第7図における反射光レベルの図表における
0の位置における反射光レベルと、横軸のCDの位置にお
ける反射光レベルとの差として得られる。
また、コンパクト・ディスクにおけるトラッキング信
号出力は第7図におけるトラッキング信号出力の図表に
おける横軸のCDの位置におけるトラッキング信号出力の
略々1/2の大きさのものとなる(第7図はピットの部分
についてのものであるから、実際のコンパクト・ディス
クのようにピットの部分とピットの無い部分とが略々1/
2ずつ存在している場合には、第7図におけるトラッキ
ング信号出力の図表における大きさの略々半分にな
る)。なお、トラッキング信号の最大値はピットの部分
からの反射光とピットの無い部分からの反射光との位相
差がπ/2のときに得られる。
コンパクト・ディスクにおいて、透明基板の屈折率を
n1とし、透明基板に設けられているピツトの深さをH1と
すると、透明基板におけるピットが設けられている面と
は反対の面側からレーザ光を入射させると、ピットの部
分からの反射光とピットの無い部分からの反射光との位
相差は、周知のように2H1・n1となる。前記した位相差
がπラジアンの場合には光の干渉効果によって戻り光量
は最小になり変調度は最大になる。
コンパクト・ディスクではピットの部分からの戻り光
量が非常に小さくなるように規定されているが、このよ
うな規定に合うようにするためにはピットの部分におけ
る光の位相の進んでいる部分と、ピットが無い部分にお
ける光との干渉効果によって反射光量の低下が得られる
位相構造が必要とされる。
通常のコンパクト・ディスクでは、前記したトラッキ
ング信号出力と高周波信号の変調度とは規格によって定
められており、その規格の範囲の中心が第7図中のCDで
示されている。
さて、既述のようにトラッキング用の案内溝を設けて
ある透明基板と、前記した透明基板におけるトラッキン
グ用の案内溝が設けてある方の板面上に、予め定められ
た波長を有する記録用のレーザ光が照射されたときに前
記のレーザ光の適量を吸収して屈折率が減少する有機材
料膜を付着させ、また、前記有機材料膜に光反射用の金
属膜を設けてなる本発明の光ディスクの解析を行うため
に使用する第2図及び第3図において、透明基板1の屈
折率をn1とし、透明基板1に設けられているトラッキン
グ用の案内溝Gの深さをH1とし、また有機材料膜の未記
録状態での屈折率をn2(有機材料膜は光を吸収するため
に、それの屈折率は複素数となるが、本発明に使用され
る有機材料膜では屈折率の実数部が光の位相の変化に大
きく寄与するので、以下の解析では有機材料膜の屈折率
は実数部だけであるものとしている。なお、有機材料膜
の屈折率を実数部だけであるとして行った解析結果と、
実際とのずれの補正は有機材料膜の製造時に行うことが
できる)とし、さらに、光の反射膜3はコンパクト・デ
ィスクで情報信号の読取りに使用される光の波長(780n
m)において高い反射率を示す金属材料を真空蒸着法あ
るいはスパッタリング法によって成膜したものが用いら
れる。コンパクト・ディスクで情報信号の読取りに使用
される光の波長(780nm)において高95%以上の反射率
を示す金の膜が反射膜3として使用されることは望まし
い実施の態様である。
第2図において、透明基板1におけるトラッキング信
号用の案内溝Gが設けられている面とは反対の面側から
波長がλのレーザ光を入射させたときに、案内溝Gの巾
方向の中心部分からの反射光と、案内溝Gが無い部分か
らの反射光との位相差Δθは、前記したトラッキング用
の案内溝Gの部分における有機材料膜2自体の厚さをd
とし、また、透明基板1におけるトラッキング信号用の
案内溝Gの底面を含む面を基準面にして、案内溝Gの部
分における前記した基準面から有機材料膜2の底面まで
の光距離をL1、案内溝Gがない部分における前記した基
準面から有機材料膜2の底面までの光距離をL2とする
と、前記した反射光の位相差Δθは前記した光距離L2の
往復の光路長2L2と、前記した光距離L1の往復の光路長2
L1との差2L2−2L1から次のようして求められる。
2L1=2(2π/λ)d・n2 …(1) 2L2=2(2π/λ){n2(H2+d−H1)+n1・H1 …
(2) Δθ=2L2−2L1=(4π/λ){n2(H2−H1)+n1・H
1} =(4π/λ){n1・H1+n2(H2−H1)} …(3) なお、(3)式中におけるH2は第2図及び第5図に示
されているようにH1−Δdである。
今、(3)式における中括弧内の第1項に示されてい
るn1・H1をAとおき、また、(3)式における中括弧内
の第2項に示されているnd(H2−H1)をBとおくと、前
記したA(4π/λ)はコンパクト・ディスクの構成と
同様に、トラッキン用の案内溝Gを設けた透明基板1に
おけるトラッキン用の案内溝Gを設けた面に直接に反射
膜3を構成させたときに得られる位相差特性と同一の位
相差特性を示している。
また、トラッキング用の案内溝Gを設けた透明基板1
におけるトラッキン用の案内溝Gを設けた面に有機材料
膜2が被着されていても、Δdが0の場合には、H2−H1
=0となるから、この場合における反射光の位相差Δθ
はA(4π/λ)となるが、既述のように本発明の光デ
ィスクではΔdは0ではないから、B(4π/λ)によ
って位相の減少が生じることになる。
そして、前記した(3)式から判かるように、透明基
板1におけるトラッキング信号用の案内溝Gの部分から
の反射光の位相は、透明基板1におけるトラッキング信
号用の案内溝Gが無い部分からの反射光の位相よりも遅
れることになる。透明基板1上に有機材料膜2が被着さ
れていない場合の反射光の位相は、(3)式におけるA
(4π/λ)であるために第4図中のV点で示されるも
のであるが、透明基板1におけるトラッキング信号用の
案内溝Gの部分からの反射光の位相は有機材料膜2の効
果によって(3)式におけるB(4π/λ)だけ位相が
遅れるから、第4図中のV点で示される位相からBだけ
遅れたW点の位相になる。
前記のように透明基板1におけるトラッキング信号用
の案内溝Gの部分からの反射光の位相が、透明基板1に
おけるトラッキング信号用の院内溝Gが無い部分からの
反射光の位相よりも遅れることは次のような利点を生じ
る。
(1)透明基板1に設けるべきトラッキング信号用の案
内溝Gの深さを製作の容易な比較的に深いものにしてお
き、有機材料膜2の効果によって光学的な案内溝の深さ
を実質的に浅くできることを利用して、第4図について
後述されているように未記録部における光の反射率を上
げるとともに、トラッキング信号出力レベルをコンパク
ト・ディスクにおける規格値に設定することを容易にす
る。
(2)透明基板1に設けるべきトラッキング信号用の案
内溝Gの深さH1を、スピンコートによって生じるΔdと
の関係で自由に設定することが可能になる。
(3)記録済み部分(ROM)とランダムアクセスメモリ
(RAM)の部分とを混在させた光ディスクとする場合に
は、透明基板1に設けるべきトラッキング信号用の案内
溝Gの深さH1を通常のコンパクト・ディスクにおけるピ
ットの深さと同一にすることができる。
次に、第3図を参照して本発明の光ディスクに記録が
行われる場合について述べる。本発明の光ディスクにお
けるトラッキング用の案内溝Gを設けてある透明基板1
におけるトラッキング用の案内溝Gが設けてある方の板
面上に、予め定められた波長を有する記録用のレーザ光
をが照射すると、有機材料膜2は前記のレーザ光の適量
を吸収して屈折率がn2からn2>n2rの関係にある屈折率n
2rに変化する。
それで、記録が行われた有機材料膜2を有する案内溝
Gの巾方向の中心部分からの反射光と、案内溝Gが無い
部分からの反射光との位相差Δθrは、透明基板1にお
けるトラッキング信号用の案内溝Gの底面を含む面を基
準面にして、案内溝Gの部分における前記した基準面か
ら有機材料膜2の底面までの往復の光路長を2L3、案内
溝Gがない部分における前記した基準面から有機材料膜
2の底面までの光距離をL2とすると、前記した反射光の
位相差Δθは前記した光距離L2の往復の光路長2L2と、
前記した光路長2L3との差2L2−2L3から次のようにして
求められる。
2L3=2(2π/λ)d・n2r …(4) 2L2=2(2π/λ){n2(H2+d−H1)+n1・H1 …
(2) Δθr=2L2−2L3 =(4π/λ){n2(H2+d−H1) +n1・H1−d・nr}) =(4π/λ){n2(H2−H1) +n1・H1+d(n2−n2r)} …(5) 今、(5)式における中括弧内の第1項に示されてい
るn2(H2−H1)+n1・H1をCとおき、また、(5)式に
おける中括弧内の第3項に示されている(n2−n2r)d
をDとおくと、前記したCは(1)式を示しているの
で、記録による位相変化を示しているのは(5)式にお
ける中括弧内の第3項に示されている(n2−n2r)d=
Dである。有機材料膜2は前記のレーザ光の適量を吸収
して屈折率がn2からn2>n2rの関係にある屈折率n2rに変
化するから、記録部分からの反射光の位相は未記録部分
からの反射光の位相よりも進んでいるものになる。
このことは、コンパクト・ディスクにおいてピットの
部分における位相がランドの部分の位相に比べて進んで
いる状態に対応しており、本発明の光ディスクにおいて
記録部分における反射光の位相は第4図中でDだけ位相
が進んでX点になるが、本発明の光ディスクにおける高
周波信号の変調度は、前記したX点における位相によっ
て決まる高い変調度の値が容易に得られることになる。
また、本発明の光ディスクからのトラッキング信号出
力は、連続したトラッキング信号用の案内溝に基づいて
発生されるために、トラッキング信号出力の信号レベル
は記録部分と未記録部分とにおける信号レベルの平均値
となる。そして、前記したX点がコンパクト・ディスク
の規格内に納まっていることは第4図からも明らかであ
る。
トラッキング信号は第4図に示されているように2π
を周期とする奇関数(正弦関数)となるので、第4図中
のW点の位相をΔφとするときに、X点の位相が(π−
φ)になるようにすれば、記録の前後においてトラッキ
ング信号出力が等しくできるために、記録再生装置に設
けられるべきトラッキング制御系の構成上において都合
がよい。
次に、記録再生領域の全面に記録できるような光ディ
スクとして本発明の光ディスクを構成する場合の構成例
について説明する。
有機材料膜2として、記録前の屈折率n2が2で、記録
後の屈折率が1.7のものを用い、屈折率が1.58の透明基
板1におけるトラッキング用の案内溝Gの深さH1を約40
nm(この深さは一例である)とし、レーザ光の波長が78
0nmとして、既述した反射光の位相差を示す(3)式 (4π/λ){n1・H1+n2(H2−H1)} …(3) における(4π/λ)n1・H1の値は0.32πとして求めら
れる。
ここで、有機材料膜を既述したH2が0.65H1となるよう
に透明基板1におけるトラッキング用の案内溝Gが設け
られている方の面に被着させた場合には、前記した
(3)式における(4π/λ)n2(H2−H1)の値は0.14
πとなるから、この場合に(3)式で求められる位相差
Δθは0.18πとなる。
このように、透明基板1におけるトラッキング用の案
内溝Gが設けられている方の面に有機材料膜2が被着さ
れている状態において0.18πの位相差Δθを生じさせる
光ディスクは、透明基板1にトラッキング用の案内溝G
が設けられていても有機材料膜2の存在によって、第4
図中のW点に示されているところから明らかなように、
高い反射率と、大きなトラッキング信号出力を生じさせ
うるものになっていることが判かる。
今、記録によりトラッキング信号が記録前と同一状態
になされる条件では、既述した(5)式 (4π/λ){n2(H2−H1) +n1・H1+d(n2−n2r)} …(5) 式における(4π/λ)(n2−n2r)=π−2Δθ
{=4π(n2−n2r)d/λ}となるので、透明基板1に
おけるトラッキング用の案内溝G,G…の部分における有
機材料膜2の厚さdは416nmとなる。
そして、この構成例における光ディスクで生じる位相
差Δθrは0.82πとなり、充分に高い変調度を示すとと
もに、充分に大きなトラッキング出力を生じ得る。
このような構成例の本発明の光ディスクは、コンパク
ト・ディスクについて規定されている反射率、高周波信
号の変調度、トラッキング信号出力、等に関する諸規格
を満たして、コンパクト・ディスクと互換性を有する追
記型の光ディスクとなされている。
次に、光ディスクの内周の記録再生領域に通常のコン
パクト・ディスクと同一の特性を有する記録済み部(RO
M)を構成し、前記の記録済み部の外周部に追記用の記
録領域を設けるようにして本発明の光ディスクを構成す
る場合には、光ディスクにおける前記の記録済み部の外
周部にだけ有機材料を塗布して有機材料膜2を形成させ
て追記用の記録領域を構成する。
それは、有機材料の盤面への滴下開始位置を調整する
ことによって容易にできる。この場合には光ディスクの
内周部の記録済み部における再生特性をコンパクト・デ
ィスクの再生特性と同一の再生特性にするために、透明
基板1におけるトラッキング用の案内溝Gの深さはコン
パクト・ディスクにおけるピットの深さと同一になされ
るために、既述した構成例の場合の案内溝Gの深さより
も深くなる。
それで、この場合には前記した深い案内溝Gによって
生じる位相差を打消すために、既述した(3)式におけ
る(4π/λ)n2(H2−H1)の値を大にして所定の位相
差が得られるようにする。なお、この構成例の場合にお
いても、透明基板1におけるトラッキング用の案内溝G,
G…の部分における有機材料膜2の厚さdは、既述した
構成例の場合と同一でよい。
(発明の効果) 以上、詳細に説明したところから明らかなように、本
発明のトラッキング用の案内溝を設けてある透明基板
と、前記した透明基板におけるトラッキング用の案内溝
が設けてある方の板面上に、予め定められた波長を有す
る記録用のレーザ光が照射されたときに前記のレーザ光
の適量を吸収して屈折率が減少する有機材料膜を前記し
た透明基板におけるトラッキング用の案内溝部分の膜厚
dと、透明基板におけるトラッキング用の案内溝以外の
部分の膜厚が(d−Δd)となされているようにして付
着させ、また、前記の有機材料膜に光反射用の金属膜を
設けた光学的記録媒体において、前記した透明基板にお
けるトラッキング用の案内溝が設けられていない方の板
面側から入射させたレーザ光における前記した透明基板
におけるトラッキング用の案内溝部分と、透明基板にお
けるトラッキング用の案内溝以外の部分とにおいて生じ
る位相差を、前記した有機材料膜が存在しない状態で得
られる位相差に比べて、前記した有機材料膜の膜厚の差
Δdによる光路長の変化を用いて減少させて実質的な位
相差を透明基板における溝形状によって定められる位相
差の値よりも小さくし、かつ、記録済み部分における有
機材料膜の屈折率の変化によって生じる位相の進みを利
用して、未記録部分に比べて実質的にレーザ光の光学的
な位相を進ませるようにした光学的記録媒体円盤であっ
て、この本発明の光学的記録媒体では、コンパクト・デ
ィスクにおける反射率、高周波信号の変調度、トラッキ
ング信号出力、等の諸規格を満たしうる追記型の光ディ
スクを容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の光学的記録媒体円盤の一例構成の概略
構成を示す側断面図、第2図及び第3図は本発明の光学
的記録媒体円盤の構成原理及び動作原理の説明に使用さ
れる側断面図、第4図は本発明の光学的記録媒体円盤の
説明に使用される特性曲線例図、第5図は案内溝付きの
基板に付着される記録膜の厚さを説明するための側断面
図、第6図は案内溝付きの基板の案内溝の具体例を示し
ている斜視図、第7図は案内溝付きの基板の案内溝によ
る位相構造の作用を説明するための特性曲線例図であ
る。 1……透明基板、2……有機材料膜(記録層、記録
膜)、3……光反射用の金属膜、G……トラッキング用
の案内溝、

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トラッキング用の案内溝を設けてある透明
    基板と、前記した透明基板におけるトラッキング用の案
    内溝が設けてある方の板面上に、予め定められた波長を
    有する記録用のレーザ光が照射されたときに前記のレー
    ザ光の適量を吸収して屈折率が減少する有機材料膜を、
    前記した透明基板におけるトラッキング用の案内溝部分
    の膜厚dと、透明基板におけるトラッキング用の案内溝
    以外の部分の膜厚が(d−Δd)となされているように
    して付着させ、また前記の有機材料膜に光反射用の金属
    膜を設けてなる光学的記録媒体円盤
  2. 【請求項2】トラッキング用の案内溝を設けてある透明
    基板と、前記した透明基板におけるトラッキング用の案
    内溝が設けてある方の板面上に、予め定められた波長を
    有する記録用のレーザ光が照射されたときに前記のレー
    サ光の適量を吸収して屈折率が減少する有機材料膜を、
    前記した透明基板におけるトラッキング用の案内溝部分
    の膜厚dと、透明基板におけるトラッキング用の案内溝
    以外の部分の膜厚が(d−Δd)となされているように
    して付着させ、また、前記の有機材料膜に光反射用の金
    属膜を設けた光学的記録媒体において、前記した透明基
    板におけるトラッキング用の案内溝が設けられていない
    方の板面側から入射させたレーザ光における前記した透
    明基板におけるトラッキング用の案内溝部分と、透明基
    板におけるトラッキング用の案内溝以外の部分とにおい
    て生じる位相差を、前記した有機材料膜が存在しない状
    態で得られる位相差に比べて、前記した有機材料膜の膜
    厚の差Δdによる光路長の変化を用いて減少させて実質
    的な位相差を透明基板における溝形状によって定められ
    る位相差の値よりも小さくし、かつ、記録済み部分にお
    ける有機材料膜の屈折率の変化によって生じる位相の進
    みを利用して、未記録部分に比べて実質的にレーザ光の
    光学的な位相を進ませるようにした光学的記録媒体円盤
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