JPH0615920Y2 - ローディングアームの緊急切離し装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、タンカーと岸壁のパイプラインを接続するロ
ーデイングアームにおいて、タンカーが波浪等で移動し
た際に、ローデイングアームの退避動作を行うための装
置に関するもので、渡船用ラダーの退避動作システムに
も適用可能である。

〔従来の技術〕 タンカーがローデイングアームの作動範囲を超えて移動
した場合、接続中のローデイングアームを破損の上、荷
役流体で海を汚染する。

そこで、ローデイングアーム内に荷役流体を閉じ込めた
まま、ローデイングアームをタンカーより離脱させる緊
急離脱システムが商品化されている。

このようなシステムを使用する場合、ローデイングアー
ムをタンカーより離脱させた後、ローデイングアームの
先端付近がタンカー甲板上の構造物と接触・破損しない
よう、ローデイングアームを若干上昇退避させることが
重要である。

従来技術では、錘によつてローデイングアームのインボ
ードアームを上昇させるか、又は、電気的に油圧電磁弁
を制御し、インボードアームを油圧により上昇させてい
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

前述の従来技術には次のような問題点がある。

錘による方式は、インボードアームの上昇速度を制御で
きない。

電気的に制御する方式は、コストが高く、且つ停電時に
は対応できない。

本考案は、電気的制御を使用せず、且つローデイングア
ームをタンカーの移動を妨げない位置まで退避させるこ
とのできるローデイングアームの緊急切離し装置を提供
することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

ローデイングアームの先端開口部の近傍に分割部を設
け、同分割部の両側に夫々ローデイングアーム側閉止弁
及びタンカー側閉止弁を取付け、両方の閉止弁のケーシ
ングを着脱可能に接続し、両方の閉止弁を同時に開閉す
るアクチユエータを設ける。

緊急切離し時に、両方の閉止弁ケーシングを切離す機構
と、切離し後に、ローデイングアームのインボードアー
ム駆動用アクチユエータに作動油を供給及び排出してイ
ンボードアームを上昇させる緊急切離し用油圧回路を設
ける。

〔作用〕

通常の荷役時には、ローデイングアーム側閉止弁とタン
カー側閉止弁とが共に開放状態で接続されており、タン
カーの移動に追従してローデイングアームが揺動する。

タンカーの移動が大きくなり、ローデイングアームの作
動範囲を超えてタンカーが移動した際に、緊急切離し操
作弁を手動で操作する。緊急切離し操作弁の操作によ
り、ローデイングアーム側閉止弁及びタンカー側閉止弁
の閉止、両方の閉止弁ケーシングの切離し、インボード
アーム及びローデイングアーム側閉止弁の上昇退避が、
上記の順序で行われる。

〔実施例〕

本考案の実施例を第１図乃至第３図について説明する。

図において、１は油圧源、２はタンク、３はローデイン
グアーム油圧制御ユニツト、４は緊急切離し装置油圧制
御ユニツト、５は旋回用アクチユエータ、６はアウトボ
ードアーム駆動用アクチユエータ、７はインボードアー
ム駆動用アクチユエータ、８は容量調節の可能な油圧シ
リンダー、９はパイロツトチエツキバルブ、３１は安全
弁、３２はインボードアーム駆動速度調整弁、３３はブ
ロツク切換弁、３４はフリーホイール切換弁、３５はイ
ンボードアーム操作弁、３６はブロツク切換用制御弁、
３７はローデイングアーム選択弁、３８は緊急切離し操
作弁、41aは緊急切離し用アクチユエータ、４２は閉止
弁駆動用アクチユエータ、４３はインターロツク用切換
弁、４４はインボードアーム上昇速度調整弁である。

油圧シリンダー８の入口側は、インボードアーム上昇速
度調整弁４４を介して緊急切離し用アクチユエータ４１
の作動ラインに連結され、吐出口側はインボードアーム
駆動用アクチユエータ７の上昇側ラインと連結される。
パイロツトチエツキバルブ９は、インボードアーム駆動
用アクチユエータ７の下降側ラインとタンクラインの間
に設置され、油圧シリンダ８の入口側ライン圧力をパイ
ロツト圧力としている。

１０は岸壁、１１はタンカー、４５はローデイングアー
ム側閉止弁、４６はタンカー側閉止弁、４１はローデイ
ングアーム側閉止弁のケーシングとタンカー側閉止弁４
６のケーシングとを着脱可能に接続する結合機構で、緊
急切離し用アクチユエータ41aにより解放される。

閉止弁駆動用アクチユエータ４２は、ローデイングアー
ム側閉止弁４５の弁軸に取付られ、同弁軸を回転させて
同閉止弁４５を開閉する。

ローデイングアーム側閉止弁４５の弁軸上端とタンカー
側閉止弁４６の弁軸上端には夫々レバー45a,46aが固定
され、レバー45aの両端に枢着された２本のリンク45bの
先端がレバー46aの両端と着脱可能に係合しており、両
方の閉止弁４５、４６は同時に開閉する。またローデイ
ングアーム側閉止弁４５の弁軸上端にはカム45cが設け
られており、閉止弁４５、４６の閉止時にカム45cによ
りインターロツク用切換弁４３が作動する。

ローデイングアーム５０は、岸壁１０上に立設され荷役
流体ライン（図示せず）に連通するライザ５１、ライザ
５１上に水平回転継手５ａ及び垂直回転継手５ｂを介し
て支持されたインボードアーム５２、インボードアーム
５２の先端に揺動可能に吊下げ支持されたアウトボード
アーム５３等からなり、アウトボードアーム５３の下端
開口部近傍に分割部が形成され、分割部の両側にローデ
イングアーム側閉止弁４５及びタンカー側閉止弁４６が
装着され、両閉止弁４５、４６のケーシングが結合機構
４１により接続される。

旋回用アクチユエータ５は、ライザ５１と水平回転５ａ
上方のエルボ５ｃとの間に設置され、ローデイングアー
ム５０を水平に旋回させる。

アウトボードアーム駆動用アクチユエータ６は、インボ
ードアーム５２とアウトボードアーム５３との間に設置
され、アウトボードアーム５３を垂直面内で揺動させ
る。

インボードアーム駆動用アクチユエータ７は、エルボ５
ｃとインボードアーム５２との間に設置され、インボー
ドアーム５２を垂直面内で揺動させる。

油圧シリンダ８及びパイロツトチエツキバルブ９は、イ
ンボードアーム駆動用アクチユエータ７に接近してイン
ボードアーム５２上に装着される。

このような装置において、通常の荷役時には、ローデイ
ングアーム側閉止弁４５とタンカー側閉止弁４６のケー
シングが結合機構４１により接続されており、且つ両方
の閉止弁４５、４６は解放されている。

タンカー１１がローデイングアーム５０の作動範囲を超
えて移動した時に、緊急切離し操作弁３８を手動で操作
する。

すると閉止弁駆動用アクチユエータ４２が作動して、ロ
ーデイングアーム側閉止弁４５及びタンカー側閉止弁４
６を閉止する。また同アクチユエータ４２のピストンロ
ツドが第１図において左方に移動し、カム45cによりイ
ンターロツク用切換弁４３が押込まれ緊急切離し用アク
チユエータ４１に作動油が供給されて、両閉止弁４５、
４６間の結合機構を切離す。更に切換弁４３からの作動
油は、インボードアーム上昇速度調整弁４４を経て油圧
シリンダ８の入口側に入り、油圧シリンダ８のピストン
ストロークで定まる所定量の作動油が同シリンダ８の吐
出口側からインボードアーム駆動用アクチユエータ７の
上昇側に入り、また同アクチユエータ７の下降側の作動
油がパイロツトチエツキバルブ９より排出されて、同ア
クチユエータ７の所定ストロークの作動により、インボ
ードアーム５２が所定の高さ上昇する。

従つて、ローデイングアーム５０をタンカー１１から切
離した後で、アウトボードアーム５３及びローデイング
アーム側閉止弁４５を一定量上昇させることができる。

〔考案の効果〕

本考案によるローデイングアームの緊急切離し装置は、
ローデイングアームの先端開口部の近傍に設けられた分
割部と、前記分割部の両側に夫々取付けられたローデイ
ングアーム側閉止弁及びタンカー側閉止弁と、前記ロー
デイングアーム側閉止弁及びタンカー側閉止弁を同時に
開閉する閉止弁駆動用アクチユエータと、前記ローデイ
ングアーム側閉止弁及びタンカー側閉止弁のケーシング
を着脱可能に接続する結合機構と、前記結合機構を解放
する緊急切離し用アクチユエータと、緊急切離し時にロ
ーデイングアームのインボードアーム駆動用アクチユエ
ータの上昇側に所定量の作動油を供給する油圧シリンダ
と、緊急切離し時に前記インボードアーム駆動用アクチ
ユエータの下降側の作動油を排出するパイロツトチエツ
キバルブと、前記閉止弁駆動用アクチユエータ、緊急切
離し用アクチユエータ、油圧シリンダ及びパイロツトチ
エツキバルブに作動油を供給する緊急切離し操作弁とを
具え、前記緊急切離し操作弁を作動することにより、前
記ローデイングアーム側閉止弁及びタンカー側閉止弁の
閉止、前記分割部の切離し、ローデイングアームの先端
部及びローデイングアーム側閉止弁の上昇退避を上記の
順序で行うように構成したことにより、次の効果を有す
る。

(1)電気を使用しないので、停電によるシステムダウン
がなく、緊急時の対応に信頼性が高い。

(2)必要以上にローデイングアームを退避させないの
で、ローデイングアームと他の構造物との干渉の不安が
ない。

また緊急切離し油圧制御ユニツトにインボードアーム上
昇速度調整弁を組込んだ場合には、緊急切離し時におけ
るローデイングアームの上昇退避速度の制御も可能にな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案ローデイングアームの緊急切離し装置の
実施例における油圧回路図、第２図は本考案の実施例に
係るローデイングアームの構成図、第３図は第２図に示
したローデイングアーム側及びタンカー側閉止弁付近の
詳細図である。 １……油圧源、２……タンク、３……ローデイングアー
ム油圧制御ユニツト、４……緊急切離し装置油圧制御ユ
ニツト、７……インボードアーム駆動用アクチユエー
タ、８……油圧シリンダ、９……パイロツトチエツキバ
ルブ、３８……緊急切離し操作弁、41a……緊急切離し
用アクチユエータ、４２……閉止弁駆動用アクチユエー
タ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ローデイングアームの先端開口部の近傍に
   設けられた分割部と、前記分割部の両側に夫々取付けら
   れたローデイングアーム側閉止弁及びタンカー側閉止弁
   と、前記ローデイングアーム側閉止弁及びタンカー側閉
   止弁を同時に開閉する閉止弁駆動用アクチユエータと、
   前記ローデイングアーム側閉止弁及びタンカー側閉止弁
   のケーシングを着脱可能に接続する結合機構と、前記結
   合機構を解放する緊急切離し用アクチユエータと、緊急
   切離し時にローデイングアームのインボードアーム駆動
   用アクチユエータの上昇側に所定量の作動油を供給する
   油圧シリンダと、緊急切離し時に前記インボードアーム
   駆動用アクチユエータの下降側の作動油を排出するパイ
   ロツトチエツキバルブと、前記閉止弁駆動用アクチユエ
   ータ、緊急切離し用アクチユエータ、油圧シリンダ及び
   パイロツトチエツキバルブに作動油を供給する緊急切離
   し操作弁とを具え、前記緊急切離し操作弁を作動するこ
   とにより、前記ローデイングアーム側閉止弁及びタンカ
   ー側閉止弁の閉止、前記分割部の切離し、ローデイング
   アーム先端部及びローデイングアーム側閉止弁の上昇退
   避を上記の順序で行うように構成したことを特徴とする
   ローデイングアームの緊急切離し装置。