JPH0615819Y2 - 駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） エンジンのクランクケースに該クランクケースから側方
に偏位しかつ後方に延びる変速機ケースを連設したエン
ジンユニツトは、スクーター型のエンジンユニツトとし
て知られている。

本考案はこのスクーター型のエンジンユニツトを騎乗型
二輪車の車体に搭載した場合や、適宜の負荷を駆動する
ための動力源として使用する場合に、該エンジンユニツ
トに形成される上下方向の空間を利用した排気管の配置
に関する。

（従来の技術） 二輪車の排気管は通常エンジンの前部に接続しわん曲し
ながら該エンジンの下方を通つて車体の後方へ延びるよ
うにしているが、Ｖ型エンジン等にあつては該排気管を
エンジンの後部に接続するものもあり、従来この種の排
気管は、エンジンのクランクケースとリヤフオークの連
結部材との間を通して下方へ抜きわん曲しながら車体の
後方へ延びるようにしたものを一般としている。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来のものにあつては、排気管をクランクケースと
リヤフオークの連結部材との間を通すためこの部分に排
気管の熱的影響を考慮した一定の空間が必要となり、該
空間を確保するため車体のホイールベースが長くなる傾
向にあり、また排気管に十分な曲がりがとれるほどに十
分な空間を確保することができなかった。

ところで、自動変速装置を内蔵するスクーター型のエン
ジンユニツトはその操作性及び経済性に優れていること
から、該エンジンユニツトを騎乗型二輪車の車体に搭載
し初心者向けのスポーツ性に富むオートマチツク車とし
てその出現が望まれていた。

本考案はかかる要望に応えるべく騎乗型二輪車の車体に
スクーター型のエンジンユニツトを搭載し、この場合に
該ユニツトにその構造から空間が生ずることに着目し、
該空間に排気管を通すことにより、上記従来の問題点を
解消してこの空間を有効に利用すると共に、該空間のも
つ前後方向の長さにより排気管に十分な曲がりをとり得
る排気管の通路を提供すること、及び該排気管によって
エンジンユニットの駆動軸の周囲を保護することを目的
の一つとするものである。また、前記のエンジンユニッ
トを他の装置の駆動装置として用い、騎乗型二輪車に用
いた場合と同様の効果を発揮させることを他の目的とす
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記目的を達成すべくエンジンのクランク軸に
よって駆動され、該クランク軸と直交して水平方向に延
びる変速機を収容する変速機ケースを、該エンジンのク
ランクケースの一側に偏位して連設し、該変速機ケース
の末端側から前記クランク軸と平行で変速機ケースの前
記偏位方向と反対側に駆動軸を突出して設け、該駆動軸
に動力を伝達する巻掛伝動手段を連設すると共に、該巻
掛伝動手段と前記エンジンの間に上下方向に開放された
空間を形成し、該空間にエンジンの排気管を上下方向に
挿通し、前記駆動軸の周囲を通して巻掛伝動手段の方向
に延設したことを特徴とする。

（作用） 前記エンジンユニットにおけるエンジンと駆動軸の間に
形成される上下方向の空間を、排気管の配置空間とする
ことにより、排気管の配置が容易になり、かつ該排気管
を巻掛伝動装置の方向に延設することにより排気管が駆
動軸の保護部材となる。

（実施例） 第１図ないし第３図を参照して、(1)は騎乗型二輪車の
車体を示し、該車体(1)には前輪(2)と後輪(3)との間に
スクーター型のエンジンユニツト(4)と、該ユニツト(4)
と車体(1)とを覆うカバーたるカウル(5)とが取付けら
れ、該ユニツト(4)を動力源として後輪(3)を駆動して走
行する。

エンジンユニツト(4)は、上部のエンジン(6)と下部のク
ランクケース(7)及び該クランクケース(7)から後方に延
びる変速機ケース(8)とで一体に構成され、前記カウル
(5)と共にステー(9)(9)を介して車体に取付けられ、エ
ンジン(6)の動力を変速機ケース(8)の後端に設けた駆動
軸(10)から出力し、チエーン(11)を介して後輪(3)に伝
達する。

変速機ケース(8)は、クランクケース(7)に対し片側に偏
位して設けられ、該ケース(8)の内部にはその長手方向
にＶベルト(12)が収納され、該Ｖベルト(12)は、クラン
クケース(7)内に収納されたクランクシヤフト(13)の端
部に固着される主動プーリー(14)と変速機ケース(8)の
後部に収納された遠心クラツチ(15)の主軸(16)に固着さ
れる従動プーリー(17)とに掛け渡され、該両プーリー(1
4)(17)の直径を連続的に変化させて無段変速機を構成
し、クランクシヤフト(13)の回転を遠心クラツチ(15)の
主軸(16)から中間軸(18)を介して変速機ケース(8)の後
端の駆動軸(10)に伝達する。

クランクケース(7)と駆動軸(10)との間には、変速機ケ
ース(8)に沿うように空間(19)が形成され、該空間(19)
には、車体(1)の中心線上を上下方向に排気管(20)が挿
通し、該排気管(20)の上部は前方へわん曲しエンジン
(6)の後部に接続し、下部は後方へわん曲して延び、車
体(1)の後部の排気マフラー(21)に接続される。

エンジン(6)の両側には、カウル(5)との間に、ラジエタ
ー(22)とエアクリーナ(23)が設けられ、該エアクリーナ
(23)からの吸気は、逆Ｕ字状に前方へ突き出した吸気管
(24)を介して前方からエンジン(6)内に流入し後方から
排気される。

また、第４図及び第５図に示す如く前記空間(19)には、
中心を排気管(20)が挿通する円筒状の筒体(25)が設けら
れ、排気管(20)を内筒とし該筒体(25)を外筒とする２重
構造の熱交換器(26)を構成し、該筒体(25)の下部に設け
た流入口(25a)から空気を該熱交換器(26)内に導き、排
気管(20)を介して該空気と排気管(20)内を流れる排気ガ
スとを熱交換させ、熱交換後の暖気を筒体(25)の上部に
設けた流出口(25b)からホツトエアダクト(27)を介して
シート(28)の底部に導く。該シート(28)の底部には、前
後方向の複数のホツトエアトンネル(29)を設け、該ホツ
トエアトンネル(29)は、前部でホツトエアダクト(27)に
連通し後端でシートカウル(30)の開口(30a)に連通し
て、ホツトエアダクト(27)から流入する暖気がシート(2
8)を暖めシートカウル(30)の開口(30a)から車体(1)の後
方へ排気される。

なお、図中(31)は、夏期等の暖房不要時に暖気を逃がし
てシート(28)の過熱を防止する逃がし配管を示す。

以上のように本実施例によれば、クランクケース(7)と
変速機ケース(8)の後端の駆動軸(10)との間に、該変速
機ケース(8)に沿うように形成される空間(19)に排気管
(20)を通し、該空間(19)を排気管(20)の通路として利用
することにより、排気管(20)の通路として十分なスペー
スが確保でき、かつ前後方向に十分な長さを有するため
排気管(20)の曲がりにも余裕がもて、更に、排気管(20)
の熱を容易に後方へ排出できる。

また、該空間(19)に排気管(20)の熱を利用した熱交換器
(26)を設け、これにより暖められた空気をシート(28)に
導くことにより、二輪車の走行に際し、該空気の出口で
あるシートカウル(30)の開口(30a)が負圧となつて該空
気を自然通風してシート(28)を暖める。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、エンジンと駆動軸の間に
形成される上下方向の空間を排気管の配置に利用し、該
空間に排気管を上下方向に通したのち湾曲して駆動軸の
周囲を通って巻掛伝動装置の方向に延設したので、排気
管を他部材との間に余裕をもたせて配置できて該他部材
の加熱を防止でき、排気管の配管設計が容易であるばか
りでなく、前記の湾曲した構造によって排気管の長さを
充分な長さに確保でき、更に、該排気管によって駆動軸
の周囲を保護できる利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施した騎乗型二輪車の側面図、第２
図は第１図のII-II線断面図、第３図は第１図のIII-III
線拡大断面図、第４図は熱交換器廻りの截断側面図、第
５図は第４図のＶ−Ｖ線断面図である。 (1)…車体、(4)…エンジンユニツト、(5)…カウル、(1
0)…駆動軸、(12)…変速機ケース、(19)…空間、(20)…
排気管

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンのクランク軸によって駆動され、
   該クランク軸と直交して水平方向に延びる変速機を収容
   する変速機ケースを、該エンジンのクランクケースの一
   側に偏位して連設し、該変速機ケースの末端側から前記
   クランク軸と平行で変速機ケースの前記偏位方向と反対
   側に駆動軸を突出して設け、該駆動軸に動力を伝達する
   巻掛伝動手段を連設すると共に、該巻掛伝動手段と前記
   エンジンの間に上下方向に開放された空間を形成し、該
   空間にエンジンの排気管を上下方向に挿通し、前記駆動
   軸の周囲を通して巻掛伝動手段の方向に延設したことを
   特徴とする駆動装置。