JPH06157624A - ホスホニウム塩およびそれを含有する光硬化型カチオン重合性樹脂 - Google Patents

ホスホニウム塩およびそれを含有する光硬化型カチオン重合性樹脂

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JPH06157624A
JPH06157624A JP29889592A JP29889592A JPH06157624A JP H06157624 A JPH06157624 A JP H06157624A JP 29889592 A JP29889592 A JP 29889592A JP 29889592 A JP29889592 A JP 29889592A JP H06157624 A JPH06157624 A JP H06157624A
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JP
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phenyl
cationically polymerizable
hydrogen atom
alkyl
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JP29889592A
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English (en)
Inventor
Takeshi Endo
剛 遠藤
Toshikazu Takada
十志和 高田
Keiichi Takuma
桂一 宅間
Kenji Ohashi
賢治 大橋
Kenichi Mori
健一 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (1)新規なホスホニウム塩、(2)ホスホ
ニウム塩を重合触媒として含有する光硬化型カチオン重
合性組成物、及び(3)(2)の硬化物。 【効果】 (2)の重合性組成物は、保存安定性及び硬
化性ともに優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、貯蔵安定性に優れ、か
つ光によって速やかに硬化し、良好な物性を有するエポ
キシ樹脂等のカチオン重合性組成物、およびそのような
組成物に含有せしむベき光重合触媒となり得る新規なホ
スホニウム塩に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、エポキシ樹脂は機械的、電気
的、化学的性質などが優れているため、高性能材料を必
要とする種々の用途に使われている。エポキシ樹脂は、
通常硬化剤としてポリアミン類、カルボン酸無水物等と
混合する、いわゆる2液系で使用されている。これらの
系は使用直前に各成分を計量混合する必要があるため、
使用者にとってはこれらの工程が不必要な1液性エポキ
シ樹脂が望まれている。エポキシ樹脂を1液系として硬
化させることのできる硬化剤や触媒としてジシアンジア
ミドやフッ化ホウ素モノエチルアミンのようなアミン錯
化合物があるが、160℃又はそれ以上の温度でも硬化
に数時間要する。この結果、これらの1液系エポキシ組
成物は、熱に敏感な電子部品の被覆には用いることがで
きない。又、硬化温度を下げるためイミダゾール化合物
のごとき促進剤を添加することが行われているが、そう
すると保存安定性が大幅に悪化する欠点がある。
【0003】加熱を必要としない光重合触媒としては、
例えば芳香族ジアゾニウム塩が提案されている。このも
のは、エポキシ樹脂を光照射することにより急速に硬化
させることができる。しかし、ジアゾニウム塩は光分解
により窒素を放出するため、これにより得られる硬化物
が気泡を含むという問題が生じる。また、暗所において
さえ次第に重合が進行するために保存安定性が悪く、熱
的に不安定で無制限に分解する恐れがあるためにこれら
の物質の使用には危険が伴う。
【0004】上記の課題の改良として、特開昭50−1
51996および特開昭50−151997に係わるも
の(芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルホニウム塩
をそれぞれ光重合触媒とする光硬化性組成物)が挙げら
れるが、未だ硬化性は充分でない。
【0005】また、特開昭50−158698に係わる
ものは、光照射によりルイス酸を放出してエポキシ樹脂
を硬化させることのできるホスホニウム塩であるが、こ
の光触媒を用いたエポキシ硬化物は耐アルカリ性に劣る
と言われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光で
カチオン重合性化合物を迅速に重合硬化させることがで
きる重合触媒を提案し、かつこのような重合触媒を含有
する保存安定性に優れたカチオン重合性組成物を提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、下記一般式(II)で示さ
れるホスホニウム塩をカチオン重合性化合物の光重合触
媒として用いることにより光硬化性組成物を作成できる
ことを見いだし、この知見に基づき本発明を完成した。
なお、一般式(II)で示されるホスホニウム塩のうちで
一般式(I)で示されるものは新規化合物である。
【0008】すなわち、本発明は、(a)下記一般式
(I)で示されるホスホニウム塩
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1 、R2 およびR3 はフェニル
基、ハロゲン化フェニル基、シアノフェニル基、ベンゾ
イルフェニル基、アルキルフェニル基またはアルキル基
を表し、R4 およびR5 はアルキル基または水素原子を
表し、R6 はフェニル基、ナフチル基、ピレニル基、ア
ントラセニル基またはスチリル基を表し、R7 、R8
よびR9 はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、
ニトロ基、水酸基、シリル基、シリルオキシ基または水
素原子を表す。また、X- は非求核性アニオンを表す。
但し、R1 、R2 およびR3 がフェニル基で、R4 およ
びR5 が水素原子であり、R6 がフェニル基で、R7
よびR8 が水素原子で、そしてR9 が水素原子、クロロ
基またはニトロ基であるものは除く。)、(b)カチオ
ン重合性化合物および重合触媒として下記一般式(II)
で示されるホスホニウム塩を含有することを特徴とする
光硬化型カチオン重合性組成物
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R1 、R2 およびR3 はフェニル
基、ハロゲン化フェニル基、シアノフェニル基、ベンゾ
イルフェニル基、アルキルフェニル基またはアルキル基
を表し、R4 およびR5 はアルキル基または水素原子を
表し、R6 はフェニル基、ナフチル基、ピレニル基、ア
ントラセニル基またはスチリル基を表し、R7 、R8
よびR9 はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、
ニトロ基、水酸基、シリル基、シリルオキシ基または水
素原子を表す。また、X- は非求核性アニオンを表
す。)、および(c)請求項2記載のカチオン重合性組
成物を光硬化することにより得られた硬化物、に関す
る。
【0013】一般式(I)および(II)における非求核
性アニオンとしては、SbF6 - 、AsF6 - 、PF6
- 、BF4 - 等が挙げられる。また、一般式(I)およ
び(II)のホスホニウム塩は、光の輻射エネルギーによ
り開裂してベンジルカチオンを発生する。これによりエ
ポキシ樹脂等のカチオン重合反応が進行し、対応する硬
化物を生成すると考えられる。
【0014】以下、本発明を逐次説明する。
【0015】本発明における、一般式(I)で示される
ホスホニウム塩として好ましいものとしては、ベンジル
トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネー
ト、p−クロロベンジルトリフェニルホスホニウムヘキ
サフルオロアンチモネート、p−メチルベンジルトリフ
ェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p
−メトキシベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフ
ルオロアンチモネート、α−メチルベンジルトリフェニ
ルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、シンナ
ミルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモ
ネート、2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルトリフェ
ニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−
ナフチルメチルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオ
ロアンチモネート、3−トリメチルシリル−4−トリメ
チルシロキシベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサ
フルオロアンチモネート、p−メトキシベンジルトリス
(p−クロロフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロア
ンチモネート、p−メトキシベンジルトリス(p−メチ
ルフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロアンチモネー
ト、シンナミルトリス(p−クロロフェニル)ホスホニ
ウムヘキサフルオロアンチモネート、p−メトキシベン
ジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェ
ート、1−ピレニルメチル−トリフェニルホスホニウム
ヘキサフルオロアンチモネート、1−ピレニルメチル−
ブチルジフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモ
ネート、9−アントラセニルメチル−トリフェニルホス
ホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられ
る。上記の化合物は、方法自体は公知の常法により、相
当するフォスフィンと塩素化物とでホスホニウム塩を調
製後、塩交換することにより得られる。
【0016】本発明のカチオン重合性組成物の主成分で
あるカチオン重合性化合物にも特別な制限はなく、たと
えばエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0017】エポキシ樹脂にも特別の制限はなく、平均
して1分子当り2個以上のエポキシ基を有するものであ
る。好ましいものとしては、グリセリンやポリエチレン
グリコール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンと
を反応させて得られるポリグリシジルエーテル、および
シクロヘキセンもしくはシクロペンテン環含有化合物を
過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化するこ
とによって得られるシクロヘキセンオキサイドもしくは
シクロペンテンオキサイド含有化合物等の脂環式エポキ
シを挙げることができる。上記のエポキシ樹脂の代表例
を市販商品のうちから選択して挙げると次の通りであ
る。すなわち、脂環式エポキシ樹脂としては、「セロキ
サイド2021、2000および3000」および「E
HPE−3150−1」(以上、ダイセル化学工業
(株)製);「ERL4206、4221、4299お
よび4234」(以上、ユニオンカーバイト(株)
製);「アラルダイトCY177および179」(以
上、チバガイギー(株)製)などが挙げられる。また、
芳香族エポキシ樹脂として、ビスフェノールA、ビスフ
ェノールF、ビスフェノールAD、カテコール、レゾル
シノール等の多価フェノールまたはp−ヒドロキシ安息
香酸、β−ヒドロキシナフトエ酸のようなヒドロキシカ
ルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られる
ポリグリシジルエーテル;フタル酸およびテレフタル酸
のようなポリカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応
させて得られるポリグリシジルエステル;等が挙げられ
る。さらには、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、
エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ポリ
オレフィン、その他ウレタン変性エポキシ樹脂等が挙げ
られる。
【0018】その他のカチオン重合性化合物としては、
スチレン、環状エーテル、ビニルエーテル、ラクトン、
環状カーボネート等が挙げられる。
【0019】本発明のカチオン重合性組成物を調製する
際の、ホスホニウム塩のカチオン重合性化合物に対する
配合比は、この塩が光または熱により活性化されない限
り実質的に不活性状態にあるので広い範囲で変えること
ができる。ホスホニウム塩を硬化性組成物の重量を基準
として0.1〜20重量部の割合で用いることができ
る。しかし、カチオン重合性化合物の性質、照射の強
さ、所要硬化時間、硬化物の物性およびコスト等のよう
な因子にしたがってこれよりも量を増減させることもで
きる。
【0020】本発明のカチオン重合性組成物は、常温光
硬化、加熱光硬化、光硬化後のアフターキュアーなどの
方法により硬化することができるので、文脈から明らか
に異なる意味に解されぬ限りにおいて、これらを総称し
て本発明では単に光硬化ということがある。従って、本
発明に言う光硬化は広義に定義されていることに留意さ
れたい。そこで、例えば、加熱光硬化は加熱および光照
射の併用による光硬化を意味する。光硬化に必要な波長
は200〜500nmである。光照射時間は、1秒〜5
分、好ましくは5秒〜2分である。加熱光硬化時の温度
は、通常20〜150℃である。光硬化後のアフターキ
ュアーは、例えば20〜150℃にて10時間以内であ
る。
【0021】本発明に係わるカチオン重合性組成物に
は、必要に応じてまたは所望により充填剤、希釈剤、溶
剤、顔料、可撓性付与剤、増感剤、酸化防止剤等の各種
添加剤を加えることができる。
【0022】本発明における光硬化用光源としては、低
圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセ
ノンランプ、カーボンアーク灯などが挙げられる。
【0023】本発明のカチオン重合性組成物をこのよう
にして光硬化させて得られる硬化物は、耐水性、耐薬品
性、電気特性等に優れたものである。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
する。
【0025】実施例1 (a)ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオ
ロアンチモネートの合成撹拌装置、還流冷却器、温度計
を備え付けた1リットル容量の4首フラスコを窒素置換
した後、これにトリフェニルホスフィン52.4g
(0.2モル)およびアセトニトリル200mlを加えて
混合溶解し、撹拌しながら加熱還流条件下で100mlの
アセトニトリルに溶解したベンジルクロライド25.3
g(0.2モル)を1時間かけて滴下し、さらに5時間
撹拌しながら加熱還流条件下で反応を続けたところ、白
色の結晶が析出した。
【0026】続いて室温まで冷却し、析出した結晶を濾
別し、乾燥したところ、ベンジルトリフェニルホスホニ
ウムクロライド67.5g(収率86.7%)が得られ
た。このベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド
の融点は、287〜288℃であった。
【0027】このようにして得られたベンジルトリフェ
ニルホスホニウムクロライド19.4g(0.05モ
ル)をメタノール−水(1/1(容積比))200mlに
溶解して同容量のフラスコに入れ、得られた溶液に30
0mlの水に溶解されたソジウムヘキサフルオロアンチモ
ネート12.9g(0.05モル)を撹拌しながら滴下
したところ、沈澱が生じて白濁しスラリー状となった。
【0028】滴下終了後、室温で1時間撹拌を続け、次
いで結晶を濾別した後メタノールで再結晶したところ、
ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアン
チモネート24.5g(収率83.0%)が得られた。
このベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロ
アンチモネートの融点は、172℃であった。
【0029】また、上記ベンジルトリフェニルホスホニ
ウムヘキサフルオロアンチモネートの元素分析を行っ
た。結果を第1表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】(b)上記のベンジルトリフェニルホスホ
ニウムヘキサフルオロアンチモネート1.8重量部をビ
スフェノールA型エポキシ樹脂「エピコート828」
(油化シェルエポキシ(株)製商品名、エポキシ当量1
90)100重量部に溶解して均一系の重合性組成物を
得た。
【0032】これを厚さ0.015mmにガラスエポキ
シ基板上に塗布した。これに高圧水銀ランプ(120W
/cm)で17cmの距離から紫外線を照射したとこ
ろ、36秒でタックフリーとなった(硬化時間)。さら
に、この重合性組成物の遮光下での40℃におけるポッ
トライフは、6か月以上であり、保存安定性は良好であ
った。
【0033】実施例2〜11 第2表に示す種々のホスホニウム塩を実施例1と同様の
方法で合成した。
【0034】また、実施例1のエポキシ樹脂および第2
表に示すホスホニウム塩を用いてさらに別の重合性組成
物を調製し、実施例1と同様にしてそれぞれのホスホニ
ウム塩について紫外線硬化を行った。その結果も同表に
示す。また、これらの光硬化性組成物は何れも均一なも
ので、ポットライフテストの結果はその保存安定性が6
か月以上という良好なものであった。
【0035】また、これらの組成物をこのようにして紫
外線硬化して得られた硬化物には気泡を全く生じず、ま
たこれらの硬化物からは臭気も発生しなかった。
【0036】
【表2】
【0037】実施例12 ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアン
チモネート2.5重量部を脂環族エポキシ樹脂「セロキ
サイド2021」(ダイセル化学(株)製の(3,4−
エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシ
クロヘキシルカルボキシレート)100重量部に溶解し
て均一系の重合性組成物を得た。
【0038】これを厚さ0.015mmにガラスエポキ
シ基板上に塗布した。これに高圧水銀ランプ(120W
/cm)で17cmの距離から紫外線を照射したとこ
ろ、6秒でタックフリーとなった。さらに、この重合性
組成物の遮光下での40℃におけるポットライフは、6
か月以上であり、保存安定性は良好であった。
【0039】実施例13〜22 実施例12と同様にして、第3表に示す種々のホスホニ
ウム塩について紫外線硬化を行った。その結果も同表に
示す。また、これらの光重合性組成物はいずれも均一な
もので、ポットライフテストの結果はその保存安定性が
6か月以上という良好なものであった。
【0040】また、本発明の組成物より得られる硬化物
には、気泡を全く生じず、またこれらの硬化物からは臭
気も発生しなかった。
【0041】
【表3】
【0042】実施例23 p−メトキシベンジルトリス(p−クロロフェニル)ホ
スホニウムヘキサフルオロアンチモネート2.1重量部
をビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピコート82
8」100重量部に溶解して均一系の光重合性組成物を
得た。
【0043】これを厚さ0.015mmにガラスエポキ
シ基板上に塗布した。これに高圧水銀ランプ(120W
/cm)で17cmの距離から紫外線を6秒照射した
後、100℃で30分間のアフターキュアーにより硬化
した。さらに、この光重合性組成物は遮光下での40℃
におけるポットライフが6か月以上であり、保存安定性
の良好なものであった。
【0044】実施例24 1−ピレニルメチル−トリフェニルホスホニウムヘキサ
フルオロアンチモネートの合成 アルゴン零囲気下、オキシ塩化リン(7.0g、46ミ
リモル)をDMF(10ml)中にゆっくり滴下した。
得られた溶液を室温まで冷却し、ピレン(9.2g、4
5ミリモル)のクロロホルム(50ml)溶液に滴下し
た。滴下終了後、さらに室温で24時間撹拌したのち、
水(300ml)に加え、クロロホルムで抽出した。ク
ロロホルム層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で数回洗
浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧乾燥し
て得られた黄色の固体をカラムクロマトグラフィーによ
って精製し、1−ホルミルピレン2.5g(収率24
%)を得た。
【0045】続いて、1−ホルミルピレン(2.3g、
10ミリモル)をTHF(20ml)に溶解し、水素化
ホウ素ナトリウム(0.10g、2.6ミリモル)を加
えて室温で30分間撹拌した。メタノール(20ml)
を加えた後、さらに6時間撹拌した。反応溶液を水(1
00ml)に加え、クロロホルムで抽出した。クロロホ
ルム層を塩化ナトリウム飽和水溶液で数回洗浄し、硫酸
マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られる
淡黄色の固体をカラムクロマトグラフィーによって精製
し、1−ヒドロキシメチルピレン2.2g(収率95
%)を得た。
【0046】次に、塩化チオニル(5ml)に1−ヒド
ロキシメチルピレン(1.0g、4.3ミリモル)を加
え、室温で3時間撹拌した後、過剰の塩化チオニルを減
圧留去した。更に、残査に乾燥トルエン(20ml)を
加え、これを減圧留去した。得られた黄色の固体に、ト
リフェニルホスフィン(1.2g、4.6ミリモル)お
よびトルエン(10ml)を加え、6時間加熱還流し
た。冷却後、ヘキサン(50ml)を加え、沈殿物を吸
引濾過により濾別した。得られた結晶は、ヘキサンによ
って数回洗浄し、1−ピレニルメチル−トリフェニルホ
スホニウムクロライド1.6g(収率71%)を得た。
【0047】さらに、1−ピレニルメチル−トリフェニ
ルホスホニウムクロライド(1.5g、29ミリモル)
をメタノール(20ml)に溶解し、撹拌下、直前に調
製した5%六フッ化アンチモン酸カリウム水溶液(20
ml)を加えた。生成した沈殿を吸引濾過により濾別
し、水で数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥した。得
られた結晶を少量のアセトンに溶解し、これにエーテル
を徐々に滴下し、析出してくる褐色のタール状物質をデ
カンテーションによって除いた。さらに上澄みにエーテ
ル(100〜200ml)を加え、析出してきた淡黄色
の粉末を濾別し100℃で減圧乾燥した。その沈殿操作
を5回繰り返し、純粋な1−ピレニルメチル−トリフェ
ニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート4.8
g(収率62%)を得た。この化合物の融点は274℃
であった。
【0048】実施例25 1−ピレニルメチル−ブチルジフェニルホスホニウムヘ
キサフルオロアンチモネートの合成 クロロジフェニルホスフィン(6.5g、30ミリモ
ル)を乾燥エーテル(50ml)に溶解し、アルゴン零
囲気下、激しく撹拌しながら1.62Mのn−ブチルリ
チウムヘキサン溶液(22ml)をエーテルが還流しな
い程度にゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに室温
で2時間撹拌した。生成してくる沈殿を濾別した後、濾
液を水で数回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶
媒を減圧留去して得られる淡黄色油状の生成物をさらに
減圧蒸留によって精製し、ブチルジフェニルホスフィン
4.3g(収率59%)を得た。
【0049】次に、塩化チオニル(5ml)に1−ヒド
ロキシメチルピレン(1.0g、4.3ミリモル)を加
え、室温で3時間撹拌した後、過剰の塩化チオニルを減
圧留去した。更に、残査に乾燥トルエン(20ml)を
加え、これを減圧留去した。得られた黄色の固体に、ブ
チルジフェニルホスフィン(3.3g、14ミリモル)
およびトルエン(10ml)を加え、6時間加熱還流し
た。冷却後、ヘキサン(50ml)を加え、沈殿を吸引
濾過により濾別した。得られた結晶は、ヘキサンによっ
て数回洗浄し、1−ピレニルメチル−ブチルジフェニル
ホスホニウムクロライド2.0g(収率31%)を得
た。
【0050】さらに、1−ピレニルメチル−ブチルジフ
ェニルホスホニウムクロライド(1.5g、30ミリモ
ル)をメタノール(20ml)に溶解し、撹拌下、直前
に調製した5%六フッ化アンチモン酸カリウム水溶液
(20ml)を加えた。生成した沈殿を吸引濾過により
濾別し、水で数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥し
た。得られた結晶を少量のアセトンに溶解し、これにエ
ーテルを徐々に滴下し、析出してくる褐色のタール状物
質をデカンテーションによって除いた。さらに上澄みに
エーテル(100〜200ml)を加え、析出してきた
淡黄色の粉末を濾別し、100℃で減圧乾燥した。この
ような沈殿操作を5回繰り返し、純粋な1−ピレニルメ
チル−ブチルジフェニルホスホニウムヘキサフルオロア
ンチモネート0.84g(収率40%)を得た。この化
合物の融点は214℃であった。
【0051】実施例26 9−アントラセニルメチル−トリフェニルホスホニウム
ヘキサフルオロアンチモネートを実施例24と同様の方
法で合成した。この化合物の融点は、227℃あった。
【0052】
【発明の効果】本発明のホスホニウム塩を重合触媒とし
て含有するカチオン重合性組成物は、長期間保存可能
で、光照射で迅速に硬化する機能を備え、吸湿性がな
く、そして耐水性、耐薬品性および電気特性に優れた硬
化物を与えるので、プラスチック保護用、装飾用および
絶縁用被覆、印刷インク、封止剤、接着剤、フォトレジ
スト、含浸注型用、ステレオリソグラフィー等の用途に
適する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 賢治 神奈川県厚木市酒井2171 (72)発明者 森 健一 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示されるホスホニウ
    ム塩 【化1】 (式中、R1 、R2 およびR3 はフェニル基、ハロゲン
    化フェニル基、シアノフェニル基、ベンゾイルフェニル
    基、アルキルフェニル基またはアルキル基を表し、R4
    およびR5 はアルキル基または水素原子を表し、R6
    フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、アントラセニル
    基またはスチリル基を表し、R7 、R8 およびR9 はア
    ルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、水
    酸基、シリル基、シリルオキシ基または水素原子を表
    す。また、X- は非求核性アニオンを表す。但し、
    1 、R2 およびR3 がフェニル基で、R4 およびR5
    が水素原子であり、R6 がフェニル基で、R7 およびR
    8 が水素原子で、そしてR9 が水素原子、クロロ基また
    はニトロ基であるものは除く。)。
  2. 【請求項2】 カチオン重合性化合物および重合触媒と
    して下記一般式(II)で示されるホスホニウム塩を含有
    することを特徴とする光硬化型カチオン重合性組成物 【化2】 (式中、R1 、R2 およびR3 はフェニル基、ハロゲン
    化フェニル基、シアノフェニル基、ベンゾイルフェニル
    基、アルキルフェニル基またはアルキル基を表し、R4
    およびR5 はアルキル基または水素原子を表し、R6
    フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、アントラセニル
    基またはスチリル基を表し、R7 、R8 およびR9 はア
    ルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、水
    酸基、シリル基、シリルオキシ基または水素原子を表
    す。また、X- は非求核性アニオンを表す。)。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のカチオン重合性組成物を
    光硬化することにより得られた硬化物。
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