JPH0614771U - 横型管内凝縮器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 横型管内凝縮器に係り、伝熱管内を流通させ
られる高温流体を気相と液相に分離状態に保持すること
により、凝縮液の不安定な挙動を回避して、健全な凝縮
性能の維持を図る。 【構成】 伝熱管の内部に、その内壁面の近傍に長手方
向に沿って螺旋状に配され凝縮液をその表面に沿って流
通させることにより半径方向外方に指向させる流路形成
部材が挿入され、伝熱管の中心部に、気体状の高温流体
を挿通させる気相流路が形成されており、伝熱管内に流
通する凝縮液を伝熱管の内壁面近傍に流通させることに
より気相流路を貫通状態に保持する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、横型管内凝縮器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

原子力や石油プラント等の関連施設で使用される凝縮器として、図３に示すよ うな横型管内凝縮器１がある。この凝縮器１は、シェルアンドチューブ式熱交換 器と類似する構造であり、シェル２は、筒状に形成されその長手方向を水平方向 に合わせて貯水槽Ａの貯留水Ｗ中に設置される。

【０００３】 シェル２の一端には、該シェル２を閉塞状態とする管板３が設けられ、該管板 ３を隔ててプレナム室４が配設されている。該プレナム室４は、仕切り板５によ って、上部に配される高温流体入口プレナム室４ａおよび下部に配される高温流 体出口プレナム室４ｂに仕切られている。そして、それぞれのプレナム室４ａ・ ４ｂの壁面の一部をなす管板３を貫通して両プレナム室４ａ・４ｂを連通状態と する複数の伝熱管６が固定されている。また、シェル２の上壁面には、伝熱管６ を挿通させられる高温流体とシェル２内の貯留水Ｗとの間で熱交換が行われた際 に発生する蒸気および温度が上昇させられた貯留水Ｗをシェル２外に排出する複 数の開口２ａが設けられ、シェル２の下壁面には、低温状態の貯留水Ｗをシェル ２内に取り入れる取入口２ｂが配設されている。

【０００４】 前記伝熱管６は、それぞれが前記高温流体入口プレナム室４ａおよび高温流体 出口プレナム室４ｂにそれぞれ接続し平行間隔を空けて配される２箇所の水平部 ６ａ・６ｂと、該水平部６ａ・６ｂと一体に成形され両水平部６ａ・６ｂを連結 する湾曲部６ｃとからＵ字形状に形成されており、前記シェル２内に配設されて いる。

【０００５】 そして、このように構成された凝縮器１により蒸気等の高温流体を凝縮するに は、高温流体入口プレナム室４ａに蒸気を導いて各伝熱管６に分配し、該伝熱管 ６内を挿通させる。すると、伝熱管６の周囲に配される貯留水Ｗと、伝熱管６の 内部を挿通させられる高温流体との間に熱交換が実施され、高温流体は冷やされ て凝縮し、低温流体は暖められて上方へと流れる対流が発生する。そして、この 対流によって低温状態の貯留水Ｗがシェル２下部に設けられた取入口２ｂを通し て取り入れられ、順次熱交換が実施されることになる。

【０００６】

【考案が解決しようとする問題点】

ところで、伝熱管６内を挿通させられる高温流体は、その挿通の間に熱交換を 行うことにより徐々に凝縮するので、伝熱管６内は、高温流体の流通方向に沿っ て気相、気液混合相の状態が混在することになる。特に、流通方向の後部、つま り、高温流体出口プレナム室４ｂに近い伝熱管６内においては、凝縮液相の比率 が、気相よりも大きくなる。この場合にあっては、凝縮液が伝熱管６の流路を閉 塞して蒸気の流れを阻害するという不具合があった。また、生成された凝縮液の 液面が波打つことにより、いわゆる脈動や逆流等の不安定な現象を生じてしまい 、健全な熱交換が行われなくなるという不都合があった。

【０００７】 この問題を解決する伝熱管６として、伝熱管６内に螺旋状の凹凸を一体的に形 成して伝熱効率を向上させているライフル管があるが、この場合にあっては、Ｕ 字形状に形成することが困難であることから、水平部６ａ・６ｂと湾曲部６ｃと を溶接等によって接続しなければならず、高温流体および低温流体がその近傍を 挿通させられる伝熱管６においては、溶接部の健全性を耐久的に維持することが 困難であるという問題点がある。また、ライフル管では、形成することができる 凹凸の高さに制限があるため、凝縮液の脈動等の問題を解決することはできない 。

【０００８】 本考案は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、水平状態の伝熱管６ 内における凝縮液の不安定な挙動を防止して、健全な凝縮性能を維持することを 目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、低温流体を流通させるシェル内に、高 温流体を挿通させる伝熱管を水平状態に複数配設してなる横型管内凝縮器であっ て、前記伝熱管の内部に、該伝熱管の内壁面の近傍に長手方向に沿って螺旋状に 配されかつ凝縮液をその表面に沿って流通させる流路形成部材が挿入され、該流 路形成部材の中心部に、気体状の高温流体を挿通させる気相流路が形成されてい る横型管内凝縮器を提案している。

【００１０】

【作用】

本考案に係る横型管内凝縮器によると、凝縮させられた高温流体が、伝熱管内 に挿入された流路形成部材に接触し、螺旋状に形成された流路形成部材に沿って 流通させられることにより、半径方向外方に指向させられ、伝熱管の内壁面の近 傍に流通させられる。その結果、伝熱管の中心付近に形成された気相流路を凝縮 液が閉塞することがなく、気体状の高温流体がスムーズに挿通させられることに なる。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案に係る横型管内凝縮器の一実施例について、図１および図２を参 照して説明する。これら各図において、符号１０は伝熱管、１１は流路形成部材 、１２は気相流路である。

【００１２】 本考案の横型管内凝縮器は、図３に示す横型管内凝縮器１の従来例と同様、平 行間隔を空けて配される２箇所の水平部１０ａ・１０ｂと該水平部１０ａ・１０ ｂを連結する湾曲部１０ｃとからＵ字形状に形成された伝熱管１０を有しており 、該伝熱管１０を貯水槽Ａの貯留水Ｗ中に配されるシェル２内に配置して、その 内部に挿通させられる高温流体を貯留水Ｗとの間に熱交換を実施することにより 、高温流体を凝縮させる。しかし、本実施例の横型管内凝縮器にあっては、伝熱 管１０内に、流路形成部材１１が挿入されている点で従来例の凝縮器１と相違す る。

【００１３】 前記流路形成部材１１は、例えば、アルミニウム等の材料によって形成された 帯板状の部材よりなり、その幅寸法は、前記伝熱管１０の内径寸法Ｄの半分程度 となっている。そして、該流路形成部材１１は、コイル状に捩られることにより 、伝熱管１０の内径寸法Ｄより若干小さい外径寸法を有し、かつＤ／２程度の内 径寸法を有するように形成されている。また、流路成形部材１１は、そのピッチ Ｐが、４Ｄ〜８Ｄ程度の十分に長い寸法に形成されており、その表面を流通させ られる凝縮液が、流れを阻害されない程度の勾配を形成するようになっている。

【００１４】 この流路形成部材１１を伝熱管１０内、特に、凝縮液の量が多くなる水平部１ ０ｂに挿入することにより、流路形成部材１１が伝熱管１０の内壁面１０ｄに近 接状態に配され、かつ、流路形成部材１１によって囲まれる気相流路１２が形成 されることになる。

【００１５】 このように構成された横型管内凝縮器の伝熱管１０に高温流体を挿通させたと きの高温流体の挙動について、以下に説明する。 該高温流体は、一定の速度を有して伝熱管１０内に挿通させられる。そして、 水平部１０ａから湾曲部１０ｃにかかる流路内において、徐々に凝縮され、凝縮 液相が増加する。そして、水平部１０ｂに達したところで、該水平部１０ｂに挿 入状態の流路形成部材１１に接触させられる。

【００１６】 この流路形成部材１１は、コイル状に形成されているので、該流路形成部材１ １に接触した凝縮液は、その速度を該流路形成部材１１の表面に沿う方向に変換 させられることになる。その結果、凝縮液は、伝熱管１０の半径方向外方に指向 され、伝熱管１０の内壁面１０ｄに沿って螺旋状に流通させられることになる。 そして、このように螺旋状に流通させられる凝縮液は、遠心力によって伝熱管１ ０の内壁面１０ｄに押し付けられるので、流路形成部材１１によって形成された 気相流路１２から遠ざけられることになる。

【００１７】 これにより気相流路１２が、水平部１０ｂを通じて貫通状態に保持され、気体 状の高温流体が、該気相流路１２を挿通させられて伝熱管１０内を流通すること ができることになる。また、伝熱管１０の内壁面１０ｄに近接状態の流路形成部 材１１は、伝熱フィンと同様の機能を有するので、該流路形成部材１１と気体状 の高温流体との接触によって高温流体の凝縮が促進され、凝縮器１における凝縮 効率を向上することができることになる。

【００１８】 なお、本実施例における横型管内凝縮器にあっては、帯板状の流路形成部材１ １を伝熱管１０内に挿入することとしたが、これに代えて、Ｄ／２程度の外径寸 法を有するワイヤをコイル状に形成したものを挿入することとしてもよい。また 、伝熱管１０内部を流通させられる高温流体の速度等によって、流路形成部材１ １のピッチＰを任意の値に設定することにより、伝熱管１０内における高温流体 の圧力損失を低減するようにしてもよい。

【００１９】

【考案の効果】

以上、詳述したように、本考案に係る横型管内凝縮器によれば、伝熱管の内部 に、その内壁面の近傍に長手方向に沿って螺旋状に配され凝縮液をその表面に沿 って流通させることにより半径方向外方に指向させる流路形成部材が挿入され、 伝熱管の中心部に、気体状の高温流体を挿通させる気相流路が形成されている構 成であるので、以下の効果を奏する。 （１） 凝縮された高温流体が、流路形成部材によって伝熱管の半径方向外方に 指向され、伝熱管の内壁面に沿って流通させられるので、伝熱管内における凝縮 液相と気相とが分離され、凝縮液によって高温流体の流通が阻害されることを回 避することができる。 （２） 凝縮液が伝熱管内を閉塞しないので、凝縮液の脈動や逆流が回避され、 伝熱管に不測の応力が加わることを防止して、伝熱管を耐久的に健全な状態に保 持することができる。 （３） 流路形成部材を伝熱管内に挿入する構成であるので、加工の容易な平滑 管を伝熱管として使用することができ、Ｕ字形状の伝熱管等に適用することがで きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る横型管内凝縮器の一実施例におけ
る伝熱管の内部構造を示す縦断面図である。

【図２】図１の伝熱管の正断面図である。

【図３】横型管内凝縮器の構造例を示す縦断面図であ
る。

【符号の説明】 １ 凝縮器（横型管内凝縮器） ２ シェル ２ａ 開口 ２ｂ 取入口 ３ 管板 ４ プレナム室 ４ａ 高温流体入口プレナム室 ４ｂ 高温流体出口プレナム室 ５ 仕切り板 ６・１０ 伝熱管 ６ａ・６ｂ・１０ａ・１０ｂ 水平部 ６ｃ・１０ｃ 湾曲部 １０ｄ 内壁面 １１ 流路形成部材 １２ 気相流路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 低温流体を流通させるシェル内に、高温
   流体を挿通させる伝熱管を水平状態に複数配設してなる
   横型管内凝縮器であって、前記伝熱管の内部に、該伝熱
   管の内壁面の近傍に長手方向に沿って螺旋状に配されか
   つ凝縮液をその表面に沿って流通させる流路形成部材が
   挿入され、該流路形成部材の中心部に、気体状の高温流
   体を挿通させる気相流路が形成されていることを特徴と
   する横型管内凝縮器。