JPH06144311A - ゴムクロ−ラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 農業機械や建設機械等の走行部に用いられる
ゴムクロ−ラに関し、特に抗張体としてのスチ−ルコ−
ド部位の改良に係るものである。 【構成】 無端状のゴム弾性体１中にその長手方向に向
って抗張体としてのスチ−ルコ−ド３を埋設してなるゴ
ムクロ−ラにおいて、スチ−ルコ−ドを列状に並らべ、
かつこのスチ−ルコ−ドを合成樹脂５にて被覆したこと
を特徴とするゴムクロ−ラで、前記合成樹脂として、エ
ポキシ樹脂、起高分子ポリエチレン、エボナイト、ウレ
タンゴム、ポリアミド樹脂が採用される。 【効果】 このゴムクロ−ラは、特に成形時にゴム弾性
体中にてスチ−ルコ−ドがばらけることは皆無となり、
又、ゴムクロ−ラに対して横方向の力や捩れ力が働いた
場合でも、これを制御する抗力をもつこととなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は農業機械や建設機械等の
走行部に用いられるゴムクロ−ラに関し、特に抗張体と
してのスチ−ルコ−ド部位の改良に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来ゴムクロ−ラにあっては、その長手
方向に向って抗張体となるスチ−ルコ−ドが列状をなし
てゴム中に埋設されている。従って、ゴムクロ−ラの使
用時には、スチ−ルコ−ドに引張り力が加えられ、又、
一方ではゴム弾性体の繰返し伸縮により、スチ−ルコ−
ドとゴムとの境界が破壊されやすい状態にあった。

【０００３】又、ゴムクロ−ラの剛性アップの手段とし
ては、例えば有機繊維コ−ドをバイアス状としてゴム中
に埋設することが行われていたが、これは製造上のバラ
ツキが生じたり、製造工程に手間がかかり、結果として
コストアップとなるというデメリットもあった。更に
は、このバイアス層をゴム中に埋入することにより、ア
イドラ−やスプロケット等への巻き掛けの際の剛性抵抗
もアップしてしまうという欠点も生じていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来の技術の欠点を改良するものであって、基本的に
は抗張体としてのスチ−ルコ−ド部位の改良に係るもの
である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明は次の構成を採用することにより解決をみ
たものである。即ち、本発明の要旨は、無端状のゴム弾
性体中にその長手方向に向って抗張体としてのスチ−ル
コ−ドを埋設してなるゴムクロ−ラにおいて、スチ−ル
コ−ドを列状に並らべ、かつこのスチ−ルコ−ドを合成
樹脂にて被覆したことを特徴とするゴムクロ−ラに係
り、前記合成樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、起高
分子ポリエチレン、エボナイト、ウレタンゴム、ポリア
ミド樹脂を用いるゴムクロ−ラである。

【０００６】特に言えば、スチ−ルコ−ドを被覆する合
成樹脂として、常温で、ゴムクロ−ラを構成するゴム弾
性体の弾性率と比較し、２倍以上の弾性率をもつ熱硬化
性或いは熱可塑性の合成樹脂が好んで用いられる。又、
スチ−ルコ−ドの径をｄとすると、その合成樹脂中に打
ち込まれる本数即ちスチ−ルコ−ドのピッチは、望まし
くはπ×ｄ／２以上であり、現実的には約１．７〜３×
ｄが好んで選択される。更に、合成樹脂の厚みは約１．
５〜３ｄ程度である。尚、スチ−ルコ−ドトゴムとの複
合化は、押出成形、積層、場合によってはフィラメント
ワインディング法によって、合成樹脂中にスパイラル状
に円環として形成されることも可能である。

【０００７】

【作用】本発明にあっては、スチ−ルコ−ド列をかこん
で合成樹脂層の比較的硬度の高い層が、ゴム弾性体中の
長手方向に埋設されることとなる。このことは、合成樹
脂がスチ−ルコ−ドと一体となりゴム弾性体中に埋設さ
れるので、ゴム弾性体中でのばらけもなく、又、スチ−
ルコ−ドとゴムとの直接接触がなくなり、ゴム切れを起
こすことがなくなる。更に、この合成樹脂の層はスチ−
ルコ−ドを被覆するものであり、アイドラ−やスプロケ
ットに対して巻きがけされる際にもスチ−ルコ−ドと同
一の水平レベルにあるため、巻き掛け時の抵抗をそれほ
どアップさせることもない。そして更に、この合成樹脂
層の存在により、ゴムクロ−ラの横ずれ防止ともなり、
ゴムクロ−ラの捩れに対しても効果をもたらすこととな
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明を図面をもって更に詳細に説明
する。図１は本発明のゴムクロ−ラにおける断面図であ
る。図中、１はゴム弾性体であって、これには幅方向に
横並べして芯金２が多数埋設され、これを外囲いしてス
チ−ルコ−ド３の列が埋設されている。４は、ゴムクロ
−ラの外周面に形成されたラグである。さて、かかるゴ
ムクロ−ラにあって、スチ−ルコ−ド３の列を熱可塑性
のウレタンゴム５にて被覆したものである。即ち、スチ
−ルコ−ド３はウレタンゴム５にて一列状をなして被覆
され、これがそのままゴム弾性体１中の長手方向に埋設
されている。従って、スチ−ルコ−ド３はゴム弾性体１
中においてばらけることもなく、所定の部位に配置され
ることとなる。

【０００９】図２はアイドラ−（図示せず）に巻き掛け
した際の断面図であるが、スチ−ルコ−ド３の列と合成
樹脂５とは同一平面上、即ち、曲げに対して両者が中立
面Ｐ−Ｐ上にあるため、巻き掛け抵抗は少ない。

【００１０】一方、ナイロンコ−ドよりなるバイアス層
６を、スチ−ルコ−ド３の外周側に埋設した従来のゴム
クロ−ラを図３に示すが、これはアイドラ−（図示せ
ず）の巻き掛け時の状態を示す断面図である。しかる
に、このゴムクロ−ラはスチ−ルコ−ド３が巻き掛けに
対して中立面Ｐ−Ｐとなるため、その外側に配置されて
いるバイアス層６は強く引張られることとなり、このた
め巻き掛け抵抗が大きくなってしまう。

【００１１】本発明のゴムクロ−ラの特徴は、このよう
にアイドラ−等への巻き掛け時の巻き掛け抵抗の点で大
きな効果をもたらすものである。又、旋回時等における
ゴムクロ−ラの横方向へ力が加わった場合、図３にて示
すバイアス層６が存在する従来のゴムクロ−ラは、かか
る横方向の力に対してある程度の抵抗は示すものの、本
発明におけるスチ−ルコ−ド３を被覆した合成樹脂層５
が存在するものよりは、はるかに効果が劣るものであ
る。このことはゴムクロ−ラに捩れ力が働いた場合も同
様である。

【００１２】尚、スチ−ルコ−ド３はゴム弾性体１中に
埋設される芯金２に対して、これを外囲いする状態でゴ
ム弾性体１中に埋設されるが、場合によっては、ゴム弾
性体中に埋設する際に、予め、合成樹脂によってスチ−
ルコ−ドのみならず、芯金をも一体に接着しておくこと
も可能である。

【００１３】

【発明の効果】本発明は以上の構成を有するゴムクロ−
ラであるため、ゴム弾性体中にてスチ−ルコ−ドがばら
けることは皆無となり、又、ゴムクロ−ラに対して横方
向の力や捩れ力が働いた場合でも、これを制御する抗力
をもつこととなる。このため、転輪やスプロケットとの
間での脱輪の防止ともなり、又、アイドラ−等への巻き
掛け時の抵抗もそれほど大きくなく、効率のよいゴムク
ロ−ラを提供できることとなったものである。更には、
ゴム切れによって水分がゴム弾性体中に侵入しても、ス
チ−ルコ−ドは合成樹脂層で被覆されているため、水分
に起因する錆の発生もおさえられる等のメリットもあ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明のゴムクロ−ラの断面図である。

【図２】図２は本発明のゴムクロ−ラをアイドラ−に巻
き掛けした際の断面図である。

【図３】図３は従来のゴムクロ−ラをアイドラ−に巻き
掛けした際の断面図である。

【符号の説明】

１‥‥ゴム弾性体、 ２‥‥芯金、 ３‥‥スチ−ルコ−ド、 ４‥‥ラグ、 ５‥‥合成樹脂層、 ６‥‥バイアス層。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無端状のゴム弾性体中にその長手方向に
   向って抗張体としてのスチ−ルコ−ドを埋設してなるゴ
   ムクロ−ラにおいて、スチ−ルコ−ドを列状に並らべ、
   かつこのスチ−ルコ−ドを合成樹脂にて被覆したことを
   特徴とするゴムクロ−ラ。
2. 【請求項２】 前記合成樹脂として、エポキシ樹脂、起
   高分子ポリエチレン、エボナイト、ウレタンゴム、ポリ
   アミド樹脂を用いる請求項第１項記載のゴムクロ−ラ。