JPH0613745B2 - 高靭性低合金鋼の製造方法 - Google Patents

高靭性低合金鋼の製造方法

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JPH0613745B2
JPH0613745B2 JP59254514A JP25451484A JPH0613745B2 JP H0613745 B2 JPH0613745 B2 JP H0613745B2 JP 59254514 A JP59254514 A JP 59254514A JP 25451484 A JP25451484 A JP 25451484A JP H0613745 B2 JPH0613745 B2 JP H0613745B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は産業用車両の走行用、駆動用部品等に用いられ
る高靱性、高強度を有し、かつ焼入れ性、被削性に優れ
た低合金鋼の製造方法に関する。
〔従来技術〕
産業用車両の走行用、駆動用部品としてトラックリン
ク、クランクシャフト、ステアリングナックル等があ
る。例えば第2図および第3図に示す大型トラックリン
ク1は最小断面が25mm以上の大断面を有するものであ
って、熱間鍛造によって成形されたのち、切削加工によ
り一対のブッシュ孔2が仕上げられ、この一対のブッシ
ュ孔2にワッシャ3を介してブッシュ4を圧入し、かつ
ブッシュ4にピン5を挿入固定してチェン状となし、つ
いでボルト6およびナット7によってシュー8に取付け
るもので、トラックリンクとシューとは一体的に回転し
産業車両を走行させるものである。
この車両走行用部品には走行時に高い曲げ応力,捩り,
引張りおよび圧縮繰り返し応力などの負荷が加わるもの
であって、このような走行用,駆動用部品に用いる鋼に
対して高い靱性と強度を有し、かつ大断面を有する前記
部品の芯部まで焼入れ組織とするため優れた焼入れ性を
有していることが要求される。
また、産業用車両は−50℃以下の寒冷地においても作
業をするものであるから、極低温域においても前記特性
があまり低下することがなく、特に低温靱性に優れてい
ることが要求される。
〔問題点を解決するための手段〕
従来、前記のような特性が要求される産業用車両の走行
用,駆動用部品に用いる鋼として、SNCM431などのニッ
ケル・クロム・モリブデン鋼が使用されているが、SNCM
431はNiを1.8%含有することによって低温靱性について
は優れているが、反面1.8%のNiを含有することによっ
て熱間鍛造後の焼なましに長時間を要し、かつ被削性が
劣るとともに、多量のNiを含有することによって高価な
鋼となっていた。
また、SNCM431などの従来鋼は、焼入れに際してマルテ
ンサイトを主体とする組織となり、焼入れ時に大きな変
態応力、熱応力が加わることによって焼き割れが発生し
易いので、従来は水焼入れを行うことができず、油焼入
れを施していた。しかし、油焼入れにおいては、焼入れ
油の管理を十分に行わないと焼入れ硬さがバラツクとい
う欠点があり、例えば劣化した焼入れ油を使用して焼入
れを行うと、被焼入れ材の各部分において冷却速度が変
化することによって、焼入れ組織がマルテンサイトとベ
イナイトとが不均一に分布した組織となり、焼入れ硬さ
にバラツキが生じるとともに、所望の硬さが得られない
という問題があった。さらに、油焼入れにおいては十分
な焼入れ硬さが得られないため、従来焼入れに際して高
温で焼入れを行い、かつ焼もどしにおいては低温もどし
を施さなければならないため、油焼入れ材は靱性が低い
ものとなり、従来トラックリンクにおいては、使用中に
ブッシュ孔付近に割れが発生するという問題があった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、従来鋼のSNCM431などのニッケル・クロム・
モリブデン鋼に比して、焼入れ硬さ、焼もどし硬さは同
等もしくはそれ以上の硬さを有し、引張り強さ、靱性に
おいては従来鋼より優れた焼もどしマルテンサイトと焼
もどしベイナイト組織とを有する高靱性低合金鋼の方法
を提供しようとするものである。
即ち、本発明者らの研究によれば、従来の含Ni鋼におい
て水焼入れを施した場合に焼き割れが発生するのは、該
含Ni鋼はオーステナイト領域が広いため、焼入れ時にほ
ぼマルテンサイト一相の組織となることと、C量が高い
ことが相俟って、水焼入れ時に大きな変態応力、熱応力
が被焼入れ材に加わることによって発生することを見出
した。そこで本発明においては、従来の含Ni鋼に比し
てNi含有量を不純物量程度に止め、Mo含有量を高め
た鋼材を準備し、従来の含Ni鋼において施される油焼
入れの温度により低い温度の水焼入れを可能とする温度
で焼入れを行い、かつ従来の含Ni鋼において施される
焼もどしの温度より高温で焼もどしを行うことにより、
焼入れ時にマルテンサイトの析出を抑制して焼入れ組織
をマルテンサイトとベイナイトの混合組織とすることに
より変態応力を緩和し、焼もどしを施して鋼の組織を焼
もどしマルテンサイトと焼もどしベイナイトの混合組織
を有する高靱性低合金鋼を製造する方法を提供するもの
である。本発明によれば、産業用車両の走行用、駆動用
部品に適した、高靱性、高強度を有し、優れた被削性お
よび耐摩耗性を有する低合金鋼を製造することができ
る。
〔発明の作用〕
本発明によれば、鋼材を810〜880℃に加熱し、冷却速度
25℃/min以上で焼入れする際に、前記鋼材にMoを
0.33〜0.50%含有させ、かつNiを不純物量程度に止め
たため、マルテンサイトの析出が抑制されて焼入れ組織
をマルテンサイトとベイナイトの混合組織とすることに
より鋼材の変態応力が緩和され、焼割れを防止すること
ができる。ついで行われる540〜580℃での焼もどしの際
に微細な炭化物を生成させて、鋼の組織を焼もどしマル
テンサイトと焼もどしベイナイトの混合組織とし、従来
鋼に比べ同等またはそれ以上の強度と被削性を有し、従
来鋼より優れた靱性および耐摩耗性を有する低合金鋼が
製造される。
〔発明の構成〕
本発明は、重量比にして、C:0.32〜0.40%、Si:0.
15〜0.65%、Mn:0.65〜1.20%、Cr:0.90〜2.00
%、Mo:0.33〜0.50%を含有し、残部Feならびに不
純物元素からなる鋼材を、810〜880℃に加熱し、冷却速
度25℃/min以上で焼入れを施して焼入れ組織をマル
テンサイトとベイナイトの混合組織とし、ついで540〜5
80℃で焼もどしを施すことにより、鋼の組織を焼もどし
マルテンサイトと焼もどしベイナイトの混合組織とする
高靱性低合金鋼の製造方法である。また本発明の前記鋼
材にさらにV:0.05〜0.30%、Nb:0.05〜0.30%の1
種または2種を含有せしめることにより、鋼の結晶粒を
さらに微細化させ、低温靱性のさらに優れた高靱性低合
金を製造することができる。また本発明の前記鋼材にさ
らにS:0.035%以下、Pb:0.15%以下のうち1種な
いし2種を含有せしめることにより、被削性のさらに優
れた高靱性低合金鋼を製造することができる。
以下に本発明の製造方法において準備する鋼材の成分限
定理由について説明する。Cは、産業用車両の走行用,
駆動用部品として要求される強度を確保するに必要な元
素であって、所望の硬さを得るためには少なくとも0.32
%以上のCを含有させる必要があり、下限を0.32%とし
た。しかし0.40%を超えて含有させると、靱性が低下す
るとともに熱処理によって歪が発生し易くなるので上限
を0.40%とした。
Siは、脱酸作用を有するとともに地質に固溶して素地の
強度を向上し、さらに焼もどし軟化抵抗を有する元素で
あって、これらの効果を得るには0.15%以上含有させる
必要があり下限を0.15%とした。しかし必要以上にSiを
含有させると被削性が損なわれるので上限を0.65%とし
た。
MnはSiと同様に脱酸剤として用いられ、かつ焼入性を向
上させる元素であって、大型トラックリンクのような大
断面を有する走行用部品においても芯部まで焼入れ組織
とするためには0.65%以上含有させる必要があり、下限
を0.65%とした。しかし必要以上に含有させると水焼入
れ等により冷却速度を25℃/min以上としたときにお
いて割れが発生し易くなるので、上限を1.20%とした。
Crは、Mnと同様じ焼入性を高め、かつ炭化物を形成して
耐摩耗性を向上させる元素であって、走行用部品として
必要な焼入れ性と耐摩耗性を得るには0.90%以上含有さ
せる必要があり、下限を0.90%とした。しかし多く含有
させると炭化物が粗大化し、かつ硬い炭化物が生成し、
かえって焼入性とを耐摩耗性を損うので、上限を2.0%
とした。
Moは、本発明鋼の変態応力を緩和し、水焼入れを可能と
する優れた焼入れ性と、靱性および焼もどし軟化抵抗を
高め、さらに微細な炭化物を生成して耐摩耗性を向上さ
せる。本発明においては最も重要な元素であって、これ
らの効果を得るには少なくとも0.33%以上含有させる必
要があり、下限を0.33%とした。しかし必要以上に多く
含有させるとベイナイトノーズが後退し、水焼入れ時に
焼割れが発生し易くなり、かつMoは高価な元素であるの
で、上限を0.50%とした。
VおよびNbは、炭窒化物を生成するとともに結晶粒を微
細化し、強度と靱性を向上させる元素であって、これら
の効果を得るには0.05%以上含有させる必要があり下限
を0.05%とした。しかし、VおよびNbはともに0.30%を
超えて含有させても効果の向上が小さいので、上限を0.
30%とした。
Sは、MnSを生成して被削性を改善する元素であって、P
bは、鋼中において単独あるいは化合物を形成し、切削
時に切欠き効果と、潤滑作用により切削抵抗を減少させ
て工具寿命、切屑の破砕性を著しく改善する元素であ
る。しかし、SおよびPbは、その含有量が多くなると機
械的性質を損うものであるから、Sは0.035%、Pbは0.1
5%とその上限を規制した。
また、本発明において加熱温度を810〜880℃と限
定したのは、それぞれ810℃未満では不完全焼入れと
なり所望の硬さが得られず、また880℃を超えると結
晶粒が粗大化し靱性が低下するためであり、かつ焼入れ
時の冷却速度を25℃/min以上としたのは、25℃/m
in未満では十分な焼入れ硬さが得られないためである。
また、焼もどし温度を540〜580℃と限定したの
は、それぞれ540℃未満では十分な靱性が得られず、
かつ580℃を超えると硬さが低下しすぎるためであ
る。
製造方法の実施例を用いた供試鋼A〜J(以下単に本発
明鋼という)の化学成分を、本発明方法の焼入れ、焼も
どしの特長を比較により明らかにするために用いた供試
鋼W〜Z(以下単に比較鋼という)の化学成分とともに
記載した表である。なお前記比較鋼のう ち、W鋼はSNCM431に基く従来鋼、X鋼は、本発明にお
いて準備される鋼材の成分と比べてMo量の低いSCM
430に基く比較鋼、Y鋼は、前記本発明において準備さ
れる鋼材の成分と比べてC量およびMo量を低くした比
較鋼、Z鋼は、前記本発明において準備される鋼材の成
分と比べてMn量およびMo量を低くした比較鋼であ
る。
なお、本発明鋼のA〜J鋼および比較鋼のX〜Z鋼の欄
に記載のNi量は、通常電気炉溶解において不純物とし
て含有されるNi量を示したものである。
上記第1表に記載の化学成分を有する鋼を鋳造後、圧延
比50以上で直径50mmに熱間圧延を施して供試鋼と
し、これに焼入れ、焼もどし処理を行い、焼入れ時、焼
もどし時の硬さ、引張り強さ、伸び、絞り、シャルピー
衝撃値などの機械的性質を測定した。その結果を第2表
に示す。前記焼入れ、焼もどし温度は、比較鋼中従来鋼
であるW鋼については、従来技術に基いて880℃に加
熱して油焼入れを行い、次いで480℃で焼もどし処理
を行い、本発明鋼および残りの比較鋼については、85
0℃に加熱して水焼入れを行い、次いで560℃で焼も
どし処理を行った。なお、本発明鋼および比較鋼中のX
鋼、Y鋼およびZ鋼の焼入れ時の冷却速度は29℃/mi
n、W鋼の焼入れ時の冷却速度は5℃/minであった。ま
た引張り強さ、 伸び、絞りについては、JIS4号試験片を用いて測定
し、衝撃値はJIS3号試験片を用いて測定した。
第2表から明らかなように、本発明鋼の場合は、電気炉
等の熱処理炉内で850℃に加熱し、冷却速度29℃/min
で水焼入れを施し、560℃で焼もどしを施した結果、焼
入れ硬さがHB475〜525、焼もどし硬さがHB363〜399
の範囲内に、引張り強さが115〜138kg・f/mm2
の範囲内に、伸びが11.3〜15.8の範囲内に、絞りが40.3
〜46.3の範囲内に、シャルピー衝撃値が7.4〜10.1kg・
f−m/cm2の範囲内にあるのに対し、従来鋼のW鋼(S
NCM431)は880℃で焼入れ、480℃で焼もどしとい
う高温焼入れ、低温焼もどしを施した結果、焼入れ硬さ
はHB485、焼もどし硬さはHB370であり、引張り強さは1
19kg・f/mm2と強度については優れているが、シャ
ルピー衝撃値については6.9kg・f−m/cm2と靱性につ
いては低い。
また、比較鋼中の従来鋼であるX鋼(SCM430)およびそ
の他の比較鋼であるY鋼およびZ鋼は850℃で水焼
入、560℃で焼もどしを施した結果、焼入硬さはHB38
5〜446、焼もどし硬さHB297〜342とW鋼に比べ
て低く、かつ、引張り強さについても72〜101kg・
f/mm2とW鋼に比べて低く、前記W鋼や本発明鋼の場
合に比べて強度が劣っている。
前記の従来鋼、比較鋼に対して本発明鋼であるA〜J鋼
はいずれも850℃という低い温度で水焼入し、かつ5
60℃という高い温度で焼もどしを施しても焼入硬さは
HB475〜525、焼もどし硬さはHB363〜399と、1.8%ものN
iを含有する従来鋼であるW鋼と同等もしくはそれ以上
の硬さを有するものであり、かつ引張り強さについても
115〜138kg・f/mm2とW鋼以上の優れた強度を
有するものである。さらに本発明鋼の場合は高温もどし
を施したことによりシャルピー衝撃値が7.4〜10.1kg・
f−m/cm2と靱性についてもW鋼に比べて大巾に優れ
ており、本発明によれば、高強度と高靱性とを有する低
合金鋼を製造することができる方法を提供するものであ
るということができる。
第3表は、第1表に示した供試鋼の焼入れ性について測
定をした結果を示す。これらの測定値は前記熱間圧延片
からジョミニー試験片を作製し、 焼入れ端から1.5mm,3mm,5mm,8mm,11mm,13m
m,15mm,25mmの各距離の部分の硬さを測定したも
のである。
第3表から明らかなように、従来鋼であるX鋼および比
較鋼であるY鋼、Z鋼が、従来鋼Wに比して焼入れ硬さ
が低いのに対して、本発明鋼であるA〜J鋼の場合はW
鋼と同等あるいはそれ以上の硬さを有することが明あか
であり、本発明鋼は焼入れ性についても優れていること
がわかる。
次に第1図に本発明鋼中のB鋼およびF鋼に焼入れ、焼
もどしを施した後の低温靱性を、従来鋼のW鋼とともに
測定した結果を比較して示す。低温靱性はJIS4号試験
片を作製し、20℃〜−80℃の低温域で供試鋼のシャル
ピー衝撃値を測定したものである。
第1図から明らかなように、従来鋼であるW鋼の−40℃
におけるシャルピー衝撃値が5.2kg・f−m/cm2である
のに対し、本発明鋼であるB鋼、F鋼の場合は7.3〜7.8
kg・f−m/cm2であって、W鋼に比して大幅に高くな
っており、本発明鋼の場合は低温靱性についても優れて
いることがわかる。
次に本発明の製造方法により得られた鋼の被削性を本発
明鋼についてはB鋼、H鋼、I鋼およびJ鋼を選び、比
較鋼については従来鋼であるW鋼を選んで、対比する。
この対比試験は、前記各供試鋼について焼入れ、焼もど
し処理を施したものから、直径40mm、長さ10mmの素
材を用意し、これを定盤上に固定し、直径5mmのSKH9ス
トレートドリルを用いて、回転数1140rpm、推力30kg
(重錘自由落下法)により、ドリル穿孔性を測定したも
のである。なお第4表には従来鋼であるW鋼のドリル穿
孔性を100とした指数で示した。
第4表により明らかなように、本発明鋼の場合はいずれ
も従来鋼であるW鋼に比して優れた被削性を有してお
り、特に快削性元素であるS,Pbを含有せしめたH鋼、
I鋼およびJ鋼は、W鋼に比して大幅に被削性を改善し
たものとなっている。
〔発明の効果〕
本発明は産業車両の走行用,駆動用部品等に用いられる
高靱性低合金鋼の製造方法において、焼入れ、焼もどし
を施す鋼材として、Cを、要求強度を確保するため、お
よび靱性を低下させずかつ熱処理による歪の発生を阻止
する範囲の0.32〜0.40%、Siを、素地の強度を向上し、
かつ焼もどし軟化抵抗を有せしめるため、および被削性
を損わない範囲の0.15〜0.65%、Mnを、大断面を有する
鍛造部品の芯部まで焼入れ組織とするため、および焼入
れにあたり割れの発生を阻止する範囲の0.65〜1.20%、
Crを、大断面を有する鍛造部品の焼入れ性を得るととも
に微細な炭化物を形成して耐摩耗性を得るため、および
前記炭化物を粗大化せしめない範囲の0.90〜2.0%を含
有させるとともに、Moを、変態応力を緩和し、水焼入れ
を可能とする焼入れ性と、靱性および焼もどし軟化抵抗
を高め、さらに微細な炭化物を生成して耐摩耗性を向上
するため、およびベイナイトノーズが後退して水焼入れ
時に焼き割れが発生しない範囲の0.33〜0.50%を含有さ
せ、高い量のCの存在下において水焼入れ時に大きな変
態応力、熱応力を被焼入れ材に加えるNiを積極的に添加
することなく、不純物量程度に止めた鋼材を準備し、こ
の鋼材を、従来産業車両の走行用,駆動用部品に用いら
れていたSNCM431に比して低い810〜880℃の温度
い加熱し、この温度から冷却速度25℃/min以上で焼
入れし、次いで540〜580℃という高い温度で焼も
どしを施すことにより、従来鋼と同等もしくはそれ以上
の硬さおよび機械的性質を有し、特に靱性については大
幅に優れている高靱性低合金鋼を製造することができ
る。
これに対し、比較鋼であるX鋼、Y鋼およびZ鋼は、N
iを不純物量程度しか含有しないが、本発明において準
備する鋼材の化学成分と比べて、X鋼はMo量が低く、
Y鋼はC量およびMo量が低く、Z鋼はMz量およびM
o量が低く、その結果焼入れ、焼もどし後の強度および
硬さにおいて、従来鋼であるW鋼(SNCM431)より
著しく劣っている。
従って本発明により製造された低合金鋼は、従来鋼であ
るW鋼(SNCM431)と同等またはそれ以上の強度を
保持しながら、より優れた靱性を有する鋼であるといえ
る。
また本発明の製造方法においては、準備される前記鋼材
にさらにV:0.05〜0.30%、Nb:0.05〜0.30%の1種
または2種を含有させるとにより、製造される低合金鋼
中に炭窒化物を生成させるとともに結晶粒を微細化さ
せ、これにより低温靱性のさらに向上した高靱性低合金
鋼を製造することができる。
本発明によれば、焼入れ焼もどしを施す鋼材に含有させ
るC、Si、Mn、CrおよびMoを前記数値範囲に規
定し、Niを不純物量程度に止めたことにより、従来の
産業車両の走行用、駆動用部品に用いられていた含Ni
合金に比べ、810〜880℃の温度から25℃/min以上の
冷却速度での低温焼入れを施し、高いC量にも拘らず適
量のMoの存在により、マルテンサイトの析出を抑制し
て焼入れ組織をマルテンサイトとベイナイトの混合組織
とすることにより焼入れ時の変態応力を緩和し、次いで
540〜580℃という高い温度で焼もどしを施すことによ
り、鋼の組織を焼もどしマルテンサイトと焼もどしベイ
ナイトの混合組織とすることができ、大断面を有する鋳
造部品においても焼き割れを発生させることなく芯まで
焼入れ焼もどし組織とすることができ、硬さおよび強度
が大であって被削性および耐摩耗性に優れた高靱性低合
金鋼を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例の鋼と比較鋼の低温靱性を示す
試験温度とシャルピー衝撃値との関係の線図、第2図は
本発明鋼の用途として適したトラックリンクの分解図、
第3図はその組立図を示す。 なお図中1はトラックリンク、2はブッシュ孔、4はブ
ッシュ、5はピン、8はシュー、をそれぞれ示すもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 武司 茨城県水海道市豊岡町丁1354の1 (56)参考文献 特開 昭58−93857(JP,A) JIS G 4105(1979) クロム モ リブデン鉄鋼材(SCM430〜822化学成分 および熱処理)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比にして、C:0.32〜0.40%、Si:
    0.15〜0.65%、Mn:0.65〜1.20%、Cr:0.90〜2.00
    %、Mo:0.33〜0.50%を含有し、残部Feならびに不
    純物元素からなる鋼材を810〜880℃に加熱し、冷却速度
    25℃/min以上で焼入れを施して焼入れ組織をマルテ
    ンサイトとベイナイトの混合組織とし、ついで540〜580
    ℃で焼もどしを施し、鋼の組織を焼もどしマルテンサイ
    トと焼もどしベイナイトの混合組織としたことを特徴と
    する高靱性低合金鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】重量比にして、C:0.32〜0.40%、Si:
    0.15〜0.65%、Mn:0.65〜1.20%、Cr:0.90〜2.00
    %、Mo:0.33〜0.50%と、さらにV:0.05〜0.30%、
    Nb:0.05〜0.30%のうち1種ないし2種を含有し、残
    部Feならびに不純物元素からなる鋼材を、810〜880℃
    に加熱し、冷却速度25℃/min以上で焼入れを施して
    焼入れ組織をマルテンサイトとベイナイトの混合組織と
    し、ついで540〜580℃で焼もどしを施し、鋼の組織を焼
    もどしマルテンサイトと焼もどしベイナイトの混合組織
    としたことを特徴とする高靱性低合金鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】重量比にして、C:0.32〜0.40%、Si:
    0.15〜0.65%、Mn:0.65〜1.20%、Cr:0.90〜2.00
    %、Mo:0.33〜0.50%と、さらにS:0.035%以下、
    Pb:0.15%以下のうち1種ないし2種を含有し、残部
    Feならびに不純物元素からなる鋼材を、810〜880℃に
    加熱し、冷却速度25℃/min以上で焼入れを施して焼
    入れ組織をマルテンサイトとベイナイトの混合組織と
    し、ついで540〜580℃で焼もどしを施し、鋼の組織を焼
    もどしマルテンサイトと焼もどしベイナイトの混合組織
    としたことを特徴とする高靱性低合金鋼の製造方法。
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