JPH06136627A - ポリエステル複合嵩高加工糸及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステル複合嵩高加工糸及びその製造方法

Info

Publication number
JPH06136627A
JPH06136627A JP4287603A JP28760392A JPH06136627A JP H06136627 A JPH06136627 A JP H06136627A JP 4287603 A JP4287603 A JP 4287603A JP 28760392 A JP28760392 A JP 28760392A JP H06136627 A JPH06136627 A JP H06136627A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
yarns
multifilament
bulkiness
length
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4287603A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Yanagihara
正明 柳原
Hiroyuki Nagai
宏行 長井
Hiroshi Murakami
博 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP4287603A priority Critical patent/JPH06136627A/ja
Publication of JPH06136627A publication Critical patent/JPH06136627A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 柔軟性、バルキー性に富み、発色性に優れ、
カスリ斑(イラツキ)の発生が防止され、高密度の嵩高
スパンライク織物とすることのできるポリエステル複合
嵩高加工糸を提供する。 【構成】 芯部を構成する仮撚捲縮加工マルチフィラメ
ント糸と鞘部を構成する仮撚捲縮加工マルチフィラメン
ト糸とからなる2層構造のポリエステル複合嵩高加工糸
であって、各マルチフィラメント糸が、イソフタル酸成
分を5〜20モル%共重合したポリエチレンテレフタレ
ート共重合体からなり、ポリエステル複合嵩高加工糸の
単位長さ当りの鞘部を構成する仮撚捲縮加工マルチフィ
ラメント糸の長さが、芯部を構成する仮撚捲縮加工マル
チフィラメント糸の長さよりも長く、その糸足差が13
〜25%であり、かつ熱水処理後の嵩高性が25cm3
/g以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスパンライク織物用に適
したポリエステル複合嵩高加工糸及びその製造方法に関
するものであり、更に詳しくは、ふくらみ感(柔軟
性)、バルキー性に富み、発色性に優れ、かつ、イラツ
キが解消されたポリエステル複合嵩高加工糸及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スパンライクな風合いを呈する複
合加工糸として、芯糸に鞘糸が捲付いた芯鞘構造を有す
る糸条が知られており、特公昭59−21970公報に
おいては、引張りやしごき等の外力に対して安定な複合
加工糸を得るべく、インターレースノズルを用いて交絡
処理し、芯糸と鞘糸を絡みつかせることが提案されてい
る。
【0003】これらの方法によって得られる二層構造糸
においては、一般に、捲付糸が交互撚糸状に芯糸の周り
に、捲付いていることから、その撚糸構造により、通常
のウーリー加工糸織物の欠点である、ヌメリ感やふかつ
き感を改良できるという特徴をもっている。しかし、か
かる複合加工糸は、時として、融着糸様のガサツキ感を
呈することがあり、その意味では、バルキー性に乏しい
という欠点があった。
【0004】また、芯部を構成するフィラメント糸と鞘
部を構成するフィラメント糸との間に、伸度差、即ち、
配向差が存在するため、染色するとカスリ状になり、こ
れが時として、イラツキを呈する結果となる。特に、淡
色織物の場合は、このイラツキが目立ちやすく望ましい
ものではない。
【0005】さらに、特開昭60−94636号公報に
は、熱収縮率に差のある芯糸と鞘糸で、芯鞘型混繊交絡
糸を形成し、芯鞘間の熱収縮率差を利用して、布帛にス
パン調のふくらみや、毛羽感を付与する方法が提案され
ている。しかしながら、この交絡糸は、芯糸と鞘糸との
間の熱収縮率差が少なく、布帛に十分なふくらみ感、毛
羽感を付与することができない。しかも糸条全体の熱収
縮率が低いことから、布帛にした後の熱収縮によって
も、織物組織の高密度化、弾力感のある嵩高性付与を図
ることは、困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来の芯鞘型二層構造糸の欠点を改良し、ソフトな
ふくらみ感を有し、バルキー性に富み、発色性に優れ、
カスリ斑(イラツキ)の発生が防止され、高密度の嵩高
スパンライク織物とすることのできるポリエステル複合
嵩高加工糸及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、熱収縮率が高く、
しかも発色性の良好なイソフタル酸共重合ポリエチレン
テレフタレートからなるマルチフィラメント糸を用いる
ことにより、上記問題点を一挙に解決できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本願第1の発明は、主として芯部を
構成する仮撚捲縮加工マルチフィラメント糸と主として
鞘部を構成する仮撚捲縮加工マルチフィラメント糸とか
らなり、交絡が付与されていて、各マルチフィラメント
糸の一部がその境界部において互いに混合、交錯してな
るポリエステル複合嵩高加工糸において、前記各マルチ
フィラメント糸が、イソフタル酸成分を5〜20モル%
共重合したポリエチレンテレフタレート共重合体からな
り、前記ポリエステル複合嵩高加工糸の単位長さ当りの
前記鞘部を構成する仮撚捲縮加工マルチフィラメント糸
の長さが、前記芯部を構成する仮撚捲縮加工マルチフィ
ラメント糸の長さよりも長く、その糸足差が13〜25
%であり、かつ熱水処理後の嵩高性が25cm3/g以
上であることを特徴とするポリエステル複合嵩高加工糸
であり、更に、本願第2の発明は、イソフタル酸成分を
5〜20モル%共重合したポリエチレンテレフタレート
共重合体からなり、伸度が60%以上で、かつ伸度差が
80〜200%である2種の未延伸マルチフィラメント
糸を引き揃えて、延伸倍率1.2倍以上で延伸同時仮撚
加工した後、糸走行方向に推進力を有する流体交絡ノズ
ルを用いて交絡を付与することを特徴とする上記ポリエ
ステル複合嵩高加工糸を製造する方法である。
【0009】本発明のポリエステル複合嵩高加工糸は、
主として芯部を構成する仮撚捲縮加工マルチフィラメン
ト糸と主として鞘部を構成する仮撚捲縮加工マルチフィ
ラメント糸とからなっていて、その長手方向に、集束部
と開繊部とが、交互に形成され、該集束部は撚糸状捲付
部のある交絡部であって、上記各マルチフィラメント糸
の一部がその境界部において互いに混合、交錯して、交
絡部を形成し、糸条としての一体性を保持している。
【0010】複合嵩高加工糸は、その取扱い中に伸縮を
繰返して受けることにより、芯部を構成する仮撚捲縮加
工マルチフィラメント糸と鞘部を構成する仮撚捲縮加工
マルチフィラメント糸とが分離し、実用上問題となるこ
とがあるので、両フィラメント糸間には、交絡を付与
し、糸構造を安定化する必要がある。
【0011】本発明の場合、通常、交絡度が40〜10
0ケ/mとなるように交絡を付与すればよい。交絡度
は、米国特許第2,985,991号明細書及び米国特
許第3,110,151号明細書に記載されているフッ
クドロップ法によって測定される値であり、この値が4
0ケ/m未満では、解舒性、製織性が低下すると共に、
品位も劣ったものとなる傾向があり、100ケ/mを越
えると、布帛にした後の熱処理によって、布帛に十分な
毛羽感、スパンライク感を付与することができなくな
る。
【0012】本発明のポリエステル複合嵩高加工糸にお
いては、両マルチフィラメント糸共、イソフタル酸成分
を5〜20モル%共重合したポリエチレンテレフタレー
ト共重合体からなることが必要である。イソフタル酸成
分の共重合量が5モル%未満では、本発明の目的を達成
することができず、20モル%を越えると、紡糸、延伸
性が悪化して生産性が低下すると共に、マルチフィラメ
ント糸の機械的特性が劣化するので不適当である。
【0013】更に、本発明のポリエステル複合嵩高加工
糸においては、該加工糸の単位長さ当りの鞘部を構成す
る仮撚捲縮加工マルチフィラメント糸の長さが、芯部を
構成する仮撚捲縮加工マルチフィラメント糸の長さより
も長く、その糸足差が13〜25%、好ましくは15〜
20%であることが必要である。
【0014】ここで、糸足差は、特公昭58−1845
7号公報に示されている方法で測定される値であり、こ
の糸足差が13%未満の加工糸では、スパンライク感に
乏しくなり、逆に25%を越えると、融着糸様のガサツ
キ感が生じ、かつバルキー性に劣り、製織工程でネップ
が発生する傾向があるため、不適当である。
【0015】また、本発明のポリエステル複合嵩高加工
糸は、熱水処理後の嵩高性が25cm3/g以上である
ことが必要である。本発明おいては、特定の高収縮性共
重合ポリエステル繊維の採用、糸足差の適正化により、
熱処理によるループ、毛羽の発現量が増加し、熱水処理
後の嵩高性が、処理前の約2倍の25cm3/g以上と
なるのである。
【0016】なお、本発明における嵩高性は、下記の方
法で測定したものである。
【0017】枠周90cmのリールで、加工糸サンプル
180cmをかせ状に巻取り、6gの荷重下で180℃
にて5分間、乾熱処理した後、該加工糸をほぐして、糸
条間の収縮による絡みを取り除き、次いで図1に示す、
測定装置の溝1にサンプルを挿入し、6gの平板ウェイ
ト2をのせ、目盛3を読み取り、サンプルの体積V(c
3)を測定する。
【0018】尚、測定装置の溝1の長さは10cm、幅
は1cm、低部のRは0.5cm、平板ウェイト2の長
さは12cm、幅は0.9cmである。
【0019】次いで、サンプルの両端を溝1の側面に合
わせて切り落とし、切り落とした後のサンプル重量
(g)を測定して、V/W(cm3/g)をもって嵩高
性とする。
【0020】更に、製織後の熱収縮によって、弾力感の
ある高密度布帛を得るためには、ポリエステル複合嵩高
加工糸の熱水収縮率が20%以上、好ましくは25〜4
0%であることが望ましい。
【0021】ここで熱水収縮率は、JISL−1090
に準拠して測定される値である。
【0022】かかる本発明のポリエステル複合嵩高加工
糸は、例えば、イソフタル酸成分を5〜20モル%共重
合したポリエチレンテレフタレート共重合体からなり、
伸度が60%以上で、かつ伸度差が80〜200%、好
ましくは100〜180%である2種の未延伸マルチフ
ィラメント糸を引き揃え、延伸倍率1.2倍以上で延伸
同時仮撚加工した後、糸走行方向に推進力を有する流体
交絡ノズルを用いて交絡を付与することにより製造する
ことができる。
【0023】未延伸マルチフィラメントの伸度が60%
未満では、延伸倍率が1.2倍以上の延伸同時仮撚加工
中に糸切れが多発する傾向があるので好ましくない。
【0024】また、2種の未延伸フィラメント糸の伸度
差が80%未満では、糸足差が13%未満、複合嵩高加
工糸の熱水処理後の嵩高性が25cm3/g未満とな
り、スパンライク感、バルキー性が低下すると共に、鞘
部を構成するフィラメント糸の芯部を構成するフィラメ
ント糸への捲付が減少し、両フィラメント糸が分離し易
くなって、複合嵩高加工糸の糸構造が不安定になる。一
方、伸度差が200%を越えると、糸足差が25%を越
え、得られた複合嵩高加工糸を製織する際に、ネップが
発生する傾向があり、かつ柔軟性に欠けガサツキ感が生
じ、更にはカスリ斑(イラツキ)が発生するので不適当
である。
【0025】また、延伸倍率が1.2倍未満で延伸同時
仮撚加工を行った場合は、製織後、布帛を染色した場合
に、染斑が発生し易いので、延伸同時仮撚加工時の延伸
倍率は1.2倍以上とすべきである。
【0026】更に、要求される嵩高性を満足させるうえ
で、仮撚加工時の仮撚セットヒーター(第1ヒーター)
は、比較的低い温度、例えば120〜180℃とし、延
伸仮撚速度は300〜400m/分とするのが好まし
い。仮撚セット温度が低いため、経時的に収縮斑が生ず
ることが懸念される場合は、仮撚後の走行糸に張力を与
えながら、第2ヒーターで熱処理を行ない安定化を図る
ことが好ましい。この時のヒーターとしては、非接触型
を用いるのが好ましい。
【0027】また、仮撚加工時の張力は、K値(T2
1)が0.5〜0.9となるように選定するのが好ま
しい。K値が0.9を越えると、解撚力(T2)が大き
過ぎて、糸がバラケてしまい、織物とした場合のボリュ
ーム感が低下し、染斑が発生する傾向がある。逆にK値
が0.5未満となると、糸が硬くなり、織物とした場合
の風合及び品位を悪化させる傾向がある。
【0028】このようにして、伸度差を有する2種の未
延伸マルチフィラメント糸を引き揃えて、延伸同時仮撚
加工すると、低伸度(高配向)側の未延伸マルチフィラ
メント糸が主として芯部に位置し、高伸度(低配向)側
の未延伸マルチフィラメント糸が主として鞘部に配置さ
れる。
【0029】その後、糸走行方向に推進力を有する流体
交絡ノズルを用いて交絡を付与することにより、芯部の
マルチフィラメント糸と鞘部のマルチフィラメント糸の
一部がその境界部において互いに混合、交錯して、一体
化した複合嵩高加工糸となる。
【0030】なお、本発明のポリエステル複合嵩高加工
糸においては、よりソフトな風合を得るうえで、主とし
て鞘部に配置されるマルチフィラメント糸の単繊維デニ
ールを、主として芯部に配置されるマルチフィラメント
糸よりも小さくするのが好ましい。
【0031】かくして得られた本発明のポリエステル複
合嵩高加工糸を、常法により製織した後、収縮熱処理す
ることにより、嵩高で高密度のスパンライク織物とする
ことができる。
【0032】
【作用】本発明ポリエステル複合嵩高加工糸において
は、芯部を構成する仮撚捲縮加工マルチフィラメント糸
と鞘部を構成する仮撚捲縮加工マルチフィラメント糸と
が、共にイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレー
トで形成されているため、染色した際の発色性に優れ、
濃色に染色することが可能である。
【0033】イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタ
レートからなるマルチフィラメント糸を用いることによ
って、染色した際のカスリ斑(イラツキ)の発生が防止
される理由はよくわからないが、染色時の発色性向上と
深い関連があるものと推定される。
【0034】更に、本発明ポリエステル複合嵩高加工糸
は、従来の複合嵩高加工糸に比較して、スパンライク効
果、バルキー性が一段と向上する。この理由は、イソフ
タル酸共重合ポリエチレンテレフタレートからなる伸度
(配向度)の異なる2種のマルチフィラメント糸を延伸
同時仮撚加工して複合嵩高加工糸とし、染色、仕上処理
等を施し、最終的に布帛の状態で嵩高性付与のための収
縮熱処理を施す場合、低伸度(高配向)側の共重合ポリ
エチレンテレフタレートマルチフィラメント糸は、収縮
熱処理により収縮するのに対し、高伸度(低配向)側の
共重合ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント
糸は、該収縮熱処理に際し自己伸長性を示すようにな
り、その結果、両マルチフィラメント糸間に糸長差が生
ずると共に、フィラメント相互間に空隙が形成され、こ
れによりフィラメント間の接圧が低下して、加工糸表面
に多数のループ、毛羽が形成されることによるものと考
えられる。
【0035】また、本発明ポリエステル複合嵩高加工糸
は、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートで
構成されているため、加工糸自体の熱収縮率も20%以
上と大きくすることができ、製織後の収縮熱処理によ
り、弾力性のある高密度布帛を得ることが可能となる。
【0036】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に詳細に説
明する。 [実施例1]イソフタル酸成分を10モル%共重合した
ポリエチレンテレフタレート共重合体(固有粘度[η]
0.64)を、295℃で溶融し、紡糸口金から285
℃で吐出し、引取速度4,500m/分で引き取って、
150de/30フィラメントの高配向マルチフィラメ
ント糸(A)を得、更に引取速度2500m/分で引き
取って、120de/72フィラメントの部分配向マル
チフィラメント糸(B)を得た。高配向マルチフィラメ
ント糸(A)の、伸度は80%であり、部分配向マルチ
フィラメント糸(B)の伸度は200%であった。両マ
ルチフィラメント糸(A)(B)を引き揃えて、延伸同
時摩擦仮撚加工装置で延伸同時仮撚加工した後、糸走行
方向に推進力を有する流体処理ノズルを用いて交絡処理
を施し、200de/102フィラメントの複合加工糸
を得た。この際、延伸倍率は1.37倍、実測仮撚数は
2300T/m、ヒーター温度は150℃、第2デリベ
リーローラー速度は320m/分とした。また、仮撚具
としては、接糸面がセラミックであるフリクションディ
スクを備えた3軸多段式の外接摩擦仮撚具を用い、T2
/T1は、47g/56g=0.84となるように調整
した。また、使用した流体処理ノズルの仕様及び圧空圧
は、下記に示す通りであった。
【0037】流体噴射孔と糸導孔とのなす角度:45° 流体噴射孔の径(D1):1.4mm 糸導孔の径 (D2):2.2mm D2/D1 :1.57 圧空圧 :6.0kg/cm2G この様にして得られた複合加工糸を顕微鏡で観察する
と、集束部と開繊部とが交互に形成され、集束部におい
ては主として芯部を構成する糸条と主として鞘部を構成
する糸条との間にフィラメントが互いに入りくんでなる
交絡(60ケ/m)が存在しており、スパンライクな外
観、触感、バルキー性、毛羽感を具備していた。又、こ
の糸を98℃で30分間染色したところ、濃色で、深み
のある色相が得られ、カスリ斑(イラツキ)はなく、且
つ、ソフトな風合を有していた。また、この加工糸の嵩
高性を測定したところ、30cm3/gであり、熱水収
縮率は22%であった。
【0038】次いでこの加工糸を、緯糸に用いて製織し
たところ、製織工程でのネップ発生等のトラブルもな
く、表面に鞘側のフィラメントで構成されたループ、毛
羽が緻密に浮き出たピーチスキン調のソフトな風合いを
有する高密度スパンライク織物が得られた。 [実施例2〜4及び比較例1〜6]150de/30フ
ィラメントの高配向マルチフィラメント糸(A)と12
0de/72フィラメントの部分配向マルチフィラメン
ト糸(B)の構成ポリマー及び引取速度を表1に示すよ
うに変更し、その他の条件は実施例1と同様にして、複
合加工糸を形成し、評価を行った。
【0039】各マルチフィラメント糸(A)及び(B)
の伸度及び伸度差は、表1に示す通りであった。
【0040】
【表1】
【0041】また、得られた複合加工糸の糸足差、交絡
度、嵩高性は、表2に示す通りであり、官能評価の結果
は表3に示す通りであった。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】なお、表1において、IAは、イソフタル
酸成分を10モル%共重合したポリエチレンテレフタレ
ート共重合体を示し、PETは、ポリエチレンテレフタ
レートホモポリマーを示す。また、表3における官能評
価の基準は下記の通りである。
【0045】◎:極めて良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良 これらの結果からも明らかなように、本発明の複合嵩高
加工糸(実施例2〜4)は、バルキー性、柔軟性に優れ
ソフトな風合いを有し、発色性も良好でカスリ斑(イラ
ツキ)は認められず、極めてスパンライクな外観を示す
ものであった。
【0046】また、これらの加工糸を用いて製織したと
ころ、製織工程でのネップ発生はなく、高密度のスパン
ライク織物が得られた。
【0047】これに対し、一部又は全部にポリエチレン
テレフタレートホモポリマーからなるフィラメント糸を
用いた場合(比較例1〜3)は、バルキー性、柔軟性が
やや劣り、カスリ斑(イラツキ)が発生し、発色性も不
良であり、スパンライク効果の点でもやや劣っていた。
【0048】また、未延伸マルチフィラメント糸(A)
及び(B)の伸度差が200%を越える場合(比較例
4、6)は、糸足差が25%を越え、製織時にネップが
発生し、柔軟性に欠け、ガサツキ感が生じ、更にはカス
リ斑(イラツキ)が発生した。特に、未延伸マルチフィ
ラメント糸(A)の伸度が60%未満である比較例4で
は、延伸同時仮撚加工中に糸切れが多発した。
【0049】一方、未延伸マルチフィラメント糸(A)
及び(B)の伸度差が80%未満の場合(比較例5)
は、糸足差が13%未満、嵩高性が25cm3/g未満
となり、しかも糸構造が不安定になって、スパンライク
感、バルキー性が不足していた。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、ソフトなふくらみ感
(柔軟性)を有し、バルキー性に富み、発色性に優れ、
カスリ斑(イラツキ)の発生が防止され、高密度の嵩高
スパンライク織物とすることのできるポリエステル複合
嵩高加工糸を提供することができる。
【0051】本発明によって得られた複合加工糸は、女
性用外衣を中心として、衣料用途、ブラックフォーマル
用途、高密度織物、更には、高級インテリア用途に好ま
しく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】嵩高性測定装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 溝 2 平板ウェイト 3 目盛
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02J 1/00 R D03D 15/00 C 7199−3B

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として芯部を構成する仮撚捲縮加工マ
    ルチフィラメント糸と主として鞘部を構成する仮撚捲縮
    加工マルチフィラメント糸とからなり、交絡が付与され
    ていて、各マルチフィラメント糸の一部がその境界部に
    おいて互いに混合、交錯してなるポリエステル複合嵩高
    加工糸において、前記各マルチフィラメント糸が、イソ
    フタル酸成分を5〜20モル%共重合したポリエチレン
    テレフタレート共重合体からなり、前記ポリエステル複
    合嵩高加工糸の単位長さ当りの前記鞘部を構成する仮撚
    捲縮加工マルチフィラメント糸の長さが、前記芯部を構
    成する仮撚捲縮加工マルチフィラメント糸の長さよりも
    長く、その糸足差が13〜25%であり、かつ熱水処理
    後の嵩高性が25cm3/g以上であることを特徴とす
    るポリエステル複合嵩高加工糸。
  2. 【請求項2】 イソフタル酸成分を5〜20モル%共重
    合したポリエチレンテレフタレート共重合体からなり、
    伸度が60%以上で、かつ伸度差が80〜200%であ
    る2種の未延伸マルチフィラメント糸を引き揃えて、延
    伸倍率1.2倍以上で延伸同時仮撚加工した後、糸走行
    方向に推進力を有する流体交絡ノズルを用いて交絡を付
    与することを特徴とする請求項1記載のポリエステル複
    合嵩高加工糸を製造する方法。
JP4287603A 1992-10-26 1992-10-26 ポリエステル複合嵩高加工糸及びその製造方法 Pending JPH06136627A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4287603A JPH06136627A (ja) 1992-10-26 1992-10-26 ポリエステル複合嵩高加工糸及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4287603A JPH06136627A (ja) 1992-10-26 1992-10-26 ポリエステル複合嵩高加工糸及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06136627A true JPH06136627A (ja) 1994-05-17

Family

ID=17719416

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4287603A Pending JPH06136627A (ja) 1992-10-26 1992-10-26 ポリエステル複合嵩高加工糸及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06136627A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0634508A1 (en) False twisted combined filament yarn, method of manufacturing the same, and knitted or woven material using the same yarn
JP2964639B2 (ja) 混繊複合仮撚糸およびその製造方法ならびにその糸を用いてなる編織物
JP3119066B2 (ja) 混繊複合糸およびその製造方法ならびに編織物
EP0187362B1 (en) Polyester yarn and fabric made of the same
JP4497648B2 (ja) 複合弾性糸及びその製造方法
JP3793288B2 (ja) ポリエステル系仮撚加工糸の製造方法
JP2925608B2 (ja) 仮撚複合糸、およびその製造方法
JPH06136627A (ja) ポリエステル複合嵩高加工糸及びその製造方法
JP2004183142A (ja) 複合仮撚加工糸およびその製造方法
JP2816846B2 (ja) 交絡混繊マルチフィラメント複合糸およびその糸を用いた嵩高織物の製造法
JP3394039B2 (ja) 伸縮性複合加工糸及び該加工糸からなる伸縮性布帛
JP3166481B2 (ja) 高強力毛羽糸からなるミシン糸およびその製造方法
JPH08337937A (ja) スパン糸のような毛羽を有するフィラメント加工糸およびその製造方法
JPH0734342A (ja) 混繊複合糸およびその製造方法ならびに編織物
JPS60259646A (ja) 嵩高混繊糸
JP2770412B2 (ja) 複合マルチフィラメント
JP3916276B2 (ja) 軽量梳毛調加工糸の製造方法
JP2862020B2 (ja) 染色性の改良されたスパンライク芯鞘構造糸
JPH0711533A (ja) 太さムラを有する複合毛羽糸およびその製造方法
JP2004143630A (ja) ストレッチ性複合仮撚加工糸及びその製造方法
JP4660882B2 (ja) 複合仮撚加工糸およびその製造方法
JP2737999B2 (ja) 織編物用ポリエステル複合糸条
JP3538065B2 (ja) 複合仮撚加工糸の製造方法
JP3423826B2 (ja) カットパイル織編物およびその製造方法
JPS6111330B2 (ja)