JPH06136484A - 点溶接性の優れたpc鋼材およびその製造方法 - Google Patents

点溶接性の優れたpc鋼材およびその製造方法

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JPH06136484A
JPH06136484A JP29156092A JP29156092A JPH06136484A JP H06136484 A JPH06136484 A JP H06136484A JP 29156092 A JP29156092 A JP 29156092A JP 29156092 A JP29156092 A JP 29156092A JP H06136484 A JPH06136484 A JP H06136484A
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steel material
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Application number
JP29156092A
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Takashige Nagato
隆重 長門
Akio Yamamoto
章夫 山本
Yuji Kawachi
雄二 河内
Hiroshi Sato
洋 佐藤
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は点溶接性の優れたPC鋼材およびそ
の製造方法を提供する。 【構成】 溶鋼を連続鋳造する際に、Cが充填された鋼
製の筒を鋳型内の溶鋼中央部に連続供給し、高Cの内層
部と低Cの外層部とからなる鋳片を製造する。この鋳片
を熱間圧延後パテンティング処理し、次いで伸線加工、
時効処理を行って強化することを特徴とするPC鋼材。
外層部の組織は初析フェライトとパーライトの混合組
織、内層部の組織はパーライト組織とする。 【効果】 外層部が低Cのため溶接製が優れており、P
Cポール、パイルの補強体を編組する際に点溶接による
自動組立が可能となり、PCポール、パイルの製造コス
トが低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は点溶接性の優れた伸線強
化型PC(プレストレストコンクリート)鋼材およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンクリートポール、パイルのなかで
も、剛性および曲げ強さの向上、コンクリートのひび割
れ防止の目的でコンクリートに圧縮力を与えて強化する
ものはPCポール、PCパイルと称され、以下の方法で
製造される。
【0003】まず、図1に示したように円周上に並列に
配置したPC鋼材9に軟鋼線11を螺旋状に巻き付けた
後(以後螺旋筋と称す)、PC鋼材と螺旋筋の交点10
を固定して円筒状の籠型補強体(以下補強体と略称)を
製造する。次いでこの補強体を型枠に導入し、補強体を
構成するPC鋼材の両端を固定して引張強さの70%前
後の応力で緊張する。型枠内に注入したコンクリートが
固化した後にPC鋼材の緊張力が除去され、同時にコン
クリートに圧縮力が付与されてPCポール、パイルが完
成する。この製造工程中、補強体の組立を自動化するた
めに、溶接性の良好な低中炭素鋼の熱処理強化型PC鋼
材が使用され、PC鋼材と螺旋筋の固定は点溶接により
行われる。
【0004】一方、PC鋼材のなかでも、微細パーライ
ト組織の共析鋼を伸線加工により強化する伸線強化型の
PC鋼材は、熱処理強化型のPC鋼材にくらべて耐衝撃
性が優れているため特に安全性を重要視する建造物に多
用されている。しかし伸線強化型PC鋼材は、C含有量
が高いため、点溶接による補強体の組立ができず、針金
を用いて手作業により組立てざるを得なかった。
【0005】これに対して伸線強化型PC鋼材の補強体
組立工程を自動化するために従来より種々の対策が提案
されてきた。特開昭60−106639号公報には、P
C鋼材と螺旋筋とをクリップで固定する方法が開示され
ている。しかし、この方法は点溶接に比べて接合強度が
低い欠点があった。また、特開昭59−52020(特
公平3−77327)号公報には接着剤による固定方法
が開示されている。しかしコンクリート養生時の200
℃近い高温に耐え、かつ十分な接合強度を得られる接着
剤の固化には15秒ほどの時間を要するため、この間に
接合箇所が剥離せぬよう仮押さえする必要があり、工程
が増加する難点があった。
【0006】このような溶接以外の接合方法の導入の他
に、溶接性を改善し、強度も確保するために表層のみC
量を低減する方法が考えられる。
【0007】表層部分のC量を低減するために、特開昭
62−267420号公報では脱炭を利用している。し
かし、充分な厚さの脱炭層を導入するには、極めて長時
間の脱炭処理が不可欠であるため製造コストが著しく増
大する欠点があった。また、鋳型内に置いた高Cの内層
材の周囲に低炭素の溶鋼を注いで(これを鋳込み法と称
す)表層が低Cの複層鋳片を製造し、これを熱間圧延し
て表層低Cの線材を得ることも可能である。しかし、こ
の方法では一本の鋳片を製造するにあたって2度の鋳造
工程が必要となるためコストの低減が困難であるうえ、
内層と外層の界面に割れや剥離が生じやすい欠点があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、点溶接が可
能でかつ高強度の伸線強化型PC鋼材として、外層部の
C量を低減した伸線強化型PC鋼材を提供し、さらに連
続鋳造工程での鋳片の製造方法を限定した上記PC鋼材
の安価な製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、点溶接性
の改善のためには表層組織が必ずしも脱炭処理等で得ら
れるフェライト単相である必要はなく、低Cのパーライ
ト組織、または初析フェライトとパーライトの混合組織
であれば十分な接合強度が得られることを見いだした。
この点に着目して外層部のみを経験的に溶接性がよいと
認識されている低Cの組織とし、内層部はPC鋼材とし
て十分な強度を達成可能なC量のパーライト組織とする
ことを考え、本発明を完成した。すなわち、 「1)内層部とそれを囲む外層部とからなり、該外層部
の厚さが0.2mm以上lmm以下で、かつ、重量%で
C:0.01%以上0.45%以下、Si:0.1%以
上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5%以下、A
l:0.005%以上0.10%以下、残部鉄および不
可避不純物とからなる成分組成のパーライトまたは初析
フェライトとパーライトの混合組織であり、該内層部が
重量%でC:0.60%以上1.0%以下、Si:0.
1%以上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5%以
下、Al:0.005%以上0.10%以下、残部鉄お
よび不可避不純物からなる成分組成のパーライト組織で
あることを特徴とする伸線加工および時効処理によって
強化した点溶接性の優れたPC鋼材。」 「2)内層部とそれを囲む外層部とからなり、該外層部
の厚さが0.2mm以上lmm以下で、かつ、重量%で
C:0.01%以上0.45%以下、Si:0.1%以
上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5%以下、A
l:0.005%以上0.10%以下、さらにCr:
0.1%以上2.0%以下、Ni:0.1%以上2.0
%以下、V:0.01%以上0.3%以下のうち1種ま
たは2種以上を含有し残部鉄および不可避不純物とから
なる成分組成のパーライトまたは初析フェライトとパー
ライトの混合組織であり、該内層部が重量%でC:0.
60%以上1.0%以下、Si:0.1%以上1.5%
以下、Mn:0.5%以上1.5%以下、Al:0.0
05%以上0.10%以下、さらにCr:0.1%以上
2.0%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、V:
0.01%以上0.3%以下のうち1種または2種以上
を含有し、残部鉄および不可避不純物からなる成分組成
のパーライト組織であることを特徴とする伸線加工およ
び時効処理によって強化した点溶接性の優れたPC鋼
材。」を発明した。
【0010】本発明による複層のPC鋼材は、複層鋳片
の熱間圧延線材を伸線加工することで製造可能である。
本発明者らは、鋳込み法で製造した複層鋳片の界面に割
れや剥離が生じる原因を検討した。その結果、温度の低
い内層部に対して外層部は冷却にともなう収縮量が大き
いため界面にひずみが生じ、割れや剥離を引き起こして
いたことを突き止めた。そこで凝固時に界面に温度差が
生じないよう、鋳造時に複層化することを指向し、具現
化する手段を検討した。低Cと高Cの溶鋼を外層、内層
にそれぞれ注ぎ分けて複層鋳片を鋳造することは可能で
ある。しかし、2種類の溶鋼を用意することは工程上不
都合であり、また鋳型の構造も複雑となる。こうした問
題を回避するため、低Cの溶鋼を連続鋳造するときに鋳
型の中心部にCを添加し、中心部のC量を高めた複層鋳
片を製造することを考え、本発明を完成した。すなわ
ち、 「3)連続鋳造における鋳型内の溶鋼の中央部にCを充
填した鋼製の筒を連続供給して内層部の成分組成が重量
%でC:0.60%以上1.0%以下、Si:0.1%
以上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5%以下、
Al:0.005%以上0.10%以下、残部鉄および
不可避不純物とからなり、外層部の成分組成が重量%で
C:0.01%以上0.45%以下、Si:0.1%以
上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5%以下、A
l:0.005%以上0.10%以下、残部鉄および不
可避不純物とからなる複層鋳片とし、該複層鋳片を熱間
圧延線材としたのち、直接パテンティングまたは再加熱
パテンティングを行ない、次いで伸線加工および時効処
理によって強化することを特徴とする点溶接性の優れた
PC鋼材の製造方法。」 「4)連続鋳造における鋳型内の溶鋼の中央部にCを充
填した鋼製の筒を連続供給して内層部の成分組成が重量
%でC:0.60%以上1.0%以下、Si:0.1%
以上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5%以下、
Al:0.005%以上0.10%以下、さらにCr:
0.1%以上2.0%以下、Ni:0.1%以上2.0
%以下、V:0.01%以上0.3%以下のうち1種ま
たは2種以上を含有し、残部鉄および不可避不純物とか
らなり、外層部の成分組成が重量%でC:0.01%以
上0.45%以下、Si:0.1%以上l.5%以下、
Mn:0.5%以上1.5%以下、Al:0.005%
以上0.10%以下、さらにCr:0.1%以上2.0
%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、V:0.0
1%以上0.3%以下のうち1種または2種以上を含有
し残部鉄および不可避不純物とからなる複層鋳片とし、
該複層鋳片を熱間圧延線材としたのち、直接パテンティ
ングまたは再加熱パテンティングを行ない、次いで伸線
加工および時効処理によって強化することを特徴とする
点溶接性の優れたPC鋼材の製造方法。」を発明した。
【0011】次に本発明条件の限定理由を説明する。
【0012】外層部のCは、0.01%未満でも溶接性
を劣化させることはないが、精錬工程の通常の脱炭処理
で得られる限界として0.01%を下限とした。しかし
0.45%を超えて添加すると、溶接性が劣化するため
0.45%を上限とした。
【0013】内層部のCは、0.6%未満では十分な強
度が得られないため0.6%を下限とし、1.0%を超
えて添加するとパテンティング時に初析セメンタイトを
生じ、伸線性が低下するため1.0%を上限とした。
【0014】Siは固溶強化元素として強度の向上に寄
与し、脱酸剤としても有用であるので、内層部および外
層部に0.1%以上添加する。しかし、1.5%を超え
て添加すると熱間加工性が著しく劣化するため1.5%
を上限とした。
【0015】Mnには焼入れ性を向上させ、パーライト
のラメラ間隔を微細化して強度を向上させる作用がある
ため内層部および外層部に0.5%以上添加する。しか
し、l.5%を超えて添加するとその効果が飽和するだ
けでなく、中心部などの濃厚偏析箇所にマルテンサイト
相を生じ、伸線性を低下させるため1.5%を上限とし
た。
【0016】内層部および外層部のAlは、0.005
%未満では脱酸が不十分となり鋼の清浄度が劣化して伸
線性が低下するため0.005%を下限とし、0.10
%を超えると熱間加工性が劣化するので0.10%を上
限とした。
【0017】Crは、焼入れ性の向上と固溶強化によっ
て鋼の強度を上昇させるが、0.1%未満では効果が不
十分なため0.1%を下限とし、2.0%を超えて添加
しても効果が飽和するため2.0%を上限とした。
【0018】Vは、焼入れ性の向上と固溶強化によって
鋼の強度を上昇させるが、0.01%未満では効果が不
十分なため0.01%を下限とし、0.3%を超えて添
加しても効果が飽和するだけでなく、中心部などの濃厚
偏析箇所にマルテンサイト相を生じ、伸線性を低下させ
るため0.3%を上限とした。。
【0019】Niは、焼入れ性の向上と固溶強化によっ
て鋼の強度を向上させ、同時に耐食性を向上させる元素
であるが、0.1%未満では効果が不十分なため0.1
%を下限とし、2.0%を超えて添加しても効果が飽和
し、経済的にも不利であるため2.0%を上限とした。
【0020】補強体を点溶接で組立てる場合、充分な接
合強度を得るのに必要な入熱量を与えると、最低でも
0.2mmの熱影響部が生じる。したがって外層部の厚
さが0.2mm未満では高Cの内層部が点溶接の熱影響
を受けて硬化し、割れが発生する恐れがあるため0.2
mmを下限とした。しかし低Cで強度の低い外層部の厚
さが1mm以上となると、PC鋼材の全体の強度を必要
なレベルに維持することが困難となり、特殊な元素の多
量な添加が必要となるため外層部の厚さの上限をlmm
とした。
【0021】外層部および内層部に、マルテンサイトま
たはべイナイトが混合すると伸線性が低下するため外層
部の組織をパーライト組織または初析フェライトとパー
ライトの混合組織に、内層部の組織をパーライト組織に
限定した。
【0022】添加するCの形態としては黒鉛、Fe炭化
物等が考えられるが、本発明者らは数多くの実験の結
果、比較的入手しやすく安価な黒鉛を使用すること、黒
鉛は溶鋼よりも比重が小さいため単体の添加では浮上
し、均−な溶解が困難となること、そこで黒鉛を充填し
た鋼製の筒を鋳型内に供給して鋼筒、黒鉛とも溶解さ
せ、中央部のC量を高めることが望ましいことを見いだ
した。
【0023】
【作用】本発明によるPC鋼材は、外層部が低Cゆえに
点溶接による補強体組立が可能であり、かつパーライト
組織の内層部は伸線加工によって高強度化しており、P
C鋼材として優れた特性を維持している。
【0024】さらに本発明方法によれば、従来の製造設
備に簡便な鋼製の筒の供給装置を付加するだけで点溶接
の可能なPC鋼材を容易に製造することができる。
【0025】図2に、本発明者らが具現化した製造装置
の例を示した。タンディッシュ1、ノズル2、鋳型3で
構成される従来の連続鋳造設備に設置した供給装置4を
用いて、粒状または粉末状の黒鉛を充填した鋼製の筒5
を、鋳型内の溶鋼6の中央部に連続的に供給する。鋼
筒、黒鉛とも溶解するため、鋳片中央部にCが濃化す
る。本装置でつくられる鋳片からPC鋼材を製造する場
合、分塊以降の製造工程は従来通りであるため、従来の
製造設備をそのまま使用できる。
【0026】このようにして製造した複層鋳片を熱間圧
延で線材としたのち、この線材を直接パテンティングま
たは再加熱パテンティングする。こうすることによって
外層部の組織はパーライト組織または初析フェライトと
パーライトの混合組織に、内層部の組織はパーライト組
織となり、伸線加工性と熱処理強度を付与される。その
後PC鋼材として十分な引張強さを与えるために伸線加
工を行ない、引き続いて時効処理によって可動転位を固
着し、降伏点を高める。以上の工程を経て点溶接性の優
れたPC鋼材が完成する。
【0027】
【実施例】次に、本発明によるPC鋼材の製造結果を説
明する。図3にはCの添加に用いた鋼製の筒5の構造を
示した。図中、鋼筒8の外径は7.0mm、内径は5.
4mmで、内部に黒鉛7を充填した。この鋼製の筒5
を、表1に示した成分組成の溶鋼中に供給して内層部に
Cを濃化せしめた複層ビレットを製造し、さらに熱間圧
延工程で直径14.2mmの線材とした。仕上温度95
0℃で圧延を終了した後、引き続いて直ちに570℃の
溶融鉛中に3分間浸漬する直接パテンティング処理を行
い、次いで酸洗、燐酸亜鉛皮膜付着処理を行なって直径
9mmに伸線した。伸線は6パスで行ない、各パスの平
均減面率は約14.1%とした。伸線後、直線加工を行
い、さらに400℃の溶融鉛中に15秒間浸漬する時効
処理工程を経てPC鋼材とした。
【0028】Cの添加状況を確認するためにPC鋼材の
内層部、外層部の化学組成を調べた。外層部の分析試料
には、外層部を外周切削した切り粉を用いた。但し、ご
く表層の不可避的脱炭部分を避けるために表面からの距
離が0.1mm未満である表層部分の切り粉は分析対象
外とした。また、1/4d部を直径1.5mmのドリル
で穿孔した切り粉を内層部の分析試料に供した。表2に
PC鋼材Aの外層部および内層部の成分分析値を示し
た。
【0029】
【表1】
【表2】 これらのPC鋼材を用いて点溶接によりPCポールの補
強体を組立てた。その後、溶接部分の接合状態の確認お
よび点溶接後のPC鋼材の遅れ破壊特性を調査した。接
合状態は、溶接部分の断面を光学顕微鏡で観察し、割れ
の有無から判断した。遅れ破壊試験は点溶接後螺旋筋を
機械的に除去したPC鋼材に、50℃の20重量%NH
4 SCN水溶液中で980MPaの引張応力を付加して
破断までの時間を測定した。さらに本発明のPC鋼材か
らなる補強体を用いてPCポールを製作したが、この工
程中、螺旋筋の離脱はなかった。表3にPC鋼材の機械
的性質、溶接部の接合状態の調査結果、遅れ破壊試験の
結果を示した。
【0030】
【表3】 本発明のPC鋼材A、B、C、D、E、F、G、H、
I、Jは溶接部の断面に割れは認められず、かつ遅れ破
壊試験の破断時間も100h以上であった。また、これ
ら本発明例は、PC鋼材として十分な機械的性質を有し
ていた。さらに、外層部に比べて内層部のC量は確実に
上昇しており、本発明方法がこのような内層部と外層部
とで成分の異なる鋼材の製造に好適であることが確認さ
れた。
【0031】比較例K、Lは、外層部の厚さが不十分で
あったため溶接部に割れが認められ、遅れ破壊試験でも
短時間で破断した。比較例M、Nは外層部の厚さが過大
であったため強度が不十分であった。比較例O、Pは外
層部のC量が過多であったため溶接部に割れが認めら
れ、遅れ破壊試験でも短時間で破断した。比較例Q、R
は内層部のC量が過少であったため強度が不十分であっ
た。
【0032】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明のPC鋼材は優れた溶接性を有する。このためPC
構造物の補強体の編組に生産効率の高い点溶接法が適用
でき、PC構造物の製造コストの大幅な低減が可能とな
る。このように本発明の産業上の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 PCパイル、PCポール補強体の略図を示し
た。
【図2】 連続鋳造装置に設置したCの添加装置の1例
を示した。
【図3】 添加に用いた鋼製の筒の略図を示した。
【符号の説明】
1 タンディッシュ 2 ノズル 3 鋳型 4 供給置 5 鋼製の筒 6 溶鋼 7 黒鉛 8 鋼筒 9 PC鋼材 10 螺旋筋の交点 11 軟鋼線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 洋 北海道室蘭市仲町12番地 新日本製鐵株式 会社室蘭製鐵所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内層部とそれを囲む外層部とからなり、
    該外層部の厚さが0.2mm以上lmm以下でかつ、重
    量%でC:0.01%以上0.45%以下、Si:0.
    1%以上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5%以
    下、Al:0.005%以上0.10%以下、残部鉄お
    よび不可避不純物とからなる成分組成のパーライトまた
    は初析フェライトとパーライトの混合組織であり、該内
    層部が重量%でC:0.60%以上1.0%以下、S
    i:0.1%以上1.5%以下、Mn:0.5%以上
    1.5%以下、Al:0.005%以上0.10%以
    下、残部鉄および不可避不純物からなる成分組成のパー
    ライト組織であることを特徴とする伸線加工および時効
    処理によって強化した点溶接性の優れたPC鋼材。
  2. 【請求項2】 内層部とそれを囲む外層部とからなり、
    該外層部の厚さが0.2mm以上1mm以下でかつ、重
    量%でC:0.01%以上0.45%以下、Si:0.
    1%以上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5%以
    下、Al:0.005%以上0.10%以下、さらにC
    r:0.1%以上2.0%以下、Ni:0.1%以上
    2.0%以下、V:0.01%以上0.3%以下のうち
    1種または2種以上を含有し残部鉄および不可避不純物
    とからなる成分組成のパーライトまたは初析フェライト
    とパーライトの混合組織であり、該内層部が重量%で
    C:0.60%以上1.0%以下、Si:0.1%以上
    1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5%以下、A
    l:0.005%以上0.10%以下、さらにCr:
    0.1%以上2.0%以下、Ni:0.1%以上2.0
    %以下、V:0.01%以上0.3%以下のうち1種ま
    たは2種以上を含有し、残部鉄および不可避不純物から
    なる成分組成のパーライト組織であることを特徴とする
    伸線加工および時効処理によって強化した点溶接性の優
    れたPC鋼材。
  3. 【請求項3】 連続鋳造における鋳型内の溶鋼の中央部
    にCを充填した鋼製の筒を連続供給して内層部の成分組
    成が重量%でC:0.60%以上1.0%以下、Si:
    0.1%以上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5
    %以下、Al:0.005%以上0.10%以下、残部
    鉄および不可避不純物とからなり、外層部の成分組成が
    重量%でC:0.01%以上0.45%以下、Si:
    0.1%以上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5
    %以下、Al:0.005%以上0.10%以下、残部
    鉄および不可避不純物とからなる複層鋳片とし、該複層
    鋳片を熱間圧延線材としたのち、直接パテンティングま
    たは再加熱パテンティングを行ない、次いで伸線加工お
    よび時効処理によって強化することを特徴とする点溶接
    性の優れたPC鋼材の製造方法。
  4. 【請求項4】 連続鋳造における鋳型内の溶鋼の中央部
    にCを充填した鋼製の筒を連続供給して内層部の成分組
    成が重量%でC:0.60%以上1.0%以下、Si:
    0.1%以上1.5%以下、Mn:0.5%以上1.5
    %以下、Al:0.005%以上0.10%以下、さら
    にCr:0.1%以上2.0%以下、Ni:0.1%以
    上2.0%以下、V:0.01%以上0.3%以下のう
    ち1種または2種以上を含有し、残部鉄および不可避不
    純物とからなり、外層部の成分組成が重量%でC:0.
    01%以上0.45%以下、Si:0.1%以上1.5
    %以下、Mn:O.5%以上1.5%以下、Al:0.
    005%以上0.10%以下、さらにCr:0.1%以
    上2.0%以下、Ni:0.1%以上2.0%以下、
    V:0.01%以上0.3%以下のうち1種または2種
    以上を含有し残部鉄および不可避不純物とからなる複層
    鋳片とし、該複層鋳片を熱間圧延線材としたのち、直接
    パテンティングまたは再加熱パテンティングを行ない、
    次いで伸線加工および時効処理によって強化することを
    特徴とする点溶接性の優れたPC鋼材の製造方法。
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