JPH06115989A - アクリル系繊維補強水硬性無機質成型品およびその製造方法 - Google Patents

アクリル系繊維補強水硬性無機質成型品およびその製造方法

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JPH06115989A
JPH06115989A JP26612892A JP26612892A JPH06115989A JP H06115989 A JPH06115989 A JP H06115989A JP 26612892 A JP26612892 A JP 26612892A JP 26612892 A JP26612892 A JP 26612892A JP H06115989 A JPH06115989 A JP H06115989A
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JP
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weight
silica
acrylic fiber
molded product
parts
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JP26612892A
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Yutaka Nishikawa
裕 西河
Kenji Kikuchi
謙児 菊池
Tadayuki Matsumoto
忠之 松本
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/18Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing mixtures of the silica-lime type

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Abstract

(57)【要約】 【構成】水硬性物質とシリカの総量を 100重量部とする
時、水硬性物質10重量部以上および平均粒径 100μ以下
の結晶性シリカ10重量部以上を配合した基礎原料ならび
に極限粘度が 1.8〜5.0 のPANからなり引張強度が8.
0g/d以上のアクリル系繊維 0.1〜5 重量%の混合物から
なる成型品であって、曲げ強度に( 1.8/比重)の2乗
を掛けた比曲強度が140Kg /cm2 以上であることを特徴
とするアクリル系繊維補強水硬性無機質成型品。上記組
成の混合物と水とを水比10〜25で混合し、乾式成型法で
成型した後、 140〜182 ℃で 3〜50時間オートクレーブ
養生することを特徴とするアクリル系繊維補強水硬性無
機質成型品の製造方法。 【効果】アクリル系繊維の補強効果が十分発現し、曲強
度が高く、耐衝撃性、寸法安定性、耐火性などに優れ、
建築土木資材用など多くの用途に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリル系繊維補強水
硬性無機質成型品およびその製造方法に関するものであ
る。さらに詳細には、土木建築用部材として好適な、高
強度で寸法安定性に優れたオートクレーブ養生タイプの
アクリル系繊維補強水硬性無機質成型品とその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、土木建築用無機質成型品、例え
ば、石綿セメント製品、珪酸カルシウム製品、軽量気泡
コンクリート板(ALC)などのように、石灰質と珪酸
質などからなる水硬性無機質を高温の水蒸気下のオート
クレーブ中で養生し、トバモライトと呼ばれる高結晶性
の水和物を形成する方法が知られている。そして、この
ようなオートクレーブ養生で得られる高結晶性の水硬性
無機質からなる屋根材、床材、外壁材、間仕切材など
は、高強度で優れた断熱性と熱的安定性が付与され、さ
らに乾燥収縮を少なくし化学的抵抗性を大きくすること
ができると言われている。従って、このような高温の水
蒸気での養生を必須とする上記高性能な水硬性無機質成
型品の補強繊維としては、高温アルカリに耐えるアスベ
ストが一般的に使用されてきた。
【0003】しかしながら、近年アスベストは健康上、
衛生上有害であることが明らかになったために、その使
用が忌避ないし制限されようとしている。
【0004】そこで、耐アルカリ性に優れたアクリル系
繊維をアスベストの代わりに用いようとする努力がなさ
れているが、その場合、水硬性無機質の成型方法によっ
てその技術対応が大きく異なる。水硬性無機質の成型法
には、抄造法、押出成型法、乾式成型法、注型法などが
ある。
【0005】ここで、乾式成型法は、スレート屋根材な
どの水硬性無機質を製造する場合に主に用いられている
方法である。従来、この成型分野でもアスベストが使用
され、この分野においてもアスベストの替わりになる補
強繊維が望まれている。乾式成型法は、セメントの石灰
質と珪酸質などからなる水硬性無機質原料を混合した実
質的に乾燥状態の粉体をロール等で予備成型した後、水
/セメント配合材固形分比が10〜25%となるように
水を均一に供給し、さらに高圧でプレスする方法であ
る。このため、乾式成型法の水硬性無機質は、抄造法や
抽出成型法と異なり、含水率が低い状態で成型すること
を特徴としている。成型後、さらにオートクレーブ養生
することによって目的の成型品が得られる。
【0006】しかし、この乾式成型法において、通常の
セメント、珪砂を主体とした配合材にアクリル系繊維を
添加し、オートクレーブ養生すると成型板の強度が低下
する問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
のように乾式成型法で作製する水硬性無機質成型品にお
いて、アクリル系繊維がオートクレーブ養生下で十分な
補強効果を発現できないという問題点を解決し、高強度
で寸法安定性に優れた水硬性無機質成型品とその製造方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のアクリル系繊維補強水硬性無機質成型品は
次の構成を有する。すなわち、水硬性物質とシリカの総
量を100重量部とする時、水硬性物質10重量部以上
および平均粒径100μ以下の結晶性シリカ10重量部
以上を配合した基礎原料ならびに極限粘度が1.8〜
5.0のアクリロニトリル系ポリマーからなり引張強度
が8.0g/d以上のアクリル系繊維との混合物からな
る成型品であって、曲げ強度に(1.8/比重)の2乗
を掛けた比曲強度が140Kg/cm2 以上であることを特
徴とするアクリル系繊維補強水硬性無機質成型品であ
る。
【0009】また、本発明のアクリル系繊維補強水硬性
無機質成型品の製造方法は次の構成を有する。すなわ
ち、水硬性物質とシリカの総量を100重量部とする
時、水硬性物質10重量部以上および平均粒径100μ
以下の結晶性シリカ10重量部以上を配合した基礎原料
ならびに極限粘度が1.8〜5.0、強度が8.0g/
d以上のアクリル系繊維と水とを水比10〜25で混合
し、乾式成型法で成型した後、140〜182℃で3〜
50時間オートクレーブ養生することを特徴とするアク
リル系繊維補強水硬性無機質成型品の製造方法である。
【0010】以下、さらに詳細に本発明について説明す
る。土木建築用部材として高強度で寸法安定性に優れた
水硬性無機繊維質成型品を製造するには、石灰質(Ca
O)とシリカをほぼ等量のモル数に配合した基礎原料を
高温の水蒸気下のオートクレーブ中で高結晶の水和物に
するものである。このような水硬性無機質成型品におい
て、アクリル系繊維の補強効果を十分発揮するには、第
1にシリカの種類、粒径およびその配合、第2に水セメ
ント比、第3にオートクレーブ養生条件が重要である。
【0011】本発明のアクリル系繊維補強水硬性無機質
成型品の基礎原料の一部に用いる水硬性物質とは、石灰
質を含む水硬性を示す物質であり、セメント、石灰、石
コウ、スラグ等が挙げられる。セメントとしては、ポル
トランドセメント、アルミナセメントなどの単味セメン
トや高炉セメント、スラグセメントなどの混合セメント
が挙げられる。
【0012】本発明のアクリル系繊維補強水硬性無機質
成型品において、水硬性物質の配合量は、該水硬性物質
とシリカの総量を100重量部とする時、10重量部以
上とするものである。水硬性物質が10重量部未満で
は、結合剤の量が少なすぎるため、得られる成型品の強
度が低下したり、整経が困難になる等の問題がある。
【0013】本発明のアクリル系繊維補強水硬性無機質
成型品の基礎原料の一部に、結晶性シリカをシリカの主
成分として使用するものである。結晶性シリカとして
は、珪石粉、珪砂などが挙げられる。シリカヒューム等
の非晶性シリカは、ポゾラン活性であるため水硬性物質
をオートクレーブ養生する際には水和反応の制御が難し
いこと、高強度を得にくいため保水剤等の高価な混和剤
を使用する必要があること、供給源が限られており安定
入手が困難なこと、経済性の面などから、シリカの主成
分とするのは好ましくない。
【0014】ただし、本発明の目的を阻害しない範囲内
で、非晶性シリカを必要に応じて添加することもでき
る。かかる場合には、上記した理由から、水硬性物質と
シリカの総量を100重量部とする時、非晶性シリカを
10重量部未満とするのが好ましい。
【0015】結晶性シリカの配合量は、水硬性物質とシ
リカの総量を100重量部とする時、10重量部以上と
するものである。結晶性シリカが10重量部未満では、
成形品の強度が低くなる、爆裂など耐火性の低下を起し
やすい等の問題がある。
【0016】また、結晶性シリカの粒径は100μ以下
とするものであり、70μ以下、さらには50μ以下と
するのが好ましい。結晶性シリカの粒径が100μを越
えるもののみの場合には、比曲強度140Kg/cm2 以上
のアクリル系繊維補強水硬性無機質成型品を得ることが
できない。
【0017】なお、結晶性シリカの平均粒径が細かいほ
ど得られる水硬性無機質成型品が緻密となり、またオー
トクレーブ養生における反応性も高くなるので、高強度
の水硬性無機質成型品が得られる。ただし、結晶性シリ
カの平均粒径が1μ未満では経済性の問題とともに、爆
裂などの耐火性の低下を起こすことがあるので、平均粒
径は1μ以上さらには10μ以上とするのが好ましい。
【0018】なお、基礎原料に、珪砂などの平均粒径が
100μを越える結晶性シリカを一部混合することは、
成型時の水の浸透性を良好にすること、および成型品の
強度を向上させることから好ましいが、過剰に添加する
とアクリル系繊維の強度を低下させるため好ましくな
い。この場合、100μを越える結晶性シリカは得られ
る水硬性無機質成型品の曲げ強度を高くする観点から、
水硬性物質とシリカの総量を100重量部とする時、水
硬性物質の45重量部以下とするのが好ましく、40重
量部以下がより好ましい。
【0019】次に、本発明に用いるアクリル系繊維とし
ては、極限粘度が1.8〜5.0のアクリロニトリル系
ポリマー(以下、PAN)からなり引張強度8g /d 以
上のアクリル系繊維を用いるものである。かかるアクリ
ル系繊維でなければ、高温のアルカリに耐えることがで
きず、また補強効果を高めることはできない。同様の観
点から、アクリル系繊維の引張強度は10g /d 以上と
するのが好ましい。また、同様の観点から、アクリル系
繊維の引張弾性率180g /d 以上とするのが好まし
い。
【0020】ここで、本発明に用いるアクリル系繊維の
具体的な製法の一例を説明する。
【0021】まず、アクリル系繊維の製法に用いるPA
Nとしては、PANホモポリマーまたはアクリロニトリ
ル(以下、AN)90%以上およびANに対し共重合性
を有するモノマー10%以下とのコポリマーが好ましく
用いられる。ANに対し共重合性を有するモノマーとし
ては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸
などのカルボン酸やこれらの低級アクリルエステル類、
ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアク
リレート、ヒドロキシメチルメタクリレートなどのカル
ボン酸に水酸基を含有するヒドロキシアルキルアクリレ
ート、アクリルアミド、メタクリルアミド、αークロル
アクリロニトリル、ヒドロキシエチルアクリル酸、アリ
ルスルホン酸、メタクリルスルホン酸などの共重合性モ
ノマーなどを例示することができる。これらの共重合性
モノマーのうち、強度の高いアクリル系繊維が得られる
観点から、アクリルアミド類が特に好ましい。
【0022】これらPANを、ジメチルスルホキシド
(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルアセトアミド(DMAc)などの有機溶剤、塩化カ
ルシウム、塩化亜鉛、ロダンソーダなどの無機塩濃厚水
溶液、硝酸などの無機系溶剤に溶解して、溶液粘度が2
000ポイズ以上、好ましくは3000〜10000ポ
イズ、ポリマー濃度が5〜20%の紡糸原液を調製す
る。
【0023】かくして得られた前記高重合度PANの紡
糸原液から、できる限り高強度高弾性率で、内外構造差
の少ない緻密な繊維を製造するため、この高重合度PA
N紡糸原液を紡糸口金を通して、いったん空気などの雰
囲気中に吐出した後、吐出された該紡糸原液を凝固浴中
に導いて凝固を完結させる、いわゆる乾湿式紡糸法を採
用し、高度に延伸することが好ましい。
【0024】この乾湿式紡糸法の具体的条件としては、
紡糸原液を紡糸口金面と凝固面との距離が1〜20mm、
好ましくは3〜10mmの範囲内に設定された紡糸口金面
と凝固浴液面とで形成される微小空間に吐出した後、凝
固浴へ導いて凝固させ、次いで得られた繊維糸条を常法
により、水洗、脱溶媒、一次延伸、乾燥・緻密化、二次
延伸、熱処理などの後処理工程を経由せしめて延伸糸条
とする。この乾湿式紡糸によって得られた繊維糸条は、
延伸性に極めて優れているが、好ましくは二次延伸方法
として、150〜270℃の乾熱下に少なくとも1.1
倍、好ましくは1.5倍以上延伸し、全有効延伸倍率が
少なくとも10倍、好ましくは12倍以上になるように
延伸し、延伸工程での糸切れを防止する一方、高強度と
する観点から、その繊度を0.5〜7デニール(d)、
さらには1〜5dの範囲内とするのが好ましい。
【0025】かくして得られたアクリル系繊維は、水硬
性物質への分散性を高める観点から繊維長を2〜10m
m、さらには4〜7mmに切断するのが好ましい。
【0026】本発明のアクリル系繊維補強水硬性無機質
成型品に用いるアクリル系繊維の配合量は、0.1〜5
重量%とするものであり、0.5〜2重量%とするのが
好ましい。0.1重量%未満では繊維の補強効果がな
く、得られる成型品の強度を高くできないという問題が
あり、一方、5重量%を超えるならば、繊維の分散製が
悪くやはり成型品の強度を高くできないという問題があ
る。
【0027】本発明のアクリル系繊維補強水硬性無機質
成型品は、後述するように製造工程に用いる水の量が少
ないため、水和反応によって生じる水酸化カルシウムを
主体とする配合体中のアルカリ成分の存在量が小さく、
補強用のアクリル系繊維の劣化を起こしにくいなどの理
由から、本発明の水硬性無機質成形品は、アクリル系繊
維の補強効果が低下することがなく、比曲強度が非常に
高いものが得られるのである。
【0028】本発明のアクリル系繊維補強水硬性無機質
成形品は、比曲強度を140Kg/cm2 以上とするもので
ある。比曲強度が140Kg/cm2 未満では、本発明の主
な用途として意図する建築土木用部材として好適に用い
ることができない。同様の観点から、比曲強度160Kg
/cm2 以上、さらには180Kg/cm2 以上とするのが好
ましい。
【0029】ここで、本発明のような成型品分野におい
て、一般に曲強度は成型品の比重とともに増大する。し
たがって、本発明の効果は、この比重の影響を考慮して
表現するのがその特質を表わす上で好適であり、特に、
曲強度に(1.8/比重)の2乗を掛けた比曲強度を用
いて評価をするのが好適である。
【0030】次に、本発明のアクリル系繊維補強水硬性
無機質成型品を得るための製造方法について説明する。
本発明の製造方法において、原料およびその配合割合に
ついては前記した水硬性無機質成型品の場合と同様にす
るものである。
【0031】水硬性物質とシリカの総量を100重量部
とする時、水硬性物質を10重量部以上および平均粒径
100μ以下の結晶性シリカを10重量部以上配合した
基礎原料とアクリル系繊維からなる配合物を、実質的に
乾燥状態でミキサーにより混合する。
【0032】ここで、水硬性無機質成型品にパーライ
ト、シラスバルーン、ガラスバルーンなどの軽量化骨材
を適宜配合することもできる。さらに、成型性や耐剥離
性、耐衝撃性を向上させるため、木材パルプ、アクリル
系繊維や芳香族ポリアミド繊維のフィブリル化物、ウォ
ラストナイト、エディナイト、セピオライトなどの無機
繊維や各種混和剤などを添加、配合することもできる。
【0033】本発明の製造方法において、水硬性無機質
成型品の硬化反応を開始させるのに必要な水の量(水
比:水硬性物質だけでなく、シリカなど全固形配合材1
00部に対する水の部数)は、他の成形法の水比、例え
ば抄造法:25〜60や、押出成型法:25〜40に比
較して少なく、10〜25程度であり、例えば、セメン
トが水と反応し、水硬性物質になるために必要な水の量
(6〜8)に非常に近い値である。
【0034】このように本発明の製造方法においては、
水の量が少ないため、水和反応によって生じる水酸化カ
ルシウムを主体とする配合体中のアルカリ成分の存在量
が小さく、補強用のアクリル系繊維の劣化を起こしにく
い。さらに、シリカ粒径の小さいものを用いるので、オ
ートクレーブ養生における反応性が高く、pHを低下さ
せやすく、この点でもオートクレーブ養生におけるアク
リル系繊維の劣化が少ない。このため、本発明にかかわ
る水硬性無機質成形品は、アクリル系繊維の補強効果が
低下することがなく、比曲強度が140Kg/cm2 以上と
高強度のものが得られるのである。
【0035】粉体を混合するためのミキサーとしては、
オムニミキサー、アイリッヒおよびヘンシェルミキサー
などが用いられる。
【0036】次に、上記のミキサーで混合した粉体混合
物を目的とする厚さにロール等で予備成型し、その粉体
混合物に水を配合固形分100部に対し10〜20部散
布した後、プレス等によって40〜400Kg/cm2 のよ
うな高圧で圧縮成型するのが水和反応の開始時点を任意
に制御できることおよび得られる成型品が緻密になり強
度向上等の効果が得られるなどの理由から好ましい。水
は、ミキサーで粉体混合した後、最後に配合固形分10
0部に対し10〜25部を少量ずつ混合しながら添加す
る方法でも良く、この粉体混合物を成型する方法も採用
することができる。
【0037】次いで、上記の乾式成型法で成型した成型
物は、必要に応じて常温または100℃以下の水蒸気中
で前養生をした後、オートクレーブ養生をするものであ
る。水蒸気中で前養生をする場合には、成型品のハンド
リング製を向上させること、オートクレーブでの急激な
膨脹によるクラック発生防止などの利点があるため好ま
しい。なお、加熱水蒸気中であればより効率的に前養生
を勧めることができるのでさらに好ましい。
【0038】オートクレーブ養生の温度は、140〜1
82℃とするものである。温度が140℃に満たない場
合には得られる成型品が安定構造にならないこと、強度
が発現しないなどの問題があり、一方、182℃を超え
る場合にはアクリル繊維が劣化し、補強効果が得られな
い、極端な場合成型品の強度を低下させるなどの問題が
ある。アクリル系繊維の補強効果を低下させず、成型物
の強度を発現させる観点からは温度160〜180℃と
するのが好ましい。
【0039】また、オートクレーブ養生時間は、3〜5
0時間とするものであり、3時間に満たない場合には、
成型品の高強度化が図れないという問題があり、一方、
50時間を超える場合にはアクリル系繊維が劣化し、補
強効果が低下すること、エネルギー消費が大となるなど
の問題がある。同様の観点から、5〜15時間とするの
が好ましい。
【0040】かくして得られる本発明成型品は、アクリ
ル系繊維の補強効果が十分に発現し、曲げ強度が著しく
高く、寸法安定性に優れたものとすることができる。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果をさらに具
体的に説明する。なお、曲強度および比重は、成型品か
ら成型方向を長手方向とし、長さ150mm、幅30mmの
試験片を切り出し、JIS A 1408に準じ、以下
のようにして測定した。
【0042】[曲強度]気乾状態において、スパン10
cm、荷重速度1mm/min で試験片の曲試験を行い、常法
により曲強度(Kg/cm2 )を算出する。
【0043】[比重]20℃の水を用いて試験片の飽水
重量および水中重量を、次いで105℃、24hr乾燥
して絶乾重量を各々測定し、次式により嵩比重を算出す
る。 比重=絶乾重量/(飽水重量−水中重量) なお、比曲強度(Kg/cm2 )は次式により算出する。 比曲強度=曲強度×(1.8/比重)2 (実施例1〜16、比較例1〜5)AN100%からな
る極限粘度が3.2のPAN共重合体をジメチルスルホ
キジト(以下、DMSO)中で溶液重合し、得られた紡
糸原液を乾湿式紡糸した。凝固浴としては、20℃、5
5%DMSO水溶液を使用した。得られた未延伸繊維糸
条を熱水中で5倍に延伸した後、水洗し、180〜20
0℃の乾熱チューブ中で最高延伸倍率の90%で二次延
伸し、繊度2デニール、強度11.7g /d、伸度1
1.8%、弾性率200g /d のアクリル系繊維を得
た。このアクリル系繊維を6mmに切断した。
【0044】次に、セメントとしてポルトランドセメン
ト、結晶性シリカとして各種平均粒径の粉砕珪石を表1
に示す配合で用い、これらの水硬性物質100重量部に
対してアクリル系繊維1重量部を配合し、水を無添加の
粉体状態でアイリッヒ混合機によって3分間混合した。
【0045】上記混合物を型枠に入れ、表1に示す重量
部の水を両面から均一に浸透させた後、プレス機によっ
て200Kg/cm2 で圧縮成型し、厚さ5mmの成型板とし
た。得られた成型板を20℃の飽和水蒸気中で3日間放
置した後、表1に示す条件でオートクレーブ中で水蒸気
で養生した。
【0046】得られた成型板の強度特性を表1に併せて
示す。
【0047】表1より本発明のアクリル系繊維補強水硬
性無機質成型品は、曲強度が優れて高いことがわかる。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明の水硬性無機質成型品は、アクリ
ル系繊維の補強効果が十分発現されるため、著しく曲げ
強度が高く、耐衝撃性、寸法安定性ならびに耐火性など
に優れている。したがって、建築資材用、土木資材用な
ど多くの用途にその優れた性能を活用することができ
る。また、本発明の水硬性無機質成型品の製造方法によ
れば、上記した水硬性無機質成型品を容易に経済的に提
供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水硬性物質とシリカの総量を100重量部
    とする時、水硬性物質10重量部以上および平均粒径1
    00μ以下の結晶性シリカ10重量部以上を配合した基
    礎原料ならびに極限粘度が1.8〜5.0のアクリロニ
    トリル系ポリマーからなり引張強度が8.0g/d以上
    のアクリル系繊維0.1〜5重量%の混合物からなる成
    型品であって、曲げ強度に(1.8/比重)の2乗を掛
    けた比曲強度が140Kg/cm2 以上であることを特徴と
    するアクリル系繊維補強水硬性無機質成型品。
  2. 【請求項2】水硬性物質とシリカの総量を100重量部
    とする時、水硬性物質10重量部以上および平均粒径1
    00μ以下の結晶性シリカ10重量部以上を配合した基
    礎原料ならびに極限粘度が1.8〜5.0、強度が8.
    0g/d以上のアクリル系繊維0.1〜5重量%と水と
    を水比10〜25で混合し、乾式成型法で成型した後、
    140〜182℃で3〜50時間オートクレーブ養生す
    ることを特徴とするアクリル系繊維補強水硬性無機質成
    型品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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