JPH0611371B2 - 瀘過ないし分離用円筒状素子の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、各種濾過または粒子分離を行うための濾過
ないし分離用円筒状素子の製造方法に関する。

〔従来の技術〕

従来、一般に知られるこの種の円筒状素子は、多数のパ
ンチング孔を穿った構造のものや、網状ないし格子状の
濾過孔を穿った構造のものが、概して一般的である。

また、最近では、セラミツクスを用いたポーラス状の素
子が開発されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、前者にあっては、点的濾過孔であるた
め、濾過面積が小さく、従って目詰まり現象が大きいと
いう不都合があり、濾過粒度が小さくなればなる程その
傾向も増大するという問題点があった。

また、後者にあっては、ポーラス構造は立体濾過を強い
ることとなり、ポーラス構造内に不透過異物が目詰まり
となって成長し、濾過量の低下を避け得ない。したがっ
て、頻繁にポーラス構造内の異物を洗浄などによって完
全に除去しなければならないという問題点があった。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明は、叙上の点に着目して成されたもので、多孔
構造を備えた円筒状枠板の内面に一方より他方に向う渦
巻状で不連続な係止溝を穿設し、この係止溝に所望の断
面形状に加工した線材の外周端縁を線材の弾性に抗して
湾曲係止し、線材の弾性復元力により固定させ、前記線
材の両端部を固定固着手段で前記円筒状枠板に係止固定
し、隣り合う線材の周縁間に渦巻状のスリット孔を形成
することを特徴とする濾過ないし分離用円筒状素子の製
造方法。

〔作用〕

以上のような製造方法で円筒状素子が製造されるので、
捲装された線材の両端部だけが円筒状枠板に固定係止さ
れ、他の部分は係止溝と線材外周縁部とを係合させるだ
けで線材の持つ弾性によって係止し、線材の弾性復元力
によって確実に保持されるので、きわめて高い精度を保
持して円筒状素子が製造される。

これに加えて、素子の形状が円筒状に構成されているの
で、平面形状に比し内側から外方に向う液体や気体など
の被処理流体に対する処理面が拡大すると共に、濾過な
いし分離処理を行う孔は渦巻状のスリット孔であるため
所謂線的な処理孔を形成し濾過流量を増大できる。

また、濾カスなどの残渣物は外側より内方に向う洗浄流
体の逆洗またはスクレーパによる引掻きなど簡単な手段
で除去できるので、処理作業を円滑に行うことができ
る。

〔実施例〕

以下に、この発明の一実施例を図面と共に説明する。

１は表面が全体として円筒形状を備える円筒状枠板を示
し、両端に設けられる同一形状の環状部材２，３と両部
材２，３間に装架した複数の支枠４とより成っている。
５は前記円筒状枠板１の一方より他方に向って形成され
る一定ピツチで精度よく刻設した渦巻状で不連続な係止
溝、６は前記係止溝５に沿って係合されながら渦巻状に
捲装される線材を示し、この線材６の両端部を、両円環
状部２，３とにそれぞれ穿設した凹溝７に係合させて、
かつ、固定固着手段の一例であるビスなどの係止具８を
用いて係止固定することにより円筒状枠板１に確実にか
つ容易に固定係止することができる。

なお、上記線材６は断面二等辺三角形の形状を備え、し
かも係合溝５は、この線材６の頂部の形状と一致して、
渦巻形状が得られるＶ字状に穿設されると共に、捲回さ
れた線材６の隣り合う表面は同一円筒曲面上に形成され
るので、平滑曲面Ｐを形成できる。

そして、渦巻状に捲装固定された線材６の隣り合う周縁
間に渦巻状の均等な間隔のスリット孔９を形成できる。
そして、スリット孔９の精度は、線材６の加工精度およ
び円筒状枠板１への渦巻状の係合溝５の切削精度によっ
て、まず決定され、さらに線材６の捲回操作によって最
終的に決定され、線材の持つ弾性復元力によって保持さ
れる。

図示の実施例に示す断面二等辺三角形の線材６を用いた
場合、スリット孔９の幅長は、数ミクロンから数十ミク
ロンは勿論のこと１ミクロン以下の大きさまでの精度が
得られている。

なお、線材６および円筒状枠板１の素材は、金属は勿論
のこと他のプラスチック或はセラミツクなど好みの材料
でも実施できる。

叙上の構成に基づいて作用を説明する。

先ず、三角断面形状の線材６の三角形の頂端を係止溝５
に係合係止させながら、線材６を円筒状枠板の内面に捲
き込む。捲込みが終ったら線材６の両端部の位置を両円
環状部２，３の凹溝７の位置に合わせて係合させ、ビス
などの係止具８で両円環状部２，３に係止固定すること
により、線材６は自体の持つ弾性により円筒状枠板１に
確実に係止固定される。

これによって、形成された円筒状素子を、第１図に示す
状態で、渦巻状の線材６により内側に形成される平滑曲
面Ｐを一次側に向け、外周の環状部材２，３を利用して
管路などに固定し所望の被処理流体（液体または気体）
を矢印方向よりスリット孔９に向けて通過させる。

濾過ないし分離を目的とする被処理流体は、スリット孔
９の幅長の大きさによってその大きさより大きい濾過な
いし分離された残渣物は取除かれ、スリット孔９の幅長
より小さい粒子を含む流体は、通過して所謂、濾過ない
し分離を行うことができる。

濾過ないし分離された残渣物は、線材６の円筒状内周曲
面の平滑曲面Ｐ上に堆積されるとか逆方向（二次側）よ
りの流体により逆洗またはスクレーパ（図示せず）とか
によって簡単にしかも確実に清拭できるので、好みの濾
過ないし分離を連続に行うことができる。

以上、この発明について一実施例を説明したが、上述の
円筒状枠板１は、図示しないが支枠４に代えて多数の孔
を開口した平板とか格子状の網板とかスノコ状板などを
円筒状に加工して用いても良く、さらに、係止溝５は渦
巻状に捲装される線材６の断面形状が丸形、楕円形、梯
形などの形状に応じてそれぞれの形状と係合できる溝と
して形成できることは勿論である。

また、円筒状枠板１の環状部２，３と、捲装される線材
６の両端との固定固着手段は、前記実施例のビスなどの
係止具８による両端固定に加えて、スポット溶着とか、
接着剤による固着など好みの方法を用いることができ
る。

〔発明の効果〕

この発明によれば、所望の断面形状に加工した線材によ
って円筒状枠板の内面に平滑曲面を形成し、渦巻状のス
リット孔を形成した、所謂線的処理孔となって濾過ない
し分離などの処理量は著しく大きくできる濾過ないし分
離用円筒状素子を製造できる。

そして、スリット孔自体渦巻状に捲回された線材の隣り
合う間隙によって渦巻状に形成でき、線材の両端部を円
筒状枠板に係止固定するだけで、線材の両端以外は円筒
状枠板に溶接したりすることなく、線材の持つ弾性によ
って円筒状枠板に確実に係止固定することができ、その
スリット孔の幅長を精度よく決定し、線材自体の弾性復
元力によりスリット孔の形状・精度を保持することがで
き高精度の濾過ないし分離用円筒素子を極めて容易に製
造することができる。

更に線材と円筒状枠板を溶接する必要がないので、円筒
状枠板を線材と異なる材質、例えばプラスチック等で形
成し使用することができ、濾過ないし分離状況を観察す
ることができる濾過ないし分離用円筒状素子を製造する
こともできる。

これによって、円筒状素子の内面全体が平滑曲面として
形成でき、所謂内側より外方に向って処理流体を流すこ
とができるので各種使いすてフィルターの代りにパーマ
ネント用の濾過ないし分離素子として広く交換性を以っ
て利用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明に係る濾過ないし分離用円筒状素子
の一実施例を示す一部切欠側面図、第２図は同上要部の
一部拡大断面図、第３図は同じく要部の線材を取除いた
状態の部分拡大断面図、第４図は同上のIV−IV線断面図
である。 １……円筒状枠板 ４……支枠 ５……係止溝 ６……線材 ９……スリット孔

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】多孔構造を備えた円筒状枠板の内面に一方
   より他方に向う渦巻状で不連続な係止溝を穿設し、この
   係止溝に所望の断面形状に加工した線材の外周端縁を線
   材の弾性に抗して湾曲係止し、線材の弾性復元力により
   固定させ、前記線材の両端部を固定固着手段で前記円筒
   状枠板に係止固定し、隣り合う線材の周縁間に渦巻状の
   スリット孔を形成することを特徴とする濾過ないし分離
   用円筒状素子の製造方法。
2. 【請求項２】多孔構造の円筒状枠板は、同一形状の二つ
   の環状部材と多数の支枠により形成して成る特許請求の
   範囲第１項記載の濾過ないし分離用円筒状素子の製造方
   法。
3. 【請求項３】渦巻状の係止溝は、断面Ｖ字形に穿ち、断
   面二等辺三角形状の線材の頂面を係合させて成る特許請
   求の範囲第１項記載の濾過ないし分離用円筒状素子の製
   造方法。