JPH06111772A

JPH06111772A - 高圧放電灯

Info

Publication number: JPH06111772A
Application number: JP4260335A
Authority: JP
Inventors: Toshihiko Ishigami; 敏彦石神; Atsushi Saida; 淳斉田; Hideki Ito; 秀樹伊藤; Toshio Hiruta; 寿男蛭田
Original assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Current assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Priority date: 1992-09-29
Filing date: 1992-09-29
Publication date: 1994-04-22

Abstract

(57)【要約】【目的】調光による色特性の変化を低減すると共に、瞬
時始動と再始動とを可能にする。【構成】石英製発光管２内に、Ｘｅを５気圧、ＮａＩを
１０mg、ＳｃＩ₃を２mgそれぞれ封入する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は従来のメタルハライドラ
ンプの発光管内に封入される封入物を改良した高圧放電
灯に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のメタルハライドランプは一対の電
極を内蔵する発光管内に、希ガスと水銀と金属ハロゲン
化物を封入し、点灯装置により一定入力で点灯するよう
になっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のメタルハライドランプでは、ランプ電圧を維
持するために水銀を発光管内に封入しているので、その
メタルハライドランプを調光しようとすると放射光の色
特性が大きく変化してしまうという課題がある。

【０００４】例えば、発光管内にＮａＩ−ＳｃＩ₃−Ｈ
ｇを封入したメタルハライドランプでは、ランプ入力が
大きくて発光管内の温度が高いときには、図３の分光分
布図に示すようにＮａ，Ｓｃが主に発光するが、調光の
ためにランプ入力を下げると、発光管の温度が下がると
共に、低蒸気圧のＮａＩとＳｃＩ₃の発光管内の蒸気圧
が下がる。このために、図４の分光分布図に示すように
発光の主体が水銀となり、調光の前後では色特性が大き
く変化してしまう。

【０００５】また、調光のため入力を変化させるのにパ
ルス点灯を使用すると、一対の電極に供給するパルス電
流のデューティ比を制御するが、例えば方形のパルス電
流（波高値）を大きくして、オンデューティを小さくす
ると、パルス電流通過時にアーク温度が高くなり、励起
エネルギの大きい水銀発光が有利となって図４に示すよ
うな水銀の発光が主体となり、これと同一のランプ入力
でもパルス電流（波高値）を小さくしてオンデューティ
を大きくした場合の図３で示す分光分布よりも、水銀発
光が顕著になる。その結果、色温度が高くなり、平均演
色評価数Ｒａが低下する。

【０００６】また、始動点灯時には、希ガスが発光する
が、この希ガスの封入圧は数十からせいぜい２００torr
程度の低圧であり、効率も低いために、その発光は非常
に弱い上に、ランプ電圧を維持するバッファガスの水銀
が高抵抗であるので、瞬時始動（点灯）と再始動が行い
難いという課題もある。

【０００７】そこで本発明は、このような事情を考慮し
てなされたもので、その目的は調光による色特性の変化
を低減すると共に、瞬時始動と再始動を行なうことがで
きる高圧放電灯を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、従来のメタル
ハライドランプの課題が、発光管内に封入されている水
銀に起因するので、その水銀を除去したものであり、次
のように構成される。

【０００９】本願の請求項１に記載の発明（以下、第１
の発明という）は、パルス電圧が制御自在に印加される
一対の電極を内蔵した発光管内に、希ガスと金属ハロゲ
ン化物とを封入したことを特徴とする。

【００１０】また、本願の請求項２に記載の発明（以
下、第２の発明という）は、希ガスが、Ｘｅ，Ｋｒ、こ
れらの混合の少なくともいずれかであることを特徴とす
る。

【００１１】さらに、本願の請求項３に記載の発明（以
下、第３の発明という）は、希ガスは、２気圧以上の圧
力で発光管内に封入されていることを特徴とする。

【００１２】本願の請求項４に記載の発明（以下、第４
の発明という）は、請求項１記載の高圧放電灯を車体の
前面部に設けたことを特徴とする。

【００１３】

【作用】

〈第１，第２の発明〉Ｘｅ，Ｋｒ等の希ガスと金属ハロ
ゲン化物を発光管内に封入し、水銀を封入していないの
で、水銀に起因する調光による色特性の変化を低減する
ことができる。

【００１４】また、Ｘｅ，Ｋｒ等の希ガスは既にガス化
しているので、これらが蒸発する時間が必要でなく、光
束の立上りが良好であり、そのために、瞬時始動を容易
に行なうことができ、また始動の妨害をする大量の水銀
がないので比較的低いパルス電圧で再始動が可能であ
る。

【００１５】〈第３の発明〉希ガスを２気圧以上の圧力
で発光管内に封入しているが、これは従来例が数十から
せいぜい２００torr程度であるのに比して高圧であるの
で、電位傾度を増大させて明るさを高めることができ
る。

【００１６】〈第４の発明〉第１の発明に係る高圧放電
灯は瞬時始動と再始動が容易であるので、この高圧放電
灯を車両の前照灯として組み込んでいる本発明は、この
前照灯の瞬時始動と再始動を行なうことができる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面等に基づいて説
明する。

【００１８】図１は本発明の一実施例の高圧放電灯に、
点灯装置を接続した場合の構成を示す図であり、高圧放
電灯１は楕円球状の石英製発光管２内に、図中左右一対
の電極３ａ，３ｂを内蔵し、これら一対の電極３ａ，３
ｂに一対のリード線４ａ，４ｂを接続している。

【００１９】一対のリード線４ａ，４ｂの先端部は、発
光管２の一対の封止端部５ａ，５ｂに埋設された各モリ
ブデン箔６ａ，６ｂを介して外部に延出している。

【００２０】そして、発光管２内にＸｅやＫｒ等の希ガ
スと金属ハロゲン化物とを封入している。このように構
成された高圧放電灯１の性能を検査するために、その一
対のリード線４ａ，４ｂに、例えば１５ＫＶのパルス電
圧を発生する始動回路７を接続すると共に、始動点灯時
に定常の８倍の電流を流す電流制御回路８と、パルスを
発生させるパルス回路９との直列回路とを並列に接続
し、パルス発生回路９には複数の調光スイッチを備えた
スイッチ盤１０を接続して次の実験を行なった。

【００２１】まず、定格入力が１５０Ｗでランプ電流が
１．９Ａの高圧放電灯１の内部電極間距離を８mmに設定
し、内径が７mmの石英製発光管２内に、Ｘｅを５気圧、
NaIを１０mg、ＳｃＩ₃を２mgそれぞれ封入した。

【００２２】そこで、高圧放電灯１の始動点灯時に、図
示しない電源スイッチを投入後、電流制御回路６の制御
により通常の８倍のランプ電流を通電してから、順次下
げていくことにより、図２に示すように光束を瞬時に立
ち上げることができる。このように始動時に大電流を通
電することにより、希ガスの発光効率の低下を補足して
瞬時点灯を可能にしている。

【００２３】また、次の表１に示すように調光スイッチ
〜を順次オンして、一対の電極３ａ，３ｂに通電さ
れるパルス電流の波高値等を適宜制御したところ、同表
に示すように、調光率を１００％〜２０％まで制御した
場合においても平均演色評価数Ｒａの変化が少なく、調
光による色特性の変化が小さいことが実証された。ま
た、ほぼ全体の調光率に亘って全光束が大きく、高効率
であることが判明した。そして、Ｘｅを２気圧以上で発
光管２内に封入しているので、電位傾度が増大するが、
通常の適用電源点灯では水銀と同等の電位傾度まで高め
ることはできない。しかし、一対の電極３ａ，３ｂに供
給するパルス電流のオンデューティを小さくすると、電
位傾度を水銀程度に増大させることができる。これは、
パルス電流が流れないときは発光管２内のアークが冷え
てアーク温度が低下するためにＸｅの希ガスの電気抵抗
が増大するためである。これにより、水銀と匹敵するラ
ンプ電圧を得ることができる。

【００２４】

【表１】

【００２５】次に、発光管２内に、Ｘｅを５気圧、Ｄｙ
Ｂｒ₃を３mg、ＨｏＢｒ₃を３mg、ＴｍＢｒ₃を３mg、
ＣｓＩを５mgそれぞれ封入して、前記実施例と同様の実
験を行なったところ、次の表２のデータを得た。

【００２６】

【表２】

【００２７】この実験例では発光物質のＤｙ，Ｈｏ，Ｔ
ｍがそのハロゲン化物の蒸気圧が互いに近い上に、連続
スペクトル発光であるので、前記実験例よりも調光によ
る色温度の変化が少なく、高演色である。但し、効率は
若干劣る。

【００２８】なお、前記実験例では希ガスとしてＸｅを
封入した場合について説明したが、本発明はこれに限定
されるものではなく、希ガスとしてはＫｒでもよく、ま
たは、ＸｅとＫｒとの混合物でもよく、あるいはこれら
に他のガスを添加してもよい。

【００２９】なお、複数の金属ハロゲン化物を組み合せ
る場合にはこれらの蒸気圧が互いにほぼ均衡するものが
よい。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように本願第１、第２の発
明は、発光管内に、Ｘｅ，Ｋｒ等の希ガスと金属ハロゲ
ン化物を封入し、水銀を封入しないので、水銀に起因す
る調光による色特性の変化を低減することができる。ま
た、Ｘｅ，Ｋｒ等の希ガスは既にガス化しているので、
これらをガス化する必要がなく、光束の立上りがよく、
瞬時始動と再始動とを容易に行なうことができる。

【００３１】また、本願第３の発明は希ガスを２気圧以
上の圧力で発光管内に封入するので、電位傾度を増大さ
せて明るさを高めることができる。

【００３２】さらに、本願第４の発明は瞬時始動と再始
動が行なえる第１の発明に係る高圧放電灯を車両用の前
照灯として組み込むので、この前照灯を瞬時始動と再始
動を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願第１〜第３の発明を含む一実施例の高圧放
電灯とこれを点灯させる点灯装置の接続例を示す図。

【図２】図１で示す実験例の光束の立上りを示すグラ
フ。

【図３】従来のメタルハライドランプのランプ入力が大
きいときの分光分布を示す図。

【図４】従来のメタルハライドランプのランプ入力が小
さいときの分光分布を示す図。

【符号の説明】

１高圧放電灯２発光管３ａ，３ｂ一対のリード線４ａ，４ｂ一対のリード線５ａ，５ｂ一対の封止端部６ａ，６ｂ一対のモリブデン箔７始動回路８電流制御回路９パルス回路１０スイッチ盤

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者蛭田寿男東京都港区三田一丁目４番28号東芝ライテック株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】パルス電圧が制御自在に印加される一対
の電極を内蔵した発光管内に、希ガスと金属ハロゲン化
物とを封入したことを特徴とする高圧放電灯。
【請求項２】希ガスが、Ｘｅ，Ｋｒ、これらの混合の
少なくともいずれかであることを特徴とする請求項１記
載の高圧放電灯。
【請求項３】希ガスは、２気圧以上の圧力で発光管内
に封入されていることを特徴とする請求項１または２記
載の高圧放電灯。
【請求項４】請求項１記載の高圧放電灯を車体の前面
部に設けたことを特徴とする車両用前照灯。