JPH06109184A - 薄肉パイプの締結方法 - Google Patents

薄肉パイプの締結方法

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JPH06109184A
JPH06109184A JP3330928A JP33092891A JPH06109184A JP H06109184 A JPH06109184 A JP H06109184A JP 3330928 A JP3330928 A JP 3330928A JP 33092891 A JP33092891 A JP 33092891A JP H06109184 A JPH06109184 A JP H06109184A
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JP
Japan
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pipe
joint
shape memory
memory alloy
fastening
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JP3330928A
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English (en)
Inventor
Tadakatsu Maruyama
忠克 丸山
Hiroyuki Tanahashi
浩之 棚橋
Akihiko Mio
堯彦 三尾
Ryoji Shibata
良治 柴田
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Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
WATANABE KOGYO KK
Original Assignee
Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
WATANABE KOGYO KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄肉のステンレス鋼パイプの締結には、ねじ
切りも溶接も難しいため、施工が簡便で、しかも信頼性
の高い締結ができるような方法の開発が期待されてい
る。本発明は形状記憶合金製の継手を利用して、薄肉パ
イプを確実に締結するための方法を提供するものであ
る。 【構成】 締結しようとするパイプ端部にテーパ加工を
施し、開孔部内面がテーパ状の形状記憶合金製継手に差
し込んで加熱することによって締結できるようにした。
テーパ部の勾配は大きすぎても小さすぎても不都合で、
1/200から1/10程度の範囲、好ましくは1/1
50から1/50の範囲にする。 【効果】 締結しようとするパイプの外径に差があった
り、へこみ等があってもテーパ加工時に矯正されるた
め、極めて信頼性の高い締結状態が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として薄肉のパイプ
とパイプとを締結するための締結方法に関する。
【0002】
【従来の技術】配管には、用いるパイプの種類、用途、
扱う流体の種類に応じた多くの種類があり、これらに対
応して配管の施工方法にもまた多くの種類がある。パイ
プ端部に雄ねじを切り、雌ねじを有する継手と噛み合わ
せることによってパイプ同士を締結する方法や溶接によ
る方法が、中でも最も普通に行われている配管施工方法
である。しかしながらパイプの肉厚が極端に薄い場合に
は、端部にねじ加工を行うことが困難なため、ねじ式継
手を使用することが不可能である。一方の溶接による方
法も、パイプの肉厚が薄いとパイプが解けてしまいやす
く、簡単には用いることができない。薄肉の屋内配管用
ステンレス鋼管は耐食性に優れていて、水道用の配管を
中心として多くの需要があるにもかかわらず実用例が思
ったほどに伸びないのは、性能がよくてかつ簡単に施工
できる継手のないことが大きな理由となっている。
【0003】形状記憶合金を利用した各種の配管用継手
は、このような薄肉のパイプ用の継手として大きな期待
が持たれている。形状記憶合金製配管用継手にも色々な
種類があるが、基本的には、形状記憶合金の円筒を、締
結しようとするパイプの外径より多少小さい内径をもつ
ように製作して形状記憶処理を行った後にパイプの外径
より少し大きめの内径まで拡管し、パイプを差し込んで
から円筒部分を加熱することによって、該円筒部分が先
に記憶させた細い内径へと形状回復しようとする時に発
生する力を利用して、パイプを締め付けてしまうという
ものである。形状回復させるための加熱は、通常、高々
200〜300℃程度であるから、溶接のようにパイプ
を溶かしてしまう心配はまったく不要である。またねじ
式継手のようにパイプにねじ加工をすることによって、
もともと薄いパイプの肉厚をさらに薄くしてしまうこと
による強度の低下も生じない。形状記憶合金製円筒の収
縮力は円筒の円周に均一に働くものであるから、薄肉パ
イプを潰したり傷をつけたりすることなく包み込むよう
に締結できるという特徴がある。
【0004】ところが形状記憶合金製の配管用継手にも
大きな欠点がある。形状記憶合金の中でも、特に配管用
継手のように加工が容易で大量に使えるような低コスト
の形状記憶合金は、形状回復特性に制限があって、締結
しようとするパイプの外径がよほど均一に揃っているも
のでない限り、簡単には使用できないところが最大の問
題である。パイプの外径は、当然のことながら一定のば
らつきまでは規格上許容されている。形状記憶合金の形
状回復過程で発生するひずみの大きさが、この許容され
ているパイプの外径許容範囲に比べて余裕を持って大き
な値であれば問題はない。しかし、例えば最もコストと
安い鉄基の形状記憶合金の実際の形状回復量は、継手と
なる円筒状に加工した場合の円筒内径の収縮率にして
3.5%がせいぜいである。一方のパイプ側の外径の精
度は、パイプ径の小さい範囲では4%を超えている場合
もある。そのような場合には、規格上限の外径を有する
パイプに対して差込み可能な大きさに継手の内径を作っ
てしまうと、規格下限近くのパイプに使用された時に
は、形状記憶合金の収縮代では締結するのが不可能だと
いうことになってしまう。
【0005】形状記憶合金製配管用継手のもう一つの欠
点は、継手の開口部の中にパイプの必要な長さが確実に
差し込まれていることを確認しにくいことである。形状
記憶合金製配管用継手が完全な締結性能を発揮できるた
めには、継手の中に、パイプが適正長さだけ差し込まれ
ていなければならないのは当然である。しかし差し込ま
れたパイプの先端が継手の中のどこにあるかを直接確認
することはできないから、事前にパイプの端部からの決
まった位置にマーキングを行って、その基準位置が継手
の開口部端部に重なるまで確実に差し込む、等の管理が
必要となる。ところがそのようにして、一旦は適正な長
さの差込みが行われたとしても、継手を加熱する最中に
抜けが生じてしまうのを避けるのは容易なことではな
い。
【0006】形状記憶合金製配管用継手のこのような欠
点に対しては、次のような対策が考えられている。まず
前者のパイプ外径のばらつきに対しては、継手の開口部
の内径を階段状あるいはテーパ状にして、パイプの実外
径と継手の内径との関係が常に適正となるようにしたり
(特開平1−295092号公報)、あるいは継手の中
間部分を薄肉にして、継手の左右が各々差し込まれたパ
イプの外径に応じて互いに干渉しあわずに収縮できるよ
うにする(実開平2−29385号公報)等が行われて
いる。また後者、すなわち継手内へのパイプの差込み長
さを適正に確保するためには、継手中央部にパイプが突
き当たるための「位置決めリング」を設ける方法等(特
開平3−48091号公報)が提案されている。このう
ち継手の開口部の内径を階段状もしくはテーパ状とした
外径差のあるパイプの締結用に使用できる継手(特開平
1−295092号公報)は、本発明者らが先に出願し
たものであるが、開口部を階段状に作るのは継手長さが
長くなり過ぎるきらいがあって実際に広く使用されるに
は至っていない。また一方の開口部をテーパ状にした継
手は、テーパ状の継手開口部に切断したままのパイプ端
部を差し込むので継手内面とパイプ外面との間の接触が
不完全になり易く、必ずしも常に完全な締結が行えると
は限らないという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】形状記憶合金を利用し
たパイプ用継手で問題になる最大の欠点、すなわち締結
しようとするパイプの外径にばらつきがあると安定した
締結性能が確保できないこと、に対して、できるだけコ
ストのかからない解決方法を見出し、特に従来適当な締
結手段のなかった薄肉パイプの締結にも使用でき、施工
作業が容易でかつ優れた継手性能の得られるパイプの締
結方法を提供することが本発明の目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、必要な長さに切断された後の締結しようとする側
のパイプ端部にテーパ加工を行い、前記のテーパを有す
るパイプ端部を、パイプを差し込むための開口部が端部
から奥に向かって内径が小さくなるようなテーパを持つ
ように形成されている形状記憶合金製の継手に差し込ん
だ上で、該形状記憶合金製の継手部分をその合金の形状
回復温度以上に加熱することを特徴とする薄肉パイプの
締結方法にある。ただし前記形状記憶合金製の継手はそ
の開口部の少なくとも内面にメッキが施されているか、
開口部内面にシール剤が塗布されているか、あるいは前
記のメッキとシール剤が共用されているものを使用する
こともできる。
【0009】パイプ締結用継手としての理想は、締結し
ようとするパイプ側に何等の細工を加えずに締結作業が
行えることであるのはいうまでもない。必要な長さに切
断したパイプをそのまま継手の中に差し込んで十分な性
能が得られる継手があれば、これに優るものはない。溶
接を利用する継手の中にはパイプ側に細工をしないでよ
い方法もないではないが、溶接自体が誰でもできるもの
ではなく、仮にパイプ端面加工が不用なことを差し引け
る場合でさえ、溶接によるパイプの締結作業が簡便とは
言い難い。一般には、パイプ端面に雄ねじを加工して、
雌ねじを有する継手にねじ込む方法の方が、むしろ施工
作業上は手軽に行えるものとして広く普及しているのが
現状である。
【0010】形状記憶合金を利用した継手は、溶接もね
じも必要としない施工簡便性の点で既存のパイプ締結方
法を大きく改善する可能性を秘めている。パイプ側に何
等の予備的な加工を行わずにそのまま締結できる継手
も、条件によっては作ることが可能である。しかし形状
回復特性の優れた高価な合金を使用すれば別であるが、
工業的に大量に使用できる安価な形状記憶合金を利用し
た継手の場合には、現実のパイプの外径のばらつきや、
輸送中に生じたへこみや打ちキズ等の原因によって締結
部の性能に差が生じないようにするのは決して容易なこ
とではない。締結しようとするパイプが薄肉の場合には
管端部が変形しやすいので、特に注意が必要である。こ
れらの、締結を不安定にする要因からの影響を受けにく
い形状記憶合金製の配管用継手もしくはパイプ締結方法
を実現するためには、高価であっても性能の優れた合金
を利用するのが一つの考え方である。しかしそれとは逆
に、締結しようとするパイプに予備的な多少の加工を加
えることを認めることによって、性能に不十分さはあっ
ても安価な合金を使った継手を使用する性能の優れた継
手方法の実現も可能ではなかろうか。
【0011】本発明者らはこのような観点に立って現行
の形状記憶合金製配管用継手の問題点を解決するための
最も簡便な方法を検討した結果、継手としては、本発明
者らが加わって以前に完成した、開口部の内径をテーパ
状とした外径差のあるパイプの締結用の継手(前出の特
開平1−295092号公報)を使用し、かつ締結する
パイプ側については切断したパイプの端部に緩いテーパ
状の加工を加えた上で、前記継手のテーパ状開口部に差
し込んで、形状記憶合金製継手円筒の加熱による収縮に
よって締結する方法が最善であるとの結論に達したもの
である。パイプの端部にテーパをつける加工は余分な手
間になるけれども、もともと肉厚の薄いパイプに対して
わずかなテーパを付与するだけの加工は、ねじ式継手を
使用する配管作業で通常行われているパイプへのねじ切
り作業に比べてもはるかに容易なものであり、現場作業
として十分受け入れられる範囲内のものである。
【0012】本発明による形状記憶合金製配管用継手で
締結しようとするパイプは、規定の長さに切断された後
に、パイプ端部に対してテーパ加工を施すことが必要で
ある。このテーパ加工は本発明において重要な意味を持
つことになるので、まずこの点について説明する。テー
パ加工は、加工された後のパイプの最端部の外径(図2
のd1)が、締結しようとする同サイズの一連のパイプ
についてはほぼ一定の大きさになるようにしておく必要
がある。加工は旋盤等で切削してもよいが、図3(a)
のようにパイプ端部の肉厚が薄くなってしまうのを避け
るために、冷間絞り加工法によって図3(b)のように
行うことがより望ましい。テーパはあまり緩いと加工範
囲が長くなりすぎる一方、あまりに急なテーパを付与す
ると締結後のパイプが抜け出し易くなるので、直径に対
する勾配で1/200程度から1/10程度の範囲、よ
り好ましくは1/150から1/50の範囲とするのが
好ましい。また最端部の外径、すなわち図2のd1の大
きさは、そのパイプの規格下限外径値より数%程度小さ
い値にするのが適当である。このような条件にしたがっ
てテーパ加工を行うため、パイプ端部に形成されるテー
パ部の長さ(図2のL1)は、パイプの元の外径(図2
のD)が大きければ長くなり、小さければ短くなる。
【0013】本発明によるパイプ締結方法に使用するた
めの形状記憶合金製の継手は、開口部の内径をテーパ状
とした外径差のあるパイプの締結用の継手(前出の特開
平1−295092号公報の第2発明項記載の継手)を
使用するが、特に継手の開口部のテーパは前記の締結し
ようとするパイプの端部に形成するテーパと同一のもの
を使用する。図4はそのいくつかの例であるが、図に示
されているように、継手の開口部は、端面から奥に向か
うほど直径が小さくなるようなテーパを持っていて、一
番すぼまった部分の直径(図4のd0)は、この継手で
締結しようとするテーパ加工されたパイプの先端部の外
径(図2のd1)と同じか多少小さくなるように製作さ
れたものを使用する。
【0014】次に、以上に述べたテーパを形成されたパ
イプを、以上に述べた開口部にテーパを有する形状記憶
合金製の継手に差し込んで締結する具体的な方法につい
て説明する。その前に、本発明によらない通常の形状記
憶合金製配管用継手を使用した場合に生じる不都合点
を、図5によって確認しておきたい。図5において10
が最も基本的な形状記憶合金製の配管用継手である。既
存の形状記憶合金製配管用継手の中には、継手内面に突
起を持ったり、ライナーやシール剤を有するものもある
が、ここでは内面が平滑な最も単純な形状の継手を例示
した。この継手で締結しようとするパイプの内、20で
示したのは外径が比較的太いパイプである。このパイプ
を継手10の中に差し込むと、図5(a)に示したよう
に、継手内径とパイプ外径とのあいだの隙間(g1 )は
非常に小さな値となり、形状記憶合金製の継手10が加
熱によってほんの少しだけ内径を収縮させればパイプは
緊密に締結される。一方、30で示されたパイプは外径
が比較的細いパイプである。このパイプを同じ形状記憶
合金製の継手10の中に差し込むと、図5(b)のよう
に、継手内径とパイプ外径の間のギャップ(g2 )は大
きな値となり、形状記憶合金製の継手が加熱によって収
縮してもパイプを十分に締結するのは困難になる場合が
生じてしまう。
【0015】もう一つの例として、本発明が使用する開
口部の内径をテーパ状とした外径差のあるパイプの締結
用の継手(特開平1−295092号公報)を、本発明
にはよらない、その継手の本来の使い方に従ってパイプ
の締結に使用した場合の締結法を図6に示す。図5の場
合と同じように太めのパイプ(図6の(a))と細めの
パイプ(図6の(b))を継手開口部に差し込むと、確
かにパイプ端部だけは継手開口部の内面に接触する形で
隙間のない状態が部分的に実現する。しかし継手内面と
パイプとの接触はパイプ端部の円周部分だけの線接触に
過ぎないのは自明である。この状態で形状記憶合金製継
手を加熱して内径を収縮させると一応の締結状態が実現
するものの、継手の開口部内面とパイプの外面とが互い
の面同士が緊密に密着した状態にはなり得ないから、こ
の方法で締結された後の継手部分の特性は常に安定なも
のとはなり得ずに終わってしまう。
【0016】これに対して本発明によるパイプ締結方法
を図1によって説明する。図1の1は開口部にテーパを
有する形状記憶合金製配管用継手であり、2はこの継手
で締結しようとする比較的外径の太いパイプ、また3は
同じ継手で締結しようとする外径の細いパイプである。
2と3のどちらのパイプにも切断されたパイプ端面にテ
ーパ加工がなされているが、その先端部の外径は、元の
パイプの外径と無関係に一定の大きさになるようにテー
パがつけられている。したがって元の太さの異なるどち
らのパイプを継手に差し込んだ場合にも、パイプ先端は
継手開口部のほぼ同じ位置まで挿入された後、継手開口
部内面とパイプ外面とのテーパ面同士の接触によって決
まった位置で停止する。元々外径の太かったパイプの方
はテーパ加工された領域が長いため、テーパ加工部が継
手の外の部分まで出ているのに対して、元の外径の細か
ったパイプの方は、テーパ加工部が完全に継手の開口部
内に収まっていて外からはパイプのテーパ部を確認でき
なくなっているという違いがある。しかしどちらの場合
にも継手の中にパイプの同じ長さが差し込まれていて、
しかも先の本発明によらない締結方法にしたがって継手
にパイプを差し込んだ場合に存在した、継手内径とパイ
プ外径との間の隙間(図5の(g1 )や(g 2 ))がま
ったくなくなってしまうのと、パイプと継手との間が線
接触ではなく面同士で密着する点が大きな特徴である。
【0017】形状記憶合金製の配管用継手でパイプを締
結するためには、本発明によらない従来法の場合には図
5や図6のような状態から、また本発明による締結方法
の場合には図1の状態から、継手部に対して一定温度へ
の加熱が行われる。この加熱によって形状記憶合金製の
継手が収縮してパイプを周囲から包み込むように締結す
ることになるが、本発明の場合には、締結しようとする
パイプの外径にばらつきがあったとしても図1のように
常に継手内径とパイプ外径の間の隙間がなく密着した状
態を実現させた上で継手の収縮を行わせることができる
ため、継手の収縮がすべてパイプの締結力に変換され
て、きわめて安定した締結が実現できるのである。
【0018】以上の説明は締結しようとするパイプの外
径にばらつきがあった場合を対象として行ったが、パイ
プ端部に打ちキズや変形等がある場合にも、締結しよう
とするパイプ端部に予備的にテーパ加工する時にかなり
の程度まで矯正されるので、これらの要因が引き起こす
締結性能のばらつきが、本発明においては非常に発生し
にくくなっている。また開口部にテーパのない形状記憶
合金製の継手の場合には、パイプは継手の中に押せば押
すだけ入ってしまい、反対側から差し込まれているパイ
プを押しだしてしまう危険がある。これに対してテーパ
のある継手開口部にテーパのあるパイプを差し込む本発
明による方法の場合には、パイプ先端の外径d1が継手
開口部の最もすぼまった部分の内径d0と等しいかd0
より大きい範囲になるように正しくテーパ加工がなされ
ている限りでは、パイプ先端が継手の最もすぼまった部
分に達する前に継手のテーパ部とパイプのテーパ部が密
着してしまうから、反対側から差し込まれたパイプを押
し出してしまう心配は皆無である。さらに継手を加熱す
る間にパイプの差込み状態が変化してしまう心配に対し
ても、継手の方向にパイプを軽く押し込むような力を加
えながら加熱を行うことによってほとんど問題のない状
態を実現することができる。
【0019】なお以上の説明は最も単純にパイプを直線
的に締結する場合について行ってきたが、曲がり部用や
分岐用の継手部分に本発明の締結方法を適用することも
当然可能である。本発明による形状記憶合金製配管用継
手を使ってパイプを締結する場合に必要となる加熱につ
いては、従来既に形状記憶合金製配管用継手加熱装置と
して種々の方式のものが開発されているので、これらの
中から施工条件に合うものを選んで使用することができ
る。
【0020】メッキを、少なくとも円筒内面部に施すの
は、配管系の内部を通る流体が腐食性の強い場合に、継
手の腐食を防止するのが目的である。このメッキは基本
的には継手内面にあればよいのであるが、作業上継手外
面や端面を含む全面がメッキされてしまっても差し仕え
はない。メッキの種類としては通常行われているニッケ
ル、クロム、銅、亜鉛等やこれらを主とする合金メッキ
が利用できる。ただしメッキ中に水素を吸着すると合金
が脆性破壊する心配が生じるので、無電解メッキ方式で
薄めの皮膜をつけることが望ましい。またシール剤も同
じような目的で使用するものであるが、ステンレスペイ
ント等の耐熱性と耐食性能を併せ持つ既存のシール剤を
使用することができる。
【0021】次に本発明に用いる形状記憶合金の種類に
ついて述べる。性能の高い形状記憶合金が利用できない
わけではないから、本発明に用いる形状記憶合金の種類
は基本的には制限する必要はないのであるが、継手製作
上テーパ部を形成することが必須となる上、締結しよう
とするパイプ側にも切断した後でテーパ加工が必要とな
ることから、高価な合金を用いて継手コストが高くなり
すぎるのは好ましいことではない。実際、継手に加工し
た後の内径収縮率として概ね1.5%以上を確保できる
ような形状記憶合金であれば十分に利用が可能であるか
ら、安価な鉄基の合金を、それも後に述べるようなトレ
ーニング等の処理をせずにそのまま使用するのが、最も
望ましい選択の一つである。
【0022】最後に本発明の継手を製作するプロセスに
ついて説明する。まず形状記憶合金を円筒状に加工した
状態で、形状記憶処理を行う。円筒状への加工は、丸棒
などの材料をくり抜いても、板を成形後に溶接してもよ
いが、大きな内圧のかかる継手の場合には溶接によらな
い方法で円筒を得ることが好ましい。また形状記憶処理
は、使用する合金の種類に応じた特定の温度に加熱する
ことによって行われる。一般的には、記憶させようとす
る形状が加熱中に変化しないように拘束を加えた状態で
加熱することが必要であるが、円筒形状を記憶させる場
合には拘束することなく加熱するだけで十分な場合がほ
とんどである。次いで前記の円筒の内径を一定量だけ押
し広げる(拡管)。拡管の程度は形状記憶合金の種類に
よっても異なるが、数%から大きくても10%を超えな
い程度の場合が普通である。この後に、継手開口部内面
をテーパ状に加工すれば本発明に使用する形状記憶合金
製配管用継手が得られる。
【0023】ただし前記の工程で製作された継手では、
加熱された際の内径収縮率に不足のある場合には、前記
の一度拡管された形状記憶合金製円筒を形状回復温度ま
でいったん加熱して収縮を起こさせた後、二度目の拡管
を行ってから円筒内面にテーパ加工を行えばよい。この
ように拡管と熱処理を組み合わせて行う処理は形状記憶
合金に対するトレーニング処理として知られている方法
であり、一度だけでなく数回までは繰り返して行うほ
ど、形状記憶特性の向上することが確認されている。い
ずれの場合でも、形状記憶合金製円筒内面へのテーパ加
工は、最後の拡管を終わった最終段階で行われればよ
い。
【0024】また継手開口部にテーパを加工するための
より簡便な方法としては、まず単純な形状記憶合金製の
円筒を作って形状記憶処理を行った後に、テーパの付い
たマンドレルで開口部ごとに一定のテーパを付けながら
拡管を行えばよい。形状回復性能をより高くする必要の
ある場合には、前記のトレーニング処理をテーパ付きの
マンドレルでの拡管を2度にする形で行えばよい。ただ
し拡管の手段はマンドレル方式だけに限定されるもので
はなく、他の拡管方法、例えば水圧や油圧を用いて行う
ことも可能である。
【0025】
【作用】形状記憶合金製で開口部がテーパ状の継手を使
用する本発明による継手の締結方法は、締結しようとす
るパイプの端部に予備的にテーパ加工を行った上で前記
継手開口部に差込み、継手を加熱して収縮させることに
よって行われる。テーパを有するパイプは継手の開口部
に差し込まれるだけで、継手とパイプの両者のテーパ面
同士がしっかり密着する状態が実現する。このことが形
状記憶合金製配管用継手の内径収縮力を、パイプの締結
力に最も有効に変換するための条件を保証することにな
る。次に継手部分を、使用している形状記憶合金の形状
回復温度まで加熱して継手開口部を収縮させることによ
って、パイプと継手が完全な状態で締結される。使用す
るパイプの外径にばらつきやへこみ等があっても、予備
的なテーパ加工の際に矯正されるため、安定した継手性
能が常に確保される。
【0026】
【実施例】20−Suサイズの屋内配管用薄肉ステンレ
ス鋼パイプを、本発明の方法によって締結した。使用し
た継手は、28%Mn−6%Si−5%Crを主成分と
する鉄基形状記憶合金を用い、2mm厚の圧延板を成形
後溶接して長さ65mmの円筒を作り、900℃で形状
記憶処理を行った後、直径で1/100の勾配を持つよ
うにテーパ付きのマンドレルを使用して、円筒の中間部
5mmを残して片側ずつ両側を拡管した。継手の外観は
図4の(d)に示した形のものを採用したことになる。
以下の継手製作過程の説明で使用する拡管率という表現
は、開口部端部の内径拡大率を意味するものである。
【0027】まず、6%拡管−600℃加熱−内径6%
拡管の工程(工程1)で、最終的な継手開口部の最大内
径(端部)が21.85mm、最小内径が21.55m
mとなるように継手を作った。また900℃の形状記憶
処理を行った後に一度だけ6%の拡管を行っただけで、
工程1の継手よりは各部の内径が0.2mmずつ細いサ
イズとなる継手も製作し、こちらは無電解ニッケルメッ
キを目標メッキ厚みが10μmとなるように行った上、
継手内面にステンレスペイントを塗布乾燥させた(工程
2)。前者の工程1は、形状記憶効果を改善するための
トレーニング過程を含み、後者の工程2はトレーニング
を行わない場合に相当する。また工程2の継手はステン
レスペイントを開口部内面に約0.1mmの厚みとなる
ように塗布したから、工程1の継手と工程2の継手では
最終的な継手開口部の寸法はほぼ同一となった。
【0028】締結するパイプ側は、JIS規格の20−
Suサイズの屋内配管用薄肉ステンレス鋼パイプの中か
らパイプ外径に差のあるものを選んで使用した。使用し
たパイプの平均外径は、21.88〜22.19mmの
範囲であり、JIS規格上で許容されている外径範囲の
21.85〜22.22mmのほぼ全域に近い範囲をカ
バーすることができた。
【0029】パイプ端部に対するテーパ加工は、回転式
絞り加工機を用いて行った。絞られたパイプの先端の外
径は、21.55mmとなるようにした。テーパ部の勾
配が継手側と同じ1/100であるから、最も外径の細
い21.88mmのパイプの場合のテーパ部分の長さは
33mm、最も外径の太かった22.19mmのパイプ
の方のテーパ部分の長さは37mmとなった。使用する
形状記憶合金製の継手の側のテーパを有する開口部の長
さは片側30mm、開口部の一番奥の内径のすぼまった
部分の直径が21.55mmであるから、これらのパイ
プは継手開口部に差し込むとテーパ部分の内の先端部3
0mmの長さ部分が、継手開口部に収まることになる。
ステンレス鋼薄肉パイプの外径許容範囲はかなり小さい
範囲に規格で定められているので、本実施例のように極
くわずかなテーパをもった形状記憶合金製の継手を使用
することができ、パイプ端部に付けるテーパ加工も見た
目にはほとんど気にならない程度のものですんでしま
う。
【0030】継手の締結は、前記の継手に前記のテーパ
を予備加工したパイプを差し込んで、誘導加熱法を利用
した形状記憶合金製配管用継手加熱装置を用いて加熱す
ることによって行った。加熱温度は240℃で、実際に
加熱に要した時間はいずれの場合にも30秒以内の短時
間で行われた。この継手に使用した形状記憶合金を十分
に形状回復させるためには300℃までの加熱が望まし
いが、本発明によるパイプの締結に使用する場合は継手
の収縮がそれほど大きくする必要がないので、加熱が楽
になるように温度を240℃という低めに設定して締結
を行った。
【0031】工程1、2の継手とも、締結した後で締結
部分を引張り試験した結果では400kgf以上の高い
引き抜き阻止力が得られた。ステンレス協会が定めたこ
のサイズのパイプ用継手の規格は190kgf以上であ
るから、十分に高い締結力の得られていることがわか
る。また工程2の継手を用いて締結した場合には、内圧
5kgf/cm2 の空気圧付加に対してリークの生じな
いことが確認された。
【0032】なお工程2の継手を用いた締結試験の内の
1本を、300℃まで加熱して締結してみたところ、引
張り試験の値は1500kgfというきわめて高い値に
なった。高い締結力が必要となる締結の場合には、継手
の加熱温度を高めにすることが有効であった。
【0033】
【発明の効果】本発明による薄肉パイプの締結方法は、
パイプの外径にばらつきがあったり外面にへこみ等があ
っても、優れた継手性能を安定して確保する締結を行う
ことができる。パイプの端部にテーパ加工を行う必要は
あるが、後は継手にパイプを差し込んで加熱するだけで
パイプの締結作業が完了する。変形やキズがつき易く、
しかも溶接もねじ加工も困難な薄肉のパイプを締結する
ための継手として、特に優れた性能を発揮することがで
きる。また締結しようとするパイプの外面が継手開口部
の内面と密着した状態から形状記憶合金製継手の開口部
を収縮させることになるために、形状記憶合金の形状回
復性能を最大限度有効にパイプへの締結力に変換できる
ため、継手の加熱を低めの温度に抑えても十分な継手性
能が確保できる特徴もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパイプの締結状態を示す図であ
る。
【図2】本発明によるパイプの締結に際して、締結する
パイプ端部に予備的にテーパ加工をした状態を示す図で
ある。
【図3】パイプへの予備的なテーパ加工を切削によった
場合(a)と絞り加工によった場合(a)とのパイプ肉
厚変化の違いを示す図である。
【図4】本発明によるパイプの締結方法に使用する形状
記憶合金製配管用継手の例を示す図。
【図5】本発明によらない従来の形状記憶合金製配管用
継手を利用してパイプを締結する場合の代表的な例を示
す図。
【図6】本発明で使用する形状記憶合金製配管用継手
を、本発明によらない従来法に従って使用してパイプの
締結を行う場合の一例を示す図。
【符号の説明】 1 本発明による形状記憶合金製配管用継手 2、3 締結すべきパイプ 10 本発明によらない形状記憶合金製配管用
継手の例 20、30 本発明によらない形状記憶合金製配管用
継手によって締結すべきパイプ g1 、g2 継手内径とパイプとの間に生じる隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 棚橋 浩之 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式会社先端技術研究所内 (72)発明者 三尾 堯彦 東京都千代田区神田錦町3−6 淡路産業 株式会社東京支社内 (72)発明者 柴田 良治 埼玉県大宮市大字南中丸1117番地16

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必要な長さに切断された後の締結しよう
    とする側のパイプ端部にテーパ加工を行い、前記のテー
    パを有するパイプ端部を、パイプを差し込むための開口
    部が端部から奥に向かって内径が小さくなるようなテー
    パを持つように形成されている形状記憶合金製の継手に
    差し込んだ上で、該形状記憶合金製の継手部分をその合
    金の形状回復温度以上に加熱することを特徴とする薄肉
    パイプの締結方法。
JP3330928A 1991-12-13 1991-12-13 薄肉パイプの締結方法 Withdrawn JPH06109184A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014033775A1 (ja) * 2012-08-29 2014-03-06 株式会社島津製作所 チューブ接続コネクタ

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