JPH06210372A - 配管施工方法 - Google Patents

配管施工方法

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JPH06210372A
JPH06210372A JP25022192A JP25022192A JPH06210372A JP H06210372 A JPH06210372 A JP H06210372A JP 25022192 A JP25022192 A JP 25022192A JP 25022192 A JP25022192 A JP 25022192A JP H06210372 A JPH06210372 A JP H06210372A
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JP
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pipe
joint
shape memory
outer diameter
memory alloy
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Withdrawn
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JP25022192A
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English (en)
Inventor
Tadakatsu Maruyama
忠克 丸山
Hiroyuki Tanahashi
浩之 棚橋
Takahiko Mio
堯彦 三尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Priority to JP25022192A priority Critical patent/JPH06210372A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 内径収縮能力が十分でない形状記憶合金製の
継手を使用して、信頼性の高い配管施工を行うための方
法を提供する。 【構成】 公的規格で許容されている範囲以内であって
も、配管に使用するパイプの外径にバラツキがあると、
締結部の継手性能が不安定なものとなる。そこで施工前
にパイプの端部だけを拡管または縮管加工、もしくは切
削加工の内のいずれかの手段によって、端部の外径の精
度が所望のサイズを中心として±0.5%以内の均一な
寸法となるように予備的な加工を加えるようにした。こ
の予備的な加工によって、内径収縮率に制限のある安価
な形状記憶合金性の継手でも、安定して優れた継手部性
能を確保できる配管施工が行えるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄基形状記憶合金を利
用したパイプ用継手を用いて、信頼性の高い配管を実施
するための施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】形状記憶合金にはいろいろな種類がある
が、チタン−ニッケル系のように形状記憶特性の優れた
合金は高価なため、付加価値の高い特殊な用途を中心に
実用化されているものの、一般用途向けの利用には大き
な困難がある。一方、安価な鉄基の形状記憶合金は形状
回復能力が必ずしも十分でないために、やはり広範な用
途に使用されるには至っていない。すなわち前者のチタ
ン−ニッケル合金は6〜7%程度の形状回復ひずみを取
り出すことができるのに対して、鉄基の形状記憶合金の
場合は2〜3%に過ぎず、また形状回復過程で発生する
応力もチタン−ニッケル合金に及ばない。
【0003】一般に形状記憶合金の工業分野への応用と
して最も重要と考えられているのは、配管用継手であ
る。チタン−ニッケル合金を使用した継手が、コストは
無視しても施工性が良くて高い信頼性の要求される戦闘
機の配管等、特殊な分野で極めて限定的に実用されてい
る例が外国では知られているが、一般の配管分野で主流
となるには至っていない。また鉄基の形状記憶合金も、
将来の配管分野で広く採用されることが期待されてはい
るものの、現実にはその実用化は遅れている。
【0004】パイプ用継手への応用に関する鉄基形状記
憶合金の問題を具体的に説明する。表1は一般配管用の
ステンレス鋼パイプに対するJIS規格の外径許容差の
範囲を抜粋して示したものである。ステンレス鋼パイプ
は配管用パイプの中では規格上の外径許容差が狭い範囲
に規定されているものであるが、それでも現実には表1
の通り、特に細い外径の部分ではかなり大きな許容差が
認められている。例えば20Suというサイズのパイプ
はこの種のステンレス鋼パイプとして最も需要の多いサ
イズであるが、その外径許容差は+0、−0.37mm
となっている。0.37mmは20Su規格の平均外径
に対して1.7%に相当するから、この規格のパイプの
外径は最大1.7%の幅で変動する可能性があると考え
ておかなければならない。
【0005】
【表1】
【0006】一方、鉄基の形状記憶合金で製作したパイ
プ用継手の内径収縮率は、28Mn−6Si−5Crを
含有する代表的な鉄基形状記憶合金の場合で、本発明者
らが雑誌「溶接技術」誌の昭和63年9月号81ページ
に示したように、300℃までの加熱を行っても高々
2.6%程度にとどまっている。2.6%の内径収縮能
力しか持たない鉄基形状記憶合金製のパイプ用継手によ
って、外径の許容差が最大1.7%許容されている20
Suサイズのステンレス鋼パイプを締結しようとする
と、次のよう問題が発生する。
【0007】形状記憶合金製継手の内径は、締結しよう
とするパイプが容易に差し込めるようにするために、パ
イプの外径に対してある程度の余裕を持たせて製作する
ことが必要である。この余裕代は当然のことながら、規
格上許容されている最も太いパイプに対して設定されて
いる必要がある。また規格上最大の外径を有するパイプ
に合わせて作られた形状記憶合金製パイプ用継手は、一
方では、規格上許容されている下限の外径を有する細い
パイプにも問題なく使用できるものでなければならな
い。
【0008】一般に形状記憶合金製の継手を使ってパイ
プを締結する場合を考えると、次のようなことが必要と
なる。形状記憶合金製パイプ用継手に締結しようとする
パイプを差し込んで加熱すると継手は収縮を始めるが、
パイプの外径と継手の内径との間に一定の隙間があるの
で、継手内径がパイプ外面に接触するまでの間は、形状
記憶合金製継手は自由に収縮することができる。しかし
継手内面がパイプ外面に接触した後は、収縮しようとす
る継手の動きはパイプによって抑制され、代わりに応力
が発生してパイプを締結することができる訳である。締
結しようとするパイプ側の外径が常に一定であれば、そ
の外径のパイプをぎりぎりの状態で収容できる内径を持
った継手を作っておくことができるから、形状記憶合金
製継手の内径収縮能力は100%パイプの締結力に変換
することができる。しかし現実に外径のばらつきのある
パイプを締結するためには、前述のように、継手は規格
上最も太いパイプが収容できるだけの内径を持たせて作
られなければならないから、この継手を使って規格上細
目のパイプを締結しようとすると、継手の中にパイプを
差し込んだ状態で、パイプ外径と継手内径との間にはか
なりのギャップが存在することになってしまう。このギ
ャップが大き過ぎると、継手の内径はギャップ部分を自
由に収縮してくるだけで収縮能力の大半を使い果たして
しまい、パイプの外面に接触してからパイプを締結する
ための応力を発生させる肝心な段階での収縮能力を失っ
てしまうことになる。
【0009】図1は、この状況を具体的な例として示し
たものである。20Suサイズの一般配管用ステンレス
鋼パイプを、2.6%の内径収縮率を有する鉄基形状記
憶合金製継手によって締結した場合の、締結力と内圧付
加に対するシール性を図示してある。締結力は、パイプ
を締結した後にパイプ部分を引張って、パイプを引き抜
くために要した最大荷重を示し、白丸は内圧5kgf/
mm2 に対して漏れを生じなかったもの、黒丸は同じ条
件下で漏れを生じたものとして区別されている。横軸は
使用した形状記憶合金製継手の内径(D)とパイプ外径
(d)との差である。
【0010】横軸の値が0.2mm以内であれば、この
サイズの継手に対するステンレス協会規格の190kg
f以上に対して十分以上の締結力を持ち、かつ内圧シー
ル性も良好であることがわかる。しかし横軸の値が0.
2mmを超えて大きくなると、引張り強さも規格すれす
れのものから一部では規格に満たないものが出てくると
同時に、内圧シール性も不十分なものが多くなってくる
ことがわかる。パイプの規格上、外径が0.37mmの
範囲まで許容されているこのパイプに対して使用する継
手としては、少なくとも図1の横軸が0.37mmまで
の間の条件では、常に完全なシール性と締結力の得られ
るものでなければならない。ただ同じステンレス鋼配管
用のパイプでも外径が大きい側になれば、表1から明ら
かなように、外径に対する許容差は外径に対するパーセ
ントで見て狭まるし、実際に市場に出ているステンレス
鋼パイプの外径精度は規格よりはかるに狭い範囲に精度
良く作り込まれているから、現状の形状記憶合金の能力
でも、実用上の問題はない場合がむしろ多いといっても
過言ではない。しかしながら、たとえ発生率がわずかで
あっても、規格の限界付近のパイプは必ずあると考えて
おくことが必要であり、そのようなパイプに対しても安
定して十分な締結性能を発揮できる継手(施工法)でな
い限り、実用上安心して使用してもらえるものとなり得
ないのは当然のことである。
【0011】また、形状記憶合金を利用した配管用継手
の実用化対象分野を考えた場合、ステンレス鋼配管関係
はむしろ最も条件のよい場合に相当する。普通の炭素鋼
鋼管はステンレス鋼管以上に外径に対する許容差が大き
くなっており、さらに表面が酸化するなどして形状記憶
合金製の継手の使用を困難にする条件が加わってくるか
らである。これらのことを考えると、鉄基形状記憶合金
製継手の実用化を促進するためには、何らかの対策が必
要だということが明らかになってくる。
【0012】このような問題に対して形状記憶合金の形
状回復性能を高める方法としては、特公平2−1636
9号公報によるトレーニングと呼ばれる処理が知られて
いる。図2は形状記憶合金を利用した製品を作る過程の
一例として、パイプ用継手の場合を示したものである。
(A)は継手にするために必要な基本形に形状記憶合金
素材を成形する段階である。パイプ用継手の場合はほと
んどが形状記憶合金を円筒に加工した状態で使用される
から、圧延板を円筒状に丸めて溶接するか、厚肉素管を
熱押し等で作るか、鍛造丸棒をくり抜く、等の方法によ
って行われるのが普通である。(B)の記憶処理は、通
常は600℃から1000℃程度の範囲の適当な温度に
前記成形品を加熱することによって行われる。(C)は
円筒の内径を押し広げる工程である。形状記憶処理され
た状態の円筒の内径は、締結しようとするパイプの外径
よりも若干小さく作られている。これを(C)の工程で
は、パイプが差し込める程度まで内径を押し広げる。押
し広げられてパイプが容易に差し込める状態になってし
まっても、形状記憶合金の円筒は内径が押し広げられる
前の小さな径の状態を記憶しているので、パイプを継手
に差し込んで(G)から継手部分を加熱する(H)こと
によって、継手の内径が収縮してパイプを締結する訳で
ある。図2の(D)の工程は、形状記憶合金製円筒を継
手として仕上げるためのもので、一般には円筒内面にシ
ール剤を塗布したり、場合によってはメッキ等の表面処
理を行う工程である。ここで図2の(E)および(F)
の工程が、トレーニング処理と呼ばれているものであ
る。この工程は形状記憶合金を利用する場合に必須なも
のではないが、例えば(C)の工程の一度だけの拡管で
継手に仕上げたのでは十分な内径収縮が得られない場合
に、内径収縮率を高めるために行われる手段として提案
されているものである。すなわち第1拡管の後に一度
(E)に示す加熱を行って円筒の内径を収縮させてしま
い、次に第2回目の拡管(F)を行うものである。トレ
ーニングはこの例のように1度だけに限られるものでは
なく、熱処理と拡管をセットにして何度も繰り返して行
うこともできる。繰り返すごとに形状記憶性能が改善さ
れるが、次第に効果は飽和していくので、実用的には一
度かせいぜい二度までとするのが普通である。
【0013】なお、先に述べた28Mn−6Si−5C
rを含有する鉄基形状記憶合金製の20Su用の継手で
2.6%の内径収縮率が得られているのは、ここでいう
トレーニング処理を一度行った場合のものである。既存
の形状回復効果を高めるための処理が行われてもなお、
実際のステンレス鋼パイプ用の継手としては内径収縮率
が不足しているのが現状である。
【0014】一方、締結しようとするパイプの外径のバ
ラツキを、形状記憶合金製継手の形状に工夫を凝らすこ
とによって吸収しようとする試みもある。特開平1−2
95092号公報は、形状記憶合金製継手の円筒をテー
パ状もしくはステップ状に形成することによって、外径
にバラツキのあるパイプを適正な状態で締結できるよう
にしている。しかしこの方法は継手の内面をテーパ状も
しくはステップ状に作る必要があり、継手の加工に手の
かかる点で難がある。また実際のパイプの断面は常に真
円であるとは限られておらず、円周方向の測定箇所によ
って直径の異なることは珍しいことではない。このよう
に断面が真円からはずれている場合には、継手の円筒内
部がテーパ状やステップ状であっても信頼性の高い締結
を実現できることにはならないという問題もある。そこ
で円筒内面がテーパ状の継手を使い、かつ締結するパイ
プの側も端部にテーパを形成して、テーパ面同士が接す
るようにして締結する方法も提案されている。この方法
であればパイプ端部が真円からはずれていてもテーパ加
工によって矯正されるため、締結の信頼性は高められ
る。しかしテーパ面同士での締結になるために、継手か
らパイプを引抜く方向に外力が作用した場合、一旦パイ
プと継手との間にずれが生じるとほとんど瞬間的に締結
力がゼロになってしまうという欠点がある。
【0015】以上のような状況から、既存の形状記憶合
金製配管用継手を用いた配管施工方法として、実際に締
結しようとするパイプの外径のバラツキを十分に許容で
きるような信頼性の高い方法が要望されていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】量産によって安価に使
用できる見通しのある鉄基形状記憶合金を使用した配管
用継手によって、一定の外径許容差をもったパイプを、
外径のバラツキに関わらず、常に信頼性の高い状態で締
結できる配管施工方法を提供することが本発明の目的で
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1) 締結するパイプの端部のみを予備的に加工し
て、端部の外径が、所望のサイズを中心として±0.5
%以内の均一な寸法となるようにした上で、鉄基形状記
憶合金製の配管用継手を用いて締結することを特徴とす
る配管施工方法。
【0018】(2) パイプ端部の予備的な加工が、拡
管または縮管の塑性加工、もしくはパイプ外面の切削加
工である前項1記載の配管施工方法。以下、本発明を詳
細に説明する。先に述べた図1に関する説明において、
使用した形状記憶合金製の継手が、横軸に相当する継手
内径とパイプ外径との差で0.2mm以上の範囲になる
と十分な性能を発揮できなかった理由を考えてみる。継
手内径とパイプ外径との差の0.2mmは、継手の平均
内径に対して概略1%に相当する。この継手は前述の通
り内径収縮率が2.6%のものであるから、2.6%の
収縮量の内の1%分までは、継手の内径がパイプの外径
に接触する前に自由に収縮してしまっても締結性能は十
分に確保されると考えることができる。逆に2.6%と
1%との差である1.6%に相当する内径収縮は、形状
記憶合金製継手の内径がパイプの外面に接触してからパ
イプを締め付けて締結力を発生させるために必要である
と考えなければならない。図1でギャップが0.2mm
を超えた場合に十分な締結性能が得られなくなっている
のは、パイプ外面に接触した以降の継手内径の潜在的な
収縮率が1.6%に満たなくなってしまうからだと考え
ることができる。
【0019】このように考えると、内径収縮率が2.6
%までの形状記憶合金製継手で安定した締結を実現する
ためには、締結するパイプ側の外径許容差を(2.6−
1.6)、すなわち1%の幅の中に抑え込んでしまえば
よいことがわかる。つまり外径許容差が±0.5%の中
に収まるようにパイプの外径を揃えることができれば、
2.6%の内径収縮率を持つ鉄基形状記憶合金で十分に
信頼できるパイプ締結を行うことができるものである。
パイプの外径は、パイプ全長について揃える必要がある
訳ではなく、継手の中に差し込まれる管端部分だけがそ
うであればよい。一般配管用ステンレス鋼鋼管の20S
uサイズでは、前述の通りJIS規格上の外径許容差は
+0mm、−0.37mm(公称外径22.22mmに
対する比率では+0%、−1.7%)に規定されてい
る。これだけの許容差のあるパイプはそのままでは、内
径収縮率が2.6%しか得られない鉄基形状記憶合金で
の締結は困難であるが、管端部分に予備的な成形を施し
て、管端部分だけは許容差を±0.5%程度以内にした
上で締結に供すれば、十分な信頼性の得られる締結が実
現できる。
【0020】以上の説明は内径収縮率が2.6%しか得
られない形状記憶合金製継手を例にして行った。ここで
内径収縮率が2.6%より明らかに大きくとれる形状記
憶合金の場合には、このような管端部の予備加工は絶対
的に必要な条件ではなくなってくるのではないかという
疑問が生じるかも知れない。しかしながら形状記憶合金
製継手が継手内径の収縮力によってパイプを固定するも
のである以上、締結しようとするパイプの外径が不均一
であれば、必ず締結した部分の性能に悪い影響を与える
ことになるのは間違いない。不均一な外径のパイプを内
径収縮率の大きな形状記憶合金製継手で無理に締結した
場合には、外径の大きい側のパイプに必要以上の高い応
力が作用してパイプを潰したり、後に配管系として使用
される際に応力腐食破壊などの重大な問題を引き起こす
心配が増大してくることを指摘しなければならない。
【0021】締結しようとするパイプ端部の予備的な加
工は、塑性加工によって拡径または縮径させるか、ある
いは端部だけを刃物による切削加工によって、一定の外
径許容差内に収まるようにすればよい。具体的には、既
存のねじ切り機を簡単に改造してパイプ表面を平滑に切
削できるようにしたものとか、油圧またはモータ駆動等
でパイプ表面に工具を押しつける等によって拡径もしく
は縮径させる方法が採用でき、端部の一定長さの範囲だ
けの外径を揃えることは特に困難を伴うものではない。
端部のどれだけの長さの範囲の外径を揃えるかは、使用
する継手の長さによって異なってくる。一般的には、継
手長さの半分より多少長い程度とするのが適当である。
【0022】また予備的な加工を行った後のパイプ端部
の外径は、所望の寸法を任意に選ぶことができるが、加
工を行わない部分の外径と無理に大きな違いをつけるこ
とは避けるべきである。予備的な加工を塑性加工で行う
場合には、加工後の外径のばらつきを±0.5%の範囲
以内に揃えるために必要な最小限の加工を与えればよい
から、拡管、縮管いずれの場合でも1〜5%程度の軽度
の加工で十分に目的は達成される。また切削加工を採用
する場合には、貴重なパイプ肉厚をできるだけ薄くしな
いですませるよう、規格下限の外径値を目安とした必要
最小限の切削にとどめることが望ましい。
【0023】このようにパイプ端部の外径を加工するこ
とは、副次的に次のようなメリットをもたらす。すなわ
ち形状記憶合金製継手は、継手の円筒内部にパイプが正
しく差し込まれているかどうかが判定しにくいきらいが
ある。パイプが適正な長さだけ継手内に差し込まれてい
なければ、いかに外径の揃ったパイプであっても完全な
締結ができないのはやむを得ないことである。この点、
パイプ端部に成形加工を施すことにより、継手の中にそ
の成形加工部分が差し込まれているかどうかを見れば、
正常な差し込みが行われていることを外部から容易に判
定することができるようになり、不完全な差し込みのま
まで締結されてしまう危険を回避することも可能とな
る。また、配管用のパイプには、搬送中もしくは切断等
の作業中にパイプ端部が変形させられたり、キズをつけ
られたりする可能性が小さくない。このようなパイプを
直接形状記憶合金製継手で締結しようとすると、締結部
の性能が不十分なものとなることが避けられない。パイ
プ端部を予備的に加工する本発明は、これらのパイプ端
部の欠陥を矯正する効果を併せて期待することができ、
この面からも施工の信頼性を向上させることができる。
【0024】本発明に使用する継手の素材は、鉄基形状
記憶合金に限定した。鉄基形状記憶合金というのは、合
金を構成する組成金属の中で鉄が主体を成すような形状
記憶合金を意味している。これらの合金は一般的に形状
回復特性が小さいので、そのままでは、現実に外径のば
らつきのあるパイプ用の配管継手として十分に性能を発
揮することが困難なものである。継手に加工した後の継
手内径収縮率が、施工しようとするパイプの外径許容差
に対して十分大きくとることのできるチタン−ニッケル
系等の合金の場合にも、本発明が無効であるわけではな
く、必要以上に高い応力を与えてしまうのを避けるな
ど、重要な効果が期待できる。しかしこれらは本発明の
本来の目的からは異質の、副次的な効果ともいうべきも
のであるから、本発明の対象からは敢えて除外した。
【0025】また本発明の施工に使用する鉄基形状記憶
合金製継手の内径は、予備的に加工されたパイプの端部
の最大外径に、パイプを差し込むための余裕代(通常は
0.1mmないし0.2mm程度)を加えた寸法とする
のが適当である。
【0026】
【作用】鉄基形状記憶合金で作られた配管用継手を利用
して配管施工を行うに際して、締結しようとするパイプ
の端部を、塑性加工もしくは切削加工によって、パイプ
端部の外径許容差だけは、そのパイプが本来規格上許容
されているよりも精度のよい範囲に収まるように予備的
な加工を加えた上で、継手に差し込んで締結を行うのが
本発明の骨子である。外径許容差が小さい範囲に成形さ
れたパイプは継手に差し込んだ際に継手内径との間に余
分な隙間を生じることがなくなって、形状記憶合金製円
筒の収縮力をパイプ締結力に効率的に変換することが可
能となる。このためパイプが常に安定した締結力で継手
に締結され、シール性能も優れたものとなる。また継手
内に差し込まれるべきパイプ端部の目安が明確になり、
差し込みが不適当なために正常な締結性能が得られない
という不都合が生じてしまうのを、間接的に防止する機
能も持たせることができる。
【0027】
【実施例】
実施例1 一般配管用ステンレス鋼管の20Suサイズを用いて配
管施工を行った。使用した継手は28%Mn−6%Si
−5%Crを主成分とする鉄基形状記憶合金製で、長さ
は40mm、肉厚は2mmのものである。継手の製造プ
ロセスは、圧延板を円筒状に成形後、900℃の形状記
憶処理を行ってから、内径を7%拡管−600℃加熱−
内径5%拡管、という工程を経た後、無電界メッキ法に
よって継手の全表面に10μmの目標厚みでニッケルを
メッキした。最後に円筒内面にエポキシ系のシール剤を
塗布して継手とした。ニッケルメッキを行ったのは、締
結する相手側のステンレス鋼パイプと継手の形状記憶合
金とが直接接触することによる異種金属接触腐食によっ
て、継手側が激しく腐食するのを防止するためである。
なおこの継手は、仕上がり後の内径が22.5mmとな
るようにして、全部で25個製作した、この内の1個だ
けはパイプの締結には使わずに、継手単体で300℃に
加熱して内径収縮率を調べたところ、約3%の収縮が得
られることが確認された。
【0028】20Su規格のステンレス鋼パイプは、公
称外径が22.22mmに対して、その許容差は+0、
−0.37mmに規制されている。一般配管用ステンレ
ス鋼管は肉厚が薄く、20Suの場合は1mmしかない
ため、切削加工によって外径を揃えることは好ましくな
い。そこで本実施例においては、内面側からパイプ端部
を押し広げることにより、管端の幅22mmの部分だけ
を外径が22.3±0.1mmとなるように拡径した。
すなわち内径22.5mmの継手に差し込んだ場合、最
も外径の大きいパイプの場合でも、継手内径との間に
0.1mmの隙間が生じ、継手へのパイプの差し込みは
支障なく行われた。
【0029】実際に締結に使用したステンレス鋼パイプ
の外径は、すべて公称外径より小さめで、平均値は約2
2.0mmであった。これらのパイプの端部を22.3
mmまで拡径したため、パイプ端部には肉眼で確認でき
る段差が形成され、継手の中にパイプを差し込んだと
き、継手の左右の端からそれぞれ約2mmだけパイプの
拡径部分が均等に出ていることを目視で確認することに
よって、継手に対するパイプの差し込み状態を正常にす
ることができた。適正な位置にパイプが差し込まれた状
態で、形状記憶合金製の継手部分を300℃に加熱して
締結を行った。300℃への加熱には、高周波誘導加熱
を利用した専用の加熱装置を使用した。
【0030】締結後の配管内には50kgf/cm2
水圧を付加することによって漏れのないことが確認され
た。また同じ20Su規格のステンレス鋼パイプを、管
端の拡径を行わずに、同じ形状記憶合金製継手によって
締結したものを用意して、管端を拡径した状態で締結し
たものとの違いを、引抜き強度(引張り強さ)によって
比較してみた。本発明による端部を拡径して締結した場
合にはいずれも2000kgf以上の引張り強さが安定
して得られたのに対して、端部に予備処理を行わずに締
結したものは400kgfから1500kgfに亘る大
きなばらつきが認められた。
【0031】実施例2 32AサイズのSGP鋼管を、鉄基形状記憶合金製の継
手を用いて締結した。素材パイプの平均外径は42.7
mmで、パイプ端部の幅25mm部分を切削加工によっ
て平滑に削りとり、この部分の外径が42.2±0.2
mmになるようにした。SGPの32Aサイズの規格上
の外径許容差は±0.5mmであるから、切削加工によ
って42.2mmに端部の外径を揃えると、計算上で
は、規格下限ぎりぎりのパイプだけはまったく切削加工
が行われない状態になることになる。今回の試験に用い
たパイプの実際の外径は、42.4mmから42.8m
mの間にあったため、すべてのパイプの端部が多少の切
削加工を受けることになった。
【0032】締結に供した継手は実施例1と同じ鉄基形
状記憶合金で製作されたもので、製造プロセスもほぼ同
様であるが、最終拡管後のニッケルメッキは実施しなか
った。締結するパイプがSGPの場合には、ステンレス
鋼パイプに対する実施例1のような腐食によって継手側
が腐食する心配はないからである。また継手の寸法は、
長さが60mm、肉厚は2mm、継手内径は42.6m
mとした。
【0033】これらの形状記憶合金製継手によって前記
の端部成形加工をしたSGPパイプを締結した。20ケ
の継手を使って組み上げた配管系に内圧17.5kgf
/cm2 の水を満たして行ったシール性評価では、すべ
ての継手で漏れの発生は認められなかった。またこれと
は別に、同じ条件で片側20cmのパイプを両側に締結
した3組の継手による締結サンプルを用意し、両端のパ
イプを掴んで引抜き力を測定した。いずれも4000k
gf以上の安定した引張り強さが得られた。
【0034】なお、本実施例に用いたパイプは表面にメ
ッキなどの処理は行われていないものを使用した。とこ
ろが通称白ガス管と呼ばれているものは亜鉛メッキが施
されている。このようなパイプに対して、本発明の中の
管端部分を切削加工によって外径を揃えるための予備加
工を行うと、このメッキ部分が除去されてしまうことに
なり、耐食性の問題が懸念されるかも知れない。しかし
ながら実際には、亜鉛メッキが除去された大部分は継手
の中に差し込まれて直接外気に接することはなくなる
上、外気に接する可能性のあるのはごく限られた狭い幅
に相当する部分だけであるから、隣接部分の亜鉛の効果
によって、切削部分の耐食性は確保されるのでさして心
配するには当たらない。現在行われている溶接によるパ
イプの接合に際しても、亜鉛メッキのままで高温度にさ
らされると、金属ヒュームが発生して溶接作業に支障を
きたすことから、端部の亜鉛メッキを剥してから溶接す
ることが行われていることからも、この点についてはさ
して問題視する必要はないものと考えられる。
【0035】
【発明の効果】本発明による配管施工法の採用によっ
て、形状記憶特性が必ずしも十分とはいえない安価な鉄
基形状記憶合金を、一般に広く行われている実用配管分
野で高い信頼性の得られる配管用継手として安心して利
用することが可能となる。ねじ式継手よりも施工のバラ
ツキが少なく、かつ溶接継手に近い高い信頼性を持った
配管施工が、高度な技能の所有者に頼らずに実現できる
点が本発明の最大の効果である。またパイプに対して、
搬送中や切断などの加工中に外面に生じ易い変形やキズ
などが、パイプ締結部の信頼性に影響を与えないように
無害化できることも大きな特徴である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄基形状記憶合金製のパイプ用継手を使用して
20Suサイズのステンレス鋼パイプを締結した場合
の、締結前の継手内径とパイプ外径の差に対する引張り
強さを示す図である。 ステンレス鋼パイプ:SUS−TPD 20Su(規格
外径22.22mm) 継手サイズ :長さ(40〜60mm)、肉厚(1
〜3mm)の各種 継手内面シール剤有り ○:内圧5kgf/mm2 で漏れ無し ●:同漏れ有
【図2】鉄基形状記憶合金製パイプ用継手を製造する代
表的なプロセスを示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三尾 堯彦 東京都千代田区神田錦町3−6 淡路産業 株式会社東京支社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 締結するパイプの端部のみを予備的に加
    工して、端部の外径が、所望のサイズを中心として±
    0.5%以内の均一な寸法となるようにした上で、鉄基
    形状記憶合金製の配管用継手を用いて締結することを特
    徴とする配管施工方法。
  2. 【請求項2】 パイプ端部の予備的な加工が、拡管また
    は縮管の塑性加工、もしくはパイプ外面の切削加工であ
    る請求項1記載の配管施工方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0913743A (ja) * 1995-07-03 1997-01-14 Nippon Steel Corp 継手および継ぎ式鋼管柱

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0913743A (ja) * 1995-07-03 1997-01-14 Nippon Steel Corp 継手および継ぎ式鋼管柱

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