JPH061029U - エアバッグの内圧調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の助手席前部のインストルメントパネル
に装備するエアバッグの展開時の内圧の調整を図る。 【構成】 車両の助手席前部のインストルメントパネル
２０に装備するエアバッグモジュール５０は、バッグ７
０とインフレータ８０を収容し、ドア６０で覆われる。
ケース５２は開口部を有し、開口部は樹脂版９０で覆わ
れる。ケース内のガス圧が規定の値をこえると、樹脂版
９０が破断され、ガスＧを逃がす。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は車両に装備して保護するエアバッグの内圧調整装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

車両のインストルメントパネル内に装備されて衝突時に展開するエアバッグは 、折り畳まれた状態のバッグとバッグ内にガスを供給するインフレータとをケー ス内に収容してモジュール化し、このモジュールを車両の支持部材にとりつけて ある。 ケースの開口部には、ドアをとりつけてあり、バッグの展開時には、バッグが このドアを内側から押し開けて展開する。ドアは、例えばケースの上部にヒンジ でとりつけられ、ヒンジを中心に回転して開く。 ヒンジドアを有するエアバッグ装置は、例えば実開平３−１０２３５６号公報 、実開平２−１１５７４７号公報に開示されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

エアバッグは、封入されるガスの圧力を受けて急激に膨張して規定の形状に展 開する。この展開時には、バッグはドアを急速に開く。この際にドアが円滑に開 くことができれば、バッグは所要の時間内で規定形状となる。しかしながら、ド アの展開時に乗員の身体の一部がドアの展開軌跡内にあって、ドアの開きを妨げ ると、バッグ内のガス圧はより急激に上昇し、ドアは強力に押し開けられる。 この急激なドアの展開により乗員に過大な衝撃が加えられるとともに、バッグ の内圧が高い状態でバッグが乗員にぶつかるおそれが生ずる。 また、乗員の身体が通常の姿勢に比べてインストルメントパネルに異常に近い 状態でバッグが展開すると、畳まれたバッグが展開の途中で身体にぶつかり、円 滑な展開が阻止され、内圧が異常に上昇する。このために乗員に過大な衝撃を加 える原因となる。 エアバックの内圧が異常に上昇したときに、排気弁を開いて内圧を逃がす装置 は、例えば特開平３−３２９５７号公報に開示されている。 しかしながら、上述した公報のものは、ガス圧で作動するシャッターや排気弁 を備え、装置が複雑である。 そして、インフレータから発生したガスは、全てバッグ内に納められ、ガス圧 がかなり低下した時点で排気弁が開く構造となっている。 本考案は簡単な構造でエアバッグの内圧を調整する装置を提供するものである 。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案のエアバッグモジュールは、インフレータとバッグを収容するケースに 開口部を設け、この開口部を破断部を有する樹脂版で封止しておく。

【０００５】

【作用】

バッグが展開する途中で乗員等につき当たるとスムーズな展開が阻止される。 この間にもガスの供給は続行するので、ケース内の内圧は異常に上昇する。内圧 が設定圧以上になると、樹脂版が破断されてケース内のガスを放出し、内圧を低 減する。

【０００６】

【実施例】

図１は本考案を実施する車両の概要を示す説明図、図２はエアバッグの全体図 である。 車両１０の内部には運転席１２、助手席１４が設けられ、運転席１２、助手席 １４の前部にはインストルメントパネル２０が配設される。助手席１４の前部の インストルメントパネル２０内にエアバッグモジュール５０が装備される。 エアバッグモジュール５０は、エアバッグやインフレータを収容するケース５ ２、５４を備え、ケースの開口部にはドア６０が設けられる。

【０００７】 図３、図４、図５はエアバッグの作動時の状況を示すもので、車両１０の衝突 をセンサが感知すると、その電気信号によりインフレータが作動してガスを発生 する。発生したガスはケース内に折り畳まれて収容されているバッグ内に送り込 まれてバッグを膨張させる。膨張したバッグはその内圧により開口部のドア６０ を外方へ押し開けて拡開する。 エアバッグ７０は、助手席１４の乗員３０とインストルメントパネル２０との 間に規定形状に展開して、乗員の保護を図る。ドア６０は、ケース５２の上端に ヒンジ５８を介してとりつけられていて、矢印Ｈの方向に回転して開く。 このドア６０の回転軌跡内に乗員の一部分３０Ａ（頭、顔、胸、幼児の上半身 等）が存在した場合には、ドア６０の通常の展開が妨げられる。ドア６０の展開 が妨げられると、バッグ７０の内圧が上昇し、ガスの膨張力によりドア６０が急 激に開く。この展開により乗員に危険な状態が発生する可能性がある。 または、ドアの展開軌跡内になくとも、乗員が通常の姿勢に比べて著しくイン ストルメントパネル例に近接した状態でバッグが展開した場合等にあっては、バ ッグが展開途中で乗員に衝突する等の異常な展開状態となることがある。この場 合もバッグの内圧が異常に高くなり、乗員の保護に不都合を生ずることになる。 本考案はバッグに異常圧の場合に作動する排気弁を設けたものである。

【０００８】 図６は本考案のエアバッグモジュールの斜視図、図７はエアバッグモジュールの 取付状態を示す説明図である。 エアバッグモジュール５０は、車体側に固定され、そのドア６０は助手席側の インストルメントパネル２０の表面に合致するように配設されている。 エアバッグモジュール５０のケース５２内には、折り畳まれた状態のバッグ７ ０と、インフレータ８０が収容されている。 ケース５２の一部には開口部５５が設けられていて、この開口部５５を覆う樹 脂版９０が取付具９２により固定されている。樹脂版９０は破断部９４が形成さ れていて、樹脂版９０に外力が加えられると、破断部９４が破断されやすくなっ ている。

【０００９】 図８はインフレータ８０が起動してガスＧが発生した状態を示す。ガスＧはバ ッグ７０を膨張させてドア６０を開いて展開しようとする。しかしながら、例え ばエアバッグモジュールのドア６０の前面に乗員の身体の一部３０Ａが衝突して 荷重Ｆがドア６０の展開を阻止すると、ケース５２内の内圧が過大となる。 ケース５２内の内圧が所定の値を超えると、開口部５５を覆う樹脂版９０が破 断部９４で破断され、外方へ押し開かれる。これにより、ケース内のガスＧは大 気側へ逃がされ、ドア６０を急激に押し開くことは防止される。 図９はエアバッグの通常展開時と異常時との内圧の変化を示すグラフであり、 異常展開時には内圧が過大に上昇する。 そこで、樹脂版９０の破断圧力Ｐｍを設定しておくことにより、内圧の過上昇 を防止することができる。

【００１０】

【考案の効果】

本考案は以上のように、インフレータとバッグを収容するエアバッグモジュー ルのケースに開口部を設け、この開口部を樹脂版で覆ったものである。樹脂版は 破断部を有し、ケース内の圧力が過大となると、破断部が引裂かれて内圧を自動 的に逃がし、不都合を防止する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を実施する車両の斜視図。

【図２】エアバッグモジュールの斜視図。

【図３】エアバッグの展開を示す説明図。

【図４】ドアの展開軌跡を示す側面図。

【図５】図４の正面図。

【図６】エアバッグモジュールの斜視図。

【図７】エアバッグモジュールの取付状態を示す説明
図。

【図８】エアバッグモジュールの作動を示す説明図。

【図９】バッグの内圧の変化を示すグラフ。

【符号の説明】

１０ 車両 １４ 助手席 ２０ インストルメントパネル ３０ 乗員 ５０ エアバッグモジュール ５２ 第１のケース ５４ 第２のケース ５５ 開口部 ６０ ドア ７０ バッグ ８０ インフレータ ９０ 樹脂版

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 折り畳まれたバッグと、バッグにガスを
   供給するインフレータと、バッグ及びインフレータを収
   容するケースと、ケースの開口部に設けられたヒンジド
   アを備えたエアバッグであって、ケースの一部に開口部
   を設け、開口部を規定の圧力で破断する破断部を有する
   樹脂版で封止してなるエアバッグの内圧調整装置。