JPH059819U - スローアウエイチツプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 主切刃の正のアキシャルレーキ角を大きくと
っても、コーナアール刃の逃げ面摩耗を抑えることがで
きるスローアウエイチツプを提供することを目的として
いる。 【構成】 すくい面11とコーナ逃げ面15との稜線である
コーナアール刃16におけるノーズ半径より、すくい面11
に対向する底面12とコーナ逃げ面15との稜線17における
ノーズ半径を大きく設定したものである。 【効果】 底面12とコーナ逃げ面15との稜線17が、従来
に比べチツプの内側に位置するので、コーナ逃げ面15の
逃げ角が従来より大きくなる。したがって、このような
チツプを主切刃の正のアキシャルレーキ角を大きくとっ
て、正面フライス等の工具本体に装着しても、コーナ逃
げ面15の逃げ角が従来より大きくなるので、コーナアー
ル刃の逃げ面摩耗を抑えることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、主として正面フライス等の転削工具に装着されるスローアウエイ チツプに係わり、特に、正側に大きなアキシャルレーキ角をとった際に、十分な コーナ逃げ角を付すことができるものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、転削工具の一つである正面フライス１は、図９ないし図１２に示すよ うに、工具本体２の外周部に、該工具本体２の先端面３および外周面４に開口す る複数の取付溝５が工具周方向に沿って所定ピッチで形成され、これら取付溝５ 内の一方の壁面側にチツプ取付座６が形成され、これらチツプ取付座６に、略正 方形平板状をなす超硬合金製のスローアウエイチツプ（以下、チツプと略称する ）７がシート部材８及びこのシート部材８上に設けられたサポータ９を介して着 座せしめられ、取付溝５内に装着される楔部材１０及びサポータ固定楔１１によ って押圧されて着脱自在に取り付けられたものである。

【０００３】 上記チツプ７は、図１３に示すように、正の逃げ角が付与されたいわゆるポジ ティブチツプであり、すくい面７ａとなる上面と逃げ面７ｂとなる４つの側面と の稜線部にそれぞれ主切刃７ｃが形成され、互いに隣接する主切刃７ｂ，７ｂに 滑らかに連接するコーナアール刃７ｄが形成されている。このコーナアール刃７ ｄの逃げ面７ｅは凸曲面であり、該コーナアール刃７ｄのノーズ半径Ｒと、逃げ 面７ｅと底面７ｆとの稜線におけるノーズ半径Ｒとは等しく設定されている。

【０００４】 そして、上記チツプ７が装着された正面フライス１では、工具本体２の外周側 を向く主切刃７ｃと、工具本体２の先端側を向くコーナアール刃７ｄとにより被 削材を切削するようになっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 ところで、上記正面フライス１においては、切削条件に応じて主切刃７ｃのア キシャルレーキ角Ａ１を適宜設定しているが、一般にこのアキシャルレーキ角Ａ １をポジティブ（＋）側に大きくとったほど、切屑形状がつる巻形となり切削抵 抗を下げる効果が大きいことや、特に、耐びびり性には効果的であり剛性のない 被削材や動力の低い機械での使用に適していることが知られている。ところが、 アキシャルレーキ角Ａ１を大きくとると、逃げ角が小さくなるので、主切刃７ｃ 及びコーナアール刃７ｄの逃げ面摩耗が発生し易くなり、特に、コーナアール刃 ７ｄの逃げ面摩耗が大きくなる。そこで、逃げ角を十分にとるために、チツプ７ のすくい面７ａと逃げ面７ｂ，７ｅとのなす刃物角を小さくすることが考えられ る。この場合、逃げ面摩耗を抑えることはできるが、主切刃７ｃの強度が低下す るために主切刃７ｃに欠損が生じ易くなるという欠点がある。

【０００６】

【考案の目的】

この考案は上記事情に鑑みてなされたものであり、主切刃の正のアキシャルレ ーキ角を大きくとっても、コーナアール刃の逃げ面摩耗を抑えることができるス ローアウエイチツプを提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案のスローアウエイチツプは、多角形板状 をなし、角部側面に凸曲面状をなすコーナアール部が形成されたポジティブスロ ーアウエイチツプにおいて、すくい面とコーナアール部との稜線におけるノーズ 半径より、すくい面に対向する底面とコーナアール部との稜線におけるノーズ半 径を大きく設定したものである。

【０００８】

【作用】

この考案のスローアウエイチツプにあっては、すくい面とコーナ逃げ面との稜 線であるコーナアール刃のノーズ半径より、すくい面に対向する底面とコーナ逃 げ面との稜線におけるノーズ半径を大きく設定することにより、底面とコーナ逃 げ面との稜線が、従来に比べチツプの内側に位置するので、コーナ逃げ面の逃げ 角が従来より大きくなる。

【０００９】

【実施例】

図１ないし図５はこの考案の第１実施例を示す。これらの図に示すポジティブ スローアウエイチツプ（以下、チツプと略称する）１０は、正方形板状をなすも のであり、その上面がすくい面１１とされ、４つの側面は底面１２に向かうにし たがって漸次内側に傾斜せしめられている。これら４つ側面はそれぞれ逃げ面１ ３とされ、各逃げ面１３と上記すくい面１１との稜線部にはそれぞれ主切刃１４ が形成されている。

【００１０】 上記チツプ１０の４つの角部側面にはコーナ逃げ面１５が形成されている。こ のコーナ逃げ面１５は、上記すくい面１１から底面１２に向けて母線が内側に傾 斜して直線状に延びる滑らかな凸曲面であり、該コーナ逃げ面１５と上記すくい 面１１との稜線がコーナアール刃１６とされている。このコーナアール刃１６の 両端は上記主切刃１４，１４に滑らかに連接されている。一方上記コーナ逃げ面 １５と底面１２との稜線１７は円弧状をなしており、この稜線１７の両端は上記 逃げ面１３と底面１２との稜線１８，１８に滑らかに連接されている。そして、 このようなチツプ１０においては、上記稜線１７のノーズ半径をＲ１、上記コー ナアール刃１６のノーズ半径をＲ２とすると、Ｒ１＞Ｒ２に設定されている。な お、このようなチツプ１０においては、隣接する主切刃１４，１４のなす角をβ 、 すくい面１１に直交する直線と逃げ面１３とのなす角をαとすると、すくい面１ １に直交する直線とコーナ逃げ面１５とのなす角θは、 ｔａｎθ゜＞ｔａｎα・ｃｏｓｅｃβ゜／２ の関係になる。

【００１１】 しかして、上記構成のチツプ１０では、上記稜線１７が、従来のチツプ７にお けるコーナ逃げ面７ｅと底面７ｆとの円弧状の稜線７よりチツプ１０の内側に位 置するので、コーナ逃げ面１５の逃げ角は従来のチツプ７のコーナ逃げ面７ｅの 逃げ角より大きくなる。したがって、上記チツプ１０を主切刃１４の正のアキシ ャルレーキ角を大きくとって、正面フライス等の工具本体に装着しても、コーナ 逃げ面１５の逃げ角が従来のチツプ７より大きくなるので、コーナアール刃１６ の逃げ面摩耗を抑えることができる。

【００１２】 図６は第２実施例を示す。この図に示すスローアウエチツプは、上記コーナ逃 げ面１５と底面１２との稜線１７のノーズ半径Ｒ３を上記ノーズ半径Ｒ１より大 きく設定したものである。この実施例のチツプでは、稜線１７と、逃げ面１３と 底面１２との稜線１８の連接部に角部が形成されるが、第１実施例よりコーナ逃 げ面１５の逃げ角を大きくとることができるという利点がある。

【００１３】 図７は第３実施例を示す。この図に示すスローアウエイチツプは、この考案を 副切刃を有するチツプに適用したものであり、すくい面１１の角部に副切刃２０ を形成し、この副切刃２０の両端部に該副切刃２０と主切刃１４とを滑らかに連 接するコーナアール刃２１を形成し、コーナ逃げ面２２と底面２３との稜線２４ のノーズ半径Ｒ４を、コーナアール刃２１のノーズ半径Ｒ５より大きく設定して いる。この実施例でも上記第１実施例と同様の効果を得ることができるのは言う までもない。

【００１４】 図８ないし図１１は第４実施例を示す。これらの図に示すチツプは略長方形板 状をなすものであり、符号２５で示す部分が主切刃、２６で示す部分がコーナア ール刃とされている。コーナアール刃２６は上面２７の互いに対向する２つ角部 及び下面２８で上面のコーナアール刃２６，２６の対角線と平面視交差する方向 における互いに対向する２つの角部に形成されており、上面２７および下面２８ のいずれか一方がすくい面、他方が底面とされるようになっている。そして、各 コーナアール刃２６のノーズ半径Ｒ６は、コーナ逃げ面２９とすくい面２７（２ ８）との円弧状の稜線３０のノーズ半径Ｒ７より小さく設定されている。この実 施例のチツプにおいても上記第一実施例と同様の効果を得ることができる。

【００１５】

【考案の効果】 以上説明したように、この考案のスローアウエイチツプによれば、すくい面と コーナ逃げ面との稜線であるコーナアール刃のノーズ半径より、すくい面に対向 する底面とコーナ逃げ面との稜線におけるノーズ半径を大きく設定したので、底 面とコーナ逃げ面との稜線が、従来に比べチツプの内側に位置するので、コーナ 逃げ面の逃げ角が従来より大きくなる。したがって、このようなチツプを主切刃 の正のアキシャルレーキ角を大きくとって、正面フライス等の工具本体に装着し ても、コーナ逃げ面の逃げ角が従来より大きくなるので、コーナアール刃の逃げ 面摩耗を抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のスローアウエイチツプの一実施例を示
す平面図である。

【図２】図１におけるＡ線視図である。

【図３】本考案のスローアウエイチツプの第１実施例を
示す底面図である。

【図４】図１におけるＢ線視図である。

【図５】図３におけるＸ円部の拡大図である。

【図６】本考案のスローアウエイチツプの第２実施例を
示す要部の拡大図である。

【図７】本考案のスローアウエイチツプの第３実施例を
示す要部の拡大図である。

【図８】本考案のスローアウエイチツプの第４実施例を
示す平面図である。

【図９】図８のスローアウエイチツプの正面図である。

【図１０】図８のスローアウエイチツプの側面図であ
る。

【図１１】図８におけるＣ−Ｃ線視断面図である。

【図１２】一般的な転削工具の断面図である。

【図１３】図１２の転削工具の底面図である。

【図１４】図１２におけるＤ線視図である。

【図１５】図１４におけるＥ−Ｅ線視断面図である。

【図１６】従来のスローアウエイチツプの平面図であ
る。

【符号の説明】

１０ スローアウエイチツプ １１，２７，２８ すくい面 １３ 逃げ面 １４，２５ 主切刃 １５，２９ コーナ逃げ面 １６，２６ コーナアール刃 １７，３０ コーナ逃げ面と底面との稜線

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 多角形板状をなし、角部側面に凸曲面状
   をなすコーナ逃げ面が形成されたスローアウエイチツプ
   において、 すくい面と上記コーナ逃げ面との稜線におけるノーズ半
   径より、すくい面に対向する底面とコーナ逃げ面との稜
   線におけるノーズ半径を大きく設定したことを特徴とす
   るスローアウエイチツプ。