JPH0598007A - 高耐熱性芳香族コポリマーの製造方法 - Google Patents

高耐熱性芳香族コポリマーの製造方法

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JPH0598007A
JPH0598007A JP3292460A JP29246091A JPH0598007A JP H0598007 A JPH0598007 A JP H0598007A JP 3292460 A JP3292460 A JP 3292460A JP 29246091 A JP29246091 A JP 29246091A JP H0598007 A JPH0598007 A JP H0598007A
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polar organic
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organic solvent
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JP3292460A
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Yoshikatsu Satake
義克 佐竹
Yasuhiro Suzuki
康浩 鈴木
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 イオン性不純物が少なく、高耐熱性なアリー
レンチオエーテル系コポリマーの製造方法を提供するこ
と。 【構成】 極性有機溶媒中で、ポリアリーレンチオエー
テル(A)に、アルカリ金属硫化物を作用させて解重合
することにより得られる少なくとも一方の末端にアルカ
リチオラート基を有するプレポリマー(B)と、ジハロ
ゲン置換芳香族化合物を、極性有機溶媒中で、重合反応
させることを特徴とする高耐熱性芳香族コポリマー
(C)の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビス(ベンゾイル)ベ
ンゾフェノン構造単位を有する芳香族コポリマーの製造
方法に関する。さらに詳しくは、ポリアリーレンチオエ
ーテル(以下、PATEと略記)を解重合して、末端に
アルカリチオラート基を有するプレポリマーを製造し、
次いで、このプレポリマーを特定のジハロゲン置換芳香
族化合物と反応させて重合させることにより、イオン性
不純物が少ない高耐熱性の芳香族コポリマーを製造する
方法に関する。
【0002】本発明によれば、重合反応系における安定
性や反応性の異なる2種以上のジハロゲン芳香族化合物
を出発原料として、組成の均一性よく共重合したアリー
レンチオエーテルケトン系コポリマーを得ることができ
る。
【0003】
【従来の技術】近年、電子・電気分野では、部品の小型
化・軽量化を行うためにSMT(表面実装)化に対応で
き、しかも金属素子の腐食の原因となる塩素イオンなど
のイオン性不純物の少ない高耐熱性ポリマーが求められ
ている。
【0004】PATEに属する代表的なポリマーである
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記)は結
晶融点が約285℃であり、SMT対応には耐熱性が充
分とは言い難く、しかも現在の工業的製法においては、
PPSと同量以上の塩化ナトリウムが副生するためイオ
ン性不純物を多量に含んでしまうという問題点がある。
PATEの結晶融点をあげる方法として、アリーレンチ
オエーテル単位と化4で表されるアリーレンチオエーテ
ルケトン単位
【0005】
【化4】 をランダムに導入した共重合体が提案されている(特公
昭59−5100号)。
【0006】ところが、該共重合体の原料となるジハロ
ベンゼンと、ケトン基で活性化されているジハロ芳香族
化合物を一緒に極性有機溶媒中でアルカリ金属硫化物と
反応させる方法では、反応性や重合系中での化学的安定
性が異なるため、共重合を試みても組成の均一性、耐熱
性または溶融安定性の満足なポリマーは得られない。す
なわち、得られるランダム共重合体は、アリーレンチオ
エーテル単位が少なくなるにしたがい、特に90モル%
以下になると、結晶性が低下し、耐熱性や機械的特性が
劣ったものになってしまう。
【0007】芳香族チオエーテルとホスゲンもしくは芳
香族ジカルボン酸ジハライドをルイス酸の存在下、非プ
ロトン溶媒中で反応させ、構造式〔IV〕、〔V〕
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】 を有するポリマーを得る方法が提案されている。(特開
昭60−104126号、特開昭60−120720
号)。しかしながら、得られる共重合体は、低重合度
で、溶融安定性が悪く、すぐゲル化してしまう問題点が
あった。本発明者らは、化7で表されるジハロベンゼン
と、化8または化9で表されるケトン基で活性化されて
いるジハロ芳香族化合物
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】
【0012】
【化9】 との共重合における前記問題点を改善するために、予め
各々プレポリマーを作成し、これらのプレポリマー同士
を反応させコポリマーを製造する方法について先に提案
した(特開平2−225527号、特願平1−3429
68号)が、副生ハロゲン化アルカリ金属を十分に取り
除くことができないなどの問題点がある。
【0013】一方、アリーレンチオエーテル系ポリマー
の他の製造方法として、ジハロゲン置換芳香族化合物と
芳香族ジチオールもしくはそのアルカリ金属塩(アルカ
リチオラート)とを反応させる方法が提案されている
(特公昭45−19713号、特公昭46−4398
号、特開昭61−197634号、特開昭61−200
127号、特開昭62−529号、特開昭62−530
号、特開昭62−91530号、特開昭62−2053
0号等)。
【0014】これらの製造方法では、反応性は良好であ
るが、原料の芳香族ジチオールおよびアルカリチオラー
トが酸化され易いため、その精製や取り扱いが難しく、
製造コストも高くなり、工業的実施が難しいという問題
がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イオ
ン性不純物が少ない高耐熱性の芳香族コポリマーの製造
方法を提供することにある。本発明者らは、前記従来技
術の有する問題点を克服するために鋭意研究を行なった
ところ、PATEにアルカリ金属硫化物を作用させる
と、PATEの主鎖が切断して解重合し、両末端にアル
カリチオラート基を有する化合物(プレポリマー)が容
易に得られることを見出した。
【0016】そして、この末端にアルカリチオラート基
を有するプレポリマーは、極性有機溶媒中で、各種のジ
ハロゲン置換芳香族化合物と反応させると、再び重合反
応し高重合度のコポリマーの得られることが分かった。
しかも、このプレポリマーは、重合反応系で優れた安定
性を有することが分かった。つまり、前記した反応性の
良好な芳香族ジチオールまたはアルカリチオラートを原
料として用いるPATEの製造方法の利点のみを生かす
ことができる。
【0017】この方法によれば、少なくとも一方の末端
にアルカリチオラート基を有するプレポリマーを調製
し、このプレポリマーとケトン基により活性化されたジ
ハロゲン置換芳香族化合物とを、比較的温和な条件下
で、円滑に反応させ、かつ、高重合度で、溶融安定性に
優れたコポリマーを作ることができる。また、この方法
によれば、繰返し単位(VI)
【0018】
【化10】 の耐熱性付与効果が大であるため、上記繰返し単位を少
量のPATE鎖中に組み込むだけで所望の耐熱性を有す
るコポリマーが容易に設計可能である。その結果PAT
Eの優れた特質である耐溶剤性や耐吸水性を十分に保持
できる利点を有する。また、この方法によれば、反応系
における生成塩の量を少なくさせることが可能なため、
得られるコポリマー中のイオン性不純物の含有量を低減
させることができる。本発明は、これらの知見に基づい
て完成するに至ったものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、極性有機溶媒中で、繰り返し単位〔I〕
【0020】
【化11】 〔ただし、Rは炭素数1〜6のアルキル基を、また、k
は0または1〜4の整数を表わす。〕を有するポリアリ
ーレンチオエーテル(A)に、アルカリ金属硫化物を作
用させて解重合することにより得られる少なくとも一方
の末端にアルカリチオラート基を有するプレポリマー
(B)と、 一般式〔II〕
【0021】
【化12】 (ただし、mは0または1〜100の整数を、また、X
はハロゲン原子を表わす。)で表されるジハロゲン置換
芳香族化合物を、必要ならばアルカリ金属硫化物ととも
に極性有機溶媒中で、重合反応させることを特徴とする
高耐熱性芳香族コポリマー(C)の製造方法が提供され
る。以下、本発明について詳述する。
【0022】〔原料PATE(A)〕本発明において、
解重合に供する原料のPATE(A)は、繰り返し単位
〔I〕
【0023】
【化13】 〔ただし、Rは炭素数1〜6のアルキル基を、また、k
は0または1〜4の整数を表わす。〕を有するポリアリ
ーレンチオエーテル(A)である。
【0024】ここで、該ポリアリーレンチオエーテル
(A)は、ポリマー中に前記繰り返し単位〔I〕を50
重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましく
は80重量%以上含むものを意味する。
【0025】また、本発明で原料として使用するPAT
E(A)には、高重合度のポリマーから、繰り返し単位
数が数個好ましくは数十個程度の低重合度のオリゴマー
まで含まれる。さらに、オフ・スペック品や成形屑、廃
プラスチックなども使用できる。
【0026】このような原料PATE(A)は、特に限
定されないが、通常、ジハロゲン置換芳香族化合物とア
ルカリ金属硫化物との反応によって得られる。例えば、
米国特許第3,919,177号、米国特許第4,64
5,826号などに開示されているように、アルカリ金
属硫化物と、ジハロゲン置換芳香族化合物とを、N−メ
チルピロリドンなどの極性有機溶媒中で、加熱して重合
することにより得ることができる。さらに、本発明にお
いては、アルカリ金属硫化物1モルに対して、 一般式〔VII〕
【0027】
【化14】 〔ただし、Xはハロゲン原子を、Rは炭素数1〜6のア
ルキル基を、また、kは0または1〜4の整数を表わ
す。〕で表わされる化合物を主成分とするジハロゲン置
換芳香族化合物0.9〜1.1モル、好ましくは0.9
5〜1.05モル、さらに好ましくは0.97〜1.0
3モルを、含水極性有機溶媒中で、重合反応させること
により得られるPATEを原料として好適に用いること
ができる。
【0028】前記一般式〔VII〕で表わされる化合物
としては、例えば、p−ジクロルベンゼン、m−ジクロ
ルベンゼン、2,6−ジクロルトルエン、2,5−ジク
ロルトルエン、p−ジブロムベンゼンなどのジハロゲン
置換芳香族化合物を挙げることができる。また、2,6
−ジクロルナフタリン、1−メトキシ−2,5−ジクロ
ルベンゼン、4,4’−ジクロルビフェニル、3,5−
ジクロル安息香酸、4,4’−ジクロルジフェニルエー
テル、4,4’−ジクロルジフェニルスルフォン、4,
4’−ジクロルジフェニルスルフォキシド、4,4’−
ジクロルジフェニルケトンなどの他のジハロゲン置換芳
香族化合物を50重量%以下、好ましくは30重量%以
下、より好ましくは20重量%の以下の少量成分として
用いることができる。
【0029】かくして得られたPATEは、反応混合物
から分離して用いてもよいし、反応混合物をそのまま解
重合に供してもよい。特に、イオン性不純物を低減させ
る場合は、原料PATE(A)として、重合混合物から
ポリマーを分離し、洗浄などにより精製されたものが好
ましい。
【0030】なお、反応液中に含まれる極性有機溶媒お
よび水は、そのまま解重合工程の成分の一部として利用
することができる。また、PATEは、反応液を冷却し
て析出させたものであってもよい。
【0031】〔アルカリ金属硫化物〕PATE(A)の
解重合に使用するアルカリ金属硫化物としては、硫化リ
チウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウ
ム、硫化セシウム、およびこれらの混合物を例示するこ
とができる。また、水硫化アルカリと水酸化アルカリか
ら反応系においてin situで調製されるアルカリ
金属硫化物も用いることができる。
【0032】〔ビス(ベンゾイル)ベンゾフェノン含有
ジハロゲン置換芳香族化合物〕PATE(A)を解重合
して得られる少なくとも一方の末端にアルカリチオラー
ト基を有するプレポリマー(B)と反応させるビス(ベ
ンゾイル)ベンゾフェノン含有ジハロゲン置換芳香族化
合物は、 一般式〔II〕
【0033】
【化15】 (ただし、mは0または1〜100の整数を、また、X
はハロゲン原子を表わす。)で表わされる少なくとも1
種の化合物である。
【0034】ハロゲン原子Xは、フッ素、塩素、臭素ま
たはヨウ素から選ばれ、お互いに同一でもよく異なって
いてもよい。特に、塩素または臭素から選ばれたものが
好ましい。このようなジハロゲン置換芳香族化合物とし
て、m=0の場合には、 一般式〔VIII〕
【0035】
【化16】 (ただし、Xはハロゲン原子を表わす。)で表される化
合物を挙げることができる。
【0036】一般式〔VIII〕で表わされる化合物と
しては、例えば、好ましくは4,4’−ビス(4−クロ
ロベンゾイル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(4−
クロロベンゾイル)ベンゾフェノン、3,4’−ビス
(4−クロロベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−
ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、3,
3’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、
3,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノ
ン等およびこれらの二種以上の混合物が用いられる。こ
れらの化合物の中でも一般式〔III〕
【0037】
【化17】 で表される化合物が好ましい。
【0038】また、一般式〔VIII〕で表される化合
物と少量のアルカリ金属硫化物との反応により生成する
オリゴマーあるいはポリマーであって、その末端にハロ
ゲン原子を有する化合物も使用することができる(一般
式〔II〕で、m=1〜100の場合)。この場合、m
は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜8の整数
である。mが100を越えると、反応性が不足するおそ
れがある。
【0039】(極性有機溶媒)極性有機溶媒としては、
例えば、N−メチルピロリドンなどのN−アルキルピロ
リドン、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン、
テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミド等
に代表されるアプロチック有機アミド溶媒が、反応系の
安定性が高く、高分子量のポリマーが得られるので好ま
しい。
【0040】(製造方法)本発明の高耐熱性芳香族コポ
リマー(C)の製造方法は、PATE(A)にアルカリ
金属硫化物を作用させて解重合することにより少なくと
も一方の末端にアルカリチオラート基を有するプレポリ
マー(B)を得る工程(解重合工程あるいはアルカリチ
オラート化工程)と、生成したプレポリマー(B)と各
種ジハロゲン置換芳香族化合物を反応させることによ
り、再び重合反応させる工程(重合工程あるいは再重合
工程)を含む。
【0041】解重合工程 少なくとも一方の末端にアルカリチオラート基を有する
プレポリマー(B)は、通常、(a)極性有機溶媒1k
g当たり水20モルまでを含有する含水極性有機溶媒、
(b)極性有機溶媒1kgに対して、PATE(A)
0.1〜5基本モル、および(c)PATE(A)1基
本モルに対して、アルカリ金属硫化物0.01〜1モ
ル、を含む混合物を200〜300℃で、0.1〜30
時間、解重合反応させることにより好適に得ることがで
きる。
【0042】反応温度は、通常、200〜300℃、好
ましくは220〜280℃、より好ましくは235〜2
80℃である。200℃未満では、解重合とアルカリチ
オラート化が不十分になったり、反応時間が長くなり過
ぎ、また、300℃を越えると、分解反応を起こし易く
なり、いずれも好ましくない。
【0043】反応時間は、通常、0.1〜30時間、よ
り好ましくは0.5〜20時間である。0.1時間未満
では、反応が不十分になるおそれがあり、逆に、30時
間を越えると経済的に不利になる。
【0044】解重合工程での水の共存量は、極性有機溶
媒1kg当たり20モルまで、好ましくは0.1〜20
モル、より好ましくは0.2〜10モルの範囲が望まし
い。20モルを越えると、望ましくない副反応が起こる
おそれがある。
【0045】解重合に供するPATE(A)の量は、極
性有機溶媒1kg当たり0.1〜5基本モル、好ましく
は0.2〜4基本モルの範囲が望ましい。0.1基本モ
ル未満では、生産性が低下し、逆に、5基本モルを越え
ると、反応系の粘性が高くなり、いずれも好ましくな
い。なお、本発明でいう「基本モル」数とは、PATE
の繰り返し単位〔I〕を構成する原子量の総和を1グラ
ム分子として算出したモル数をいう。
【0046】アルカリ金属硫化物の量は、PATE
(A)1基本モル当たり0.01〜1モル、好ましくは
0.02〜0.9モル、さらに好ましくは0.05〜
0.8モルの範囲が望ましい。0.01モル未満では、
アルカリチオラート化が不十分になるおそれがあり、逆
に、1モルを越えると、重合工程で得られるコポリマー
(C)の組成の均一性、溶融安定性に悪影響を及ぼすお
それがある。
【0047】含水極性有機溶媒、ポリアリーレンチオエ
ーテル(A)およびアルカリ金属硫化物を含む混合物
は、該混合物を10倍(重量比)の水に希釈した水溶液
のpH値が9以上、好ましくは10以上になるようなア
ルカリ性であることが望ましい。pH値が9未満では、
解重合とアルカリチオラート化が不十分になるおそれが
ある。
【0048】混合物を所望のアルカリ性にするために、
PATE(A)1基本モル当たり0.001〜1モル、
好ましくは0.01〜0.5モルの塩基性化合物を添加
することができる。このような塩基性化合物としては、
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化
物、および炭酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物
を挙げることができる。
【0049】かくして、少なくとも一方の末端にアルカ
リチオラート基を有するプレポリマー(B)が得られ
る。このようなプレポリマー(B)は、通常、両末端に
アルカリチオラート基を有するものが主体となっている
と考えられる。
【0050】また、プレポリマー(B)の重合度は、原
料PATE(A)の重合度や解重合に用いるアルカリ金
属硫化物の量などの反応条件によって異なり、前記繰り
返し単位〔I〕が1個から数個のオリゴマーから、比較
的高重合度のものまであるが、本発明に使用するもの
は、特に制限なく使用でき、どの重合度のものであって
も、また、これらの混合物であってもよい。
【0051】少なくとも一方の末端にアルカリチオラー
ト基を有するプレポリマー(B)は、該プレポリマー
(B)を含有する反応混合物(反応液)のままで、安定
性よく次の重合工程の成分として用いることができる。
また、必要ならば酸化されない条件下で、一旦、反応液
からプレポリマー(B)を分離して、次の重合工程の成
分として用いることも可能である。
【0052】アルカリ金属硫化物による解重合により末
端にアルカリチオラート基を有するプレポリマー(B)
を生成させた後は、反応系が強アルカリ性であることを
必要としない。むしろ、強アルカリ性では重合反応を阻
害する場合がある。
【0053】したがって、アルカリチオラート化反応
後、生成したプレポリマー(B)を反応液から分離しな
いでそのまま次の重合反応に用いる時には、酸性物質で
部分的に中和することができる。ただし、反応液を酸性
にしてしまうとアルカリチオラート基が分解し易くなる
ので好ましくない。
【0054】中和剤としては、プロトン酸および/また
は強酸と弱塩基からなる塩等が用いられるが、特に強酸
と弱塩基からなる塩が好ましい。具体例としては、ハロ
ゲン化アンモニウム、希鉱酸、有機カルボン酸などが挙
げられる。
【0055】重合工程 少なくとも一方の末端にアルカリチオラート基を有する
プレポリマー(B)と、一般式〔II〕で表される少な
くとも1種のジハロゲン置換芳香族化合物との重合反応
は、通常、(a)極性有機溶媒1kg当たり水30モル
までを含有する含水極性有機溶媒、(b)極性有機溶媒
1kgに対して、少なくとも一方の末端にアルカリチオ
ラート基を有するプレポリマー(B)0.05〜5基本
モル、および(c)該プレポリマー(B)1モルに対し
て、一般式〔II〕で表される少なくとも1種のジハロ
ゲン置換芳香族化合物0.7〜1.3モル、を含む混合
物を80〜300℃で、0.1〜30時間、重合反応さ
せることにより好適に行なうことができる。
【0056】重合反応温度は、通常、80〜300℃、
より好ましくは100〜280℃である。反応温度が8
0℃未満では、重合反応が不充分となるおそれがあり、
逆に、300℃を越えると、分解反応が起こるおそれが
ある。
【0057】重合時間は、通常、0.1〜30時間、よ
り好ましくは0.5〜20時間である。反応時間が0.
1時間未満では、重合反応が不十分となるおそれがあ
り、逆に、30時間を越えると、生産性が悪くなる。
【0058】また、2段以上の多段で昇温して、重合反
応させることにより、より高分子量のコポリマーが、よ
り短時間で得やすい。例えば、235℃までの温度で前
段重合を行ない、次いで、245℃以上に昇温して後段
重合を行なう方法がある。
【0059】この重合工程における反応系の水の量は、
極性有機溶媒1kg当たり30モルまで、好ましくは1
〜25モル、さらに好ましくは5〜20モルの範囲が望
ましい。なお、この水の一部は、重合反応の途中で添加
してもよい。特に、この重合工程で後半に245℃以上
に昇温して重合反応を行なう場合は、この昇温段階の前
後に水を追加すると、より高分子量で、より溶融安定性
の優れたコポリマー(C)を得やすい。水の量が30モ
ル超過では、望ましくない副反応等が起こり易く、ま
た、高分子量のコポリマーが得難くなる。
【0060】プレポリマー(B)の量は、極性有機溶媒
1kg当たり0.05〜5基本モル、好ましくは0.1
〜4基本モルの範囲が望ましい。0.05基本モル未満
では、生産性の点で不利であり、5基本モル超過では、
反応系の粘度が高くなり、いずれも好ましくない。ただ
し、プレポリマー(B)の基本モル数とは、繰り返し単
位〔I〕を構成する原子量の総和を1グラム分子として
算出したモル数を意味する。
【0061】ジハロゲン置換芳香族化合物の量は、プレ
ポリマー(B)1モル当たり0.7〜1.3モル、より
好ましくは0.9〜1.1モルの範囲が望ましい。0.
7モル未満または1.3モル超過では、高分子量のコポ
リマーを得難い。
【0062】ここで、プレポリマー(B)のモル数は、
プレポリマー(B)を製造する際に添加したアルカリ金
属硫化物量から解重合反応後の残存アルカリ金属硫化物
量を差し引いたアルカリ金属硫化物のモル数と定義す
る。
【0063】なお、本発明においては、該プレポリマー
(B)とジハロゲン置換芳香族化合物を重合反応させる
工程で、必要ならばアルカリ金属硫化物を使用すること
も可能であり、アルカリ金属硫化物はプレポリマー
(B)とアルカリ金属硫化物の総和に対して60モル%
以下の範囲、好ましくは50モル%未満の範囲、より好
ましくは30モル%以下の範囲で使用できる。なお、こ
の場合のアルカリ金属硫化物の使用量はジハロゲン置換
芳香族化合物量を規定する際、上記定義したプレポリマ
ー(B)のモル数に加えられ、この合計量をプレポリマ
ー(B)のモル数とする。
【0064】その他の重合条件 本発明の製造方法においては、反応装置として、少なく
とも反応液が直接接触する部分は、例えばチタン材など
の反応液と反応しない不活性な耐腐食性材料で構成され
たものであることが好ましい。
【0065】また、コポリマーの製造方法において、反
応末期に、例えば、ビス(ハロベンゾイル)ベンゾフェ
ノン、ビス(ハロベンゾイル)ベンゼン、ジハロベンゾ
フェノン、ジハロジフェニルスルフォン、モノハロベン
ゾフェノンなどのハロゲン化合物を反応系に添加して反
応させることにより、さらに溶融安定性の改善されたコ
ポリマーを得ることができる。
【0066】本発明のコポリマーは、繰り返し単位〔V
I〕
【0067】
【化18】 を有する少なくとも1つのポリアリーレンチオエーテル
ケトンケトンケトン(PTKKK)セグメント(X)
と、繰り返し単位〔I〕
【0068】
【化19】 を有する少なくとも1つのPATEセグメント(Y)を
含有するコポリマーである。
【0069】本発明のコポリマーを粒状物として得よう
とする場合には、セグメント(X)の合計量に対するセ
グメント(Y)の合計量の比率が重量比で0.5〜9と
することが好ましく、より好ましくは1.0〜5、さら
に好ましくは1.5〜4である。
【0070】
【実施例】以下、本発明について、参考例、実施例およ
び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これ
らの実施例のみに限定されるものではない。
【0071】なお、ポリマーの物性の測定法は次のとお
りである。 <物性の測定>融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg) 融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)は、ポリマ
ーを約370℃でホットプレスし急冷して、厚さ約0.
5mmのシートに成形し、示差走査熱量計(DSC)を
用い、窒素雰囲気中、室温から10℃/分の速度で昇温
加熱して測定した。なお、ホットプレスによるシート成
形を行なわずに、粒状でのポリマー(重合上がりのポリ
マー)のTmも、同様の条件で測定した。
【0072】ポリマーの組成比 硫黄の元素分析値から算出した。
【0073】ナトリウムイオンの量 ナトリウムイオンの量は、ポリマーを加熱した濃硫酸中
で分解した後、過酸化水素水で処理して試料溶液を調製
し、イオンクロマト法により定量した。
【0074】溶融粘度 内径1mmφ、L/D=10/1のノズルを装着したキ
ャピログラフ(東洋精機社製)にポリマーサンプルを装
填し、ポリマーの融点Tmよりも高い温度で5分間予熱
後、剪断速度1,200/秒、特定温度下で測定した。
【0075】数平均分子量の測定 試料反応液(アルカリチオラート化物を含む)をサンプ
リングし、大過剰量の希塩酸水で処理し、さらに、水洗
を十分に行ない、真空乾燥して試料サンプルを調製し
た。原料PATEポリマーはそのまま試料サンプルとし
た。数平均分子量は、ゲル・パーミュエーション・クロ
マトグラフ法(GPC法)で求めた。測定条件は以下の
とおりである。 カラム:SHODEX AT80M/S直列2本 溶媒 :α−クロルナフタレン 流速 :0.7ml/分 温度 :220℃ 試料濃度:0.05重量% 注入量:200μl 検出器:水素炎イオン化検出器(FID) 分子量校正:標準ポリスチレンおよび
【0076】
【化20】 データ処理:クロマトパックC−RAX(島津製作所
製)
【0077】〔合成例〕 〔4,4’−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゾフェ
ノンの合成〕撹拌装置、滴下装置、温度計、還流冷却器
を備えた500mlの四つ口フラスコに、塩化アルミニ
ウム25.60g(0.192モル)、1,1,2,2
−テトラクロロエタン100mlを加え、塩化アルミニ
ウムの塊がなくなるまで撹拌した後、5℃で4−クロロ
ベンゾトリクロリド44.14g(0.192モル)を
加えた。さらにこの温度でジフェニルメタン13.45
g(0.08モル)を適下し、2時間撹拌反応させた。
反応終了後、この反応混合物に水100mlを加え、液
温を100℃に上げ、3時間激しく撹拌することによ
り、上記反応で生成した4,4’−ビス(4−クロロフ
ェニルジクロロメチル)ジフェニルメタンを加水分解し
て、4,4’−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニ
ルメタンとした。
【0078】加水分解終了後、反応液を冷却し、クロロ
ホルム200mlを加えて、有機物を溶解し、クロロホ
ルム層を分離し、水洗した後、蒸留に付した。蒸留によ
りクロロホルムおよび1,1,2,2−テトラクロロエ
タンを留去した残渣に、トルエンを加えて再結晶し、
4,4’−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルメ
タンの灰白色針状結晶28.0gを得た。
【0079】次いで、撹拌装置、還流冷却器、空気吹き
込み管を備えた200mlのチタン製オートクレーブ
に、4,4’−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニ
ルメタン20.00g、酢酸90g、水10g、酢酸コ
バルト4水塩0.5g、酢酸マンガン4水塩1.0g、
臭化アンモニウム1.00gを入れ、窒素で10kg/
cm2Gに加圧した後、昇温した。反応系が180℃に
なった後、この温度で11kg/cm2Gの圧力を保ち
ながら、撹拌下毎時24リットルの空気を流し、7時間
反応させた。
【0080】反応終了後、室温まで冷却し、析出した結
晶を濾取し、酢酸で洗浄した。得られた結晶を1−メチ
ル−2−ピロリジノンから再結晶して、4,4’−ビス
(4−クロロベンゾイル)ベンゾフェノン17.53g
を得た。メトラー社製の示差走査熱量計で解析した純度
は、99.90%であった。収率は84.9%であっ
た。
【0081】その構造は、質量分析(Mass)、赤外
線スペクトル分析(IR)、元素分析により下記構造式
化21で表される化合物である。
【0082】
【化21】
【0083】以下にその分析値を示す。 分子量(Mass): 458 IR: 1645cm-1(C=O) 元素分析: 〔実験値〕 〔理論値〕 C: 70.6重量% 70.61重量% H: 3.5重量% 3.51重量% Cl: 15.4重量% 15.44重量% 融点: 310.5〜311℃
【0084】さらに、上述した方法により以下の実施例
および比較例で用いた4,4’−ビス(4−クロロベン
ゾイル)ベンゾフェノン(以下、BCBBと略記)の必
要量を合成した。
【0085】[参考例1] <原料PATE(A)の調製>N−メチルピロリドン
(NMP)7.0kg、含水硫化ナトリウム3.03k
g(18.02モル、水分53.6重量%)を、チタン
内張りオートクレーブ中に仕込み、窒素ガスで置換後、
徐々に200℃まで昇温しながら、水1.32kgを含
むNMP溶液2.02kgと硫化水素0.41モルを溜
出させた。
【0086】次いで、p−ジクロルベンゼン2.65k
g(18.03モル)、水0.24kg(13.32モ
ル)およびNMP3.70kgの混合溶液を供給し、2
20℃で5時間反応した後、さらに水を0.72kg
(40.00モル)を圧入し、255℃に昇温して3時
間反応した。
【0087】得られた反応混合液をスクリーンで篩分
し、粒状ポリマーを分離し、アセトン洗、水洗をそれぞ
れ3回行なったのち脱水し、100℃で乾燥して白色顆
粒状のPATE(A−1)を得た。
【0088】PATE(A−1)の物性は、次のとおり
であった。 Tm=281℃ Tg=86℃ η*=2200ポイズ(310℃) 数平均分子量=約11000 ナトリウムイオン=450ppm
【0089】[実施例1] <解重合とアルカリチオラート化反応>チタン製重合缶
中で、参考例1で調製したPATE(A−1)108g
(1.0基本モル)、NMP500g、含水硫化ナトリ
ウム(水分53.88重量%)23.07g、水酸化ナ
トリウム1.0gの混合物を撹拌して、混合液を調製し
た。この混合液の一部を10倍(重量比)の水で希釈し
た水溶液のpH値は、12であった。
【0090】この混合液を窒素置換後、撹拌しながら、
240℃で2時間加熱し、解重合とアルカリチオラート
化反応を行ない、反応液(a−1)を得た。この反応液
中の残存硫化ナトリウムをイオンクロマト法で定量した
ところ、2.5%であった。
【0091】<アルカリチオラート化物の解析>反応液
(a−1)を10倍量の水で希釈し、塩酸でpHを3に
調節した後、水洗を十分に行ない、室温で真空乾燥しチ
オール化物を得た。
【0092】このチオール化物は、チオフェノール臭が
した。また、その赤外線吸収スペクトルには、原料のP
ATEには認められないチオール基に由来する2560
cm-1付近に弱い吸収が認められた。チオール化物の硫
黄含有量は、PATEの理論値29.60重量%に比べ
て、31.6重量%に増加していた。また このチオー
ル化物の溶融粘度は50ポイズ以下(310℃)であ
り、原料のPATEの2200ポイズに比べ非常に小さ
くなっていた。
【0093】<共重合反応>上記の反応液(a−1)3
88.7g〔プレポリマー(B)0.082モル、硫化
ナトリウム0.0021モル含有〕とBCBB38.5
8g(0.084モル)NMP336gおよび水85.
1gをチタン製重合缶に仕込み、窒素置換後、昇温し2
70℃で30分間反応行った。
【0094】この反応混合物を、240℃まで降温した
後、反応末期処理を行った。反応末期処理は4,4’ジ
クロロベンゾフェノン(以下DCBPと略記)6.3g
とNMP60gの混合液を圧入し240℃で30分間反
応させることにより行った。
【0095】得られた反応混合液を目開き150μm
(100メッシュ)のスクリーンで篩分し、粒状ポリマ
ーを分離し、アセトン洗、水洗をそれぞれ3回行なった
後、脱水した。100℃で乾燥しコポリマー(ポリマー
C1)を72%の収率で得た。
【0096】<ポリマーの物性>得られたポリマーC1
の物性は、次のとおりであった。 Tm=336℃ (重合上がりのコポリマーのTmは345℃であっ
た。) Tg=114℃ 溶融粘度=150ポイズ(370℃) ナトリウムイオン含有量=60ppm
【0097】[実施例2] <解重合とアルカリチオラート化反応>参考例1で調製
した乾燥前の含水PATE(A−1)166.1g
(1.0基本モル、含水率36.6重量%)、NMP7
00g、含水硫化ナトリウム(水分53.88重量%)
18.8g、水酸化ナトリウム1.0gの混合物を撹拌
して、混合液を調製した。この混合液の一部を10倍
(重量比)の水で希釈した水溶液のpH値は、12であ
った。
【0098】この混合液を窒素置換後、撹拌しながら、
240℃で1時間加熱し、解重合とアルカリチオラート
化反応を行ない、反応液(a−2)を得た。この反応液
中の残存硫化ナトリウムをイオンクロマト法で定量した
ところ、3.4%であった。
【0099】<共重合反応>上記の反応液(a−2)5
00g〔プレポリマー(B)0.0783モル、硫化ナ
トリウム0.0028モル含有〕とBCBB36.84
g(0.0802モル)をチタン製重合缶に仕込み、窒
素置換後、昇温し270℃で30分間反応を行った。
【0100】この反応混合物を、240℃まで降温した
後、反応末期処理を行った。反応末期処理はDCBP
6.3gとNMP60gの混合液を圧入し240℃で3
0分間反応させることにより行った。得られた反応混合
液を実施例1と同様に処理して、コポリマー(ポリマー
C2)を88%の回収率で得た。
【0101】<ポリマーの物性>コポリマーC2の物性
は、以下のとおりであった。 Tm=306℃ (重合上がりのコポリマーのTmは318℃であっ
た。) Tg=108℃ 溶融粘度=200ポイズ(370℃) ナトリウムイオン含有量=40ppm
【0102】[実施例3] <解重合とアルカリチオラート化反応>チタン製重合缶
中で、PATE(呉羽化学工業株式会社製、登録商標フ
ォートロン#W300)108g(1.0基本モル)、
NMP500g、含水硫化ナトリウム(水分53.88
重量%)18.8g、水酸化ナトリウム1.0gの混合
物を撹拌して、混合液を調製した。この混合液の一部を
10倍(重量比)の水で希釈した水溶液のpH値は、1
2であった。
【0103】この混合液を窒素置換後、撹拌しながら、
240℃で1時間加熱し、解重合とアルカリチオラート
化反応を行ない、反応液(a−3)を得た。この反応液
中の残存硫化ナトリウムをイオンクロマト法で定量した
ところ、0.3%であった。
【0104】<PTKKKオリゴマーの合成>BCBB
80g(0.174モル)、含水硫化ナトリウム(水分
53.88重量%)10.34g、NMP400gおよ
び水30.4gをチタン製重合缶に仕込み、窒素置換
後、加熱昇温し220℃で2時間反応を行ない、PTK
KKオリゴマーK1を含む反応液KS1を得た。
【0105】<共重合反応>上記の反応液(a−3)2
82.5g〔プレポリマー(B)0.0499モル、硫
化ナトリウム0.0002モル含有〕、230.1gの
反応液スラリーKS1および水37.4gをチタン製重
合缶に仕込み、窒素置換後、昇温し270℃で30分間
反応行った。
【0106】この反応混合物を、240℃まで降温した
後、反応末期処理を行った。反応末期処理はDCBP
6.3gとNMP60gの混合液を圧入し240℃で3
0分間反応させることにより行った。得られた反応液ス
ラリーから瀘紙(5種A)をもちいてポリマーを回収
し、アセトンおよび水で十分洗浄し乾燥して、コポリマ
ー(ポリマーC3)を93%の回収率で得た。
【0107】<ポリマーの物性>コポリマーC3の物性
は、以下のとおりであった。 Tm=340℃ (重合上がりのコポリマーのTmは355℃であっ
た。) Tg=111℃ 溶融粘度=50ポイズ(370℃) ナトリウムイオン含有量=110ppm
【0108】[比較例1] <ホモポリマーの合成>BCBB28.7g、含水硫化
ナトリウム(水分53.88重量%)10.58g、N
MP500gおよび水38.4gをチタン製重合缶に仕
込み、窒素置換後、加熱昇温し220℃で2時間反応を
行なった。
【0109】反応液スラリーをアセトン中に投入し、ポ
リマーを沈降させたのち、瀘紙(5種A)をもちいてポ
リマーを回収し、アセトンおよび水で十分洗浄し乾燥し
て、微粉末のポリマーR1を得た。ポリマーR1の平均
粒径は20μm以下で、重合上がりのポリマーの融点は
436℃であった。
【0110】
【発明の効果】本発明によれば、重合反応系における安
定性や反応性などの異なる2種以上のジハロゲン置換芳
香族化合物を出発材料として、イオン性不純物が少な
く、耐熱スペクトルの広い高耐熱性の芳香族コポリマー
を提供することができる。
【0111】また、本発明によれば、PATE製造工程
における副生オリゴマーやオフ・スペック品、あるいは
PATEの成形屑や使用済み廃プラスチックのリサイク
ル使用も可能であり、資源の有効利用に寄与できる。
【0112】本発明のコポリマーは、単独で各種成形用
樹脂として有用であるが、必要に応じて安定剤、他の熱
可塑性樹脂、繊維状充填材および/または無機充填材な
どを配合して、組成物として用いることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極性有機溶媒中で、繰り返し単位〔I〕 【化1】 〔ただし、Rは炭素数1〜6のアルキル基を、また、k
    は0または1〜4の整数を表わす。〕を有するポリアリ
    ーレンチオエーテル(A)に、アルカリ金属硫化物を作
    用させて解重合することにより得られる少なくとも一方
    の末端にアルカリチオラート基を有するプレポリマー
    (B)と、一般式〔II〕 【化2】 (ただし、mは0または1〜100の整数を、また、X
    はハロゲン原子を表わす。)で表されるジハロゲン置換
    芳香族化合物を、必要ならばアルカリ金属硫化物ととも
    に極性有機溶媒中で、重合反応させることを特徴とする
    高耐熱性芳香族コポリマー(C)の製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも一方の末端にアルカリチオラ
    ート基を有するプレポリマー(B)が、 (a)極性有機溶媒1kg当たり水20モルまでを含有
    する含水極性有機溶媒、 (b)極性有機溶媒1kgに対して、ポリアリーレンチ
    オエーテル(A) 0.1〜5基本モル(ただし、基本
    モル数とは、繰り返し単位〔I〕を構成する原子量の総
    和を1グラム分子として算出したモル数)、および (c)ポリアリーレンチオエーテル(A)1基本モルに
    対して、アルカリ金属硫化物0.01〜1モル、を含む
    混合物を200〜300℃で、0.1〜30時間、解重
    合反応させることにより得たものである請求項1記載の
    製造方法。
  3. 【請求項3】少なくとも一方の末端にアルカリチオラー
    ト基を有するプレポリマー(B)と、一般式〔II〕で
    表される少なくとも1種のジハロゲン置換芳香族化合物
    との重合反応を (a)極性有機溶媒1kg当たり水30モルまでを含有
    する含水極性有機溶媒、 (b)極性有機溶媒1kgに対して、少なくとも一方の
    末端にアルカリチオラート基を有するプレポリマー
    (B)0.05〜5基本モル、および (c)該プレポリマー(B)1モルに対して、一般式
    〔II〕で表される少なくとも1種のジハロゲン置換芳
    香族化合物0.7〜1.3モル、を含む混合物を80〜
    300℃で、0.1〜30時間、重合反応させることに
    よりに行なう請求項1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ジハロゲン置換芳香族化合物が一般式
    〔III〕 【化3】 (ただし、Xはハロゲン原子を表わす。)で表される化
    合物である請求項1ないし3のいずれか1項記載の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019151288A1 (ja) 2018-01-31 2019-08-08 東レ株式会社 ポリアリーレンスルフィド共重合体およびその製造方法
KR20220043077A (ko) 2019-07-31 2022-04-05 도레이 카부시키가이샤 섬유 강화 폴리아릴렌설파이드 공중합체 복합 기재, 그 제조 방법, 그것을 포함하는 성형품

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