JP5221877B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤との反応性に優れたポリアリーレンスルフィドを安定的かつ効率的に製造することができるポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。
【0002】
本発明において、脱水工程で投入する硫黄源と区別するため、仕込み工程における「仕込み硫黄源」を「有効硫黄源」と呼ぶことがある。その理由は、脱水工程で反応槽に投入する硫黄源の量は、脱水工程で変動するためである。また、仕込み硫黄源は、重合工程でのジハロ芳香族化合物との反応により消費されるが、「仕込み硫黄源」のモル量は、仕込み工程でのモル量を基準とする。
【背景技術】
【0003】
ポリフェニレンスルフィド(以下、「PPS」と略記)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、「PAS」と略記)は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れたエンジニアリングプラスチックである。PASは、押出成形、射出成形、圧縮成形などの一般的溶融加工法により、各種成形品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であるため、電気・電子機器、自動車機器等の広範な分野において汎用されている。
【0004】
PASの代表的な製造方法としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略記することがある)などの有機アミド溶媒中で、硫黄源とジハロ芳香族化合物とを反応させる方法が知られている。しかし、従来の製造方法により得られたPASは、曲げ強度や曲げ伸びなどの靭性が不足していること、射出成形時にバリが発生し易いことなどの欠点を有している。これらの欠点を克服するために、PASをシランカップリング剤と反応させる方法が提案されているが、従来の製造方法により得られたPASは、一般に、シランカップリング剤との反応性が不十分であり、満足する結果を得ることが困難であった。
【0005】
他方、硫黄源の原料として、アルカリ金属硫化物に代えて、アルカリ金属水硫化物またはアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属硫化物との混合物を使用し、アルカリ金属水酸化物の存在下に、ジハロ芳香族化合物と重合反応させる方法が知られている(例えば、特開平2−302436号公報、特開平5−271414号公報、特公平6−51792号公報)。しかし、これらの方法は、重合反応を安定して実施するための条件設定が難しい。しかも、これらの方法では、多量のアルカリ金属水酸化物を使用することもあって、副反応を抑制することが困難である。さらに、これらの方法では、シランカップリング剤との反応性を改良したPASを得ることが難しい。
【0006】
従来、シランカップリング剤との反応性が向上したPASを製造する方法として、硫黄源として、アルカリ金属硫化物(a1)を用いるか、アルカリ金属水硫化物(a2)及びアルカリ金属水酸化物(a3)を、(a3)/(a2)のモル比で1以下となる割合で用い、これと脂環式アミド化合物(例えば、NMP)と混合して混合溶液とする工程I;該混合溶液にポリハロ芳香族化合物を滴下しながら重合を行う工程II;次いで、ポリハロ芳香族化合物の消費率が50%以上となった時点以降に、アルカリ金属水酸化物を系内に加え反応させる工程IIIを含むポリアリーレンスルフィドの製造方法が提案されている(特開2001−181394号公報)。
【0007】
特開2001−181394号公報に開示されている方法によれば、反応活性点が多く、シランカップリング剤との親和性が良好なPASを得ることができるものの、副反応が起こり易く、重合反応を安定して実施することが困難である。特に、この方法では、工程IIIでアルカリ金属水酸化物を追加しているものの、単に重合温度を上昇させて重合反応を継続する方法を採用していることもあって、溶融粘度が十分に高いPASを得ることが難しい。PASの溶融粘度は、分子量または重合度を示す指標とされるものであり、靭性に優れたPASを得るには、高溶融粘度であることが望まれる。さらに、特開2001−181394号公報に開示されている方法では、所望の溶融粘度を有するPASを得るのに長時間の重合反応を必要とする。
【0008】
有機アミド溶媒中で、アルカリ金属水硫化物を含む硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させるとともに、重合反応混合物中にアルカリ金属水酸化物を連続的または分割添加して、重合反応の開始から終了に至るまでの間、重合反応混合物のpHを7〜12.5の範囲に制御するポリアリーレンスルフィドの製造方法が提案されている(特開2004−244619号公報)。この方法によれば、副反応や分解反応を抑制して、高純度かつ高溶融粘度のPASを安定的に得ることができる。しかし、この方法により得られたPASは、シランカップリング剤との反応性が十分ではない。
【0009】
有機アミド溶媒中で、硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、(1)有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物、及びアルカリ金属水硫化物1モル当たり0.95〜1.05モルのアルカリ金属水酸化物を含有する混合物を加熱して反応させ、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出する脱水工程;(2)脱水工程後、系内に残存する混合物に、アルカリ金属水硫化物を含む硫黄源(以下、「仕込み硫黄源」という)1モル当たり、1.00〜1.09モルのアルカリ金属水酸化物と0.5〜2.0モルの水が存在するように、必要に応じて、アルカリ金属水酸化物と水を添加する仕込み工程;(3)混合物にジハロ芳香族化合物を添加し、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを170〜270℃の温度で重合反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率が50〜98%のプレポリマーを生成させる前段重合工程;及び(4)前段重合工程後、仕込み硫黄源1モル当たり2.0〜10モルの水が存在する状態となるように反応系内の水量を調整すると共に、245〜290℃に加熱して、重合反応を継続する後段重合工程の各工程を含むポリアリーレンスルフィドの製造方法が提案されている(国際出願公開2004/060972号パンフレット)。
【0010】
国際出願公開2004/060972号パンフレットに開示されている方法によれば、高溶融粘度で、かつシランカップリング剤との反応性が良好なPASを得ることができる。この文献の実施例1〜3には、温度310℃、剪断速度1216sec−1で測定した溶融粘度が110〜145Pa・sのPASが得られたことが示されている。
【0011】
国際出願公開2004/060972号パンフレットには、シランカップリング剤との反応性の指標として、「ASとの反応性」が採用されている。ここで、ASとは、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(略称「アミノシラン」)を意味している。ASとの反応性は、PASをγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(AS)と反応させたとき、温度310℃、剪断速度1216sec−1で測定した反応前の溶融粘度(MV1)に対する反応後の溶融粘度(MV2)の比(MV2/MV1)で表される。この比が高いほど、シランカップリング剤との反応性が良好であることを示している。この文献の実施例1〜3で得られたPASは、前記比(MV2/MV1)が2.2〜2.5であることが示されている。
【0012】
しかし、国際出願公開2004/060972号パンフレットに開示されている方法では、仕込み工程で必要量のアルカリ金属水酸化物の全量を仕込む方法を採用していることもあって、高溶融粘度かつシランカップリングとの反応性が高いPASを十分に安定して効率良く製造する点では、改良の余地があった。
【発明の開示】
【0013】
本発明の課題は、有機アミド溶媒中で、硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合させるポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、副反応や分解反応を抑制しながら重合反応を行うことができ、かつシランカップリング剤との反応性が十分に高いポリアリーレンスルフィドを安定的かつ効率的に得ることができる新規なポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の課題は、必要に応じて高溶融粘度で、しかも従来品よりもシランカップリング剤との反応性が更に改良されたポリアリーレンスルフィドを安定的かつ効率的に得ることができる新規なポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、反応混合物の均一溶解状態での前段重合工程と相分離状態での後段重合工程とを含むPASの製造方法を採用し、その際、先ず、有機アミド溶媒、硫黄源、アルカリ金属水酸化物、水、及びジハロ芳香族化合物を含有し、pHが12.5以上の仕込み混合物を調製し、前段重合工程で該仕込み混合物を加熱して重合反応を開始させ、次いで、後段重合工程では、反応系内に相分離剤を添加するとともに、特定量のアルカリ金属水酸化物を一括もしくは分割添加して重合反応を継続する方法に想到した。
【0016】
本発明の製造方法によれば、シランカップリング剤との反応性に優れたPASを安定して確実に製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、所望の水準の溶融粘度を有しかつ高反応性のPASを短時間の重合工程で効率良く製造することができる。さらに、本発明の製造方法によれば、シランカップリング剤との反応性が従来品の水準を超えるPASを得ることも可能である。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0017】
かくして、本発明によれば、有機アミド溶媒中で、硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、下記工程1〜3:
(1)有機アミド溶媒、アルカリ金属硫化物またはアルカリ金属水硫化物もしくはこれらの混合物を含む硫黄源(以下、「仕込み硫黄源」という)、アルカリ金属水酸化物、水、及びジハロ芳香族化合物を含有し、pHが12.5〜13.5の仕込み混合物を調製する仕込み工程1;
(2)該仕込み混合物を170〜270℃の温度に加熱して重合反応を開始させ、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる前段重合工程2;
(3)該プレポリマーを含有する反応系内に、アルカリ金属カルボン酸塩または水を含む相分離剤を添加するとともに、仕込み硫黄源1モル当り1〜10モル%に相当する量のアルカリ金属水酸化物を一括もしくは分割添加して、240〜290℃の温度で重合反応を継続する後段重合工程3;
を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
1.硫黄源
本発明では、硫黄源として、アルカリ金属硫化物またはアルカリ金属水硫化物もしくはこれらの混合物を使用する。硫黄源として、硫化水素も使用することができる。すなわち、脱水工程の後の缶内にアルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH)が過剰に存在する場合に、缶内に硫化水素を吹き込むことにより、アルカリ金属硫化物(例えば、NaS)を生成させることができる。硫黄源としては、アルカリ金属水硫化物または該アルカリ金属水硫化物を主成分として含有する硫黄源が好ましい。
【0019】
アルカリ金属水硫化物としては、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。アルカリ金属水硫化物は、無水物、水和物、水溶液のいずれを用いてもよい。これらの中でも、工業的に安価に入手できる点で、水硫化ナトリウム及び水硫化リチウムが好ましい。また、アルカリ金属水硫化物は、水溶液などの水性混合物(すなわち、流動性のある水との混合物)として用いることが処理操作や計量などの観点から好ましい。
【0020】
アルカリ金属水硫化物の製造工程では、一般に、少量のアルカリ金属硫化物が副生する。本発明で使用するアルカリ金属水硫化物の中には、少量のアルカリ金属硫化物が含有されていてもよい。また、アルカリ金属水硫化物は、少量のアルカリ金属硫化物を含んでいる場合に、安定した状態となり易い。さらに、重合反応混合物のpH制御のし易さの観点からも、アルカリ金属硫化物の含有量は、あまり多くないことが好ましい。
【0021】
したがって、硫黄源として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属硫化物との混合物を使用する場合には、アルカリ金属水硫化物が主成分であることが好ましく、アルカリ金属水硫化物50モル%超過とアルカリ金属硫化物50モル%未満との混合物であることがより好ましい。
【0022】
さらに、硫黄源がアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属硫化物との混合物である場合には、重合反応系のpH制御のし易さなどの観点から、その組成は、アルカリ金属水硫化物70〜99.5モル%とアルカリ金属硫化物0.5〜30モル%であることが好ましく、アルカリ金属水硫化物90〜99.5モル%とアルカリ金属硫化物0.5〜10モル%であることがより好ましく、アルカリ金属水硫化物95〜99.5モル%とアルカリ金属硫化物0.5〜5モル%であることがさらに好ましく、アルカリ金属水硫化物97〜99.5モル%とアルカリ金属硫化物0.5〜3モル%であることが特に好ましい。
【0023】
上記の場合、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属硫化物との総モル量が、仕込み硫黄源(「有効硫黄源」と呼ぶことがある)のモル量となる。また、この総モル量は、仕込み工程に先立って脱水工程を配置する場合には、脱水工程後の仕込み硫黄源のモル量になる。
【0024】
アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。アルカリ金属硫化物は、無水物、水和物、水溶液のいずれを用いてもよい。これらの中でも、工業的に安価に入手可能であって、かつ取り扱いが容易であることなどの観点から、硫化ナトリウムが好ましい。これらのアルカリ金属硫化物は、アルカリ金属水硫化物中に副生物として含有されているもののほか、一般に、水和物として市販されているものも使用することができる。アルカリ金属硫化物の水和物としては、例えば、硫化ナトリウム9水塩(NaS・9HO)、硫化ナトリウム・5水塩(NaS・5HO)などが挙げられる。アルカリ金属硫化物は、水溶液などの水性混合物(すなわち、流動性のある水との混合物)として用いることが処理操作や計量などの観点から好ましい。
【0025】
2.アルカリ金属水酸化物
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、工業的に安価に入手可能なことから、水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリ金属水酸化物は、水溶液などの水性混合物(すなわち、流動性のある水との混合物)として用いることが計量などの取り扱い性の観点から好ましい。
【0026】
3.ジハロ芳香族化合物
本発明で使用されるジハロ芳香族化合物は、芳香環に直接結合した2個のハロゲン原子を有するジハロゲン化芳香族化合物である。ジハロ芳香族化合物の具体例としては、例えば、o−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、p−ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ−ジハロベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシド、ジハロジフェニルケトン等が挙げられる。
【0027】
ここで、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素の各原子を指し、同一ジハロ芳香族化合物において、2つのハロゲン原子は、同じでも異なっていてもよい。これらのジハロ芳香族化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
ジハロ芳香族化合物の仕込み量は、脱水工程後に系内に残存する硫黄源(アルカリ金属硫化物及び/またはアルカリ金属水硫化物)1モルに対し、通常0.90〜1.50モル、好ましくは0.95〜1.20モル、より好ましくは1.00〜1.09モルである。
【0029】
4.分子量調節剤、分岐・架橋剤
生成PASに特定構造の末端を形成したり、あるいは重合反応や分子量を調節したりするために、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)を併用することができる。分岐または架橋重合体を生成させるために、3個以上のハロゲン原子が結合したポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物等を併用することも可能である。分岐・架橋剤としてのポリハロ化合物として、好ましくはトリハロベンゼンが挙げられる。
【0030】
5.有機アミド溶媒
本発明では、脱水反応及び重合反応の溶媒として、非プロトン性極性有機溶媒である有機アミド溶媒を用いる。有機アミド溶媒は、高温でアルカリに対して安定なものが好ましい。有機アミド溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;N−メチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム化合物;N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン化合物またはN−シクロアルキルピロリドン化合物;1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン等のN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物;テトラメチル尿素等のテトラアルキル尿素化合物;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のヘキサアルキルリン酸トリアミド化合物等が挙げられる。これらの有機アミド溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
これらの有機アミド溶媒の中でも、N−アルキルピロリドン化合物、N−シクロアルキルピロリドン化合物、N−アルキルカプロラクタム化合物、及びN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物が好ましく、特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチル−ε−カプロラクタム、及び1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。本発明の重合反応に用いられる有機アミド溶媒の使用量は、硫黄源1モル当たり、通常0.1〜10kgの範囲である。
【0032】
6.重合助剤
本発明では、重合反応を促進させ、高重合度のPASを短時間で得るために、必要に応じて各種重合助剤を用いることができる。重合助剤の具体例としては、一般にPASの重合助剤として公知の有機スルホン酸金属塩、ハロゲン化リチウム、有機カルボン酸金属塩、リン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。これらの中でも、有機カルボン酸金属塩が安価であるため、特に好ましい。重合助剤の使用量は、用いる化合物の種類により異なるが、仕込み硫黄源1モルに対し、一般に0.01〜10モルとなる範囲である。
【0033】
7.脱水工程
本発明では、有機アミド溶媒中で、硫黄源とジハロ芳香族化合物とを前記工程1〜3を含む製造方法によりPASを製造する。仕込み工程1では、有機アミド溶媒、硫黄源、アルカリ金属水酸化物、水、及びジハロ芳香族化合物を含有し、pHが12.5以上の仕込み混合物を調製する。一般に、このような仕込み工程1の前に、有機アミド溶媒、硫黄源、及びアルカリ金属水酸化物を含有する混合物を加熱して、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出する脱水工程を配置する。
【0034】
硫黄源は、水和水(結晶水)などの水分を含んでいることが多い。硫黄源及びアルカリ金属水酸化物を水性混合物として使用する場合には、媒体として水を含有している。硫黄源とジハロ芳香族化合物との重合反応は、重合反応系に存在する水分量によって影響を受ける。そこで、一般に、重合工程前に脱水工程を配置して、重合反応系内の水分量を調節する。
【0035】
脱水工程では、望ましくは不活性ガス雰囲気下で、有機アミド溶媒、硫黄源(好ましくはアルカリ金属水硫化物を含む硫黄源)、及び全仕込み量の一部のアルカリ金属水酸化物を含む混合物を加熱し、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出する。脱水工程は、反応槽内で行われ、留出物の系外への排出は、一般に反応槽外への排出により行われる。脱水工程で脱水されるべき水分とは、脱水工程で仕込んだ各原料が含有する水和水、水性混合物の水媒体、各原料間の反応により副生する水などである。
【0036】
各原料の反応槽内への仕込みは、一般に、約20℃から約300℃、好ましくは約20℃から約200℃の温度範囲内で行われる。各原料の投入順序は、順不同でよく、また、脱水操作途中で各原料を追加投入してもかまわない。脱水工程では、媒体として有機アミド溶媒を用いる。脱水工程で使用する有機アミド溶媒は、重合工程で使用する有機アミド溶媒と同一のものであることが好ましく、工業的に入手が容易であることからN−メチル−2−ピロリドンがより好ましい。有機アミド溶媒の使用量は、反応槽内に投入する硫黄源1モル当たり、通常0.1〜10kg程度である。
【0037】
脱水操作は、反応槽内へ原料を投入した後、前記各成分を含有する混合物を、通常300℃以下、好ましくは100〜250℃の温度範囲内で、通常15分間から24時間、好ましくは30分間〜10時間、加熱することにより行われる。加熱方法は、一定温度を保持する方法、段階的または連続的に昇温する方法、あるいは両者を組み合わせた方法がある。脱水工程は、バッチ式、連続式、または両方式の組み合わせ方式などにより行われる。脱水工程を行う装置は、重合工程に用いられる重合槽(反応缶)と同じであっても、あるいは異なるものであってもよい。
【0038】
脱水工程では、加熱により水及び有機アミド溶媒が蒸気となって留出する。したがって、留出物には、水と有機アミド溶媒とが含まれる。留出物の一部は、有機アミド溶媒の系外への排出を抑制するために、系内に環流してもよいが、水分量を調節するために、水を含む留出物の少なくとも一部は系外に排出する。留出物を系外に排出する際に、微量の有機アミド溶媒が水と同伴して系外に排出される。
【0039】
この脱水工程では、硫黄源に起因する硫化水素が揮散する。脱水工程では、前記混合物を加熱するが、加熱によって、硫黄源と水とが反応して、硫化水素とアルカリ金属水酸化物とが生成し、気体の硫化水素は、揮散する。例えば、アルカリ金属水硫化物1モルと水1モルが反応すると、硫化水素1モルとアルカリ金属水酸化物1モルが生成する。水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出するのに伴い、揮散した硫化水素も系外に排出される。
【0040】
脱水工程で系外に揮散する硫化水素によって、脱水工程後に系内に残存する混合物中の硫黄源の量は、投入した硫黄源の量よりも減少する。アルカリ金属水硫化物を主成分とする硫黄源を使用すると、脱水工程後に系内に残存する混合物中の硫黄源の量は、投入した硫黄源のモル量から系外に揮散した硫化水素のモル量を差し引いた値と実質的に等しくなる。脱水工程後に系内に残存する混合物中の硫黄源を「有効硫黄源」と呼ぶことができる。この有効硫黄源は、換言すれば、仕込み工程1とその後の重合工程における「仕込み硫黄源」である。つまり、本発明において、「仕込み硫黄源」とは、脱水工程後に混合物中に存在している有効硫黄源を意味している。
【0041】
脱水工程後の有効硫黄源は、アルカリ金属水硫化物、アルカリ金属硫化物などを含む混合物であると解されるが、その具体的な形態については、特に限定されない。従来、有機アミド溶媒中でアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物とを加熱すると、in situ で反応してアルカリ金属硫化物が生成するといわれてきたので、脱水工程でアルカリ金属水酸化物を添加すると、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物との反応によりアルカリ金属硫化物が生成している可能性がある。
【0042】
他方、PASの重合機構に関する最近の研究結果によれば、アルカリ金属水酸化物と有機アミド溶媒とが加熱により反応して、アルカリ金属アルキルアミノアルキルカルボキシレートを生成し、このアルカリ金属アルキルアミノアルキルカルボキシレートとアルカリ金属水硫化物とが錯体を形成していると推定されている。
【0043】
したがって、脱水工程後の有効硫黄源の具体的な化合物としての形態については、特に限定されないが、有効硫黄源がジハロ芳香族化合物と重合反応してPASを生成し、かつ、有効硫黄源とその他の成分とのモル比が重合反応に大きく影響することは確実である。脱水工程で最初に投入した硫黄源の量は、硫化水素の系外への揮散によって、脱水工程後には減少するため、系外に揮散した硫化水素の量に基づいて、脱水工程後に系内に残存する混合物中に含まれる硫黄源(有効硫黄源)の量を定量する必要がある。有効硫黄源の量を正確に定量することが、有効硫黄源とアルカリ金属水酸化物とのモル比、及び有効硫黄源とジハロ芳香族化合物とのモル比を調整する上で重要となる。
【0044】
脱水工程では、水和水や水媒体、副生水などの水分を必要量の範囲内になるまで脱水する。脱水工程では、有効硫黄源1モルに対して、好ましくは0.0〜2.0モル、より好ましくは0.5〜1.8モルになるまで脱水することが望ましい。脱水工程で水分量が少なくなり過ぎた場合は、重合工程の前の仕込み工程で水を添加して所望の水分量に調節することができる。
【0045】
アルカリ金属硫化物は、水との平衡反応によりアルカリ金属水酸化物を生成する。アルカリ金属水硫化物を主成分とする硫黄源を用いる製造方法では、少量成分のアルカリ金属硫化物の量を考慮して、有効硫黄源1モルに対するアルカリ金属水酸化物の仕込み量のモル比を算出する。また、脱水工程で硫化水素が系外に揮散すると、揮散した硫化水素とほぼ等モルのアルカリ金属水酸化物が生成するので、脱水工程で系外に揮散した硫化水素の量も考慮して、有効硫黄源1モルに対するアルカリ金属水酸化物の仕込み量のモル比を算出する。
【0046】
脱水工程において、有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物を含む硫黄源、及び硫黄源1モル当たり0.90〜1.05モルのアルカリ金属水酸化物を含有する混合物を加熱して、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出することが好ましい。
【0047】
この工程で硫黄源1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比が小さすぎると、脱水工程で揮散する硫化水素の量が多くなり、仕込み硫黄源量の低下による生産性の低下を招いたり、脱水後に残存する仕込み硫黄源に過硫化成分が増加したりすることによる異常反応、生成PASの品質低下が起こり易くなる。硫黄源1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比が大きすぎると、有機アミド溶媒の変質が増大することがある。
【0048】
脱水工程を行う装置は、後続する重合工程に用いられる反応槽(反応缶)と同じであっても、あるいは異なるものであってもよい。また、装置の材質は、チタンのような耐食性材料が好ましい。脱水工程では、通常、有機アミド溶媒の一部が水と同伴して反応槽外に排出される。その際、硫化水素は、ガスとして系外に排出される。
【0049】
8.仕込み工程
仕込み工程では、有機アミド溶媒、硫黄源、アルカリ金属水酸化物、水、及びジハロ芳香族化合物を含有し、pHが12.5以上の仕込み混合物を調製する。一般に、仕込み工程の前に脱水工程を配置することが多いため、仕込み工程での各成分量の調整及びpHの制御は、脱水工程で得られた混合物中の各成分の量を考慮して行う必要がある。
【0050】
本発明では、仕込み工程において、有機アミド溶媒、アルカリ金属硫化物またはアルカリ金属水硫化物もしくはこれらの混合物を含む硫黄源(仕込み硫黄源)、仕込み硫黄源1モル当り0.950〜1.090モルのアルカリ金属水酸化物、仕込み硫黄源1モル当り0.500〜2.000モルの水、及びジハロ芳香族化合物を含有し、pHが12.5以上の仕込み混合物を調製することが好ましい。「仕込み硫黄源」(有効硫黄源)の量は、「脱水工程で投入した硫黄源のモル量」から「脱水工程で揮散した硫化水素のモル量」を引くことによって算出することができる。
【0051】
仕込み混合物のpHの調整や各成分の量比(モル比)の調整は、通常、脱水工程で得られた混合物中に、仕込み硫黄源以外の成分を添加することにより行う。例えば、脱水工程で得られた混合物中のアルカリ金属水酸化物や水の量が少ない場合には、仕込み工程でこれらの成分を追加する。ジハロ芳香族化合物は、仕込み工程で添加する。
【0052】
脱水工程で硫化水素が揮散すると、平衡反応により、アルカリ金属水酸化物が生成し、脱水工程後の混合物中に残存することになる。したがって、これらの量を正確に把握して、仕込み工程での「仕込み硫黄源」に対するアルカリ金属水酸化物のモル比を決定する必要がある。アルカリ金属水酸化物のモル数は、脱水時に生成した硫化水素に伴い生成するアルカリ金属水酸化物のモル数、脱水前に添加したアルカリ金属水酸化物のモル数、及び仕込み工程で添加したアルカリ金属水酸化物のモル数に基づいて算出される。
【0053】
仕込み硫黄源1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比が大きすぎると、有機アミド溶媒の変質を増大させたり、重合時の異常反応や分解反応を引き起こしたりすることがある。また、生成PASの収率の低下や品質の低下を引き起こすことが多くなる。仕込み硫黄源1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比は、好ましくは0.980〜1.030モル、より好ましくは1.000〜1.030モルである。前段重合工程では、仕込み硫黄源1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比を上記範囲内とすることにより、pHを12.5以上に容易に調整することができ、それによって、重合反応を安定的に実施し、高品質のPASを得ることが容易になる。
【0054】
仕込み混合物のpHは、12.5以上、好ましくは12.5〜13.5、より好ましくは12.6〜13.3となるように、アルカリ金属水酸化物など各成分の割合を調節する。本発明では、仕込み混合物のpHは、12.5〜13.5である。本発明では、前段重合工程において、仕込み混合物を加熱して硫黄源とジハロ芳香族化合物との重合反応を開始させるが、この前段重合開始時における仕込み混合物のpHが12.5未満であると、前段重合の途中でアルカリ金属水酸化物を追加しても、シランカップリング剤との反応性が良好なPASを得ることが困難になる。仕込み混合物のpHが高すぎると、アルカリ金属水酸化物の存在量が多すぎることを示しており、有機アミド溶媒の変質を増大させたり、重合時の異常反応や分解反応を引き起こしたりすることがある。
【0055】
仕込み工程において、硫黄源として、50モル%超過のアルカリ金属水硫化物と50モル%未満のアルカリ金属硫化物とを含む硫黄源を含有する仕込み混合物を調製することが好ましい。このような組成を有する硫黄源は、実際には、脱水工程で調製する。
【0056】
仕込み工程において、仕込み硫黄源1モル当り、好ましくは0.950〜1.200モル、より好ましくは1.000〜1.090モルのジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製することが望ましい。
【0057】
仕込み工程において、有機アミド溶媒は、仕込み硫黄源1モル当り、通常0.1〜10kg、好ましくは0.15〜1kgの範囲とすることが望ましい。有機アミド溶媒の量は、上記範囲内であれば、重合工程の途中でその量を変化させてもよい。
【0058】
9.重合工程
本発明では、少なくとも前段重合工程と後段重合工程の2つの重合工程により重合反応を行う。より具体的に、本発明の重合工程は、仕込み混合物を170〜270℃の温度に加熱して重合反応を開始させ、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる前段重合工程;及びプレポリマーを含有する反応系内に、相分離剤を添加するとともに、仕込み硫黄源1モル当り1〜10モル%に相当する量のアルカリ金属水酸化物を一括もしくは分割添加して、240〜290℃の温度で重合反応を継続する後段重合工程を含む。
【0059】
加熱方法は、一定温度を保持する方法、段階的または連続的な昇温方法、あるいは両方法の組み合わせが用いられる。重合反応の途中で重合温度を下げることもできる。重合反応時間は、一般に10分間〜72時間の範囲であり、望ましくは30分間〜48時間である。
【0060】
重合工程に使用される有機アミド溶媒は、重合工程中に存在する仕込み硫黄源1モル当たり、通常0.1〜10kg、好ましくは0.15〜1kgである。この範囲であれば、重合反応途中でその量を変化させてもかまわない。
【0061】
このように、前段重合工程及び後段重合工程は、それぞれ温度条件を段階的に変化させたり、水やアルカリ金属水酸化物を分割して添加したりする複数の工程から構成されていてもよい。
【0062】
前段重合工程では、通常、生成するポリマーを含む各成分が均一に溶解した反応系での重合反応が行われる。後段重合工程では、相分離剤を添加することにより、通常、ポリマー濃厚相とポリマー希薄相とに相分離した状態で重合反応が継続される。一般に、攪拌下に重合反応が行われるため、実際には、有機アミド溶媒(ポリマー希薄相)中に、ポリマー濃厚相が液滴として分散した状態で相分離重合反応が行われる。相分離状態は、後段重合反応の進行につれて明瞭に観察されるようになる。
【0063】
重合反応方式は、バッチ式、連続式、あるいは両方式の組み合わせでもよい。バッチ式重合では、重合サイクル時間を短縮する目的のために、2つ以上の反応槽を用いる方式を用いてもかまわない。
【0064】
9.1.前段重合工程
前段重合工程では、仕込み混合物を170〜270℃の温度に加熱して重合反応を開始させ、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる。前段重合工程での重合温度は、200〜260℃の範囲から選択することが、副反応や分解反応を抑制する上で好ましい。
【0065】
ジハロ芳香族化合物の転化率は、好ましくは50〜98%である。ジハロ芳香族化合物の転化率は、反応混合物中に残存するジハロ芳香族化合物の量をガスクロマトグラフィにより求め、その残存量とジハロ芳香族化合物の仕込み量と硫黄源の仕込み量に基づいて算出することができる(例えば、特開昭61−7332号公報参照)。
【0066】
前段重合工程では、pH12.5以上の仕込み混合物を用いて重合反応を開始することが必要である。この条件が守られる限りにおいて、重合反応の途中で、水、アルカリ金属水酸化物、有機アミド溶媒の少なくとも1種の量を変化させてもよい。例えば、重合途中で水やアルカリ金属水酸化物を反応系に加えることができる。ただし、前段重合工程において、通常は、仕込み工程で調製した仕込み混合物を用いて重合反応を開始し、かつ前段重合反応を終了させることが好ましい。
【0067】
9.2.後段重合工程
後段重合工程では、前段重合工程で生成したプレポリマーを含有する反応系内に、相分離剤を添加するとともに、仕込み硫黄源1モル当り1〜10モル%に相当する量のアルカリ金属水酸化物を一括もしくは分割添加して、240〜290℃の温度で重合反応を継続する。
【0068】
相分離剤を添加することにより、重合反応系(重合反応混合物)をポリマー濃厚相とポリマー希薄相(有機アミド溶媒を主とする相)に相分離させる。この相分離は、後段重合工程の途中で生じてもよい。
【0069】
相分離剤としては、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、プロピオン酸リチウム、安息香酸リチウムなどのアルカリ金属カルボン酸塩;水など、この技術分野で相分離剤として機能することが知られている物質を用いることができる。これらの中でも、コストが安価で、後処理が容易な水が好ましい。
【0070】
後段重合工程では、反応系内の水分量が仕込み硫黄源1モル当り2.0モル超過10モル以下となるように、相分離剤として水を添加する方法を採用することが好ましい。後段重合工程で相分離剤として水を添加する場合、反応系内の水分量が仕込み硫黄源1モル当り、より好ましくは2.300〜7.000モル、特に好ましくは2.500〜5.000モルとなるように、水を添加することが好ましい。
【0071】
本発明の製造方法においては、後段重合工程において、相分離剤の添加時または相分離剤の添加時以降の任意の時点で、仕込み硫黄源1モル当り1〜10モル%に相当する量のアルカリ金属水酸化物を一括もしくは分割添加する。本発明が採用する2段階重合工程を含む製造方法において、相分離重合反応を行う後段重合工程でアルカリ金属水酸化物を添加することにより、驚くべきことに、従来にない短い重合時間で溶融粘度が高く、かつシランカップリング剤との反応性に優れたPASを得ることができることが見出された。
【0072】
2段階重合工程を採用しても、後段重合工程でアルカリ金属水酸化物を添加しない場合には、反応条件によっては、高溶融粘度のPASを安定して得ることが困難であったり、また、溶融粘度が比較的高いPASが得られても、該PASのシランカップリング剤との反応性が低下したりする。また、後段重合工程でアルカリ金属水酸化物を添加しても、相分離剤を添加しない場合には、高溶融粘度のPASを得ることができない。
【0073】
これに対して、本発明の製造方法によれば、高溶融粘度で、かつシランカップリング剤との反応性に優れたPASを効率的に得ることができる。シランカップリング剤との反応性を前述の「ASとの反応性」で評価すると、本発明の製造方法により得られたPASの「ASとの反応性」は、2.0超過であり、多くの場合2.5超過となる。PASの溶融粘度が高くなると、シランカップリング剤と反応すると推定される活性末端数が減少するが、本発明の製造方法によれば、溶融粘度が十分に高くても、シランカップリング剤との反応性が高水準のPASを得ることが可能である。
【0074】
後段重合工程において、仕込み硫黄源1モル当りのアルカリ金属水酸化物の合計量が好ましくは1.010〜1.100モル、より好ましくは1.020〜1.080、特に好ましくは1.020〜1.060となるように、アルカリ金属水酸化物の量を調節して添加することが好ましい。アルカリ金属化合物の合計量は、仕込み混合物中に存在するアルカリ金属水酸化物の量と重合工程で添加したアルカリ金属水酸化物の量との合計である。
【0075】
アルカリ金属水酸化物の添加時期は、相分離剤の添加時期とほぼ同じであっても、あるいは後段重合の途中であってもよい。また、アルカリ金属水酸化物を分割して添加することもできる。アルカリ金属水酸化物を水性混合物として分割添加すると、後段重合工程での相分離重合を促進することもできる。
【0076】
後段重合工程での重合温度は、好ましくは240〜280℃、より好ましくは240〜270℃である。重合温度は、一定の温度に維持することができるが、必要に応じて、段階的に昇温または降温してもよい。
【0077】
10.後処理工程
本発明の製造方法において、重合反応後の後処理は、常法によって行うことができる。例えば、重合反応の終了後、反応混合物を冷却するとポリマーを含むスラリーが得られる。冷却した生成物スラリーをそのまま、あるいは水などで希釈してから、濾別し、洗浄・濾過を繰り返して乾燥することにより、PASを回収することができる。
【0078】
本発明の製造方法によれば、粒状ポリマーを生成させることができるため、スクリーンを用いて篩分する方法により粒状ポリマーを反応液から分離することが、副生物やオリゴマーなどから容易に分離することができるため好ましい。生成物スラリーは、高温状態のままでポリマーを篩分してもよい。
【0079】
上記濾別(篩分)後、PASを重合溶媒と同じ有機アミド溶媒やケトン類(例えば、アセトン)、アルコール類(例えば、メタノール)等の有機溶媒で洗浄することが好ましい。PASを高温水などで洗浄してもよい。生成PASを、酸や塩化アンモニウムのような塩で処理することもできる。
【0080】
11.PAS
本発明の製造方法によれば、温度310℃、剪断速度1216sec−1で測定した溶融粘度が通常5〜800Pa・s、好ましくは10〜500Pa・s、より好ましくは15〜400Pa・sのPASを得ることができる。
【0081】
本発明の製造方法により得られるPASは、シランカップリング剤との反応性が高いので、比較的溶融粘度が低いものであっても、広範な用途に使用することができる。本発明の製造方法によれば、同水準の溶融粘度を有するPASを、従来法に比べて短い重合時間で製造することが可能である。
【0082】
本発明の製造方法によれば、高溶融粘度かつ高反応性のPASを得ることができる。この場合、PASの溶融粘度を50Pa・sまたは80Pa・s以上、さらには100Pa・s以上とすることも可能である。
【0083】
本発明の製造方法によれば、γ−アミノプロピルトリエトキシシランとの反応により、温度310℃、剪断速度1216sec−1で測定した反応前の溶融粘度MV1に対する反応後の溶融粘度MV2の比MV2/MV1が通常2.0超過のPa・sを得ることができる。この比MV2/MV1を「ASとの反応性」と呼ぶことがある。
【0084】
この比が大きいことは、シランカップリング剤との反応性が高いことを示している。γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、「アミノシラン」と呼ぶことがある)との反応性が大きいということは、PASとアミノシランからなる組成物の溶融粘度が大きくなり、靭性が増大することを示している。
【0085】
PASとアミノシランからなる組成物は、溶融状態での粘度が増大することに加えて、剪断速度に対する粘度の関係がPAS単独の場合とは異なり、溶融成形におけるバリの発生が減少するなどの効果を発揮し、溶融加工条件の選択幅を広げることができる。この比が2.0を超えないと、このような特性の発現効果が小さい傾向にある。本発明のPASの製造方法を用いると、MV2/MV1を安定化させることもできる。MV2/MV1が変動すると、PASとアミノシランとを含む組成物の溶融粘度が変動し易くなるため好ましくない。したがって、ある範囲に制御することが望まれており、本発明は、その要求にも応えることができる。
【0086】
本発明の製造方法により得られるPASは、多くの場合、前記比MV2/MV1を2.5超過とすることもできる。PASの溶融粘度を増大させると、末端に多く存在すると見られる反応活性点が減少するため、比MV2/MV1が低下傾向を示すことが予測されるが、本発明の製造方法により得られたPASは、溶融粘度が高くなるように重合条件を設定しても、前記比を高水準に維持することができる。この比MV2/MV1の上限値は、通常4.0、多くの場合3.5である。
【0087】
本発明の製造方法により得られたPASは、溶融粘度が10〜500Pa・sで、かつ比MV2/MV1が2.0超過であることが好ましい。ただし、溶融粘度が低くても、比MV2/MV1が高いPASを効率良く製造することができるため、シランカップリング剤との組成物として各種用途に使用することができる。他方、溶融粘度を上げることにより比MV2/MV1がやや低下しても、溶融粘度を十分に高く設計することができ、かつ比MV2/MV1も高水準に維持することができるため、シランカップリング剤との組成物として各種用途に使用することができる。
【0088】
本発明の製造方法により得られるPASは、そのままあるいは酸化架橋させた後、単独で、もしくは所望により各種無機充填剤、繊維状充填剤、各種合成樹脂を配合し、種々の射出成形品やシート、フィルム、繊維、パイプ等の押出成形品に成形することができる。本発明の製造方法により得られたPASは、色調が良好である。また、本発明の製造方法により得られたPASのコンパウンドは、揮発分の発生量が少なく、揮発分の抑制が期待される電子機器などの分野にも好適である。PASとしては、PPSが特に好ましい。
【実施例】
【0089】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。各種特性や物性等の測定方法は、次のとおりである。
【0090】
(1)収率
ポリマーの収率は、脱水工程後の反応缶中に存在する有効硫黄源の全てがポリマーに転換したと仮定したときのポリマー重量(理論量)を基準値とし、この基準値に対する実際に回収したポリマー重量の割合(重量%)を算出した。
【0091】
(2)溶融粘度
乾燥ポリマー約20gを用いて、東洋精機製キャピログラフ1−Cにより溶融粘度を測定した。この際、キャピラリーは、1mmφ×10mmLのフラットダイを使用し、設定温度は、310℃とした。ポリマー試料を装置に導入し、5分間保持した後、剪断速度1216sec−1での溶融粘度を測定した。
【0092】
(3)シランカップリング剤との反応性
ポリマー100重量部に対して、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、「アミノシラン」と略記)0.8重量部を添加し、よくブレンドした。その後、ブレンド物20gを採取し、前記溶融粘度測定条件での溶融粘度を測定した。ポリマーの反応性は、アミノシランを添加しないポリマーの同条件での溶融粘度との比率で表わした。
【0093】
すなわち、ポリマーの溶融粘度MV1に対するポリマーとアミノシランのブレンド物の溶融粘度MV2の比MV2/MV1(溶融粘度の増大比率)により、ポリマーの反応性を評価した。この比が大きいほど、ポリマーのシランカップリング剤に対する反応性が高いことを示す。この反応性を「ASとの反応性」と略記する。
【0094】
[実施例1]
1.脱水工程:
硫黄源として、ヨードメトリー法による分析値62.29重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液を用いた。この水溶液には、22.00モルの硫黄源(S)が含まれている。この硫黄源の中和滴定法によるNaSH分析値は、60.95重量%(21.53モル)であり、硫化ナトリウム(NaS)が0.47モル含まれている。
【0095】
上記水硫化ナトリウム水溶液1980.3g、及び74.18重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1115g(NaOH分として20.68モル)をN−メチル−ピロリドン(NMP)6000gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に投入した。水硫化ナトリウムと硫化ナトリウムとからなる硫黄源を「S」と表記すると、脱水前のNaOH/NaSHは、0.96(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.94(モル/モル)となる。
【0096】
反応缶内を窒素ガスで置換した後、2時間20分かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水901.7gとNMP776.9gを留出させた。この際、0.39モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量(すなわち、「仕込み硫黄源」の量)は、21.61モルとなった。HS揮散分は、反応缶に投入した硫黄源に対して、1.78モル%に相当した。
【0097】
2.仕込み工程:
脱水工程の後、21.61モルの有効S(仕込み硫黄源)を含む反応缶を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(以下、「pDCB」と略記)3241g〔pDCB/有効S=1.020(モル/モル)〕、NMP2881g、及び水88g〔缶内の合計水量/有効S=1.500(モル/モル)〕を加え、さらに、缶内NaOH/有効S=1.000(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH2.7gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.78モル)が含まれている。この時の仕込み混合物のpHは、12.8であった。pHは、pH測定器を用いて測定した値である。
【0098】
3.重合工程:
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで回転して仕込み混合物を撹拌しながら、220℃で1時間反応させ、その後30分間で230℃に昇温し、そして230℃で1.5時間反応させた(前段重合工程)。前段重合終了時におけるpDCBの転化率は、92%であった。
【0099】
その後、撹拌機の回転数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水440gとNaOH44.6gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=2.630(モル/モル)、合計NaOH/有効S=1.050(モル/モル)〕、260℃に昇温して、4.0時間反応させた(後段重合工程)。
【0100】
4.後処理工程:
反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却してから、反応液を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分した。分離したポリマーについて、アセトンにより2回洗浄し、水洗を3回行った後、0.3%酢酸水洗を行い、さらに水洗を4回行って洗浄ポリマーを得た。洗浄ポリマーは、105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、90%であった。ポリマーの特性を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0101】
[実施例2]
1.脱水工程:
硫黄源として、ヨードメトリー法による分析値62.29重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液を用いた。この水溶液には、22.01モルの硫黄源(S)が含まれている。この硫黄源の中和滴定法によるNaSH分析値は、60.95重量%(21.53モル)であり、硫化ナトリウム(NaS)が0.48モル含まれている。
【0102】
上記水硫化ナトリウム水溶液1980.6gと、74.18重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1145g(NaOH分として21.23モル)とをNMP6000gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に投入した。水硫化ナトリウムと硫化ナトリウムとからなる硫黄源を「S」と表記すると、脱水前のNaOH/NaSHは、0.99(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.96(モル/モル)となる。
【0103】
反応缶内を窒素ガスで置換した後、2時間20分かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水901.5gとNMP776.9gを留出させた。この際、0.37モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、21.63モルとなった。HS揮散分は、反応缶に投入した硫黄源に対して、1.70モル%に相当した。
【0104】
2.仕込み工程:
脱水工程の後、21.63モルの有効S(仕込み硫黄源)を含む反応缶を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(pDCB)3244g〔pDCB/有効S=1.020(モル/モル)〕、NMP2889g、及び水80g〔缶内の合計水量/有効S=1.500(モル/モル)〕を加え、さらに、缶内NaOH/有効S=1.025(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH3.8gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.74モル)が含まれている。
【0105】
3.重合工程:
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで回転して仕込み混合物を撹拌しながら、220℃で1時間反応させ、その後30分間で230℃に昇温し、230℃で1.5時間反応させた(前段重合工程)。前段重合終了時におけるpDCBの転化率は、92%であった。
【0106】
その後、撹拌機の回転数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水440gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=2.630(モル/モル)〕、260℃に昇温して、1.0時間反応させた後、濃度74.18重量%のNaOH水溶液を29.2g圧入した〔缶内の合計水量/有効S=2.650(モル/モル)、合計NaOH/有効S=1.050(モル/モル)〕。その後、さらに260℃において3.0時間反応させた(後段重合工程)。
【0107】
4.後処理工程:
反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却してから、反応液を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分した。分離したポリマーについて、アセトンにより2回洗浄し、水洗を3回行った後、0.3%酢酸水洗を行い、さらに水洗を4回行って洗浄ポリマーを得た。洗浄ポリマーは、105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、93%であった。ポリマーの物性データを表1に示した。
【0108】
[実施例3]
1.脱水工程:
硫黄源として、ヨードメトリー法による分析値62.21重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液を用いた。この水溶液には、19.98モルの硫黄源(S)が含まれている。この硫黄源の中和滴定法によるNaSH分析値は、61.18重量%(19.65モル)であり、硫化ナトリウム(NaS)が0.33モル含まれている。
【0109】
上記水硫化ナトリウム水溶液1800.3gと、74.04重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1020g(NaOH分として18.89モル)とをNMP6500gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。水硫化ナトリウムと硫化ナトリウムとからなる硫黄源を「S」と表記すると、脱水前のNaOH/NaSHは、0.96(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.95(モル/モル)となる。
【0110】
反応缶内を窒素ガスで置換した後、2時間かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水884.7g及びNMP1175.9gを留出させた。この際、0.36モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、19.62モルとなった。HS揮散分は、反応缶に投入した硫黄源に対して、1.79モル%に相当した。
【0111】
2.仕込み工程:
上記脱水工程の後、19.62モルの有効S(仕込み硫黄源)を含む反応缶を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(pDCB)2971g〔pDCB/有効S=1.030(モル/モル)〕、NMP3505g、及び水207g〔缶内の合計水量/有効S=1.700(モル/モル)〕を加え、さらに、缶内NaOH/有効S=1.000(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH1.78gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.71モル)が含まれている。
【0112】
3.重合工程:
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで回転させて仕込み混合物を撹拌しながら、220℃で4.5時間反応させた(前段重合工程)。前段重合終了時におけるpDCBの転化率は、93%であった。
【0113】
その後、撹拌機の回転数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水608g、NaOH40.5gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=3.420(モル/モル)、合計NaOH/有効S=1.050(モル/モル)〕、255℃に昇温して、3.0時間反応させた後、30分掛けて245℃に降温して7.5時間反応させた(後段重合工程)。
【0114】
4.後処理工程:
反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却してから、反応液を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分した。分離したポリマーについて、アセトンにより2回洗浄し、水洗を3回行った後、0.3%酢酸水洗を行い、さらに水洗を4回行って洗浄ポリマーを得た。洗浄ポリマーは、105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、87%であった。ポリマーの物性データを表1に示した。
【0115】
[実施例4]
脱水工程から前段重合工程までを、実施例1と同じ方法で行った。後段重合工程と後処理工程については、下記のようにして実施した。
【0116】
1.後段重合工程:
前段重合終了後、撹拌機の回転数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水440g、NaOH22.3gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=2.630(モル/モル)、合計NaOH/有効S=1.025(モル/モル)〕、260℃に昇温して、1.0時間反応させた。続いて、濃度74.18重量%のNaOH水溶液を29.2g圧入した〔缶内の合計水量/有効S=2.650(モル/モル)、合計NaOH/有効S=1.050(モル/モル)〕後、さらに260℃において3.0時間反応させた。
【0117】
2.後処理工程:
反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却してから、反応液を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分した。分離したポリマーについて、アセトンにより2回洗浄し、水洗を3回行った後、0.3%酢酸水洗を行い、さらに水洗を4回行って洗浄ポリマーを得た。洗浄ポリマーは、105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、91%であった。ポリマーの物性データを表1に示した。
【0118】
[実施例5]
重合工程における後段重合工程での反応時間を4.0時間から1.0時間に短縮したこと以外は、実施例1と同様に行った。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、86%であった。ポリマーの物性データを表1に示した。
【0119】
【表1】
Figure 0005221877
【0120】
(脚注)
(1)溶融粘度:温度310℃、剪断速度1216sec−1で測定。
(2)ASとの反応性:ポリマー(PAS)とγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(AS)との反応性であり、反応前後の溶融粘度の比(倍率)で表わしている。
【0121】
[比較例1]
1.脱水工程:
実施例1で使用したのと同じヨードメトリー法による分析値62.29重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液1980.3gと、74.18重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1115g(NaOH分として20.68モル)とをNMP6000gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。水硫化ナトリウムと硫化ナトリウムとからなる硫黄源を「S」と表記すると、脱水前のNaOH/NaSHは、0.96(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.94(モル/モル)となる。
【0122】
反応缶内を窒素ガスで置換した後、2時間20分かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水901.7gとNMP776.9gを留出させた。この際、0.39モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、21.61モルとなった。HS揮散分は、反応缶に投入した硫黄源に対して、1.78モル%に相当した。
【0123】
2.仕込み工程:
上記脱水工程の後、21.61モルの有効S(仕込み硫黄源)を含む反応缶を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(pDCB)3241g〔pDCB/有効S=1.020(モル/モル)〕、NMP2881g、及び水88g〔缶内の合計水量/有効S=1.500(モル/モル)〕を加え、さらに、缶内NaOH/有効S=1.000(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH2.7gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.78モル)が含まれている。
【0124】
3.重合工程:
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで撹拌しながら、220℃で1時間反応させ、その後30分間で230℃に昇温し、230℃で1.5時間反応させた(前段重合工程)。前段重合終了時におけるpDCBの転化率は、92%であった。
【0125】
その後、撹拌機の回転数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水440gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=2.630(モル/モル)〕、260℃に昇温して、4.0時間反応させた(後段重合工程)。
【0126】
4.後処理工程:
反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却してから、反応液を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分した。分離したポリマーについて、アセトンにより2回洗浄し、水洗を3回行った後、0.3%酢酸水洗を行い、さらに水洗を4回行って洗浄ポリマーを得た。洗浄ポリマーは、105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、82%であった。ポリマーの物性データを表2に示した。
【0127】
[比較例2]
1.脱水工程:
実施例1で使用したのと同じヨードメトリー法による分析値62.29重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液1980.3gと、74.18重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1115g(NaOH分として20.68モル)とをNMP6000gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。水硫化ナトリウムと硫化ナトリウムとからなる硫黄源を「S」と表記すると、脱水前のNaOH/NaSHは、0.96(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.94(モル/モル)となる。
【0128】
反応缶内を窒素ガスで置換した後、2時間20分かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水901.7gとNMP776.9gを留出させた。この際、0.39モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、21.61モルとなった。HS揮散分は、反応缶に投入した硫黄源に対して、1.78モル%に相当した。
【0129】
2.仕込み工程:
上記脱水工程の後、21.61モルの有効S(仕込み硫黄源)を含む反応缶を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(pDCB)3241g〔pDCB/有効S=1.020(モル/モル)〕、NMP2881g、及び水88g〔缶内の合計水量/有効S=1.500(モル/モル)〕を加え、さらに、缶内NaOH/有効S=1.000(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH2.7gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.78モル)が含まれている。
【0130】
3.重合工程:
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで回転して仕込み混合物を撹拌しながら、220℃で1時間反応させ、その後30分間で230℃に昇温し、230℃で1.5時間反応させた(前段重合工程)。前段重合終了時におけるpDCBの転化率は、92%であった。
【0131】
その後、撹拌機の回転数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、純度97%のNaOHを44.6g(NaOH分として43.3g)を添加し〔缶内の合計NaOH/有効S=1.050(モル/モル)〕、260℃に昇温して、4.0時間反応させた(後段重合工程)。
【0132】
4.後処理工程:
反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却してから、反応液をろ過し、ろ紙上に残った粉末状ポリマーを回収した。回収したポリマーについて、アセトンにより2回洗浄し、水洗を3回行った後、0.3%酢酸水洗を行い、さらに水洗を4回行って洗浄ポリマーを得た。洗浄ポリマーは、105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粉末状ポリマーの収率は、93%であった。ポリマーの物性データを表2に示した。
【0133】
[比較例3]
1.脱水工程:
実施例1で使用したのと同じヨードメトリー法による分析値62.29重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液1979.9gと、74.18重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液1170g(NaOH分として21.70モル)をNMP6000gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。水硫化ナトリウムと硫化ナトリウムとからなる硫黄源を「S」と表記すると、脱水前のNaOH/NaSHは、1.008(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.986(モル/モル)となる。
【0134】
反応缶内を窒素ガスで置換した後、2時間20分かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水908.8gとNMP873.6gを留出させた。この際、0.35モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、21.65モルとなった。HS揮散分は、反応缶に投入した硫黄源に対して、1.61モル%に相当した。
【0135】
2.仕込み工程:
上記脱水工程の後、21.65モルの有効Sを含む反応缶を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(pDCB)3246g〔pDCB/有効S=1.020(モル/モル)〕、NMP2991g、及び水80g〔缶内の合計水量/有効S=1.500(モル/モル)〕を加え、さらに、缶内NaOH/有効S=1.100(モル/モル)になるように、純度97%のNaOH53gを加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(0.70モル)が含まれている。
【0136】
3.重合工程:
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで回転して仕込み混合物を撹拌しながら、220℃で1時間反応させ、その後30分間で230℃に昇温し、230℃で1.5時間反応させた(前段重合工程)。前段重合終了時におけるpDCBの転化率は、92%であった。
【0137】
その後、撹拌機の回転数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水441gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=2.630(モル/モル)〕、260℃に昇温して、4.0時間反応させた(後段重合工程)。
【0138】
4.後処理工程:
反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却してから、反応液を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分した。分離したポリマーについて、アセトンにより2回洗浄し、水洗を3回行った後、0.3%酢酸水洗を行い、さらに水洗を4回行って洗浄ポリマーを得た。洗浄ポリマーは、105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、90%であった。ポリマーの物性データを表2に示した。
【0139】
[比較例4]
1.脱水工程:
硫黄源として、ヨードメトリー法による分析値62.87重量%の水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液を用いた。この水溶液には、22.32モルの硫黄源(S)が含まれている。この硫黄源の中和滴定法によるNaSH分析値は、61.48重量%(21.83モル)であり、硫化ナトリウム(NaS)が0.50モル含まれている。
【0140】
上記水硫化ナトリウム水溶液1990.4gと、74.69重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液583.8g(NaOH分として10.90モル)とをNMP6702gと共にチタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に仕込んだ。水硫化ナトリウムと硫化ナトリウムとからなる硫黄源を「S」と表記すると、脱水前のNaOH/NaSHは、0.499(モル/モル)となり、NaOH/Sは、0.488(モル/モル)となる。
【0141】
反応缶内を窒素ガスで置換した後、2時間かけて、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して、水873.2gとNMP1306.9gを留出させた。この際、0.52モルの硫化水素(HS)が揮散した。したがって、脱水工程後の缶内の有効S量は、21.80モルとなった。HS揮散分は、反応缶に投入した硫黄源に対して、2.33モル%に相当した。
【0142】
2.仕込み工程:
上記脱水工程の後、21.80モルの有効S(仕込み硫黄源)を含む反応缶を170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(pDCB)3269g〔pDCB/有効S=1.020(モル/モル)〕、NMP2781g、水55g〔缶内の合計水量/有効S=0.700(モル/モル)〕、及び缶内NaOH/有効S=0.600(モル/モル)になるよう純度97%のNaOHを48.2g加えた。反応缶内には、HSが揮散することにより生成したNaOH(1.04モル)が含まれている。
【0143】
3.重合工程:
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで回転して仕込み混合物を撹拌しながら、220℃で30分反応させた時点で濃度74.8重量%のNaOH水溶液545.7g〔缶内の合計水量/有効S=1.450(モル/モル)、合計NaOH/有効S=1.070(モル/モル)〕を加え。そして、さらに220℃で30分間反応させた。その後、30分間で230℃に昇温し、230℃で1.5時間反応させた(前段重合工程)。前段重合終了時におけるpDCBの転化率は、93%であった。
【0144】
その後、撹拌機の回転数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水464gを圧入し〔缶内の合計水量/有効S=2.630(モル/モル)〕、260℃に昇温して、4.0時間反応させた(後段重合工程)。
【0145】
4.後処理工程:
反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却してから、反応液を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分した。分離したポリマーについて、アセトンにより2回洗浄し、水洗を3回行った後、0.3%酢酸水洗を行い、さらに水洗を4回行って洗浄ポリマーを得た。洗浄ポリマーは、105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、93%であった。ポリマーの物性データを表2に示した。
【0146】
[比較例5]
仕込み工程における缶内NaOH/有効Sを、1.000(モル/モル)から1.100(モル/モル)に増やし、かつ後段重合工程においてNaOHの添加を行わなかったこと以外は、実施例3と同様に行った。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、79%であった。ポリマーの物性データを表2に示した。
【0147】
[比較例6]
重合工程における後段重合工程での反応時間を4.0時間から1.0時間に短縮したこと以外は、比較例1と同様に行った。このようにして得られた粒状ポリマーの収率は、75%であった。ポリマーの物性データを表2に示した。
【0148】
【表2】
Figure 0005221877
【0149】
(脚注)
(1)溶融粘度:温度310℃、剪断速度1216sec−1で測定。
(2)ASとの反応性:ポリマー(PAS)とγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(AS)との反応性であり、反応前後の溶融粘度の比(倍率)で表わしている。
【0150】
<考察>
表1に示した実験結果から、以下のことが分かる。
(1)本発明の製造方法(実施例1〜5)によれば、溶融粘度が高く、「ASとの反応性」で表されるシランカップリング剤との反応性が高いPASを効率的に得ることができる。実施例1、2及び4の場合、溶融粘度が100Pa・s以上と高いにもかかわらず、ASとの反応性が2.5を超えるPASが得られている。実施例3では、溶融粘度を200Pa・s以上と高くしたにもかかわらず、ASとの反応性が2.2と高水準のPASが得られている。
【0151】
実施例5では、実施例1に比べて、後段重合工程での重合時間を4.0時間から1.0時間と大幅に短縮したにもかかわらず、シランカップリング剤との反応性が高いPAS(すなわち、高反応性のPAS)が得られており、重合反応の効率化が達成できることが分かる。実施例5と比較例1とを対比すると、本発明の製造方法によれば、同等以上の溶融粘度で高反応性のPASを短時間で効率的に製造できることが分かる。
【0152】
さらに、実施例1、2及び4では、溶融粘度が113〜126Pa・sのPASが得られているが、これらの実施例の後段重合工程での重合時間は、260℃で4.0時間と短くなっている。これらの実施例の前段重合工程でも、短い重合時間が採用されている。
【0153】
これに対して、前述の国際出願公開2004/060972号パンフレット(特許文献6)の実施例1〜3には、溶融粘度が110〜145Pa・sのPASを得るために、後段重合工程での重合時間を260℃で5.0時間としている。前段重合工程での重合時間も1.5〜3.0時間である。
【0154】
このように、相分離重合を行う後段重合工程でアルカリ金属水酸化物を添加する本発明の製造方法によれば、同水準の溶融粘度を有する高反応性のPASを製造するために、重合時間を大幅に短縮することができる。
【0155】
(2)これに対して、比較例1に示されているように、2段階重合法を採用しても、相分離重合を行う後段重合工程でNaOHを添加しない場合には、溶融粘度を十分に高めることが困難であった。すなわち、安定して高溶融粘度で、かつシランカップリング剤との反応性が高いPASを得ることが困難であることが判明した。
【0156】
(3)前段重合工程終了後にNaOHを添加してから昇温し重合を行っても、相分離剤を添加しなかった場合(比較例2)には、溶融粘度の高いPASを得ることができない。すなわち、後段重合工程で相分離重合法を採用しないと、アルカリ金属水酸化物を添加しても、高溶融粘度のPASを得ることができないことが分かる。
【0157】
(4)比較例3は、前段重合工程でのNaOHの量を増やし、後段重合工程ではNaOHを追加添加しなかった場合には、シランカップリング剤との反応性が低下することを示している。この条件下での重合反応では、高溶融粘度で、かつシランカップリング剤との反応性が高いPASを得ることが難しいことが分かる。
【0158】
(5)比較例4は、前段重合工程でNaOHを追加添加した実験例であるが、重合反応開始時の仕込み混合物のpHが低いことや、後段重合工程(相分離重合工程)でNaOHを添加していないことから、得られたPASのシランカップリング剤との反応性が著しく低下している。
【0159】
(6)比較例5は、仕込み工程における缶内NaOH/有効Sを、1.000(モル/モル)から1.100(モル/モル)に増やし、かつ後段重合工程においてNaOHの添加を行わなかったこと以外は、実施例3と同様に行った実験例である。比較例5を実施例3と対比すると、溶融粘度が225Pa・s(実施例3)から139Pa・sに大幅に低下したことに加えて、ASとの反応性が2.2(実施例3)から1.6に低下している。つまり、アルカリ金属水酸化物を後段重合工程(相分離重合工程)で添加しない場合には、安定して高溶融粘度かつ高反応性のPASを得ることが困難であることが分かる。
【0160】
(7)比較例6は、比較例1において、後段重合工程での反応時間を4.0時間から1.0時間に短縮した実験例であるが、溶融粘度が比較例1の30Pa・sから8Pa・sへと著しく低下していることが分かる。これに対して、実施例5では、後段重合工程の反応時間を比較例6と同じ1.0時間としているにもかかわらず、溶融粘度が32Pa・sで高反応性のPASが得られている。このように、実施例5と比較例1とを対比すると、本発明の製造方法によれば、同水準の溶融粘度で高反応性のPASを短時間で効率的に製造できることが分かる。
【発明の効果】
【0161】
本発明の製造方法によれば、シランカップリング剤との反応性に優れたPASを安定的かつ効率的に製造することができる。すなわち、本発明の製造方法によれば、同水準の溶融粘度を有しかつ高反応性のPASを、従来法に比べて短時間で安定的かつ効率良く製造することができる(実施例5と比較例1及び6との対比)。
【0162】
本発明の製造方法によれば、シランカップリング剤との反応性が良好で、必要に応じて溶融粘度を十分に高めたPASを製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、シランカップリング剤との反応性を従来技術と同水準以上に高めたPASを得ることが可能である。
【0163】
本発明の製造方法により得られたPASは、シランカップリング剤との反応性に優れているため、シランカップリング剤を添加することにより、溶融状態での粘度が大きくなり、溶融成形時のバリの発生が減少するとともに、靭性が増大する。また、本発明の製造方法によれば、副反応や分解反応を抑制することができるため、高品質のPASを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明の製造方法によれば、高溶融粘度で、かつシランカップリング剤との反応性に優れたPASを効率的に得ることができる。本発明の製造方法により得られたPASは、エンジニアリングプラスチックとして、押出成形、射出成形、圧縮成形などの一般的溶融加工法により、各種成形品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であるため、電気・電子機器、自動車機器等の広範な分野において利用することができる。

Claims (21)

  1. 有機アミド溶媒中で、硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、下記工程1〜3:
    (1)有機アミド溶媒、アルカリ金属硫化物またはアルカリ金属水硫化物もしくはこれらの混合物を含む硫黄源(以下、「仕込み硫黄源」という)、アルカリ金属水酸化物、水、及びジハロ芳香族化合物を含有し、pHが12.5〜13.5の仕込み混合物を調製する仕込み工程1;
    (2)該仕込み混合物を170〜270℃の温度に加熱して重合反応を開始させ、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる前段重合工程2;
    (3)該プレポリマーを含有する反応系内に、アルカリ金属カルボン酸塩または水を含む相分離剤を添加するとともに、仕込み硫黄源1モル当り1〜10モル%に相当する量のアルカリ金属水酸化物を一括もしくは分割添加して、240〜290℃の温度で重合反応を継続する後段重合工程3;
    を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  2. 仕込み硫黄源が、50モル%超過のアルカリ金属水硫化物と50モル%未満のアルカリ金属硫化物とを含む硫黄源である請求項記載の製造方法。
  3. 仕込み工程1において、仕込み硫黄源1モル当り0.950〜1.090モルのアルカリ金属水酸化物を仕込む請求項1記載の製造方法。
  4. 仕込み工程1において、仕込み硫黄源1モル当り0.500〜2.000モルの水を仕込む請求項1記載の製造方法。
  5. 仕込み工程1において、仕込み硫黄源1モル当り0.950〜1.200モルのジハロ芳香族化合物を仕込む請求項1記載の製造方法。
  6. 仕込み工程1において、有機アミド溶媒、仕込み硫黄源、仕込み硫黄源1モル当り0.950〜1.090モルのアルカリ金属水酸化物、仕込み硫黄源1モル当り0.500〜2.000モルの水、及びジハロ芳香族化合物を含有し、pHが12.5〜13.5の仕込み混合物を調製する請求項1記載の製造方法。
  7. 仕込み工程1において、仕込み硫黄源1モル当り0.980〜1.030モルのアルカリ金属水酸化物を含有する仕込み混合物を調製する請求項記載の製造方法。
  8. 仕込み工程1において、70〜99.5モル%のアルカリ金属水硫化物と0.5〜30モル%のアルカリ金属硫化物とを含む仕込み硫黄源を含有する仕込み混合物を調製する請求項記載の製造方法。
  9. 仕込み工程1において、仕込み硫黄源1モル当り1.000〜1.800モルの水を含有する仕込み混合物を調製する請求項記載の製造方法。
  10. 仕込み工程1において、仕込み硫黄源1モル当り0.950〜1.200モルのジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製する請求項記載の製造方法。
  11. 仕込み工程1において、仕込み硫黄源1モル当り1.000〜1.090モルのジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製する請求項記載の製造方法。
  12. 前段重合工程2において、仕込み混合物を200〜260℃の温度に加熱して重合反応させる請求項1記載の製造方法。
  13. 前段重合工程2において、ジハロ芳香族化合物の転化率が50〜98%のプレポリマーを生成させる請求項1記載の製造方法。
  14. 後段重合工程3において、反応系内の水分量が仕込み硫黄源1モル当り2.0モル超過10モル以下となるように、相分離剤として水を添加する請求項記載の製造方法。
  15. 後段重合工程3において、仕込み硫黄源1モル当りのアルカリ金属水酸化物の合計量が1.010〜1.100モルとなるように、アルカリ金属水酸化物を添加する請求項1記載の製造方法。
  16. 後段重合工程3において、反応系内がポリマー濃厚相とポリマー希薄相とに相分離した状態で重合反応を継続する請求項1記載の製造方法。
  17. 仕込み工程1の前に、有機アミド溶媒、アルカリ金属硫化物またはアルカリ金属水硫化物もしくはこれらの混合物を含む硫黄源、及びアルカリ金属水酸化物を含有する混合物を加熱して、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出する脱水工程を配置する請求項1記載の製造方法。
  18. 脱水工程に際し、アルカリ金属硫化物またはアルカリ金属水硫化物もしくはこれらの混合物を含む硫黄源及びアルカリ金属水酸化物をそれぞれ水性混合物として供給する請求項17記載の製造方法。
  19. 温度310℃及び剪断速度1216sec−1で測定した溶融粘度が5〜800Pa・sのポリアリーレンスルフィドを得る請求項1記載の製造方法。
  20. γ−アミノプロピルトリエトキシシランとの反応により、温度310℃及び剪断速度1216sec−1で測定した反応前の溶融粘度MV1に対する反応後の溶融粘度MV2の比MV2/MV1が2.0超過となるポリアリーレンスルフィドを得る請求項1記載の製造方法。
  21. 重合反応が、仕込み硫黄源1モル当たり0.01〜10モルの範囲内の、有機スルホン酸金属塩、ハロゲン化リチウム、有機カルボン酸金属塩、及びリン酸アルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合助剤を用いて行われる請求項1記載の製造方法。
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