JPH0597487A

JPH0597487A - 高強度石膏板の製造方法

Info

Publication number: JPH0597487A
Application number: JP29078191A
Authority: JP
Inventors: Yoshinori Hado; 美徳羽藤; Toshikane Imai; 俊鎌今井; Masanori Kuroda; 正典黒田; Hiromasa Yamagishi; 弘征山岸
Original assignee: Asano Slate Co Ltd
Current assignee: Asano Slate Co Ltd
Priority date: 1991-10-09
Filing date: 1991-10-09
Publication date: 1993-04-20
Anticipated expiration: 2014-12-06
Also published as: JP2986986B2

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、II型無水石膏を主原料とする石膏
板の製造方法において、用いる硬化促進剤の種類が限定
されず、しかもその添加量も制約されない石膏板の製造
方法を提供しようとするものである。【構成】本発明は、II型無水石膏に対して硬化促進
剤、増粘剤、繊維などを配合し、押出成形することによ
る高強度石膏板の製造方法において、上記増粘剤として
ヒドロキシメチルセルロースを使用することを特徴とす
る高強度石膏板の製造方法を提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、II型無水石膏を主原料
とし押出成形により製造される石膏板の製造方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】石膏を主原料とする押出成形板を、集合
住宅の戸境壁、事務所の間仕切壁などの内装の隔壁材と
して使用する場合は、高強度、美観性、遮音性、断熱
性、耐火性、施工性などの特性が要求される。

【０００３】従来、石膏を主原料とした石膏板の製造方
法は、特公昭５１−２７６９３号、特公昭５４−１７７
７０号などに開示されている。特公昭５１−２７６９３
号には、各種の石膏に特定量の水と増粘剤を配合して、
混練し、押出成形する製造方法が開示されている。

【０００４】また特公昭５４−１７７７０号には、高強
度を発現させるために石膏としてII型無水石膏を用い、
増粘剤として押出成形性を向上させる効果のあるメチル
セルロースを用いた製造方法が開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、増粘剤
としてメチルセルロースを用いると、各種の塩類の共存
下で塩析を生じ、その機能が劣化するという問題があっ
た。すなわち、II型無水石膏を用いて石膏板を連続的に
製造する方法においては、石膏の硬化を促進し石膏板の
強度を向上させるために、多種類の硬化促進剤を多量に
用いなければならないが、硬化促進剤の多くは塩類であ
り、このためにメチルセルロースの機能劣化が起こり、
押出成形が不可能になる場合さえあった。従来は、硬化
促進剤の種類を限定すると共にその添加量を最小限度に
することによって、この問題に対処してきたが、結果と
して、石膏板の初期強度と製品強度は不満足なものであ
った。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、II型無水
石膏を主原料とする石膏板の連続的製造方法において、
初期強度および製品強度を十分に得るために、硬化促進
剤の種類が限定されず、その添加量も制約されない製造
方法について鋭意研究した結果、本発明を完成したもの
である。すなわち本発明は、II型無水石膏に対して、硬
化促進剤、増粘剤、繊維などを配合し、必要に応じてさ
らに充填材などを配合して押出成形することによる高強
度石膏板の製造方法において、上記増粘剤としてヒドロ
キシエチルセルロースを使用することを特徴とする高強
度石膏板の製造方法を提供するものである。

【０００７】上記製造方法において、硬化促進剤の添加
量は、好ましくはII型無水石膏に対して外割りで１．０
〜７．０重量％であり、ヒドロキシエチルセルロースの
添加量は、硬化促進剤を除いた全体量に対して、好まし
くは外割りで０．２〜４．０重量％である。

【０００８】上記II型無水石膏（以下、無水石膏とい
う。）としては、天然石膏、フッ酸製造時の副産物であ
る無水石膏、あるいはリン酸などの化学石膏製造時の二
水石膏の焼成品を用いることができる。化学品を製造す
る際の副産物である無水石膏は、その製造時に少量の遊
離酸が残留し、ｐＨが酸性状態であり、そのまでは利用
することができない。したがって、本発明においては、
このような無水石膏粉末は、これに消石灰の粉末を添加
し、中和して用いる。消石灰の添加量は、石膏の酸性度
合によって異なるが、通常０．１〜３．０重量％程度で
あり、無水石膏粉末のｐＨが６〜１２．７程度になるよ
うにする。

【０００９】無水石膏の配合量は、通常、原料の全量に
対して３０〜９０重量％である。この配合量は、製品設
計によって決められるが、３０重量％以下では初期強度
および製品強度が得られない。また、９０重量％を越え
て配合した場合は、強度の増進効果が頭打ちとなるばか
りか、硬度が高くなり過ぎて加工性が低下する。

【００１０】上記硬化促進剤としては、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウ
ム、塩化アルミニウムなどの塩類、硫酸ナトリウム、硫
酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の
硫酸塩、カリミョウバン、ナトリウムミョウバンなどの
ミョウバン類、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マ
グネシウム、硝酸アルミニウムの硝酸塩、硫酸水素ナト
リウム、硫酸水素カリウムなどの酸水素塩および、アル
ミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ムなどの塩基類を単独であるいは組合せて用いることが
できる。通常は、これらを数種類を組合せて用いる。

【００１１】硬化促進剤は、通常、無水石膏に対して外
割で合計１．０〜７．０重量％添加される。硬化促進剤
を好ましくは２種類以上組み合わせて、無水石膏に対し
て合計で１．０〜７．０重量％添加することによって、
消石灰の存在下およびｐＨが６．０〜１２．７程度の範
囲で変動しても、曲げ強度の発現の効果が高く、特に、
５時間から１日間の初期強度の発現に大きく寄与し、ま
た、バラツキの少ない安定した性状の石膏板が得られ
る。硬化促進剤量が１．０％以下では、ハンドリングに
必要な初期強度および製品としての必要強度が得られ
ず、また７．０％を越えると、強度増進の効果が頭打ち
となる。

【００１２】本発明においては、増粘剤としてヒドロキ
シエチルセルロースを用いる。ヒドロキシエチルセルロ
ースは、セルロースにエチレンオキサイドを付加したも
のであり、その置換度は、通常０．５〜３であり、好ま
しくは１〜２である。また、２％水溶液の粘度は１，０
００〜５００，０００ｃｐｓ程度である。ヒドロキシエ
チルセルロースの添加量は、原料の全体量（硬化促進剤
量は除く）に対して外割で０．２〜４．０重量％であ
る。添加量が０．２重量％以下では、増粘効果が少な
く、４．０重量％以上添加しても、それ以上の効果は期
待できない。

【００１３】本発明においては、ヒドロキシエチルセル
ロースと共に、必要に応じてデンプンなどの天然高分子
類、メチルセルロースなどのセルロースエーテル類およ
びポリエチレンオキサイドなどの合成高分子類からなる
汎用の増粘剤を併用することができる。併用する増粘剤
の添加量は、０〜２．０重量％程度である。

【００１４】上記繊維は通常非石綿系であり、その例と
しては、パルプなどの天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維
などの無機繊維、アクリル、ビニロン、ナイロン、ポリ
プロピレンなどの合成繊維などが挙げられる。これらの
繊維は、無水石膏に対して２〜１０重量％程度の割合で
配合される。

【００１５】本発明においては、必要に応じて充填剤が
配合される。充填剤としては、汎用の珪石、石灰石、二
水石膏、タルク、スラグ、フライアッシュ、珪藻土、ゼ
オライト、ワラストナイト、マイカ、粘土などの粉末を
用いることができ、これらは無水石膏に対して０〜６８
重量％の割合で配合される。

【００１６】本発明の製造方法における押出成形条件
は、原料の配合組成、成形体の大きさや形状、押出成形
機の機種などによって異なるが、通常、温度が２０〜６
０℃程度であり、真空圧が５００〜７６０ｍｍ／Ｈｇで
あり、圧力が５〜８０ｋｇ／ｃｍ²である。また、押出
成形物の粘度は、０．１〜５０×１０⁵ｐｏｉｓｅであ
る。

【００１７】なお、本発明の石膏板の製造方法は、各種
塩類の遅延剤を添加して成形する半水石膏系にも、応用
できる。

【００１８】

【作用】本発明は、無水石膏に対して、硬化促進剤、増
粘剤、繊維、繊維および必要に応じて充填剤などを配合
して、押出成形品を製造する製造方法において、増粘剤
としてヒドロキシエチルセルロースを用いることを特徴
とするものである。

【００１９】従来の製造方法においては、無水石膏は硬
化が遅く、特に、強アルカリ下においては、硬化促進剤
を添加しても初期強度および製品強度が劣っていた。さ
らに、押出成形を行う際には、成形性の面から増粘剤が
必須であるが、従来増粘剤として使用されていたメチル
セルロースは、硬化促進剤の塩類によって機能劣化を生
じて、増粘効果の低下をきたし、押出成形が不可能にな
る場合もあった。このため、従来は硬化促進剤の量を必
要最少限の量とし、メチルセルロースをできるだけ多量
に添加することにより、この欠点をカバーしてきた。し
かし、結果的には、初期強度および製品強度が不十分で
あった。

【００２０】ところが本発明によれば、増粘剤としてヒ
ドロキシエチルセルロースを使用することにより、硬化
促進剤による劣化をなくし、増粘剤の性能を最大限に発
揮させることが可能となり、無水石膏を利用した押出成
形製品を長時間、連続的に生産することができるように
なった。また、本発明によれば、硬化促進剤の種類が限
定されず、大量に添加することも可能になり、初期強度
および製品強度に優れる高強度石膏板が得られるように
なった。

【００２１】また、ヒドロキシエチルセルロースは、増
粘効果の高いことから、非石綿系の繊維を用いても、成
形時に押出の口金部分で十分に圧密され、空隙の少ない
成形体が得られるようになった。これらの効果により、
得られる石膏板の比重、初期強度および製品強度が向上
した。また、ヒドロキシエチルセルロースは石膏の水和
に悪影響を及ぼすことがなく、水和率も向上した。

【００２２】したがって、本発明の製造方法によれば、
高比重、高曲げ強度、遮音性、耐火性および加工性に優
れた石膏板を得ることが可能で、例えば、長さ２〜６ｍ
程度の大スパンの内装の間仕切壁などを製造することが
できる。

【００２３】

【実施例】

実施例１〜１２；比較例１〜１０：無水石膏に消石灰を
１．８％添加して、ｐＨを１２．２に調節した。この無
水石膏７０重量％、パルプ６重量％、ガラス繊維１重量
％、ワラストナイト８重量％、タルク１５重量％および
表１および２に示す硬化促進剤、ヒドロキシエチルセル
ロースを配合した原料を、アイリッヒ型ミキサーで１分
間、高速回転で乾式混合し、ニーダーで成形に必要な水
を加えて１０分間混練して均一に分散させ、ついで混練
物をスクリュー型真空押出成形機で厚さ１０、幅２００
ｍｍに連続的に成形した。得られた成形板を、１５℃程
度の常温で各材令まで水和硬化させた。７日間硬化させ
たのちの成形板を、６０℃で乾燥し、基準寸法に切断し
て、以下の試験に供した。

【００２４】各々の実施例および比較例の原料配合、成
形時の性状および硬化体の性状および試験結果を表１〜
表２に示す。なお、表１および表２中には、水および増
粘剤の配合割合（重量％）は、無水石膏、繊維、ワラス
トナイトおよびタルクの合計量に対する外割で、硬化促
進剤の配合割合（重量％）は、無水石膏に対して外割で
示されている。

【表１】

【表２】

【００２５】実施例および比較例における使用原料、試
験方法などは、下記の通りである。 ※使用原料無水石膏：フッ酸無水石膏粉末度５３４０ｃ
ｍ²／ｇ、ｐＨ２．７パルプ：粉砕品ガラス繊維：日本電気硝子製チョップドストラ
ンド６ｍｍワラストナイト：インド産タルク：伊藤産業社硫酸カリウム：工業薬品硫酸アルミニウム：工業薬品（日本化学工業製）アルミ
ナ分１７．１％アルミン酸ナトリウム：工業薬品ヒドロキシエチルセルロース：ダイセル化学工業製メチルセルロース：信越化学工業製ハイメトローズ９
０ＳＨ−１５０００ ※試験方法比重：ＪＩＳＡ５４１８「石綿セメント
けい酸カルシウム板」に準拠。（ＪＩＳにおけるかさ比
重を略称）曲げ強度：ＪＩＳＡ５４１８「石綿セメント
けい酸カルシウム板」に準拠。材令５時間（未乾燥）湿潤状態で試験。材令７日間（乾燥）６０℃２４時間乾燥後に試験。水和率：粉砕試料を４５℃で乾燥し、これを
２００℃で仮焼して、重量減少量から石膏の配合に対す
る水和率を測定。成形時のｐＨ：生成形試料５ｇを５０ｃｃの水で分
散して測定。成形時の温度：押出成形直後に成形体を測定。成形性：押出成形時に成形の良否を目視観察
して判定。 ○ 成形が良好 △ 増粘効果の低下で長時間運転が不可能 × 増粘効果の低下で成形不可能表面性：押出成形時に表面の良否を目視観察
して判定。 ○ 表面に欠陥がなく平滑 △ 表面にボイドによる欠陥が発生 × 大きなボイドによる欠陥が発生

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、無水石膏を主原料とし
て、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロースを使用す
ることにより、硬化促進剤による増粘剤の機能劣化を防
止して、増粘剤の性能を最大限に発揮させることができ
る。また、硬化促進剤の種類も限定されなくなり、多量
に配合することも可能になるため、多種類の硬化促進剤
を組合せて、所望量使用することができるようになる。
これらのことで、無水石膏を利用した押出成形製品にお
いて、非石綿系の繊維を用いた場合においても、良好な
成形性および表面性が得られ、また、気温にも左右され
ずに長時間、連続的に生産することが可能となる。

【００２７】さらに、比重、初期強度、製品強度および
水和率が向上し、特に、強アルカリ性の原料石膏を用い
ても初期強度を発現させることができるようになり、入
手する無水石膏のロット変動にかかわりなく、安定した
高強度の石膏製品が得られる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｃ０４Ｂ 16:02 Ｚ 2102−4Ｇ 22:14 Ａ 2102−4Ｇ 22:08 Ｚ 2102−4Ｇ 24:38）Ｂ 2102−4Ｇ (72)発明者山岸弘征東京都港区芝大門２丁目12番10号淺野スレート株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】 II型無水石膏に対して硬化促進剤、増粘
剤、繊維などを配合し、押出成形することによる高強度
石膏板の製造方法において、上記増粘剤としてヒドロキ
シエチルセルロースを使用することを特徴とする高強度
石膏板の製造方法。
【請求項２】硬化促進剤の添加量が、II型無水石膏に
対して外割りで１．０〜７．０重量％であり、ヒドロキ
シエチルセルロースの添加量が硬化促進剤を除いた全体
量に対して外割りで０．２〜４．０重量％であることを
特徴とする請求項１記載の高強度石膏板の製造方法。