JPH059736U - 鋳造用溶湯フイルター保持具及び溶湯フイルター装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶湯中の金属酸化物等を確実に除去すること
ができ、また溶湯と型砂との接触を最小限とすることが
でき、しかも鋳造方案への組み込みが容易な鋳造用溶湯
フィルター保持具及び溶湯フィルター装置を提供する。 【構成】 焼成耐火材料により前後または上下に２分割
された分割片２、３を形成し、その中央の合わせ部５、
７に形成された保持部９にセラミック製の溶湯フィルタ
ー８を挟み込む。これを砂型の内部に設置し、溶湯の濾
過を行わせる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は金属あるいは合金の鋳造作業において、溶湯中の金属酸化物、その他 の介在物、ノロ、ごみ等を除去するために使用される鋳造用溶湯フィルター保持 具及び溶湯フィルター装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

鋳造作業において、溶湯中の金属酸化物、その他の介在物はノロかみ、非金属 介在物などにより鋳物の歩留りを大きく低下させている。一般に従来の鋳造方案 では、溶湯は湯口、湯道、堰を経て製品部に注湯されているが、特に鋳鋼等では 溶湯が湯道を通過する際に砂型の湯道が溶融し、ノロとなって製品部に流入して 不良の原因となり易い。また鋳込み時に砂型より発生するガスの巻き込みによっ て、製品部にガスホールを生じて不良となることも多かった。このようにして発 生した不良は後加工による修正比率が高く歩留りを下げる原因となっていた。

【０００３】 このため、従来から湯道に陶管を用いて溶湯と砂型との接触を極力避けるよう にしたり、耐火性の溶湯フィルターを砂型の内部に設置してノロ、砂噛み、非金 属介在物などを除去する等の方法が取られている。

【０００４】 しかし単に湯道に陶管を用いただけでは溶湯中に発生した金属酸化物等を除去 することはできない。また溶湯フィルターを砂型の内部に設置する方法は、普通 鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、アルミニウムその他の軽合金についてはある程度実用化 されているものの、断面積の比率の決定が容易ではないなどの理由によって鋳造 方案への組み込み設計が極めてやっかいである。しかもうまく設置できてもなお 溶湯が型砂と直接接触することは避けられない。このためいずれの方法も完全な 解決策とはなっていないのが実情であり、特に溶湯温度の高い鋳鋼の場合には、 溶湯フィルターを砂型の内部に設置する方法は実用化されておらず、上記の欠点 がより鮮明に表れるという問題があった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記した従来の問題点を解消して、溶湯中の金属酸化物等を確実に除 去することができ、また溶湯と型砂との接触を最小限とすることができ、しかも 鋳造方案への組み込みが容易な鋳造用溶湯フィルター保持具及び溶湯フィルター 装置を提供するために完成されたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するためになされた第１の考案は、前後または上下に２分割 された焼成耐火材料よりなり、その前後部分に湯道接続部が形成され、またこれ らの部分に対して所定比率で拡径された中央の合わせ部に溶湯フィルターの保持 部を形成したことを特徴とする鋳造用溶湯フィルター保持具を要旨とするもので ある。 また上記の課題を解決するためになされた第２の考案は、この鋳造用溶湯フィ ルター保持具の合わせ部に形成された保持部にセラミック製の溶湯フィルターを 挟み込んだことを特徴とする溶湯フィルター装置を要旨とするものである。 以下にこれらの考案を、図示の実施例によって更に詳細に説明する。

【０００７】

【実施例】

図１は本考案の第１の実施例を示すもので、１は前後に分割された分割片２、 ３よりなる鋳造用溶湯フィルター保持具である。これらの分割片２、３は例えば シリカ・アルミナ質シャモットのような焼成耐火材料よりなるものである。分割 片２の前端には湯道接続部４が形成されており、またその後端は所定比率で拡径 されて合わせ部５が形成されている。同様に分割片３の後端には湯道接続部６が 形成されており、その前端は拡径された合わせ部７とされている。

【０００８】 分割片２の合わせ部５と分割片３の合わせ部７とは図示のように互いに嵌合し て一体の溶湯流路を形成できるようになっている。またこの合わせ部５、７間に は、溶湯フィルター８の保持部９が形成されている。そして図示のようにこの保 持部９にセラミック製の溶湯フィルター８を挟み込むことができる。

【０００９】 溶湯フィルター８は網状、ハニカム状、フォーム状等の任意の形状を取ること ができ、またその材質としてはコージエライト、アルミナ、ムライト、ジルコニ ア、炭化珪素等の各種のセラミックを使用することができる。本実施例ではコー ジエライト−ムライト系のハニカム状の溶湯フィルター８が使用されている。

【００１０】 なお、上記した湯道接続部４、６の断面積と、溶湯フィルター８の断面積との 比率は、溶湯の種類及び溶湯フィルター８の目の細かさ等に対応させて予め最適 な値に設計されている。一般的には、前後の湯道接続部４、６の断面積を１とし た場合、溶湯フィルター８の断面積は1.5 〜10の範囲に定められている。

【００１１】 図２〜図５は第２〜第５の実施例を示すもので、図２では左右同型の分割片２ 、３を接続枠10により接続している。 図３では左右同型の分割片２、３を直接接続しており、これらの分割片２、３ は肉厚が均一でプレス成形により量産し易い形状となっている。 図４は外形状を角柱状としたもの、また図５は分割片２、３を上下分割型とし てその斜めになった合わせ部５、７間の保持部９に溶湯フィルター８を挟み込ん だ構造となっている。

【００１２】

【作用】

このように構成された鋳造用溶湯フィルター保持具１は、前後または上下に２ 分割された焼成耐火材料よりなり、その中央の合わせ部５、７に溶湯フィルター ８の保持部９を形成してあるので、極めて容易にセラミック製の溶湯フィルター ８を挟み込むことができる。そしてこのように構成された溶湯フィルター装置は 、図６に示すように砂型11の内部に設置して使用される。なお図６において12は 湯口、13は陶管、14は堰、15は製品部、16は押湯である。

【００１３】 この状態で湯口12から溶湯を注湯すれば、溶湯は型砂とほとんど接することな く本考案の溶湯フィルター装置の内部に入り、セラミック製の溶湯フィルター８ により内部の金属酸化物、その他の介在物、ノロ、ごみ等を除去される。また同 時に溶湯は整流されて製品部15に入り、欠陥のない健全な鋳物を製造することが できる。

【００１４】 例えば、SCH-1 の耐熱鋳鋼からなる製品重量70Kg、鋳込重量150Kg 、肉厚10mm のハウジングを鋳造する場合、その鋳込温度は1650℃と極めて高温であり、従来 の砂型の内部にセラミック製の溶湯フィルターを直接埋め込んだ方式ではノロ噛 み、砂噛み等による欠陥が発生してその歩留りは80〜85％であった。 これに対して上記した本考案の溶湯フィルター装置（フィルターサイズ：91× 91×12mm) を使用して鋳造した場合、ノロ噛み、砂噛み等による欠陥が大幅に減 少し、その歩留りを95％まで向上させることが可能となった。

【００１５】

【考案の効果】

本考案の効果を列挙すると次の通りである。 鋳造用溶湯フィルター保持具を分割タイプとしたので、セラミック製の溶 湯フィルターを容易に挟み込むことができる。 鋳造用溶湯フィルター保持具を焼成耐火材料よりなるものとしたので、溶 湯が水分やバインダー等を含有する型砂と接触することがなく、ガス、ノロ、砂 噛み等の欠陥を防止することができる。特に鋳鋼のような鋳込み温度が高い溶湯 を鋳込む場合には効果が大きい。 鋳造用溶湯フィルター保持具はその前後の湯道接続部と中央のセラミック 製の溶湯フィルターとの断面積の比を予め最適な値に設計してあるので、単に鋳 造方案の内部に組み込むだけで容易に使用することができる。 セラミック製の溶湯フィルターにより溶湯中の金属酸化物、その他の介在 物、ノロ、ごみ等を確実に除去することができ、欠陥のない健全な鋳物を得るこ とができる。 よって本考案は従来の問題点を一掃した鋳造用溶湯フィルター保持具及び溶湯 フィルター装置として、その実用的価値は極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例を示す一部切欠斜視図で
ある。

【図２】本考案の第２の実施例を示す一部切欠斜視図で
ある。

【図３】本考案の第３の実施例を示す一部切欠斜視図で
ある。

【図４】本考案の第４の実施例を示す一部切欠斜視図で
ある。

【図５】本考案の第５の実施例を示す一部切欠斜視図で
ある。

【図６】使用状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 鋳造用溶湯フィルター保持具 ２ 分割片 ３ 分割片 ４ 湯道接続部 ５ 合わせ部 ６ 湯道接続部 ７ 合わせ部 ８ セラミック製の溶湯フィルター ９ 保持部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ０１Ｄ 39/20 Ｄ 9263−4Ｄ Ｂ２２Ｄ 43/00 Ｃ 7819−4Ｅ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後または上下に２分割された焼成耐火
   材料よりなり、その前後部分に湯道接続部が形成され、
   またこれらの部分に対して所定比率で拡径された中央の
   合わせ部に溶湯フィルターの保持部を形成したことを特
   徴とする鋳造用溶湯フィルター保持具。
2. 【請求項２】 請求項１記載の鋳造用溶湯フィルター保
   持具の合わせ部に形成された保持部にセラミック製の溶
   湯フィルターを挟み込んだことを特徴とする溶湯フィル
   ター装置。