JPH059552Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、エンジンマウントとこれを自動車車
体等に取付ける取付ブラケツトとが直接当接しな
いように、両者間に挿着されるエンジンマウント
取付用弾性ストツパー装置に関する。

〔従来の技術〕 エンジンを含むパワーユニツトは、自動車等の
車体に対してエンジンマウントによつて防振支持
されている。

例えば第４図に示すように、エンジンマウント
１は一般に内筒金具２と内筒金具２より短い外筒
金具３との間にゴム弾性体４を固着した構造とな
つている。このエンジンマウント１の内筒金具２
と外筒金具３にエンジンを含むパワーユニツト又
は車体のいずれかを各種の取付ブラケツトを用い
て夫々固定し、ゴム弾性体４により振動の伝達を
抑制するようになつている。従つてゴム弾性体に
は、車体上下方向の振動を効率よく減衰させる為
に空隙部５を形成することが多い。尚、第４図で
は、外筒金具３に円筒状ブラケツト６でパワーユ
ニツト（図示せず）を懸架固定し、内筒金具２の
両端を車体９に固定した枠状ブラケツト７にボル
ト８等で取付けた状態を示している。

ところで、かかるエンジンマウント１において
は、自動車の急激な加速や減速あるいは上下振動
等によつてゴム弾性体４が過大に変形してエンジ
ンマウント１が枠状ブラケツト７に対して過度に
変位し、その場合外筒金具３が枠状ブラケツト７
に直接当接することがある。そこで、かかるエン
ジンマウント１の過度な変位あるいは枠状ブラケ
ツト７との当接を規制するために、エンジンマウ
ント１の内筒金具２の両端部に円板状の弾性スト
ツパー１０を挿着することが従来から行なわれて
きた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

然るに、従来の弾性ストツパー１０は、内筒金
具２の両端部に挿着された状態で次の工程に搬送
される間に、内筒金具２から抜け落ち易かつた。
そこで、搬送中における脱落防止の為に弾性スト
ツパー１０を内筒金具２にいちいち接着剤等で固
定していたが、極めて作業性が悪くなるという問
題があつた。

そこで、本考案はかかる従来の事情に鑑み、エ
ンジンマウントの車体への取付作業においてエン
ジンマウントの搬送中等に内筒金具から脱落する
ことがなく、しかも内筒金具への挿着が簡単で作
業性に優れたエンジンマウント取付用弾性ストツ
パー装置を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案のエンジンマウント取付用弾性ストツパ
ー装置は、エンジンマウントの内筒金具を挿入で
きる大きさの挿着孔を有する板状の２つの弾性ス
トツパーを一平面上に各挿着孔の中心線の方向が
平行に並置し、この２つの弾性ストツパーを両方
の挿着孔を結ぶ直線の両側で各弾性ストツパーを
夫々内筒金具の両端部に保持可能な長さの紐状の
弾性連結部材で連結したことを特徴とする。

本考案に係る各弾性ストツパーの形状は、エン
ジンマウントの過度な変位を規制できる適度な厚
さがあれば、矩形でも円形でもよい。しかし、過
度な変位によるエンジンマウントの外筒金具と取
付用ブラケツトとの衝突を防止するためには、弾
性ストツパーを細長い板状にし、その挿着孔の中
心から少なくとも片方の最長端部までの長さをエ
ンジンマウントの外筒金具の半径よりも長くする
ことが好ましく、挿着孔の中心から一直線方向に
伸びた両方の最長端部までの長さを共にエンジン
マウントの外筒金具の半径よりも長くすることが
最も好ましい。

又、２つの弾性ストツパーを連結する紐状の弾
性連結部材の長さは、各弾性ストツパーを夫々内
筒金具の両端部に殆ど変形せずに又は多少の引張
状態で保持できる長さが必要である。従つて、弾
性ストツパーの挿着孔の中心から最長端部までの
長さが外筒金具の半径よりもやゝ長い場合には弾
性連結部材は外筒金具の長さとほぼ同じかやゝ短
い程度でよいが、逆に外筒金具の半径よりも短い
場合は、その短い分にほぼ相当する長さだけ弾性
連結部材を長くする。

〔実施例〕

第１図及び第２図に示す形状のゴム製の弾性ス
トツパー装置を成形金型を用いて加流成形により
製造した。

この弾性ストツパー装置は一体成形された２つ
の弾性ストツパー１１と、これらを連結する２つ
の弾性連結部材１４とからなつている。

各弾性ストツパー１１は細長いほぼ矩形板状で
あつて、そのほぼ中央にエンジンマウントの内筒
金具が挿入可能な大きさの挿着孔１２を夫々有し
ている。又、各弾性ストツパー１１は挿着孔１２
を通る一直線上両方向にある最長端部１３の間の
長さがエンジンマウントの外筒金具の外径よりも
長くなつている。この２つの弾性ストツパー１１
は夫々の最長端部１３を結ぶ直線の方向が平行
で、夫々の挿着孔１２の中心線方向が平行にな
り、且つ両挿着孔１２間の距離がほぼ外筒金具の
長さに等しいか又はやゝ短かくなるように一平面
上に並置され、この状態に配置された２つの弾性
ストツパー１１は隣接する互いの最長端部１３同
志を両挿着孔１２を結ぶ直線に対して対象な２個
所で弾性連結部材１４により連結されている。

〔作用〕

本考案の弾性ストツパー装置は、前記の如く挿
着孔１２の中心線の方向が夫々平行になるように
並列した状態で両挿着孔１２を結ぶ直線に対して
対象な２個所で弾性連結部材１４により連結され
た形状であるから、２つ割り構造の最も簡単で小
型の成形金型により製造することができる。

この弾性ストツパー装置をエンジンマウントに
挿着する場合には、第３図に示すように、片方の
弾性ストツパー１１の挿着孔１２をエンジンマウ
ント１の内筒金具２の一端に挿入した後、他方の
弾性ストツパー１１を引つ張り２つの挿着孔１２
が一直線上にくるように捩つて弾性連結部材１４
を変形させながら、この弾性ストツパー１１の挿
着孔１２を内筒金具２の他端に挿入する。

このようにしてエンジンマウント１の内筒金具
２の両端に挿着された両方の弾性ストツパー１１
は、弾性連結部材１４によつて対向する最長端部
１３間の距離がほぼ外筒金具３の長さに等しい
か、又はやゝ短くなるように引張られた状態で相
互に結ばれているので、接着剤で固定しなくても
内筒金具２から外れることがない。従つて、強制
的に取り外さない限り、本考案の弾性ストツパー
装置はエンジンマウント１の搬送など通常の作業
中に内筒金具２から抜け落ちる危険がない。

尚、本考案の弾性ストツパー装置の弾性ストツ
パーは、取付用ブラケツトとエンジンマウントの
ゴム弾性体との間で振動によるエンジンマウント
の変位を規制するだけの厚さがあれば良く、例え
ば挿入孔の周囲のみを変位の規制に必要な厚さに
し、他の部分を薄くすることも可能である。

〔考案の効果〕

本考案の弾性ストツパー装置は簡単な金型を用
いて低コストで製造できるうえ、弾性ストツパー
装置をエンジンマウントに取付ける際に従来の如
く接着剤を塗布する必要がなく、簡単に能率よく
取付けることができ、しかも一旦取付けた弾性ス
トツパー装置はエンジンマウントの車体への取付
作業においてエンジンマウントの搬送中等に内筒
金具から脱落することがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の弾性ストツパー装置の平面図
であり、第２図はその側面図である。第３図は本
考案の弾性ストツパー装置をエンジンマウントに
挿着した状態を片方の弾性ストツパーの部分で切
り欠いて示した平面図である。第４図は従来の弾
性ストツパーを挿着したエンジンマウントを車体
に取り付けた状態を示す断面図である。 １……エンジンマウント、２……内筒金具、３
……外筒金具、４……ゴム弾性体、６……円筒状
ブラケツト、７……枠状ブラケツト、９……車
体、１０，１１……弾性ストツパー、１２……挿
着孔、１４……弾性連結部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) エンジンマウントの内筒金具と外筒金具に取
   付ブラケツトを用いてエンジンを含むパワーユ
   ニツト又は車体のいずれかを夫々固定する際
   に、エンジンマウントの内筒金具の両端部に挿
   着されるエンジンマウント取付用弾性ストツパ
   ー装置において；エンジンマウントの内筒金具
   を挿入できる大きさの挿着孔を有する板状の２
   つの弾性ストツパーを一平面上に各挿着孔の中
   心線の方向が平行に並置し、この２つの弾性ス
   トツパーを両方の挿着孔を結ぶ直線の両側で各
   弾性ストツパーを夫々内筒金具の両端部に保持
   可能な長さの紐状の弾性連結部材で連結したこ
   とを特徴とする、上記エンジンマウント取付用
   弾性ストツパー装置。 (2) 弾性ストツパーの挿着孔の中心から少なくと
   も片方の最長端部までの長さがエンジンマウン
   トの外筒金具の半径よりも長いことを特徴とす
   る、実用新案登録請求の範囲(1)項記載のエンジ
   ンマウント取付用弾性ストツパー装置。