JPH0593283U - 家具における棚板の仮止め具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】キャビネット等の家具の棚板が運搬中等におい
て動かないように、仮止め具にて棚板を家具本体に仮固
定するにおいて、棚板のガタ付きを確実に防止すると共
に、運搬中等の振動によって仮止め具が家具本体から脱
落することを確実に防止する。 【構成】仮止め具７を、裏返した棚板２の折り返し部２
ａ上面に接当した状態で家具本体１の係止溝孔４に係合
する下係止爪８と、その上方の係止溝孔４に係合する上
係止爪９と、上下両係止爪９，８を繋ぐ連接部１０とで
形成し、連接部１０におけるばね部１１の弾性復元力
で、上下両係止爪９，８を係止溝孔４に係合した状態に
保持する。連接部１０の下端又は下係止爪８の下面に、
棚板２の折り返し部２ａの先端縁に係合する下向き突起
（１１）１４を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、キャビネットのように棚板を備えた家具を運搬するにおいて、棚板 が家具本体内で動かないように固定する仮止め具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

この種の仮止め具は、一般に、棚板に対する支持金具を係止するために家具本 体の内側面に上下適宜間隔で多数穿設した係止溝孔に係止し、その状態で棚板の 上面に接当することにより、棚板を上向き動不能に保持するようにしている。 その一例として、先行技術としての実公昭５１−３１１３８号公報には、仮止 め具を板ばねにて略Ｃ字状に形成し、その上端に、家具本体の係止溝孔に下方か ら嵌まり係合するようにした上向きＵ字状の上係止部を折り曲げ形成する一方、 その下端には、家具本体の内側面と棚板の外側面との間の隙間に上方から嵌まる 下係止部を折り曲げ形成し、仮止め具を弾性変形させて上下方向に突っ張った状 態にすることにより、棚板を下向きに押圧付勢するようにした考案が記載されて いる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、この先行技術は、仮止め具の弾性力にて棚板を下向きに押圧付勢する ものであるため、単に棚板を家具本体内に固定できるのみならず、運搬中におけ る棚板のガタ付きも防止できると言う利点を有するが、その反面、仮止め具はそ の弾性力にて上下方向に突っ張らせた状態にすることにより、その上係止部を家 具本体の係止溝孔に係合した状態を保持するものであるため、トラック輸送等の 運搬中に棚板が上下方向に振動すると、仮止め具が不規則に弾性変形する踊り現 象が発生して、仮止め具が家具本体から脱落してしまう虞があった。

【０００４】 つまり、仮止め具の下係止部は、家具本体の内側面と棚板の外側面との隙間に 上方から嵌挿されているに過ぎないため、棚板の上下振動により、仮止め具に対 してその上下両端間の間隔を狭めるような押圧力が断続的に作用して、仮止め具 に踊り現象が発生すると、下係止部が家具本体の内側面と棚板の外側面との間の 隙間から抜け出て、仮止め具が家具本体から脱落してしまう虞があるのであった 。

【０００５】 本考案は、運搬中における棚板のガタ付きを防止した状態の下で、家具本体か らの脱落を確実に防止できるようにした仮止め具を提供することを目的とするも のである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するため本考案は、家具本体内に、左右両側縁をコ字状に折り 返した棚板を裏返しの状態で固定するようにした弾性素材製の仮止め具であって 、該仮止め具は、前記家具本体の内側面に穿設した係止溝孔に対して前記棚板に おける折り返し部の上面に接当した状態で嵌まり係合するようにした下係止爪と 、該下係止爪が係合した係止溝孔よりも上方に穿設した係止溝孔に嵌まり係合す るようにした上係止爪と、これら上下係止爪をつなぐ連接部とを備え、前記連接 部の下端又は下係止爪に、前記棚板における折り返し部の先端縁に係合する下向 き突起を形成し、前記連接部の適宜部位を、前記係止溝孔に係合した状態の上下 両係止爪を上下離反する方向に付勢するようにしたばね部に形成する構成にした 。

【０００７】

【考案の作用・効果】

この構成において、例えば２枚の棚板を、上方の棚板を裏返した状態で重ね合 わせた状態でキャビネット本体の地板上等に配置する一方、仮止め具を、その上 下係止爪の先端間の上下間隔が狭まるように弾性に抗して変形させてから、上下 係止爪をそれぞれ家具本体における左右両内側面の係止溝孔に係止すると言う操 作にて、棚板における折り返し部の上面の箇所において家具本体の左右両内側面 に取付けることにより、棚板を家具本体内に固定することができ、逆の操作で仮 止め具を変形させて、その上下両係止爪を係止溝孔から抜き外すことにより、仮 止め具を家具本体から取り外すことができる。

【０００８】 そして、仮止め具を家具本体に装着した状態では、上下両係止爪がそれぞれ係 止溝孔に係合しているから、棚板が上下に振動して仮止め具に対して上向きの押 圧力が断続的に作用しても、上下両係止爪が係止溝孔から抜け出ることはなく、 従って、運搬中における棚板の振動によって仮止め具が家具本体から抜け出るこ とを確実に防止することができる。

【０００９】 また、仮止め具を家具本体の内側面に取り付けた状態では、ばね部の弾性力に て棚板における折り返し部の上面が弾性的に押圧されているから、棚板が上向き 動することが阻止され、更に、家具本体の左右両内側面にそれぞれ取り付けた仮 止め具の下向き突起が、棚板における左右両側縁の折り返し部の先端にそれぞれ 係合していることにより、棚板は左右方向にも移動不能に保持されることになり 、その結果、棚板はガタ付き不能に保持される。

【００１０】 従って本考案によると、家具の運搬中における棚板のガタ付きを確実に防止で きるようにした仮止め具でありながら、仮止め具が運搬中の振動で脱落する不測 の事態を確実に防止できる効果を有する。

【００１１】

【実施例】

次に、本考案を家具の一例としてのキャビネットに適用した場合の実施例を図 面に基づいて説明する。 図１〜図２に示すのは第１の実施例であり、これらの図において符号１は前面 を開口したキャビネット本体を、符号２は前記キャビネット本体１の内部に配置 した棚板を各々示し、前記キャビネット本体１の開口部は引き戸式の扉（図示せ ず）で開閉するようにしている。

【００１２】 また、前記キャビネット本体１の左右側板３，３は中空状に形成されており、 左右両内側板３ａの前端部と後端部とに、前記棚板２に対する支持金具（図示せ ず）を着脱自在に係止するための角形の係止溝孔４を、上下方向に沿って適宜間 隔で多数穿設しており、更に、キャビネット本体１における開口部の左右両側縁 には、側板３よりも左右幅広の断面角形の支柱部５を形成し、該支柱部５にて棚 板２を前方に抜け不能に保持する。

【００１３】 前記棚板２の四周縁には、補強のために断面コ字状の折り返し部２ａを形成し ており、２枚の棚板２，２を、上方の棚板２を裏返した状態で重ね合わせること により、それら両棚板２，２の物品載置面が傷付かないように保護し、これら２ 枚の棚板２，２をキャビネット本体１の地板６上に載置している。 符号７は、キャビネット本体１における左右両内側面に前後２か所ずつ取付け るようにした合成樹脂製の仮止め具を示す。

【００１４】 前記仮止め具７は、前記棚板２における折り返し部２ａの上面に接当した状態 で係止溝孔４に嵌まり係合するよう上向き鉤部８ａを形成した下係止爪８と、下 係止爪８が係合した係止溝孔４の上方の係止溝孔４に嵌まり係合するよう半円状 の上向き爪部９ａを形成した上係止爪９と、上下係止爪９，８を繋ぐ連接部１０ とを備えており、上係止部９のうち爪部９ａと反対側の基端部から、下係止爪８ の基端部に向けて下向きに延びる連接部１０を一体的に連接し、該連接部１０の 下端に、下向き突出した状態で湾曲したばね部１１を形成し、このばね部１１を 、棚板２における折り返し部２ａの先端縁に係合する下向き突起に兼用する。

【００１５】 このとき、自由状態での下係止爪８と連接部１０とが成す角度θ１を、両係止 爪９，８を係止溝孔４，４にそれぞれ係止した状態での下係止爪９と連接部１０ との成す角度θ２よりも大きい角度に設定しておくことにより、上下両係止爪９ ，８を係止溝孔４に係合した状態で、上下両係止爪９，８がばね部１１の弾性復 元力にて上下離反する方向に付勢されるように構成する。

【００１６】 前記上係止爪９の上面には、当該上係止９を下向きに押圧するに際しての指掛 け片１２が連接されており、また、上係止爪９と連接部１０とは補強用のリブ１ ３で連結されている。 以上の構成において、仮止め具７は、図２（Ｂ）に示すように、先ず、仮止め 具７の下係止爪８を、棚板２における折り返し部２ａの上面に箇所の係止溝孔４ に係合してから、図２（Ｃ）に示すように、上係止爪９を、下向きに押圧しつつ 上方の係止溝孔４に挿入することにより、キャビネット本体１の内側板３ａに取 付けることができる。

【００１７】 このようにして、４個の仮止め具７を、キャビネット本体１における左右両内 側板３ａの前後２か所の部位にそれぞれ取付けることにより、棚板２を押さえ固 定することができる。 その場合、仮止め具７を取付けた状態では、上下両係止爪９，８が上下隔てた 係止溝孔４，４にそれぞれ係合していることと、ばね部１１の弾性力にて上下両 係止爪９，８が係止溝孔４に係合した状態に付勢されていることとにより、上下 両係止爪９，８が係止溝孔４から抜け出ることが阻止されるから、運搬中に棚板 ２が振動しても、仮止め具７がキャビネット本体１の内側板３ａから外れ落ちる ことはない。

【００１８】 また、棚板２は各仮止め具７におけるばね部１１の弾性力にて下向きに押圧付 勢されており、しかも、左右内側板３ａに取り付いた仮止め具７のばね部１１が 棚板２における左右両折り返し部２ａ，２ａの先端にそれぞれ係合していること により、棚板２が左右方向にずれ動くことが阻止されから、運搬中に棚板２がガ タ付くこともない。

【００１９】 上記の実施例は、ばね部１１を棚板２の折り返し部２ａに対する下向き突起に 兼用した場合であったが、図３（Ａ）に示すように、下係止爪８の基部（換言す ると連接部１０の下端）に、棚板２の折り返し部２ａに対する下向き突起１４を 形成して、ばね部１１を連接部１０の中途高さ部位に形成するとか、或いは、図 ３（Ｂ）に示すように、ばね部１１を連接部１０の上端に形成するとかしても良 いのである。

【００２０】 また、係止溝孔は棚板に対する支持金具を係止するための係止溝孔を利用する ことに限らず、係止爪を係合するためのみに別途穿設しても良いのであり、また 、ばね部は連接部の一部に形成することには限らず、連接部全体をばね部として 利用しても良いのである。 本考案は、上記の実施例のようなキャビネットのみでなく、棚板を備えた家具 全般に広く使用できることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例を示す斜視図である。

【図２】取付けの手順を示す図である。

【図３】他の実施例を示す図である。

【符号の説明】

１ キャビネット本体 ２ 棚板 ４ 係止溝孔 ７ 仮止め具 ８ 下係止爪 ９ 上係止爪 １０ 連接部 １１ ばね部 １４ 下向き突起

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】家具本体内に、左右両側縁をコ字状に折り
   返した棚板を裏返しの状態で固定するようにした弾性素
   材製の仮止め具であって、該仮止め具は、前記家具本体
   の内側面に穿設した係止溝孔に対して前記棚板における
   折り返し部の上面に接当した状態で嵌まり係合するよう
   にした下係止爪と、該下係止爪が係合した係止溝孔より
   も上方に穿設した係止溝孔に嵌まり係合するようにした
   上係止爪と、これら上下係止爪をつなぐ連接部とを備
   え、前記連接部の下端又は下係止爪に、前記棚板におけ
   る折り返し部の先端縁に係合する下向き突起を形成し、
   前記連接部の適宜部位を、前記係止溝孔に係合した状態
   の上下両係止爪を上下離反する方向に付勢するようにし
   たばね部に形成したことを特徴とする家具における棚板
   の仮止め具。