JPH0583581U - ホースクランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】特別な工具を用いなくても、クランプ部を変形
すること無く、クランプ部の拡径状態を保持することの
できる、仮止め機能を備えたホースクランプを提供する
こと。 【構成】金属帯状部材を円環状に折曲げ形成されるクラ
ンプ部の両端を径方向へ折り曲げられる摘み片のどちら
か一方を円周方向に折り曲げて仮止め片とすること。
この仮止め片にテーパ状のガイド孔とこれに連続する係
止孔を設け、この係止 孔へ前記摘み片の残りの一方を
係合させて、クランプ部の拡径状態を保持する こと。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

ホースをパイプ等に締め付けるためのホースクランプで、特にそれ自体にクラ ンプ状態に移行するまでのクランプ部の拡径状態を保持するための機能を備えた ホースクランプに関する。

【０００２】

【従来技術】

自動車のエンジンルーム内には、エンジンに対する冷却や給油のためにホース 類が配設される。図４のように、このホース２は、ラジエータ等の一部に接合さ れるパイプ３に結合されるが、使用時には加圧状態となり、ホース２は、パイプ ３から抜ける危険性が高い。そのため、金属製のホースクランプ１１を用いて、 ホース２はパイプ３に対して締め付けられる。このホースクランプ１１は、帯状 の金属板を円環状に折曲げられたクランプ部１１Ａと、その両端を径方向外方へ 折曲げられた摘み片１１Ｂで構成される。ホース２をクランプするクランプ部１ １Ａの内径は、ホース２の外径より小径とされ、ホース２に対して適切な締め代 が設定される。このホースクランプ１１は、ホース２をクランプする前に、一度 ホース２の外径より拡径状態とされる。この拡径状態を保持するため、前記ホー スクランプ１１は、Ｕ字状のホルダー２１を用いて、摘み片１１Ｂを接近状態と して、カシメ固定され、拡径状態を保持される。この状態で、前記ホースクラン プ１１は、自動車の組立ラインに搬入される。このホースクランプ１１は、パイ プ３に結合されたホース２の外周面の近くに移動される。前記ホルダー２１をこ のホースクランプ１１から取り外すことで、ホースクランプ１１はクランプ状態 へ移行する。このホルダー２１は、不要となり、前記組立ラインを乱雑にする要 因となる。

【０００３】 このため、ホースクランプ自体に拡径状態を保持する機能を備えたホルダーレ スのホースクランプが、自動車メーカからも要求され、特許としても出願されて いる。例えば、米国特許ＵＳ４，７７３，１２９がある。この特許に開示される ホースクランプ１２は、円環状に丸められたクランプ部１２Ａの一端を径方向外 方へ折り曲げた後、円周方向に沿うように折り曲げられた部分にロック孔１３が 形成される。また、前記クランプ部１２Ａの他端は、径方向外方へ折り曲げられ て、係止片１４とされる。このようなホースクランプ１２は、前記クランプ部１ ２Ａのクランプ状態を保持する仮止め状態へ移行するために、前記クランプ部１ ２Ａの他端を径方向内方へ撓み変形させた状態で、前記クランプ部１２Ａの一端 のロック孔１３付近へ移動させられる。前記クランプ部１２Ａは、このロック孔 １３へ前記クランプ部１２Ａの他端の係止片１４を係合させることで拡径状態へ 移行する。。また、仮止め状態を解除させるためにクランプ部１２Ａの他端をド ライバー等を用いて、径方向内方へ撓み変形させて、前記ロック孔１３とクラン プ部１２Ａの他端の係止片１４の係合は解除される。しかし、仮止め状態へ移行 したり、仮止めを解除する際に必要以上の力を加えると、円環状のクランプ部１ ２Ａは、塑性変形し、ホースクランプ１２の締め付け圧の低下の要因となる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本件考案の課題は、特別な工具を用いなくても、クランプ部を変形すること無 く、クランプ部の拡径状態を保持することのできる、仮止め機能を備えたホース クランプを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

金属帯状板材を円環状に折曲げられ、その一方の端部の幅方向両側を切り欠い て形成される一方のクランプ片と、その他方の端部にスロット孔を形成される他 方のクランプ片を備えるクランプ部と、前記両クランプ片の端部をそれぞれ径方 向外方へ折曲げて形成される摘み片を備えて成るホースクランプを、以下の構成 とする。

【０００６】 前記摘み片のどちらか一方は、円周方向に折曲げられて仮止め片とされ、この 仮止め片にテーパ状のガイド孔と、これに連続する係止孔が設けられる。この係 止孔に前記摘み片の残りの一方を係合させて、前記ホースクランプのクランプ部 は、拡径状態を保持される。

【０００７】

【作用】

前記摘み片のどちらか一方に形成された仮止め片と、前記摘み片の残りの一方 を接近させると、残りの摘み片の先端は、この仮止め片のガイド孔の縁に沿って 移動し、このガイド孔に連続する係止孔へ進入する。残りの一方の摘み片の先端 は、この係止孔の縁に当接して係止する。前記仮止め片に工具を当てがって、他 方の摘み片の先端を下方に押し下げると、この仮止め片と残りの一方の摘み片の 係合は、解除される。

【０００８】

【実施例】

本件考案のホースクランプは、

【従来技術】の項で説明したように、ラジエー タ等の自動車部品の一部に接合されるパイプに、ホースを締め付けるために使用 される。ホースクランプは、バネ用炭素鋼帯を用いてプレス加工される。ホース クランプは、円環状に丸められたクランプ部と、その両端を径方向外方へ折り曲 げ加工される摘み片により構成される。図１に示すように、クランプ部４１には 、クランプ部４１の中心線に対して、左右対称に三角形の窓４７が二つ設けられ る。この窓４７は、前記クランプ部４１の全周に亘ってホースに対する締め付け 圧を均一にするために設けられる。前記クランプ部４１の一端を構成する一方の クランプ片４２は、円周方向に沿って、前記窓４７の円周方向上端よりやや上側 から次第に幅狭となり、全体として細長い台形状とされる。また、前記クランプ 部４１の他端を構成する他方のクランプ片４３には、前記窓４７の円周方向上端 よりやや上側から、その先端に向かうに従って、幅広と成る細長い台形状のスロ ット孔４６が形成される。この他方のクランプ片４３は、径方向外方へ折り曲げ られ、ブリッジ状の摘み片４５とされる。この摘み片４５の先端は、前記クラン プ部４１の円周方向に沿ってさらに折り曲げられ、仮止め片４９とされる。この 仮止め片４９は、二股のフック形状をしており、先端に上方へ傾斜する突起５１ を備える。この突起５１、５１間には所定の隙間が形成され、ガイド孔５０とさ れる。ガイド孔５０は、先端が幅広で、前記摘み片４５に向かうに従って幅狭と なり、テーパ状とされる。このガイド孔５０は、前記仮止め片４９、４９間に形 成される係止孔５２と連続している。前記仮止め片４９、４９間には、前記摘み 片４５の延長線上に角状の操作片４８が設けられる。また、一方のクランプ片４ ２は、径方向外方へ折り曲げられ、一方の摘み片４４とされる。この摘み片４４ は、一方のクランプ片４２との連接部分が幅狭で、径方向の先端に向かうに従っ て幅広となる逆台形状とされ、先端にはやや幅狭の長方形状の突起５３を備える 。

【０００９】 次に、このホースクランプのクランプ部を成形状態から拡径状態へ移行させる 仮止め操作について図３をもとに説明する。前記角状の操作片４８と前記一本足 の摘み片４４とに、プライヤー６の顎をあてがって、両摘み片４４、４５を接近 させる。この一方の摘み片４４は、前記仮止め片４９のガイド孔５０に沿って係 止孔５２に進入する。一方の摘み片４４は、仮止め片４９の突起５１に係止して ブリッジ状の摘み片４５に仮止めされ、前記クランプ部４１は拡径状態に移行す る。プライヤー６をホースクリップ４に対してあてがう角度がずれたり、製造誤 差などで、一方の摘み片４４が、前記仮止め片４９のガイド孔５０に対して片寄 った状態で進入することがある。仮にそうなったとしても、一方の摘み片４４は 、テーパ状のガイド孔５０に沿って片寄りを補正されながら、前記係止孔５２方 向へ進入していく。両摘み片４４、４５に対して、前記クランプ部４１の円周方 向に沿うような力しか加わることはないので、前記クランプ部４１が変形するこ とはない。

【００１０】 次に、前記クランプ部４１の拡径状態を解除して、ホースをパイプに対して締 め付ける操作について図３をもとに説明する。予め、拡径されたホースクランプ のクランプ部を通過させられたホースは、ラジエータの一部に設けられたパイプ に接続される。次に、プライヤー６の片方の顎６１をホースクランプ４の片方の 仮止め片４９にあてがう。プライヤーの他方の顎６２を、ホースクランプ４の一 方の摘み片４４の先端の突起５３にあてがう。

【００１１】 図３のように、プライヤー６の柄を握ることで、前記一方の摘み片４４の先端の 突起５３は、下方へ押し下げられ、前記仮止め片４９との係合は解除される。ホ ースクランプ４のブリッジ状の摘み片４５と一方の摘み片４４とは、互いに離間 する方向へ移動し、ホースクランプ４は、クランプ状態へ移行する。

【００１２】 仮に、ホースの一部が損傷して、ホースを取り替える必要が生じた場合、上述 のようにプライヤーをホースクランプの両摘み片に当てがってこれを接近させて やれば、再び拡径状態へ移行する。ホースクランプを適切な位置にずらしてから ホースを前記パイプから抜きされば良い。ホースクランプは再使用可能であり、 補修作業も簡略化される。

【００１３】

【効果】

プライヤー等の市販の工具を用いても、ホースクランプのクランプ部を拡径状 態へ移行させたり、逆に拡径状態をクランプ状態に戻すことができ、作業性は向 上する。

【００１４】

【図面の簡単な説明】

【図１】 本件考案のホースクランプを示す斜視図

【図２】 本件考案のホースクランプの仮止め状態を
示す斜視図

【図３】 本件考案のホースクランプの仮止め状態を
解除する操作を示す斜視図

【図４】 ホースクランプと、ホース及びパイプの取
付関係を示す斜視図

【図５】 従来技術のホースクランプを示す斜視図

【符号の説明】

１ 従来のホースクランプ （１１、１２の総称） ２ ホース ３ パイプ ４ ホースクランプ ４１ クランプ部 ４２ 一方のクランプ片 ４３ 他方のクランプ片 ４４ 一方の摘み片 ４５ 他方の摘み片 ４９ 仮止め片 ５０ ガイド孔 ５２ 係止孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】金属帯状板材を円環状に折曲げられ、その
   一方の端部の幅方向両側を切り欠いて形成される一方の
   クランプ片と、その他方の端部にスロット孔を形成され
   る他方のクランプ片を備えるクランプ部と、前記両クラ
   ンプ片の端部をそれぞれ径方向外方へ折曲げて形成され
   る摘み片を備えて成るホースクランプで、 前記摘み片のどちらか一方を円周方向に折曲げて仮止め
   片とし、この仮止め片にテーパ状のガイド孔と、これに
   連続する係止孔を設け、この係止孔に前記摘み片の残り
   の一方を係合させて、クランプ部の拡径状態を保持する
   ことを特徴とするホースクランプ。