JPH0580Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車などの車両用シート（座席）、
特に薄型化、軽量化を目的とした車両用シートの
改良に関する。

（従来の技術とその問題点） 従来の一般的な車両用シートは、フレームにＳ
形ばねなどの金属製弾性材を架設し、この弾性部
材上に、モールド加工した発泡体（例えばウレタ
ンフオーム）製のクツシヨン材を載置し、これら
をトリムカバーで被包し、そのトリムカバーの裏
面に設けた吊部材をクツシヨン材内に吊込むこと
により、トリムカバーがクツシヨン材の表面に密
着するようにしている。

ところで、この従来品は金属製の弾性部材に前
記クツシヨン材を設けているので、シートの肉厚
が厚く、しかも、重量増を招く不具合がある。

斯る不具合を除去するため、近時、シートの薄
型化、軽量化を目的としたものが開発されてい
る。

その一例として、前記従来品の金属製支持部材
及び発泡体製クツシヨン材の代わりに、伸縮製布
からなる弾性部材を使用し、これをフレームに張
架する構造が考えられる。

この構造によれば、従来の発泡体製クツシヨン
材と、金属製支持部材とが不要になるため、従来
品に比べシートの薄型化、軽量化が図れる。

ところが、これは、伸縮性布からなる弾性部材
を直接トリムカバーで被覆する構造で、前記従来
品の如きトリムカバーの内側にクツシヨン材が配
設されていない。そのため、トリムカバーの内側
に吊部材を設け、この吊部材をシートの内部方向
に吊込むことができない。従つて、前記従来品の
如き、トリムカバーを吊部材で吊込むことによつ
て生じる数々の利点、例えばトリムカバーの表面
に吊部材の吊込によつて形成する装飾用の皺、ト
リムカバーの身頃部のヘタリの防止など期待でき
ない。

なお、トリムカバーの裏面に吊部材を従来品の
如く取付け、この吊部材を布製弾性部材に挿通し
てトリムカバーを吊込むことができるが、斯様に
すると弾性部材の弾力性、支持力が損なわれる不
具合がある。

そこで、本考案はフレームに布製弾性部材を張
架し、これをトリムカバーで被覆して形成する車
両用シートにおいて、トリムカバーが吊込み得る
ようにすることを目的とするものである。

（問題点を解決すべき手段） 以上の目的を達成するための本考案の要旨とす
るところは、トリムカバーを弾性部材に一体に連
結する構造であり、少なくとも、表皮、発泡体製
（スラブ材）ワデイングからなる積層体製トリム
カバーを、縫着、高周波溶着、超音波溶着するな
どの一体形成する際に前記布製弾性部材を一体に
連結することによつてトリムカバーを弾性部材に
吊込む構造である。

従つて、本考案はトリムカバー形成用の縫製の
縫糸、或いは、溶着手段が、弾性部材にトリムカ
バーを吊込む吊部材となる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図乃至第３図は第１実施例を示し、第１図
は本考案に係る自動車用シートＡを示し、その表
面を構成するトリムカバー１には装飾用の凹溝１
１，１１……が設けてあり、この凹溝１１に溝縁
に沿つて装飾用の皺が形成されている。

図示するトリムカバー１は織物地、合成樹脂フ
イルムなど従来この種のシートに使用されている
部材からなる表皮１２と、平板状のウレタンフオ
ームのスラブ材からなるワデイング１３及び不織
布などからなるワデイングカバー１４の積層体
で、この積層体を縫着１５，１５……することに
より一体に形成してトリムカバー１を形成する。
そして、この縫着１５……個所においてワデイン
グ１３が圧潰されるため、前記装飾用の凹溝１
１，１１……が形成される。

トリムカバー１を形成する際に、ワデイングカ
バー２の下に布製弾性部材２を積層して、この弾
性部材２も同時に縫着してトリムカバー１に連結
する。

この弾性部材２の一例を示すと、張設方向に伸
縮する織物で、ポリエステルの撚糸を縦糸に、弾
性力をもつたポリエステル、エラストラーのモノ
フイラメントを横糸に平織された織布で、その横
糸と縦糸との交点が熱融着され、横糸と縦糸が滑
らないように形成したものである。そして、この
弾性部材２の左右方向の端末は折返されて袋状に
縫着され、その袋状の端末にサポートワイヤ２１
が挿入されている。

また、前記三層からなるトリムカバーの周縁に
は一枚の表皮からなるまち部１６が縫着され、こ
のまち部１６の端末をホツグリング３３でフレー
ム３に結着すると、トリムカバー１はフレーム３
に固定される。図中１７はまち部１６の端末に設
けた芯線、３２はフレーム３に開孔した通孔で、
この通孔３２に前記ホツグリング３３が挿通され
る。また、前記弾性部材２はフレーム３の上部に
フツク４，４で張架される。図中３１はフツク
４，４が挿込まれる孔を示す。

斯して、トリムカバー１と、このトリムカバー
１と一体の弾性部材２をフレーム３に取付けるこ
とによりシートＡが組立てられる。

なお、図示するものは、フレーム３上方にモー
ルド加工した発泡体製パツト５，５を載置して、
シートＡ側部の保形性を向上している。また、前
記トリムカバー１の構成する表皮１２、ワデイン
グ１３、ワデイングカバー１４の各部材と弾性部
材２は縫着により一体に形成しているが、高周
波、超音波等他の手段を使用して一体にするも任
意であり、且又、図示するものはワデイング１３
の下にワデングカバー１４を積層しているが、こ
のワデイングカバー１４を使用せずに、ワデイン
グ１３を直接弾性部材２上に積層して、前記縫着
等するも任意である。

第４図、第５図に示す実施例は、弾性部材２の
端末に合成樹脂製のフツク４１を縫着などの方法
によつて一体に取着し、このフツク４１をフレー
ム３′の上部に設けた掛止部３４に掛止し、また、
トリムカバー１のまち部１６の端末にも同様なフ
ツク１８を取着して、フレーム３′の下部に掛止
するようにしたものである。図中５１はモールド
加工した発泡体製パツトを示す。

斯様に、弾性部材２とトリムカバー１の端末に
フツク４１，１８を設けることにより、弾性部材
２及びトリムカバー１のフレーム３′に対する取
付性が向上する。

（効果） 本考案によれば、トリムカバーを布製弾性部材
に一体に連結することによつてトリムカバーを吊
込んでいる。従つて、本考案は従来品の如く、ト
リムカバーに吊部材を固定したり、その吊部材を
吊込む必要がないので構造が簡単で生産性が向上
する。

更に、シートは枠状フレームに張架した布製弾
性部材と、表皮、発泡体製ワデイングの積層体か
らなるトリムカバーとで構成されているため、シ
ートとして、適度のクツシヨン性があり、また、
シートの薄型化、軽量化を図ることができる。

また、トリムカバーは弾力性を有する布製の弾
性部材に一体に組付けられているので、トリムカ
バーの表面にシートの外観を損ねる皺が生じな
い。加えて、発泡体製クツシヨン材、金属製支持
部材を使用しないため、シート自体の薄型化と軽
量化が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の第１実施例を示
し、第１図はその斜視図、第２図は第１図におけ
る−線に沿える断面図、第３図は分解断面
図、第４図、第５図は他の実施例を示し、第４図
はその部分断面図、第５図は同分解断面図を示
す。 図中、１は表皮、２は弾性部材、３はフレーム
を夫々示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 枠状フレームと、このフレームに張架した布製
   弾性部材と、これらを被覆すると共に少なくとも
   表皮、発泡体製ワデイングの積層体から構成され
   るトリムカバーとからなり、前記弾性部材にトリ
   ムカバーを一体に連結することによりトリムカバ
   ーを吊込むことを特徴とする車両用シート。