JP5297330B2 - シート - Google Patents
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Description
図5に示すように、従来、自動車に搭載されるシート100は、乗員の臀部から大腿部にかけて支持するシートクッション200と、乗員の肩部から腰部にかけて支持するシートバック300と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト400と、を備えている。シートクッション200及びシートバック300は、それぞれ乗員を支持する座面210,310と、座面210,310の左右端部に連設されて前側方向または前側方向に膨出して形成されて、乗員の側部を支える土手部220,320と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
表皮材330と、表皮材330の内側に設けられたワディング材340と、ワディング材340の内側に設けられたパッド材350と、パッド材350の内側に設けられたインナーカバー360と、インナーカバー360を保持する支持フレーム370と、を備えて構成されている。
このため、シート100に着座した際のフィット感及びタッチ感がよく、安価で、着座フィーリングが良好なシート100が要望されていた。
ここで、座面とは、着座者がシートに着座したときに、着座者の体がシートと接触する面であり、シートクッションの上面やシートバックの前面をいう。
かかる構成によれば、シートは、シートバックに膨らんだ内側土手部を設けたことにより、乗員との接触面積を増やすことができるため、乗員が受ける単位面積当たりの荷重が減少されて、長時間着座しても疲れ難くすることができる。
かかる構成によれば、内側土手部用表皮と座面用表皮とは、縫製糸によって縫合される縫合部により連続され、縫合部が、インナーカバーに固定された連結部材によりパッド材に引き込まれていることによって、内側土手部の表皮材が乗員等によって外方向へ引っ張られたり、押圧されたりしたとしても、型崩れし難くなっている。
かかる構成によれば、肉厚層は、第1層と第2層との間に中間層を設けたことによって、中間層がある分だけ、土手部の幅方向内側を柔らかく着座者の方向へ膨らんだ状態にすることができる。このため、土手部の幅方向の内側は、着座者が幅方向へ動いた際に、ソフトにサポートすることができるので、着座フィーリングを向上させることができる。
かかる構成によれば、第2層の表面積は、第1層の表面積よりも大きく形成されていることによって、第1層及び第2層の外周部を縫合すると、第1層が外側に膨らんだ状態に形成される。
本発明に係るシート1は、後記するように、シートクッション2あるいはシートバック3の座面21,31の左右に土手部22,32を有するものであれば、適用可能である。以下、本発明の一例として、乗用車の右側前席に配置されるシート1を例に挙げて説明する。なお、本発明の実施形態では、「前」は車両の前進側、「後」は車両の後退側、車幅方向を「左右」とする。
シートクッション2は、正面視して、乗員M(図4参照)の臀部及び大腿部の下部を支持する座面21と、座面21の左右端部に連設されて略前方向に膨出して形成されて、乗員Mの臀部及び大腿部の左右側部を側方から支える土手部22と、を備えて構成されている。
前記土手部22は、いわゆるレッグサポート部であり、座面21の幅方向外側に、座面21よりも斜め外側上方向へ膨出して形成されている。土手部22は、シートクッション2の左右端部に設置された左右の外側土手部22aと、この外側土手部22aと座面21との間に介在された左右の内側土手部22bと、に区分されて構成されている。
外側土手部22aは、シートクッション2の左右後端部から左右前端部に亘って延設されている。
内側土手部22bは、外側土手部22aの幅方向の内側において、外側土手部22aの後端の手前から前端の手前に亘って延設されて、中央部の幅が広く、この中央部から両端部に向って幅が徐々に狭くなるように形成されている。
図1に示すように、シートバック3は、前記シートクッション2と同様に、正面視して、座面31と土手部32とから主に形成されている。つまり、シートバック3は、乗員M(図4参照)の背中を支持する座面31と、座面31の左右端部に連設されて略前側方向に膨出して形成されて、乗員Mの腰と背中の左右側部を側方から支える土手部32と、を備えて構成されている。
前記土手部32は、いわゆるサイドサポート部であり、座面31の幅方向外側に、座面31よりも斜め外側前方向へ膨出して形成されている。土手部32は、シートバック3の左右端部に設置された左右の外側土手部32aと、この外側土手部32aと座面31との間に介在された左右の内側土手部32bと、を備えて構成されている。
外側土手部32aは、シートバック3の左右下端部から左右上端部に亘って、座面31に略沿って延設されている。
内側土手部32bは、外側土手部32aの幅方向の内側において、下部座面31aの左右外側にこの下部座面31aに沿って延設され、上部座面31bの左右外側には形成されていない。その内側土手部32bは、下端から上端に亘って延設されて、中央部の幅が広く、この中央部から両端部に向って幅が徐々に狭くなるように形成されている。
パッド材7は、後記するインナーカバー51の外側表面を覆うようにして設けられて、座面31及び土手部32の形状の元となる原形を形成する柔軟な部材からなる。このパッド材7は、例えば、ウレタンパッド等の軟質な部材によって形成されている。
表皮材8は、シートバック3の最も外側表面を覆う部材であり、例えば、複数の布を縫合して袋状に形成されている。シートバック3の表皮材8は、外側土手部32a、土手部32の外側側壁面及びシートバック3の背面を覆う外側土手部用表皮8aと、内側土手部32bを覆う内側土手部用表皮8bと、座面31を覆う座面用表皮8cと、からなる。なお、表皮材8は、化学繊維、合成繊維等からなる布以外に、例えば、皮革、合成皮革等であってもよい。
図2に示すように、ワディング材9は、着座時のシート1の感触を良好にするための部材であり、衝撃を緩衝する緩衝性あるいは弾性を有して柔らかく乗員Mの体にフィットする厚板状の部材からなる。ワディング材9は、厚さt2が数mm(例えば、5mm程度)のクッション性を有するウレタンスラブ等の厚板状のものからなる。このようにワディング材9は、発泡化させた合成樹脂からなり、気泡が連通して柔らかく、復元性を有している。ワディング材9は、表皮材8の裏面とパッド材7の表面との間全体に介在されて、接着剤によって接着されている。シート1において、内側土手部32bの箇所に配置されるワディング材9は、2枚のワディング材9,9(第1層91及び第2層92)によって肉厚層90を形成して、膨らみを持たせている。つまり、ワディング材9は、土手部32において、乗員Mの体に近い部位であるパッド材7の内側土手部32b(土手部32)の幅方向内側の面に、その外側の外側土手部32aのワディング材9の厚さ(t1+t2)よりも肉厚な厚さt3の肉厚層90を形成して、さらに、内側土手部32bを立体的な構造にしている。なお、外側土手部32aや座面31等の内側土手部32b以外の箇所に配置されるワディング材9は、一枚の部材からなる。
肉厚層90は、内側土手部32bに内設されて、内側土手部32bの表皮材8を内側から押し上げて弾性的に湾曲に盛り上げるための層である。肉厚層90は、パッド材7の外側に設けられた第1層91と、この第1層91よりも表面側の第2層92と、第1層91と第2層92との間に介在された中間層93と、を積層状態に積層して形成されている。
第1層91は、内側土手部32bのパッド材7の外側側表面に接着剤等によって接着された1枚のワディング材9である。
図2に示すように、第2層92は、内側土手部32bの表皮材8の裏面に接着剤等によって接着された1枚のワディング材9であり、第1層91よりも縦方向及び横方向に長さを大きくて、面積が広くなっている。第2層92及び前記第1層91は、例えば、5mm程度の同じ厚さt2のワディング材9によって形成されている。
中間層93は、内側土手部32bを柔らかくして、着座した際のフィット感及びタッチ感を向上させるために設けられた部位である。中間層91は、第1層91と、この第1層91よりも長く形成されて長さが相違する第2層92とによって、その両者間に形成された中空部分(中空層)である。中間層93は、第1層91の幅方向の両端部(縫合部11,12)と、第2層92の幅方向の両端部(縫合部11,12)と、を縫製糸13で縫合することによって、外側にある第2層92側の方向へ湾曲して膨らんで形成されて、空洞状になっている。中間層93は、内部に空気を充満させた状態で外周部を密閉して、クッション性を有する空気袋の状態に形成されている。
縫合部11,12は、各表皮材8の外周部と、各ワディング材9の外周部とを貼り合わせて密着させ、縫製糸13で縫製して繋ぎ合わせる縫製部位である。前記中間層93は、外周部がこの縫合部11,12によって縫製されていることにより、中間層93内の空気が外部に漏れないように、第1層91及び第2層92の外周部を密着させているため、中間層93を膨らませた状態が維持されている。
支持フレーム52は、シートクッション2の土手部32の略中心部位に沿って上下方向に延設される金属製フレーム部材である。この支持フレーム52は、横断面視して湾曲状に曲げられたインナーカバー51の内壁にボルト締めされている。
支持プレート53は、インナーカバー51を介在して座面31にあるパッド材7を支持するフレーム部材であり、座面31のパッド材7及びインナーカバー51を後側から支えるようにして設置されている。
次に、図1〜図4を参照しながら本発明の実施形態に係るシート1の作用を説明する。
図2に示すように、シート1は、シートバック3の内側土手部32bに、中間層93を設けて盛り上げたことにより、土手部32を意匠的に立体的な構造にすることができる。
また、シート1は、シートバック3に膨らんだ内側土手部32bを設けたことにより、乗員Mとの接触面積を増やすことができるため、乗員Mが受ける単位面積当たりの荷重が減少されて、長時間着座しても疲れ難くすることができる。
そして、乗員Mがシート1から立ち上がって離れると、乗員Mの体重によって押圧されて圧縮されていたシート1は、パッド材7、ワディング材9及び肉厚層90の弾性によって元の形状に戻る。
その結果、シート1は、乗員Mに対してフィット性が高く、ソフトな乗り心地にすることができると共に、長時間着座しても疲れ難いシートを提供することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
また、中間層93を詰め綿等や詰め物等の通気性及びクッション性のある部材で形成すると共に、ワディング材9や表皮材8やパッド材7等を通気性のあるもので形成しても構わない。
なお、通気性のある部材とは、例えば、綿や化繊等の繊維類や、あるいは、弾性を有するスポンジや軟質の樹脂材料を小片状に切断したものからなる。
7 パッド材
8 表皮材
9 ワディング材
21,31 座面
22,32 土手部
90 肉厚層
91 第1層
92 第2層
93 中間層
t1 表皮材の厚さ
t2 ワディング材(第2層)の厚さ
t3 肉厚層の厚さ
Claims (6)
- 座面と該座面の幅方向外側に前記座面よりも膨出した土手部とを有するパッド材と、
該パッド材の表面側覆う表皮材と、
前記パッド材と前記表皮材との間に介在されたワディング材と、を備えたシートにおいて、
前記土手部は、車幅方向左右端部に設置された左右の外側土手部と、該外側土手部と前記座面との間に介在された左右の内側土手部と、で構成され、
前記外側土手部と前記内側土手部との境界は、前記土手部の車幅方向内側中間部分に配置され、
前記ワディング材は、前記パッド材の前記内側土手部に、前記外側土手部よりも肉厚な肉厚層を有することを特徴とするシート。 - 前記内側土手部は、前記外側土手部の幅方向の内側において、前記外側土手部の長手方向の一端の手前から他端の手前に亘って前記座面に沿って延設されて、中央部の幅が広く、該中央部から両端部に向って幅が徐々に狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート。
- 前記パッド材に覆われるインナーカバーを備え、
前記表皮材は、前記内側土手部を覆う内側土手部用表皮と、前記座面を覆う座面用表皮と、で構成され、
前記内側土手部用表皮と前記座面用表皮とは、縫製糸によって縫合される縫合部により連続され、
前記縫合部は、前記インナーカバーに固定された連結部材により前記パッド材に引き込まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート。 - 前記肉厚層は、第1層と、
該第1層よりも表面側の第2層と、を有し、
前記第1層の幅方向の両端部と、前記第2層の幅方向の両端部とを縫合して、前記第1層と前記第2層との間に中間層を設けたことを特徴とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシート。 - 前記第2層の表面積は、前記第1層の表面積よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項4に記載のシート。
- 前記第1層及び第2層は、通気性を有する材料からなり、
前記中間層は、前記第1層及び第2層の外周部を縫合して、前記第1層と第2層との間に通気性及びクッション性を有する詰物で形成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のシート。
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