JPH058092U - 摩擦伝動チエーン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ｉ形断面を有する多数の摩擦伝動板の左右空
所に１／２の位相差で無端チェーンを挿通した無段変速
用摩擦伝動チェーンにおいて、摩擦伝動板の摩擦伝動面
に作用する面圧の減少と摩擦伝動能力の増大とを図るも
のである。 【構成】 すべての摩擦伝動板を交互に１／２ピッチ位
相差を有する無端チェーンのリンクプレートに係合させ
るとともに夫々の摩擦伝動板の板厚を大にし、摩擦伝動
面の面積を増大させたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、無段変速用の摩擦伝動チェーンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の摩擦伝動チェーンは、特開平1-316544号公報に開示されているように、 多数重合した断面Ｉ形の摩擦伝動板の上下梁部分の左右空所の夫々に無端チェー ンを１／２ピッチの位相差を以て挿通し、該Ｉ形摩擦伝動板の下梁部分両外側Ｖ 形端面を離間配設した一対のＶ形プーリの円錐形摩擦伝動面に圧接して伝動し、 該一対のＶ形プーリの夫々の円錐形摩擦伝動面の対向間隔を拡縮することにより 、無段変速伝動を行っており、夫々の摩擦伝動板は図７ないし図９および図１０ 、図１１に示す如くチェーンに装着されている。

【０００３】 すなわち、図８に一部断面による要部平面図で示す如く、１／２ピッチの位相 差を以て断面Ｉ形の摩擦伝動板の左右空所に夫々挿通したチェーンＣ１およびＣ ２の一方のチェーンＣ１の夫々のリンクプレートＬ１の内側辺および外側辺中央 部に図７に示す如く（作図法により上下が逆に画かれている）凹設した切欠部Ａ １およびＡ１’には、摩擦伝動板Ｆａの一方の空所を形成する下梁上面Ｆ１と上 梁下面Ｆ１’とが夫々装入係合し、他方のチェーンＣ２の夫々のリンクプレート Ｌ２の内側辺および外側辺中央部に図９に示す如く凹設した切欠部Ａ２およびＡ ２’には、摩擦伝動板Ｆｂの他方の空所を形成する下梁上面Ｆ２と上梁下面Ｆ２ ’とが夫々装入係合し、これらリンクプレートに装入係合している摩擦伝動板Ｆ ａ，Ｆｂの間には、リンクプレートと全く係合しない摩擦伝動Ｆｃが介装されて いる。

【０００４】 そして、摩擦伝動板Ｆａ，Ｆｂはリンクプレートの切欠部に装入係合する側の 下梁並びに上梁の厚さＴ１，Ｔ２が、図１０に示す如く該切欠部に装入される分 だけ、装入係合しない側の下梁並びに上梁の厚さｔ１，ｔ２より厚くされ、摩擦 伝動板Ｆｃは、図１１に示す如く、左右の下梁および上梁の厚さは同一にされて いる。

【０００５】 なお、図１０はチェーンＣ１のリンクプレートの切欠部Ａ１，Ａ１’に装入係 合する下梁および上梁を有する摩擦伝動板Ｆａであり、１／２ピッチの位相差を 有するチェーンＣ２とは全く係合していない。

【０００６】 そして、チェーンＣ１と１／２ピッチの位相差を有して挿通されているチェー ンＣ２のリンクプレートの切欠部Ａ２，Ａ２’に装入係合する下梁および上梁を 有する摩擦伝動板Ｆｂは図示していないが、図１０の図示の形状を左右反転した 形状を有している。

【０００７】 したがって、図７ないし図９から明らかな如く、リンクプレートに全く係合し ていない摩擦伝動板Ｆｃは、チェーンＣ１に係合している摩擦伝動板Ｆａとチェ ーンＣ２に係合している摩擦伝動板Ｆｂとの間に介装され、摩擦伝動板Ｆａ、摩 擦伝動板Ｆｃ、摩擦伝動板Ｆｂ、摩擦伝動板Ｆｃ、摩擦伝動板Ｆａの如く配列さ れている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

このように、配列されている摩擦伝動板Ｆａ，Ｆｂ，ＦｃがＶ形プーリに巻き 付けられた状態において、Ｖ形プーリのＶ形面に押圧して摩擦伝動を行う摩擦伝 動板の下梁側端面とＶ形プーリのＶ形面との接触状態を図１２〜図２０について 説明すると、図１２はリンクプレートＬ１，Ｌ２の内周縁の曲率半径Ｒと摩擦伝 動板Ｆａ，Ｆｂ，Ｆｃの下梁上面の巻き付き半径Ｒ’とが一致した場合、すなわ ちＲ＝Ｒ’の場合を示し、この場合には、摩擦伝動板ＦａおよびＦｂの係合しな い側の下梁上面は図１３に示す如く、リンクプレートＬ１およびＬ２の内周縁に よって矢印方向の押圧力が負荷され、また、摩擦伝動板Ｆｃは図１４に示す如く リンクプレートＬ１およびＬ２の内周縁によって左右の下梁上面に矢印方向の押 圧力が負荷されるから、すべての摩擦伝動板Ｆａ，ＦｂおよびＦｃの下梁両側面 ＦおよびＦ’はＶ形プーリのＶ形摩擦伝動面に押圧されて摩擦伝動力を分担する ことができるが、図１５に示すリンクプレートＬ１およびＬ２の内周縁曲率半径 Ｒが摩擦伝動板Ｆａ，Ｆｂ，Ｆｃの下梁上面の巻き付き半径Ｒ’より大なる場合 、すなわちＲ＞Ｒ’の場合においては、図１６に示す如く、摩擦伝動板Ｆａ，Ｆ ｂの係合側下梁上面にリンクプレートの押圧力が矢印方向に負荷されるが、摩擦 伝動板Ｆｃの左右の下梁上面には図１７に示す如くリンクプレートの押圧力は全 く負荷されない。

【０００９】 また、図１８に示す如くＲ＜Ｒ’の場合、すなわち、リンクプレートの内周縁 曲率半径Ｒが摩擦伝動板Ｆａ，Ｆｂ，Ｆｃの下梁上面の巻き付き半径Ｒ’よりも 小なる場合には、図１９に示す如く、摩擦伝動板Ｆａ，Ｆｂの非係合側下梁上面 にリンクプレートの押圧力が負荷されるものの、摩擦伝動板Ｆｃの左右下梁上面 には図２０に示す如くリンクプレートの押圧力は全く負荷されない。

【００１０】 要約すれば、摩擦伝動板ＦｃはＲ＝Ｒ’の場合においてのみ摩擦伝動力を分担 するが、

【数１】 の場合においては摩擦伝動力を全く分担していないため、摩擦伝動板Ｆａ，Ｆｂ の伝動負荷が大になり、摩擦面圧も増大して面圧疲労を誘発するという欠点を有 している。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

そこで、本考案は上述した従来技術の課題を解決するため、リンクプレートに 係合装着されていない摩擦伝動板Ｆｃを排し、リンクプレートに係合装着する摩 擦伝動板Ｆａ，Ｆｂのみを以て摩擦伝動板を構成し、リンクプレートの内周縁の 曲率半径Ｒと摩擦伝動板の巻き付き半径Ｒ’との関係に異同が生じても、すべて の摩擦伝動板が摩擦伝動力を分担するようにしたものである。

【００１２】

【作用】

リンクプレートに係合装着していない摩擦伝動板Ｆｃを除いたことによって、 リンクプレートに係合装着している摩擦伝動板Ｆａ，Ｆｂの幅が広くなり、しか も、幅広になった該摩擦伝動板Ｆａ，Ｆｂがすべてプーリ懸回時においてリンク プレート内周縁による押圧力を受けるので、摩擦面圧が減少するとともに、摩擦 面圧が拡大して伝達摩擦力が増大することになる。

【００１３】

【実施例】

図２は摩擦伝動板の左右空所に夫々１／２ピッチの位相差を以て２条のチェー ンＣ１およびＣ２を挿通した一部断面による要部平面図であって、図１は一方の チェーンＣ１の上面図（作図法により上下が逆に画かれている）、図３はチェー ンＣ２の底面図であって、チェーンＣ１のリンクプレートＬ１の内周縁中央部位 には切欠部１Ａが、外周縁中央部位には切欠部１Ａ’が、夫々凹設され、二枚合 わせの摩擦伝動板２の図４における左側の下部梁材の上面および上部梁材の下面 が夫々の切欠部１Ａ，１Ａ’に係合装着され、また、チェーンＣ１と１／２ピッ チの位相差を有する他方のチェーンＣ２のリンクプレートＬ２の内周縁中央部位 には切欠部３Ａが、外周縁中央部位には切欠部３Ａ’が夫々凹設され、摩擦伝動 板４の図４における右側の下部梁材の上面および上部梁材の下面が夫々の切欠部 ３Ａ，３Ａ’に係合装着されている。

【００１４】 そして、図４に示す如く、摩擦伝動板２の右側の上部梁材下面および下部梁材 の上面は右側のチェーンＣ２には係合していない。 同様にして、摩擦伝動板４の左側の上面梁材下面および下部梁材の上面には左 側のチェーンＣ１には係合していない。 換言すれば、摩擦伝動板２と４とは左右反転した形状を有し、交互に密接して チェーン上に係合装着されているものである。

【００１５】 そして、図１２〜図２０について既述した如く、

【数２】 のいずれの場合においても図５および図６に示す如く、（図５はＲ＞Ｒ’の場合 、図６はＲ＜Ｒ’の場合を示す）摩擦伝動板２，４の下梁上面の左右いずれかの 側にチェーンの緊張によるリンクプレートの押圧力を矢印の如く作用させるもの である。

【００１６】

【考案の効果】

本考案は、多数のＩ形摩擦伝動板の左右空所に１／２ピッチの位相差を有する チェーンを挿通して、これら多数のＩ形摩擦伝動板の隣接する一方の摩擦伝動板 を一方のチェーンに、他方の摩擦伝動板を他方のチェーンに、夫々交互に係合装 着して配列したから、すべての摩擦伝動板にチェーンの緊張によるリンクプレー トの押圧力が摩擦伝動板の下梁上面に作用して、摩擦伝動板の下梁両側面をＶ形 プーリに摩擦面に圧接させるので、すべての摩擦伝動板の摩擦伝動面に摩擦力が 均等に発生し、該摩擦伝動面に作用する面圧が減少し、且つ摩擦伝動能力が著し く増大するものである。

【００１７】 また、夫々の摩擦伝動板の板厚は従来例の場合に比し大となるので、実施例の 如く分割した合せ材にすると、プレスによる打ち抜き加工が容易となり、破断面 の精度を向上させることができるものである。

【提出日】平成４年５月１３日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１０

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１０】 要約すれば、摩擦伝動板ＦｃはＲ＝Ｒ’の場合においてのみ摩擦伝動力を分担 するが、

【数１】 の場合においては摩擦伝動力を全く分担していないため、摩擦伝動板Ｆａ，Ｆｂ の伝動負荷が大になり、摩擦面圧も増大して面圧疲労を誘発するという欠点を有 してぃる。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１５

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１５】 そして、図１２〜図２０について既述した如く、

【数２】 のいずれの場合においても図５および図６に示す如く、（図５はＲ＞Ｒ’の場合 、図６はＲ＜Ｒ’の場合を示す）摩擦伝動板２，４の下梁上面の左右いずれかの 側にチェーンの緊張によるリンクプレートの押圧力を矢印の如く作用させるもの である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の摩擦伝動チェーンの実施例の上面図で
ある。

【図２】図１の摩擦伝動チェーンの一部断面による要部
平面図である。

【図３】図２の摩擦伝動チェーンの底面図である。

【図４】チェーンの正面断面図である。

【図５】Ｒ＞Ｒ’の場合における摩擦伝動板の押圧力作
用説明図である。

【図６】Ｒ＜Ｒ’の場合における摩擦伝動板の押圧力作
用説明図である。

【図７】従来の摩擦伝動チェーンの上面図である。

【図８】図７の摩擦伝動チェーンの一部断面による要部
平面図である。

【図９】図８の摩擦伝動チェーンの底面図である。

【図１０】従来の摩擦伝動チェーンのチェーンのリンク
プレートに係合装着した摩擦伝動板の正面である。

【図１１】従来の摩擦伝動チェーンのチェーンのリンク
プレートに係合装着しない摩擦伝動板の正面である。

【図１２】従来の摩擦伝動チェーンにおいてリンクプレ
ートの摩擦伝動板に作用する押圧力説明図である。

【図１３】従来の摩擦伝動チェーンにおいてリンクプレ
ートの摩擦伝動板に作用する押圧力説明図である。

【図１４】従来の摩擦伝動チェーンにおいてリンクプレ
ートの摩擦伝動板に作用する押圧力説明図である。

【図１５】従来の摩擦伝動チェーンにおいてリンクプレ
ートの摩擦伝動板に作用する押圧力説明図である。

【図１６】従来の摩擦伝動チェーンにおいてリンクプレ
ートの摩擦伝動板に作用する押圧力説明図である。

【図１７】従来の摩擦伝動チェーンにおいてリンクプレ
ートの摩擦伝動板に作用する押圧力説明図である。

【図１８】従来の摩擦伝動チェーンにおいてリンクプレ
ートの摩擦伝動板に作用する押圧力説明図である。

【図１９】従来の摩擦伝動チェーンにおいてリンクプレ
ートの摩擦伝動板に作用する押圧力説明図である。

【図２０】従来の摩擦伝動チェーンにおいてリンクプレ
ートの摩擦伝動板に作用する押圧力説明図である。

【符号の説明】

２，４ Ｉ形摩擦伝動板 Ｃ１，Ｃ２ チェーン Ｌ１，Ｌ２ リンクプレート １Ａ，１Ａ’，３Ａ，３Ａ’ 切欠部 Ｆ 摩擦面

フロントページの続き (72)考案者 藤本 信之 大阪府大阪市鶴見区鶴見４丁目17番96号 株式会社椿本チエイン内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 重合整列した多数のＩ形断面を有する摩
   擦伝動板の左右の空所の夫々に、無端チェーンを１／２
   ピッチの位相差を以て挿通した摩擦伝動チェーンにおい
   て、すべての摩擦伝動板の夫々を無端チェーンの夫々の
   リンクプレートに係合装着した摩擦伝動チェーン。
2. 【請求項２】夫々の摩擦伝動板が複数の摩擦伝動板分割
   片の合体で構成された請求項１記載の摩擦伝動チェー
   ン。