JPH0577846A - 医薬用容器のゴム栓 - Google Patents

医薬用容器のゴム栓

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JPH0577846A
JPH0577846A JP27448491A JP27448491A JPH0577846A JP H0577846 A JPH0577846 A JP H0577846A JP 27448491 A JP27448491 A JP 27448491A JP 27448491 A JP27448491 A JP 27448491A JP H0577846 A JPH0577846 A JP H0577846A
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rubber
isoprene
rubber stopper
film
rubber plug
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JP27448491A
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Hiroshi Kuramochi
浩 倉持
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Polytec Design KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 イソプレンゴムをベースゴムとしたゴム栓
は、再シール性、コアリング、ゴム栓抜けに優れるが、
溶出物が十分に良くない。この点を改良した医薬用容器
のゴム栓を提供する。 【構成】 主たるベースゴムにイソプレンゴムを用い
て、有機過酸化物で架橋してゴム栓を成型する。このゴ
ム栓の表面に、柔軟で拡散係数の小さい材料を被覆す
る。この材料とは、ポリイソブチレン、イソプレン−イ
ソブチレンゴムなどである。これらを溶媒に溶解し、こ
の溶液にゴム栓を浸漬する。取り出したゴム栓は、加熱
して溶媒を揮散する。するとゴム栓の表面に、厚さ5〜
50μmの皮膜が形成される。これによってゴム栓の溶
出物を改良することができる。さらに皮膜中に潤滑剤を
加えても良い。するとゴム栓の針刺抵抗と、組み立て作
業性を改良することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬用容器、特に輸液用
などの薬液の入っている容器のゴム栓に関する。
【0002】
【従来の技術】薬液の入っている医薬用容器には、針が
刺せるようにゴム栓が施されている。医薬用容器の中で
も輸液用容器は、そのゴム栓に多くの性質が厳しく要求
されている。輸液用容器のゴム栓を中心に、要求される
性質について次に説明する。
【0003】i)再シール性 輸液用容器のゴム栓は、ステンレス針のほかにプラスチ
ック針を刺すことがある。プラスチック針は太く、切れ
が悪い。輸液用容器は逆さにつるして使用する。プラス
チック針をゴム栓から引き抜いた際、その部分がぴった
りと閉じないと、液漏れを生じる。これをゴム栓の再シ
ール性が悪いと言う。再シール性はゴムの反発弾性に関
係する。反発弾性の高いゴムは、再シール性が良い。
【0004】ii)溶出物 輸液用容器は、ゴム栓と薬液とが接した状態で、数カ月
から数年に渡って保存される。この間に、輸液用容器内
の薬液に、ゴム栓から溶出するものがあってはならな
い。何が溶出しているのかを見付けるのは難しい。そこ
で日本薬局方、輸液用ゴム栓試験法が目安となってい
る。輸液用容器のゴム栓は、この試験に合格しなければ
ならない。
【0005】iii)コアリング ゴム栓に針を刺したとき、針がゴムを小さくちぎり取っ
てしまうことがある。これをコアリングと言う。ちぎら
れたゴムのかけらは、薬液中に入って、異物となる。ゴ
ム栓には、コアリングを生じない物性が要求される。
【0006】iv)針刺抵抗 輸液用容器のゴム栓は、プラスチック針を刺す。プラス
チック針は太いため、刺すときの抵抗が大きい。針はで
きるだけ小さな力で刺せた方が良い。針刺抵抗は、ゴム
の摩擦抵抗に関係する。摩擦抵抗の小さいゴムは、針刺
抵抗が小さい。
【0007】v)ゴム栓抜け 輸液用容器は、ゴム栓に一度刺した針を抜くことがあ
る。太いプラスチック針は、抜くときの抵抗も大きいた
め、針と一緒にゴム栓が容器から抜けてしまうことがあ
る。輸液用容器は逆さにつるしてあるので、ゴム栓が抜
けると、薬液が全部出てしまう。ゴム栓抜けは、ゴム栓
材質の摩擦抵抗に関係する。摩擦抵抗の小さいゴムは抜
け易い。
【0008】次に、現行の輸液用容器のゴム栓について
述べる。ゴム栓のベースゴムは、容器の材質によって、
すなわち、ガラス製容器かプラスチック製容器かによっ
て、使い分けられている。
【0009】ガラス製容器は、ブチルゴムをベースゴム
としている。ブチルゴムは溶出物が良く、摩擦抵抗が比
較的高い。このためブチルゴムのゴム栓は、要求される
性質ii)溶出物、v)ゴム栓抜け、は良い。しかしi
ii)コアリング、iv)針刺抵抗に関しては十分なも
のではない。またi)再シール性は非常に悪い。ガラス
製容器は、容器の口が硬い。そこで、少し大きめのゴム
栓を作り、容器に押し込み、さらにアルミキャップでか
しめている。このようにブチルゴムのゴム栓は、外部か
らの力で、再シール性の悪さを補っている。
【0010】プラスチック製容器は、容器の口が柔らか
い。大きめのゴム栓を押し込むと、容器の口が広がって
しまう。ガラス製容器のように、外部からの力は加えら
れないので、再シール性の悪いブチルゴムは使えない。
代わって、反発弾性が高く、再シール性の良いイソプレ
ンゴムやブタジエンゴムをベースゴムとしている。しか
しこのゴム栓も、iv)針刺抵抗が大きめである。ま
た、ii)溶出物が悪い。輸液用ゴム栓試験法に合格す
るためには、成型後のゴム栓の処理が必要である。処理
しても、輸液用ゴム栓試験法の過マンガン酸カリウム消
費物質の項目に合格しない場合がある。この改善は、強
く要望されている。
【0011】イソプレンゴムやブタジエンゴムをベース
ゴムとしたゴム栓は、溶出物を改善する目的で、ゴム栓
と薬液との間に、溶出物の良いフィルムを設けているも
のがある。また、テフロンフィルムをゴム栓にはり付け
ているものもある。この方法で、ゴム栓から薬液への溶
出は改善される。しかし92年度から、フィルムを用い
たゴム栓にも、輸液用ゴム栓試験法が適用されることに
なった。先述したように、イソプレンゴムやブタジエン
ゴムのゴム栓は、たとえ後処理をしても、輸液用ゴム栓
試験法の過マンガン酸カリウム還元性物質の項目に、合
格しないことがある。従ってこの点を改善しなくてはな
らない。また、フィルムを用いる方法は、コスト高にな
るという問題点もある。
【0012】これらの問題点から、シリコーンゴムをベ
ースゴムとしたゴム栓が検討されている。シリコーンゴ
ムは、反発弾性が高く、摩擦抵抗が小さいので、このゴ
ム栓はi)再シール性、ii)溶出物、iii)コアリ
ングiv)針刺抵抗、は満足する。しかしv)ゴム栓抜
けに問題がある。容器の口が柔らかいプラスチック製容
器にこのゴム栓を施すと、針を引き抜くときにゴム栓が
容器から抜けてしまう。これは、シリコーンゴムの摩擦
係数が大変小さいことによる。本発明者は、以前からこ
の問題に取り組み、改良したゴム栓を発明している。
(特許願第2−236629号、特許願第2−4192
60号)これらは輸液用容器のゴム栓として、非常に良
いものである。しかしこれらもiv)針刺抵抗に関して
は十分とは言えないものであった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】輸液用容器は、近年ガ
ラス製よりプラスチック製のものが多くなっている。そ
こで、プラスチック製容器に使用できるゴム栓が要望さ
れている。先述したように、再シール性が良く、プラス
チック製容器に適したイソプレンゴムは、溶出物が良く
ない。この点に注目し、イソプレンゴムをゴム栓の主た
るベースゴムとして、溶出物を改善したゴム栓を発明し
た。医薬用容器のゴム栓の中でも輸液用容器のゴム栓に
は、高いレベルの様々な性質が要求されている。本発明
は、輸液用容器のゴム栓に使えるようなゴム栓を提供す
ることを主な目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の医薬用容器のゴ
ム栓は、次のようにして作る。 イソプレンゴムを主たるベースゴムとしてゴム栓を成
型する。 ゴム栓の表面に、皮膜を形成する。 以下にこれを詳述する。
【0015】イソプレンゴムを主たるベースゴムとし
てゴム栓を成型する。主たるベースゴムにイソプレンゴ
ムを用い、架橋剤に有機過酸化物を使って、所望する形
のゴム栓を成型する。ベースゴムの全重量を100重量
部としたとき、ブタジエンゴムを5〜50重量部、好ま
しくは8〜20重量部混ぜると良い。架橋は有機過酸化
物で行う。過酸化物架橋したゴムは、硫黄架橋したゴム
に比べて溶出物が良いためである。有機過酸化物は例え
ば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサンなどが適当である。有機
過酸化物の添加量は、ゴム100重量部に対して、1〜
2重量部とする。作ろうとするゴム栓に適した配合を設
定する。本発明の輸液用容器のゴム栓に適した配合例
を、表1に示した。
【0016】
【表1】
【0017】設定した配合で混練し、成型する。成型条
件は、その配合に適したものとする。表1の配合の場
合、145〜160℃、5〜10分が適当である。な
お、これまで輸液用容器に使用していたゴム栓が、イソ
プレンゴムを主たるベースゴムとするゴム栓であれば、
そのまま使用することもできる。
【0018】ゴム栓の表面に、皮膜を形成する。で
成型したゴム栓に、皮膜を形成する。皮膜として適する
素材は、柔軟で拡散係数の小さい素材である。具体的に
は、ポリイソブチレン、イソプレン−イソブチレンゴ
ム、ハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴムなどであ
る。ハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴムは、塩素
化イソプレン−イソブチレンゴム、臭素化イソプレン−
イソブチレンゴムのどちらも使える。以下、これらの拡
散係数の小さい素材を、皮膜用材料と総称して述べる。
【0019】これらをゴム栓に3〜80μm、好ましく
は5〜50μmの厚みとなるように被覆する。ゴム栓に
このような皮膜を形成できる方法であれば、どのような
方法を取っても良い。しかし、皮膜用材料を溶媒に溶解
し、この溶液をゴム栓に塗布すると、簡単に被覆でき
る。ポリイソブチレン、イソプレン−イソブチレンゴ
ム、ハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴムなどの皮
膜用材料が3〜50重量%、好ましくは5〜30重量%
となるように、溶媒に溶解する。皮膜用材料は、2種類
以上を混ぜて用いても良い。溶媒は皮膜用材料の良溶媒
であれば何でも良い。具体的には、トルエン、n−ヘキ
サンなどが好ましい。
【0020】ハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴム
を用いた場合は、架橋した皮膜をゴム栓表面に形成する
ことができる。架橋剤は有機過酸化物が適当である。有
機過酸化物は過酸化物ベンゾイルなど、比較的低温で分
解するものを用いる。架橋する場合は、有機過酸化物を
ハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴムと一緒に溶媒
に溶解しておく。溶解する有機過酸化物の量は、ハロゲ
ン化イソプレン−イソブチレンゴム100重量部に対し
て、0.8〜1.6重量部となるようにする。また、溶
解するハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴム100
重量部に対して、ブタジエンゴムが10〜30重量部と
なるように、ブタジエンゴムを一緒に溶媒に溶解すると
良い。すると、ゴム栓表面に形成されるハロゲン化イソ
プレン−イソブチレンゴム皮膜に、べたつきがなくな
る。
【0021】皮膜用材料などを溶解した溶液を、ゴム栓
に塗布する。どのような方法で塗布しても良い。具体的
には、溶液をゴム栓にスプレーする、溶液にゴム栓を浸
漬して引き上げる、などの方法を取ることができる。ポ
リイソブチレンやイソプレン−イソブチレンゴムを用い
た場合は、その後40〜80℃に加温して、溶媒を揮散
させる。過酸化物ベンゾイルなどを加えたハロゲン化イ
ソプレン−イソブチレンゴム溶液を用いた場合は、最後
にハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴムの架橋温度
(100〜120℃)で5〜10分間加熱する。皮膜の
厚みは、溶液の濃度と、溶液の塗布回数とで調節する。
皮膜用材料の濃度が高い溶液を使用した場合は、1回塗
布すれば良い。低い濃度の溶液を用いた場合は、2〜3
回、溶液塗布、溶媒揮散の操作を繰り返す。
【0022】ハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴム
は架橋することができる。架橋反応の際、ゴム栓表面の
ゴム分子とハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴムは
反応を生じる。従って、ハロゲン化イソプレン−イソブ
チレンゴム皮膜は、ゴム栓と良く密着する。さらに密着
性を上げるためには、ゴム栓成型用の金型に細かい凹凸
を付けておく。すると、ゴム栓の表面がざらついた状態
となり、密着性が上がる。
【0023】皮膜用材料にポリイソブチレンやイソプレ
ン−イソブチレンゴムを用いた場合は、これらは架橋し
ない。だからゴム栓と皮膜との密着性は余り良くない。
確実に密着させるためには、上述したように金型に細か
い凹凸を付けておく。また、ゴム栓のベースゴムに、ポ
リイソブチレンやイソプレン−イソブチレンゴムを5〜
15重量部配合し、混煉して成型すると良い。このゴム
栓の表面に形成された皮膜は、ゴム栓中のポリイソブチ
レンやイソプレン−イソブチレンゴムと皮膜が非常に良
く密着するので、はがれなくなる。
【0024】このようにして、ゴム栓表面に皮膜を形成
することができる。しかしポリイソブチレンなどの皮膜
は、少しべとつきがあるので、ゴム栓がたがいにくっつ
きやすい。医薬用容器にゴム栓を組み立てる工程で、こ
の現象は好ましくない。また、イソプレンゴムをベース
ゴムとしたゴム栓は、針刺抵抗が十分に良くはない。こ
のふたつの問題点を解決するには、次のようにする。皮
膜用材料を溶媒に溶解する際、潤滑剤を一緒に溶解す
る。潤滑剤は、ゴム用の潤滑剤であれば何でも良い。具
体的には、シリコーンオイル、ステアリン酸などが適当
である。皮膜用材料100重量部に対して、潤滑剤を1
〜5重量部溶媒に溶解する。この溶液をゴム栓に塗布し
たり、皮膜を形成したりする操作は、潤滑剤を加えてい
ない場合と全く同様に行うことができる。
【0025】
【作用】本発明のゴム栓は、主たるベースゴムにイソプ
レンゴムを用い、有機過酸化物で架橋している。従っ
て、輸液用容器のゴム栓に要求される性質の内、再シー
ル性、コアリング、ゴム栓抜けに関しては、優秀なゴム
栓である。有機過酸化物で架橋すると、硫黄架橋したも
のより溶出物の良いゴム栓を作ることができる。また、
有機過酸化物で架橋し易いブタジエンゴムをベースゴム
に混ぜると、有機過酸化物の添加量を3分の2〜2分の
1に減らすことができる。またこれは、共架橋剤を添加
しなくても架橋できる。するとさらに溶出物を改善する
ことができる。加えるブタジエンゴムの量は、全重量を
100重量部としたとき、8〜20重量部程度が適当で
ある。
【0026】このゴム栓を、ポリイソブチレンやイソプ
レン−イソブチレンゴムやハロゲン化イソプレン−イソ
ブチレンゴムを溶媒に溶解した液に浸漬する。ポリイソ
ブチレンなどが溶解する溶媒は、イソプレンゴムとの親
和性が高い。だから、溶液から取り出したゴム栓の表面
には、溶液が均一に付着している。
【0027】その後、溶媒を揮散させると、ポリイソブ
チレンやイソプレン−イソブチレンゴムやハロゲン化イ
ソプレン−イソブチレンゴムが、ゴム栓表面に皮膜とな
って残る。ハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴムに
有機過酸化物を加えた溶液を塗布した場合は、架橋温度
まで加熱する。すると、ゴム栓表面に、架橋したハロゲ
ン化イソプレン−イソブチレンゴム皮膜を形成すること
ができる。この際、溶液濃度と溶液塗布回数を調節する
ことにより、3〜80μmの厚みの皮膜をゴム栓表面に
形成することができる。また、本発明の方法で皮膜形成
すれば、形成された皮膜の厚みは、ゴム栓のどの部分を
取っても大体均一となる。
【0028】本発明者は医薬用容器のゴム栓の溶出物に
関して、以前から深く考察しており、拡散係数の小さい
素材は溶出物が少ないということを発見した。これを応
用したのが本発明のゴム栓である。ポリイソブチレンな
どの拡散係数の小さい素材は、ガスだけでなく、様々な
分子が移動しにくい素材である。イソプレンゴムをベー
スゴムとしたゴム栓は、たとえ有機過酸化物で架橋して
も、溶出物が十分に良くはない。本発明のゴム栓は、ゴ
ム栓自体から溶出して来る物質の量は減らない。しかし
拡散係数の小さいポリイソブチレンなどでこのゴム栓の
表面を被覆すると、ゴム栓から溶出してきた様々な分子
が、皮膜中に止まり、それより外ヘ移行しにくくなる。
すなわち、ゴム栓から溶出する物質が、ゴム栓表面のわ
ずか3〜80μmの薄い皮膜の中に止まるようになる。
従って、ゴム栓から薬液へ移行する物質の量を激減する
ことができる。
【0029】本発明で使用した皮膜用材料は、弾性があ
り、イソプレンゴムとの親和性が高い。だから、形成さ
れた皮膜は柔軟で、ゴム栓との密着性も高い。ゴム栓と
皮膜の密着性が特に要求される場合は、成型用金型の表
面に細かい凹凸をつけておく。するとゴム栓表面にも凹
凸がつく。この表面に同じ方法で皮膜形成すると、皮膜
が凹凸にくい込んで、はがれにくくなる。
【0030】ゴム栓の組み立て作業性や針刺抵抗の改善
には、潤滑剤を皮膜中に加える。皮膜形成材料と一緒に
潤滑剤を溶媒に溶解する。この溶液を用い、潤滑剤を加
えていない場合と同様に操作すると、潤滑剤の入った皮
膜をゴム栓表面に形成することができる。この皮膜もま
た、均一に形成することができる。このゴム栓は、皮膜
中の潤滑剤のため、ゴム栓表面のべとつきがなくなる。
従ってゴム栓が互いにくっつかなくなるので、容器にゴ
ム栓を組み立てる工程の作業性が良くなる。一方、針刺
抵抗は、針をゴム栓に刺す最初の瞬間が、最も抵抗が高
い。潤滑剤が入っている皮膜をゴム栓表面に形成するこ
とによって、この初期抵抗を下げることができる。
【0031】
【実施例】表1、I〜IIIの配合に従って配合、混練
し、輸液用プラスチックびんのゴム栓を成型した。成型
条件は表1に示した。このゴム栓に、例A〜例Dのよう
に皮膜を形成した。
【0032】例A)イソプレンゴムをベースゴムとする
ゴム栓(表1、Iの配合)に、イソプレン−イソブチレ
ンゴムを被覆する例 ゴム栓は、表1、Iの配合に従って配合し、成型する。
皮膜用材料のイソプレン−イソブチレンゴムは25重量
%となるようにトルエンに溶解する。この溶液に、先に
成型したゴム栓を浸漬する。約5秒後、ゴム栓を溶液か
ら取り出し、70℃で2時間放置する。この操作を2回
繰り返す。するとゴム栓の表面に、イソプレン−イソブ
チレンゴムの皮膜が形成される。皮膜は柔軟で、ゴム栓
から容易にはがすことはできなかった。この皮膜の厚み
は、およそ30μmであった。
【0033】例B)ベースゴムにブタジエンゴムを20
重量部含んだゴム栓(表1、IIの配合)に、ハロゲン
化イソプレン−イソブチレンゴムを被覆する例 ゴム栓は、表1、IIの配合に従って配合し、成型す
る。このゴム栓はブタジエンゴムを配合しているので、
共架橋剤を使用しなくても、架橋が十分に進行する。皮
膜用材料のハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴムは
臭素化イソプレン−イソブチレンゴムを用いた。臭素化
イソプレン−イソブチレンゴムが20重量%、ブタジエ
ンゴムが5重量%となるように、トルエンに溶解する。
この溶液に、過酸化ベンゾイルを0.25%溶解する。
十分に混ぜた後、溶液にゴム栓を浸漬する。約5秒後ゴ
ム栓を溶液から取り出し、100℃で10分間放置す
る。するとゴム栓の表面に臭素化イソプレン−イソブチ
レンゴム皮膜が形成する。皮膜は架橋しているので、ゴ
ム栓との密着性が非常に良かった。この皮膜の厚みは、
およそ25μmであった。
【0034】例C)ベースゴムにブタジエンゴムを20
重量部含んだゴム栓(表1、IIの配合)に、シリコー
ンオイルを含んだハロゲン化イソプレン−イソブチレン
ゴムの皮膜を形成する例 ゴム栓は、例Bと同じものである。例Bで用いた臭素化
イソプレン−イソブチレンゴムのトルエン溶液(過酸化
ベンゾイルを含む)に、シリコーンオイルを1重量%と
なるように溶解する。シリコーンオイルは、東レ・ダウ
コーニング・シリコーン(株)、SH200、100c
sを用いた。この溶液にゴム栓を浸漬し、約5秒後に取
り出す。これを100℃で10分間放置する。するとシ
リコーンオイルを含んだ臭素化イソプレン−イソブチレ
ンゴム皮膜が形成する。このゴム栓は表面のべとつきが
なく、ゴム栓が互いにくっつきにくかった。皮膜の厚み
は、およそ20μmであった。
【0035】例D)ベースゴムにポリイソブチレンを1
5重量部含んだゴム栓(表1、IIIの配合)に、ポリ
イソブチレンを被覆する例 ゴム栓は表1、IIIに従って配合し、成型する。ゴム
栓中には、ポリイソブチレンを15重量部配合した。皮
膜用材料のポリイソブチレンを、30重量%となるよう
にトルエンに溶解する。この溶液にゴム栓を浸漬し、約
5秒後に取り出す。これを70℃で2時間放置する。こ
の操作を2回繰り返す。するとゴム栓表面にポリイソブ
チレン皮膜が形成される。ゴム栓中に、ポリイソブチレ
ンが含まれているので、皮膜はゴム栓に非常に良く密着
していた。膜厚は約35μmであった。
【0036】(実験)本発明のゴム栓を用いて、溶出物
の実験を行った。対照には、現行の輸液用プラスチック
びんのゴム栓(ベースゴムはイソプレンゴム)を使用し
た。実験方法は日本薬局方、輸液用ゴム栓試験法に準じ
た。この試験法の中で、泡立ち、過マンガン酸カリウム
還元性物質、ΔpHの3項目を試験した
【0037】その結果を表2に示した。現行品のゴム栓
は、泡立ちが少し残っており、また過マンガン酸カリウ
ム還元性物質も規準値を越えていた。しかし本発明のゴ
ム栓、例A〜例Dはいすれも規準に合格した。特に共架
橋剤を使用していない例Bのゴム栓は、過マンガン酸カ
リウム還元性物質が少なかった。これによってポリイソ
ブチレンなど、拡散係数の小さい材料を、わずか3〜8
0μmの厚みで被覆することによって、溶出物が改善さ
れることが解る。また、針刺抵抗を簡単に実験したとこ
ろ、抵抗は、例A、例B、例Dが現行品と同等であっ
た。例Cは現行品より針刺抵抗が小さかった。シリコー
ンオイルを皮膜中に加えることによって、針刺抵抗を小
さくできることが解る。
【0038】
【表2】
【0039】
【効果】本発明のゴム栓は、イソプレンゴムを主たるベ
ースゴムとしている。従って、輸液用容器のゴム栓に要
求される性質の内、再シール性、コアリング、ゴム栓抜
け、に関しては、十分に満足するゴム栓である。しか
し、イソプレンゴムをベースゴムとしたゴム栓は溶出物
に問題がある。本発明のゴム栓はイソプレンゴムをベー
スゴムとし、架橋に有機過酸化物を使用している。この
ため硫黄架橋したゴム栓より溶出物は良いが、このまま
では日本薬局方、輸液用容器ゴム栓試験法の過マンガン
酸カリウム還元性物質試験に合格しない。この点を拡散
係数の小さい素材で、ゴム栓の表面に被膜を形成するこ
とによって解決した。すなわち、ポリイソブチレンなど
を厚さ3〜80μmでゴム栓に被覆すると、ゴム栓から
の溶出物を皮膜中に止めることができる。従って、ゴム
栓から医薬用容器内の薬液に溶出する物質を激減でき
る。
【0040】また皮膜の中に潤滑剤を加えると、二つの
効果を生じる。一つは、ゴム栓の針刺抵抗を小さくする
ことができる。もう一つは、ゴム栓が互いにくっつかな
くなる。従って、医薬用容器にゴム栓を組み立てる工程
において、作業性を改善できる。このように本発明のゴ
ム栓は、医薬用容器のゴム栓に要求される性質のすべて
を満足するものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソプレンゴムを主たるベースゴムとし
    てゴム栓を成型し、該ゴム栓の表面に、ポリイソブチレ
    ンまたは/およびイソプレン−イソブチレンゴムまたは
    /およびハロゲン化イソプレン−イソブチレンゴムの皮
    膜を、3〜80μmの厚みで形成することを特徴とする
    医薬用容器のゴム栓。
  2. 【請求項2】 該皮膜中に、該皮膜100重量部に対し
    て潤滑剤を1〜5重量部含むことを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載の医薬用容器のゴム栓。
JP27448491A 1991-07-24 1991-07-24 医薬用容器のゴム栓 Pending JPH0577846A (ja)

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JP27448491A JPH0577846A (ja) 1991-07-24 1991-07-24 医薬用容器のゴム栓

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