JPH0572931U - 焼結ワークのサイジング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワーク（２）の軸穴（２Ｂ）内に嵌まり込む
センターコア（８）とワーク（２）の楕円穴（２Ｃ）内
に嵌まり込む楕円コア（９）を具えたサイジング装置に
おいて、ワーク（２）の位置決め不良によるサイジング
用金型（３）（４）（５）あるいは（10）の破損を防止
する。 【構成】 上記センターコア（８）と楕円コア（９）の
突出量に所定の差を設けることによって、最初にワーク
（２）と当接する楕円コア（９）を位置ずれの検出セン
サとして機能させ、ワーク（２）の径方向および円周方
向の位置ずれを精度よく検出する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は焼結ワークのサイジング装置に関するものであり、詳細には、焼結金 属製のワーク、例えばタイミングベルトプーリ等にサイジング処理を施す際に、 サイジング荷重の負荷に先立って上記タイミングベルトプーリを精度よく位置決 め固定するための位置ずれ検出装置を提供するものである。

【０００２】

【従来の技術】

金属微粉末の焼結によってワーク、例えばタイミングベルトプーリは、粉末成 形用金型から取出した後、焼成および熱歪除去を目的とするサイジング処理を施 すことによって最終製品に仕上げられる。

【０００３】 以下、図３を参照してサイジング処理工程の従来例を説明する。

【０００４】 まず、図３（Ａ）に示すように、ワークサイジング（１）を利用して焼成工程 から取出されたワーク、例えば、自動車エンジン用タイミングベルトプーリ（２ ）を、ダイス（３）、第１下パンチ（４）および第２下パンチ（５）からなる下 側のサイシング用金型（６）の上に供給する。尚、ダイス（３）の内周壁面およ び第１下パンチ（４）の外周壁面には、タイミングベルトプーリ（２）の外周面 に設けられた歯形（２Ａ）に対応してこの歯形（２Ａ）を嵌挿支持する歯形（３ Ａ）（４Ａ）が設けられており、第２下パンチ（５）には、タイミングベルトプ ーリ（２）に設けられた軸穴（２Ｂ）と、楕円穴（２Ｃ）に対応して同心配置状 態でセンターコアの挿入穴（５Ａ）と楕円コアの挿入穴（５Ｂ）が形成されてい る。

【０００５】 次に図３（Ｂ）に示すようにタイミグベルトプーリ（２）の歯形（２Ａ）を、 ダイス（３）の歯形（３Ａ）および第１下パンチ（４）の歯形（４Ａ）内に嵌込 んだ状態でタイミングベルトプーリ（２）を下側のサイジング用金型（６）上に 位置決め固定する。この状態でタイミングベルトプーリ（２）の直径方向に対設 された光電管装置（７Ａ）の投光器から受光器（７Ｂ）に向って光（Ｌ）を照射 する。タイミングベルトプーリ（２）が下側のサイジング用金型（６）の上に正 確に位置決め固定されていれば、投光器（７Ａ）から投射されたタイミングベル トプーリ（２）によって遮られることなく、受光器（７Ｂ）に入射する。これに よって、タイミングベルトプーリ（２）が、下側のサイジング用金型（６）上の 所定位置に固定されていることが検出される。

【０００６】 タイミングベルトプーリ（２）の所定位置への固定が検出されると、図３（Ｄ ）に示すようにサイジング動作が開始される。即ち、互いに平行に支持されたセ ンターコア（８）と楕円コア（９）が同時に下降し、その先端を軸穴（２Ｂ）お よび楕円穴（２Ｃ）内に嵌入させると共に、上記センターコア（８）と楕円コア （９）を上下動可能に支持する上パンチ（10）が下降し、上パンチ（10）と下側 のサイジング用金型（６）の間でタイミングベルトプーリ（２）に所定のサイジ ング荷重を作用させることによって焼成によって発生したタイミングベルトプー リ（２）の熱歪を除去する。

【０００７】 一方、タイミングベルトプーリ（２）が下側のサイジング用金型（６）上に正 確に位置決めされておらない場合には、図３（Ｄ）に拡大図示するようにダイス （３）の上縁部分に、面取り加工が施されいても歯形（２Ａ）と歯形（３Ａ）（ ４Ａ）との係合位置が一致しないため、正規の落し込み動作が発生せず、タイミ ングベルトプーリ（２）は、図３（Ｃ）に示すように下側のサイジング用金型（ ６）の上に傾斜した状態のまま放置される。この結果、投光器（７Ａ）から投射 された光線（Ｌ）がタイミングベルトプーリ（２）によって遮断され、受光器（ ７Ｂ）に入射しなくなる。このようにしてタイミングベルトプーリ（２）が、不 正位置決め状態にあることが検出されると、図示しない共働型の第１の油圧シリ ンダ装置を動力源加圧ラム装置（11）図示しない警報器から停止信号は発送され 、これによってサイジング装置全体が非常停止する。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

図３（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）（Ｄ）に示す従来装置では、タイミングベルトプーリ （２）の位置決め固定方法として、下側のサイジング用金型（６）内への自重落 下方式を採用している。そして、位置決め固定が正確に行なわれているか否かを 光電管装置（７Ａ）（７Ｂ）によって検出している。

【０００９】 タイミングベルトプーリ（２）の外周面でその幅方向全域に歯形（２Ａ）のみ が形成されている場合には、歯形（２Ａ）と、ダイス（３）の内周壁面に設けら れた歯形（３Ａ）および第１下パンチ（４）の外周壁面に設けられた歯形（４Ａ ）との間に自由落下空間となる隙間が残されておらないため、比較的安定した自 重落下（落し込み）状態が確保される。

【００１０】 しかしながら、図４に示すようにタイミングベルトプーリ（２）の一方の端面 に歯形（２Ａ）の頂端面よりも大径のフランジ（12）が設けられている場合には 、図４（Ｃ）に拡大図示するようにダイス（３）の歯形（３Ａ）の一部を切除す ることによって下側のサイジング用金型（６）の上端に深さ（ｌ）を有するフラ ンジ（12）の嵌装支持溝（３Ｂ）を形成しなければならない。

【００１１】 このように下側のサイジング用金型（６）の上端にフランジ（12）の嵌装支持 溝（３Ｂ）を設けると、この高さ分だけ自重落下距離が長くなり、この部分で歯 形（２Ａ）と歯形（３Ａ）もしくは（４Ａ）との直接係合が不可能となることに よってタイミングベルトプーリ（２）は、落し込みによる正確な位置決め固定が 困難になる場合が多くなる。この結果、タイミングベルトプーリ（２）の位置決 め精度が低下し不良品が多発するだけでなく、下側のサイジング用金型（６）や パンチ（10）を始めとするサイジング装置に、位置決め不良に起因する破損等の 事故が発生する。

【００１２】 また、光電管装置（７）の投光器（７Ａ）と受光器（７Ｂ）を使用した場合、 径方向の位置ずれは検出可能であるが、円周方向に沿う位置ずれは検出すること ができないため、センターコア（８）と軸穴（２Ｂ）、および楕円コア（９）と 楕円穴（２Ｃ）との間に相対嵌め合い位置の狂いが発生していてもサイジング装 置に非常停止信号が送出されないという不都合が見受けられた。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

上記課題の解決手段として本考案は、金属粉末の成形焼成物からなるワークに サイジングを施こすためのパンチとダイス、ならびにこれらのパンチとダイスの 間に位置決め固定された上記ワークにサイジング荷重を負荷させるための共働型 の第１の油圧シリンダ装置を具えた金型装置において、上記ダイス上に固定され たワークの軸穴内に嵌まり込むセンターコアと、上記センターコアよりも長い先 端突出量を保持してセンターコアと平行に配設され、上記ワークの楕円穴内に嵌 まり込む楕円コアと、上記センターコアと楕円コアを上下動可能に支持する上側 パンチと固定ブロックを具えた加圧装置と、上記楕円コアの基端部を固定支持し て上下方向に移動する単独作動型の第２の油圧シリンダ装置のピストンと、この 第２に油圧シリンダ装置のピストンを上下動可能に支持する油圧シリンダ連結ブ ロックとによって、上記センターコアと楕円コアとの間の個別差動機構を構成し たことを特徴とする、焼結ワークのサイジング装置および上記第２の油圧シリン ダ装置のピストンならびにこのピストンの下端に固定された上記楕円コアを囲繞 支持する上記油圧シリンダ連結ブロックの外側に、リミットスイッチと、上記ピ ストンの下端から側方に向って延びる検出レバーの先端に装着されたドッグとか らなるワーク変位量の検出装置を付設したことを特徴とする焼結ワークのサイジ ング装置を提供するのである。

【００１４】

【作用】

センターコアを上側パンチ、固定ブロックならびに共働型の第１の油圧シリン ダ装置を利用して上下動可能に支持すると共に、楕円コアをその先端の突出量を センターコア突出量よりも大きく設定した状態で単独作動型の第２の油圧シリン ダ装置のピストンの下端に固着することによって、センターコアと楕円コアとの 間に個別差動機構を形成する。

【００１５】 第１の油圧シリンダ装置の起動によるサイジング荷重の負荷に先立って、第２ の油圧シリンダ装置を起動し、長い突出量を具えた楕円コアをワークの楕円穴に 向って下降させる。ワークが所定位置の固定されていれば楕円コアの先端はワー クの楕円孔内に嵌まり込むが、ワーク位置ずれ状態になっていると、楕円コアが ワークの楕円穴内に嵌まり込まず、楕円コアの先端が予定外の場所でワークの上 面に当接する。

【００１６】 先端をワークの上面に当接させた楕円コアとセンターコアとの間に上記突出量 の差を減少させる方向の相対変位が発生する。即ち、第２の油圧シリンダ装置か らの押圧力に抗する上向きの反力が作用することによって、楕円コアにはセンタ ーコアに対して相対的に上昇しようとする状態が作り出される。

【００１７】 この結果、検出レバーの上向き変位を介して油圧シリンダ連結ブロックの外側 に付設されたリミットスイッチに押圧力が伝達され図示しない警報器から、非常 停止信号は送出されサイジング装置が停止する。

【００１８】 楕円コアを位置ずれ検出センサとして機能させることによって、ダイス上に装 着された円筒状のワーク、例えばフランジ付きのタイミングベルトプーリに径方 向の位置ずれが発生している場合だけでなく、円周方向の位置ずれが発生してい る場合にも位置ずれ変位量が精度よく検出される。

【００１９】

【実施例】

以下、図１および図２を参照しながら本考案装置の構造と作動順序を説明する 。尚、以下の記述において、従来技術を示す図３および図４と同一の構成部材は 原則として同一の参照番号で表示し、重複する事項に関しては説明を省略する。

【００２０】 上側のサイジング装置（13）は図１に示すように、下側のサイジング用金型（ ６）上に固定されたタイミングベルトプーリ（２）の軸穴（２Ｂ）内に嵌まり込 むセンターコア（８）と、このセンターコア（８）よりも長い先端突出量（Ｌ） を保持してセンターコア（８）と平行に配置され、タイミングベルトプーリ（２ ）の楕円穴（２Ｃ）内に嵌まり込む楕円コア（９）と、上記センターコア（８） と楕円コア（９）を上下動可能に支持する上側パンチ（10）と固定ブロック（14 ）を具えた下降型の加圧装置（13）と、楕円コア（９）の基端部を固定支持して 上下方向に駆動する単独作動型の第２の油圧シリンダ装置（15）のピストン（15 Ａ）を上下動可能に支持する油圧シリンダ連結ブロック（15Ｂ）とを組合せるこ とによって、楕円コア（９）とセンターコア（８）との間に個別差動機構を形成 している。

【００２１】 上側のサイジング装置（13）には、センターコア（８）と楕円コア（９）をタ イミングベルトプーリ（２）の軸穴（２Ｂ）および楕円穴（５Ｂ）内に挿入した 後、下側のサイジング用金型（６）上に位置決め固定された上記タイミングベル トプーリ（２）にサイジング荷重を負荷する目的でセンターコア（８）と楕円コ ア（９）に共通の加圧手段として、第１の油圧シリンダ装置（16）が設けられて いる。

【００２２】 一方、第２の油圧シリンダ装置（15）のピストン（15Ａ）、ならびにこのピス トン（15Ａ）の下端に固定された楕円コア（９）を囲繞支持する油圧シリンダ連 結ブロック（15Ｂ）の外側には、タイミングベルトプーリ（２）の位置ずれ検出 手段として、リミットスイッチ（Ｌ・Ｓ）と、上記ピストン（15Ａ）の下側から 側方に向って延びる検出レバー（17）の先端に装着されたドッグ（18）とからな るワーク変位量の検出装置（19）が設けられている。

【００２３】 センターコア（８）と楕円コア（９）の突出量の差（Ｌ）は、油圧シリンダ連 結ブロック（15Ｂ）の内部に形成されたピストン（15Ａ）の支持空間内で、ピス トン（15Ａ）の下端に装着されているストローク調整ねじ（20）の締込み量を変 化させることによって調整する。

【００２４】 以下、図２（Ａ）（Ｂ）を参照しながら本考案装置の差動順序を説明する。第 １の油圧シリンダ装置（16）の起動によるサイジング荷重の負荷に先立って、第 ２の油圧シリンダ装置（15）を低圧状態で起動し、センターコア（８）よりも長 い突出量（Ｌ）を具えた楕円コア（９）をフランジ（12）付きタイミングベルト プーリ（２）の楕円穴（２Ｃ）に向って下降させる。タイミングベルトプーリ（ ２）が下側のサイジング用金型（６）上の所定位置に許容誤差の範囲で固定され ていれば図２（Ｂ）に示すように楕円コア（９）の先端はタイミングベルトプー リ（２）の楕円穴（２Ｃ）内への嵌まり込みが不可能となり、楕円コア（９）の 先端は予定外の場所でタイミングベルトプーリ（２）の上面に当接する。このよ うにして、先端をタイミングベルトプーリ（２）の上面に当接させた楕円コア（ ９）をセンターコア（８）との間に、上記突出量の差（Ｌ）を減少させようとす る相対変位が発生する。即ち、楕円コア（９）に第２の油圧シリンダ装置（15） からの押圧力に抗する上向きの反力が作用することによって、楕円コア（９）に は、センターコア（８）に対して相対的に上昇した状態が作り出される。この結 果、第２の油圧シリンダ装置（15）は低圧状態に保持され、また、検出レバー（ 17）およびドッグ（18）の上向き変位を介してリミットスイッチ（Ｌ・Ｓ）に押 圧力が伝達され、図示しない警報器から非常停止信号が送出され、サイジング装 置が停止する。

【００２５】

【考案の効果】

本考案装置では楕円コアをワークの位置ずれを検出するためのセンサとして機 能させることによって、ワークに径方向の位置ずれが発生している場合にも、こ れを精度よく検出することができる。この結果、位置ずれ状態のままサイジング 荷重が負荷されることに起因するサイジング装置やワークの破損が防止され、サ イジング工程のコスト削減、稼動率の向上に対して顕著な効果が発揮される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案装置の正面図

【図２】（Ａ）本考案装置の作動前お状態を示す正面図 （Ｂ）本考案装置によるワークのサイジング状態を示す
正面図

【図３】（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）（Ｄ）は従来装置の作動順
序を説明する正面図

【図４】（Ａ）ワークの平面図 （Ｂ）図４（Ａ）の線Ｖ−Ｖに沿う縦断面図 （Ｃ）サイジング用金型の歯形の部分拡大図

【符号の説明】

２ ワーク（タイミングベルトプーリ） ２Ａ 歯形 ２Ｂ 軸穴 ２Ｃ 楕円穴 ３ ダイス ３Ａ 歯形 ３Ｂ フランジの嵌装支持溝 ４ 第１下パンチ ４Ａ 歯形 ５ 第２下パンチ ５Ａ センターコアの挿入穴 ５Ｂ 楕円コアの挿入穴 ６ 下側のサイジング用金型 ８ センターコア ９ 楕円コア 10 上側パンチ 11 固定ブロック 12 フランジ 13 上側のサイジング装置 14 固定ブロック 15 第２の油圧シリンダ装置 15Ａ 第２の油圧シリンダ装置のピストン 15Ｂ 第２の油圧シリンダ装置の油圧シリンダ連結ブロ
ック 16 第１の油圧シリンダ装置 Ｌ・Ｓ リミットスイッチ Ｌ センターコアと楕円コアの突出量の差

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属粉末の成形焼成物からなるワークに
   サイジングを施こすためのパンチとダイス、ならびにこ
   れらのパンチとダイスの間に位置決め固定された上記ワ
   ークにサイジング荷重を負荷させるための共働型の第１
   の油圧シリンダ装置を具えた金型装置において、 上記ダイス上に固定されたワークの軸穴内に嵌まり込む
   センターコアと、上記センターコアよりも長い先端突出
   量を保持してセンターコアと平行に配設され、上記ワー
   クの楕円穴内に嵌まり込む楕円コアと、上記センターコ
   アと楕円コアを上下動可能に支持する上側パンチと固定
   ブロックを具えた加圧装置と、上記楕円コアの基端部を
   固定支持して上下方向に移動する単独作動型の第２の油
   圧シリンダ装置のピストンと、この第２に油圧シリンダ
   装置のピストンを上下動可能に支持する油圧シリンダ連
   結ブロックとによって、上記センターコアと楕円コアと
   の間の個別差動機構を構成したことを特徴とする、焼結
   ワークのサイジング装置。
2. 【請求項２】 上記第２の油圧シリンダ装置のピストン
   ならびにこのピストンの下端に固定された上記楕円コア
   を囲繞支持する上記油圧シリンダ連結ブロックの外側
   に、リミットスイッチと、上記ピストンの下端から側方
   に向って延びる検出レバーの先端に装着されたドッグと
   からなるワーク変位量の検出装置を付設したことを特徴
   とする焼結ワークのサイジング装置。