JPH0572249B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は仮設定した成形条件を成形結果に応じ
て修正するための射出成形機の成形条件設定装置
に関する。

〔従来技術及びその問題点〕

一般に、射出成形機にはCRT、プラズマデイ
スプレー、LEDデイスプレー又はLCDデイスプ
レー等の表示器を備え、設定パネルに設定或は外
部メモリから転送される成形条件に関するデータ
や成形時における動作状態に関するデータ等の各
種成形情報を表示している。

ところで、成形条件の設定において、例えば射
出工程の場合にはスクリユ位置に対して変速点を
定めるとともに、この変速点において速度設定を
行つている。つまり射出開始位置Ｓ１から次の変
速点である位置Ｓ２までは速度Ｖ１に、位置Ｓ２
から次の変速点である位置Ｓ３までは速度Ｖ２に
設定する等し、表示器上には各速度点Ｓ１，Ｓ２
…と、これに対応する速度Ｖ１，Ｖ２…をそのま
まの数値によりデイジタル表示していた。

一方、成形条件は最初に仮設定を行い、この仮
設定に基づいて成形を行うとともに、成形品を見
ながら最良の成形品を得れるように設定値の修正
を行う。

しかし、従来における設定値の修正は成形情報
として成形品に依る以外になく、結局経験と勘に
よつて試行鎖誤的に行わざるをえず、高度な成形
技術と経験を要するとともに、多大な時間と労力
が費やされ、しかも、正確且つ最良の条件を設定
しにくく、さらに、無駄な材料やエネルギー消費
を強いられる問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上述した従来技術に存在する諸問題を
解決した射出成形機における新規な成形条件設定
装置の提供を目的とするもので、以下に示す装置
１によつて達成される。

即ち、本発明に係る成形条件設定装置１は表示
器２に成形条件の設定値及び実測値を変化特性と
してグラフ表示するとともに、縦軸方向へ変位す
る水平カーソル３及び（又は）横軸方向へ変位す
る垂直カーソル４を上記表示器２に表示または付
設し、各カーソル３，４の位置において成形条件
を設定できるようにしたことを特徴とする。な
お、この場合、設定値と実測値は同一レンジによ
り表示する。

〔作用〕

次に、本発明の作用について説明する。

本発明は仮設定した成形条件に基づく成形品を
得、他方、成形条件設定装置１によつてその成形
品における成形条件を変化特性としてグラフ表示
する。したがつて、具体的な成形結果（成形品）
と同時に、その成形原因の全容をいわば図式とし
て表示することによつて、修正ポイントを把握す
るとともに、表示されたグラフの一部を表わすカ
ーソルを変位させることによつて変化特性を修正
して成形条件の再設定を行う。

〔実施例〕

以下には本発明に係る好適な実施例を図面に基
づき詳細に説明する。第１図は本発明に係る成形
条件設定装置を含む射出成形機の制御系のブロツ
ク図、第２図は同装置の仮設定状態における表示
器の正面図、第３図は同装置の設定修正後におけ
る表示器の一部正面図である。

先ず、第１図を参照して本発明に係る成形条件
設定装置１を含む射出成形機における制御系の概
略構成について説明する。

射出成形機の射出シリンダ、金型キヤビテイ等
には速度及び圧力を検出するセンサ１１を付設
し、このセンサ１１はアンプ１２を介して動作状
態検出部１３に接続する。この動作状態検出部１
３はスレーブCPU、RAM、メインCPU等を含
み、射出成形機の動作状態を検出して成形条件の
実測値を得る。また、動作状態検出部１３は表示
制御部１４に接続する。一方、表示制御部１４に
は表示器２、キーボード１５、中央コントローラ
１６をそれぞれ接続し、上記検出部１３で得た実
測値は当該表示器２上に変化特性としてグラフ表
示する。また、キーボード１５は表示器２に表示
されるカーソル３、４の変位及び表示制御等を行
うものである。

一方、中央コントローラ１６には成形条件を設
定する設定パネル１７を接続する。同パネル１７
で設定された設定値は中央コントローラ１６に記
憶するとともに、表示制御部１４を介して表示器
２上に変化特性としてグラフ表示し、特に前記実
測値のグラフ表示に重畳して表示する。

また、中央コントローラ１６にはバルブ、サー
ボアンプ等の駆動制御部１８を介して油圧シリン
ダ、サーボモータ等の駆動装置１９を接続する。

次に、上記表示器２について第２図を参照して
さらに具体的に説明する。

表示器２は横軸（Ｘ軸）と縦軸（Ｙ軸）を備え
る長方形のグラフ表示部２１とその周囲のスペー
スを利用したデータ表示部２２からなる。表示器
２としてはCRT、プラズマデイスプレイ等をは
じめ、LEDをマトリクス構成したドツト表示の
デイスプレイも好適である。

グラフ表示部２１は射出工程での成形条件を例
にとれば横軸にスクリユ位置Ｓ〔mm〕を、他方、
縦軸にスクリユ速度Ｖ〔mm〕をそれぞれ表示する。
また、例えば射出開始位置Ｓ１から次の変速点で
ある位置Ｓ２までは速度をＶ１、位置Ｓ２から次
の変速点である位置Ｓ３までは速度をＶ２、位置
Ｓ３から次の変速点である位置Ｓ４までは速度を
Ｖ４、位置Ｓ４から次の変速点である位置Ｓ５ま
では速度をＶ４にそれぞれ前記設定パネル１７に
よつて設定し、この設定値に基づく成形条件をグ
ラフＰ１として表示するとともに、この設定値に
基づく実際の動作状態にかかる実測値をグラフＰ
２として重畳表示する。このように重畳表示する
ことによつて設定値に対して実際の動作状態がど
の程度ズレているかが容易に把握できる。

また、各設定値であるスクリユ位置Ｓとスクリ
ユ速度Ｖはグラフ表示部２１の左側のデータ表示
部２２にデジタル表示される。

一方、グラフ表示部２１には同時に水平カーソ
ル３と垂直カーソル４を表示し、前記キーボード
１５の操作によつて水平カーソル３は縦軸方向
へ、また、垂直カーソル４は横軸方向へそれぞれ
変位する。なお、このカーソルは必要によりいず
れか一方の表示でもよい。また、表示器２に直接
表示したが、その他表示器２の前方に別途形成し
たカーソルを機械的にスライドできるような構成
であつてもよい。一方、縦軸と横軸の各目盛表示
に対し反対側に位置するデータ表示部２２であつ
て、各カーソル３，４の延長線位置にはカーソル
３，４が位置する値をデジタル表示し、この表示
位置はカーソル３，４の変位に伴つて追従する。
なお、符号２３〜２７はフアンクシヨン表示部で
ある。

次に、第２図及び第３図を参照して射出工程に
おける成形条件の設定方法について説明する。

先ず、前記設定パネル１７に成形条件を仮設定
して成形を行う。なお、この仮設定された設定値
は前述のように変速点に対応する速度特性として
表示器２上に表示される。また、実際のスクリユ
位置に対応するスクリユ速度がセンサ１１によつ
て検出され、検出された実測値が上記設定値と同
一レンジにより表示器２上に重畳表示される。こ
のように表示された状態が第２図である。

一方、仮設定された成形条件下で成形を行つた
成形品を見た場合、外形寸法は良好であるがゲー
ト周辺にフローマーク不良が発生したとする。こ
の場合、第２図から明らかなようにゲート通過時
の速度Ｖが大き過ぎ、且つ速度Ｖ２の距離が遅れ
によつて設定よりも短くなつていることを容易に
把握できる。そこで、キーボード１５の修正対象
指定キーを押して速度Ｖ２の修正を指定するとと
もに、移動キーを操作して水平カーソル３を下方
へ移動させ、速度Ｖ２よりも若干低い速度Ｖ２０
に設定する。なお、この際、フアンクシヨンラン
プは対応するランプ２４が点灯して速度Ｖ２の修
正である旨表示する。一方、速度の修正が終了し
たなら、次に指定キーを押して位置Ｓ２の修正を
指定するとともに、移動キーを操作して垂直カー
ソル４を右方へ移動させる。この移動量は遅れ分
の修正、つまり、第２図において、速度Ｖ２は位
置Ｓ２において切換わる必要があるが、若干遅れ
ていることが認められる。したがつて、この遅れ
分に相当する距離だけ垂直カーソル４を右方の位
置Ｓ２０に設定する。なお、この際も対応するフ
アンクシヨンランプ２４が点灯して位置Ｓ２の修
正である旨表示する。

そして、修正後はこの修正された新たな設定値
によつて成形が行われる。この修正された設定値
に基づく変化特性を第３図中グラフＰ３で示す。
よつて、第２図及び第３図から明らかなように、
設定値変更後は速度が下がり、かつ当該速度でス
クリユが前進する距離も長くなる。したがつて、
ゲート通過時の速度が十分に下がり、フローマー
ク等の不良品は発生しない。

以上、実施例について詳細に説明したが本発明
はこのような実施例に限定されるものではない。
例えば、表示部における横軸は位置の他、時間等
に任意の変数であつてもよいし、縦軸も速度の
他、圧力等の任意の設定値であつてもよい。ま
た、カーソルは表示器に表示されるグラフに対応
して傾斜する等その形状は問わない。さらに、表
示器には設定限界等を表示するモニター範囲等の
表示を妨げるものではない。また、表示器は設定
パネルによる設定操作が一定時間行われない場合
には自動的に表示が消えるようにしてもよい。そ
の他、細部の構成、形状、配列、数値等において
本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変
更実施できる。

〔効果〕

このように、本発明に係る射出成形機の成形条
件設定装置は表示器に成形条件の設定値及び実測
値を変化特性としてグラフ表示するとともに、同
一レンジで表示し、縦軸方向へ変位する水平カー
ソル及び（又は）横軸方向へ変位する垂直カーソ
ルを表示器に表示または付設し、カーソルの位置
において成形条件を設定できるようにしたため、
次のような効果を得る。

具体的な成形結果（成形品）と同時に、その
成形原因の全容を図式として表示するため、修
正ポイントを容易に把握でき、成形条件の修正
を短時間かつ容易に行うことができる。よつ
て、最良の成形条件を設定できるとともに、設
定作業の能率を大幅に向上でき、さらに材料、
エネルギの節減に寄与できる。

既設の表示器をそのまま使用し、表示態様を
変更して本設定装置を構成できるため、低コス
ト化が図れる。

設定値と実測値を同一レンジで同時に表示す
れば、各値は重畳表示される。この結果、設定
値に対して実際の動作状態がどの程度ズレてい
るかが容易に把握できるため、より設定値の修
正を容易かつ正確に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明に係る成形条件設定装置を含む
射出成形機の制御系のブロツク図、第２図：同装
置の仮設定状態における表示器の正面図、第３
図：同装置の設定修正後における表示器の一部正
面図。 尚図面中、１：成形条件設定装置、２：表示
器、３：水平カーソル、４：垂直カーソル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 表示器に成形条件の設定値及び実測値を変化
   特性としてグラフ表示するとともに、同一レンジ
   で表示し、縦軸方向へ変位する水平カーソル及び
   （又は）横軸方向へ変位する垂直カーソルを前記
   表示器に表示又は付設し、各カーソルの位置で成
   形条件を設定可能に構成したことを特徴とする射
   出成形機の成形条件設定装置。