JPH0569321U - 排気浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】コア体14は金属製の波状板と平板とが重ねられ
て渦状に巻回されたハニカム構造に形成され、これは自
動二輪車等のマフラーに装着される筒状ケース12に挿入
される。この筒状ケース12には、その両端内部にコア体
14の端面のほぼ中心部を横断する十字状の係止部材16,1
6 がそれぞれコア体14の端面に食い込むように取り付け
られている。これら係止部材16,16 のコア体14に向かう
面は、それぞれ鋸歯状に形成されてコア体14の端面にそ
れぞれ波状板と平板とを径方向に規制するように食い込
み、その移動を規制する。 【効果】したがって、コア体14にろう付けを施すことな
く、排気ガスの圧力や車体の振動等によってコア体14が
軸方向および周方向に移動およびくずれること防止し
て、触媒の剥離などの機能低下を防止し、長寿命化を図
ることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車等の内燃機関の排気系に装備される排気浄化装置に係り、特 に、触媒が塗布された金属製のハニカム構造のコア体を用いた排気浄化装置に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、自動車等の内燃機関の排気系たとえばエンジンからの排気管に、ある いはマフラーには、排気ガスの酸化を促進して一酸化炭素や炭化水素等を減少さ せるための触媒が塗布されたいわゆる触媒コンバータと呼ばれる排気浄化装置が 装備されている。

【０００３】 従来、このような触媒コンバータのうち、たとえばマフラーの所定の箇所に装 着される筒状ケースの内部に、触媒が塗布された金属製のハニカム構造のコア体 が収容されたものが知られている。このコア体は、ステンレス製等の金属製の波 状板と平板とが重ねられて、これらが渦状に巻回されてハニカム構造に形成され る。このハニカム構造の形成の後にコア体は筒状ケースに挿入されてろう付けさ れる。これにより、コア体の形状がくずれないように波状板と平板とが溶着され て、さらに筒状ケース内にて移動しないように、コア体の外周面と筒状ケースの 内周面とが溶着されていた。

【０００４】 しかし、これらろう付け作業は煩雑で手間がかかり、またろう材が高価である などの不具合があった。このため、たとえば特開昭63-94015号公報には、ろう付 けを行なわずにコア体を筒状ケースに収容した排気浄化装置が提案されていた。 この装置では、外筒（ケース）の両端部に、その開口の中心部を横断する抜け止 め部材がそれぞれ取り付けられ、これら抜け止め部材にてコア体がケース外に移 動することを防止し、かつコア体の中心部が突出して竹の子状にくずれることを 防止していた。また、英国特許1452982 号には、同様なサポート部材がケース端 部に配設されている装置があった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上述した従来の技術において、外筒に取り付けられた抜け止め部 材は、コア体の軸方向への規制を行なうのみであって、コア体の周方向の規制に ついては考慮されていなかった。このため、実車走行時に排気ガスの熱や気流等 および車体の振動等によってコア体がケース内部において回転したり、コア体内 部にて波状板と平板とがずれてこすれ合うなどコア体の周方向の動きが生じて、 触媒の剥離やコア自体の切れ、破損が生じて、その機能が損なわれる可能性があ った。

【０００６】 本考案はこのような従来技術の課題を解決して、コア体の軸方向への移動防止 や形状のくずれ防止だけではなく、コア体のケース内での回転防止およびセル内 各部のずれの防止を図った排気浄化装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述の課題を解決するために、両端部が排気通路に連結される筒状の ケースに、波状板および平板が重ねられて渦状に巻回されたハニカム構造のコア 体が収容されてなる排気浄化装置において、筒状のケースには、その両端部付近 にコア体の端面径方向に沿って横断して、かつ、コア体の端面にわずかに食い込 む噛合部を有する係止部材が取り付けられていることを特徴とする。

【０００８】 この場合、係止部材は、筒状ケースにコア体をその軸方向にわずかに圧縮した 状態にて取り付けられているとよい。

【０００９】

【作用】

本考案における排気浄化装置によれば、筒状ケースの両端部に取り付けられた 係止部材によって、それぞれの噛合部がコア体の両端面にわずかに食い込んで、 コア体の回転およびコア体内部の各部材のずれを防止する。

【００１０】

【実施例】

次に添付図面を参照して本考案による排気浄化装置の一実施例を詳細に説明す る。図１には本考案による排気浄化装置の一実施例が示されている。この実施例 における排気浄化装置10は、自動車等のマフラーや排気管に装着される筒状ケー ス12に、触媒が塗布された金属製のハニカム構造のコア体14が収容固定されてい る。特にこの実施例における排気浄化装置10は、コア体14がろう付けにて固定さ れることなく、筒状ケース12の両端部付近に、コア体14の端面にそれぞれ食い込 む十字状の係止部材16,16 が配置されている。

【００１１】 各部の詳細を説明すると、筒状ケース12は、その両端部がたとえば自動車等の マフラーや排気管の中途部に溶接等によって連結されて排気通路の一部を形成す るものであり、マフラーや排気管の他の部分と同様に高温高圧の排気に耐える所 定の強度を有する鋼板にて形成されている。たとえば、厚さ１〜３mmのステンレ ス鋼板によって形成され、マフラーや排気管の形状に合わせて、円筒状、断面楕 円形状の筒体または一部曲線状に形成された断面略矩形状の筒体等にて構成され る。この実施例では、説明の都合上、円筒のケース12にコア体14が収納固定され ている場合を例に挙げて説明する。また、この実施例において筒状ケース12の長 さm1は、コア体14の長さm2よりも10mm程度長く形成されており、両側に5mm 程度 づつ空けた状態にてコア体14が配置される。

【００１２】 コア体14は、図２に示すように波板状の通気板18と平板状の区画板20とが重ね られ、これらが渦状に巻回されて、その軸方向に形成される排気通路をそれぞれ 径方向および周方向に複数に分割するハニカム構造体を構成している。このコア 体14の外径L1は、筒状ケース12の内径L2（図１参照）よりわずかに小さくまたは ほぼ同じになるように形成されて、筒状ケース12の内部に嵌入される。

【００１３】 詳しくは、通気板18は帯板状の金属製薄板が波型成形器にて波板状に成形され たものであり、その両面には、白金、パラジウム、ロジウム等の触媒がコーティ ングされる。この通気板18は、高温高圧の排気ガスに対して耐圧、耐熱性に優れ て、かつ巻回加工に対して十分に柔軟性を有するたとえばステンレス製の薄板が 用いられている。この実施例において、その板厚t3は、50〜 100μm 程度のもの が用いられている。この通気板18は、区画板20を介して渦状に巻回されることに より、コア体14の周方向に沿って排気通路を複数に分割して排気の触媒接触面積 を確保し、それぞれコア体14の軸方向に排気ガスを通過させる多数の通気路を形 成するものである。

【００１４】 区画板20は、通気板18と同様に帯板状および薄板状のステンレス板によって形 成されて、その両面には同様に白金、パラジウム、ロジウム等の触媒がコーティ ングされる。この区画板20の厚さt4も通気板18と同様に50〜 100μm 程度のもの が用いられる。この区画板20は、ハニカム構造体を形成する際に、その巻き始め には通気板18の波形低部に沿って配置されて軸芯を形成し、これから同通気板18 の波形低部に沿って渦巻状に巻回されてハニカム構造体の径方向の区画部を形成 して、通気板18のそれぞれの波形の上下部を覆うことにより排気の通過する触媒 接触面積を確保している。さらに、この区画板20は、その巻き終りには、通気板 18の波形高部を取り囲むようにコア体16の最外周部を形成する。

【００１５】 筒状ケース12の両端部付近に取り付けられる係止部材16,16 は、図１に示すよ うにその両端部が筒状ケース12の内周面に沿ってわずかに折り曲げられた帯板状 の部材16a,16b を十字状に連結して形成されている。具体的には、帯板状の部材 16a,16b は、それぞれ厚さが約1mm 、幅約5.5mm 、長さがケースの内径エル１よ り大きいステンレス板によって形成され、それぞれ両端部が折り曲げられてケー ス内に装着される長さに形成される。また、それらのほぼ中央部には連結される 相手部材に相対して幅方向にそれぞれ切欠きが形成されて互いに直交するように 連結される。特に、この実施例では、これら部材16a,16b は、その一側部がそれ ぞれ鋸歯状に成形されている。この鋸歯部30は、図３に示すようにその波高値h がそれぞれ0.5 〜1.0mm 程度に形成されている。この鋸歯部30がコア体14に食い 込む噛合部を構成している。たとえば、筒状ケース12の一方側に係止部材16をそ の一方側端面がケース12の端面と面一になるように挿入して、それぞれの折り曲 げ部分をケース12の内周面に溶接等によって取り付けておく。この後、コア体14 をその一方側端面が係止部材16に当接するように挿入して、他方側からもう一つ の係止部材16を押し込み、この係止部材16の他方側面をケース12の他端面と面一 になるように押し込んで、この状態にて、他方側の係止部材16を溶接等により筒 状ケース12に取り付ける。また、たとえば、係止部材16,16 にてコア体14を両側 からわずかに圧縮するように押し込んで、その荷重を検出した状態にて係止部材 16,16 をケース12に固着するようにしてもよい。いずれの場合でも、コア体14の 両端面に係止部材16,16 のそれぞれの鋸歯部30,30 がわずかに食い込むように配 置される。

【００１６】 以上のように構成された本実施例における触媒コンバータ10は、その筒状ケー ス12の両端部が自動車等の排気管やマフラーの中途部に溶接等によって連結され て使用される。この場合、エンジンからの排気ガスは、マフラーや排気管との連 結部の一方側からコア体16に流入して、そのハニカム構造のそれぞれの通気路、 すなわち通気板18のそれぞれの波形部および区画板20にて画成された多数のハニ カム通路に分散されてそれらを通過する。このとき排気ガスは高温であるので、 通気板18および区画板20に塗布された触媒によって酸化が促進されて再燃焼しつ つ他方側へ通過する。この結果、コア体16を通過した排気ガスは、それに含まれ ていた一酸化炭素や炭化水素等が触媒作用によって減少されて排出される。

【００１７】 この場合、ステンレス製の薄板によって形成されたハニカム構造のコア体16が 排気ガスの圧力または車体の振動等によってその軸方向に移動しようとするが、 前後の係止部材16によって係止されて、軸方向の移動を防止することができる。 また、係止部材16,16 が十字状に形成されて、その交点がケース12の開口の中心 部、つまりコア体14の中心部を係止するので、同様に排気ガスの圧力または振動 等によって、コア体12の中心部が突出して竹の子状にくずれることを防止するこ とができる。さらに、車体の振動およびハニカム通路を分散して通過する排気ガ スの圧力などにより、コア体14が筒状ケース12に対して回転しようとしたり、ま たは、区画板20と通気板18とのずれが生じようとするが、係止部材16,16 がコア 体14を両側より所定の圧縮力により保持して、さらに、係止部材16,16 の鋸歯部 30がそれぞれコア体14の通気板18および区画板20に径方向に沿って縦横に食い込 んでいるので、その動きを最小限に留めることができる。

【００１８】 したがって、これらの動きによる触媒の剥離やコア体14の切れなどの損傷を防 止することができ、装置の寿命を伸ばすことができる。この場合、係止部材16の 噛合部が鋸歯状に形成されているので、コア体14の端面を必要以上に押し潰すこ となく、また、その最大食い込み部が線ではなく点となるため、コア体14の端面 が噛合部に適当になじんで、コア体14の移動の防止をさらに確実に行なうことが できるようになる。

【００１９】 なお、上記実施例において係止部材16,16 は十字状に形成したが、図４に示す ように、それぞれ帯板状の部材40,40 を単体にて用いて、これら係止部材40,40 を筒状ケース12の両端部にてそれぞれが直交するように配置してもよい。また、 上記実施例においては係止部材16,16 を筒状ケース12に挿入して、その折曲部を ケース12の内周面に溶接等により取り付けたが、図５に示すように、筒状ケース 12の端部に切り込み50,50...を形成して、これに係止部材60,60 のそれぞれの端 部をかしめ等により固定してもよい。さらに、上記実施例においては、係止部材 16,16 の噛合部を鋸歯状に形成したが、本考案においてはこれに限ることなく任 意の形状でよい。

【００２０】 また、上記実施例においては排気浄化装置を自動等のマフラーや排気管に装着 する場合を例に挙げて説明したが、本発明の装置はこれに限らず、自動二輪車等 の内燃機関の排気管など、排気通路のいずれの位置に配設されてもよい。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明したように本考案における排気浄化装置によれば、筒状ケースの両端 部に取り付けられた係止部材によって、その噛合部がコア体の端面に食い込むこ とにより、コア体の回転およびコア体内部の各部材のずれを防止することができ る。したがって、コア体にろう付けを施すことなく、使用時にそれらのずれや移 動による触媒の剥離やコアの損傷、破損を防止することができ、製作作業の簡単 化および装置の低価格化、さらに装置の長寿命化を図ることができる優れた効果 を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による排気浄化装置の一実施例を示す斜
視図である。

【図２】同実施例におけるコア体の構成を示す斜視図で
ある。

【図３】同実施例における排気浄化装置の各部の配置状
態を示す図であり、図３(a) は係止部材16,16 を配置し
た状態を示す断面図、図３(b) は係止部材16,16 の配置
前の状態を示す断面図である。

【図４】同実施例における排気浄化装置の他の実施例を
示す斜視図である。

【図５】同実施例における排気浄化装置の他の実施例を
示す斜視図である。

【符号の説明】

10 排気浄化装置 12 筒状ケース 14 コア体 16,40,60 係止部材 18 通気板 20 区画板 30 噛合部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 両端部が排気通路に連結される筒状のケ
   ースに、波状板および平板が重ねられて渦状に巻回され
   たハニカム構造のコア体が収容されてなる排気浄化装置
   において、 前記筒状のケースには、その両端部付近に前記コア体の
   端面径方向に沿って横断して、かつ、前記コア体の端面
   にわずかに食い込む噛合部を有する係止部材が取り付け
   られていることを特徴とする排気浄化装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の排気浄化装置におい
   て、前記係止部材の噛合部は、それぞれ鋸歯状に形成さ
   れていることを特徴とする排気浄化装置。
3. 【請求項３】 請求項１に記載の排気浄化装置におい
   て、前記係止部材は、前記筒状ケースに前記コア体をそ
   の軸方向にわずかに圧縮するように取り付けられている
   ことを特徴とする排気浄化装置。