JPH0568542A - アルコール脱水素酵素およびその製造法 - Google Patents

アルコール脱水素酵素およびその製造法

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JPH0568542A
JPH0568542A JP3233081A JP23308191A JPH0568542A JP H0568542 A JPH0568542 A JP H0568542A JP 3233081 A JP3233081 A JP 3233081A JP 23308191 A JP23308191 A JP 23308191A JP H0568542 A JPH0568542 A JP H0568542A
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正秀 岡
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高正 山口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広い基質特異性を有する新規なNAD非依存
型アルコール脱水素酵素およびその製造法の提供。 【構成】 ヒドロキシメチル基を持つ化合物のヒドロキ
シメチル基のアルデヒド基への酸化を触媒する酵素分子
中に希土類元素を含むNAD非依存型アルコール脱水素
酵素、および当該酵素の産生能を有するシュードグルコ
ノバクターに属する微生物およびその変異株を培養し、
生産された酵素を単離精製することを特徴とする該酵素
の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広い基質特異性を有す
る新規なNAD非依存型アルコ−ル脱水素酵素およびそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】微生物由来のヒドロキシメチル基のカル
ボキシル基への酸化を触媒するNADやNADPHのよ
うな補酵素非依存性の脱水素酵素については、例えば、
アセトバクター属細菌[アグリカルチュラル・バイオロ
ジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Che
m.)、第42巻、2331項(1978)]、グルコ
ノバクター属細菌[アグリカルチュラル・バイオロジカ
ル・ケミストリー(Agric.Biol.Che
m.)、第42巻、2045項(1978)]あるいは
シュ−ドモナス属細菌等のアルコール脱水素酵素[例え
ば、バイオケミカル・ジャーナル(Biochem.
J.)、第223巻、921項、(1984)]、メタ
ノール細菌のメタノール脱水素酵素[アグリカルチュラ
ル・バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Bi
ol.Chem.)、第54巻、3123項(199
0)]等が知られているが、これらはいずれもその基質
特異性が限られておりメタノール、エタノール等のアル
コール類以外に作用するという報告はない。一方、D−
ソルビトール、L−ソルボース(以下、これを単にソル
ボースと称することがある)等の糖類に作用してそのヒ
ドロキシメチル基のアルデヒド基への酸化を触媒する脱
水素酵素としては、グルコノバクター属細菌のD−ソル
ビトール脱水素酵素[アグリカルチュラル・バイオロジ
カル・ケミストリー(Agric.Biol.Che
m.)、第46巻、135項(1982)]、ソルボー
ス脱水素酵素[アグリカルチュラル・バイオロジカル・
ケミストリー(Agric.Biol.Chem.)、
第55巻、363項、(1991)]、グルコ−ス脱水
素酵素[アグリカルチュラル・バイオロジカル・ケミス
トリー(Agric.Biol.Chem.)、第44
巻、1505項(1980)]等が知られているが、こ
れらの糖類に作用する脱水素酵素がメタノール、エタノ
ール等のアルコール類に作用するという報告はない。こ
れらはいずれもその基質特異性が限られており、汎用性
という面からは不十分である。また、従来、酵素が金属
により誘導される例はいくつか知られているが、希土類
元素により特異的に誘導合成される酵素については報告
がなかった。
【0003】一方、本発明者らは、ライヒシュタイン法
[ヘルベチカ・キミカ・アクタ(Helvetica Chimica Ac
ta)、第17巻、311項、1934参照]に替わる工
業的に有利なL−アスコルビン酸生産法について種々検
討を行い、既にシュードグルコノバクター・サッカロケ
トゲネスと名付けた土壌分離細菌がL−ソルボースから
著量の2−ケト−L−グロン酸(以下、2KGAと称す
ることもある)を生成することを見いだしている(特開
昭62−228287号参照)。さらに、この方法の改
良研究中に、図らずも、希土類元素を培地中に添加して
本菌を培養すると、L−ソルボースからの2ーケトーL
−グロン酸生成収率が著しく改善されることを見いだし
ている(特開昭64−85088号参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとく、従来酵
素が金属元素によって誘導生産される例は種々知られて
いるが、希土類元素については全く報告がなかった。か
くして、本発明の目的は、工業的に有用な広い基質特異
性を有する、希土類元素により誘導される新規なアルコ
−ル脱水素酵素およびその製造法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく希土類元素の培地中への添加について鋭意研
究を重ねた結果、上記シュードグルコノバクター・サッ
カロケトゲネスが新規なアルコール脱水素酵素を生産す
ること、該酵素が本菌株による2KGA発酵の中心的な
働きをすること、および本菌株を培養するに当たり、培
地中に希土類元素を存在せしめることにより当該酵素が
著しく誘導生産されることを見いだし、さらに検討を重
ねて本発明を完成した。すなわち、本発明は、 (1)ヒドロキシメチル基を持つ化合物のヒドロキシメ
チル基のアルデヒド基への酸化を触媒する酵素分子中に
希土類元素を含むNAD非依存型アルコール脱水素酵
素、 (2)下記の理化学的性質を有する上記(1)記載のア
ルコール脱水素酵素、 至適pH 3.5〜6.5 至適温度 40〜50℃ 等電点 4.2±0.5 分子構造 SDS−PAGEで64000±50
00の分子量のポリペプチドまたはこのポリペプチド2
分子よりなる2量体 (3)シュードグルコノバクター(Pseudogluconobacte
r)に属する微生物が生産する上記(1)記載のアルコ
ール脱水素酵素、 (4)希土類元素によって誘導生産される上記(2)記
載のアルコール脱水素酵素、 (5)ヒドロキシメチル基を持つ化合物のヒドロキシメ
チル基のアルデヒド基への酸化を触媒する酵素分子中に
希土類元素を含むNAD非依存型アルコール脱水素酵素
産生能を有するシュードグルコノバクターに属する微生
物およびその変異株を培養し、生産された該アルコール
脱水素酵素を単離精製することを特徴とする上記(1)
記載のアルコール脱水素酵素の製造法、および (6)培地中に希土類元素を存在させることを特徴とす
る上記(5)記載の製造法を提供するものである。
【0006】本発明のアルコール脱水素酵素の基質とな
るヒドロキシメチル基を持つ化合物としては、L−ソル
ボース、D−グルコース、D−マンノース、スクロー
ス、α−メチル−β−D−グルコシド、n−オクチル−
β−D−グルコシド、マルトトリオース、グリセルアル
デヒド、キシロース、デンプンのような単糖類、少糖
類、多糖類を含む種々の糖、D−ソルビトール、キシリ
トール、D−マンニトール、マルチトール、ガラクチト
ールのような糖アルコール、メタノール、エタノール、
プロパノールのようなアルコール、エチレングリコール
のようなグリコール類、D−グルコン酸、2−ケト−D
−グルコン酸(以下、2KGLと称す)、2−ケト−L
−グロン酸(以下、2KGAと称す)、5−ケト−D−
グルコン酸(以下、5KGLと称す)、D−グルクロン
酸、D−グルロン酸のような糖酸およびこれらの塩、ト
リス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒド
ロキシメチル)ニトロメタン、レチノール、3−デヒド
ロレチノール等が挙げられる。
【0007】該アルコール脱水素酵素は、NADのみな
らずNADPに対しても非依存性であり、2,6−ジク
ロロフェノールインドフェノール(以下、DCIPと略
す)、フェリシアン化カリウム、フェナジンメタサルフ
ェート、ウルスターズブルー、テトラゾリウム塩のよう
な電子受容体の存在下、上記のような基質のヒドロキシ
メチル基のアルデヒド基への酸化を触媒する。酸素を直
接の電子受容体とすることはできない。
【0008】本発明のアルコール脱水素酵素の至適pH
は、基質および含まれる希土類元素等によっても多少か
わるが、通常、約3.5〜6.5の範囲にある。とりわ
け、Laで誘導した酵素の場合は下記実施例で示される
ように、4.0〜5.5、Ceで誘導した酵素の場合は
4.0〜6.0の範囲にある。酵素は一般に、温度が高い
方が反応自体は速くなる一方、酵素の失活も著しくなる
が、下記実施例2の1)に記載の測定条件下では、本発
明の酵素の至適温度は40〜50℃の範囲にある。ま
た、由来する菌株によっても多少変わるが、通常、等電
点は4.2±0.5の範囲である。該酵素は、分子量64
000±5000(SDS−PAGEによる)のポリペ
プチドであり、このポリペプチド2分子が2量体を形成
していてもよい。
【0009】該酵素は、種々の金属イオンによりその活
性が阻害される。例えば、Zn2+、Hg2+が強い阻害効
果を有し、Cu2+、Co2+、Ni2+、Mn2+も阻害効果
を有する。また、アンチマイシンAやロテノンも該酵素
の活性を阻害する。
【0010】該酵素分子が含む希土類元素としては、ス
カンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン
(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(P
r)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウ
ロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム
(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(H
o)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、
ルテチウム(Lu)等が挙げられる。
【0011】本発明のアルコール脱水素酵素は当該酵素
の産生能を有するシュードグルコノバクター属に属する
微生物から、上記のごとき種々の希土類元素により誘導
生産される。ここに、誘導生産とは、希土類元素を培地
中に添加して酵素生産菌を培養した場合に蛋白質の生
産、すなわち、該酵素の生産が行われることを意味す
る。とりわけ、ランタンおよびセリウムで誘導した場合
が最も比活性が高い。
【0012】本発明のアルコール脱水素酵素を製造する
には、該酵素産生能を有するシュードグルコノバクター
属に属する微生物を培養する。該酵素は菌体内で生産、
蓄積されるので、培養終了後、集菌し、細胞を破砕しそ
の無細胞抽出液、好ましくは、細胞質画分から分離精製
することにより製造することが出来る。
【0013】用いる微生物は、該酵素産生能を有するシ
ュードグルコノバクター属に属する微生物および通常の
変異誘発操作、例えば、ニトロソグアニジン等の変異剤
処理、紫外線照射処理等あるいは遺伝子組換え等により
得られるこれらの変異株であり、例えばヨーロッパ特許
公開第221,707号に記載されている下記の菌株が
挙げられる。 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス K5
91s株:FERM BP−1130,IFO1446
4 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス 12
−5株:FERM BP−1129,IFO14465 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス T
H14−86株:FERM BP−1128,IFO1
4466 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス 1
2−15株:FERM BP−1132,IFO144
82 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス 1
2−4株:FERMBP−1131,IFO14483 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス 2
2−3株:FERMBP−1133,IFO11484
【0014】該微生物は好気的条件下、該菌株が利用し
うる栄養源、すなわち炭素源(グルコース、蔗糖、スタ
ーチ等の炭水化物またはペプトン、イーストエキス等の
有機物)、窒素源(アンモニウム塩類、尿素やコーンス
ティープリカー、ヘプトン等の無機、有機の窒素含有
物)、無機塩類(カリウム、ナトリウム、カルシウム、
マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、銅、リン酸、
チオ硫酸等の塩類)、および微量栄養素(CoA、パン
トテン酸、ビオチン、チアミン、リボフラビン、FMN
等のビタミン・補酵素類またはL−システイン、L−グ
ルタミン酸等のアミノ酸またはそれらを含む天然物を含
む液体培地中で培養することが出来る。培養はpH4〜
9、好ましくは、pH6〜8で行うことが出来る。培養
時間は使用する微生物および培地の組成等によって種々
異なるが、好ましくは、10〜100時間である。培養
を行うのに好適な温度範囲は、10〜40℃、好ましく
は、25〜35℃である。
【0015】培地には上記の希土類元素を添加する。希
土類元素は、金属末または金属粉として添加してもよい
し、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、酸化物あるいは
シュウ酸塩として用いてもよい。それらはそれぞれ単独
で用いてもよいし、2種類以上の希土類元素を同時に用
いることもできる。また、諸元素の分離精製過程で得ら
れる粗製物等も用いることができる。培地に添加される
希土類元素の量は、用いる微生物の生育を著しく抑制し
ない範囲で選択すればよく、通常、0.000001〜
1.0重量%、好ましくは、0.0001〜0.1重量%
である。培地への添加法としては、あらかじめ培地に添
加しておくのもよいが、培養途中に間欠的に添加して
も、また連続的に添加してもよい。なお、カルシウムや
ストロンチウムのようなアルカリ金属を培地に添加して
も該酵素は誘導されないことが確認された。
【0016】培養終了後、アルコール脱水素酵素を分離
精製するには、通常の酵素精製に用いられる方法、例え
ば硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロ
マトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、透析、
アフィニティークロマトグラフィー等が用いられる。
【0017】本発明の新規アルコ−ル脱水素酵素は、ア
スコルビン酸製造中間体として重要な2−ケト−L−グ
ロン酸製造に際し、L−ソルボ−スからL−ソルボソン
への酸化を触媒するのみならず、その広い基質特異性を
生かし、各種のヒドロキシメチル基を有する化合物の立
体特異的な酸化に適用出来得るものである。例えば、各
種の糖アルコ−ル、糖類、グリコ−ル類、アルコ−ル類
に作用させることにより新規な化合物を生み出すことが
できる。
【0018】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。 実施例1 アルコール脱水素酵素の調製 (1)シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス
の培養 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス K5
91s(IFO14464,FERM BP−113
0)の寒天斜面培養物をソルビトール2.5%、イース
トエキス1.0%、ペプトン1.0%から成る種培地20
ミリリットルを含む200ミリリットル容の三角フラス
コに1白金耳植菌し30℃、2日間、回転振とう機上で
培養した。得られた種培養物を、上記の種培地500ミ
リリットルを含む坂口フラスコに全量接種し、28℃、
2日間、往復振とう機上で培養した。得られた培養物5
00ミリリットルを、イーストエキス1%、ペプトン1
%塩化ランタン0.001%、アクトコール0.02%か
ら成る培地30リットルを含む50リットルの醗酵槽に
接種し、30℃、通気15リットル/分、撹拌250r
pmの条件で3日間培養した。培養液を8000rp
m、20分間遠心し、菌体を得た。得られた菌体は0.
85%の生理食塩水で2回洗浄した。この様にして、3
0リットルの培養液から湿菌体約100gを得た。
【0019】(2)細胞質画分の調製 上記の工程で得られたシュードグルコノバクター・サッ
カロケトゲネスの湿菌体100gを、10mMリン酸緩
衝液(pH6.7)300ミリリットルに懸濁し、懸濁
液を50ミリリットルずつ超音波破砕機で1.5A、2
00W、30分間処理し菌体を破砕した。3000rp
m、10分間遠心し、生菌体を除去した後35000r
pm、90分間遠心した。得られた遠心上清250ミリ
リットルを細胞質画分として集めた。
【0020】(3)DEAEトヨパールカラムクロマト
グラフィー 上記の工程で得られた細胞質画分100ミリリットル
を、100mMグリセロール、10mMリン酸緩衝液
(以後、これを単に緩衝液と称することもある)で平衡
化したDEAEトヨパールカラム(3.0φx30c
m)にかけた。本酵素は、0.3Mまでの塩化ナトリウ
ムの直線勾配により溶出された。
【0021】(4)ブチルトヨパールカラムクロマトグ
ラフィー 上記の工程で得られた酵素画分100ミリリットルに硫
安63.5gを加え溶解させた。4℃で2時間静置した
後、15000rpm,20分間遠心し、得られた沈澱
物に20ミリリットルの1.5M硫安を含む緩衝液を加
え溶解させた。10000rpm、20分間遠心し不溶
物を除いた。得られた遠心上清20ミリリットルを、
1.5M硫安を含む緩衝液で平衡化させたブチルトヨパ
ールカラム(3.0φx15cm)にかけた。本酵素は
0Mまでの硫安の直線勾配により溶出された。
【0022】(5)ゲル濾過カラムクロマトグラフィー 上記の工程で得られた酵素画分50ミリリットルに硫安
31.2gを加え溶解させた。4℃で2時間静置した
後、15000rpm、20分間遠心し、得られた沈澱
物に5ミリリットルの緩衝液を加え溶解させ、200m
M塩化ナトリウムを含む緩衝液で平衡化したゲル濾過カ
ラム(3.0φx100cm)にかけた。活性画分を4
℃で貯蔵した。得られた酵素の比活性は約50u/mg
蛋白であった。なお蛋白量は、BCA総蛋白定量キット
(ピアス社)を用い、牛血清グロブリンで作成した標準
曲線を用いて算出した。
【0023】(6)単離された酵素の純度 精製酵素の純度を調べるために、SDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動、およびアガロース等電点電気泳動
を行った。いずれの場合でも酵素は単−バンドを示し、
さらにアガロース等電点電気泳動を行ったものについ
て、ゲルを100mMエタノール、10mMフェリシア
ン化カリウムを含む100mMリン酸緩衝液(pH7.
0)に室温で5分間浸した後、水洗し、反応停止液(F
2(SO4)35g、85%リン酸 95ミリリットルを蒸
留水で1リットルにしたもの)中で発色させてこのタン
パク質が酵素活性を有することを確認した。本酵素は、
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、640
00±5000の分子量を示し、G−3000SWXL
カラム(東ソー(株))を用いたゲル濾過HPLCで
は、125000±15000の分子量を示したことか
ら、通常の条件下では、分子量64000±5000の
単一サブユニットから成るダイマーであると思われる。
【0024】(7)反応生成物の確認 100マイクロリットルのマッキルベーンバッファー
(pH5.0)、5マイクロリットルの0.1Mフェリシ
アン化カリウム、20マイクロリットルの蒸留水から成
る基本反応液に5マイクロリットルの0.2Mソルボー
スと5マイクロリットルの酵素液を加え30℃で24時
間反応させた。反応生成物を薄層クロマトグラフィーお
よび高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、反応
生成物は標品のL−ソルボソンに一致した。同じく基本
反応液に0.2Mエタノールと5マイクロリットルの酵
素液を加え30℃で24時間反応させ、反応生成物を高
速液体クロマトグラフィーで分析した結果、反応生成物
は標品のアセトアルデヒドに一致した。
【0025】実施例2 1)酵素活性測定法 本実施例では、酵素活性は基質の存在下に30℃で1分
間に2μMのフェリシアン化カリウムを還元するに要す
る酵素量を1単位として表示する。基本となる反応液組
成は以下に示す通りである。 基本反応液組成: マッキルベーンバッファー(pH5.0) 0.5ミリ
リットル 基質水溶液、 0.25ミ
リリットル 100mMフェリシアン化カリウム水溶液 0.2ミリ
リットル この基本反応液を30℃で5分間予熱した後、0.05
ミリリットルの適当に希釈した酵素液を加え、反応を開
始させ、10分後に0.5ミリリットルの反応停止液
[Fe2(SO4)3 5g、SDS 3g、85%リン酸
95ミリリットルを蒸留水に溶かして1リットルにした
もの]を加え反応を止め、暗所に室温で30分間放置し
た後、660nmにおける吸光度を測定した。対照とし
ては基質溶液の代わりに同量の蒸留水を用いた。
【0026】2)比活性および基質特異性 1)に示した活性測定法に従って、ランタンで誘導した
実施例1のアルコール脱水素酵素における、種々の基質
を用いた場合のエタノール基質に対する比活性を調べ
た。結果を表1に示す。
【表1】
【0027】3)至適PH 1)に示した活性測定法に従って、該酵素活性に及ぼす
pHの影響を調べた。至適pHは図1に示すように4.
5〜5.5付近である。
【0028】4)PH安定性 1)に示した活性測定法に従って、マッキルベーンバッ
ファーを用いて、種々のpHにおける残存活性を調べ
た。安定pH域は図2に示すように、およそ4.5〜9
である。
【0029】5)至適温度 1)に示した活性測定法に従って、該酵素活性に及ぼす
温度の影響を調べた。1)に記載の測定条件下では、図
3に示すように至適温度は45℃付近である。
【0030】6)熱安定性 種々の温度で、1時間熱処理した後の残存活性を調べ
た。結果を図4に示した。この結果より、50℃、1時
間の熱処理後の残存活性は約7割であった。
【0031】7)金属イオンの影響 1)に示した活性測定法に従って、該酵素活性に及ぼす
種々の金属イオンの影響を調べ、その結果を表2に示し
た。この結果よりZn2+、Hg2+が強い阻害効果を、ま
たCu2+、Co2+、Ni2+、Mn2+も反応を阻害するこ
とがわかった。
【表2】
【0032】8)阻害剤の影響 1)に示した方法に従って、該酵素活性に及ぼす各種阻
害剤の影響を調べた。結果を表3に示す。本酵素につい
ては、アンチマイシンAに非常に強い阻害活性が、また
ロテノンにも強い阻害効果が認められた。
【表3】
【0033】9)ミカエリス定数(Km) 1)に示した方法に従って、種々の基質濃度における活
性を測定した。本測定条件下では基質濃度範囲によって
は必ずしもミカエリス式に従うとはいえないが、図5に
示すように100mMから1Mの濃度範囲で測定すると
ミカエリス定数は225mMであった。
【0034】実施例3 実施例1で用いた塩化ランタンの代わりに塩化セリウム
を用いて同じくアルコール脱水素酵素の精製を行った。
得られた酵素の比活性は約20単位/mg蛋白であっ
た。
【0035】実施例4 実施例1で用いた塩化ランタンの代わりに塩化ネオジム
を用いて同じくアルコール脱水素酵素の精製をおこなっ
た。得られた酵素の比活性は約4単位/mg蛋白であっ
た。
【0036】実施例5 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス K5
91s(IFO14464、FERM BP−113
0)の寒天斜面培養物を、イーストエキス1.0%、ペ
プトン1.0%から成る種培地20ミリリットルを含む
200ミリリットル容の三角フラスコに1白金耳植菌し
30℃、2日間、回転振とう機上で培養した。得られた
種培養物を、上述の種培地200ミリリットルを含む1
リットル容の三角フラスコに全量接種し30℃、2日
間、回転振とう機上で培養した。イーストエキス1.0
%、ペプトン1.0%から成る培地200ミリリットル
を含む1リットル容の三角フラスコに、この培養物5ミ
リリットルを加え30℃、2日間培養した。この条件で
希土類元素化合物として、各々0.001%のイットリ
ウム、ランタン、セリウム、ネオジム、サマリウム、ユ
ーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウ
ム、ホルミウム、エルビウム、イッテルビウムの塩化物
またはプラセオジム、スカンジウムの酸化物を加えて同
じく30℃、2日間培養した。得られた培養液から遠心
分離で菌体を集め、生理食塩水200ミリリットルに懸
濁し再び遠心分離によって集菌し、得られた菌体を5ミ
リリットルの10mMリン酸ナトリウムバッファー(p
H6.7)、100mM NaClから成る希釈用バッフ
ァーに懸濁した。この菌体懸濁液を超音波破砕機で完全
に破砕した後、低速遠心分離で菌体残査を除きこれを粗
抽出液とした。この粗抽出液のアルコール脱水素酵素活
性を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】実施例6 実施例5で得られた粗抽出液をアガロース等電点電気泳
動を行ったところ希土類化合物を加えて培養した菌体か
ら得られた粗抽出液では、対照として同時に泳動した実
施例2で得られた精製アルコール脱水素酵素に対応する
蛋白バンドが認められ、さらに同様に泳動を行ったゲル
についてエタノールを基質として活性染色を行ったとこ
ろ、精製アルコール脱水素酵素に対応する位置に活性が
認められた。
【0039】実施例7 イーストエキス1.0%、ペプトン1.0%から成る培地
200ミリリットルを含む1リットル容の三角フラスコ
に、各々、シュードグルコノバクター・サッカロケトゲ
ネス K591s株(FERM BP−1130、IF
O14464)、シュードグルコノバクター・サッカロ
ケトゲネス 12−5株(FERM BP−1129、
IFO14465)、シュードグルコノバクター・サッ
カロケトゲネス TH14−86株(FERM BP−
1128、IFO14466)、シュードグルコノバク
ター・サッカロケトゲネス 12−15株(FERM
BP−1132、IFO14482)、シュードグルコ
ノバクター・サッカロケトゲネス 12−4株(FER
M BP−1131、IFO14483)、シュードグ
ルコノバクター・サッカロケトゲネス 22−3株(F
ERM BP−1133、IFO11484)の寒天培
養物1白金耳を植菌し、30℃、3日間、回転振とう培
養を行いこの培養液を集菌洗浄して得られた菌体から、
実施例5と同じく粗抽出液を調製した。上記の培地に塩
化ランタンを0.001%加えた培地を用いて同じ実験
を行い粗抽出液を調製した。これらの粗抽出液のアルコ
ール脱水素酵素活性を測定したところ、用いたすべての
菌株について塩化ランタン添加培養のもののみに活性が
検出された。
【0040】実施例8 実施例2で得られた精製アルコール脱水素酵素を抗原と
して、ウサギから抗血清を調製した。この抗血清を用い
てオクタロニーの免疫二重拡散法により調べた結果、実
施例5および実施例7で得られた希土類元素添加培養菌
体の粗抽出液中には、シュードグルコノバクター・サッ
カロケトゲネス K591s株のアルコール脱水素酵素
と、血清学的に同じか非常に類似した蛋白が存在するこ
とが示された。
【0041】実施例9 実施例2で得られたLa−ADH44mgについて湿式
灰化法により灰化し原子吸光法によりLa濃度を定量し
たところ、0.23%(W/W)含まれることが示され
た。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、広い基質特異性を有す
る新規なNAD非依存型アルコール脱水素酵素およびそ
の製造法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の酵素の活性に対するpHの及ぼす影
響を示す。
【図2】 本発明の酵素のpH安定性を示す。
【図3】 本発明の酵素の活性に対する温度の及ぼす影
響を示す。
【図4】 本発明の酵素の熱安定性を示す。
【図5】 本発明の酵素のヘイン・ウルフ・プロット
(Hane-Woolfplot)を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシメチル基を持つ化合物のヒド
    ロキシメチル基のアルデヒド基への酸化を触媒する酵素
    分子中に希土類元素を含むNAD非依存型アルコール脱
    水素酵素。
  2. 【請求項2】 下記の理化学的性質を有する請求項1記
    載のアルコール脱水素酵素。 至適pH 3.5〜6.5 至適温度 40〜50℃ 等電点 4.2±0.5 分子構造 SDS−PAGEで64000±50
    00の分子量のポリペプチドまたはこのポリペプチド2
    分子よりなる2量体
  3. 【請求項3】 シュードグルコノバクター(Pseudogluc
    onobacter)属に属する微生物が生産する請求項1記載
    のアルコール脱水素酵素。
  4. 【請求項4】 希土類元素によって誘導生産される請求
    項2記載のアルコール脱水素酵素。
  5. 【請求項5】 ヒドロキシメチル基を持つ化合物のヒド
    ロキシメチル基のアルデヒド基への酸化を触媒する酵素
    分子中に希土類元素を含むNAD非依存型アルコール脱
    水素酵素産生能を有するシュードグルコノバクター属に
    属する微生物またはその変異株を培養し、生産された該
    アルコール脱水素酵素を単離精製することを特徴とする
    請求項1記載のアルコール脱水素酵素の製造法。
  6. 【請求項6】 培地中に希土類元素を存在させることを
    特徴とする請求項5記載の製造法。
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