JPH056758A - 高周波点灯式放電ランプおよび放電ランプの高周波点灯装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、高周波点灯するようにしたランプに
おいて、陽光柱が安定し発光の輪郭が明瞭になる高周波
点灯式放電ランプを提供するものである。 【構成】本発明は、放電ガスを封入したバルブ２と、こ
のバルブ内部の一端に設けられ高周波電源に接続された
主電極３と、上記バルブ内部の他端に設けられしかしな
がら電源に接続されない補助電極６とを有し、上記主電
極から出力される高周波電力によりバルブ内に高周波電
界を発生させて主電極と補助電極の間で放電を発生させ
るようにしたことを特徴とする。 【作用】本発明のランプによると、バルブ端部に電源に
接続されない補助電極を設けたので、陽光柱がこの補助
電極に集光するようになり、陽光柱の輪郭が明瞭になる
とともに、ゆらぎを生じることがなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高周波電界により水銀
または希ガスを励起して発光させる高周波点灯式の冷陰
極または熱陰極形低圧放電ランプおよび放電ランプの高
周波点灯装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、計測機器や電気機器などの表示盤
に、キセノンガスを封入した放電灯を表示針として使用
する試みがなされている。

【０００３】このような表示針として使用されるキセノ
ン放電ランプは、従来、図５および図６に示すように、
発光管バルブ５１を例えば内径が２mm〜３mm程度のきわ
めて細い中空のガラス管で構成することによりこのバル
ブ内に細長い放電空間を形成し、このバルブ５１の一端
に内部電極（主電極）５２を設けるとともに、このバル
ブ５１の外表面に軸方向に沿って帯状の外部電極５３を
設け、かつ放電空間の内面にけい光体被膜５４を設けて
構成してある。内部電極５２は、寿命特性に優れた冷陰
極を用い、この冷陰極５２はリード線５５により封止部
５６に封着されている。放電空間には水銀、またはキセ
ノンＸｅあるいはキセノンを主体としその他ネオン、ク
リプトン、アルゴン等を混合した混合ガスを封入してあ
る。

【０００４】上記内部電極５２と外部電極５３は高周波
発振器などのような高周波電源１２に接続されており、
これら内部電極５２と外部電極５３の間に高周波電力を
与えることにより放電空間内に高周波電界による放電を
発生させ、この陽光柱でキセノンガスを励起して紫外線
を放出し、この紫外線をけい光体被膜５４で可視光に変
換して外部に放出するようにしてある。なお、６０、６
１は上記内部電極５２と外部電極５３を高周波電源１２
に電気的に接続するための端子部である。

【０００５】また、バルブの外表面には合成樹脂よりな
る遮光被膜５７を形成し、この遮光被膜５７はバルブ５
１の軸方向に伸びる細い帯状の光透過用スリット５８を
除いて形成してあり、この細長い帯状の光透過用スリッ
ト５８から光を放出するようになっている。したがっ
て、このランプはアパ−チャ形のランプとなっており、
このため表示針となる発光部が極めて細い針形とされて
いる。

【０００６】このようなランプはバルブ５１の一端を図
示しないメ−タの回転軸に取付け、この回転軸が回動す
ると上記ランプも一体に旋回されるようになっており、
このようなランプは表示針としての機能を奏し、しか
も、このランプ自身が発光し、かつ表示目盛を照らすの
で格別な照明が不要であるなどの利点がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のランプは、バルブの内部の一端に内部電極５２を設
けるとともにバルブの外面に軸方向に沿う帯状の外部電
極５３を設け、これら内部電極５２と外部電極５３との
間に高周波電源１２から高周波電力を供給するようにな
っている。このようなランプの構造の場合、バルブ５１
の外部に格別な外部電極５３を形成する必要があり、し
かもこの外部電極５３は導電性ペーストをバルブ軸方向
に沿って帯状に塗布して形成しているので、外部電極５
３の形成に手間を要するとともに、他の部材が外部電極
５３に接触すると剥れる心配もある。さらに、バルブ軸
に沿って帯形状に形成された外部電極５３は光を遮断す
るので、この外部電極５３を設けた面を有効発光面とし
て使用することができず、ランプの使用形態に方向性が
生じ、使用方向に制約を受ける場合もある。

【０００８】このようなことから、外部電極を無くした
いという要請がある。ところで、密封された空間に水銀
またはキセノンなどの希ガスを封入し、この空間を高周
波電界の雰囲気におくと、この高周波電界の条件により
格別な外部または内部電極がなくても、上記水銀また希
ガスが励起されて紫外線を発することは知られている。
したがって、このような原理を用いれば格別な外部電極
を省略することができる。

【０００９】そこで、本発明者らは、バルブ径を３．０
mm、バルブ長を１００mmとし、バルブ内に水銀とアルゴ
ンを封入した陰極低圧水銀放電灯において、外部電極を
省略し、バルブの一端に封装された内部の冷陰極のみに
高周波電源を接続し、この冷陰極に例えば１０００ボル
トで５０Ｋｚの高周波を与えたところ、バルブ内部で水
銀が励起され、紫外線を発することを確認した。

【００１０】しかしながら、このような構造の場合、陽
光柱の輪郭がバルブ内でぼやけた形態となり、シャ−プ
な輪郭の陽光柱を得難いとともに、陽光柱が揺らぎを生
じ、ちらつきを生じる不具合がある。陽光柱の輪郭がぼ
けると、光透過用スリット５８から放出される光がシャ
ープにならず、指針の発光形状がぼやける心配がある。

【００１１】本発明はこのような事情にもとづきなされ
たもので、格別な外部電極を用いずに高周波点灯するよ
うにしたランプにおいて、陽光柱が安定し発光の輪郭が
明瞭になる高周波点灯式けい光ランプを提供しようとす
るものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の高周波点灯式放
電ランプは、放電ガスを封入したバルブと、このバルブ
内部の一端に設けられ高周波電源に接続された主電極
と、上記バルブ内部の他端に設けられ電源に接続されな
い補助電極とを有し、上記主電極から出力される高周波
電力によりバルブ内に高周波電界を発生させて上記主電
極と補助電極との間に放電を生じさせるようにしたこと
を特徴とする。

【００１３】本発明の放電ランプの高周波点灯装置は、
放電ガスを封入したバルブ内部の一端に主電極を設ける
とともに他端に補助電極を設けた放電ランプと、上記主
電極に接続されこの主電極に高周波電力を供給して上記
バルブ内に高周波電界を発生させることによりバルブ内
の上記主電極と補助電極の間で放電を生じさせる高周波
電源とを具備したことを特徴とする。

【００１４】さらに、本発明の他の点灯装置は、放電ガ
スを封入したバルブ内に電源に接続されない一対の補助
電極を設けた放電ランプと、この放電ランプに高周波電
界を印加して上記補助電極間に放電を生じさせる高周波
電界印加手段とを具備したことを特徴とする。

【００１５】

【作用】本発明は、いづれの場合も、バルブの端部に設
けた電源に接続されない補助電極（フローティング電
極）に放電が発生して陽光柱を引き寄せ、この補助電極
に陽光柱が集まるようになるから陽光柱の輪郭がシャー
プになるとともに、ゆらぎを生じることがなくなる。

【００１６】

【実施例】以下本発明について、計器の表示針に使用さ
れる冷陰極けい光ランプに適用した一実施例にもとづ
き、図１ないし図３を参照して説明する。図において、
１は表示針として使用される冷陰極けい光ランプのバル
ブであり、例えば外径２．５mm、全長１００mm程度のガ
ラスチューブにより形成され、全体は略針状に形成され
ている。このバルブ１の内部は細長い放電空間２を形成
している。バルブ１の一端部には内部電極、つまり主電
極として冷陰極３が封装されており、この冷陰極３はバ
ルブ１の封止端４を気密に貫通されたリ−ド線５に接続
されている。

【００１７】冷陰極３は、図３に詳しく示すように、例
えばニッケル、ジルコニウム−アルミニューム合金など
からなる電極ヘッド３１を有し、この電極ヘッド３１は
例えば円筒形をなしている。この円筒形電極ヘッド３１
の外径は例えば１mm程度とされており、この円筒形電極
ヘッド３１の内部にはホウ化ランタンなどのようなラン
タニド系希土類が好適する電子放射性物質（エミッタ）
３２が充填されている。このような電極ヘッド３１は、
一端開口部を放電側に向け、他端が上記リード線５に接
続されている。なお、リード線５は線径０．５mm程度の
ジュメット線が用いられる。

【００１８】バルブ１の先端部７には本発明の補助電極
６が設けられている。この補助電極６は、導電性ワイヤ
であればなんでもよいが、例えば線径が０．５mm程度の
ジュメット線を使用している。この補助電極６は、後述
するように電源には接続されないためフローティング電
極と称され、その内部端面は放電空間２に露出されお
り、また外部端部は外部に露出されている。なお、補助
電極６の外端部は、バルブ１の先端から露出していなく
てもよい。また、バルブ先端部７は略球面形状をなして
いる。上記バルブ１内には放電空間２に面してけい光体
被膜８が形成されている。また、バルブ１内には水銀と
アルゴンガスが所定量封入されている。

【００１９】バルブ１の外表面には遮光被膜９が形成さ
れている。遮光被膜９はカ−ボン、エポキシ樹脂および
接着剤の成分を有しており、バルブ１の外面を覆ってい
る。この場合、バルブの軸方向に沿って遮光被膜９を形
成しない光透過用スリット部１０が形成されおり、した
がって、このランプは光透過用スリット部１０のみを通
じて外部に光を放出し、このためこのけい光ランプはア
パ−チャ形をなしているものである。このように構成し
たけい光ランプは、図示しないランプホルダに取付けら
れて、メータの指針軸に連結される。

【００２０】そして、上記バルブ１の一端に封装した内
部電極２が高周波電源１２に接続される。すなわち、バ
ルブ１の一端に形成した封止部４には電源接続用の端子
１１が形成され、この端子１１を介してランプは高周波
発振器等の高周波電源１２に接続される。この場合、バ
ルブ１の他端７に封着した補助電極６は電源１２に接続
されず、したがってフローティング電極となっている。

【００２１】このような構成による実施例の作用につい
て説明する。高周波発振器等の高周波電源１２からラン
プに例えば１０００ボルト、５０Ｋｚの高周波を供給す
ると、この高周波電力はバルブ１の一端に封装した内部
電極３から放電空間２に供給され、放電空間２内でグロ
ー放電が発生する。このグロー放電は水銀を励起して紫
外線を放出させ、この紫外線はバルブ１の内面に被着さ
れたけい光体被膜８で可視光に変換される。この可視光
は遮光被膜９の光透過用スリット部１０を通じて外部に
放出される。このため、もともとバルブ１が細いことに
加えてスリット部９がさらに細い光の帯を呈するので、
このランプは表示針として表示目盛を差し示すのに好適
する。

【００２２】このような高周波放電を生じるバルブ１に
おいて、他端７に補助電極６を設けたので、補助電極が
存在しない場合に比べて、補助電極６に電子またはイオ
ンが集中し易くなり、したがって放電は内部電極３と補
助電極６との間に生じることになる。

【００２３】このため、陽光柱の先端が補助電極６に集
まり、ア−クの形態が安定して輪郭が明確になり、また
ゆらぎも生じない。したがって、発光形態が安定し、ち
らつきの発生を防止することができる。

【００２４】特に本実施例の場合、内部電極３の放電空
間に臨む表面積に比べて補助電極６の放電に露出する表
面積を小さくしたので、陽光柱は内部電極３側に比べて
補助電極６側が細くなり、つまり指針として用いる場合
に先端部７側の発光束が細くなるので、指針らしく発光
し、支持針として用いるには好都合である。これは、遮
光被膜９を設けない場合に特に有効である。

【００２５】また、補助電極６を封着した先端部７の形
状を球面形にしたから、この部分がレンズ作用を奏し、
光を拡散させるようになるから、先端の輝度が高くな
り、指針として良好な発光形態が得られる。

【００２６】なお、上記実施例ではバルブ１の一端に封
装した内部電極３を高周波電源１２に電気的に接続する
ようにしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、高
周波放電は、図４に示す他の実施例のように、高周波電
界２０にバルブ１を置くだけでもバルブ１内で放電を発
生させることができる。したがって、導電性材料からな
るハウジング２１などのような所定の空間にバルブ１を
収容し、このハウジング２１を高周波電源１２に接続す
るなどの手段でバルブ１の周囲雰囲気を高周波電界２０
にすれば、バルブ１の内部で発光させることができる。
このような場合でも、バルブ２の両端部にそれぞれ電源
に接続されない補助電極（フロ−ティング電極）２５，
２６を設けるようにすれば、これら補助電極２５，２６
間に陽光柱が集中するので、放電が安定し、発光の輪郭
が明瞭になる。

【００２７】また、本発明は、バルブ内に封入されるガ
スは水銀とアルゴンに制約されるものではなく、キセノ
ンまたはキセノンを主体としこれにネオン、アルゴン、
クリプトン等の少なくとも１種を混合した混合ガスを封
入してもよい。また、バルブ２の内面にけい光体被膜を
設けないランプであってもよい。さらに、バルブは直線
形状に限らず、屈曲形状のものであってもよい。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、バ
ルブの端部に電源に接続されない補助電極（フローティ
ング電極）を設けたので、この補助電極に放電が発生
し、陽光柱がこの補助電極に集光するようになるから陽
光柱の輪郭が明瞭になるとともに、ゆらぎを生じること
がなくなる。したがって、放電が安定するとともに発光
のばらつきも少なくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示すメータの指針に使
用される冷陰極けい光ランプの斜視図。

【図２】同実施例における電源と接続された状態の断面
図。

【図３】同実施例の主要部を拡大して示す断面図。

【図４】本発明の他の実施例を示す電源と接続された状
態の断面図。

【図５】従来のキセノン放電ランプの斜視図。

【図６】従来の電源と接続された状態の断面図。

【符号の説明】

１…キセノン冷陰極けい光ランプのバルブ、２…放電空
間、３…内部電極、６、２５、２６…補助電極、８…け
い光体被膜、１２…高周波電源。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 放電ガスを封入したバルブと、このバル
   ブ内部の一端に設けられ高周波電源に接続された主電極
   と、上記バルブ内部の他端に設けられ電源に接続されな
   い補助電極とを有し、上記主電極から出力される高周波
   電力によりバルブ内に高周波電界を発生させて上記主電
   極と補助電極との間に放電を生じさせるようにしたこと
   を特徴とする高周波点灯式放電ランプ。
2. 【請求項２】上記電源に接続されない補助電極のバルブ
   内に露出する表面積を、上記主電極のバルブ内に露出さ
   れる表面積よりも小さくしたことを特徴とする請求項１
   の高周波点灯式放電ランプ。
3. 【請求項３】 放電ガスを封入したバルブ内部の一端に
   主電極を設けるとともに他端に補助電極を設けた放電ラ
   ンプと、上記主電極に接続されこの主電極に高周波電力
   を供給して上記バルブ内に高周波電界を発生させること
   によりバルブ内の上記主電極と補助電極の間で放電を生
   じさせる高周波電源とを具備したことを特徴とする放電
   ランプの高周波点灯装置。
4. 【請求項４】 放電ガスを封入したバルブ内に電源に接
   続されない一対の補助電極を設けた放電ランプと、この
   放電ランプに高周波電界を印加して上記補助電極間に放
   電を生じさせる高周波電界印加手段とを具備したことを
   特徴とする放電ランプの高周波点灯装置。