JPH0564408U - 内燃機関のブローバイガス還元装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブローバイガス還流配管と吸気系通路との連
通接続部分の閉塞を防止することを目的とする。 【構成】 ブローバイガス還流配管２２の先端部を吸気
管１３の吸気絞り弁の下流側に突入し、その先端開口部
２２Ａを吸気管１３の最小断面積部Ｘに位置させると共
に吸気流れの下流側に向けて開放させることにより、吸
気管１３の最小断面積部Ｘを吸気が流通することによっ
て奏されるエジェクタ効果によって先端開口部２２Ａに
流れてきたブローバイガスが強制的に吸い出されるよう
にし、先端開口部２２Ａの閉塞を防止し、圧力的に弱い
部分の破壊等を防止して、ブローバイガスの大気中への
放出を防止するようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関のブローバイガス還元装置に関し、特に、ブローバイガス 還流通路を構成する配管の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

内燃機関においては、燃焼室よりピストンとピストンリングの隙間等を通って クランクケースに抜けるブローバイガスを還元する還元装置が知られている。 ブローバイガスの組成は、未燃焼のＨＣを多量に含んでいるため可燃ガスであ り、ブローバイガスの還元装置においては、ブローバイガスをそのまま大気に放 出することなく再び吸気系通路に戻して燃焼させるようにしている（実開昭５６ −９７５１９号公報及び実開昭５７−３６３０８号公報等参照）。

【０００３】 例えば、ブローバイガス還元装置として、クランクケースに大気から直接新気 を導き、ブローバイガスと新気との混合ガスを還流通路を介してエアクリーナ下 流の吸気通路に導いて再燃焼させるものや、吸入空気の吸引力を利用してブロー バイガスを吸出し、これを吸気通路に導くもの等がある。 吸入空気の吸引力を利用してブローバイガスを吸出する構成の従来例を図５及 び図６に示す。

【０００４】 即ち、これらの図において、ロッカカバー１には、ミスト状のエンジンオイル の持ち去りを防止するための邪魔板２とフィルタ３とを内蔵したブローバイガス 導入空間部４が連通接続されている。このブローバイガス導入空間部４のフィル タ３下流側にはブローバイガス還流配管５の一端部が連通接続されている。この ブローバイガス還流配管５の他端部は所定の容積を有する膨張室６に突入されて 開放される。この膨張室６には、ブローバイガス通路部７を開閉するダイヤフラ ム式弁体８と弁座９と該弁体８を常時は弁座から引き離して開放する方向に弾性 付勢するスプリング１０とからなるブローバイガス流量制御弁１１が設けられて いる。このブローバイガス流量制御弁１１における前記ブローバイガス通路部７ にはブローバイガス還流配管１２の一端部が連通接続されている。このブローバ イガス還流配管１２の他端部は吸気管１３の吸気絞り弁１４の下流側に連通接続 される。この場合、ブローバイガス還流配管１２の端部は吸気管１３の壁に設け られた連通口１３ａに接続される。

【０００５】 かかる構成においては、吸気管１３を流れる吸気の吸引力によってブローバイ ガスが吸出され、該ブローバイガスは吸気通路に導かれて再燃焼される。 ブローバイガス流量は、ブローバイガス流量制御弁１１によって制御される。 即ち、エンジンの負荷の大きく吸気管１３内に作用する吸気負圧が弱い時には 、スプリング１０の力で弁体８が弁座９に当接する方向に弾性付勢されるため、 ブローバイガスの通路面積が大きい。エンジンの負荷の小さく吸気管１３内に作 用する吸気負圧が大きい時には、スプリング１０の力に打ち勝って弁体８が弁座 ９方向に引かれるため、ブローバイガスの通路面積が小さくなる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来のブローバイガス還元装置にあっては、次のよ うな問題点があった。 即ち、例えば、エンジンを長時間アイドリングした時等では、吸気管１３内に 冷たい空気が吸入され続けることとなり、ブローバイガスが冷たい空気によって 冷却される。このため、吸気管１３内の塵やブローバイガス還流通路から吸入さ れるオイルミスト等が、ブローバイガス還流配管１２の先端開口部周囲即ち、吸 気管１３の壁内面の連通口１３ａの周囲に凍結して除々に堆積していき、ついに は連通口１３ａが閉塞されることになり、ブローバイガスの還流に支障を来す事 態が発生する。又、ブローバイガス還流通路が閉塞されることにより、エンジン のクランクケース内部の圧力が上昇し、圧力的に弱い部分の破壊等が生じる。例 えば、ブローバイガス還流配管５の途中をクランプ部材でクランプされるゴムホ ースで構成したものでは、このゴムホースが破れたり、クランプ部材によるクラ ンプの緩みが発生し、ブローバイガスが大気中に放出されてしまうという問題点 があった。

【０００７】 そこで、本考案は以上のような従来の問題点に鑑み、ブローバイガス還流通路 のうち吸気系通路に連通される側の通路を構成するブローバイガス還流配管の先 端部と吸気系通路との連通構造の改良によって、ブローバイガス還流配管と吸気 系通路との連通接続部分の閉塞を防止することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案は、ブローバイガス還流通路のうち吸気系通路に連通される 側の通路を構成するブローバイガス還流配管の先端部を吸気系通路内に突入し、 該配管の先端開口部を前記吸気系通路の最小断面積部に位置させると共に吸気流 れの下流側に向けて開放した構成とする。

【０００９】 又、ブローバイガス還流通路のうち吸気系通路に連通される側の通路を構成す るブローバイガス還流配管の内面にフッ化炭素樹脂のコーティングを施すように した。 更に、ブローバイガス還流通路のうち吸気系通路に連通される側の通路を構成 するブローバイガス還流配管の少なくとも先端部に加熱手段を設けるようにした 。

【００１０】 又、前記加熱手段に代えて超音波振動子を設けても良い。

【００１１】

【作用】

請求項１の構成において、吸気系通路の最小断面積部を吸気が流通することに よって奏されるエジェクタ効果によってブローバイガス還流配管の先端開口部に 流れてきたブローバイガスが強制的に吸い出される。 このようにブローバイガス還流配管の先端開口部に流れてきたブローバイガス が強制的に吸い出される結果、吸気系通路の塵やブローバイガス還流通路から吸 入されるオイルミスト等が、ブローバイガス還流配管の先端開口部に堆積するこ とがなくなり、ブローバイガス還流配管の先端開口部の閉塞を防止することがで きる。

【００１２】 従って、ブローバイガスの還流に支障を来すことがなく、又、圧力的に弱い部 分の破壊等を防止できるため、ブローバイガスが大気中に放出されてしまうとい う問題点を解消することができる。 請求項２の構成においては、ブローバイガス還流配管の内面は緻密で滑らかな 面となるため、該内面に塵等が付着し難くなり、吸気管に吸引されるため、ブロ ーバイガス還流配管の閉塞を防止することができる。

【００１３】 請求項３の構成においては、加熱手段によりブローバイガス及び一部の吸気が 加熱されるため、吸気系通路の塵やブローバイガス還流通路から吸入されるオイ ルミスト等が堆積することがなく、吸気系通路に吸引されるため、ブローバイガ ス還流配管の閉塞を防止することができる。 請求項４の構成においては、超音波振動子が振動する結果、ブローバイガス還 流配管が微小振動するため、吸気管内の塵やブローバイガス還流通路から吸入さ れるオイルミスト等が堆積することがなく、吸気管に吸引されるため、ブローバ イガス還流配管の閉塞を防止することができる。

【００１４】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 尚、以下に参照する図において図５と同一要素のものには同一符号を付して説 明を簡単にする。 本考案の請求項１の一実施例を示す図１において、ブローバイガス流量制御弁 １１におけるブローバイガス通路部７には、ブローバイガス還流通路のうち吸気 系通路としての吸気管１３に連通される側の通路を構成するブローバイガス還流 配管２２の一端部が連通接続されている。このブローバイガス還流配管２２の他 端部は吸気管１３の吸気絞り弁の下流側に突入される。そして、ブローバイガス 還流配管２２の先端開口部２２Ａは吸気管１３の最小断面積部Ｘに位置されると 共に吸気流れの下流側に向けて開放される。この場合、ブローバイガス還流配管 ２２の先端部分を他の配管２２ａとは別の略Ｌ字形配管２２ｂにより形成し、こ の略Ｌ字形配管２２ｂの一端部を吸気管１３内に位置させ、他端部を吸気管１３ の壁に貫通させて溶接により固着する。略Ｌ字形配管２２ｂの一端部は吸気管１ ３の最小断面積部Ｘの中央部に位置され、ここから吸気流れの下流側に向けて開 放される。略Ｌ字形配管２２ｂの他端部にはゴムホース１５を介して他の配管２ ２ａに連結される。このゴムホース１５は夫々クランプ部材１６により両配管２ ２ａ，２２ｂに締結される。

【００１５】 かかる構成によると、ブローバイガス還流配管２２の先端開口部２２Ａを吸気 管１３の最小断面積部Ｘに位置させると共に吸気流れの下流側に向けて開放させ るようにしたから、吸気管１３の最小断面積部Ｘを吸気が流通することによって 奏されるエジェクタ効果によってブローバイガス還流配管２２の先端開口部２２ Ａに流れてきたブローバイガスが強制的に吸い出される。

【００１６】 このようにブローバイガス還流配管２２の先端開口部２２Ａに流れてきたブロ ーバイガスが強制的に吸い出される結果、吸気管１３内の塵やブローバイガス還 流通路から吸入されるオイルミスト等が、ブローバイガス還流配管２２の先端開 口部２２Ａに堆積することがなくなり、ブローバイガス還流配管２２の先端開口 部２２Ａの閉塞を防止することができる。

【００１７】 従って、ブローバイガスの還流に支障を来すことがなく、又、圧力的に弱い部 分の破壊等を防止できるため、ブローバイガスが大気中に放出されてしまうとい う問題点を解消することができる。 次に、本考案の請求項２の一実施例を図２に示す。 この実施例は、ブローバイガス還流通路のうち吸気系通路に連通される側の通 路を構成するブローバイガス還流配管３２の内面にフッ化炭素樹脂としてのテフ ロンのコーティング１７を施したものである。

【００１８】 この実施例においては、図１の実施例のように、ブローバイガス還流配管３２ の先端開口部３２Ａは吸気管１３の最小断面積部Ｘに位置されると共に吸気流れ の下流側に向けて開放される。 勿論、この実施例のようなブローバイガス還流配管３２に限らず、要は吸気管 １３内に連通接続されるブローバイガス還流配管の内面にテフロンコーティング を施すようにしても構わない。

【００１９】 かかる実施例によると、ブローバイガス還流配管３２の内面にテフロンコーテ ィング１７を施したことにより、該ブローバイガス還流配管３２の内面は緻密で 滑らかな面となるため、該内面に塵等が付着し難くなり、塵等が吸気管１３にス ムーズに吸引されるため、ブローバイガス還流通路の閉塞を防止することができ る。

【００２０】 次に、本考案の請求項３の一実施例を図３に示す。 この実施例は、ブローバイガス還流通路のうち吸気系通路に連通される側の通 路を構成するブローバイガス還流配管４２の少なくとも先端部内面に加熱手段を 設けたものである。 この場合、ブローバイガス還流配管４２の先端部を吸気管１３内に突入させて 開口する一方、加熱手段として、例えば、セラミックヒータ１８を使用し、該セ ラミックヒータ１８をブローバイガス還流配管４２の先端部内面に装着する。そ して、このセラミックヒータ１８の電源回路１９にキースイッチ２０を介装して 、該キースイッチ２０のＯＮに従ってヒータ１８に通電がなされて発熱するよう に構成される。

【００２１】 このように、エンジン始動時にキースイッチ２０のＯＮに従ってヒータ１８が 発熱する結果、ブローバイガス及び一部の吸気が加熱されるため、吸気管１３内 の塵やブローバイガス還流通路から吸入されるオイルミスト等が堆積することが なく、吸気管１３にスムーズに吸引されるため、ブローバイガス還流通路の閉塞 を防止することができる。

【００２２】 次に、本考案の請求項４の一実施例を図４に示す。 この実施例は、ブローバイガス還流通路のうち吸気系通路に連通される側の通 路を構成するブローバイガス還流配管５２の少なくとも先端部に超音波振動子２ １を設けたものである。 この場合、ブローバイガス還流配管５２の先端部を吸気管１３内に突入させて 開口する一方、超音波振動子２１をブローバイガス還流配管５２の先端部内面に 装着し、該配管５２の先端部から外部に突出させる。そして、この超音波振動子 ２１の電源回路１９にキースイッチ２０を介装して、キースイッチ２０のＯＮに 従って超音波振動子に通電がなされて振動を発するように構成される。

【００２３】 このように、エンジン始動時にキースイッチ２０のＯＮに従って超音波振動子 ２１による振動が発生する結果、ブローバイガス還流配管５２が微小振動するた め、吸気管１３内の塵やブローバイガス還流通路から吸入されるオイルミスト等 が堆積することがなく、吸気管１３に吸引されるため、ブローバイガス還流通路 の閉塞を防止することができる。

【００２４】 尚、上記実施例の構造は、本考案の構造的制約を示すものではなく、本考案は 実用新案登録請求の範囲に記載された範囲内で変形が自由である。

【００２５】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の内燃機関のブローバイガス還元装置によれば、 ブローバイガス還流通路のうち吸気系通路に連通される側の通路を構成するブロ ーバイガス還流配管の先端開口部を吸気管の最小断面積部に位置させると共に吸 気流れの下流側に向けて開放させるようにしたから、ブローバイガス還流配管の 先端開口部の閉塞を防止することができ、ブローバイガスの還流を安定し行うこ とができると共に、ブローバイガスが大気中に放出されてしまうという問題点を 解消することができる。

【００２６】 又、ブローバイガス還流配管の内面にフッ化炭素樹脂のコーティングを施すこ とにより、ブローバイガス還流配管の内面に塵等が付着し難くなって吸気管に吸 引されるため、ブローバイガス還流配管の閉塞を防止することができる。 更に、ブローバイガス還流配管の少なくとも先端部内面に加熱手段を設けるこ とにより、ブローバイガス及び一部の吸気が加熱され、吸気管内の塵やブローバ イガス還流通路から吸入されるオイルミスト等が堆積することがなく、或いはブ ローバイガス還流配管の少なくとも先端部に超音波振動子を設けることにより、 ブローバイガス還流配管が微小振動して、同様に塵やオイルミスト等が堆積する ことがなく、夫々ブローバイガス還流配管の閉塞を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る内燃機関のブローバイガス還元
装置の一実施例を示す断面図

【図２】 他の実施例の断面図

【図３】 更に他の実施例の断面図

【図４】 更に他の実施例の断面図

【図５】 従来のブローバイガス還元装置の断面図

【図６】 図５中Ａ矢視正面図

【符号の説明】

１３ 吸気管 １７ テフロンコーティング １８ セラミックヒータ ２１ 超音波振動子 ２２ ブローバイガス還流配管 22Ａ 先端開口部 ３２ ブローバイガス還流配管 ４２ ブローバイガス還流配管 ５２ ブローバイガス還流配管 Ｘ 最小断面積部

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンにおけるブローバイガスを還流通
   路を介し吸気系通路に戻して燃焼させるブローバイガス
   還元装置において、前記ブローバイガス還流通路のうち
   吸気系通路に連通される側の通路を構成するブローバイ
   ガス還流配管の先端部を吸気系通路内に突入し、該配管
   の先端開口部を前記吸気系通路の最小断面積部に位置さ
   せると共に吸気流れの下流側に向けて開放したことを特
   徴とする内燃機関のブローバイガス還元装置。
2. 【請求項２】エンジンにおけるブローバイガスを還流通
   路を介し吸気系通路に戻して燃焼させるブローバイガス
   還元装置において、前記ブローバイガス還流通路のうち
   吸気系通路に連通される側の通路を構成するブローバイ
   ガス還流配管の内面にフッ化炭素樹脂のコーティングを
   施したことを特徴とする内燃機関のブローバイガス還元
   装置。
3. 【請求項３】エンジンにおけるブローバイガスを還流通
   路を介し吸気系通路に戻して燃焼させるブローバイガス
   還元装置において、前記ブローバイガス還流通路のうち
   吸気系通路に連通される側の通路を構成するブローバイ
   ガス還流配管の少なくとも先端部に加熱手段を設けたこ
   とを特徴とする内燃機関のブローバイガス還元装置。
4. 【請求項４】エンジンにおけるブローバイガスを還流通
   路を介し吸気系通路に戻して燃焼させるブローバイガス
   還元装置において、前記ブローバイガス還流通路のうち
   吸気系通路に連通される側の通路を構成するブローバイ
   ガス還流配管の少なくとも先端部に超音波振動子を設け
   たことを特徴とする内燃機関のブローバイガス還元装
   置。