JPH0553805U - スローアウェイチップ用ホルダ及びスローアウェイチップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 突っ切等に使用するホルダの強度を高める。 【構成】 チップ座２と、スローアウェイチップ５の後
端面６を拘束する後壁３とを略直角にし、そのチップ座
２を、ホルダ本体１の先端側から見て、後壁３との交差
部４までを上に凹とする円弧状に形成する。このチップ
座２及び後壁３で、下面８がこの凹形に嵌まる凸形に形
成され、かつ後端面６が下面８と略直角に形成されたス
ローアウェイチップ５を拘束する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、突切り、溝入れやねじ切りなどの旋削加工等に使用されるスローア ウェイチップ用ホルダ（以下、単にホルダともいう）、及びこれに使用されるス ローアウェイチップ（以下、単にチップともいう）に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のホルダの代表的なものとして図３及び図４に示すものが知られ ている。このホルダ２１のチップ座２２、つまりチップ２３の下面２４を拘束す る部位は、チップ２３の位置決めの簡易化や横ずれ防止等のために、縦断面、つ まり先端側から見てＶ溝状に形成されている。そして、これに適用されるチップ ２３の下面２４は、このＶ溝に略一致する凸形に形成されている。 ところで、このチップ座（Ｖ溝）２２は、エンドミルを使用し、その軸線を溝 の方向と垂直にして先端のコーナーで切削することで形成される。したがって、 この加工では、格別の処置をしないとチップ２３の後端面２５を拘束する後壁２ ６側である基端部（隅角部）に、図３中２点鎖線で示すようにエンドミルの径の 円弧（アール）がついてしまう。この場合、円弧とチップ２３の後下角との干渉 をなくすために、チップ２３のその角に面取りを付けると、上部の上クランプ２ ７による締付け部位は、平面視においてその面取りの部位を跨ぐ形で前の方とし ないといけない。チップ２３の先端の浮き上がりを防止するためであるが、そう するとチップ２３のすくい面２８が短くなるため、切り屑の排出（処理）性が悪 くなってしまう。

【０００３】 こうしたことから従来は、チップ座２２の基端部の隅角部に予めドリル等によ り、逃げと呼ばれる円弧状の切欠き２９を設け、その下でチップ座２２の縦断面 をＶ溝状とし、チップはその後下角に面取りの付されてないものを使用している 。なお、図３のホルダ２１は、突切り用のものであって、上クランプ２７はホル ダ２１の上面に沿い形成されたスリット３０を介して一体で形成され、ボルト３ １を挿通してホルダ２１のねじ穴３２にねじ込むことで、上クランプ２７を撓ま せその先端の下面でチップ２３の上面をクランプするタイプのものを示している 。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記した逃げ（切欠き）２９を設けたものでは、次のような解決すべき課題が ある。すなわち、逃げ２９を設けると、突切りなどの深切込みに使用されるホル ダは頭部を大きくできないので、どうしてもホルダの強度や剛性の低下を招く。 また、逃げ２９の箇所ではチップ２３の後下角を拘束しないから、上からのクラ ンプは、この逃げの部位を跨ぐ形で締付けざるを得ず、結局上記したチップの後 下角に面取りを付けた場合と同様の結果となってしまう。とりわけ切込み深さが が大きい場合には、切削時にホルダ２１の受ける力も大きくなりこうした問題が 大きい。 一方で、逃げ２９を小さくして強度向上を図るため、チップ座を小径のエンド ミルで加工すれば、製造コストのアップを招く。

【０００５】 そこで本考案は、こうした問題点に鑑みて案出したものであって、後下角に面 取りの付されていない通常のチップを使用する場合でも、その部位での干渉を生 じることなく、かつ強度や剛性の低下を招くことのないホルダ、及びこれに好適 なチップを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、本考案は、先端部に、スローアウェイチップの下 面を拘束するチップ座とそのチップの後端面を拘束する後壁とを略直角にして有 してなるスローアウェイチップ用ホルダにおいて、そのチップ座を、先端側から 見て、前記後壁との交差部までを上に凹とする円弧状に形成し、下面がこの凹形 に嵌まる凸形に形成され、かつ後端面が下面と略直角に形成されたスローアウェ イチップを、前記チップ座及び前記後壁で拘束する構成としたものである。

【０００７】 またこのホルダに好適なチップとしては、それに拘束される下面と後端面とが 略直角に形成されてなるものにおいて、その下面であってホルダのチップ座に拘 束される部位を後端面の側から見て凸とする円弧状に形成したものである。

【０００８】

【作用】

前記の構成としたことにより、チップのセットにおいては、従来におけるよう な逃げを有しないものの、従来と同様に通常のチップをチップ座に載せ、後端面 を後壁に押しつけ、クランプする。かくして、チップをホルダに拘束させること で、上記した交差部とチップの後下角とは干渉を生じることなく適正な位置にセ ットされる。

【０００９】 この結果、ホルダは、従来におけるような逃げのない分、強度が向上するし、 チップの下面はその後端面まででの全体でチップ座に拘束されるので、強固なク ランプをうることができる。とりわけ、切込み深さが大きく、切れ刃の幅の狭い ものの場合には、その効果は著しい。

【００１０】

【実施例】

本考案のホルダおよびチップを具体化した実施例について、図１及び図２を参 照して詳細に説明する。

【００１１】 図中１は、ホルダ本体であって、その先端のチップ座２は、その面が直線状に 若干の下り傾斜をなし、その縦断面、つまりホルダ本体１の先端側から見て（図 ２参照）、次記する後壁３との交差部４までを所定の半径を持つ円弧で凹形に形 成されている。因みにこの形成は、本例では、エンドミルを使用し、ホルダ本体 １の先端側からその軸線をチップ座２（長手方向）に沿い切削することで、その 後側端部における交差部（隅角部）４まで形成している。 そして、チップ座２の後端の交差部４から後壁３が直角に立設され、チップ５ の後端面６の拘束面とされている。なお、本例のホルダは突切り用であるためチ ップ座２は平面視したときチップ５の切刃の幅より若干薄い板状に形成されてお り、また、７はワークとの干渉を防ぐための切り欠き部である。

【００１２】 さて、本例におけるチップ５は、チップ座２に拘束される下面８が、図示はし ないがその後端面（図１右側）６の側から見て下に凸とする円弧状に形成され、 チップ座２の円弧状の凹形に嵌まる下を凸とする円弧に形成され、また、後端面 ６が下面８と略直角に形成されている。ただし、チップ下面８の円弧の半径は、 チップ座２のそれより大きく設定され、その結果２点（線）で支持、拘束される ように構成されている。

【００１３】 なお、本例では、上クランプ９は、ホルダの上面に沿い設けられたスリット１ ０を介して一体で形成され、ねじ部材（六角穴付きボルト）１１を上クランプ９ 側から挿通し、その弾性に抗してホルダに設けられたねじ穴１２に螺締すること で、上クランプ９を下に撓ませ、その先端下面で、チップ５の上面を押圧、クラ ンプするよう構成され、ねじ部材１１を弛緩したとき、ばねの作用によりクラン プが解除されるように構成されている。

【００１４】 しかして、従来とまったく同様にしてチップ５を上クランプ９とチップ座２と の間に挿入し、その後端面６をホルダの後壁３に当接し、その下で六角穴付きボ ルト１１を締付けさえすれば、従来におけるような逃げを有しないが、交差部４ とチップ５の後下角とは干渉を生じることなくクランプされる。

【００１５】 本例では、チップ５の下面８の円弧半径をチップ座２のそれより大きくしたの で、２点で支持され、してがってガタつきがないので、挿入時における安定がよ い。また、チップ５の上面及び上クランプ９の下面はフラットとしたが、例えば 両者を上を凸とするＶ字形断面として嵌まり合うようにすることもできる。こう しておけば、チップの横ずれがなくなるのでクランプが一層簡易にできる。

【００１６】 なお、本例では、ホルダ本体１と上クランプ９が一体式のものに適用したが、 チップの挿入ないしセットの不便さはあるものの、従来における押え金タイプの ものにも適用することができる。因みに本例では、ボルトの締付けについて、上 クランプ９におけるザグリ面を、若干傾斜させ、ボルト１１の頭の下面がホルダ 本体１の前側で当たるように設定してあるので、その分クランプ効率が良い。 なお、当然のことながら、本考案は、突切り以外の各種のホルダにも適用でき る。

【００１７】

【効果】

以上の説明から明らかなように、本考案においては次のような効果がある。 すなわち、本考案に係るホルダは、従来におけるような逃げを有しないものの 、チップの後端面をホルダの後壁に干渉させることなく拘束させることができる 。この結果、逃げのない分、強度が向上するし、チップの下面はその後端面まで での全体でチップ座に拘束されるので、クランプが強固になり、粗切削でも使用 可能の高剛性や工具の寿命延長が期待される。切込み深さが大きく、切れ刃の幅 の狭いものの場合にその効果は著しい。 また、チップの下面を円弧状とすることで、それが超硬、サーメット或いはセ ラミックのものの場合には、Ｖ字形のものに比べ、その成形体の成形性がよいの で、生産性の向上が図られ、コストの低減が期待される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例であるスローアウェイチップ
用ホルダに同チップを装着した状態を示す正面図であ
る。

【図２】図１における左側面図及びその要部を示す部分
拡大図である。

【図３】従来のスローアウェイチップ用ホルダに従来の
チップを装着した状態を示す正面図である。

【図４】図３における左側面図及びその要部を示す部分
拡大図である。

【符号の説明】

１ スローアウェイチップ用ホルダ本体 ２ チップ座 ３ 後壁 ４ 交差部 ５ スローアウェイチップ ６ チップの後端面 ８ チップの下面

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端部に、スローアウェイチップの下面
   を拘束するチップ座とそのチップの後端面を拘束する後
   壁とを略直角にして有してなるスローアウェイチップ用
   ホルダにおいて、そのチップ座を、先端側から見て、前
   記後壁との交差部までを上に凹とする円弧状に形成し、
   下面がこの凹形に嵌まる凸形に形成され、かつ後端面が
   下面と略直角に形成されたスローアウェイチップを、前
   記チップ座及び前記後壁で拘束する構成としたことを特
   徴とするスローアウェイチップ用ホルダ。
2. 【請求項２】 スローアウェイチップ用ホルダに拘束さ
   れる下面と後端面とが略直角に形成されてなるスローア
   ウェイチップにおいて、その下面であってホルダのチッ
   プ座に拘束される部位を、後端面の側から見て凸とする
   円弧状に形成したことを特徴とするスローアウェイチッ
   プ。