JPH054769B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電流の開閉を行う開閉器、特にその消
弧機構に関するものである。

本発明の主たる適用開閉器として電磁接触器や
配線用しや断器を挙げることができる。

まず第１図に従つて従来の発明者等の先行提案
に係る電磁接触器の１例について説明する。第１
図において、１はプラスチツクで成形された取付
台、２はこの取付台上にケイ素鋼板で積層された
固定鉄心、３は固定鉄心２に対向設置されこれと
同じくケイ素鋼板で積層された可動鉄心、４は可
動鉄心３と固定鉄心２とを引外しばね（図示せ
ず）に抗して吸着させる駆動力を付与する操作コ
イル、５はプラスチツクで形成され、角窓を有す
るクロスバーで、その下端では可動鉄心３を保持
している。６は上記クロスバー５の角窓に挿入さ
れて押しばね７により保持されている可動接触
子、６Ａは可動接触子６に設けられた可動接点、
８は上記可動接触子６と対向して設けられ、電流
の通電をおこなう固定接触子、８Ａはこの固定接
触子８に設けられた固定接点、８Ｂは同じくこの
固定接触子８の端子部を示す。

然して、９は電磁接触器本体を外部回路と接続
するための端子ねじ、１０は固定接触子８を取付
けるベース、１１は電磁接触子上面を覆うカバー
で、その内部には固定接点８Ａと可動接点６Ａと
の間に生じるアーク１２消弧するための磁性体の
金属消弧板１３を設けており、この金属消弧板１
３は、第１図から明らかなように、可動接触子と
対向させ固定接触子８上方にこれと、平行に、か
つ互いに所定間隔を隔てて累積並設されている。

上記構成を有するため、この電磁接触器におい
て操作コイル４を消磁すると、図示されない引外
しばねにより可動鉄心３が固定鉄心２より開離
し、クロスバー５も、第１図に示す状態を占め、
固定接点８Ａと可動接点６Ａとが開離して固定接
点８Ａと可動接点６Ａとの間にアーク１２が生じ
るが、このアーク１２は第２図に示すように金属
消弧板１３に吸引されアーク１２Ａのように引き
伸ばされ、最終的には、アーク１２Ａは可動接触
子先端部から上記消弧板１３ａ〜１３ｆのうちの
１３ｃ〜１３ｆを介し固定接触子８に転移された
アーク１２Ｂとなつて消弧され、電流がしや断さ
れる。

ところが、このようなアーク１２の消弧動作で
は、折角しや断性能を向上させるために設けた金
属消弧板１３のうち消弧板１３ａおよび１３ｂが
全く消弧動作に寄与せず、その分しや断性能が劣
るという欠点を有していた。

また、この欠点を解消るため、実開昭55−
127323号公報に示されるように可動接触子から金
属消弧板に向かつて傾斜して延長されたアークホ
ーンを設けることも考えられるが、この場合、接
点間に形成されるアークと金属消弧板との距離が
大きくならざるを得ず、このため、アークが金属
消弧板に吸引され難くなり、十分なしや断性能を
得ることができないものであつた。

本発明は叙上の欠点を解消すべくなされたもの
で、固定接触子に接合された固定接点、この固定
接点に対向し可動接触子に接合して設けられた可
動接点、固定接触子に平行に互いに所定間隔を隔
てて複数枚累積並設した金属消弧板を備えた開閉
器において、可動接触子先端に上記各金属消弧板
に対向させてアークホーンを該可動接触子に対し
て直角状に立設したことを特徴とするものであ
る。

以下、第３図ないし第６図に示した実施例に基
づき本発明を同一部分または相当部分には同一符
号を付して説明すると、固定接触子８の固定接点
８Ａ側端部に倒Ｌ字状に折曲されたアークランナ
１４が第３図のように電気的に接合して設置さ
れ、さらにこのアークランナ１４の折曲部には切
欠部１４Ａが設けられており、この切欠部を可動
接触子６が通過して上記固定接点８Ａと接触でき
るよう形成される。また可動接触子６の先端部に
は、第４図に示すようにアークホーン６Ｂが立設
され、このアークホーン６Ｂは金属消弧板１３の
累積並設された各消弧板１３ａ〜１３ｅと距離Ｌ
を離隔して対向配設されている。この距離Ｌは少
なくとも３mm以上なければならず、仮に３mm以下
の距離しか隔てられていないと、可動接触子６先
端部とをれに最も近接する金属消弧板１３との間
にアーク膠着したままの状態になり、しや断性能
に劣ることが実験により確認されている。

然して、上記構成を有する消弧機能の消弧動作
を第４図に基づき説明すると、上記先行例に係る
開閉器と同様にアーク１２が可動接点６Ａと固定
接点８Ａ間に発生するが、このアーク１２は磁性
体の金属消弧板１３に吸引されて引き伸ばされア
ーク１２Ａとなる。このとき、上記アークランナ
１４が固定接触子８表面より高い位置に設けられ
ているため、固定接点８Ａ上のアーク１２の下方
の足は容易にアークランナ１４に転移してアーク
１２Ａのようになる。アーム１２の下方の足がア
ークランナ１４に転移するとアークランナ１４に
は第４図の図示右方に電流が流れ、アーク１２Ａ
はいつそう固定接触子の端子部８Ｂ側に駆動され
る。然して、アーク１２Ａはその上方の足を可動
接点６Ａから可動接触子６の先端部に転移すると
ともに、金属消弧板１３に引き込まれ、下方の足
は金属消孤板１３のうちの消孤板１３ｃないし１
３ｅを経由してアークランナ１４上を走行する。
次いで、この可動接触子６に移動したアーク１２
Ｂの上方の足は金属消孤板１３によつて駆動され
るとともに、アークランナ１４を流れる電流が作
る磁界によつて上方に駆動され、固定接触子６か
らアークホーン６Ｂに転移し、さらにアークホー
ン６Ｂの上方に走行して、アークホーン６Ｂの上
端部に達し、アークホーン６Ｂ上端部から金属消
孤板１３を介してアーク１２Ｃのよう伸延され、
金属消孤板１３の消孤板１３ａないし１３ｅの全
てを経由し消孤されることとなるので極めて優れ
たしや断性能が得られる。

しかも、アークホーン６Ｂを可動接触子６に対
し直角状に立設して配置したため、接点６Ａ，８
Ａ間に発生するアーク１２と金属消孤板１３との
距離を小さくすることが可能となり、アーク１２
を金属消孤板１３に吸引され易くすることがで
き、この結果、優れたしや断性能を有する開閉器
を提供することができる。

次に、第２の実施例を第５図に基づいて説明す
ると、本実施例はコの字状の固定接触子８を有す
る開閉器にアークホーン６Ｂおよび金属消孤板１
３を適用した例を示すものであり、発生したアー
ク１２は固定接触子８を流れる電流第５図矢示が
作る磁界によつて駆動されるため、アーク１２の
下方の足は固定接点８Ａから固定接触子８に容易
に転移することができ、固定接点８Ａの消耗が低
減されるとともに、アーク１２が強力に駆動され
るのでアーク時間が短縮され、しや断性能がいつ
そう改善されることとなる。

また、第３の実施例を第６図に示すと、この場
合は金属消孤板１３を改変したこと以外は上記実
施例と同様である。同図によれば、金属消孤板１
３はそれを構成する各消孤板１３ａないし１３ｅ
の可動接触子と対向する側に切欠部１５を設けコ
の字形状に形成されており、可動接触子６の三方
を囲繞するよう構成されている。そして各消孤板
１３ａないし１３ｅの切欠部１５の最奥部１５ａ
と可動接触子６先端部間の距離Ｌが３mm以上隔て
られて構成される。

このような金属消孤板１３であつても上記各実
施例と同様良好な電流のしや断性能が得られる。

さらに第７図は配線用しゆ断器に第２の実施例
と同様の消孤機能を適用したものであり、図中、
１６は回転軸を示し、可動接触子６は回転軸１６
を中心に回転して各接点６Ａ，８Ａが開離される
よう構成される。この場合においても上記各実施
例と同効を奏することは言うまでもない。

なお、本発明に係る消孤室を有する開閉器は、
金属消孤板１３を構成する消孤板１３ａないし１
３ｅの枚数を上下方向に増減させることにより、
所要の電圧に対応した開閉器とすることができ
る。したがつて高電圧に適用される開閉器であつ
ても、より低電圧のものと同程度の据付面積で構
成することができるため、本発明に係る開閉器は
高電圧のものほど有効性を発揮させ得る。

また、叙上の説明においては、接点をマグネツ
トにより開閉する開閉器、すなわち電磁接触器お
よび配線用しや断器に適用したものについて説明
したが、他の開閉器にも同様な適用できるのは明
白である。

以上本発明によれば、アークホーンを可動接触
子先端に直角状に立設することによりしや断性能
に優れた開閉器が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の開閉器の部分断面図、第２図は
第１図のものの消孤動作説明図、第３図は本発明
に係るアークランナを適用した固定接触子の要部
拡大図、第４図は本発明実施例のものの消孤動作
説明図、第５図は他の固定接触子に本発明に係る
アークホーンを適用した実施例を示す要部拡大
図、第６図は本発明の更に他の実施例に係る金属
消孤板を適用した要部拡大図、第７図は第５図の
消孤室を配線しや断器に適用した場合の要部拡大
図である。 ６……可動接触子、６Ａ……可動接点、６Ｂ…
…アークホーン、８……固定接触子、８Ａ……固
定接点、１３……金属消孤板、１３ａ〜１３ｆ…
…消孤板、１４……アークランナ、Ｌ……離隔距
離。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 固定接触子に接合された固定接点、この固定
   接点に対向し、可動接触子に接合して設けられた
   可動接点、上記固定接触子に平行に設けられ、互
   いに所定間隔を隔てて累積並設された複数枚の磁
   性体からなる金属消弧板、上記可動接触子の先端
   に該可動接触子に対して直角状に立設して設けら
   れ、上記金属消弧板に対向して配置されたアーク
   ホーンを備えたことを特徴とする開閉器。 ２ アークホーンと金属消弧板との対向間隔を少
   なくとも３mmとしたことを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載の開閉器。 ３ 固定接触子が先端に倒Ｌ字状アークランナを
   有し、該アークランナの折曲部に可動接触子の通
   過を許容する切欠部を設けたことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項または第２項記載の開閉器。 ４ 固定接触子がコの字形状に形成されたことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項または第２項の
   いずれかに記載の開閉器。