JPH0546456Y2

JPH0546456Y2 -

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Publication number: JPH0546456Y2
Application number: JP1389589U
Authority: JP
Priority date: 1989-02-08
Filing date: 1989-02-08
Publication date: 1993-12-06
Anticipated expiration: 2003-12-06
Also published as: JPH02106236U

Description

【考案の詳細な説明】

利用産業分野この考案は、輸液瓶、輸液バツク等の軟質プラ
スチツクス製輸液容器の採液口部を封着するため
のゴム質栓付栓体の改良に係り、ゴム質栓の外向
露出面のみを中心方向に圧縮するための耐熱リン
グを配置することにより、製造組立を容易にし、
かつ高圧蒸気滅菌時の密封性を確保し、さらにゴ
ム質栓への採液針等の刺通が容易で抜去後の液漏
れのない輸液用プラスチツクス容器栓体に関す
る。背景技術この考案にかかる輸液用プラスチツクス容器
は、例えば、病院での使用時に、封着した口部に
瓶針を刺突し、輸液セツトの他端に付属する静脈
針によつて直接に人体へ輸液を供給する点滴治療
等に用いられている。輸液用プラスチツクス容器栓体は、容器の口部
へ気密に熔着され、容器の封口を計るプラスチツ
クスキヤツプ、例えば、容器と同材質のP.P，P.
E，PVC，EVA，PET等で作られるキヤツプと、キヤツプの内部へ組立、またはインサート成型
によつて内封され、その上面を外部へ露出して他
面を容器内部に対面させたゴム質栓とから構成さ
れている。使用時には、採液針や瓶針等はゴム質栓を貫通
するように刺突され、瓶針等を介して他の薬剤の
混入（混注）、また、内容薬剤の導出（点滴）が
行われる。この栓体に必要な機械特性のうち、次の諸点が
重要である。プラスチツクス容器の口部に強度、気密性と
も確実に封着し漏洩がないこと。ゴム質栓への瓶針の刺突は、女性が片手でで
きるように軽易簡便であると共に、プラスチツ
クス容器を栓体を下にして懸吊し、輸液セツト
で点滴中、患者の寝返り等の揺動が生じても輸
液セツトが抜け落ちることがない様に、瓶針等
はゴム質栓の弾性によつて支持されているこ
と。点滴終了後、ボトルが懸架位置（倒立状態）
で、輸液セツトの瓶針を引抜いた時、ゴム質栓
は瞬時に弾性により針孔跡を封じ、ゴム質栓上
面よりの内容液漏出が起こらないこと。栓体の密封性が劣り、例えばベツドサイドにお
いてかかる容器から薬液が飛散すると、患者、看
護者のいづれにとつても不都合であり、また、容
器中へ他の薬剤を混注する場合、点滴前にゴム質
栓に刺針して他の薬剤を添加されるのが通常であ
るが、混注後、針を引抜いた際、瞬時にゴム質栓
が針孔跡を封じ、室内より異物、菌等が容器内へ
進入するのを防ぐ必要がある。輸液容器のゴム質栓付栓体の製造は、プラスチ
ツクス製キヤツプ部分、すなわち熱可塑性プラス
チツクス部分、ゴム質栓（NR，IIR，BR，IR
等）を各々個別に成型後、組立て熔着させたもの
と、ゴム質栓をキヤツプ内へ内封してインジエク
シヨン成型する方法がある。また、キヤツプに使用されるプラスチツクス材
料は、プラスチツクス容器と熔着して使用される
ため、容器と同材料を用いるのが通常である。近年、柔軟な変形を示すソフトボトル、ソフト
バツクが要求されるが、これは容器内に空気を導
入することなく薬液を導出するため、容器自体が
大気圧で点滴中の液量の変化に応じた縮小変形し
易い軟質プラスチツクスを使用したものである。容器に低圧P.E，P.P，PETのように高圧滅菌
温度（105℃以上）において、軟化しないものを
使用した場合、室温において硬く、点滴中の液量
の変化に応じた縮小変形が伴い難い。しかし、容器にP.E，PVC.EVA等の軟質材料
を使用すれば、キヤツプ材料も同材質を使用する
必要があるが、高圧滅菌温度で軟化しゴム質栓の
保持力は低下する。前述の目的のためには、内封されたゴム質栓
はキヤツプ内で圧縮されていることが望ましい
が、キヤツプが軟質プラスチツクスではこの効果
を期待することができない。従来技術の問題点例えば、第３図ａに示す栓体３０（実開昭59−
169835号公報）は、キヤツプ本体３１に、第３図
ｂまたはｃ図に示す断面Ｈ型のゴム質栓３２，３
３を嵌入し、薬液と接触して該ゴム質栓３２，３
３の成分が溶出しないようエンドプラグ３４を、
キヤツプ本体３１の鍔部内周部に設けた溝部に嵌
着してあり、強度主体となるキヤツプ本体３１と
プラグ部３４を相互に嵌合する形状となして、両
者で強度を得る構成であり、キヤツプ本体３１と
エンドプラグ３４の鍔部が、容器口部２の口縁部
３に、例えば、高周波、超音波またはヒートシー
ル等により封着される。かかるキヤツプ本体３１及びプラグ部３４を滅
菌温度で変形する軟質プラスチツクスで製作した
場合は前述の効果はない。第４図に示す栓体４０（実公昭63−17469号公
報）は、滅菌温度に耐えるP.P製の中栓４２中
へ、内径より直径で0.5〜2.0mm大きなゴム質栓４
３を押し込んだ状態で、このプラスチツクス中栓
４２の外周に熱可塑性プラスチツクスを射出成型
してキヤツプ本体４１を構成したものである。第５図に示す栓体５０（特開昭63−248657号公
報）は、ゴム質栓５３の外周を熱変形しない金
属、エンプラ、セラミツク、ガラス等で作製し、
ゴム質栓５３の外径より小さい内径を有するかし
め部材５４，５５で圧縮し、外キヤツプ５１、内
キヤツプ５２とを組立てことにより、ゴム質栓５
３のリシール性の向上を計つたものであるが、そ
の効果が少なく、刺針抵抗が増大しかつ量産工程
が煩雑である。前述した従来の構成は、いづれも射突した注射
針を引抜いた際に栓体中のゴム質栓の復元回復性
を向上させるため、ゴム質栓外周を圧縮して機械
的に弾性賦与することを目的としているが、単に
刺針抵抗が増大させて、明確にリシール性の効果
を示さず、また、量産性に難点がある等の問題が
あつた。考案の目的この考案は、かかる現状に鑑み、滅菌時の不良
発生がなく、使用時までのゴム質栓の刺通位置を
保護でき、ゴム質栓の刺通後の復元回復性を著し
く向上させ、しかも刺針圧力の増大を起こさない
構成からなる輸液用プラスチツクス容器栓体の提
供を目的としている。考案の概要この考案は、ゴム質栓の復元回復性を決定的に
向上させ、刺針圧力の増大を起こさない栓体を目
的に、ゴム質栓のどの部位を圧縮するのが最も効
果があるかを種々検討した結果、ゴム質栓の外向
露出面のみを中心方向に圧縮することにより、刺
針抵抗が少なく明確にリシール性の効果を発揮す
ること知見しこの考案を完成した。この考案は、少なくとも外周部を被覆して圧入されるゴム質
栓を保持し、かつ軟質プラスチツクス製輸液容器
の開口フランジ部に当接する鍔部を溶着して該口
部を密封する軟質プラスチツクス製の被覆キヤツ
プとからなる輸液用プラスチツクス容器栓体、あ
るいは前記構成の内キヤツプと、内キヤツプ及び
ゴム質栓の外周部を覆う被覆キヤツプとからなる
輸液用プラスチツクス容器栓体において、注射針が刺通するゴム質栓の外向露出面を外径
方向から圧縮するため露出面外径より２〜８％小
径の内径を有し、かつ高圧蒸気滅菌温度で軟化変
形のないプラスチツクスからなる耐熱性リング
を、ゴム質栓の前記外向露出面外周に周配置した
ことを特徴とする輸液用プラスチツクス容器栓体
である。考案の好ましい構成この考案は、耐熱性リングを用いゴム質栓の外
向露出面のみを中心方向に圧縮することにより、
刺針抵抗が少なく明確にリシール性の効果を発揮
させるものである。注射針抜取後のゴム質栓の復元性は、ゴム質栓
の上面、すなわち、注射針の刺突時に先ず穿孔さ
れ、ま、引抜き時には注射針に最終迄追随するゴ
ム質栓の上面の外径を中心に向かつて圧縮するの
が最も効果がある。また、この圧縮をゴム質栓の厚み全層にわたつ
て行なえば、ゴム質栓は変形するのみでゴムの復
元回復にはあまり効果がない。耐熱性リングの寸法は、少なくともゴム質栓の
嵌合部位の外径より２〜８％小さい内径を有し、
圧縮するゴム質栓の反発力等により、外径及び厚
みを適宜選定するとよい。耐熱性リング厚みはゴ
ム質栓厚さの1/6〜1/2、好ましくは1/5〜1/3であ
る。この考案において、内キヤツプ材を用いる場合
は、薬液との接触により有害成分を溶出しない、
従来公知のプラスチツクスより成形され、口縁部
に圧溶着可能なフランジ部を周設し、頭部には圧
入するゴム質栓を保持する周壁を有した所要形状
で、加熱滅菌時の圧力に充分耐える程度の強度を
有して被覆キヤツプ材とともに栓体の強度主体と
なり得れば、いかなる構成でもよい。また、ゴム質栓と薬液とを接触させないように
薄肉の隔壁を設けるのもよく、隔壁部に設ける採
液針刺通用の薄肉部は、容器種類や充填する薬液
等に応じて、設置位置、形状、数等を適宜選定す
るとよい。この考案の栓体を構成する好ましい部材は、１イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴ
ム等、医薬用途に適するゴムで製造され、露出
上面外周のみを耐熱性リングにて圧縮すること
が可能な平滑な円周面、あるいは実施例の如き
耐熱性リングのための段差面を持つ軟質加硫ゴ
ム質栓２高圧蒸気滅菌温度で軟化変形のないプラスチ
ツクス、例えばP.P，PET，高密度P.E、また、
熱非軟化性プラスチツクスで製造され、ゴム質
栓の嵌合部位の外径より２〜８％小さい内径を
持つ耐熱性リング３使用するプラスチツクス容器と強度的、気密
的に熔着する同質のプラスチツクス材料で製造
され、予めリングと嵌合したゴム質栓をその上
面のみを外部に露出する態様で内封する構造の
被覆キヤツプ、内キヤツプより形成され、ゴム質栓とプラスチツクス被覆キ
ヤツプ、内キヤツプは組立によつても、また、ゴ
ム質栓をインサートする射出成型によつて製造す
る等、被覆キヤツプ、内キヤツプの形状、生産量
等の条件に応じて適宜選択することができ、完全
自動化を図ることができる。考案の図面に基づく開示第１図はこの考案による輸液用プラスチツクス
容器栓体の縦断説明図と上面図であり、第２図は
この考案による他の構成を示す栓体の縦断説明図
である。ここでは、製造工程順に栓体の構成を説明す
る。第１図のゴム質栓１３は、円板状からなり、平
坦上面外周縁部に段差部を設け、下面には内キヤ
ツプ１２と嵌合する小溝が周設され、組立て後の
露出面のみを中心に向かつて２〜８％圧縮するた
めの耐熱性リング１４が段差部に嵌合される。ゴム質栓１３上面のみを外部に露出するように
内封する被覆キヤツプ１１、及びゴム質栓１３の
下面と嵌合して包む内キヤツプ１２によつて栓体
１０が構成され、外キヤツプ１１と内キヤツプ１
２はそれぞれのフランジ部面で熔着され、組立後
の栓体１０は、プラスチツクス容器１の口部２に
載せられ、内キヤツプ１２のフランジ部が口縁部
３に、熱、高周波、超音波法等の公知手段で圧溶
着することにより、該容器を密封することができ
る。また、使用時、瓶針等を刺突するまでゴム質栓
１３と容器内容薬を隔離する隔膜１５を設けるか
否かは、貯蔵中において、内容薬剤とゴム質栓１
３の相互作用の調節のため設けられるもので、こ
の考案の目的とする高弾性栓体構造に影響するも
のではない。第２図のゴム質栓２２は、円板状からなり、平
坦上面及び下面外周縁部に段差部が設けられ、露
出面のみを中心に向かつて２〜８％圧縮するため
の耐熱性リング２３が上面段差部に嵌合される。さらに、前記リング２３嵌合済のゴム質栓２２
を、インサート成型法又は組立法によりP.E，
PVC，EVA等の軟質プラスチツクス製の被覆キ
ヤツプ２１で包囲成型して栓体２０が完成する。実施例この考案による栓体の密封効果を確認するた
め、第１図に示したこの考案による栓体（実施例
１）、耐熱性リングを使用しない以外は第１図と
同様構成の栓体（比較例１）、第５図ｂ図に示す
如くゴム質栓の中央部をかしめ部材で圧縮した栓
体（比較例２）を用いて、針孔跡復元効果確認試
験を行つた。試験方法１及び試験結果の第１表は、プラスチ
ツクスボトルの場合で、点滴終了後、輸液セツト
セツトを抜去した場合の内容薬液漏洩量を測定す
る試験であり、試験方法２及び試験結果の第２表
は、ソフトバツクな数種の薬液を注射針を用いて
混合し、患者に使用するまでナースステーシヨン
において保管される場合を設定した試験である。試験方法１容量500mlのP.E製プラスチツクスボトルに水
を500ml入れ、口部に各栓体を熔着した。その後、
110℃、30分の高圧蒸気滅菌後、栓体へプラスチ
ツクス製瓶針（JMS200型針、導通は遮断）を刺
突し、ボトルを倒立して懸吊し、２時間放置後、
瓶針を抜去し、ゴム質栓の針孔跡よりの内容液の
漏洩量を測定した。漏洩量（滴数）は、一滴＝
0.02mlで評価した。

【表】試験方法２容量1000mlのPVC製ソフトバツクに水を1000
ml入れ、口部に栓体を熔着した。その後、110℃、
30分の高圧蒸気滅菌後、栓体へ瓶針（16G金型
針、導通を遮断したもの）を刺突し、バツクを横
にして30分間静置し、瓶針を抜去した後、バツク
に５Kgの分銅荷重を載せ、24時間御のゴム質栓針
孔跡よりの内容液の漏洩量を測定した。漏洩量
（滴数）は、一滴＝0.02mlで評価した。

【表】考案の効果第１表、第２表より、この考案による栓体はす
ぐれた針孔跡復元効果を有することが分かる。す
なわち、両試験方法共に、この考案による栓体
は、内容液の漏洩が全くなく、目的に合つた成績
を示した。この考案による栓体は、ゴム質栓が注射針が進
入する上面外径のみを特定して円心に向つて圧縮
した構造であるため、輸液セツト注射器の瓶針の
刺突が軽易であり、また、抜針時には瞬時に針孔
跡が復元密封する。また、この考案による栓体のゴム質には、高圧
蒸気滅菌温度で軟化変形のない耐熱性リングが嵌
合しているため、滅菌時の不良発生がない。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ図はこの考案による輸液用プラス
チツクス容器栓体の縦断説明図と上面図であり、
第２図はこの考案による他の構成を示す容器栓体
の縦断説明図である。第３図ａは従来の栓体と輸
液容器の縦断説明図であり、ｂ，ｃ図はゴム質栓
の縦断説明図である。第４図は従来の栓体と輸液
容器の分解縦断説明図である。第５図ａ，ｂ図は
従来の栓体と輸液容器の縦断説明図である。１……プラスチツクス容器、２……口部、３…
…口縁部、１０……栓体、１１，２１……被覆キ
ヤツプ、１２……内キヤツプ、１３，２２……ゴ
ム質栓、１４，２３……耐熱性リング。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】１少なくとも外周部を被覆して圧入されるゴム
質栓を保持し、かつ軟質プラスチツクス製輸液
容器の開口フランジ部に当接する鍔部を溶着し
て該口部を密封する軟質プラスチツクス製の被
覆キヤツプからなる輸液用プラスチツクス容器
栓体において、注射針が刺通するゴム質栓の外向露出面を外
径方向から圧縮するため露出面外径より２〜８
％小径の内径を有し、かつ高圧蒸気滅菌温度で
軟化変形のないプラスチツクスからなる耐熱性
リングを、ゴム質栓の前記外向露出面外周に周
配置したことを特徴とする輸液用プラスチツク
ス容器栓体。２少なくとも外周部を被覆して圧入されるゴム
質栓を保持し、かつ軟質プラスチツクス製輸液
容器の開口フランジ部に当接する鍔部を溶着し
て該口部を密封する軟質プラスチツクス製の内
キヤツプと、内キヤツプ及びゴム質栓の外周部
を覆う被覆キヤツプとからなる輸液用プラスチ
ツクス容器栓体において、注射針が刺通するゴム質栓の外向露出面を外
径方向から圧縮するため露出面外径より２〜８
％小径の内径を有し、かつ高圧蒸気滅菌温度で
軟化変形のないプラスチツクスからなる耐熱性
リングを、ゴム質栓の前記外向露出面外周に周
配置したことを特徴とする輸液用プラスチツク
ス容器栓体。