JPH10179687A - 医療用栓およびその製造方法 - Google Patents

医療用栓およびその製造方法

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JPH10179687A
JPH10179687A JP8345802A JP34580296A JPH10179687A JP H10179687 A JPH10179687 A JP H10179687A JP 8345802 A JP8345802 A JP 8345802A JP 34580296 A JP34580296 A JP 34580296A JP H10179687 A JPH10179687 A JP H10179687A
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JP
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medical
elastic plug
cylindrical body
plug material
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JP8345802A
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English (en)
Inventor
Toshimi Yamanaka
稔美 山仲
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Riken Technos Corp
Original Assignee
Riken Technos Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐液漏れ性、針刺し性、再シール性、コスト
性等に優れた医療用栓およびその製造方法の提供。 【解決手段】 熱可塑性樹脂を主体とする筒体2の一端
部に、非加硫の熱可塑性エラストマーからなる弾性栓材
3を一体成形して得られ、弾性栓材3に注射針等の管状
物を貫通して使用される医療用栓1において、弾性栓材
3は、筒体2に融着する外周部31と、管状物の貫通す
る中央部32とを有し、管状物の貫通方向における外周
部31の長さが、中央部32のそれよりも短くなってい
る医療用栓およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用栓およびそ
の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは本発明
は、耐液漏れ性、針刺し性、再シール性、コスト性等に
優れた医療用栓およびその製造方法に関するものであ
る。本発明の医療用栓は、輸血用容器、薬液容器、血液
透析および腹膜透析等の混注栓等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来の医療用栓は、筒体と弾性栓材とを
別々に成形し、これらをアッセンブリーして製造されて
いた。例えば、特開昭63−268623号公報には、
超音波振動を印加して、筒体と弾性栓材とを溶着する方
法が開示されている。また、特開昭63−317470
号公報および特開昭63−296757号公報には、弾
性栓材を挟み込んで筒体を溶着する方法が開示されてい
る。また、これら以外にも、弾性栓材の脱落を防止する
ために熱処理を施し、筒体を収縮させたものも提案され
ている。
【0003】しかしながら、筒体と弾性栓材とを別々に
成形し、さらにこれらをアッセンブリーすることは多大
なコストを要し、さらに得られた医療用栓は、筒体と弾
性栓材とが強固に接着していないため、容器の内容物が
液漏れしたり、弾性栓材に注射針を刺すときや、容器の
圧力が上昇したときなどに弾性栓材が筒体から脱落する
という問題がある。
【0004】筒体と弾性栓材との一体成形は、例えば特
開平8−258857号公報に開示されている。この従
来技術により得られた医療用栓の断面図を図3に示す。
該技術は、まずポリプロピレン樹脂からなる筒体2を射
出成形し、次いで熱可塑性エラストマーからなる弾性栓
材3を筒体2と一体に完全に融着成形し、これを医療用
栓として用いるというものである。
【0005】しかしながら、前記の特開平8−2588
57号公報により得られた医療用栓は、筒体と弾性体と
の間に歪みが生じ、医療用栓に要求される性能(耐液漏
れ性、針刺し性、再シール性等)が得られない。さらに
この歪みにより、図3に示したように、栓の中央部に空
洞が生じることがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、上記の特開平8−258857号公報に開示され
た医療用栓の問題点を解決し、耐液漏れ性、針刺し性お
よび再シール性に優れ、しかも低コストで得られる医療
用栓およびその製造方法の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究を重
ねた結果、上記のような従来の課題を解決することがで
きた。すなわち本発明は、熱可塑性樹脂を主体とする筒
体の一端部に、非加硫の熱可塑性エラストマーからなる
弾性栓材を一体成形して得られ、前記弾性栓材に注射針
等の管状物を貫通して使用される医療用栓において、前
記弾性栓材は、前記筒体に融着する外周部と、前記管状
物の貫通する中央部とを有し、前記管状物の貫通方向に
おける前記外周部の長さが、前記中央部のそれよりも短
くなっていることを特徴とする医療用栓を提供するもの
である。
【0008】また本発明は、管状物の貫通方向における
外周部の長さが、中央部のそれよりも2〜98%短くな
っている前記の医療用栓を提供するものである。
【0009】さらに本発明は、管状物の貫通方向におけ
る外周部の長さが中央部のそれよりも短くなっているた
めに形成される空隙部または非融着部が、弾性栓材の内
部側に設けられている前記の医療用栓を提供するもので
ある。
【0010】さらにまた本発明は、熱可塑性樹脂を主体
とする筒体と、非加硫の熱可塑性エラストマーからなる
弾性栓材とを備え、前記弾性栓材に注射針等の管状物を
貫通して使用される医療用栓の製造方法において、前記
弾性栓材が、前記筒体に融着する外周部と、前記管状物
の貫通する中央部とを有し、且つ前記管状物の貫通方向
における前記外周部の長さが、前記中央部のそれよりも
短くなるように、前記筒体および前記弾性栓材を一体成
形することを特徴とする医療用栓の製造方法を提供する
ものである。
【0011】本発明の医療用栓は、筒体に融着する外周
部が、筒体と弾性栓材との間に生じる歪みを緩衝し、こ
れによって両者が強固に結合し、上記課題が解決され
る。
【0012】
【発明の実施の形態】図1に本発明の医療用栓の一実施
態様の断面図を示す。図1によれば、本発明の医療用栓
1は筒体2および弾性栓材3からなっており、弾性栓材
3は、筒体2に融着する外周部31と、注射針等の管状
物の貫通する中央部32とを有している。そして外周部
31は、中央部32よりも管状物の貫通方向においてそ
の距離が短くなっており、空隙部(または非融着部)a
およびbが存在する。また、医療用栓1の貫通方向に
は、例えば輸血用容器等が取り付けられている。
【0013】なお、管状物の貫通方向における外周部3
1の長さは、中央部32のそれよりも、2〜98%程度
短くなっているのがよく、好ましくは2〜80%がよ
く、さらに好ましくは2〜60%である。
【0014】本発明の医療用栓1における筒体2は、下
記で説明する熱可塑性樹脂(A)から、また弾性栓材3
としては該熱可塑性樹脂(A)と融着可能な非加硫の熱
可塑性樹脂組成物(B)から製造されるのがよい。これ
らの成分について以下に詳述する。
【0015】筒体に好適に用いられる熱可塑性樹脂
(A)としては、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹
脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、
ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタ
クリル酸エステル、ポリサルホン、ポリエーテルスルホ
ンなどが挙げられる。中でも、ポリオレフィン系樹脂、
スチレン系樹脂が好ましく、とくにポリオレフィン系樹
脂がよい。
【0016】具体的には、ポリオレフィン系樹脂として
は、低密度ポリエチレン樹脂、リニア低密度ポリエチレ
ン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン
樹脂、ポリプロピレン樹脂(これらは、ホモポリマー、
ブロックあるいはランダムコポリマーのいずれであって
もよい)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、ポリ
−4−メチルペンテン−1樹脂などが挙げられる。ま
た、スチレン系樹脂としては、一般ポリスチレン樹脂、
耐衝撃性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレ
ン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン
共重合体、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム
−スチレン共重合体、変性ポリフェニレンエーテル樹脂
などが挙げられる。
【0017】次に弾性栓材に好適に用いられる熱可塑性
樹脂組成物(B)としては、上記熱可塑性樹脂(A)と
融着可能なものであって、少なくとも2個のビニル芳香
族化合物を主体とする重合体ブロック(I)と、少なく
とも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロッ
ク(II)とからなるブロック共重合体を水素添加して得
られる水添ブロック共重合体(a)を主成分とする熱可
塑性樹脂組成物(B)が好ましい。
【0018】このような熱可塑性樹脂組成物(B)とし
ては、水添ブロック共重合体(a)100〜50重量
部、ポリオレフィン系樹脂(b)0〜50重量部[ただ
し、(a)+(b)=100重量部]に対し、(c)オ
イル1〜200重量部を配合した組成物が好ましい。
【0019】水添ブロック共重合体(a)におけるブロ
ック共重合体としては、例えば上記I−II、II−I−II
−I、I−II−I−II−Iなどの構造を有する、ビニル
芳香族化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体が
挙げられる。
【0020】ここで、少なくとも2個のビニル芳香族化
合物を主体とする重合体ブロック(I)としては、ビ
ニル芳香族化合物のホモ重合体、あるいはビニル芳香
族化合物を50重量%超、好ましくは70重量%以上含
有する共重合体が挙げられる。このようなビニル芳香族
化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどが挙
げられ、これらの1種または2種以上が選択できる。中
でもスチレンが好ましい。
【0021】重合体ブロック(I)の水添ブロック共重
合体(a)における含有量は、5〜70重量%が好まし
く、さらに好ましくは10〜60重量%、とくに好まし
くは15〜40重量%である。重合体ブロック(I)の
含有量が5重量%未満であると、必要なゴム弾性が得ら
れず、逆に70重量%を超えると硬くなりすぎる傾向が
ある。
【0022】また、少なくとも1個の共役ジエン化合物
を主体とする重合体ブロック(II)としては、イソプ
レンのホモ重合体、あるいはイソプレンを50重量%
超、好ましくは70重量%以上含有する共重合体、また
は、ポリブタジエンのホモ重合体、あるいはポリブ
タジエン50重量%超、好ましくは70重量%以上含有
する共重合体が挙げられる。好ましくは、イソプレン
のホモ重合体、あるいはイソプレンを50重量%超、
好ましくは70重量%以上含有する共重合体である。
【0023】ここで、重合体ブロック(II)に含まれる
イソプレン部分のミクロ構造は、1,4−ミクロ構造が
70〜100重量%であることが好ましい。1,4−ミ
クロ構造が70重量%未満の場合には、オイルがブリー
ドするので好ましくない。さらに好ましくは、90〜1
00重量%である。なお、イソプレンの1,4−ミクロ
構造とは、具体的に下記の式で示される構造を意味する
ものである。
【0024】
【化1】
【0025】また、重合体ブロック(II)がポリブタジ
エンの場合は、ブタジエン部分の1,2−ミクロ構造が
20〜50重量%であることが好ましい。1,2−ミク
ロ構造が20重量%未満の場合には、オイルがブリード
するので好ましくない。一方、50重量%を超えると、
水添後はゴム的性質を失うため衝撃強度が低下して好ま
しくない。さらに好ましくは、35〜45重量%であ
る。なお、ポリブタジエンのブタジエン部分の1,2−
ミクロ構造とは、具体的に下記の式で示される構造を意
味するものである。
【0026】
【化2】
【0027】ここで、ポリイソプレンあるいはポリブタ
ジエンなどの少なくとも1個の共役ジエン化合物に基づ
く脂肪族二重結合は、少なくとも90%が水素添加され
ているのがよい。このように水素添加することにより、
イソプレンあるいはブタジエンを主体とする重合体ブロ
ックを形態的にオレフィン性化合物重合体ブロックに変
換させることができる。水素添加率が90%未満では、
エチレン、プロピレンの交互重合性が失われ、オレフィ
ン性が損なわれるので、熱可塑性樹脂への熱接着性が劣
るので好ましくない。また、耐熱性も劣るので好ましく
ない。
【0028】水添ブロック共重合体(a)の重量平均分
子量は、50,000〜550,000、好ましくは5
0,000〜400,000の範囲がよい。重量平均分
子量が50,000以下であると、組成物の機械強度が
劣るために好ましくない。一方、550,000を超え
ると、成形加工性が劣るため好ましくない。なお、分子
量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、
10以下がよい。好ましくは5以下、さらに好ましくは
2以下である。
【0029】また、これらの少なくとも2個のビニル芳
香族化合物を主体とする重合体ブロック(I)および少
なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
ロック(II)それぞれにおける分子鎖の分布について
は、とくに制限されるものではなく、例えば、ランダ
ム、テーパード(分子鎖中に沿ってモノマー成分が増加
または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの
任意の組合せであってもよい。
【0030】また、本発明における熱可塑性樹脂組成物
(B)に好適に用いられる(b)ポリオレフィン系樹脂
としては、低密度ポリエチレン樹脂、リニア低密度ポリ
エチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエ
チレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(これらは、ホモポリ
マー、ブロックあるいはランダムコポリマーのいずれで
あってもよい)、アイオノマー樹脂、ポリ−4−メチル
ペンテン−1樹脂などが挙げられ、中でも好ましいもの
はポリプロピレン樹脂である。
【0031】本発明における熱可塑性樹脂組成物(B)
に好適に用いられる(c)成分はオイルであるが、芳香
族系ゴム軟化剤、非芳香族系ゴム軟化剤が挙げられ、プ
ロセスオイル、鉱物油系ゴム軟化剤、アロマ系オイル、
流動パラフィン、パラフィン系オイル、ナフテン系オイ
ルなどが含まれる。中でも非芳香族系ゴム軟化剤が好ま
しく、さらに好ましくは流動パラフィン、パラフィン系
オイル、ナフテン系オイルである。オイルの重量平均分
子量は、100〜2,000が好ましい。このようなオ
イル成分は、組成物の柔軟性をコントロールしやすくす
ることに寄与する。本発明においては、従来のように、
成形品にオイルがブリードすることがない。
【0032】本発明における熱可塑性樹脂組成物(B)
は、上記のように、(a)および(c)成分の組成物
に、必要に応じて(b)成分を配合するものが好適であ
る。ここで、熱可塑性樹脂組成物(B)における各成分
の配合割合は、(a)水添ブロック共重合体100〜5
0重量部、好ましくは100〜60重量部、(b)ポリ
オレフィン系樹脂0〜50重量部、好ましくは0〜40
重量部、[ただし、(a)+(b)=100重量部]に
対し、(c)オイル1〜200重量部、好ましくは5〜
180重量部である。(a)および(b)成分中、
(a)成分が50重量部未満では、機械強度が劣るため
好ましくない。また、(a)および(b)成分の合計量
100重量部に対し(c)成分が1重量部未満では、柔
軟性が得られないので好ましくなく、一方200重量部
を超えると、オイルのブリード抑制効果を損なうので好
ましくない。以下、各成分の配合について詳細に説明す
る。
【0033】(a)および(c)成分の2成分系の場
合、(a)成分100重量部に対し、(c)成分1〜2
00重量部、好ましくは50〜180重量部がよい。
(c)成分が1重量部未満であると柔軟性が得られない
ので好ましくない。一方200重量部を超えると、オイ
ルのブリード抑制効果を損なうので好ましくない。
【0034】(a)、(b)および(c)成分の3成分
系の場合、(a)成分50〜99重量部、好ましくは5
5〜95重量部、(b)成分50〜1重量部、好ましく
は45〜5重量部[ただし、(a)+(b)=100重
量部]に対し、(c)成分1〜200重量部、好ましく
は50〜180重量部である。(a)および(b)成分
中、(b)成分を50重量部を超えて配合すると、ゴム
的性質が損なわれるので好ましくない。
【0035】また、熱可塑性樹脂組成物(B)には、必
要に応じてポリエーテルブロックアミド、熱可塑性ポリ
エステル系樹脂を加えることができ、これにより耐油
性、耐熱性および熱融着性が向上するという効果が奏さ
れる。ポリエーテルブロックアミドを加える場合、熱可
塑性樹脂組成物(B)100重量部に対して5〜200
重量部を添加するのがよい。ここで、ポリエーテルブロ
ックアミドとは、具体的に下記式に示す構造を持つもの
である。
【0036】
【化3】 HO−(CO−PA−CO−C−PE−O」n−H [式中、PAはポリアミドのブロック(ハードセグメン
ト)、PEはポリエーテルのブロック(ソフトセグメン
ト)、nは繰り返し単位を示す。]
【0037】また、熱可塑性ポリエステル系樹脂を加え
る場合、熱可塑性樹脂組成物(B)100重量部に対し
て5〜200重量部を添加するのが好ましい。ここで、
熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、芳香族ジカルボ
ン酸と短鎖グリコールから得られるポリエステルセグメ
ントと、芳香族ジカルボン酸とポリアルキレングリコー
ルから得られたポリエーテルセグメントを有するポリエ
ーテル・エステル型コポリマー、芳香族ジカルボン酸と
短鎖グリコールから得られるポリエステルセグメントと
ポリカプロラクトンから得られたポリエステルセグメン
トを有するポリエステル・エステル型コポリマーが好ま
しい。
【0038】また、本発明においては、熱可塑性樹脂
(A)および熱可塑性樹脂組成物(B)中に、上記成分
のほかに、必要に応じて無機充填剤や安定剤を添加し配
合することができる。この無機充填剤は、増量剤として
コスト低下だけでなく、成形品の外観(艶)の改良にも
効果がある。ここで添加される充填剤としては、例えば
炭酸カルシウム、タルク、クレー、カーボンブラック、
水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリウム、天然珪
酸、合成珪酸、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜
鉛などが挙げられる。
【0039】安定剤としては、耐熱安定剤、紫外線吸収
剤、ヒンダードアミン系安定剤、酸化防止剤などが挙げ
られる。また、ガラス繊維、カーボン繊維、ナイロン繊
維、着色剤なども配合することができる。本発明におい
て、これらの無機充填剤、安定剤などの量は、特に規定
するものではなく、樹脂に対する熱融着力、機械的強度
の向上などの目的により任意に添加することができる
が、通常、得られる熱可塑性樹脂組成物(B)に対して
0〜50重量%である。
【0040】本発明の医療用栓は、上記の熱可塑性樹脂
(A)を用いて筒体を、また熱可塑性樹脂組成物(B)
を用いて弾性栓材を、一体成形によって製造することが
できる。筒体と弾性栓材との一体成形は、公知の手段を
適用することができとくに制限されない。
【0041】例えば図1に示すように、筒体2と融着す
る弾性栓材3をまず射出成形し、その後、筒体2をアウ
トサート成形し一体成形してもよいし、筒体2を先ず射
出成形し、その後筒体2と融着する弾性栓材3をインサ
ートして成形してもよい。
【0042】これとは別に、二色成形機を用いて、弾性
栓材3を成形後、金型を反転させて筒体2をアウトサー
トする方法により成形しても、筒体2を成形し、その後
金型を反転させて弾性栓材3をインサートする方法によ
り成形してもよい。ここで、二色成形とは、2個のシリ
ンダーを備え、それぞれに2色または2種の成形材料を
供給し、可塑化・溶融しながら取り付けてある1個の金
型キャビティに、同時にまたは順次に供給し、一体2色
(種)成形する成形法である。
【0043】空隙部(または非融着部)aおよびbを作
成するためには、例えば筒体の該部分に紙を貼ったり、
シリコンや鉱物油、パラフィンオイル等を塗布してもよ
いし、金型の一部分を適当な物品ではさみこみ弾性栓材
が流動しないようにしてもよい。
【0044】図1のように筒体2と弾性栓材3との間の
空隙部(または非融着部)をaおよびbの存在により、
両者間の歪みに対する収縮部分が設けられ、従来技術に
見られる中央部の空洞化が防止される。
【0045】ここで図2に示すように、空隙部(または
非融着部)を弾性栓材の内部側のaのみにすることによ
り、針等の管状物を刺すときのめくりあがりを防ぐこと
が可能になり、針刺し性が格段に向上するため好まし
い。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により説
明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではな
い。
【0047】比較例1 弾性栓材に用いる熱可塑性樹脂組成物(B)として、以
下に示す(a)成分80重量部、(b)成分20重量
部、(c)成分150重量部を混練機にて200℃で成
形し、ペレットを得た。
【0048】(a)成分 スチレン−イソプレンブロック共重合体[セプトン40
55、クラレ(株)製、スチレン含有量=30重量%、
イソプレン含有量=70重量%、重量平均分子量26
0,000、1,4−ミクロ構造含有率90重量%、分
子量分布1.3、水素添加率=90%以上]
【0049】(b)成分 ポリプロピレン(ブロック)[MS670、徳山ソーダ
(株)製、メルトフローレート:23g/10分(JI
SK6758、2300℃、2,160g)]
【0050】(c)成分 パラフィン系オイル[PW−90、出光興産(株)製、
重量平均分子量=540]
【0051】筒体部分に用いる熱可塑性樹脂(A)とし
て、ポリプロピレン[徳山ソーダ(株)製、MS64
0]を用い、図3に示す医療用栓の筒体2を射出成形し
た。その後、この成形品を別金型の所定のキャビティの
中に入れ、ついで弾性栓材として上記の熱可塑性樹脂組
成物(B)のペレットを用い、弾性栓材3をインサート
成形して、図3に示す成形品を得た。なお、筒体2およ
び弾性栓材3間の空隙部(または非融着部)は形成させ
なかった。
【0052】これとは別に、二色成形機を用いて筒体2
を成形後、金型を反転させて弾性栓材3をインサートす
る方法でも図3に示す成形品を得ることができた。
【0053】しかしながら、上記の2種の方法で成形さ
れた筒体および弾性栓材は、いずれも両者間の歪みによ
り弾性栓材の中央部で空洞が生じていた。
【0054】実施例1 上記比較例1と同様にして、図1に示す医療用栓の成形
品を成形した。この成形品は金型にスリープピンを入れ
ることで、筒体2および弾性栓材3間の空隙部(または
非融着部)aおよびbが設けられている。なお、管状物
の貫通方向における外周部31の長さは約3.0mmであ
り、中央部32のそれよりも、50%程度短く設定し
た。
【0055】実施例2 上記比較例1と同様にして、図2に示す医療用栓を成形
した。筒体2および弾性栓材3間の空隙部(または非融
着部)は、栓の内側のa部のみに設けた。これにより下
記にも示すように針を刺す時のめくれが生じず針刺し性
が大幅に向上した。
【0056】上記各例で得られた医療用栓の筒体および
弾性栓材間の接着力、針刺し性、再シール性を測定し
た。なお、接着力は、得られた成形品を試験台に固定
後、弾性栓材の中央に先端がR5の押し棒があたるよう
に設置して、弾性栓材に対して垂直に8または10kg
f荷重(押し棒の荷重を含む)をかけて比較をした。針
刺し性は、得られた成形品を疑似医療用輸液バッグ(プ
ラスチックバッグ)に取り付け、直径4mmのプラスチッ
ク針(テルモ株式会社製)を差し込む際の刺し込み易さ
を比較した。再シール性は、得られた成形品を疑似医療
用輸液バッグ(プラスチックバッグ)に取り付け、直径
4mmのプラスチック針(テルモ株式会社製)を差し込み
1時間放置して、その後10分間での液漏れ状態を観察
した。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】 表 1 比較例1 実施例1 実施例2 接着力 ◎ 〇 ◎ 針刺し性(変形性) 〇 〇 ◎ 針刺し性(抵抗性) ◎ ◎ ◎ 再シール性 × 〇 ◎ 接着力(荷重10kgfの状況) (荷重8kgfの状況) ◎ 脱落なし、変形なし ◎ 脱落なし、変形なし 〇 脱落なし、やや変形あり 〇 脱落なし、変形なし × 脱落あり、変形あり × 脱落あり、変形あり 針刺し性(変形性) (抵抗性) ◎ なし ◎ スムーズに刺せる ○ やや変形あり ○ 若干の抵抗がある × 変形あり × 抵抗がある 再シール性 ◎ 液の飛び散りなし、液漏れなし 〇 しみ出し程度の液漏れあり × 1〜2滴程度の液漏れあり
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、耐液漏れ性、針刺し
性、再シール性、コスト性等に優れた医療用栓およびそ
の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用栓の一実施態様の断面図であ
る。
【図2】本発明の医療用栓の別の実施態様の断面図であ
る。
【図3】従来の医療用栓の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 医療用栓 2 筒体 3 弾性栓材 31 外周部 32 中央部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を主体とする筒体の一端部
    に、非加硫の熱可塑性エラストマーからなる弾性栓材を
    一体成形して得られ、前記弾性栓材に注射針等の管状物
    を貫通して使用される医療用栓において、 前記弾性栓材は、前記筒体に融着する外周部と、前記管
    状物の貫通する中央部とを有し、前記管状物の貫通方向
    における前記外周部の長さが、前記中央部のそれよりも
    短くなっていることを特徴とする医療用栓。
  2. 【請求項2】 管状物の貫通方向における外周部の長さ
    が、中央部のそれよりも2〜98%短くなっている請求
    項1に記載の医療用栓。
  3. 【請求項3】 管状物の貫通方向における外周部の長さ
    が中央部のそれよりも短くなっているために形成される
    空隙部または非融着部が、弾性栓材の内部側に設けられ
    ている請求項1または2に記載の医療用栓。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂を主体とする筒体と、非加
    硫の熱可塑性エラストマーからなる弾性栓材とを備え、
    前記弾性栓材に注射針等の管状物を貫通して使用される
    医療用栓の製造方法において、 前記弾性栓材が、前記筒体に融着する外周部と、前記管
    状物の貫通する中央部とを有し、且つ前記管状物の貫通
    方向における前記外周部の長さが、前記中央部のそれよ
    りも短くなるように、前記筒体および前記弾性栓材を一
    体成形することを特徴とする医療用栓の製造方法。
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